JP6237086B2 - 無機質系多孔質基材用プライマー組成物およびそれを用いたシーリング施工方法 - Google Patents

無機質系多孔質基材用プライマー組成物およびそれを用いたシーリング施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、無機質系多孔質基材により形成された目地のシーリング材の施工において、基材に塗布して該シーリング材の接着性を向上させるとともに発泡によるシーリング材の外観不良を抑制するプライマー組成物、およびそれを用いたシーリング施工方法に関するものである。
建築の分野において、防水を目的としてシーリング材や塗膜防水材あるいは塗布床材を施工することが広く行われており、この施工に際し、コンクリート、窯業系サイディングなどの無機質系多孔質基材に対する接着性をより強固にするため被着体となる下地に対して、プライマーを塗布処理することが一般的に行われている。このプライマーとして、ポリイソシアネートやイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、架橋性シリル基含有プレポリマーを硬化性成分として含有するプライマーが用いられることが多い。
しかし、従来のプライマー組成物を用いて無機質系多孔質基材により形成された目地にシーリング材を施工した際に、特に夏場の高温時においてシーリング材や塗膜防水材の硬化中に泡が発生し、硬化物の表面の外観が著しく悪くなることがあった。この泡の発生の原因については、1成分形ポリウレタン系プライマーを用いた場合に硬化途中で発生する二酸化炭素が考えられ、これを抑制するためにオキサゾリジン化合物などの潜在硬化剤を用いる方法などが提案されている(特許文献1)。しかし、この方法により1成分形ポリウレタン系プライマーからの二酸化炭素の発生を抑制したり、プライマー中のイソシアネート基濃度を性能上問題の無い程度まで低下させても泡の発生を抑えることができない場合があった。
特開2003−128988号公報
上記問題に鑑み、本発明は、施工時の環境温度によらず無機質系多孔質基材により形成された目地に施工したシーリング材の硬化物表面に、泡による外観不良を発生させず、接着性の向上、外観の優れた施工仕上がりを実現することができるプライマー組成物およびそれを用いたシーリング施工方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、泡の発生原因がプライマーの溶剤にあることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、次の(1)〜(5)に示すものである
(1) バインダー樹脂(A)と初留点又は沸点が170℃以上300℃以下且つ乾点が350℃未満の有機溶剤(B)とを含有すること、を特徴とする無機質系多孔質基材用プライマー組成物。
(2) 前記初留点又は沸点が170℃以上300℃以下且つ乾点が350℃未満の有機溶剤(B)が、初留点又は沸点が170℃以上300℃以下且つ乾点が350℃未満の飽和炭化水素溶剤である、前記(1)の無機質系多孔質基材用プライマー組成物。
(3) さらに初留点又は沸点が170℃未満の有機溶剤(C)を含有する、前記(1)または(2)の無機質系多孔質基材用プライマー組成物。
(4) 前記バインダー樹脂(A)が、イソシアネート基含有化合物(A−1)および/または加水分解性シリル基含有化合物(A−2)である、前記(1)〜(3)のいずれかの無機質系多孔質基材用プライマー組成物。
(5) 前記(1)〜(4)のいずれかの無機質系多孔質基材用プライマー組成物を、シーリング材の施工時に無機質系多孔質基材により形成された施工目地に予め塗布し、該シーリング材の接着性を向上させるとともに発泡によるシーリング材の外観不良を抑制すること、を特徴とするシーリング施工方法。
このような構成をとることにより、本発明のプライマー組成物は、施工時の環境温度によらず無機質系多孔質基材に該プライマー組成物を塗布した上に打設されたシーリング材の硬化物表面に泡などを発生させず、接着性の向上、外観の優れた施工仕上がりを提供する効果を奏する。
本発明の無機質系多孔質基材用プライマー組成物において使用する各成分について、以下に詳しく説明する。
本発明においてバインダー樹脂(A)とは、溶媒が揮散し、および/または反応硬化してプライマー層を形成する(塗膜を形成する)ものであれば如何なる樹脂でも使用できる。中でもシーリング材、無機質系多孔質基材との接着性や密着性が良好な反応性官能基を有する樹脂が好ましい。
なお、前記プライマー層とは、シーリング材の施工において予め下地部材表面にプライマーを塗布し形成する(樹脂)層である。プライマー層を設けることにより、シーリング材と無機質系多孔質基材との良好な接着性を確保することができる。また、シーリング材からの可塑剤等の低分子物質の移行を防止することもできる。
反応性官能基を有する樹脂としては、空気中の水分との反応により架橋、硬化して塗膜を形成するもの、ラジカル発生剤などの混合や紫外線により硬化して塗膜を形成するもの、主剤と硬化剤との架橋反応などにより架橋、高分子化して硬化するものなどが挙げられる。具体的には、イソシアネート基含有化合物(A−1)、加水分解性シリル基含有化合物(A−2)、ポリサルファイド化合物、不飽和ポリエステル化合物、アルキッド化合物などが挙げられる。
これらのうち、作業性や硬化性が優れており、シーリング材、無機質系多孔質基材との接着性や密着性が良好な、一液湿気硬化型樹脂が好ましく、更に具体的にはイソシアネート基含有化合物(A−1)および/または加水分解性シリル基含有化合物(A−2)が好ましい。
