以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の燃料供給装置の第1実施形態である燃料供給ステーション1の外観を示すものであり、図2はこの燃料供給ステーション1を構成する主要な要素を概略的に示している。まず、これらの図1および図2を参照して本実施形態の燃料供給ステーション1を説明する。この燃料供給ステーション1は、例えばトラックや航空機等によって運搬され得る可搬型のコンテナ2に、複数種の燃料を貯留し、そして利用者に所望の燃料を供給可能に構成されたものである。すなわち、図1に示すように可搬型のコンテナ2には燃料貯留槽3、扉4によって開閉される荷上げ室5、設定器室6、第1計量機室7、および第2計量機室8が設けられている。
燃料貯留槽3は例えば周壁および、この周壁によって囲まれた空間を3つに仕切る仕切壁が鋼板から構成されたものである。仕切壁によって仕切られてなる各槽は、軽油貯留槽10、ガソリン貯留槽11、および灯油貯留槽12とされている。設定器室6には1台のマルチ設定器13が配置され、第1計量機室7にはガソリンおよび軽油を供給可能な第1計量機14が配置され、第2計量機室8には灯油のみを供給可能な第2計量機15が配置されている。
マルチ設定器13には燃料供給、つまり燃料販売に関する各種の設定を行うための設定・表示部40が設けられている。この設定・表示部40については、後に詳しく説明する。第1計量機14には軽油給油ホース41、ガソリン給油ホース42、および表示部43が設けられている。また第2計量機15には灯油給油ホース44、および表示部45が設けられている。なお、上記表示部43、45は、例えば液晶表示装置等から構成されている。なお軽油給油ホース41、ガソリン給油ホース42、および灯油給油ホース44の各先端には給油用のノズルが取付けられている。以下でいう「ノズルの選択」とは、これらの給油ホース41、42あるいは44の選択と同じ意味である。
荷上げ室5内には、灯油貯留槽12に接続されている灯油送油管20の末端部、ガソリン貯留槽11に接続されているガソリン送油管21の末端部、および軽油貯留槽10に接続されている軽油送油管22の末端部が配置されている。灯油送油管20、ガソリン送油管21、および軽油送油管22の各末端にはそれぞれ、タンクローリーの荷卸しホース先端の供給口に接続する注油口23、24、および25が設けられている。タンクローリーから灯油あるいは軽油を荷卸しする際には、上記荷卸しホースの供給口を注油口23あるいは25に接続させた後、タンクローリーが搭載しているエンジン駆動ポンプが駆動されて、タンクから灯油あるいは軽油がそれぞれの貯留槽に送られる。
他方、タンクローリーからガソリンを荷卸しする際には、タンクローリーのエンジンを停止させることが法令によって定められている。そこで、ガソリン送油管21の途中にはモーター駆動ポンプ29が介設されており、ガソリンの荷卸し時にはこのモーター駆動ポンプ29が駆動されて、タンクからガソリンがガソリン貯留槽11に送られる。なお、モーター駆動ポンプ29への給電については、後に詳しく説明する。
図2に示す通り、軽油貯留槽10内の軽油は軽油供給管26を介して第1計量機14に送られ、ガソリン貯留槽11内のガソリンはガソリン供給管27を介して同じく第1計量機14に送られ、灯油貯留槽12内の灯油は灯油供給管28を介して第2計量機15に送られる。なお、これらの供給管26、27および28、並びに前述した送油管20、21、および22の一部は、図1に示すコンテナ2の天井から上に露出する状態に配設されているが、図1では、そのように露出した配管類や、その他本発明に直接関連しない要素については図示を省略している。
図2に示すように上記の軽油供給管26は、途中で発電用燃料送油管31に分岐されている。この発電用燃料送油管31には発電用燃料供給ポンプ30が介設されている。発電用燃料送油管31は、途中に発電用燃料容器32が介設された状態で、発電用エンジン33に接続されている。この発電用エンジン33は軽油を発電用燃料として駆動し、発電機34を回転させる。回転した発電機34が発生する電力は、蓄電池35に蓄えられる。また発電用燃料送油管31には、発電用燃料供給ポンプ30よりも上流側において、この発電用燃料送油管31を発電用燃料供給ポンプ30に向けて流れる軽油の積算流量を検出する積算流量計36が設けられている。この積算流量計36が検出した軽油の積算流量を示す信号は、制御装置16に入力される。
