JP7295800B2 - フォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物、フォトスペーサの形成方法、フォトスペーサ付基板、及び、カラーフィルタ - Google Patents
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Description
(式中“*”は結合部位を表す。)
<2> 前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が5,000~100,000である前記<1>に記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
<3> 前記アルカリ可溶性樹脂が、アクリル系樹脂である前記<1>又は<2>に記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
<4> 前記アルカリ可溶性樹脂は、二重結合当量が100~270である前記<1>~<3>のいずれか一つに記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
<5> さらに、光重合開始剤を含む前記<1>~<4>のいずれか一つに記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
<6> 基板上に前記<1>~<5>のいずれか一つに記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物を含む塗布膜を形成し、前記塗布膜を露光及び現像してフォトスペーサを形成するフォトスペーサの形成方法。
<7> 前記露光が、投影露光である前記<6>に記載のフォトスペーサの形成方法。
<8> 基板と、前記基板上に設けられ、前記<1>~<5>のいずれか一つに記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物を硬化したフォトスペーサと、を備えたフォトスペーサ付基板。
<9> 基板と、前記基板上に設けられた着色層と、前記着色層上に設けられ、前記<1>~<5>のいずれか一つに記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物を硬化したフォトスペーサと、を備えたカラーフィルタ。
<10> 前記着色層がブラックマトリックス層を含む前記<9>に記載のカラーフィルタ。
<11> 前記フォトスペーサが前記ブラックマトリックス層上に設けられた前記<10>に記載のカラーフィルタ。
本実施形態のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と称することがある。)は、アルカリ可溶性樹脂と、下記式(1)で示されるビスフェノールA骨格を有するモノマー(以下、「ビスフェノールA型モノマー」と称することがある。)と、を含み、前記アルカリ可溶性樹脂〔P〕と前記モノマー〔M〕との質量比〔M/P比〕が、0.4~0.9である。
(式中“*”は結合部位を表す。)
尚、上述のレンズムラは、フォトスペーサ間の高さのばらつきのみではなく、一つの画素(フォトスペーサ)について、厚さ方向における断面を観察した場合に上面の中心部の高さと端部の高さとに差が生じている場合も含まれる。特に限定されるものではないが、本実施形態の樹脂組成物を用いてフォトスペーサを形成すると、レンズムラによるフォトスペーサの高さの差(最大高さ-最小高さ)を0.02μm以下とすることも可能である。
本実施形態においてアルカリ可溶性樹脂は、重量平均分子量が5,000以上であり、アルカリ可溶性基を有するポリマーである。前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量としては、フォトスペーサの復元率と現像性との観点から、5,000~100,000が好ましく、7,000~50,000が更に好ましく、10,000~30,000が特に好ましい。アルカリ可溶性樹脂の分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、品番:HLC-8120、カラム:G-5000HXL及びG-3000HXLの2連結、検出器:RI、移動相:テトラヒドロフラン)で行うことができる。
ポリエポキシ樹脂によるアクリル変性樹脂に用いられるポリエポキシ樹脂としては、特に限定はないが、例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂が挙げられる。
ポリカルボン酸樹脂によるアクリル変性樹脂としては、特に限定はないが、例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸含有アクリレートの1種以上の重合物で、他の共重合可能なメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、等のアルキル(メタ)アクリレートや、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等との共重合物が挙げられる。これらの共重合モノマーは、その1種単独で、又は、2種以上を併用することもできる。さらに、これらアクリレートと共重合可能なスチレン、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド等の化合物を共重合させることもできる。ポリカルボン酸樹脂をアクリル変性させる方法として、ポリカルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ含有アクリレートを付加させることにより得ることができる。
ポリアルコール樹脂によるアクリル変性樹脂に用いられるポリアルコール樹脂としては、特に限定はないが、例えば、ポリビニルアルコール、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、ビスフェノールA型モノマーを含む。ビスフェノールA型モノマーは、重合性基を有し光による架橋型の重合が可能であり、さらに前記式(1)に示すビスフェノールA骨格を有する。ビスフェノールA型モノマーは柔軟性と剛直性とのバランスに優れており且つ耐アルカリ性に優れることから、特に他のモノマーを用いた場合に比して現像密着性を高めることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂〔P〕と前記ビスフェノールA型モノマー〔M〕との質量比〔M/P比=ビスフェノールA型モノマーの含有量(g)/アルカリ可溶性樹脂の含有量(g)〕が、0.4~0.9である。M/P比が0.4未満であると、得られるフォトスペーサの現像密着性が低下してしまう。また、M/P比が0.9を超えると得られるフォトスペーサの高さ均一性が低下してしまい、レンズムラの抑制を十分に図ることができない。さらにM/P比が0.9を超えると復元率も低下してしまう。樹脂組成物のM/P比は、特に限定されるものではないが、フォトスペーサの高さ均一性と復元率との観点から0.5~0.8が好ましい。
