JP7294288B2 - 磁性材料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、磁性材料及びその製造方法に関する。本開示は、特に、R-Fe-B系(Rは希土類元素である。)の磁性材料に関する。
R-Fe-B系の磁性材料は、R14B型の結晶構造(Tは遷移金属元素である。)を有する主相を備える。この主相によって、高い残留磁化が得られる。
R-Fe-B系の磁性材料の中で、性能と価格のバランスに優れ、最も一般的であるのは、RとしてNdを選択した、Nd-Fe-B系の磁性材料(ネオジム磁性材料)である。そのため、Nd-Fe-B系の磁性材料が急速に普及しており、今後もNdの使用量は急激に増加すると予想され、将来的にはNdの使用量が埋蔵量を上回る可能性がある。そこで、Ndの一部又は全部を、Ce、La、Y、及びScなどの軽希土類元素に置換する試みがなされている。
例えば、特許文献1には、Ndの一部をLa及び/又はCeで置換したNd-Fe-B系の磁性材料を前駆体として、その前駆体の内部に、軽希土類元素以外の希土類元素を含有する改質材を拡散浸透させて得られた磁性材料が開示されている。なお、本明細書中において、特に断りのない限り、「及び/又は」は「少なくとも一方」を意味するものとする。
また、例えば、特許文献2には、Ndの一部がLa及び/又はCeで置換されており、任意で、Feの一部が少量のCoで置換されている、Nd-Fe-B系の磁性材料が開示されている。
そして、例えば、特許文献3には、Ndの一部又は全部がLa及び/又はCeで置換されている、R-Fe-B系の磁性材料が開示されている。
特開2020-107849号公報 特開2020-31144号公報 特開昭61-159708号公報
Nd-Fe-B系の磁性材料は、他の磁性材料と比較して、高い飽和磁化を得られることから、度々、高出力のモータ等に使用される。高出力のモータ等に使用される磁性材料は、モータ等の発熱により、高温に晒されることが多い。
磁性材料の磁気特性は、温度が上昇するにしたがって低下し、キュリー温度で、磁気が消失する。Nd-Fe-B系の磁性材料は、他の磁性材料と比較して、温度上昇による磁気特性の低下が急激であることが知られている。
Ndの使用量を削減するため、Ndの一部又は全部を、安易に軽希土類元素で置換すると、高温での磁気特性、特に、高温での保磁力の低下が著しい。特許文献1~3に開示された磁性材料は、軽希土類元素の種類及びその置換率を最適化して、高温での保磁力を改善するものである。
一方、Nd-Fe-B系の磁性材料は、高温での飽和磁化が比較的高いため、Ndの一部又は全部を軽希土類元素で置換することによって、高温での飽和磁化が低下しても、実用上、問題となることは少なかった。しかし、近年、モータ等の高出力化及び小型化等が急速に進んでおり、高温での飽和磁化の低下が無視できなくなってきている。そのため、Ndの一部又は全部を軽希土類元素で置換した場合であっても、高温での飽和磁化の低下を実用上問題のない範囲に抑制すること、あるいは、高温での飽和磁化を一層向上させることが望まれている、という課題を本発明者らは見出した。
本開示の磁性材料及びその製造方法は、上記課題を解決するためになされたものである。本開示は、Ndの使用量を削減しても、高温での飽和磁化の低下が実用上問題ない範囲に抑制されている、あるいは、高温での飽和磁化が一層向上している、R-Fe-B系の磁性材料及びその製造方法を提供することを目的とする。なお、本明細書において、特に断りがない限り、「高温」とは、373~473Kを意味するものとする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ね、本開示の磁性材料及びその製造方法を完成させた。本開示の磁性材料及びその製造方法は、次の態様を含む。
〈1〉R14B型の結晶構造を有する主相(ただし、Rは希土類元素であり、Tは遷移金属元素である。)を備え、
前記主相が、モル比の式((Nd、Pr)(1-x-y)La ))((Fe(1-z-w)(Co、Ni)))14B(ただし、Rは、Nd、Pr、及びLa以外の一種以上の希土類元素であり、Mは、Fe、Co、Ni、及び希土類元素以外の一種以上の元素並びに不可避的不純物元素であり、0.25≦x≦1.00、0≦y≦0.10、0.15≦z≦0.40、及び0≦w≦0.1)で表される組成を有する、
磁性材料。
〈2〉前記xが、0.25≦x≦0.61を満足する、〈1〉項に記載の磁性材料。
〈3〉前記主相の体積率が、80.0~100%である、〈1〉又は〈2〉項に記載の磁性材料。
〈4〉前記主相の格子体積が、0.930~0.955nmである、〈1〉~〈3〉項のいずれか一項に記載の磁性材料。
〈5〉前記主相の密度が、7.00~7.90g/cmである、〈1〉~〈4〉項のいずれか一項に記載の磁性材料。
〈6〉〈1〉項に記載の磁性材料の製造方法であって、
前記主相を構成する元素を含有する原材料を溶解し、凝固させること、
を含む、磁性材料の製造方法。
〈7〉前記原材料を溶解し、凝固させて得た鋳塊を、1273~1573Kで6~72時間にわたり熱処理する、〈6〉項に記載の方法。
本開示によれば、Ndの使用量が削減されていても、軽希土類元素としてLaが選択されており、Feの一部が所定範囲のモル比のCo及び/又はNiで置換されていることにより、高温での飽和磁化の低下が実用上問題ない範囲に抑制されている、あるいは、高温での飽和磁化が一層向上している、R-Fe-B系の磁性材料を提供することができる。