本実施形態の燃料供給ステーション1においては、電力で駆動する電力作動型機器が複数用いられている。それらの中の主なものを挙げると、マルチ設定器13、第1計量機14、第2計量機15、制御装置16、後述するPOS装置17、発電用燃料供給ポンプ30、積算流量計36、そして先に述べたガソリン荷卸し用のモーター駆動ポンプ29である。これらの電力作動型機器はいずれも、蓄電池35に蓄えられている電力が供給されて作動する。なおPOS装置17は、燃料供給ステーション1における燃料販売を管理するために設けられたもので、マルチ設定器13、第1計量機14、第2計量機15、制御装置16等に各々接続されたPOS子機(いずれも図示せず)と接続され、さらには必要に応じて、燃料供給ステーション1と離れた管理会社等に設置されたPOS装置と、通信回線を介して接続される。
図3は、マルチ設定器13の電気的な構成を示すブロック図である。以下、この図3を参照してマルチ設定器13について説明する。図示の通りこのマルチ設定器13は、例えばマイクロコンピュータ等からなる制御手段50を有し、この制御手段50にはスピーカー51、液晶表示装置等からなる表示部52、入力ボタン等からなる入力部53、メモリ等からなる記憶部54、および入/出力インターフェイス55が電気的に接続されている。なお、表示部52がタッチパネルからなる場合は、そのタッチパネルから上記入力部53を構成してもよい。
さらに制御手段50には、紙幣搬送手段56、硬貨搬送手段57、金銭計数手段58、レシート搬送手段59、レシート読取記録手段60、カード読取手段61、および電子マネー読取記録手段62が電気的に接続されている。なお、上記紙幣搬送手段56、硬貨搬送手段57、およびレシート搬送手段59はそれぞれ、紙幣、硬貨、レシートを受け入れ、そして排出する図示外の受入・排出口を有している。また、カード読取手段61、および電子マネー読取記録手段62はそれぞれ、カード、電子マネーがかざされる図示外の読取部を有している。図1に示したマルチ設定器13の設定・表示部40は、以上述べた受入・排出口と読取部、並びにスピーカー51、表示部52、入力部53を総括的に示したものである。
なお本実施形態において、レシート搬送手段59およびレシート読取記録手段60は、通常のレシートと、後述する利用者特定用のQRコード(登録商標)を記録するQRレシートの双方に対応可能なものとされている。またカード読取手段61は、クレジットカードとプリペイドカードの双方に対応可能なものとされている。上記通常のレシート用と、QRレシート用にそれぞれ専用のレシート搬送手段59およびレシート読取記録手段60が用いられてもよい。同様に、クレジットカード用とプリペイドカード用にそれぞれ専用のカード読取手段61が用いられてもよい。
軽油貯留槽10、ガソリン貯留槽11、および灯油貯留槽12の各容積は、例えば6kl(キロ・リットル)、9kl、3kl等とされる。ここで、ガソリン貯留槽11に貯留されたガソリン、および灯油貯留槽12に貯留された灯油は、各貯留槽11、12が空に近くなるまで販売しても構わない。それに対して軽油貯留槽10に貯留された軽油は、そのように販売することは避けなければならない。すなわち、燃料供給ステーション1に設けられた上述の電力作動型機器は、軽油を発電用燃料として駆動する発電用エンジン33が発電した電力によって駆動するので、販売できるガソリンや灯油が各貯留槽11、12に残っている限りは、発電用エンジン33に供給できる軽油が尽きてしまう事態は避けなければならない。
以下、上記の事態を防止する点について説明する。図2に示す制御装置16は、軽油の荷卸しがなされて軽油貯留槽10に所定の安全上適正な量の軽油が貯留される都度、積算流量計36から通知されている軽油の積算流量をゼロにリセットする。そして制御装置16はこのリセットの後に直ちに発電用燃料供給ポンプ30を駆動させ、それ以降、積算流量計36が計測する軽油の積算流量を改めて監視する。制御装置16は、この積算流量が予め定めた所定量V1に達すると、発電用燃料供給ポンプ30を停止させる。
上記の所定量V1は、軽油貯留槽10、ガソリン貯留槽11、および灯油貯留槽12にそれぞれ貯留された軽油、ガソリン、および灯油が販売し尽くされるまで燃料供給ステーション1の全部の電力作動型機器を作動させ得る電力を発電機34にて発生させ、そして蓄電池35に蓄えるのに十分な量(発電用燃料供給ポンプ30への供給量)とされている。発電用燃料容器32は、この所定量V1の軽油を貯留し得る容積のものとされている。
以上のように、軽油を販売する前に、発電用燃料としても用いられる軽油を、所定量V1だけ発電用燃料容器32に確保しておけば、販売できる軽油、ガソリンあるいは灯油が各貯留槽10、11、12に残っているのにも拘わらず、燃料供給ステーション1が電力不足のために稼働できない、という事態を招くことが防止される。
