図1は本発明に係るメンテナンス報知装置の第1実施形態を装備する部品実装機の構成を模式的に示す部分平面図である。図2は図1の部品実装機の電気的構成を示すブロック図である。図1および以下の図では、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向で構成されるXYZ直交座標系を適宜示す。なお、この座標系において、X方向およびY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。
図2に示すように、部品実装機1は、装置全体を統括的に制御するコントローラー100を備える。コントローラー100は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access
Memory)で構成されたプロセッサーである演算処理部110およびHDD(Hard Disk Drive)などで構成された記憶部120を有するコンピューターである。さらに、コントローラー100は、部品実装機1の駆動系を制御する駆動制御部130と、部品実装機1の撮像系を制御する撮像制御部140とを有する。
記憶部120には、パッケージタイプ等の部品の設計寸法などが記憶されている。また、後で詳述するように部品認識カメラ5の機能低下を検出するための判定条件として機能するエラー判定値aおよび警告判定値bも記憶部120に記憶されている。また、演算処理部110は、駆動制御部130および撮像制御部140を制御することで部品実装を実行する。この際、演算処理部110は、本発明の「部品撮像部」の一例である部品認識カメラ5により撮像した画像に基づき部品を認識した認識結果に応じて基板へ部品の実装を制御する。なお、本実施形態では、演算処理部110は、部品実装制御と並行し、上記認識結果と設計寸法との一致度合いを示す一致情報としてサイズ一致率を算出し、そのサイズ一致率に基づいて部品認識カメラ5の機能低下を検出して報知する。このように本実施形態では、演算処理部110は、本発明の「一致情報算出部」および「機能低下報知部」として機能する。すなわち、演算処理部110は、上記記憶部120と協働して本発明に係るメンテナンス報知装置を構成するものである。そして、演算処理部110は、部品認識カメラ5の機能低下および部品実装機1の状況を表示/操作ユニット150に表示したり、表示/操作ユニット150に入力されたユーザからの指示を受け付けたりする。
図1に示すように、部品実装機1は、基台11の上に設けられた一対のコンベア12、12を備える。そして、部品実装機1は、コンベア12によりX方向(基板搬送方向)の上流側から実装処理位置(図1の基板Bの位置)に搬入した基板Bに対して部品を実装し、部品実装を完了した基板Bをコンベア12により実装処理位置からX方向の下流側へ搬出する。
部品実装機1では、Y方向に延びる一対のY軸レール21、21と、Y方向に延びるY軸ボールネジ22と、Y軸ボールネジ22を回転駆動するY軸モーターMy(サーボモーター)とが設けられ、X軸レール23が一対のY軸レール21、21にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ22のナットに固定されている。X軸レール23には、X方向に延びるX軸ボールネジ24と、X軸ボールネジ24を回転駆動するX軸モーターMx(サーボモーター)とが取り付けられており、ヘッドユニット20がX軸レール23にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ24のナットに固定されている。したがって、駆動制御部130は、Y軸モーターMyによりY軸ボールネジ22を回転させてヘッドユニット20をY方向に移動させ、あるいはX軸モーターMxによりX軸ボールネジ24を回転させてヘッドユニット20をX方向に移動させることができる。
一対のコンベア12、12のY方向の両側それぞれでは、2つの部品供給部3がX方向に並んでいる。各部品供給部3に対しては、複数のテープフィーダー31がX方向に並んで着脱可能に装着されている。テープフィーダー31はY方向に延設されており、Y方向におけるヘッドユニット20側の先端部に部品供給箇所32を有する。そして、集積回路、トランジスター、コンデンサ等の小片状の部品を所定間隔おきに収納したテープがテープフィーダー31に装填されている。各テープフィーダー31は、テープをヘッドユニット20側へ向けてY方向に間欠的に送り出す。これによって、テープ内の部品がY方向(フィード方向)に送り出されて、各テープフィーダー31の部品供給箇所32に順番に供給される。