また、本開示によれば、Ndの使用量を削減しても、軽希土類元素としてLaを選択し、Feの一部を所定範囲のモル比のCo及び/又はNiで置換することによって、高温での飽和磁化の低下を実用上問題ない範囲に抑制した、あるいは、高温での飽和磁化を一層向上した、R-Fe-B系の磁性材料の製造方法を提供することができる。
図1は、Nd及びPrの使用量削減割合と高温(453K)での飽和磁化Msの関係を示すグラフである。 図2は、実施例4及び実施例5並びに比較例2について、温度と飽和磁化Msの関係を示すグラフである。
以下、本開示の磁性材料及びその製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本開示の磁性材料及びその製造方法を限定するものではない。
理論に拘束されないが、Ndの使用量を削減しても、高温での飽和磁化の低下を実用上問題ない範囲に抑制すること、あるいは、高温での飽和磁化を一層向上することができる理由について、以下に説明する。
R-Fe-B系の磁性材料は、R14B型の結晶構造を有する主相を備える。Rは希土類元素であり、Tは遷移金属元素である。R14B型の結晶構造を有する主相において、最も代表的な主相の組成は、NdFe14Bで表される。以下、このような組成を有する相を「NdFe14B相」ということがある。
Ndの使用量を削減するため、NdFe14B相中のNdの一部を軽希土類元素で置換することは、従来から行われていた。一方で、RFe14B相中のRの全てがLaである相、すなわち、LaFe14B相は非常に不安定であることが知られていた。そのため、Ndの使用量を削減するための元素として、Laを選択することは、従来、できるだけ避けられていた。Laを選択した場合でも、La以外の軽希土類元素、特にCeを同時に選択して、Laの含有割合(置換割合)をできるだけ低くしていた。
しかし、Ndの一部を、所定モル比以上のLaで置換しても、Feの一部を、所定範囲のモル比のCo及び/又はNiで置換することによって、R14B型の結晶構造を有する相を安定化させることができることを、本発明者らは知見した。そして、これにより、高温での飽和磁化の低下を実用上問題ない範囲に抑制する、あるいは、高温での飽和磁化を一層向上することができることを、本発明者らは知見した。
そして、理論に拘束されないが、上述のようにすることによって、高温での飽和磁化の低下を実用上問題ない範囲に抑制、あるいは、高温での飽和磁化を一層向上することができる理由は、次のとおりであることを、本発明者らは知見した。
Ndの使用量を削減するために、Ndの一部がCeで置換されている磁性材料においては、従来、Feの一部がCoで置換されていても、高温での磁気特性、特に飽和磁化が向上しないことが多かった。これは、Feの一部がCoで置換されていると、キュリー温度は上昇しても、キュリー温度に達するまでの高温域での磁気特性、特に飽和磁化が、必ずしも向上しないためであると考えられる。
上述したように、Ndの使用量を削減するために、Ndの一部を軽希土類元素で置換する場合、従来、LaFe14B相の不安定さから、Laで置換することは、できるだけ避けていた。しかし、本発明者らは、R14B型の結晶構造を有する相(主相)のRとして、敢えてLaを選択し、Feの一部を所定範囲のCoで置換することによって、R14B型の結晶構造を有する相(主相)を安定化させた。
14B型の結晶構造を有する相(主相)の安定化は、結晶構造に大きな影響を与える、各構成元素のイオン半径で説明できると考えられる。表1に、Nd、Ce、La、Pr、Fe、Co、及びNiのイオン半径を示す。
Figure 0007294288000001
表1から理解できるように、Ndのイオン半径と比較して、Laのイオン半径は大きい。そのため、Ndの一部をLaで置換すると、R14B型の結晶構造を有する相(主相)の安定性を損ない易い。特に、Ndの全部をLaで置換すると、R14B型の結晶構造を有する相(主相)は、安定性を大きく損ねる。そのため、上述したように、LaFe14B相(実質的にLa、Fe、及びBのみで構成される、R14B型の結晶構造を有する相(主相))が不安定である。
しかし、Ndの一部又は全部をLaで置換しても、Feの一部をCoで置換すると、R14B型の結晶構造を有する相(主相)を安定化することができる。これは、Feのイオン半径と比較して、Coのイオン半径は小さいため、Ndの一部又は全部をLaで置換することによって膨張した結晶構造を、Feの一部をCoで置換することによって、適切に縮小できるためであると考えられる。
そして、Ndの一部又は全部をLaで置換しても、R14B型の結晶構造を有する相(主相)が安定すれば、その相(主相)の高温での飽和磁化は、NdFe14B相の飽和磁化と比べて、遜色ないか、むしろ優れる。具体的には、NdFe14B相の高温での飽和磁化と比較して、La(Fe、Co)14B相の高温での飽和磁化は遜色ない。また、NdFe14B相の高温での飽和磁化と比較して、(Nd、La)(Fe、Co)14B相の高温での飽和磁化は、むしろ高い。なお、「NdFe14B相」は、実質的にNa、Fe、及びBのみで構成される、R14B型の結晶構造を有する相を意味する。「La(Fe、Co)14B相は、実質的にNdの全部がLaで置換されており、かつ、Feの一部がCoで置換されている相を意味する。「(Nd、La)(Fe、Co)14B相」は、Ndの一部がLaで置換されており、かつ、Feの一部がCoで置換されている相を意味する。「遜色ない」は、NdFe14B相の高温での飽和磁化と比較して、高温での飽和磁化の低下が実用上問題ない範囲のことを意味する。
