JP7293791B2 - 光学装置、画像読取装置、および画像形成装置 - Google Patents

光学装置、画像読取装置、および画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学装置、画像読取装置、および画像形成装置に関する。
特許文献1には、複数のレンズが列状に並び、かつ光入射用の複数の第1のレンズ面および光出射用の複数の第2のレンズ面を有する少なくとも1つのレンズアレイと、各レンズの軸長方向に貫通した複数の貫通孔を有しており、かつこれら複数の貫通孔が各第1のレンズ面の正面に位置するようにしてレンズアレイの正面を覆う第1の遮光マスクと、を備えている、レンズアレイユニットであって、各レンズの軸長方向に貫通した複数の貫通孔を有しており、かつこれら複数の貫通孔が各第2のレンズ面の背後に位置するようにレンズアレイの背後に配された第2の遮光マスクをさらに備えることが開示されている。
特開2003-302504号公報
ところで、光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えるレンズ体に対して、例えば迷光を抑制するため、レンズを通る光の一部を遮る遮光体を設けることがある。また、このような遮光体としては、各レンズに対応する位置に光を通す貫通孔を設ける構成が知られている。ここで、レンズ体におけるレンズ間の距離を小さくしようとすると、遮光体における貫通孔間の距離も小さくすることが必要となる。しかしながら、貫通孔間の距離を小さくすると、遮光体の成形不良が発生しやすくなる。
そこで、本発明では、遮光体に複数の貫通孔が形成される場合と比較して、光の通過を遮る構成における成形不良を抑制することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えるレンズ体と、前記レンズ体に対して配置され、前記複数のレンズのうちの予め定めた間隔に位置する一部のレンズの光軸上に位置し光を透過させる複数の透過部と、当該透過部の表面にて、当該複数のレンズにおけるレンズ同士の間に設けられ、光の通過を遮る遮光部とを有する透過体とを有し、前記複数の透過部における透過部同士の間には、前記複数のレンズのうちの前記一部のレンズ以外の他のレンズの光軸上に位置する空間が形成され、前記透過体は、前記他のレンズの光軸に沿う方向において前記空間とは異なる位置に光を透過させる複数の他の透過部を有し、且つ、当該複数の他の透過部における他の透過部同士の間であって、前記一部のレンズの光軸に沿う位置に他の空間が形成される光学装置である。
請求項2に記載の発明は、前記レンズは、前記他のレンズよりも曲率が大きいことを特徴とする請求項記載の光学装置である。
請求項に記載の発明は、前記透過体は、前記他の透過部の表面に設けられ、光の通過を遮る他の遮光部を有することを特徴とする請求項記載の光学装置である。
請求項に記載の発明は、前記複数の他の透過部の各々は、前記複数のレンズの並び方向において、前記複数の透過部のいずれかと連続する部分を有することを特徴とする請求項記載の光学装置である。
請求項に記載の発明は、前記複数のレンズは、互いに沿う第1列および第2列に並べて設けられ、前記透過体は、前記第1列のレンズの光軸からずれた位置で当該第1列のレンズの並ぶ方向である並び方向に沿って設けられる第1基部と、当該第1基部から当該並び方向と交差する交差方向に突出し当該第1列のレンズの光軸上に位置する複数の第1透過部とを有する第1透過体と、前記第2列のレンズの光軸からずれた位置で、前記第1列のレンズおよび当該第2列のレンズを挟んで前記第1基部とは反対側に前記並び方向に沿って設けられる第2基部と、当該第2基部から前記交差方向に突出し当該第2列のレンズの光軸上に位置する複数の第2透過部とを有する第2透過体とを有することを特徴とする請求項1記載の光学装置である。
請求項に記載の発明は、前記遮光部は、前記第1列および前記第2列の並び方向におけるレンズ同士の間、および当該第1列と当該第2列との間に設けられることを特徴とする請求項記載の光学装置である。
請求項に記載の発明は、前記第1透過体における前記第1透過部の先端は、前記第2透過体における前記第2透過部の先端と接触して設けられることを特徴とする請求項記載の光学装置である。
請求項に記載の発明は、前記第1透過体における前記第1透過部の先端および前記第2透過体における前記第2透過部の先端は、平坦であることを特徴とする請求項記載の光学装置である。
請求項に記載の発明は、前記レンズの光軸に沿う方向において、前記第1透過体および前記第2透過体を挟んで前記レンズ体と反対側に設けられ、当該第1透過体および当該第2透過体の対向する領域を覆う覆い部材を有することを特徴とする請求項記載の光学装置である。
請求項10に記載の発明は、前記覆い部材は、前記複数のレンズの各光軸上に光を通過させる通過領域を有することを特徴とする請求項記載の光学装置である。
請求項11に記載の発明は、前記覆い部材は、前記レンズの光軸に沿う方向において、前記第1透過体および前記第2透過体よりも厚さが薄いことを特徴とする請求項10記載の光学装置である。