イソシアネート基含有化合物(A−1)は、水分と反応して尿素結合を形成し架橋、硬化するイソシアネート基を分子中に1個以上有する化合物である。具体的には、有機モノイソシアネートおよび/または有機ポリイソシアネートを挙げることができる。更に、有機ポリイソシアネートまたは有機モノイソシアネートと有機ポリイソシアネートの混合物と、後述する活性水素基含有化合物とをイソシアネート基過剰で反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを好適に挙げることができる。
有機モノイソシアネートは、その化合物中に1個のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的には、n−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−ヘキサデシルモノイソシアネート、n−オクタデシルモノイソシアネート、p−イソプロピルフェニルモノイソシアネート、p−ベンジルオキシフェニルモノイソシアネート等が挙げられる。
有機ポリイソシアネートは、その化合物中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的には例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等のトルエンジイソシアネート(TDI)類、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)類、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等のフェニレンジイソシアネート類、2,4,6−トリメチルフェニル−1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニル−1,3−ジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンジイソシアネート類、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート等のキシリレンジイソシアネート類などの芳香脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネートや、更に、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネートなどのポリメリックイソシアネートが挙げられる。また、これらの有機ポリイソシアネートを変性して得られる、ウレトジオン結合、イソシアヌレート結合、アロファネート結合、ビュレット結合、ウレトンイミン結合、カルボジイミド結合、ウレタン結合、ウレア結合などを1つ以上含有する変性イソシアネートが挙げられる。
これらは、いずれも1種または2種以上を混合して使用することができる。
これらのうち、耐熱性、耐水性、無機質系多孔質基材との接着性や密着性が優れていることから、有機ポリイソシアネートが好ましく、更に有機ポリイソシアネートを変性して得られるイソシアヌレート結合を有する変性イソシアネートが好ましい。
有機ポリイソシアネートまたは有機モノイソシアネートと有機ポリイソシアネートの混合物との反応に用いることができる活性水素基含有化合物としては、ポリオール、ポリアミン、ポリウレアなど公知の活性水素基含有化合物を挙げることができる。活性水素基含有化合物(好ましくはポリオール)の数平均分子量は、100〜10,000、更に100〜5,000、特に100〜3,000が好ましい。活性水素基含有化合物の数平均分子量が100未満では得られるイソシアネート基含有化合物の塗膜形成性や伸びが悪化し、10,000を超えるとプライマー組成物の粘度が高くなり、その貯蔵安定性や塗布作業性が悪化するため好ましくない。
ポリオールとしては、具体的には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、動植物系ポリオールなどが挙げられる。
これらはいずれも1種または2種以上を混合して使用することができる。
これらのうち、無機質系多孔質基材用プライマー組成物の耐熱性、接着性、溶解性が優れている点でポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアクリルポリオールが好ましく、更に耐水性、耐候性にも優れている点でポリエーテルポリオール、ポリアクリルポリオールが好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、具体的には、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸、酸エステル、又は酸無水物等の1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド或いはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子アルコール類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上との脱水縮合反応で得られる、ポリエステルポリオール又はポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
また、低分子アルコール類、低分子アミノアルコール類を開始剤として、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールなども挙げることができる。
これらはいずれも1種または2種以上を混合して使用することができる。