なお、軽油貯留槽10に安全上適正な量を貯留された軽油が一気に販売し尽くされる可能性が低い場合は、発電用燃料容器32の容積を上記所定量V1より小さくしてもよい。その場合は、発電用燃料容器32における軽油の残量を検知する液面計等の残量検知手段(本発明の第1の残量検知手段)を設け、この残量が所定量V2まで減る毎に発電用燃料供給ポンプ30を逐次駆動させて、発電用燃料容器32をその都度満量にさせればよい。また、発電用燃料容器32における軽油の残量を検知する代わりに、発電機34が発生する電力量の積算値を計測し、この積算電力量が所定値に達する毎に発電用燃料供給ポンプ30を逐次駆動させるようにしてもよい。
次に、燃料供給ステーション1による燃料供給(販売)の処理について、図4~図11のフローチャートを参照して説明する。本実施形態においては、第1計量機14による軽油およびガソリンの供給と、第2計量機15による灯油の供給とが、共通の1台のマルチ設定器13によって制御される。
なお図4~図11のフローチャートにおいて、各処理(ステップ)には例えばS100、S200のように「S」と3桁の数字とを合わせた参照記号を付与している。まず図4を参照して、燃料販売が現金で決済される場合の処理の流れを説明する。なお以下では、図3に示すマルチ設定器13の表示部52および入力部53が共通のタッチパネルから構成されているものとして説明する。
また、以下で説明する処理は、利用者が行う動作以外は、基本的に図3に示す制御手段50が行うものであるが、この制御手段50が行う旨の説明は特に必要でない限り省略する。さらに制御手段50が行う処理は、前述したように図2のPOS装置17と通信回線を介して接続された、遠隔地のPOS装置側の制御手段からの指示に基づいて行われてもよい。この現金決済の場合は、最初に利用者が上記タッチパネルに触れる動作をすると、このタッチパネルに支払方法選択画面が表示される。なおマルチ設定器13に人感センサが設けられている場合は、上記の動作の代わりに、その人感センサの前に利用者が立つようにしてもよい。これは、以下で説明する別の方法による決済でも同様である。
利用者はタッチパネルに表示された支払方法選択画面を見て、そこに表示されている現金ボタンを押し(ステップS101)、次いで図3の紙幣搬送手段56および/または硬貨搬送手段57の受入・排出口に、所要の現金を投入する(ステップS102)。なお、現金が投入されたことを検知して、支払方法として現金が選択されたものとするように構成することで、現金ボタンの押下を省略することができる。次いで、図3の記憶部54に記憶されている選択可能なノズルが設定され(ステップS104)、選択可能なノズルが上記タッチパネルに表示される(ステップS105)。この選択可能なノズルとは言い換えれば、十分な量が貯留されていて、しかも現在販売されていなくて即時販売可能な燃料用のノズルである。例えば選択可能なノズルが「ガソリンノズル」である旨が文字やイラスト等で示されているならば、利用者は、図1に示す第1計量機14のガソリン給油ホース42を取ってガソリンを給油可能であることが理解できる。
なお上述のように、ある燃料が十分な量貯留されているか否かは、例えば軽油貯留槽10、ガソリン貯留槽11、および灯油貯留槽12にそれぞれ設置された液面計等の残量検知手段(図示せず)が出力する残量検知信号に基づいて判断可能である。一方、ある燃料が現在販売されているか否かは、後述する図4に示す給油状態監視プロセス(ステップS119)からの情報に基づき、直接ノズルの使用状況を監視する他、例えば第1計量機14の前に設定された給油車用駐車スペースや、灯油購買者のために設定された特定駐車スペースを検知対象とする駐車検知手段の出力信号に基づいて判断可能である。この駐車検知手段や上記残量検知手段は特に図示していないが、それらはいずれも従来公知のものが適用可能であり、それらの検知手段の出力信号は、図3に示す入/出力インターフェイス55を介して制御手段50に入力され得る。
本例において、上記給油車用駐車スペースは第1計量機14の前に設定された1箇所だけであるが、計量機が2台以上設置されて、各計量機の前にそれぞれ給油車用駐車スペースが設定されることも有り得る。その場合は、各計量機の前に設定された給油車用駐車スペース毎に上記駐車検知手段を設けて、それぞれの計量機を用いて現在燃料が販売されているか否かを個別に検出すればよい。
利用者は、表示された選択可能なノズルの中に、給油したい油種のノズルが有るならば、タッチパネルに表示されている当該ノズルを示すボタンを押下する(ステップS106)。すると次に、先のステップS102で実際に所要の現金が投入されていたか否かがチェックされる(ステップS107)。実際に所要の現金が投入されていたことが確認されれば、処理の流れは給油開始に向けて流れる。所要の現金が投入されていたことが確認されない場合は、タッチパネルに現金投入を促す画面が表示される(ステップS108)。
利用者が、上述の画面を見て、必要ならばステップS102におけるのと同様に現金を投入すると(ステップS109)、処理の流れはステップS107の前に戻り、このステップS107における現金投入チェックが再度なされる。こうして、所要の現金が投入されたことが確認されない限り、ステップS107の処理が繰り返されるので、例えばこの処理が所定時間に亘って繰り返された場合は燃料販売をキャンセルするようにしてもよい。