請求項12に記載の発明は、前記遮光部は、前記透過部の表面を塗装して設けられた塗装部材を有することを特徴とする請求項1記載の光学装置である。
請求項13に記載の発明は、前記透過部における前記塗装部材により覆われている表面は、当該塗装部材により覆われない当該透過部の表面よりも、表面が粗いことを特徴とする請求項12記載の光学装置である。
請求項14に記載の発明は、各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えるレンズ体と、前記レンズ体に対して配置され、前記複数のレンズのうちの一部のレンズの光軸上に位置し光を透過させる複数の透過部と、当該透過部の表面に設けられ、光の通過を遮る遮光部とを有する透過体と、を備え、前記複数のレンズは、互いに沿う第1列および第2列に並べて設けられ、前記第1列のレンズの各々と前記第2列のレンズの各々とは前記並び方向において互いにずれて配置され、前記複数の透過部の各々は、前記複数のレンズの並び方向と交差する交差方向に突出し、前記第1列のレンズの光軸および前記第2列のレンズの光軸と交差し、当該第1列のレンズの光軸と交差する部分および当該第2列のレンズの光軸と交差する部分が連続する部分において屈曲する光学装置である。
求項15に記載の発明は、原稿に対して光を照射する照射部と、各々の光軸が互いに沿うように並べられ、原稿から反射した光を通す複数のレンズを備えるレンズ体と、前記レンズ体に対して配置され、前記複数のレンズのうちの予め定めた間隔に位置する一部のレンズの光軸上に位置し光を透過させる複数の透過部と、当該透過部の表面にて、当該複数のレンズにおけるレンズ同士の間に設けられ、光の通過を遮る遮光部とを有する透過体と、前記複数のレンズを通る光を受光する受光部とを有し、前記複数の透過部における透過部同士の間には、前記複数のレンズのうちの前記一部のレンズ以外の他のレンズの光軸上に位置する空間が形成され、前記透過体は、前記他のレンズの光軸に沿う方向において前記空間とは異なる位置に光を透過させる複数の他の透過部を有し、且つ、当該複数の他の透過部における他の透過部同士の間であって、前記一部のレンズの光軸に沿う位置に他の空間が形成される画像読取装置である。
請求項16に記載の発明は、原稿に対して光を照射する照射部と、各々の光軸が互いに沿うように並べられ、原稿から反射した光を通す複数のレンズを備えるレンズ体と、前記レンズ体に対して配置され、前記複数のレンズのうちの予め定めた間隔に位置する一部のレンズの光軸上に位置し光を透過させる複数の透過部と、当該透過部の表面にて、当該複数のレンズにおけるレンズ同士の間に設けられ、光の通過を遮る遮光部とを有する透過体と、前記複数のレンズを通る光を受光する受光部と、前記受光部が受光した光に基づいて画像を形成する画像形成部とを有し、前記複数の透過部における透過部同士の間には、前記複数のレンズのうちの前記一部のレンズ以外の他のレンズの光軸上に位置する空間が形成され、前記透過体は、前記他のレンズの光軸に沿う方向において前記空間とは異なる位置に光を透過させる複数の他の透過部を有し、且つ、当該複数の他の透過部における他の透過部同士の間であって、前記一部のレンズの光軸に沿う位置に他の空間が形成される画像形成装置である。
請求項1の発明によれば、遮光体に複数の貫通孔が形成される場合と比較して、光の通過を遮る構成における成形不良を抑制することができる
求項の発明によれば、各レンズを通る光の光路差が抑制される。
請求項の発明によれば、透過体を構成する部品を共通化できる。
請求項の発明によれば、他の透過部が複数のレンズの並び方向において、複数の透過部と連続しない場合と比較して、迷光をより抑制できる。
請求項の発明によれば、レンズの列が複数である構成において、迷光を抑制できる。
請求項の発明によれば、レンズの列が複数である構成において、迷光を抑制できる。
請求項の発明によれば、レンズの列が複数である構成において、迷光を抑制できる。
請求項の発明によれば、第1透過部の先端および第2透過部の先端が平坦でない場合と比較して、迷光をより抑制できる。
請求項の発明によれば、覆い部材を有しない場合と比較して、迷光をより抑制できる。
請求項10の発明によれば、覆い部材が通過領域を有しない場合と比較して、迷光がより抑制される。
請求項11の発明によれば、レンズの光軸に沿う方向において、覆い部材が第1遮光体および第2遮光体よりも厚い場合と比較して、光学装置の寸法を抑制できる。
請求項12の発明によれば、遮光部が塗装して設けられない場合と比較して、遮光部の形成が容易となる。
請求項13の発明によれば、透過部における前記塗装部材により覆われている表面が滑らかな場合と比較して、透過部内で光が反射することが抑制される。
請求項14の発明によれば、レンズの配置が密である構成において、迷光を抑制できる。
請求項15の発明によれば、遮光体に複数の貫通孔が形成される場合と比較して、光の通過を遮る構成における成形不良を抑制することができる。
請求項16の発明によれば、遮光体に複数の貫通孔が形成される場合と比較して、光の通過を遮る構成における成形不良を抑制することができる。