ポリエーテルポリオールとしては、具体的には、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール類、低分子アミノアルコール類を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させたポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、これらを共重合したポリエーテルポリオール、更に、前述のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールを開始剤としたポリエステルエーテルポリオールが挙げられる。
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどのモノアルコール類(開始剤)に前記プロピレンオキサイドなどを開環重合させたポリオキシアルキレンモノオールなども挙げることができる。
これらはいずれも1種または2種以上を混合して使用することができる。
これらのうち、特にポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオールが好ましい。
アクリルポリオールとしては、具体的には、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等の水酸基を含有したアクリル酸系化合物のモノマーおよび/または水酸基を含有したメタクリル酸系化合物のモノマーと、これら以外のエチレン性不飽和化合物の1種以上とを、ラジカル重合開始剤の存在下又は不存在下に、そして溶剤の存在下又は不存在下にバッチ式重合又は連続重合等の公知のラジカル重合の方法により反応させて得られるものが挙げられる。
これらはいずれも1種または2種以上を混合して使用することができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、具体的には、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール類とホスゲンとの脱塩酸反応、或いは前記低分子アルコール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
これらはいずれも1種または2種以上を混合して使用することができる。
ポリオレフィンポリオールとしては、具体的には、水酸基含有ポリブタジエン、水素添加した水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリイソプレン、水素添加した水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有塩素化ポリプロピレン、水酸基含有塩素化ポリエチレンなどが挙げられる。
動植物系ポリオールとしては、具体的には、ヒマシ油系ポリオール、絹フィブロインなどが挙げられる
上述のポリオール以外に、他の活性水素基含有化合物としては、例えば、ダイマー酸系ジオール、水素添加ダイマー酸系ジオール、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ロジン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、ポリビニルアルコール等の樹脂類を挙げることができる。
ポリアミンとしては、ポリプロピレングリコールの末端ジアミノ化物などの、数平均分子量500以上でポリオキシアルキレン系ポリオールの末端がアミノ基となったポリオキシアルキレンポリアミン等の高分子ポリアミンが挙げられる。ポリアミンとしては更に、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン等の数平均分子量500未満の低分子ポリアミンが挙げられる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
有機ポリイソシアネートまたは有機モノイソシアネートと有機ポリイソシアネートの混合物と活性水素基含有化合物とをイソシアネート基過剰で反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、一括仕込み反応法、多段階仕込み反応法のいずれでも合成できる。また、有機ポリイソシアネートまたは有機モノイソシアネートと有機ポリイソシアネートの混合物のイソシアネート基と活性水素基含有化合物の活性水素基とのイソシアネート基/活性水素基の当量比は1.1〜5.0が好ましく、更に1.3〜2.0が好ましい。
このように反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量は、0.1〜15.0質量%が好ましく、更に0.3〜10.0質量%が好ましく、特に0.5〜10.0質量%が好ましい。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基含有量が0.1質量%未満の場合は、分子量が大きくなりすぎてプライマーの粘度が大きくなり塗布作業性や溶解性が低下し、またイソシアネート基含有量が15.0質量%を超える場合は、分子量が小さすぎて、塗膜形成性が悪化し、また大気中の水分(湿分)とイソシアネート基との反応によって生じる炭酸ガスによって塗布部が発泡してしまい好ましくない。