ヘッドユニット20は、X方向に等ピッチで一列に並ぶ複数の実装ヘッド4を有する。実装ヘッド4の下端にはノズル41が着脱可能に取り付けられており、実装ヘッド4はノズル41により部品の吸着・実装を行う。つまり、実装ヘッド4はノズル41をテープフィーダー31の部品供給箇所32の上方へ移動させて、部品供給箇所32に供給された部品をノズル41により吸着(ピックアップ)する。また、実装ヘッド4はノズル41に部品を保持した状態で、実装処理位置の基板Bの上方に移動して基板Bに部品を実装する。
さらに、部品実装機1は、上方を向いて基台11に取り付けられた部品認識カメラ5をX方向に並ぶ2個の部品供給部3の間に備える。部品供給部3から部品を吸着した実装ヘッド4は、これらの部品認識カメラ5のうち近い方の部品認識カメラ5の上方へ移動し、部品に部品認識カメラ5の上方を通過させる。これに対して、部品認識カメラ5は、上方を通過する部品を下方から撮像する。そして、演算処理部110は、撮像制御部140を介して取得した部品認識カメラ5の撮像結果に基づき、ノズル41に吸着される部品の状態を判断する。
図3は図1の部品実装機が備える認識カメラの構成の一例を模式的に示す図である。部品認識カメラ5は、その上方に実装ヘッド4により搬送されてきた部品を撮像して部品の画像を取得する。部品認識カメラ5は、撮像範囲内に搬送されてきた部品に対して光を照射する光照射部51と、光照射部51により光が照射された部品を下方から撮像する撮像部55と、光照射部51および撮像部55を支持するハウジング59とを有する。ハウジング59の上部には凹部591が形成され、凹部591の底部にZ方向へ開口するスリット592が設けられている。また、ハウジング59内のスリット592より下方には、内部空間593が設けられている。
光照射部51は、メイン照明511、サイド照明512および同軸照明513を有する。メイン照明511、サイド照明512および同軸照明513のそれぞれは、複数のLED(Light Emitting Diode)を二次元的に配列した構成を有する。メイン照明511は、凹部591の内壁のうち下側に配置されて、斜め下方から部品に光を照射し、サイド照明512は凹部591の内壁のうちメイン照明511より上側に配置されて、側方から部品に光を照射する。また、同軸照明513は、内部空間593の内壁に配置され、ビームスプリッタ57を介して、下方から部品に光を照射する。つまり、ハウジング59の内部空間593にはビームスプリッタ57が配置されており、同軸照明513から射出された光は、ビームスプリッタ57で反射されてから、スリット592を通過して部品に照射される。かかる光照射部51は、撮像制御部140の制御に基づき、部品に対して照射する光の明るさ(照明レベル)を例えば8段階(1/8~8/8)で変更できる。
また、撮像部55は、ハウジング59の内部空間593に配置され、スリット592に下方から対向している。スリット592と撮像部55との間にはビームスプリッタ57が配置されており、撮像部55は、光照射部51により照らされた部品により反射されてから、スリット592およびビームスプリッタ57を通過した光を撮像する。この撮像部55は、COMS(Complementary MOS)イメージセンサあるいはCCD(Charge-Coupled
Device)イメージセンサ等の固体撮像素子で構成されたエリアセンサ551と、その光軸O5がZ方向に平行となるように配置されたレンズ552とを有する。そして、レンズ552が撮像範囲内の部品により反射された光をエリアセンサ551に結像することで、部品の画像がエリアセンサ551により撮像される。
図2の撮像制御部140は、かかる部品認識カメラ5を用いて部品認識を実行する。つまり、ノズル41に吸着された部品が部品認識カメラ5の撮像範囲に到達すると、撮像制御部140は、部品に応じた照明レベルの光を光照射部51から部品に照射しつつ、撮像部55により部品を撮像する。撮像制御部140は、こうして部品を撮像することで取得された画像データを、エリアセンサ551から取得する。さらに、撮像制御部140は、光照射部51から照射した光の照明レベルに応じた輝度閾値によって、画像データの各画素の輝度を二値化することで、画像データに対してエッジ検出を実行する。これによって、画像データに含まれる部品(の画像)が抽出される。さらに、撮像制御部140は、こうして抽出された部品と、部品が満たすべき部品の構成に関する条件(部品関連条件)とを比較して、抽出された部品が有する値が許容範囲内であるか否かを部品関連条件の各項目について判断する。ここで、部品関連条件とは、部品の形状、部品のサイズ、部品の電極の位置および部品の電極のサイズ等の部品の構成を示す項目を含む。そして、撮像制御部140は、抽出された部品の部品関連条件の各値が許容範囲内であれば、ノズル41による部品の吸着状態が良好であると判定する一方、これらの値のいずれかが許容範囲外であれば、ノズル41による部品の吸着状態が不良であると判定する。