本実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成図である。 本実施の形態が適用される原稿読取装置の概略構成図である。 本実施の形態が適用されるレンズアレイユニットの分解斜視図である。 第1壁部材の斜視図である。 (a)および(b)は、第1壁部材の構成を説明するための図である。 (a)および(b)は、遮光膜の構成を説明するための図である。 遮光壁の配置を説明するための図である。 (a)および(b)は、壁部材の変形例を説明する図である。 壁部材の他の変形例を説明する図である。 (a)および(b)は、壁部材の他の変形例を説明する図である。 壁部材の他の変形例を説明する図である。 (a)乃至(d)は、第1遮光フィルムの変形例を示す図である。 (a)および(b)は、第1遮光フィルムの形状を変化させたシミュレーション結果を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
<画像形成装置100>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置100の概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、原稿Gの情報を読み取る原稿読取装置1と、原稿読取装置1で読み取った原稿の情報(読取画像)に基づいて画像を記録紙Sに形成する画像形成部2と、画像形成部2に供給する記録紙Sを送り出す給紙部3とを備えている。この画像形成装置100では、画像形成部2と給紙部3とを本体101の内部に収容する一方で、本体101の上方に原稿読取装置1を配置している。本体101は、その上面部に、画像が形成された記録紙Sを排出して収容する排出収容部102を有する。
原稿読取装置1は、筐体103を有する。また、原稿読取装置1は、筐体103の上面部に、原稿Gを置く光透過性の原稿台105と、その原稿台105を覆うとともに筐体103に対して開閉操作できる原稿カバー106とを有する。原稿カバー106には、原稿Gを読取位置まで搬送するとともに読み取り後の原稿Gを排出する自動原稿搬送部107と、自動原稿搬送部107により送られる原稿Gを搭載する原稿トレイ108と、自動原稿搬送部107から排出される原稿Gを収容する収容部109とが設けられている。
画像形成部2は、例えば電子写真方式にて、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のトナー像を形成する像形成ユニット20と、その像形成ユニット20で形成されたトナー像を記録紙Sに転写するまで搬送する中間転写ユニット26と、中間転写ユニット26から記録紙Sに転写したトナー像を定着させる定着ユニット27とを備えている。
給紙部3は、予め定めたサイズ、種類などからなる複数枚の記録紙Sを搭載可能な引き出し式の収容体31と、収容体31に収容される記録紙Sを1枚ずつ搬送路に送り出す送出装置32とを有する。給紙部3と画像形成部2との間には、給紙部3から送り出された記録紙Sを二次転写位置まで搬送する供給搬送路28が配置されている。
次に、画像形成装置100の基本的な動作について説明をする。
まず、原稿読取装置1では、ユーザによって原稿台105と原稿トレイ108のいずれか一方に原稿Gが置かれる。そして、ユーザが操作ボタン(不図示)などを操作することで、原稿読み取りの指示を受け付けると、原稿Gの読み取り動作が開始される。すなわち、原稿読取装置1が原稿Gの読み取り情報を取得する。そして、画像形成部2が、原稿読取装置1から受信した原稿Gの読み取り情報に基づいて、画像形成動作を実行する。この際、画像形成部2の動作にあわせて、給紙部3から記録紙Sが送り出される。そして、記録紙Sは、画像形成部2にてトナー像が定着された後、排出収容部102へと排出される。以上の画像形成の動作は、原稿Gの枚数や画像形成枚数に応じた分だけ同様に繰り返される。
<原稿読取装置1>
図2は、本実施の形態が適用される原稿読取装置1の概略構成図である。
次に、図2を参照しながら、本実施の形態が適用される原稿読取装置1について説明をする。図2に示すように、原稿読取装置1は、透明板70と、透明板70を支持する合成樹脂製のケース71と、ケース71の底面部に組み付けられた基板72とを備えている。基板72の表面上には、主走査方向(紙面と直交する方向)に間隔を隔てて列状に並べられた複数の点状の光源73と、これら複数の光源73と同方向に並べられた複数の受光素子74とが設けられている。各光源73は、例えば発光ダイオードを用いて構成されている。各受光素子74は、光電変換機能を有するものであり、光を受けると、その受光量に対応した出力レベルの信号、具体的には画像信号を出力する。
ここで、原稿読取装置1は、透明板70と各受光素子74との間に、レンズアレイユニット10を備えている。レンズアレイユニット10の詳細な構成は後述するが、図示のレンズアレイユニット10は、ケース71に設けられた凹溝75内に配置されている。また、図示の透明板70の表面部のうち、レンズアレイユニット10に対向する部分は、主操作方向に延びる画像読み取り領域Laとなっている。この画像読み取り領域Laには、各光源73から光が照射される。