上述したように、Ndの一部がCeで置換されており、Feの一部がCoで置換されている従来の磁性材料では、必ずしも、高温での飽和磁化が改善(「遜色ない」場合も含む。)されていない。このことから、Ndの一部又は全部がLaで置換されており、かつ、Feの一部がCoで置換されている本開示の磁性材料では、Coによるキュリー温度の上昇で高温での飽和磁化が向上したのではなく、むしろ、Laの物性によって、高温での飽和磁化が改善(「遜色ない」場合も含む。)されたと考えられる。すなわち、本開示の磁性材料においては、Feの一部がCoで置換されていることによってキュリー温度が上昇したために、高温での飽和磁化が改善されたのではなく、Laの物性によって、高温での飽和磁化が改善されたと考えられる。そして、本開示の磁性材料中のCoは、La(Fe、Co)14B相及び/又は(Nd、La)(Fe、Co)14B相の安定化に寄与していると考えられる。
Prは、Ndと類似の物性を有することが知られており、また、表1から理解できるように、Ndのイオン半径とPrのイオン半径は近接している。このおとから、本開示の磁性材料において、NdとPrは同等の元素として扱うことができる。
Fe、Co、及びNiは、鉄族元素として類似の物性を有することが知られている。そして、これらの鉄族元素のうち、Co及びNiについては、表1から理解できるように、Coのイオン半径とNiのイオン半径は近接している。これらのことから、本開示の磁性材料において、CoとNiは同等の元素として扱うことができる。
これらの知見に基づく、本開示の磁性材料及びその製造方法の構成要件を、以下に説明する。
《磁性材料》
本開示の磁性材料は、R14B型の結晶構造を有する主相を備える、本開示の磁性材料は、主相によって磁気を発現する。以下、主相について説明する。
〈主相の結晶構造〉
主相は、R14B型の結晶構造を備える。Rは希土類元素であり、Tは遷移金属元素である。主相の結晶構造は、本開示の磁性材料を、例えば、X線回折分析等をすることによって、同定することができる。
なお、本明細書で、希土類元素は、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロビウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、及びLu(ルテニウム)の17元素からなる。
〈主相の組成〉
主相は、モル比の式((Nd、Pr)(1-x-y)La ))((Fe(1-z-w)(Co、Ni)))14Bで表される組成を有する。Ndはネオジム、Prはプラセオジム、Laはランタン、Feは鉄、Coはコバルト、そして、Niはニッケルである。Rは、Nd、Pr、及びLa以外の一種以上の希土類元素であり、Mは、Fe、Co、Ni、及び希土類元素以外の一種以上の元素並びに不可避的不純物元素である。また、上式において、説明の都合上、(Nd、Pr)(1-x-y)La を希土類サイト、(Fe(1-z-w)(Co、Ni)を鉄族サイトということがある。
上式から理解できるように、主相は、希土類サイト中の一種以上の元素を2モル、鉄族サイト中の一種以上の元素を14モル、そしてホウ素(B)を1モル含有する。すなわち、希土類サイト中の一種以上の元素、鉄族サイト中の一種以上の元素、及びホウ素で、上述の結晶構造を有する相が構成されている。
希土類サイトは、Nd、Pr、La、及びRからなり、NdとPrの合計、La、及びRが、モル比で、(1-x-y):x:yの割合で存在する。(1-x-y)+x+y=1であることから、Nd及び/又はPrの一部が、La及びRからなる群より選ばれる一種以上の元素で置換されていることを意味する。
鉄族サイトは、Fe、Co、Ni、及びMからなり、Fe、CoとNiの合計、及びMが、モル比で、(1-z-w):z:wの割合で存在する。(1-z-w)+z+w=1であることから、Feの一部が、Co、Ni、及びMからなる群より選ばれる一種以上の元素で置換されていることを意味する。
以下、上式を構成する各元素及びその含有割合(モル比)について説明する。
〈Nd〉
Ndは、Fe及びBとともに上述の結晶構造を構成する主要元素である。Ndの一部は、La及びRからなる群より選ばれる一種以上の元素で置換されている。また、上述したように、NdはPrと同等な元素として扱うことができる。以下、Pr、La、Ce、及びRについて説明する。
〈Pr〉
上述したように、PrはNdと物性が類似しており、かつ、Prのイオン半径とNdのイオン半径は近接していることから、PrはNdと同等に扱うことができる。そのため、本開示の磁性材料は、Di(ジジニウム)を適用してもよい。
〈La〉
Nd及び/又はPrの一部をlaで置換することによって、高温での飽和磁化の向上に寄与する。また、Nd及び/又はPrの全部をLaで置換した場合でも、Feの一部をCo及び/又はNiで置換することにより、NdFe14B相と比較して、遜色ない高温での飽和磁化が得られる。
〈R
は、Nd、Pr、及びLa以外の一種以上である。Rは、本開示の磁性材料の磁気特性を損なわない範囲で含有を許容する一種以上の元素である。Rは、典型的には、Nd、Pr、及びLaそれぞれを含有する原材料を精製する際に、これらそれぞれと完全に分離することが困難で、原材料等に少量残留する、Nd、Pr、及びLa以外の一種以上の希土類元素である。