演算処理部110は、撮像制御部140による部品認識の結果、良好と判定された場合には、撮像制御部140によって部品を基板Bの上方へ移動させて、部品を基板Bに実装する。一方、演算処理部110は、撮像制御部140による部品認識の結果、不良と判定された場合には、図示を省略する廃棄場所に部品を廃棄する。
このように本実施形態では、部品認識カメラ5により取得された部品の画像に基づいて部品実装を制御しているが、次のような場合には部品認識に失敗して部品認識エラーとして部品実装を停止せざるを得ない。例えば光照射部51を構成するLEDへの塵や埃などの付着やLEDの経年劣化により照明の照度が低下することがある。また、撮像部55の機能が低下することがある。これらの低下現象は、最新の部品認識カメラ5の使用開始、部品認識カメラ5の交換完了あるいは部品認識カメラ5の保守完了(以下、これらを総称して「保守完了等」という)からの経過時間の増大に伴って生じる。
図4は部品認識カメラの機能低下状況を模式的に示す図である。例えば同図中の「正常領域」に示すように、経過時間が比較的短い間においては、上記照度低下やカメラ機能低下は認められない。より具体的には、上記部品認識により得られる部品のサイズ(以下「認識部品サイズ」と称する)は設計寸法と同じあるいは近い。ここで、後で説明する図5に示すように代表的なチップ部品を平面視したときのX方向およびY方向における設計寸法をそれぞれ「設計寸法X」および「設計寸法Y」とし、部品認識の結果から取得されるX方向およびY方向における認識部品サイズx、yと上記設計寸法X,Yからサイズ一致率Sx,Sy、つまり
Sx=100-(|x-X|/X)×100 (%)…(1)
Sy=100-(|y-Y|/Y)×100 (%)…(2)
を求めると、サイズ一致率Sx,Syはともに「1」に近い値を示す。
また、経過時間の増大に伴って、同図に示すように、「機能低下領域」を経由して「エラー領域」に進む。このエラー領域は、照明の照度低下や撮像部55の機能低下がかなり進んで部品認識を良好に行うことが難しい程度にまでサイズ一致率Sx,Syが低下するために部品実装機1の運転を停止させる範囲、つまり運転停止範囲に部品実装機1が入ったことを意味する。一方、「機能低下領域」は、正常領域からエラー領域に進行する過渡領域を示しており、サイズ一致率Sx,Syは若干低下するものの、部品認識を行うことができ、引き続き部品実装機1を連続的に運転させることができる範囲、つまり運転継続可能範囲に維持されていることを意味する。これら「正常領域」、「機能低下領域」および「エラー領域」の区分けはユーザ側で設定することが可能となっている。例えばユーザが表示/操作ユニット150を介してエラー判定値aおよび警告判定値bを入力することで「正常領域」、「機能低下領域」および「エラー領域」を任意に設定可能となっている。つまり、サイズ一致率Sx,Syのうちの少なくとも一方が(100-a)%以下となった場合には、「エラー領域」に入ったと認定することができる。また、サイズ一致率Sx,Syはいずれも(100-a)%を超えているものの、いずれか一方が(100-b)%以下となった場合には、「機能低下領域」に入ったと認定することができる。さらに、サイズ一致率Sx,Syはいずれも(100-b)%を超えている場合には、「正常領域」のままであると認定することができる。
そこで、本実施形態では、部品実装機1が部品認識カメラ5により部品の画像を取得して部品認識を行う毎に、図5に示すサイズチェック処理を実行して照明の照度低下や撮像部55の機能低下を検出し、その検出内容に応じて適切に対応している。
図5は図1に示す部品実装機におけるサイズチェック処理の一例を示すフローチャートであり、本発明に係るメンテナンス報知方法の第1実施形態を示している。部品実装機1では、テープフィーダー31から供給された部品が実装ヘッド4により基板Bに搬送されて実装される間に演算処理部110は部品認識を行う(ステップS101)。また、演算処理部110は、部品認識カメラ5により撮像された部品に関する各種情報として部品種類、部品の設計寸法X、Y、エラー判定値a、警告判定値bを記憶部120から取得する(ステップS102~S104)。