原稿読取装置1においては、自動原稿搬送部107(図1参照)によって透明板70の表面上に導かれた原稿Gに対して、光源73からの光が照射される。原稿Gに照射された光の反射光は、レンズアレイユニット10に向けて進行する。すると、レンズアレイユニット10の作用によって、画像読み取り領域Laにおける原稿Gの1ライン分の画像が、複数の受光素子74上に正立等倍で結像する。このため、複数の受光素子74からは、原稿Gの画像に対応する1ライン分の画像信号が出力される。このような読み取り処理は、原稿Gが例えば自動原稿搬送部107が有するプラテンローラ77によって副走査方向に搬送される過程において、複数回にわたって繰り返し実行される。
なお、以下の説明においては、画像読み取り領域Laから受光素子74に向かう方向、すなわち図2における上下方向を光軸方向ということがある。
<レンズアレイユニット10>
図3は、本実施の形態が適用されるレンズアレイユニット10の分解斜視図である。
次に、図3を参照しながら、本実施の形態が適用されるレンズアレイユニット10について説明をする。
図3に示すように、レンズアレイユニット10は、第1遮光フィルム110と、遮光壁130と、第2遮光フィルム150と、第1レンズアレイ170と、第2レンズアレイ180と、第3遮光フィルム190とを有する。さらに説明をすると、図示の例のレンズアレイユニット10においては、第1遮光フィルム110、遮光壁130、第2遮光フィルム150、第1レンズアレイ170、第2レンズアレイ180、および第3遮光フィルム190がこの順で積層されるとともに、接着剤などによって互いに接着され一体化している。以下、レンズアレイユニット10が有する各部材について説明をする。
まず、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180について説明をする。
第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180は、各々略直方体状の部材である。さらに説明をすると、図示の第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180は、1対のレンズ部材であり、互いに一致する形状である。
第1レンズアレイ170は、略直方体状の第1支持体171と、第1支持体171の表裏面に形成された複数の第1レンズ173とを有する。複数の第1レンズ173は、各々の光軸が互いに平行になるように構成されている。また、複数の第1レンズ173は、主走査方向に沿った第1列R71および第2列R72に並べて設けられる。ここで、複数の第1レンズ173は、千鳥状に配置されている。すなわち、第1列R71を構成する第1レンズ173と、第2列R72を構成する第1レンズ173とは、主走査方向において互いにずれて配置されている。なお、第1列R71における第1レンズ173は、予め定めた間隔、すなわちピッチで配置されている。また、第2列R72における第1レンズ173は、第1列R71と同一の間隔で配置されている。
第2レンズアレイ180は、略直方体状の第2支持体181と、第2支持体181の表裏面に形成された複数の第2レンズ183とを有する。複数の第2レンズ183は、各々の光軸が互いに平行になるように構成されている。また、複数の第2レンズ183は、主走査方向に沿った第1列R81および第2列R82に並べて設けられる。ここで、複数の第2レンズ183は、千鳥状に配置されている。すなわち、第1列R81を構成する第2レンズ183と、第2列R82を構成する第2レンズ183とは、主走査方向において互いにずれて配置されている。なお、第1列R81における第2レンズ183は、予め定めた間隔で配置されている。また、第2列R82における第2レンズ183は、第1列R81と同一の間隔で配置されている。
図示の例においては、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180は、第1レンズ173および第2レンズ183の各々が互いに対向するように配置される。さらに説明をすると、第1レンズ173の光軸と第2レンズ183の光軸とが一致するように揃えて配置されている。また、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180の各々は、例えば透光性を有する光学樹脂を用いて射出成形することにより、一体的に形成される。なお、以下の説明において、第1レンズ173の光軸と第2レンズ183の光軸とを区別する必要がない場合、単に「第1レンズ173の光軸」と呼ぶことがある。
次に、第1遮光フィルム110、第2遮光フィルム150、および第3遮光フィルム190について説明をする。第1遮光フィルム110、第2遮光フィルム150、および第3遮光フィルム190は、各々長尺状の薄板部材である。図示の例における第1遮光フィルム110、第2遮光フィルム150、および第3遮光フィルム190は、互いに一致する形状である。
第1遮光フィルム110は、平面視略長方形状の第1板面111を有する。この第1板面111には、複数の第1貫通孔113が形成されている。ここで、各第1貫通孔113は、略円形である。また、各第1貫通孔113の位置は、第1レンズ173および第2レンズ183に対応する。すなわち、各第1貫通孔113は、第1レンズ173の光軸が通過する位置に形成されている。また、第1貫通孔113は、主走査方向に沿った第1列R11および第2列R12に並べて設けられる。