〈Fe〉
Feは、Nd及びBとともに上述の結晶構造を構成する主要元素である。Feの一部は、Co、Ni、及びMからなる群より選ばれる一種以上の元素で置換されていてもよい。以下、Co、Ni、及びMについて説明する。
〈Co〉
Coは、Feの一部と置換されて、主相の安定化に寄与する。これは、Coのイオン半径がFeのイオン半径よりも小さいことから、Nd及び/又はPrの一部又は全部をLaで置換して膨張した結晶を、Coによって縮小することができるためである。
Feの一部をCoで置換すると、主相のキュリー温度が上昇し、高温(403~473K)での飽和磁化の低下を抑制でき、好都合である。
〈Ni〉
上述したように、Niは鉄族元素であり、かつ、Niのイオン半径とCoのイオン半径は近接していることから、NiはCoと同等に扱うことができる。すなわち、Niは、Feの一部と置換されて、主相の安定化に寄与する。
上述したように、主相の安定化の観点からはNiはCoと同等に扱うことができる。しかし、Fe及びCoと比較すると、Niは、磁化の発現への寄与が小さい。また、Niは、Coのようにキュリー温度を上昇させることへの寄与も少ない。したがって、磁気特性、特に飽和磁化をできるだけ高めたいとき、あるいは、キュリー温度を上昇させたいときは、Niの含有割合(モル比)を小さくすることが好ましい。
〈M〉
Mは、Fe、Co、Ni、及び希土類元素以外の一種以上の元素並びに不可避的不純物元素である。Mは、本開示の磁性材料の磁気特性を損なわない範囲で含有を許容する一種以上の元素及び不可避的不純物元素である。不可避的不純物元素とは、本開示の磁性材料を製造等するに際し、その含有を回避することが避けられない、あるいは、回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物元素のことをいう。
不可避的不純物元素を除くMとしては、例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、V(バナジウム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、及びC(炭素)からなる群より選ばれる一種以上の元素等が挙げられる。これらの元素は、例えば、主相生成時に核物質を形成して、主相の微細化の促進及び/又は主相の粒成長の抑制に寄与する。
不可避的不純物元素を除くMとしては、例えば、Ga(ガリウム)、Cu(銅)、及びAl(アルミニウム)からなる群より選ばれる一種以上の元素等が挙げられる。これらの元素は、後述するRリッチ相の融点を低下させる。これによって、粉末を焼結する際に液相焼結を適用することができ、焼結体を熱間加工する際に、Rリッチ相を容易に溶融させて、主相の異方成長を促進することができる。
本開示の磁性材料は、これまで説明した元素を、次のようなモル比で含有することにより、高温で所望の飽和磁化が得られる。これについて、主相の組成を表すモル比の式((Nd、Pr)(1-x-y)La ))((Fe(1-z-w)(Co、Ni)))14Bのx、y、z、及びwを用いて説明する。
〈x〉
主相の組成を表す上式において、xの値は、Nd及び/又はPrの一部が、Laで置換されている割合(モル比)を示す。xは、次の値を満足する。
xの値が0.25以上であれば、高温で所望の飽和磁化を得ることができる。この観点からは、xの値は、0.30以上、0.35以上、0.40以上、0.45以上、又は0.50以上であってもよい。一方、xの値が1であっても、Feの一部をCo及び/又はNiで置換し、その置換率を後述する範囲にすれば、主相を安定化することができる。主相の安定化の観点からは、xの値は、0.95以下、0.90以下,0.85以下、0.80以下、0.75以下、0.70以下、0.65以下、0.61以下、0.60以下、0.55以下、又は0.52以下であってもよい。
〈y〉
主相の組成を表す上式において、yは、Nd及び/又はPrの一部がRで置換されている割合(モル比)を示す。yは次の値を満足する、
上述したように、Rは、本開示の磁性材料の磁気特性を損なわない範囲で含有を許容する一種以上の希土類元素である。このことから、zは、0.10以下、0.08以下、0.06以下、0.04以下、又は0.02以下であってよい。一方、本開示の磁性材料がRを全く含有しない、すなわち、zは0であってもよいが、本開示の磁性材料を製造する際に、原材料中にRを全く含有しないようにするのは困難である。この観点からは、zは、0.01以上であってもよい。
〈z〉
主相の組成を表す上式において、zの値は、Feの一部がCo及び/又はNiで置換されている割合(モル比)を示す。zは次の値を満足する。
上述したように、Nd及び/又はPrの一部又は全部をLaで置換することによって膨張した結晶を、Feの一部をCo及び/又はNiで置換することによって、縮小することができる。zの値が、0.15以上であれば、膨張した結晶を縮小して、主相がR14B型の結晶構造を維持することができる。この観点からは、zの値は、0.18以上、0.20以上、又は0.22以上であってもよい。