また、演算処理部110は上記部品認識に基づいてX方向およびY方向における認識部品サイズx、yを取得し(ステップS105)、上記式(1)、(2)に基づいてサイズ一致率Sx,Syを算出する(ステップS106)。そして、演算処理部110はサイズ一致率Sx,Syに基づいて部品認識カメラ5が「正常領域」、「機能低下領域」および「エラー領域」のうちのいずれの領域に相当するのかを判定し、その判定結果に応じて適切に対応する(ステップS107~S113)。より詳しくは、以下のとおりである。
ステップS107で演算処理部110は、サイズ一致率Sx,Syが(100-a)%以下であるか否かを判定する。ここで、いずれか一方が(100-a)%以下であることがわかると、演算処理部110は、照明の照度低下や撮像部55の機能低下が大きく、部品認識を失敗する可能性が高くなっていると認定する。そこで、演算処理部110は、部品実装機1の運転を停止するとともに、停止した旨および停止原因などを表示/操作ユニット150に表示してユーザに報知する(ステップS108)。
一方、ステップS107でサイズ一致率Sx,Syがともに(100-a)%を超えている場合には、ステップS109で演算処理部110は、サイズ一致率Sx,Syが(100-b)%以下であるか否かを判定する。ここで、いずれか一方が(100-b)%以下であることがわかると、演算処理部110は、運転継続可能であるものの照明の照度低下や撮像部55の機能低下が発生しており、「機能低下領域」に入ったと判定する(警告判定)。また、本実施形態では、演算処理部110は保守完了等からの経過時間Tbを算出し(ステップS110)、さらにこれが照度調整の要否判定時間Tsより短いか否かを判定する(ステップS111)。これは次のような技術背景に基づくものである。
照明の照度低下や撮像部55の機能低下の主要因には、塵や埃などの付着によるものと、LEDの経年劣化によるものとが存在する。これらのうち塵や埃などの付着は前回の保守完了等からある程度の要否判定時間Tsが経過した後で発生する。これに対し、LEDの経年劣化は個体差を含んでおり、不定期で発生し得る。そこで、本実施形態では、上記時間Tsを清掃要否のための判定時間とし、この要否判定時間Tsよりも経過時間Tbが短い場合(ステップS111で「YES」)、その主要因としては、LEDやエリアセンサ551などへの塵や埃などの付着よりも、LEDの経年劣化が有力であると考察し、演算処理部110は照明調整を行う旨の警告判定を行う。つまり、演算処理部110は照度を高めるように光照射部51を照明調整することをユーザに促すメッセージを表示/操作ユニット150に表示してユーザに報知する(ステップS112)。
一方、時間Tsよりも経過時間Tbが長い場合(ステップS111で「NO」)、その主要因がLEDやエリアセンサ551などへの塵や埃などの付着であると演算処理部110は判断し、部品認識カメラ5の清掃をユーザに促すメッセージを表示/操作ユニット150に表示してユーザに報知する(ステップS113)。
なお、ステップS109でサイズ一致率Sx,Syがいずれも(100-b)%を超えていると判定した場合、演算処理部110は、部品認識カメラ5が「正常領域」であると判定し、そのままサイズチェック処理を終了する。
以上のように、本発明の第1実施形態では、一致情報算出部および機能低下報知部として機能する演算処理部110と、部品の設計寸法X、Yを記憶する記憶部120とを有するコントローラー100が本発明の「メンテナンス報知装置」の一例に相当している。また、ステップS107、S109で行われる判定条件が本発明の「機能低下の判定条件」の一例に相当している。また、認識部品サイズx、yが本発明の「認識結果」の一例に相当している。
第1実施形態によれば、部品認識カメラ5により撮像された部品の画像に基づく部品の認識結果に応じて基板Bへの部品の実装を制御するとともに、部品実装機1が部品認識を行う毎に、部品認識カメラ5の機能低下の検出および検出結果のユーザ報知を行っている。したがって、部品実装機1の稼働を停止させることなく、部品認識カメラ5の機能低下をユーザに警告してユーザに上記機能低下に対する対応を促すことができる。
また、上記第1実施形態によれば、部品認識(ステップS101)毎に、サイズ一致率Sx,Syの算出と、部品認識カメラ5の機能低下の検出および報知とを行っている。したがって、部品認識カメラ5の機能低下を早期に検出することができる。そして、その検出の報知を受け取ったユーザは部品認識カメラ5の機能低下に対する対応を余裕をもって行うことができる。