ステップS107において、所要の現金が投入されたことが確認された場合、利用者(顧客)を紐付する情報が決定されデータとして格納され(ステップS110)、次にタッチパネルの画面は給油開始待ち画面に遷移し(ステップS111)、それと共に決定された利用者(顧客)を紐付けするデータを表示するQRコード(登録商標)が記載されたQRレシートが発行される(ステップS112)。このQRレシートの発行は、図3に示すレシート搬送手段59を用いてなされる。
ここで、利用者(顧客)を紐付する情報とは、利用者が給油を完了した後、給油代金の精算処理を、設定器13で行う際に、自己を特定する情報として、設定器13に入力する情報である。ここでは、設定器が、特定の情報を割り当て決定し交付することを想定した説明となっているが、利用者が、自ら決定した情報、例えば、任意に指定する文字列、記号、音声、図形もしくは画像からなるパスワードなどを、設定器に、タッチパネルなどを介して入力したり、適宜の読取り機器から、生体情報を入力してもよいし、さらには、自己の保有するクレジットカード、会員カードの識別情報を入力することとしてもよい。利用者(顧客)を紐付けするデータが、QRコード(登録商標)の場合は、給油代金の精算処理の際に、設定器に設けられたレシート読取記録手段60に読み取らせ、パスワードや生体情報などの場合は、適宜の読取り機器に読み取らせ、クレジットカード等の場合は、カード読取手段61に読み取らせることになる。これは、以降の例の説明においても同じである。
利用者は、給油開始待ち画面において給油開始が促されると、例えば第1計量機14のガソリン給油ホース42を取る等して、給油を開始する(ステップS113)。こうして給油が開始すると、前述の選択可能なノズルを示す情報が更新される(ステップS114)。すなわち、例えば上述のようにガソリン給油ホース42を用いてガソリン給油がなされていれば、現在、次に給油を希望している利用者にとって当該ガソリン給油ホース42を用いてのガソリン給油は不可能となっているので、その旨を示すように選択可能ノズル情報が更新される。給油が開始すると、処理の流れはステップS100に戻る。
利用者は、給油が終了すると、発行されていたQRレシートを図3に示すレシート読取記録手段60の読取部にかざして読み取らせる(ステップS103)。次に、図3に示す記憶部54から顧客紐付けデータが読み出され(ステップS115)、読み出された顧客紐付けデータがチェックされる(ステップS116)。この時点で上記記憶部54には、ステップS110にて格納された利用者の顧客紐付けデータが記憶されており、かつ未精算となり、紐づけられた利用者が、使用した計量機で給油した代金は、設定器に通知されていることから、設定器では、利用者と給油代金の紐づけがなされ精算処理がなされ、レシートの出力と必要に応じてお釣りの返却がなされ(ステップS117、ステップS118)、処理の流れはステップS100に戻る。一方、顧客紐付けデータが記録されておらず(設定器で給油条件の設定をして給油開始処理に移行していない)場合や給油を完了したが既に精算済みの場合などは、精算の必要はないため、そのままステップS100に戻る。
なお、お釣りの返却は図3に示す紙幣搬送手段56および/または硬貨搬送手段57を用いてなされ、レシート出力は図3に示すレシート搬送手段59を用いてなされる。
上記ステップS113で給油が開始すると、図2に示すPOS装置17または回線で接続している遠隔地のPOS装置等(図示せず)により、給油状態監視プロセスが開始する(ステップS119)。この給油状態監視プロセスは、利用者がノズルを使用して給油を開始するところから完了までの処理を監視しており、間違った給油ノズルが使用されていないか等を監視する処理を含む。なお図4において破線で流れを示す処理は、給油中の主に計量機に関する処理を示している。
監視している給油が終了すると(ステップS120)、次に、選択可能ノズル情報が更新される(ステップS121)。例えば上述のようにガソリン給油ホース42を用いてガソリン給油がなされていたとき、次に給油を希望している利用者にとって当該ガソリン給油ホース42を用いてのガソリン給油は不可能となっていたが、給油終了により当該ガソリン給油ホース42を用いてのガソリン給油が可能となったので、その旨を示すように選択可能ノズル情報が更新される。次いで、例えばPOS装置17または遠隔地に有るPOS装置等(図示せず)が保存している、燃料販売に関する売上トランザクションが更新され(ステップS122)、給油処理が完了する(ステップS123)。