図示の例においては、第1遮光フィルム110は、遮光壁130よりも、厚さが薄い。すなわち、第1遮光フィルム110は、遮光壁130よりも光軸方向の寸法が小さい。また、第1遮光フィルム110は、例えば黒色顔料を混ぜた樹脂材料(例えば、アクリル樹脂)により形成されている。この第1遮光フィルム110は、第1レンズ173および第2レンズ183の結像に寄与しない構成を遮断する。さらに説明をすると、第1遮光フィルム110は、光軸方向において遮光壁130を挟んで第1レンズ173および第2レンズ183とは反対側、言い替えると遮光壁130の上面に設けられ、遮光壁130に進入する光の一部を遮断する。この第1遮光フィルム110は、後述する第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bの対向する領域を覆う覆い部材の一例である。
上記のように第1遮光フィルム110、第2遮光フィルム150、および第3遮光フィルム190は、互いに一致する形状であるため、詳細な説明は省略するが、第2遮光フィルム150は、複数の第2貫通孔153が形成された第2板面151を有する。ここで、各第2貫通孔153は、第1レンズ173の光軸が通過する位置に形成されている。また、第2貫通孔153は、第1列R51および第2列R52に並べて設けられる。
また、第3遮光フィルム190は、複数の第3貫通孔193が形成された第3板面191を有する。ここで、各第3貫通孔193は、第1レンズ173の光軸が通過する位置に形成されている。また、第3貫通孔193は、第1列R91および第2列R92に並べて設けられる。
<遮光壁130>
図4は、第1壁部材131Aの斜視図である。
図5(a)および(b)は、第1壁部材131Aの構成を説明するための図である。より詳細には、図5(a)は第1壁部材131Aの上面図であり、図5(b)は第1壁部材131Aの正面図である。なお、図5(a)においては、後述する第2段F2の突出部137の記載を省略している。
次に、図3乃至図5(a)および(b)を参照しながら、遮光壁130について説明をする。
図3に示すように、遮光壁130は、各々略直方体状の2つの壁部材131、すなわち第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bを並べて構成される。さらに説明をすると、遮光壁130は、第1レンズ173の光軸を挟んで互いに対向して設けられる第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bを有する。
第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bの各々は、透光性を有する光学樹脂により形成されている。例えば、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは、射出成形をすることよって、各々一体的に形成される。図示の例の第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180と同一の材料、例えばアクリル樹脂により形成されている。このことにより、湿度や温度が変化した場合においても、レンズアレイユニット10の光学性能の変化を小さくし得る。
第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは同一の構造の部材である。そこで、以下においては、第1壁部材131Aを例に詳細な構造を説明する。
図4および図5(a)に示すように、第1壁部材131Aは、長手方向が主走査方向に沿って配置される略直方体状の部材である。また、詳細は後述するが、第1壁部材131Aは、第1壁部材131Aの外面の一部に光を遮断する遮光膜139を有する。
第1壁部材131Aは、例えば、主走査方向の長さL1が300mmであり、光軸方向の長さL2が2.5mmであり、副走査方向の長さL3が3mmである。第1壁部材131Aは、法線が副走査方向に沿う面である第1側面133を有する。なお、この第1側面133は、第1壁部材131Aにおいて第2壁部材131Bと対向する面である。
この第1壁部材131Aは、第1側面133から副走査方向に凹む複数の凹部135を有する。この複数の凹部135は、略直方体状、より具体的には略立方体状の空間を各々形成する。さらに説明をすると、凹部135は、光軸方向に見て略矩形状の空間を形成する。また、複数の凹部135は、予め定めた間隔で主走査方向に複数並べて設けられる。また、複数の凹部135は、主走査方向における位置を互いにずらして複数段となるように形成されている。具体的には、複数の凹部135は、光軸方向に重なる第1段F1と第2段F2とに分かれて形成されている。そして、複数の凹部135の各々は、第1レンズ173の光軸が通過する位置に形成されている。