有機ポリイソシアネートまたは有機モノイソシアネートと有機ポリイソシアネートの混合物と活性水素基含有化合物の反応の際には、必要に応じて、亜鉛、錫、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄等の金属とオクチル酸、ナフテン酸等の有機酸との塩、テトラ−n−ブトキシチタン、ブチルジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属と有機酸との塩、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、DBU、DBE等の有機アミンやその塩などの公知のウレタン化触媒を用いることができる。
加水分解性シリル基含有化合物(A−2)は、水分と反応してシラノール(Si−OH)を生成した後、シラノール同士が縮合してシロキサン結合(−Si−O−Si−)を形成して架橋、硬化する加水分解性(架橋性)シリル基を有する化合物である。
加水分解性シリル基は、プライマーの硬化性や硬化後の物性等の点から、分子内に0.5〜5個有するのが好ましい。
更に加水分解性シリル基含有化合物(A−2)の加水分解性シリル基は、加水分解し、架橋しやすく製造しやすい次の一般式(1)で示されるものが好ましい。
Figure 0006237086
(式中、Rは炭化水素基であり、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。Xで示される反応性基はハロゲン原子、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アルケニルオキシ基およびアミノオキシ基より選ばれる基であり、Xが複数の場合には、Xは同じ基であっても異なった基であってもよい。このうちXはアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基が最も好ましい。aは0、1又は2の整数であり、0又は1が最も好ましい。)
このような加水分解性シリル基含有化合物(A−2)としては、シランカップリング剤類が好適であり、具体的には、シランカップリング剤(A−2−a)、イソシアネート基含有化合物とシランカップリング剤との反応物(A−2−b)、シランカップリング剤の部分加水分解縮合物(A−2−c)が挙げられる。
これらは、いずれも1種または2種以上を混合して使用することができる。
シランカップリング剤(A−2−a)は、加水分解性シリル基と有機官能基を分子中にそれぞれ1個以上有する化合物である。
有機官能基の種類により、アミノシランカップリング剤、メルカプトシランカップリング剤などの活性水素基含有シランカップリング剤やこれら以外のシランカップリング剤を挙げることができる。
アミノシランカップリング剤としては、具体的には、アミノメチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)メチルトリブトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノイソブチルトリメトキシシラン、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
メルカプトシランカップリング剤としては、具体的には、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルエチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、2−メルカプトエチルメチルジメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
これら以外のシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルメチルジメトキシシラン等のエポキシシランカップリング剤、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のビニル基や(メタ)アクリロイル基を有する不飽和炭化水素シランカップリング剤、およびメチルシリケート、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等の炭化水素シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネートシランカップリング剤、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシランカップリング剤などが挙げられる。
これらのシランカップリング剤はそれぞれ単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち無機質系多孔質基材との接着性や密着性が良好な点で、アミノシランカップリング剤、メルカプトシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤のいずれか一種または2種以上の混合物が好ましい。
イソシアネート基含有化合物と活性水素基含有シランカップリング剤との反応物(A−2−b)とは、具体的には、前記イソシアネート基含有化合物(A−1)と同様のイソシアネート基含有化合物と前記シランカップリング剤(A−2−a)として挙げたアミノシランカップリング剤やメルカプトアミノシランカップリング剤等の活性水素基含有シランカップリング剤との反応によって得られる化合物である。更には、イソシアネート基含有化合物(A−1)のイソシアネート基と活性水素基含有シランカップリング剤の活性水素基とを反応させて得られる化合物であり、その反応物中にはイソシアネート基および/または加水分解性シリル基を有している。