また、上記第1実施形態によれば、警告判定であっても、保守完了等からの経過時間Tbと清掃要否を判定するための要否判定時間Tsとを比較し、互いに異なる2種類のメッセージの中から上記比較結果に対応したものを選択的に報知している(ステップS110~S113)。したがって、部品認識カメラ5の機能低下を的確に解消することができ、部品実装機1の稼働率を高めることができる。なお、上記ステップS110~S113の実施は本発明に係るメンテナンス報知装置および方法において必須事項ではなく、例えば後で説明する第2実施形態や第3実施形態と同様に清掃を促すメッセージのみを報知するように構成してもよい。また逆に、上記ステップS110~S113を第2実施形態や第3実施形態に適用してもよい。
また、部品認識カメラ5の機能低下という抽象的な現象をサイズ一致率Sx,Syで具体化しているため、機能低下を的確に検出してユーザに報知することができる。なお、第1実施形態では、認識部品サイズ(認識結果)x、yと設計寸法X、Yとの一致度合いを示す一致情報としては、上記式(1)、(2)で算出されるサイズ一致率Sx,Syに限定されるものではなく、例えば次に説明するように認識部品サイズx、yを一致情報として用いてもよい。すなわち、設計寸法X、Yに対してエラー判定値aおよび警告判定値bを掛け合わせることで予め「正常領域」、「機能低下領域」および「エラー領域」の範囲を決定しておき、認識部品サイズx、yがいずれの領域に存在するかにより部品認識カメラ5の機能低下を検出してもよい。例えば設計寸法X、Yがそれぞれ1.0mm、0.5mmであり、エラー判定値aおよび警告判定値bがそれぞれ30%、20%である部品については、「正常領域」、「機能低下領域」および「エラー領域」を
・正常領域
X方向:0.8<x<1.2
Y方向:0.4<y<0.6
・機能低下領域
X方向:0.7<x≦0.8、1.2≦x<1.3、
Y方向:0.35<y≦0.4、0.6≦y<6.5、
・エラー領域
X方向:x≦0.7、x≧1.3
Y方向:y≦0.35、y≧0.65
と設定することができる。したがって、認識部品サイズx、yを「正常領域」、「機能低下領域」および「エラー領域」と対比することで部品認識カメラ5の機能低下を検出することができる。
演算処理部110は上記ステップS105で認識部品サイズx、yとして例えば「1.26mm」、「0.55mm」を取得すると、認識部品サイズx=1.26mmは機能低下領域であるため、部品認識カメラ5の機能低下をユーザに警告してユーザに上記機能低下に対する対応を促すことができる。この場合、上記機能低下領域を特定する4つの条件式(0.7<x≦0.8)、(1.2≦x<1.3)、(0.35<y≦0.4)、(0.6≦y<6.5)が本発明の「機能低下の判定条件」の一例に相当している。なお、この点については、次に説明する第2実施形態や第3実施形態においても同様である。
ところで、上記第1実施形態では、部品毎に部品認識カメラ5の機能低下を検出しているため、1種類の部品について部品認識カメラ5の機能低下を検出すると、直ちにその旨を報知している。ここで、ロット違い等による部品寸法の違いによって誤判定が生じる可能性がある。また、部品認識カメラ5、特に光照射部51の調子が悪い際には、特定種類の部品のみで認識部品サイズ(認識結果)と設計寸法との不一致が認められるのではなく、当該不一致は複数種類の部品について認められることが多い。したがって、より高い精度で部品認識カメラ5の機能低下を検出してユーザに報知するために、図6に示すように複数種類の部品について部品認識カメラ5の機能低下が認められたときに初めて機能低下をユーザに報知するように構成してもよい(第2実施形態)。
図6は本発明に係るメンテナンス報知方法の第2実施形態を示すフローチャートである。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、同図に示すように記憶部120(図2)に警告判定テーブルTBが記憶されており、例えば5種類の部品について警告判定があった場合に清掃を促すメッセージを表示して部品認識カメラ5の機能低下を報知する点である。なお、その他の構成および動作は基本的に第1実施形態と同一である。したがって、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
警告判定テーブルTBは同図中の右側に示すように部品種類PT1、PT2、…、PTmと警告判定の有無とを対応付けたものであり、予め記憶部120に記憶されている。この第2実施形態では、最初のステップS201で演算処理部110は警告判定テーブルTB中の「警告判定」の欄をクリアする。そして、部品実装機1が部品認識を行う毎に、演算処理部110は第1実施形態と同様にして照明の照度低下や撮像部55の機能低下を確認する(ステップS202~S213)。