次に図5を参照して、燃料販売がクレジットカードで決済される場合の処理の流れを説明する。このクレジットカード決済の場合も、最初に利用者が、前述した図3の表示部52および入力部53を兼ねるタッチパネルに触れる動作をすると、このタッチパネルに支払方法選択画面が表示される(ステップS200)。
利用者はタッチパネルに表示された支払方法選択画面を見て、そこに表示されている案内を参照しながら、図3に示すカード読取手段61にクレジットカードを挿入する(ステップS201)。ここでは、利用者(顧客)を紐付する情報としてクレジットカードの識別情報を利用している。次に、図3に示す記憶部54から顧客紐付けデータが読み出され(ステップS202)、読み出された顧客紐付けデータがチェックされる(ステップS203)。この時点で上記記憶部54に顧客紐付けデータは記憶されていないから、次にステップS204でクレジットカードが排出され、次いで図3の記憶部54に記憶されている選択可能なノズルが設定され(ステップS205)、上記タッチパネルに選択可能なノズルが表示される(ステップS206)。
利用者は、表示された選択可能なノズルの中に、給油したい油種のノズルが有るならば、タッチパネルに表示されている当該ノズルを示すボタンを押下する(ステップS207)。この時点で、顧客紐付けデータが記憶部54に格納され(ステップS208)、そしてタッチパネルの画面は給油開始待ち画面に遷移する(ステップS209)。利用者は、給油開始待ち画面において給油開始が促されると、例えば第1計量機14のガソリン給油ホース42を取る等して、給油を開始する(ステップS210)。こうして給油が開始すると、前述した選択可能なノズルを示す情報が更新され(ステップS211)、次いで処理の流れはステップS200に戻る。
こうして処理の流れが再度ステップS202に移ると、このときは図3に示す記憶部54に、上記ステップS208で格納された顧客紐付けデータが記憶されているから、その顧客紐付けデータが読み出される。そこで次にステップS203において、顧客紐付けデータが有ると判別され、未精算の場合は、次いでクレジットカードが排出され(ステップS212)、またクレジットカードに関する精算処理がなされ(ステップS213)、精算レシートが図3のレシート搬送手段59から出力される(ステップS214)。次いで処理の流れはステップS200に戻る。
またこの場合も、ステップS210で給油が開始されると、図4に示した現金決済フローにおけるステップS119~ステップS123と同様の処理、つまりステップS215~ステップS219の処理がなされ、給油処理が完了する(ステップS219)。
次に図6および図7を参照して、燃料販売がプリペイドカードで決済される場合の処理の流れを説明する。なお以下では、プリペイドカードを「プリカ」と称することもある。なお、ここでは、プリカの残高を、プリカ自体ではなく、サーバにて保管、管理するサーバ管理型のプリカを想定して説明している。このプリペイドカード決済の場合も、図6に示すように最初に利用者が、前述した図3の表示部52および入力部53を兼ねるタッチパネルに触れる動作をすると、このタッチパネルに支払方法選択画面が表示される(ステップS300)。
利用者はタッチパネルに表示された支払方法選択画面を見て、そこに表示されている案内を参照しながら、図3に示すカード読取手段61にプリカを挿入する(ステップS301)。ここでは、利用者(顧客)を紐付する情報としてプリカの識別情報を利用している。次に、図3に示す記憶部54から顧客紐付けデータが読み出され(ステップS302)、読み出された顧客紐付けデータがチェックされる(ステップS303)。この時点で上記記憶部54に顧客紐付けデータは記憶されていないから、次にステップS304でプリカが排出され、次いで上記タッチパネルに給油/入金選択画面が表示される(ステップS305)。この給油/入金選択画面は、プリカに予め入金されている金額を使って給油を行うのか、あるいはプリカに入金(チャージ)を行うのか択一的に選択させる画面である。
利用者が、表示された給油/入金選択画面において給油を選択すると(ステップS306)、次いで図3の記憶部54に記憶されている選択可能なノズルが設定され(ステップS307)、上記タッチパネルに選択可能なノズルが表示される(ステップS308)。利用者は、選択可能なノズルの中に、給油したい油種のノズルが有るならば、タッチパネルに表示されている当該ノズルを示すボタンを押下する(ステップS309)。すると、上記ステップS302で読み取られていた顧客紐付けデータが記憶部54に格納され(ステップS310)、そしてタッチパネルの画面は給油開始待ち画面に遷移する(ステップS311)。利用者は、給油開始待ち画面において給油開始が促されると、例えば第1計量機14のガソリン給油ホース42を取る等して、給油を開始する(ステップS312)。こうして給油が開始すると、前述した選択可能なノズルを示す情報が更新され(ステップS313)、次いで処理の流れはステップS300に戻る。