一方、Feと比較して、Co及び/又はNiは、磁気特性、特に室温での飽和磁化への寄与が小さい。zの値が、0.40以下であれば、室温での飽和磁化を実用上損なわずに、高温での飽和磁化を向上することができる。この観点からは、zの値は、0.38以下、0.36以下、0.34以下、0.32以下、0.31以下、0.30以下、0.28以下、0.26以下、0.24以下、0.22以下、0.21以下、又は0.20以下であってもよい。
〈w〉
主相の組成を表す上式において、wは、Feの一部がMで置換されている割合(モル比)を示す。上述したように、Mは、本開示の磁性材料の磁気特性を損なわない範囲で含有を許容する一種以上の元素及び不可避的不純物元素である。このことから、wは、0.10以下、0.08以下、0.06以下、0.04以下、又は0.02以下であってよい。一方、本開示の磁性材料がMを全く含有しない、すなわち、wは0であってもよいが、Mのうち、不可避的不純物元素を全く含有しないようにするのは困難である。この観点からは、wは、0.01以上であってもよい。
上述したように、NdとPrは同等と扱うことができ、CoとNiは同等に扱うことができる。このことから、主相の組成を表すモル比の式((Nd、Pr)(1-x-y)La ))((Fe(1-z-w)(Co、Ni)))14Bでは、「(Nd、Pr)」及び「(Co、Ni)」と表記して、NdとPrのモル比、及びCoとNiのモル比を特定していないが、次のように特定してもよい。
〈NdとPrのモル比〉
NdとPrのモル比は、次の関係を満たしてもよいことを、主相の組成を表すモル比の式の「(Nd、Pr)」の部分を、モル比の式「(Nd(1-p)Pr)」に代えて説明する。
上述したように、NdとPrは物性が類似する。この観点からは、pは、0以上、0.01以上、0.03以上、0.05以上、0.07以上、0.10以上、0.20以上、0.30以上、0.40以上、又は0.50以上であってよく、1以下、0.99以下、0.97以下、0.95以下、0.90以下、0.80以下、0.70以下、又は0.60以下であってよい。
pが0であるとは、NdとPrのうち、全てがNdであることを意味する。しかし、本開示の磁性材料の原材料で、NdとPrを完全に分離することは困難であることが多いこと等から、実質的には、pは0.01以上である。また、pが1であるとは、NdとPrのうち、全てがPrであることを意味する。しかし、前述の原材料に関する問題等から、実質的には、pは0.99以下である。
PrFe14B相と比べて、NdFe14B相は、幾分、磁気特性に優れる。このことから、磁性材料全体の磁気特性を特に向上させる場合には、pは、0以上、0.01以上、0.03以上、0.05以上、0.07以上、0.1以上、又は0.2以上であってもよく、0.5以下、0.4以下、又は0.3以下であってもよい。
〈CoとNiのモル比〉
CoとNiのモル比は、次の関係を満たしてもよいことを、主相の組成を表すモル比の式の「(Co、Ni)」の部分を、モル比の式「(Co(1-q)Ni)」に代えて説明する。
上述したように、CoとNiは物性が類似する。この観点からは、qは、0以上、0.01以上、0.03以上、0.05以上、0.07以上、0.10以上、0.20以上、0.30以上、0.40以上、又は0.50以上であってよく、1以下、0.99以下、0.97以下、0.95以下、0.90以下、0.80以下、0.70以下、又は0.60以下であってよい。
qが0であるとは、CoとNiのうち、全てがCoであることを意味する。しかし、本開示の磁性材料の原材料で、CoとNiを完全に分離することは困難である場合が多いこと等から、実質的には、qは0.01以上である。また、qが1であるとは、CoとNiのうち、全てがNiであることを意味する。しかし、前述の原材料に関する問題等から、実質的には、qは0.99以下である。
Coはキュリー温度を上昇させるが、Niはその寄与が少ない。また、Niと比べて、Coは飽和磁化への寄与が幾分大きい。このことから、キュリー温度を上昇させる、あるいは、磁性材料全体の飽和磁化を特に向上させる場合には、qは、0以上、0.01以上、0.03以上、0.05以上、0.07以上、0.1以上、又は0.2以上であってもよく、0.5以下、0.4以下、又は0.3以下であってもよい。
〈主相の体積率〉
本開示の磁性材料は、R14B型の結晶構造を有する主相を備えており、その主相は、上述の組成を有している。本開示の磁性材料の主相は、Nd及び/又はPrの一部又は全部がLaで置換されており、かつ、Feの一部がCo及び/又はNiで置換されていることが必須である。そのため、R14B型の結晶構造を有する主相の形成過程は、NdFe14B相の形成過程に準拠する。このことから、本開示の磁性材料は、主相のほかに、所謂Rリッチ相を備えていてもよい。Rリッチ相を備えることによって、本開示の磁性材料の主相形成時に、α-Fe相の形成を極少化できる。
α-Fe相は、軟磁性相であり、磁性材料中にα-Fe相が存在すると、見かけの飽和磁化は向上するが、保磁力は低下する。そのため、本開示の磁性材料において、α-Fe相の存在割合(体積率)は極少化しておくことが好ましい。なお、Rリッチ相とは、主相よりも希土類元素のモル比が高い相であり、典型的には、非磁性相である。Rリッチ相は、主相同士を磁気分断して、保磁力の確保に寄与する。Rリッチ相としては、例えば、NdFe14B相を備えるNd-Fe-B系磁性材料のNdリッチ相の、Ndの一部又は全部が、Pr、La、及びRからなる群より選ばれる一種以上の元素で置換されており、かつ、Feの一部が、Co、Ni、及びMからなる群より選ばれる一種以上の元素で置換されている相等が挙げられる。