例えば、ポリマー成分を極性の低い溶剤(例えばノルマルヘキサン)で析出させ、モノマー(及び光重合開始剤を含む)成分と分離し、次いで、各成分中の溶剤を除いた質量を把握し、且つビスフェノールA型モノマーの含有量を分析することで樹脂組成物のM/P比を求めることができる。この際、さらにガスクロマトグラフィー質量分析(GCMS)や液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)にてオリゴマーや光重合開始剤やその他添加物の含有量を特定できれば、ガスクロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー(LC)等の定量分析により精度の高いM/P比の結果が得ることができる。
本実施形態における樹脂組成物は光重合開始剤を含むことができる。特に限定されるものではないが、本実施形態における光重合開始剤は、i線(365nm)に吸収波長を有するものを好適に用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、本実施形態の樹脂組成物の効果を阻害しない範囲で、例えば、光重合開始助剤や100nm以下の微粒子等を含んでいてもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、上述のアルカリ可溶性樹脂、ビスフェノールA型モノマー、光重合開始剤等の成分に加えて、必要に応じて溶剤、レベリング剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、粘度調整剤などを加え、混合することで調製することができる。
前記溶剤としては、感光性樹脂組成物に用いられる公知の溶剤を適宜選定して用いることができる。溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類や、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチル-3-メトキシプロピオネート等のエステル類や、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル類や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類やジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類等を挙げることができる。
本実施形態の樹脂組成物を用いたフォトスペーサは、基板上に樹脂組成物を含む塗布膜を形成し、前記塗布膜を露光及び現像することで形成することができる。
フォトスペーサは、カラーフィルタ基板とTFT基板とのように基板同士を貼り合わせた際に液晶セルのギャップを決めるものであり、表示品質にとって重要な役割を果たす。フォトスペーサの高さの均一性は高いことが好ましく、例えば、高さの差(最大高さ-最小高さ)が0.02μm以下であることが好ましい。フォトスペーサの、高さ、形状、大きさ、密度等は用いられる液晶表示装置等の設計によって適宜決定することができる。
本実施形態の樹脂組成物を用いたフォトスペーサの形成方法によって、基板上にフォトスペーサを形成することができる。本実施形態のフォトスペーサ付基板は、基板と、基板上に設けられ、アルカリ可溶性樹脂と、ビスフェノールA型モノマーと、を含み、前記アルカリ可溶性樹脂〔P〕と前記モノマー〔M〕との質量比〔M/P比〕が、0.4~0.9である感光性樹脂組成物を硬化したフォトスペーサと、を備える。前記基板としては、カラーフィルタ用の透明基板やTFT素子が設けられたTFT基板等が挙げられる。前記透明基板としては、例えばガラスやプラスチック板やフィルムなど用いることができる。また、透過性、耐薬品性、低熱膨張率、高温寸法精度等を考慮して、無アルカリガラス等を用いてもよい。
本実施形態の樹脂組成物によって形成されたフォトスペーサはカラーフィルタ用途に好適に用いることができる。本実施形態のカラーフィルタは、基板と、基板上に設けられた着色層と、着色上に設けられ、アルカリ可溶性樹脂と、ビスフェノールA型モノマーと、を含み、前記アルカリ可溶性樹脂〔P〕と前記モノマー〔M〕との質量比〔M/P比〕が、0.4~0.9である感光性樹脂組成物を硬化したフォトスペーサと、を備える。前記基板としては上述の透明基板を用いることができる。また、カラーフィルタには、例えば、透明共通電極となるITOが蒸着させることができる。
(アクリル樹脂(P-1)の製造)
加熱冷却・撹拌装置、還流冷却管、窒素導入管を備えたガラス製フラスコに、グリシジルメタクリレート100g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150gを仕込んだ。系内の気相部分を窒素で置換した後、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)8.7gを添加し、80℃に加熱し、同温度で8時間反応させた。
得られた溶液に、更に無水アクリル酸35g、無水メタクリル酸43g、アクリル酸15g、テトラブチルアンモニウムクロライド2g、ハイドロキノン0.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート177gを添加し、空気を吹き込みながら70℃で12時間反応させた。その後、溶液に更に無水コハク酸14gを添加し、70℃で6時間反応させ、目的の重合体(下記アクリル樹脂(P-1))の40質量%溶液を得た。
尚、分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、品番:HLC-8120、カラム:G-5000HXL及びG-3000HXLの2連結、検出器:RI、移動相:テトラヒドロフラン)にて行なった。
(モノマー(M-1)の合成)