こうして処理の流れが再度ステップS302に移ると、このときは図3に示す記憶部54に、上記ステップS310で格納された顧客紐付けデータが記憶されているから、その顧客紐付けデータが読み出される。そこで次にステップS303において、顧客紐付けデータが有ると判別され、未精算の場合には、次いでプリカが排出され(ステップS319)、また精算処理がなされ(ステップS320)、精算レシートが図3のレシート搬送手段59から出力される(ステップS321)。次いで処理の流れはステップS300に戻る。
またこの場合も、ステップS312で給油が開始されると、図4に示した現金決済フローにおけるステップS119~ステップS123と同様の処理、つまりステップS314~ステップS318の処理がなされ、給油処理が完了する(ステップS318)。
次に、上述したステップS305で表示された給油/入金選択画面において、入金が選択された場合(ステップS322)について説明する。この場合、処理の流れは図7に示すステップS330に移行し、上記タッチパネルに金額選択画面が表示される。この金額選択画面を用いて利用者が金額選択をすると(ステップS331)、次にタッチパネルの表示は現金投入画面に遷移する(ステップS332)。この現金投入画面により促されて利用者が、図3に示す紙幣搬送手段56や硬貨搬送手段57を用いて現金を投入すると(ステップS333)、次に投入金額がチェックされる(ステップS334)。
チェックされた投入金額が、ステップS331で選択された金額に満たない場合は、上記ステップS332以降の処理が繰り返される。チェックされた投入金額が、ステップS331で選択された金額と一致すると、次にレシートが発行され(ステップS335)、そしてプリペイドカード入金のトランザクションが更新され(ステップS336)、処理の流れは図6のステップS300に戻る。
次に図8および図9を参照して、燃料販売が、ICカードやICチップ等からなる前払い式電子マネーで決済される場合の処理の流れを説明する。この電子マネー決済の場合も、図8に示すように最初に利用者が、前述した図3の表示部52および入力部53を兼ねるタッチパネルに触れる動作をすると、このタッチパネルに支払方法選択画面が表示される(ステップS400)。
利用者はタッチパネルに表示された支払方法選択画面を見て、そこに表示されている電子マネーボタンを押下する(ステップS401)。すると、読み取り画面が表示される(ステップS402)ので、利用者は図3に示す電子マネー読取記録手段62の読み取り画面に電子マネーの媒体、つまり上記ICカードやICチップ等をかざす(ステップS403)。なお、電子マネーの媒体がかざされたことを検知して、支払方法として電子マネーが選択されたものとするように構成することで、電子マネーボタンの押下を省略することができる。ここでは、利用者(顧客)を紐付する情報として電子マネーの媒体の識別情報を利用している。それにより、図3に示す記憶部54から顧客紐付けデータが読み出され(ステップS404)、読み出された顧客紐付けデータがチェックされる(ステップS405)。この時点で上記記憶部54に顧客紐付けデータは記憶されていないから、次にステップS406において上記タッチパネルに給油/チャージ(入金)選択画面が表示される。この給油/チャージ選択画面は、電子マネーを使って給油を行うのか、あるいは電子マネー媒体に入金(チャージ)を行うのか択一的に選択させる画面である。
利用者が、表示された給油/チャージ選択画面において給油を選択すると(ステップS407)、次いで図3の記憶部54に記憶されている選択可能なノズルが設定され(ステップS408)、上記タッチパネルに選択可能なノズルが表示される(ステップS440)。利用者は、表示された選択可能なノズルの中に、給油したい油種のノズルが有るならば、タッチパネルに表示されている当該ノズルを示すボタンを押下する(ステップS409)。すると、タッチパネルに引き去り待ち画面が表示されるので(ステップS410)、利用者は図3に示す電子マネー読取記録手段62に、再度電子マネー媒体をかざす。これにより電子マネーから所定の前払い金額が引き去られて、電子マネー残高が更新される(ステップS411)。
次に、上記ステップS404で読み出されていた顧客紐付けデータが記憶部54に格納され(ステップS412)、そしてタッチパネルの画面は給油開始待ち画面に遷移する(ステップS413)。その後、前述した選択可能なノズルを示す情報が更新される(ステップS414)。利用者は、給油開始待ち画面において給油開始が促されると、例えば第1計量機14のガソリン給油ホース42を取る等して、給油を開始する(ステップS415)。給油が開始すると、処理の流れはステップS400に戻る。