演算処理部110は、部品認識カメラ5により撮像された部品に関する各種情報として部品種類、部品の設計寸法X、Y、エラー判定値a、警告判定値bを記憶部120から取得する(ステップS203~S205)。また、演算処理部110は上記部品認識に基づいてX方向およびY方向における認識部品サイズx、yを取得し(ステップS206)、上記式(1)、(2)に基づいてサイズ一致率Sx,Syを算出する(ステップS207)。
次のステップS208で演算処理部110は、サイズ一致率Sx,Syが(100-a)%以下であるか否かを判定する。そして、いずれか一方が(100-a)%以下である場合、演算処理部110は、部品実装機1の運転を停止するとともに、停止した旨および停止原因などを表示/操作ユニット150に表示してユーザに報知する(ステップS209)。
一方、ステップS208でサイズ一致率Sx,Syがともに(100-a)%を超えている場合には、ステップS210で演算処理部110は、サイズ一致率Sx,Syが(100-b)%以下であるか否かを判定する。ここで、いずれか一方が(100-b)%以下であることがわかると、演算処理部110は、運転継続可能であるものの照明の照度低下や撮像部55の機能低下が発生しており、「機能低下領域」に入ったと判定する(警告判定)。そして、警告判定テーブルTBのうちステップS203で取得された部品種類に対応する「警告判定」の欄に「有」を示す情報を演算処理部110は入力し、警告判定テーブルTBを更新する(ステップS211)。
それに続いて、演算処理部110は警告判定テーブルTBにおいて5種類以上の部品について「有」が入力されているか否かを判定する(ステップS212)。そして、警告判定済の部品種類が5種類以上となる(ステップS212で「YES」)と、演算処理部110は部品認識カメラ5の清掃をユーザに促すメッセージを表示/操作ユニット150に表示してユーザに報知する(ステップS213)。
一方、ステップS210で「YES」と判定された場合およびステップS21で「NO」と判定された場合、演算処理部110はステップS202に戻って上記一例の動作を繰り返す(S202~S213)。
以上のように、第2実施形態では、5種類の部品について警告判定があった場合に初めて部品認識カメラ5の機能低下が発生した旨を報知している。このため、特定種類の部品についてロット間で部品寸法が相違したとしても、上記機能低下は報知されず、誤判定を未然に防止して安定的な機能低下の検出および報知を行うことができる。
なお、第2実施形態では、警告判定がなされた部品種類の数を判断するために警告判定テーブルTBを用いているが、その他の方法で判断してもよい。例えばカウンターやフラグなどを用いてもよい。また、上記部品種類の数は「5」であったが、これに限定されるものではなく、複数であれば任意である。
図7は本発明に係るメンテナンス報知方法の第3実施形態を示すフローチャートである。この第3実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、同図に示すようにリールを本発明の「検出単位」とし、部品認識カメラ5の機能低下の検出および報知を行っている点である。なお、その他の構成および動作は基本的に第1実施形態と同一である。したがって、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。また、ここでは、発明内容の理解を容易とするため、部品供給部3に新たなリールが装着され、当該リールに巻き取られたテープに収納された部品が連続的に供給されて基板Bに実装されるという前提で図7を参照しつつ説明する。
第3実施形態では、演算処理部110は、テープフィーダー31に対してリール交換が行われたことを確認する(ステップS301で「YES」)と、演算処理部110は、部品認識カメラ5により撮像された部品に関する各種情報として部品種類、部品の設計寸法X、Y、エラー判定値a、警告判定値bを記憶部120から取得する(ステップS302~S304)。そして、リールに巻き取られたテープに収納された部品が部品認識カメラ5で認識される(ステップS305)毎に演算処理部110は上記部品認識に基づいてX方向およびY方向における認識部品サイズxn、ynを取得し(ステップS306)、次式
Sxn=100-(|xn-X|/X)×100 (%)…(3)
Syn=100-(|yn-Y|/Y)×100 (%)…(4)
に基づいてサイズ一致率Sxn,Synを算出する(ステップS307)。さらに、演算処理部110はサイズ一致率Sx1、Sx2、…Sxnの平均値Sxaとサイズ一致率Sy1、Sy2、…Synの平均値Syaとを算出して更新する(ステップS308)。