Rリッチ相は、主相よりもR濃度が高い様々な組成を有する相が混合している相であるため、Rリッチ相を組成式(モル比の式)で表すことは難しい。そのため、「Rリッチ相」と一般的に呼称されている。
本開示の磁性材料は、上述の組成を有する主相を備えるが、少量のRリッチ相を備えていてもよいし、極少量のα-Fe相を備えていてもよい。α-Fe相には、Feの一部がCo、Ni、及びMからなる群より選ばれる一種以上の元素で置換されている相も含むものとする。
本開示の磁性材料の主相の体積率が、80.0%以上であれば、Rリッチ相による飽和磁化の低下を実用上問題のない範囲に抑制することができ、かつ、α-Fe相による保磁力の低下を実用上問題のない範囲に抑制することができる。この観点からは、主相の体積率は、82.0%以上、84.0%以上、86.0%以上、88.0%以上、90.0%以上、92.0%以上、94.0%、又は95.0%以上であってもよい。一方、主相の体積率は100%であってもよいが、Rリッチ相の形成によってα-Fe相の形成を抑制し、かつ、Rリッチ相が主相の周囲に存在することによって主相同士を磁気分断して、保磁力を確保することが好ましい。この観点からは、主相の体積率は、99.5%以下、99.0%以下、98.5%以下、98.0%以下、97.5%以下、97.0%以下、96.5%以下、96.0%以下、95.9%以下、又は95.5%以下であってもよい。
主相の体積率は、磁性材料の全体組成を、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES:Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)を用いて測定し、その測定値から、磁性材料が、(Nd、Pr、La、R(Fe、Co、Ni、M)14B相とRリッチ相に分相していると仮定して、主相の体積率を算出する。なお、(Nd、Pr、La、R(Fe、Co、Ni、M)14B相は、(Nd、Pr)Fe14B相、(Nd、Pr)Fe14B相のNd及び/又はPrの一部又は全部がLa及びRからなる群より選ばれる一種以上の元素で置換されている相、(Nd、Pr)Fe14B相のFeの一部がCo、Ni、及びMからなる群より選ばれる一種以上の元素で置換されている相、そして、(Nd、Pr)Fe14B相のNd及び/又はPrの一部又は全部がLa及びRからなる群より選ばれる一種以上の元素で置換されており、かつ、(Nd、Pr)Fe14B相のFeの一部がCo、Ni、及びMからなる群より選ばれる一種以上の元素で置換されている相を意味する。
〈主相の格子体積〉
主相の格子体積がNdFe14B相の格子体積と近似していると、R14B型の結晶構造を有する相を安定して維持できると考えられる。理論に拘束されないが、これは、格子体積は、結晶構造の三次元的な類似性を反映していると考えられるためである。NdFe14B相の格子体積は、0.949nmである。このことから、主相の格子体積は、0.930nm以上、0.935nm以上、0.940nm以上、又は0.945nm以上であってよく、0.955nm以下、又は0.950nm以下であってよい。主相の格子体積が上述した範囲であると、主相は、安定して、R14B型の結晶構造を維持することができる。
主相の格子体積は、次の要領で求めることができる。R-Fe-B系磁性材料をX線回折分析し、そのX線回折パターンから、面指数と格子面間隔値(d値)の関係に基づいて、a軸長さ及びc軸長さを求める。a軸長さ及びc軸長さを求める際、本開示のR-Fe-B系磁性材料の主相が、上述の結晶構造を有することから、主相は、正方晶であると仮定してよい。そのため、面指数としては、(311)面、(214)面、(313)面、(224)面、(410)面、及び(411)面を使用することができる。そして、次式に従い、格子体積を算出する。
(格子体積)=(a軸長さ)×(c軸長さ)
〈主相の密度〉
主相の密度は、結晶の結晶格子体積に反比例するのが通例である。このことから、主相の密度は、NdFe14B相の密度に近接していることが好ましい。NdFe14B相の密度は、7.23g/cmである。このことから、7.00g/cm以上、7.03g/cm以上、7.05g/cm以上、7.07g/cm以上、7.10g/cm以上、又は7.20g/cm以上であってよく、7.90g/cm以下、7.80g/cm以下、7.70g/cm以下、7.60g/cm以下、7.50g/cm以下、7.40g/cm以下、7.35g/cm以下、又は7.30g/cm以下であってよい。
主相の密度は、例えば、磁性材料を粉砕して粉末を得て、その粉末の密度を、ピクノメータ法で測定することによって得られる。
《製造方法》
次に本開示の磁性材料の製造方法(以下、「本開示の製造方法」ということがある。)について説明する。
本開示の製造方法は、溶解及び凝固工程、そして、任意で、均質化熱処理工程を含む。以下、それぞれの工程について説明する。
〈溶解及び凝固工程〉
本開示の製造方法では、上述した主相を構成する元素を含有する原材料を溶解し、凝固させ、鋳塊を得る。鋳塊を得る際、Rリッチ相を形成して、α-(Fe、Co、Ni、M)相の形成を抑制することが好ましい。α-(Fe、Co、Ni、M)相の形成を抑制することによって、磁性材料の保磁力を確保することができる。なお、α-(Fe、Co、Ni、M)相は、α-Fe相、及びα-Fe相のFeの一部がCo、Ni、及びMからなる群より選ばれる一種以上の元素で置換されている相を意味する。