こうして次に処理の流れが再度ステップS404に移ると、このときは図3に示す記憶部54に、上記ステップS412で格納された顧客紐付けデータが記憶されているから、その顧客紐付けデータが読み出される。そこで次にステップS405において、顧客紐付けデータが有ると判別され、未精算の場合は、次いで精算処理がなされ(ステップS422)、精算レシートが図3のレシート搬送手段59から発行される(ステップS423)。なお上記精算処理では、前述した前払いの引き去り金額に対して返金つまりお釣りが有れば、図3に示す電子マネー読取記録手段62により電子マネー残高を返金分だけ修正する書き込みがなされる。次いで処理の流れはステップS400に戻る。
またこの場合も、ステップS415で給油が開始されると、図4に示した現金決済フローにおけるステップS119~ステップS123と同様の処理、つまりステップS416~ステップS420の処理がなされ、給油処理が完了する(ステップS420)。
次に、上述したステップS406で表示された給油/チャージ選択画面において、チャージが選択された場合(ステップS421)について説明する。この場合、処理の流れは図9に示すステップS430に移行し、上記タッチパネルに金額選択画面が表示される。この金額選択画面を用いて利用者が金額選択をすると(ステップS431)、次にタッチパネルの表示は現金投入画面に遷移する(ステップS432)。この現金投入画面により促されて利用者が、図3に示す紙幣搬送手段56や硬貨搬送手段57を用いて現金を投入すると(ステップS433)、次に投入金額がチェックされる(ステップS434)。
チェックされた投入金額が、ステップS431で選択された金額に満たない場合は、上記ステップS432以降の処理が繰り返される。チェックされた投入金額が、ステップS431で選択された金額と一致すると、次に上記タッチパネルに電子マネー読取画面が表示される(ステップS435)。利用者はこの電子マネー読取画面に促されて、電子マネー媒体を図3に示す電子マネー読取記録手段62にかざす(ステップS436)。それにより電子マネー残高をチャージ分だけ増額させる書き込みがなされ、次いでレシートが発行され(ステップS437)、そして電子マネー入金のトランザクションが更新され(ステップS438)、処理の流れは図8のステップS400に戻る。
以上説明した各種の決済処理では、何らかの理由により決済処理が保留されることがある。主な理由としては、同一の利用者が、例えば、ガソリンの給油の後、続けて灯油を給油する場合に、各燃料の給油の都度、精算を行うことは手間がかかるため、まとめて精算をしたいと考える場合などである。このようなことから、以下図10および図11を参照して、一例としてクレジットカードによる決済処理において、一の給油の決済処理を保留し、後の給油が完了した後に、まとめて精算をする場合について説明する。なおこれらの図10および図11では、図5に示した各ステップと同等のステップには同じ参照番号を付して示してあり、それらについての説明は、特に必要の無い限り省略する。
図10のフローにおいてステップS203で、読み出された顧客紐付けデータが有って且つ未清算と判別された場合、ステップS512で売上トランザクションが更新された後、保留データが有るか否かが判別される(ステップS513)。保留データが無いと判別された場合は、ステップS212でクレジットカードが排出され、ステップS518で売上トランザクションが更新され、ステップS519でレシートが出力された後、精算処理がなされる(ステップS213)。その後、処理の流れはステップS200に戻る。
上記ステップS513で、保留データが有ると判別された場合は、次にステップS514で前述のタッチパネルに決済選択画面が表示される。この決済選択画面において精算を希望して精算ボタンが押されると(ステップS516)、ステップS212でクレジットカードが排出され、それ以降は保留データが無いと判別された場合と同じ精算処理がなされる。決済選択画面において精算を希望せずに続けて給油ボタンが押されると(ステップS515)、図5のフローにおけるのと同様に、ステップS204以降の処理がなされる。すなわち、先に行った給油の精算を保留した状態で、次の給油を行うための処理に進むことになる。
こうしてステップS210において給油が開始されると、処理の流れはステップS200に戻ると共に、図11に示す処理がなされる。この処理は、図5に示したものと同じステップS215~ステップS219を含むものであるが、ステップS217とステップS218との間に、保留タイマーを監視するステップS533が設けられている。
このステップS533において、保留データが未取り込み、または保留タイマーが計時する経過時間が予め設定した規定時間に満たないと判別されている限り、ステップS534で売上トランザクションが更新されつつ、ステップS533の判別処理が繰り返される。なお上記の更新される売上トランザクションは、一時の保留的なものである。