ここで、図4に示すように、第1側面133に複数の凹部135が形成された第1壁部材131Aは、長手方向が主走査方向に沿って伸びる基部132と、基部132から副走査方向に突出する複数の突出部137とを有する構成として捉えることができる。なお、基部132とは、凹部135の底面138を結ぶ主走査方向に沿う仮想面から突出部137と反対の側の部分をいう。図示の例においては、基部132は略長方体状の部分である。また、突出部137は、略直方体状、より具体的には略立方体状の部分である。さらに説明をすると、突出部137は、各々光軸方向に見て略矩形状の部分である。また、突出部137は、主走査方向において予め定められた間隔で配置されている。また、突出部137は、主走査方向における位置を互いにずらして複数段、すなわち第1段F1と第2段F2に分けて形成されている。
付言すると、第1壁部材131Aを第1段F1と第2段F2とで共通する構成とすることにより、部品の共通化が図られる。さらに説明をすると、第1壁部材131Aを上記のような一体形状ではなく、第1段F1と第2段F2とを別部材として構成すると、例えば共通の部品を重ねることで第1壁部材131Aを形成し得る。
次に、凹部135および突出部137の位置関係について説明をする。図5(b)に示すように、第1段F1および第2段F2の各々において、主走査方向に沿って凹部135および突出部137が交互に並べられた配置となる。ここで、第1段F1の突出部137の各々は、第2段F2の突出部137のいずれかと連続して設けられる。具体的に説明をすると、例えば第1段F1の第1突出部137Aは、主走査方向において第1突出部137Aを挟む位置に設けられる第2段F2の第2突出部137Bおよび第3突出部137Cと、隅部C1および隅部C2を介して連続して設けられる。このことにより、1の凹部135から他の凹部135に光が直接進入することが抑制される。
また、図5(b)に示すように、光軸方向においては、1つの突出部137と1つの凹部135とが並べられた構成となる。したがって、第1レンズ173の光軸の各々は、第1段F1において突出部137および凹部135におけるいずれか一方を通り、第2段F2において突出部137および凹部135における他方を通る。さらに説明をすると、第1段F1において突出部137を通過する光軸は、第2段F2において凹部135を通過する。また、第1段F1において凹部135を通過する光軸は、第2段F2において突出部137を通過する。このことにより、各光軸の光路長が互いに一致する。
次に、再び図4を参照しながら、第1壁部材131Aにおける各部分の寸法の例について説明をする。図示の例においては、副走査方向における凹部135の深さ、言い替えると副走査方向における突出部137の突出量である長さL4は0.4mmである。また、主走査方向における各凹部135の長さL5は0.5mmである。また、主走査方向における各突出部137の長さL6は0.5mmである。すなわち、凹部135および突出部137は、主走査方向における長さが一致する。また、凹部135および突出部137の各々における主走査方向の長さは、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180におけるレンズピッチと一致する。つまり、主走査方向における凹部135同士の間隔、および突出部137同士の間隔は、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180におけるレンズピッチと一致する。
<遮光膜139>
図6(a)および(b)は、遮光膜139の構成を説明するための図である。より詳細には、図6(a)は図5(a)のVIA―VIAにおける断面図であり、図6(b)は図5(a)のVIB―VIBにおける断面図である。
次に、図5(a)および(b)、図6(a)および(b)を参照しながら、第1壁部材131Aの表面の一部に設けられる遮光膜139について説明をする。
なお、図5(a)に示すように、突出部137は、突出部137の先端に位置し第2壁部材131B(図3参照)と対向する対向面134を有する。ここで、突出部137の対向面134は、第1側面133の一部を構成する面であり、平坦な面である。また、凹部135は、内側面136と底面138とを有する。凹部135の内側面136は、法線が主走査方向に沿う面である。凹部135の底面138は、法線が副走査方向に沿う面である。
さて、図5(a)に示すように、第1壁部材131Aにおける内側面136および対向面134は、遮光膜139によって覆われている。また、第1壁部材131Aにおける内側面136および対向面134以外の部分は、遮光膜139によって覆われていない。このような構成とすることにより、第1壁部材131Aは、例えば光が光軸方向に突出部137を透過するなど、光が光軸方向に進むことを許容しながら、後述するように迷光が生じることを抑制する。
さらに説明をすると、図6(a)に示すように、内側面136は遮光膜139によって覆われている。このことにより、凹部135側から突出部137側に向けて光LP1が透過することが制限される。また、突出部137側から凹部135側に向けて光LP2が透過することが制限される。言い替えると、主走査方向において隣り合う光軸に向けて光LP1およびLP2が進行することを制限する。