Rリッチ相によって、磁性材料全体の飽和磁化は低下する。しかし、Rリッチ相を形成することによって、上述のα-(Fe、Co、Ni、M)相の形成を抑制し、かつ、Rリッチ相で主相同士を磁気分断して、磁性材料全体の保磁力を確保することができる。そのため、主相の体積率を上述の範囲にすることによって、磁性材料全体の飽和磁化を実用上問題のない範囲にすることができる。
主相の体積率を上述の範囲にするためには、原材料の配合組成での希土類元素の合計モル比を、主相での希土類元素の合計モル比以上にしておくことが好ましい。このことから、原材料の配合組成は、((Nd、Pr)(1-x-y)La ))((Fe(1-z-w)(Co、Ni)))14B(ただし、tは、2.00~3.00)であることが好ましい。このとき、x、y、z、及びwは、上述の主相の組成を表す式の、x、y、z、及びwと同じであってよい。α-(Fe、Co、Ni、M)相の発現を抑制する観点からは、tは、2.01以上、2.02以上、2.03以上、2.04以上、2.05以上、2.06以上、2.08以上、2.10以上、2.20以上、2.30以上、2.40以上、又は2.50以上がより好ましい。一方、Rリッチ相の体積率を必要最小限にする観点からは、tは、2.90以下、2.80以下、2.70以下、又は2.60以下がより好ましい。なお、製造工程中で、特定元素の減耗等がなければ、磁性材料の全体組成(主相と主相以外の相の合計)は、原材料の配合組成と実質的に同じである。
原材料の溶解及び凝固は、周知の方法を適用することができる。原材料の溶解方法としては、例えば、原材料を坩堝等の容器に装入し、原材料を容器中でアーク溶解又は高周波溶解して溶湯を得る方法が挙げられる。溶湯の凝固方法としては、例えば、溶湯をブックモールド等の鋳型に注入すること、あるいは、溶湯を坩堝中で凝固させること等が挙げられる。主相の粗大化抑制及び主相の均質化の観点等からは、溶湯の冷却速度を高めることが好ましい。そのため、溶湯をブックモールド等の鋳型に注入することが好ましい。さらに、主相の粗大化抑制及び主相の均質化を一層高める観点等からは、例えば、次の方法を適用してもよい。すなわち、原材料を容器中で高周波溶解又はアーク溶解し凝固して得た鋳塊を、再度、高周波溶解等で溶融し、その融液をストリップキャスト法及び液体急冷法等を用いて急冷し、薄片を得てもよい。
〈均質化熱処理工程〉
鋳塊中の主相を均質化するために、鋳塊を熱処理(以下、このような熱処理を「均質化熱処理」ということがある。)してもよい。ストリップキャスト法及び液体急冷法等を用いて急冷して得た薄片を、均質化熱処理してもよい。
均質化熱処理の温度は、例えば、1273K以上、1323K以上、又は1373K以上であってよく、1573K以下、1523K以下、1473K以下、又は1423K以下であってよい。均質化熱処理時間は、例えば、6時間以上、12時間以上、18時間以上、又は24時間以上であってよく、48時間以下、42時間以下、36時間以下、又は30時間以下であってよい。
鋳塊の酸化を抑制するため、均質化熱処理は、不活性ガス雰囲気中で行われることが好ましい。不活性ガス雰囲気には、窒素ガス雰囲気を含む。
〈粉砕工程〉
均質化熱処理の前又は後で、鋳塊を粉砕してもよい。典型的には、均質化熱処理後に、鋳塊を粉砕する。
鋳塊の粉砕は、周知の方法を適用することができる。粉砕方法としては、例えば、カッターミル、ボールミル、及びジェットミル等を用いる方法等が挙げられる。これらの方法を組み合わせてもよい。
鋳塊の粉砕は、不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。これにより、鋳塊及び粉砕後の粉末が酸化することを抑制できる。不活性ガス雰囲気には、窒素ガス雰囲気が含まれる。粉砕後の粉末の粒径としては、D50で、5μm以上、10μm以上、又は15μm以上であってよく、50μm以下、40μm以下、30μm以下、25μm以下、又は20μm以下であってよい。
《変形》
本開示の磁性材料及びその製造方法は、これまで説明した実施形態に限られず、特許請求の範囲に記載された範囲内で、適宜、変形を加えてもよい。例えば、本開示の磁性材料は、粉末であってもよいし、その粉末の成形体であってもよい。成形体は、ボンド成形体であってもよいし、焼結成形体であってもよい。ボンド成形体は、典型的には、樹脂ボンド成形体等が挙げられる。焼結方法は、主相の粒径等によって、例えば、無加圧焼結及び加圧焼結等を適宜選択することができる。
以下、本開示の磁性材料及びその製造方法を実施例、比較例、及び従来例により、さらに具体的に説明する。なお、本開示の磁性材料及びその製造方法は、以下の実施例で用いた条件等に限定されるものではない。
《試料の準備》
磁性材料の試料を次の要領で準備した。
金属Nd、Ce-Fe合金、金属La、金属Pr、金属Fe、金属Co、金属Ni、Fe-B合金、金属Ga、及び金属Cuを、主相が表2の組成になるように配合し、これを高周波溶解し、凝固させて、磁性材料鋳塊を得た。原材料粉末の配合の際には、主相の体積率が95~100%になるように、主相でのNd、Ce、La、及びPrの合計モル数よりも、Nd、Ce、La、及びPrの合計配合モル数を多くした。なお、本明細書において、例えば、「金属Nd」は合金化されていないNdを意味する。金属Ndには、不可避的不純物を含有してもよいことは、もちろんである。