ステップS533において、保留データが取り込み済み、または保留タイマーが計時する経過時間が上記規定時間を超過したと判別されると、ステップS218で売上トランザクションが更新され、そして次のステップS219で給油処理が完了する。なおステップS218で更新される売上トランザクションは、一連の処理の中で確定したものとなる。これにより、複数回の給油代金を一括して精算することができる。
以上説明した燃料供給の処理においては、設定器は共通の1台としながらも、一人の利用者が給油条件を設定し、給油処理に移行した後、設定器にその時点での給油可能な計量機とノズルとの組を表示し、次の利用者の給油条件の設定を続けて受け付けることを可能としたことにより、給油可能な計量機とノズルとの組が存在する限り、複数人による複数の給油条件を続けて受け付けて、複数人の給油動作を同時並行的に可能とするものである。すなわち、従来、計量機に対応して複数の設定器を必要としていた構成に比べ装置にかかるコストを、大幅に削減することができるものである。
計量機とノズルとの組とそれに対する設定器の数には、特に制約はなく、少なくとも、計量機に対して、設定器の数が少なくあれば、本発明の装置コスト低減の効果が見込めるものであり、設定器に対する計量機とノズルとの組が、大幅に多いものとなれば、利用者のノズルの選択肢が増えるという利点になる。
次に、本発明の第2実施形態である燃料供給装置について、その主要部の構成を概略的に示す図12を参照して説明する。この図12において、図2に示したものと同等の要素については同じ参照番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する。本実施形態の燃料供給装置は図2に示した燃料供給装置と比べると、積算流量計36が、発電用燃料送油管31が分岐されている部分よりも上流側つまり軽油貯留槽10側で軽油供給管26に介設されている点で異なっている。
上記積算流量計36が計測した軽油の積算流量を示す出力信号は、制御装置16に入力される。なお上記軽油の積算流量は、発電機34を駆動するために発電用燃料供給ポンプ30が消費する軽油の量と、販売された軽油の量とを合わせたものとなる。したがって、上記出力信号が示す軽油の積算流量と、軽油貯留槽10の容積とに基づいて、軽油貯留槽10における軽油の残量を算出することができる。制御装置16はこのようにして、積算流量計36の出力信号から軽油貯留槽10における軽油残量を間接的に計測、監視する。
制御装置16は、間接的に計測、監視している軽油残量が、予め定めた所定量V3まで減ると、第1計量機14における軽油給油ホース41からの軽油供給を禁止させる。この供給禁止は、例えば軽油給油ホース41に電動遮断弁を介設しておき、その弁を遮断状態に設定する等によって行われる。上記の所定量V3は、貯留されているガソリン、軽油および灯油をそれぞれ販売し尽くすために必要な電力を想定し、その電力を発生させるために発電用エンジン33に供給すべき軽油量を求め、余裕を見てその軽油量に若干量加えた値等とされる。
制御装置16が上記の制御を行うことにより本実施形態においても、販売できる軽油、ガソリンあるいは灯油が各貯留槽10、11、12に残っているのにも拘わらず、電力不足のためにそれらの燃料を販売できない、という事態を招くことが防止される。
なお、上述のように軽油給油ホース41に電動遮断弁を介設する代わりに、発電用燃料送油管31の分岐位置よりも下流側つまり第1計量機14側において、軽油供給管26に同様の電動遮断弁を介設して、その電動遮断弁を上記と同様に制御してもよい。また、このようにして軽油販売を強制的に禁止する他に、間接的に計測、監視している軽油残量が上記所定量V3まで減じたなら、その旨を示す警報を発生させて、軽油販売が不可能であることを燃料供給装置を操作する作業員に、あるいは燃料供給装置がいわゆるセルフサービスで運用される場合は利用者に知らせるようにしてもよい。そのような警報は、例えば図1に示す第1計量機14の表示部43や、マルチ設定器13の設定・表示部40において文字やイラスト等の表示として、さらには図3に示すマルチ設定器13のスピーカー51から音声として発生させることができる。
さらに、軽油供給管26に積算流量計36を介設する代わりに、軽油貯留槽10に軽油残量を直接計測する残量計を設け、その出力信号を制御装置16に入力させてもよい。これらの積算流量計36や残量計は、本発明における第2の残量検知手段を構成している。
また、以上述べた第1および第2の実施形態では、発電用エンジン33に供給する発電用燃料として軽油が適用されているが、軽油以外の燃料、例えばガソリンや灯油等を発電用燃料として用いてもよい。