加熱冷却、撹拌装置、還流冷却管を備えたガラス製フラスコに、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(大阪有機(株)製、製品名:V♯540)を100g、アクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製、製品名:カレンズAOI、)42.3g入れ、空気を吹き込みながら60℃で8時間反応させた。
(フォトスペーサ用感光性樹脂組成物の調製)
下記表に示した組成に従い、アクリル樹脂(P-1)40.0g、モノマー(M-1)8.0g、光重合開始剤(チバスペシャルティケミカルズ社製、製品名:イルガキュアOXE-01)1.0g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤:PGMAc)51.0gを遮光下で混合し、フォトスペーサ用感光性樹脂組成物25質量%溶液を調製した。
各実施例及び各比較例において、組成を下記表に従って変更した以外は実施例1と同様にしてフォトスペーサ用感光性樹脂組成物25質量%溶液を調製した。尚、後述する表1において「V#700」は、ビスフェノールA-EO3.8モル付加物ジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)を示す。また、「DPHA」は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、製品名:KAYARAD DPHA)を示す。
各実施例及び比較例について、10cm×10cm四方の各ガラス基板上に、スピンコーターを用いてフォトスペーサ用樹脂組成物を塗布し、塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜を90℃のホットプレート上で2分間加熱して塗膜中の溶剤を完全に除去した。その後、得られた塗膜に対し、1cm2あたり100個、直径6、8、9、10、又は11μmの異なる径の開口部を有する複数のフォトスペーサ形成用マスクを通して、超高圧水銀灯の光をバンドパスフィルターでi線のみ取り出し、100mJ/cm2照射した(i線換算で照度20mW/cm2)。なお、マスクと基板との間隔(露光ギャップ)は100μmにて露光を行なった。
復元率(%)=(L1-L2)×100/L1
各実施例及び比較例について、基板上にフォトスペーサ用樹脂組成物を塗布し、塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜を90℃のホットプレート上で2分間加熱して塗膜中の溶剤を完全に除去した。その後、得られた塗膜に対して、マルチレンズスキャナ露光機を用いて、投影露光方式で、直径8μm径の開口部を有する複数のフォトスペーサ形成用マスクを通して、i線のみを100mJ/cm2照射した。その後、0.05%KOH水溶液を用いてアルカリ現像を行なった。次いで、水洗した後に230℃で30分間ポストベークを行ない、高さ4μmのフォトスペーサを形成した。
各実施例及び比較例について、10cm×10cm角のITO基板上に,フォトスペーサ用感光性樹脂組成物をスピンコーターにより塗布し、乾燥して、乾燥膜厚3μmの塗膜を形成した。この塗膜をホットプレート上で90℃,2分間加熱した。得られた塗膜に対し1cm2あたり100個、直径6、8、9、10、又は11μmの異なる径の開口部を有する複数の開口部を有するフォトスペーサ形成用のマスクを通して超高圧水銀灯の光をバンドパスフィルターでi線のみ取り出し、30mJ/cm2照射した(i線換算で照度20mW/cm2)。なお,マスクと基板との間隔(露光ギャップ)は100μmで露光した。その後0.5%TMAH水溶液を用いてアルカリ現像した。次にマスク開口6μmのフォトスペーサ100個の内、残存しているフォトスペーサの数をカウントした。上記記載の操作を2度行って平均値を記載した。
現像密着性は、マスク開口6μmのフォトスペーサが100%残存していることが好ましい。
一方、ビスフェノールA型モノマーに該当しないDPHAを用いた比較例1及び2は、M/P比が0.4~0.9の範囲内であっても得られたフォトスペーサのレンズムラが0.03μm以上でありさらに現像密着性も実施例に対し劣っていた。
また、ビスフェノールA型モノマーを用いていてもM/P比が0.4未満である比較例3は、得られたフォトスペーサの現像密着性が低かった。
さらに、ビスフェノールA型モノマーを用いていてもM/P比が0.9を超える比較例4は、フォトスペーサのレンズムラが0.04μmであり、復元率も劣っていた。
また、明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (8)
- アルカリ可溶性樹脂と、下記式(1)で示されるビスフェノールA骨格を有するモノマーと、光重合開始剤と、を含み、
前記アルカリ可溶性樹脂〔P〕と前記モノマー〔M〕との質量比〔M/P比〕が、0.4~0.9であり、
前記アルカリ可溶性樹脂は、二重結合当量が100~270であり、
且つ、下記式(A)で示される重合性(メタ)アクリル系ポリマーである、
フォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
- 前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が5,000~100,000である請求項1に記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
- 基板上に請求項1又は2に記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物を含む塗布膜を形成し、前記塗布膜を露光及び現像してフォトスペーサを形成するフォトスペーサの形成方法。
- 前記露光が、投影露光である請求項3に記載のフォトスペーサの形成方法。
- 基板と、
前記基板上に設けられ、請求項1又は2に記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物を硬化したフォトスペーサと、
を備えたフォトスペーサ付基板。 - 基板と、
前記基板上に設けられた着色層と、
前記着色層上に設けられ、請求項1又は2に記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物を硬化したフォトスペーサと、
を備えたカラーフィルタ。 - 前記着色層がブラックマトリックス層を含む請求項6に記載のカラーフィルタ。
- 前記フォトスペーサが前記ブラックマトリックス層上に設けられた請求項7に記載のカラーフィルタ。
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