さらに、内側面136の表面粗さは、第1壁部材131Aにおける他の部分、例えば底面138よりも粗い。このことにより、突出部137と遮光膜139との界面である内側面136において、突出部137から外に向かう光LPが正反射することが抑制される。なお、表面粗さとは、表面の粗さを規定するものであり、例えば日本工業規格(JIS)に規定される粗さ曲線の算術平均粗さ(Ra)である。また、内側面136は、射出成形の型の対応部分に予め形成された凹凸によって、粗面化されてもよい。また、内側面136は、例えばブラスト処理などによって、粗面化されてもよい。
また、詳細な説明は省略するが、突出部137の対向面134は遮光膜139によって覆われている。また、対向面134の表面粗さは、底面138よりも粗い。このことにより、突出部137と遮光膜139との界面である対向面134において、突出部137から外に向かう光が正反射することが抑制される。
一方で、図6(b)に示すように、底面138は、遮光膜139によって覆われない。このことにより、凹部135側から基部132側に光LP3が透過することが許容される(図中光LP4参照)。言い替えると、副走査方向において光LP3が進行することが許容される。このことにより、底面138に入射した光LP3が正反射し迷光となることが抑制される。なお、図示の例における遮光膜139は、例えば樹脂などを塗装することにより第1壁部材131Aに設けられる。
<遮光壁130の配置>
図7は、遮光壁130の配置を説明するための図である。
次に、図7を参照しながら、遮光壁130の配置を説明する。
まず、図7に示すように、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは、互いに凹部135が形成された面である第1側面133(図4参照)を対向させて配置される。さらに説明をすると、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは、互いの突出部137の対向面134を突き当てて配置される。そして、図7に示すように光軸方向に沿って見ると、凹部135および突出部137は、各々第1レンズ173と一致する位置に配置される。
このように構成された第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは、第1レンズ173および第2レンズ183の結像に寄与しない光を遮断する。さらに説明をすると、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bにおいては、内側面136の遮光膜139が、主走査方向に進む光を遮断する壁を形成する。この内側面136の遮光膜139により、光軸とは交差する向き、言い替えると角度がついて第1レンズ173および第2レンズ183に入射する光が遮断される。したがって、第1レンズ173および第2レンズ183のうちの1つのレンズから主走査方向において隣接する他のレンズに入る光が低減される。なお、内側面136は、第1レンズ173および第2レンズ183におけるレンズ同士の間に位置する面である。
また、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bにおいては、対向面134の遮光膜139が、副走査方向に進む光を遮断する壁を形成する。この対向面134の遮光膜139により、光軸とは交差する向き、言い替えると角度がついて第1レンズ173および第2レンズ183に入射する光が遮断される。なお、対向面134は、複数の第1レンズ173における第1列R71および第2列R72の間に位置する面である。
これらのことにより、第1レンズ173および第2レンズ183の画角が狭められ、焦点深度が増加し得る。また、第1レンズ173および第2レンズ183を通過する光において、迷光が生じにくくなり得る。なお、ここでの画角とは、光軸方向に対する光線の見込み角度(法線と光線とのなす角度)のことをいう。また、迷光とは、物体面の物点、すなわち画像読み取り領域Laから出た光線が、像面上、すなわち受光素子74上の対応する像点以外に到達する光のことをいう。
さて、一般的には、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180におけるレンズピッチ、すなわち第1レンズ173および第2レンズ183の主走査方向における間隔が狭くなると、例えば受光素子74(図2参照)に到達する光の光量が増加するなど、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180の光学性能が向上する。
ここで、本実施の形態とは異なり、例えば遮光壁130を1つの直方体で形成し、第1レンズ173の光軸に対応する位置に、複数の貫通孔(不図示)が形成された構成も採用され得る。しかしながら、このような構成が採用された場合において、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180における狭いレンズピッチにあわせて、遮光壁130の貫通孔(不図示)同士の距離を狭めると、例えば貫通孔同士の間の肉壁が薄くなる。そして、例えばこの肉壁が150μm以下となるなど予め定めた厚さよりも薄くなると、射出成形を行う際に、薄い部分における樹脂材料の流動性が悪化し、成形不良が発生し得る。