イソシアネート基含有化合物と活性水素基含有シランカップリング剤との反応物(A−2−b)を合成する際のイソシアネート基と活性水素基の反応当量比(イソシアネート基/活性水素基)は、0.1/1以上が好ましく、更に0.5〜10/1が好ましい。0.1/1を下回ると耐水接着性が劣り、10/1を超えると反応生成物中の加水分解性シリル基の含有量が少なくなり、特に下地部材が無機質系の材料の場合に密着性や接着性が低下する。
この反応の際には、トルエン、酢酸エチル等の公知の有機溶剤、後述する硬化触媒として挙げたものと同様の金属と有機酸との塩、有機金属キレート化合物、有機金属と有機酸との塩などの有機金属化合物、有機アミンやその塩等の公知のウレタン化触媒を用いることができる。
シランカップリング剤の部分加水分解縮合物(A−2−c)としては、前記シランカップリング剤(A−2−a)の部分加水分解縮合物であり、その数平均分子量が250〜2,500のものを好適に挙げることができる。このような部分加水分解縮合物はシランカップリング剤を単独または2種以上混合し、必要量の水を加えるか、あるいは必要に応じて縮合触媒を少量加え、常温〜100℃で、生成するアルコールを除去しながら縮合を進めることにより得ることができる。
具体的には、メチルシリケートの部分加水分解縮合物でメトキシ基を含有する化合物として、日本コルコート社のメチルシリケート47、メチルシリケート51、メチルシリケート55、メチルシリケート58、メチルシリケート60が挙げられる。またトリメトキシシラン、ジメトキシシラン等の部分加水分解縮合物でメトキシ基を含有する化合物としては信越化学工業社からアルコキシオリゴマーとして販売されている、KR−213、KR−217、KR−500、KR−510、KR−9218等や、東芝シリコーン社のTRS165、TR3357、日本ユニカー社のY−1587、FZ−3701、FZ−370等が挙げられる。
また、N−(2−アミノエチル)−3−プロピルトリアルコキシシランとジメチルジアルコキシシランとの部分加水分解縮合物として日本ユニカー社のC1−031−07、3−アミノプロピルトリアルコキシシランとの部分加水分解縮合物として日本ユニカー社のC1−031−09などが挙げられる。これらのうち、接着性や密着性が良好な点で、有機置換基としてメチル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基を有するシランカップリング剤の部分加水分解縮合物が好ましい。
初留点又は沸点が170℃以上300℃以下且つ乾点が350℃未満の有機溶剤(B)としては、例えば、エクソールD60(EMGマーケティング合同会社製、初留点:185℃、乾点:213℃)、エクソールD80(EMGマーケティング合同会社製、初留点:205℃、乾点:240℃)、エクソールD95(EMGマーケティング合同会社製、初留点:222℃、乾点:242℃)、エクソールD110(EMGマーケティング合同会社製、初留点:248℃、乾点:265℃)、エクソールD130(EMGマーケティング合同会社製、初留点:279℃、乾点:313℃)、アイソパーH(EMGマーケティング合同会社製、初留点:180℃、乾点:188℃)、アイソパーL(EMGマーケティング合同会社製、初留点:184℃、乾点:199℃)、アイソパーM(EMGマーケティング合同会社製、初留点:224℃、乾点:254℃)等の飽和炭化水素溶剤、イプゾール150(出光興産株式会社製、初留点:184℃、乾点:205℃)、カクタスソルベントP−150(日鉱石油化学株式会社製、初留点:181℃、乾点:200℃)、カクタスソルベントP−180(日鉱石油化学株式会社製、初留点:194℃、乾点:242℃)、カクタスソルベントP−200(日鉱石油化学株式会社製、初留点:237℃、終点:251℃)等の芳香族系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン(沸点:202℃)、γ−ブチロラクトン(沸点:204℃)等が挙げられる。
これらは、いずれも1種または2種以上を混合して使用することができる。
これらのうち、優れた発泡抑制効果と塗布時の乾燥性の確保並びにこれらの実用上のバランスの点から、初留点が170℃以上300℃以下且つ乾点が350℃未満の飽和炭化水素溶剤が好ましい。
本発明の無機質系多孔質基材用プライマー組成物における初留点が170℃以上300℃以下且つ乾点が350℃未満の有機溶剤(B)の含有量は、1〜10質量%が好ましく、更に3〜6質量%が好ましい。
初留点が170℃以上300℃以下且つ乾点が350℃未満の有機溶剤(B)の含有量が1質量%未満であると発泡を抑制する効果が十分ではなく、10質量%を超えると塗布時に乾燥性が悪くなり、作業時間の延長や接着力の低下がみられる。
初留点又は沸点が170℃未満の有機溶剤(C)は、各成分を溶解および希釈をし、無機質系多孔質基材用プライマー組成物の粘度を下げて塗布等の作業性を向上させる目的で使用され、各成分を溶解し、バインダー樹脂(A)と反応性を有しないものであれば特に制限なく使用できる。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の初留点又は沸点が170℃未満のエステル系溶剤;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等の初留点又は沸点が170℃未満のエーテル系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の初留点又は沸点が170℃未満の脂肪族炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の初留点又は沸点が170℃未満の芳香族炭化水素系溶剤;シクロヘキサン等の初留点又は沸点が170℃未満の脂環族炭化水素系溶剤;工業ガソリン、ミネラルスピリット、リグロイン、灯油等の初留点又は沸点が170℃未満の石油系溶剤などが挙げられる。