アルゴンガス雰囲気中で、磁性材料鋳塊を、1398Kで24時間にわたり、均質化熱処理した。
均質化熱処理後の磁性材料鋳塊をグローブボックス内に装入し、アルゴンガス雰囲気中で、カッターミルを用いて、磁性材料鋳造塊を粉砕した。粉砕後の磁性材料粉末の粒径は、D50で、20μm以下であった。
《評価》
各試料について、主相の組成、体積率、密度、及び格子体積を、上述した測定方法で求めた。また、各試料について、物理特性処理システムPPMS(登録商標)-VSMを用い、最大磁場9Tを負荷して、磁気特性を測定した。磁気特性の測定に関しては、各試料粉末を、エポキシ樹脂中で磁場配向させつつ固化させ、固化後の各試料の磁気特性を、300~453Kで、磁化容易軸方向及び磁化困難軸方向について測定した。磁化容易軸方向についての測定値から、飽和漸近則を用いて飽和磁化Msを算出した。また、磁化困難軸方向についての測定値から、SPD(Singular Point Detection)法を用いて異方性磁界Haを求めた。
結果を表2に示す。表2中、「R14B相」は、「R14B型の結晶構造を有する相」を意味する。表2には、参考値として、単位温度当たりの飽和磁化変化率(%/K)を併記した。単位温度当たりの飽和磁化変化率は、磁性材料が室温(300K)から453Kに上昇したときの飽和磁化の変化の割合を、1K当たりで評価したもので、次の式(1)で算出することができる。
〔{(Ms(453K)-Ms(300K))/Ms(300K)}/(453K-300K)〕×100 ・・・式(1)
ただし、Ms(300K):300Kでの飽和磁化
Ms(453K):453Kでの飽和磁化
図1は、Nd及びPrの使用量削減割合と高温(453K)での飽和磁化Msの関係を示すグラフである。図2は、実施例4及び実施例5並びに比較例2について、温度と飽和磁化Msの関係を示すグラフである。なお、Nd及びPrの使用量削減割合は、上述の主相の組成を表す式の1-x-yに相当する。
Figure 0007294288000002

Figure 0007294288000003
Figure 0007294288000004
Figure 0007294288000005
Figure 0007294288000006
Figure 0007294288000007
図2から、比較例8(NdFe14B相)の試料は、温度の上昇によって急激に飽和磁化が低下しているが、Ndの一部又は全部がLaで置換されており、かつ、Feの一部がCoで置換されている実施例4及び実施例5の試料は、温度の上昇による飽和磁化の低下が緩やかであることを理解できる。そして、図1において、実施例4(Ndの全部がLaで置換されており、かつ、Feの一部がCoで置換されている試料)と比較例8(NdFe14B相)を結ぶ破線は、Nd及びPrの使用量削減割合(Laの含有割合)が増加するにしたがって、高温での飽和磁化の低下が予測される線である。実施例1~8のいずれの試料も、高温での飽和磁化が破線で示す値以上である。このことから、実施例1~8のいずれの試料においても、高温での飽和磁化の低下を実用上問題ない範囲に抑制されているか、あるいは、高温での飽和磁化が一層向上していることを理解できる。
一方、表2及び図1から、比較例1~13の試料は、R14B型の結晶構造を有する相が形成されていないか、R14B型の結晶構造を有する相が形成されていても、高温での飽和磁化が良好でないことを理解できる。これは、比較例1~13の試料は、Ndの一部がLaで置換されていないか、Laで置換されていても、その置換率が適切でない、あるいは、Feの一部がCoで置換されていないか、置換されていても、その置換率が適切でないためであることを理解できる。
以上の結果から、本開示の磁性材料及びその製造方法の効果を確認できた。

Claims (7)

  1. 14B型の結晶構造を有する主相(ただし、Rは希土類元素であり、Tは遷移金属元素である。)を備え、
    前記主相が、モル比の式((Nd、Pr)(1-x-y)La ))((Fe(1-z-w)(Co、Ni)))14B(ただし、Rは、Nd、Pr、及びLa以外の一種以上の希土類元素であり、Mは、Fe、Co、Ni、及び希土類元素以外の一種以上の元素並びに不可避的不純物元素であり、0.25≦x≦1.00、0≦y≦0.10、0.15≦z≦0.40、及び0≦w≦0.1)で表される組成を有する、
    磁性材料。
  2. 前記xが、0.25≦x≦0.61を満足する、請求項1に記載の磁性材料。
  3. 前記主相の体積率が、80.0~100%である、請求項1又は2に記載の磁性材料。
  4. 前記主相の格子体積が、0.930~0.955nmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の磁性材料。
  5. 前記主相の密度が、7.00~7.90g/cmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の磁性材料。
  6. 請求項1に記載の磁性材料の製造方法であって、
    前記主相を構成する元素を含有する原材料を溶解し、凝固させること、
    を含む、磁性材料の製造方法。
  7. 前記原材料を溶解し、凝固させて得た鋳塊を、1273~1573Kで6~72時間にわたり熱処理する、請求項6に記載の方法。
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