こうして上記リールに巻き取られたテープに収納された全部品に対するサイズ一致率の平均値Sxa、Syaが求まれると、演算処理部110は、サイズ一致率の平均値Sxa,Syaが(100-a)%以下であるか否かを判定する(ステップS309)。そして、いずれか一方が(100-a)%以下である場合、演算処理部110は、部品実装機1の運転を停止するとともに、停止した旨および停止原因などを表示/操作ユニット150に表示してユーザに報知する(ステップS310)。
一方、ステップS309でサイズ一致率の平均値Sxa,Syaがともに(100-a)%を超えている場合には、ステップS311で演算処理部110は、サイズ一致率の平均値Sxa,Syaが(100-b)%以下であるか否かを判定する。ここで、いずれか一方が(100-b)%以下であることがわかると、演算処理部110は、運転継続可能であるものの照明の照度低下や撮像部55の機能低下が発生しており、「機能低下領域」に入ったと判定する(警告判定)。そして、演算処理部110は部品認識カメラ5の清掃をユーザに促すメッセージを表示/操作ユニット150に表示してユーザに報知する(ステップS312)。一方、ステップS311で「YES」と判定された場合、つまり部品認識カメラ5は正常領域にあると判定されたため、そのままサイズチェック処理を終了する。
以上のように、第3実施形態では、テープフィーダー31に対して新たに装着されたリールに巻き取られたテープに収納された全部品についてサイズ一致率Sx、Syを求め、それらの平均値Sxa、Syaを一致情報として算出している。このため、部品間での個体差による影響を抑えて一致情報を正確に求めることができ、それに基づいて部品認識カメラ5の機能低下を検出している。したがって、部品認識カメラ5の機能低下を安定して検出して報知することができる。
なお、第3実施形態では、1つのリールに対してサイズ一致率の平均値Sxa,Syaのいずれか一方が(100-b)%以下となると、直ちに部品認識カメラ5が機能低下したと判定している。しかしながら、リール間に個体差が生じていることがある。そこで、先のリールに続いて交換されたリールについても先のリールと同様にサイズ一致率の平均値Sxa,Syaのいずれか一方が(100-b)%以下となった場合のみ部品認識カメラ5が機能低下したと判定するように構成してもよい。これによって、リール間での個体差による影響を抑えて一致情報をさらに正確に求めることができる。したがって、部品認識カメラ5の機能低下をさらに安定して検出して報知することができる。
また、上記第3実施形態では、部品実装機1は部品供給部3をテープフィーダー31のみで構成しているためにリールを本発明の「検出単位」としているが、ロット単位を本発明の「検出単位」としてもよい。つまり、複数の同一部品を1ロットとし、当該1ロットに含まれる全部品についてサイズ一致率Sx、Syを求め、それらの平均値Sxa、Syaを一致情報として算出してもよい。この場合、ロット間での個体差による影響を抑えて一致情報を正確に求めることができ、それに基づいて部品認識カメラ5の機能低下を検出している。したがって、部品認識カメラ5の機能低下を安定して検出して報知することができる。また、連続するロットでサイズ一致率の平均値Sxa,Syaのいずれか一方が(100-b)%以下となった場合のみ部品認識カメラ5が機能低下したと判定するように構成してもよい。これによって、ロット間での個体差による影響を抑えて一致情報をさらに正確に求めることができ、それに基づいて部品認識カメラ5の機能低下を検出している。したがって、部品認識カメラ5の機能低下をさらに安定して検出して報知することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、第1実施形態では、要否判定時間Tsよりも経過時間Tbが短いという条件(ステップS111で「YES」)で演算処理部110は照明調整を行う旨のメッセージを表示して報告しているが、清掃を1回あるいは複数回行ったとしても警告判定が発生する場合に、演算処理部110は照明調整を行う旨のメッセージを表示して報告するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、表示/操作ユニット150にメッセージを表示してユーザに報知しているが、報知方式はこれに限定されるものではなく、例えば表示に代えて音声や表示灯などにより報知してもよい。また、複数の報知方式を組み合わせてもよい。
また、上記実施形態では、テープフィーダー31により供給される部品を基板Bに実装する部品実装機1に本発明を適用しているが、その他の方式、例えばトレイ方式で供給される部品を基板Bに実装する部品実装機に対しても本発明を適用することができる。