これらは、いずれも1種または2種以上を混合して使用することができる。
これらのうち、塗布時の乾燥性が優れていることから、沸点が170℃未満のエステル系溶剤が好ましく、特に酢酸エチルまたは酢酸ブチルが好ましい。
本発明の無機質系多孔質基材用プライマー組成物における初留点又は沸点が170℃未満の有機溶剤(C)の含有量は、50〜95重量%が好ましく、更に70〜90重量%が好ましい。
本発明の無機質系多孔質基材用プライマー組成物においては、前記の各成分の他に、本発明の効果を妨げない範囲でさらに硬化促進触媒、充填剤、保存安定性改良剤(脱水剤)および着色剤の群から選択される1種以上を添加剤として配合することができる。
前記硬化促進触媒は、バインダー樹脂(A)のうち硬化性成分と水分との反応および硬化を促進するための触媒であり、具体的に、オクチル酸第一錫、オクテン酸錫などの、亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄等の金属とオクチル酸、オクテン酸、ナフテン酸等の有機酸との塩、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属と有機酸との塩、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の有機アミンやその塩などが挙げられ、硬化促進性に優れている点で、有機金属と有機酸との塩が好ましく、さらにジブチル錫ジラウレートが好ましい。硬化促進触媒の配合量は前記バインダー樹脂(A)100質量部に対し、0.0001〜10質量部、特に0.001〜1質重量部配合するのが好ましい。なお、硬化促進触媒は、前述のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成時の反応触媒を兼ねることができる。
前記充填剤は、増量、補強、揺変性付与などを目的として使用され、具体的には、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、珪藻土、白土、ヒユームドシリカ、沈降性シリカ、無水珪酸、クレー、タルク、炭酸マグネシウム等の無機粉末状充填剤;ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維状充填剤;無機雲母等の板状充填剤;ガラスマイクロバルーン、シラスマイクロバルーン、サランマイクロバルーン等のマイクロバルーン状充填剤;これらの表面を有機脂肪酸で処理した充填剤などが挙げられる。充填剤の配合量は前記バインダー樹脂(A)100質量部に対し、0〜300質量部配合するのが好ましい。
前記貯蔵安定性改良剤(脱水剤)は、プライマー組成物中の水分を反応或いは吸着させて脱水することにより貯蔵安定性を改良する目的で使用され、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、パラトルエンスルフォニルイソシアネート、ゼオライトなどが挙げられる。
前記着色剤としては、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の顔料や油溶染料等の染料などが挙げられる。
添加剤はそれぞれいずれも、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、無機質系多孔質基材用プライマー組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば、ステンレス製、鉄製、ガラス製などの反応装置、攪拌、混合装置を用いて製造することが出来る。これらの装置に乾燥した窒素ガスを流し湿気を極力除いた状態で、前記の各成分を仕込み混合、溶解、分散して製造する。
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、シランカップリング剤類などを使用する場合、予め反応して得られたものをそれ以外の成分と混合、分散して製造してもよい(この場合他の成分は反応時に存在させてもよいし、反応後に添加混合してもよい。)。これらの反応物は従来公知の方法で製造することが出来る。
更に、本発明のシーリング施工方法について説明する。
具体的には例えば、本発明の無機質系多孔質基材用プライマー組成物の塗布およびシーリング材の施工によるシーリング構造の形成は、無機質系多孔質基材に、シーリング材の施工に先立って、本発明の無機質系多孔質基材用プライマー組成物を刷毛、ローラー、スプレーなどで所定量塗布した後、所定の時間(オープンタイム:通常は常温で10分〜1時間程度)放置乾燥、硬化させ塗膜(プライマー層)を形成させることにより好適に行うことができる。
無機質系多孔質基材用プライマー組成物の塗布量は、無機質系多孔質基材用プライマー組成物の固形分(不揮発分)換算で0.5〜200g/m、特に1〜150g/mであることが好ましい。無機質系多孔質基材用プライマー組成物の塗布量が固形分(不揮発分)換算で0.5g/m未満であると無機質系多孔質基材とシーリング材との密着性や接着性が向上せず、200g/mを超えると塗膜が厚くプライマー層が固くなり、コストも高くなる。
所定の時間を過ぎてもプライマー塗布部に水、塵や埃など接着性を阻害させる物質が付着していなければそのまま使用することができる。水、塵や埃などが付着していた場合は、刷毛やウエスを用いてそれらを極力取り除き、刷毛、ローラー、スプレーなどで、再度、該塗布部に塗布し、所定の時間放置し乾燥硬化させる。
次いで、プライマー塗布部を目視で観察して無機質系多孔質基材用プライマー組成物の塗布むらや塗布もれがないことを確認する。万が一、無機質系多孔質基材用プライマー組成物の塗りむらや塗り忘れにより、無機質系多孔質基材用プライマー組成物未塗布の箇所が見つかった場合は、その箇所に無機質系多孔質基材用プライマー組成物を塗布し所定の時間放置乾燥、硬化させる。そして、予め用意しておいたシーリング材を該塗布部に打設し、または塗膜防水材を該塗布部に塗布し、ヘラやコテなどを用いて美観を損ねないよう表面をならして所望の形状や厚さに仕上げる。
シーリング材は特に限定されないが、具体的には、シリコーン系、変成シリコーン系、ポリウレタン系、アクリルウレタン系、ポリサルファイド系、変性ポリサルファイド系、ブチルゴム系、アクリル系、エポキシ系などの各種のシーリング材が挙げられる。
これらのうち、硬化後のゴム物性が良好な点とコスト的に優位である点で、ポリウレタン系、変成シリコーン系、アクリルウレタン系のシーリング材が好ましい。
シーリング材は、主剤と硬化剤とを施工時に混合して使用する2成分形と、空気中の水分(湿気)と反応し硬化する1成分形に大別することができるが、混合の手間や混合不良による不具合がなく施工作業のし易い点で1成分形湿気硬化型のシーリング材が好ましい。
本発明の無機質系多孔質基材用プライマー組成物を使用する無機質系多孔質基材としては、モルタル、コンクリート、スレート、ALC、サイディングなどが挙げられる。
本発明の無機質系多孔質基材用プライマー組成物を用いて、前記のシーリング施工方法とほぼ同様にして、シーリング材の代わりに塗膜防水材を用いた塗膜防水施工を行うことができる。
以下、本発明について、無機質系多孔質基材用プライマー組成物として、建築用シーリング材向けの1液湿気硬化型のプライマーを例にとり実施例等によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<合成例1>
撹拌機、温度計、窒素シール管および加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、酢酸エチル216.2gおよびイソホロンジイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレート体(エボニック デグサ ジャパン社製、VESTANAT T1890E、固形分70質量%、NCO含有量12質量%)69gを仕込み、撹拌しながらさらにアクリルポリオールA(東亞合成社製、UH−2041、水酸基価120mgKOH/g、Tg−50℃、重量平均分子量2,500)31gおよび反応触媒としてジブチル錫ジラウレートを酢酸エチルで100倍に希釈したもの2gを仕込んだ後、80〜85℃に加温し、1時間反応を行った後、室温まで冷却し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー溶液P−1を合成した。この際の反応モル比(=原料のイソシアネート基のモル数/水酸基のモル数)は3である。
得られたイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー溶液P−1は、滴定によるイソシアネート基含有量が1.7質量%の室温で無色透明液体であった。
<実施例1>
撹拌機、温度計、窒素シール管および加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ナフテン系炭化水素溶剤エクソールD80(EMGマーケティング合同会社製、初留点:205℃)18.4gおよびイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー溶液P−1を336.6g仕込み、攪拌しながらさらに有機置換基としてエポキシ基を、アルコキシ基としてメトキシ基/エトキシ基を有するシランカップリング剤の部分加水分解縮合物であるアルコキシオリゴマーX−41−1053(信越化学工業社製)13.0gを仕込んだ後、30分間攪拌して1液湿気硬化型プライマーPR−1を製造した。
<実施例2>
実施例1において、エクソールD80の代わりにナフテン系炭化水素溶剤エクソールD110(EMGマーケティング合同会社製、初留点:248℃)を用いた以外は同様にして、1液湿気硬化型プライマーPR−2を製造した。
<実施例3>
実施例1において、エクソールD80の代わりにナフテン系炭化水素溶剤エクソールD130(EMGマーケティング合同会社製、初留点:279℃)を用いた以外は同様にして、1液湿気硬化型プライマーPR−3を製造した。
<実施例4〜6>
実施例1〜3において、アルコキシオリゴマーX−41−1053の代わりにアミノ基含有シランカップリング剤KBM−573(信越化学工業社製、)4.0gを用いた以外は同様にして、1液湿気硬化型プライマーPR−4〜6を製造した。
<実施例7〜9>
実施例1〜3において、アルコキシオリゴマーX−41−1053を用いないこと以外は同様にして、1液湿気硬化型プライマーPR−7〜9を製造した。
<実施例10〜12>
実施例1〜3において、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー溶液P−1とアルコキシオリゴマーX−41−1053の代わりに、有機置換基としてメチル基を、アルコキシ基としてメトキシ基を有するシランカップリング剤の部分加水分解縮合物であるアルコキシオリゴマーKR−500(信越化学工業社製)を97.0g、チタン系触媒D−20(信越化学工業社製)2.0g及び酢酸エチル253.0gを用いた以外は同様にして、1液湿気硬化型プライマーPR−10〜12を製造した。
<実施例13>
実施例1において、エクソールD80の代わりに芳香族系溶剤カクタスソルベントP−200(日鉱石油化学株式会社製、初留点:237℃)を用いた以外は同様にして、1液湿気硬化型プライマーPR−13を製造した。
<実施例14>
実施例1において、エクソールD80の代わりに芳香族系溶剤イプゾール150(出光興産株式会社製、初留点:184℃)を用いた以外は同様にして、1液湿気硬化型プライマーPR−14を製造した。
<実施例15>
実施例1において、エクソールD80の代わりにN−メチル−2−ピロリドン(沸点:202℃)を用いた以外は同様にして、1液湿気硬化型プライマーPR−15を製造した。
<実施例16>
実施例1において、エクソールD80の代わりにγ−ブチロラクトン(沸点:204℃)を用いた以外は同様にして、1液湿気硬化型プライマーPR−16を製造した。
<比較例1>
実施例1において、エクソールD80の代わりに酢酸エチルを用いた以外は同様にして、1液湿気硬化型プライマー比較PR−1を製造した。
<比較例2>
実施例1において、エクソールD80の代わりにナフテン系炭化水素溶剤エクソールD40(EMGマーケティング合同会社製、初留点:166℃)を用いた以外は同様にして、1液湿気硬化型プライマー比較PR−2を製造した。
<比較例3>
実施例1において、エクソールD80の代わりにn−ヘプタン(沸点:98℃)を用いた以外は同様にして、1液湿気硬化型プライマー比較PR−3を製造した。
<比較例4>
実施例1において、エクソールD80の代わりにn−ヘキサン(沸点:69℃)を用いた以外は同様にして、1液湿気硬化型プライマー比較PR−4を製造した。
実施例1〜16および比較例1〜4で得られた1液湿気硬化型プライマーを用い、そして建築用シーリング材として、変成シリコーン系樹脂からなる1成分形変成シリコーン系シーリング材(オート化学工業社製、架橋性シリル基を有する主鎖がポリ(メタ)アクリル系重合体で変性したポリオキシプロピレン系重合体に炭酸カルシウム等の添加剤を配合したシーリング材)およびポリウレタン系樹脂からなる1成分形ポリウレタン系シーリング材(オート化学工業社製、商品名オートンサイディングシーラント)を使用し、下記の試験方法によりプライマーの評価試験をした結果を表1〜表3に仕込み組成とともに記載する。
表1〜3の実施例の結果から、被着体を本発明のプライマーで処理したものは、表4の比較例1〜4に比べ、膨れ確認試験、内部気泡確認試験において、いずれの試験条件においても膨れ、気泡がみられず極めて優れていることを示している。
(試験方法)
1)膨れ確認試験
30mm×100mmのサイディング板(ケイミュー株式会社製、セラディール)を所定の温度(60℃、80℃)の恒温槽内に24時間静置した。恒温槽からサイディング板を取り出した後、直ちに実施例および比較例で得たプライマーをサイディング板の小口に刷毛で約150g/mの塗布量で塗布し、直ちに恒温槽内に戻して30分間静置した。再びサイディング板を取り出した後、プライマーを塗布した面に建築用シーリング材を厚さ10mmで均一になるように打設し、表面を均した後、再び恒温槽内に3日間静置したものを試験体とした。恒温槽から取り出した試験体のシーリング材部分の表面を観察し、膨れの有無と度合いを目視および指触により確認した。
膨れが無いものを○、膨れが若干みられるものを△、膨れが顕著にみられるものを×とした。
2)内部気泡確認試験
膨れ確認試験で表面状態を確認した試験体のシーリング材部分をカッターで切断し、内部の気泡の有無と度合いを目視および指触により確認した。
内部気泡が無いものを○、内部気泡が若干みられるものを△、内部気泡が顕著にみられるものを×とした。
3)乾燥性試験
50mm×50mmのアルマイトアルミ板を所定の温度(23℃、−5℃)の恒温槽内に24時間静置した。恒温槽からサイディング板を取り出した後、直ちに実施例および比較例で得たプライマーをアルマイトアルミ板の表面に刷毛で約150g/mの塗布量で塗布し、直ちに恒温槽内に戻して30分間静置する。再びサイディング板を取り出した後、プライマー塗布部分を観察し、目視および指触により乾燥性を確認した。
プライマーが乾燥した被膜を形成しているものを○、部分的に濡れているものを△、全体が濡れているものを×とした。
Figure 0006237086
Figure 0006237086
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Claims (4)

  1. バインダー樹脂(A)と初留点又は沸点が170℃以上300℃以下且つ乾点が350℃未満の飽和炭化水素溶剤(B)とを含有すること、を特徴とする無機質系多孔質基材用プライマー組成物。
  2. さらに初留点又は沸点が170℃未満の有機溶剤(C)を含有する、請求項1記載の無機質系多孔質基材用プライマー組成物。
  3. 前記バインダー樹脂(A)が、イソシアネート基含有化合物(A−1)および/または加水分解性シリル基含有化合物(A−2)である、請求項1または2に記載の無機質系多孔質基材用プライマー組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の無機質系多孔質基材用プライマー組成物を、シーリング材の施工時に無機質系多孔質基材により形成された施工目地に予め塗布し、該シーリング材の接着性を向上させるとともに発泡によるシーリング材の外観不良を抑制すること、を特徴とするシーリング施工方法。
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