一方で、本実施の形態の遮光壁130のように、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bを有する構成においては、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bにおける凹部135の間隔を小さくした場合であっても、上記のような成形不良が抑制され得る。
<変形例1>
図8(a)および(b)は、壁部材131の変形例を説明する図である。
次に、図8(a)および(b)を参照しながら壁部材131の変形例について説明をする。なお、以下の説明において、上記の実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略することがある。
上記の説明においては、第1レンズアレイ170が、複数列の第1レンズ173を有することを説明したがこれに限定されない。例えば、図8(a)に示すように、第1レンズアレイ270が、1列の第1レンズ173を有する構成であってもよい。このように、第1レンズアレイ270が1列の第1レンズ173を有する構成においては、遮光壁230が1つの第1壁部材231Aにより構成されてもよい。この第1壁部材231Aは、主走査方向に交互に並べられた突出部237および凹部235を備える。そして、突出部237および凹部235は、各々第1レンズ173の光軸LP0が通過する位置に設けられている。また、図8(b)に示すように光軸方向に沿って見ると、凹部135および突出部137は、各々第1レンズ173と一致する位置に配置される。
<変形例2>
図9は、壁部材131の他の変形例を説明する図である。
次に、図8(a)および(b)、図9を参照しながら壁部材131の他の変形例について説明をする。上記図8(a)および(b)に示す構成においては、複数の光軸LP0のうち、一部の光軸LPAは突出部237を通過し、他の光軸LPBは凹部235を通過する。したがって、突出部137を通過する光軸LPAと、凹部135を通過する光軸LPBとで、光路差が生じる構成である。
そこで、図9に示す変形例2においては、第1レンズアレイ370に設けられた第1レンズ373が、互いに異なる2つの曲率のうちのいずれかで形成されている。すなわち、主走査方向において隣り合う第1レンズ373が互いに異なる曲率で形成されている。さらに説明をすると、第1レンズ373は、曲率が小さい(曲率半径が大きい)小曲レンズ373Aと、曲率が大きい(曲率半径が小さい)大曲レンズ373Bとのいずれかである。そして、小曲レンズ373Aを通る光軸LPC上には突出部237が配置され、大曲レンズ373Bを通る光軸LPD上には凹部235が配置される。このことにより、上記図8(a)および(b)に示す構成と比較して、光軸L0ごとの光路差が抑制される。
<変形例3>
図10(a)および(b)は、壁部材131の他の変形例を説明する図である。より詳細には、図10(a)は壁部材431の斜視図であり、図10(b)は壁部材431の上面図である。なお、図10(b)においては、後述する第2段F2の突出部437の記載については省略している。
次に、図10(a)および(b)を参照しながら壁部材131の他の変形例について説明をする。図10(a)および(b)に示すように、第1レンズアレイ170が2列の第1レンズ173を有する構成において、遮光壁430が1つの第1壁部材431Aにより構成されてもよい。
この構成においては、突出部437の各々が、第1列R71および第2列R72と交差して形成される。さらに説明をすると、図10(b)に示すように、突出部437は、第1列R71の第1レンズ173の光軸を通りかつ副走査方向に延びる第1部437Aと、第1部437Aから副走査方向に対して傾斜する向きに延びる傾斜部437Bと、第2列R72の第1レンズ173の光軸を通り傾斜部437Bから副走査方向に延びる第2部437Cとを有する。このような構成とすることにより、例えば図3に示すように、遮光壁130を2つの第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bによって構成する態様と比較して、遮光壁430における副走査方向の寸法を抑制し得る。なお、突出部437は、第1部437Aと第2部437Cとが連続する部分において屈曲する形状として捉えることができる。
なお、図示の例とは異なり、第1レンズアレイ170が3列以上の第1レンズ173を有する場合においても、遮光壁430が1つの第1壁部材431Aにより構成されてもよい。すなわち、突出部437の各々が、3列以上の第1レンズ173と交差してもよい。この構成においては、突出部437の各々は、複数の傾斜部437Bを有する構成、すなわち複数箇所で屈曲する構成となってもよい。
<変形例4>
図11は、壁部材131の他の変形例を説明する図である。
次に、図11を参照しながら壁部材131の他の変形例について説明をする。上記図4などにおいては、凹部135および突出部137が、光軸方向に見て略矩形状であることを説明した。ここで、図11に示す壁部材531のように、凹部535および突出部537が湾曲面を有する構成であってもよい。
さらに説明をすると、図示の壁部材531は、対向面534と溝側面536とによって形成される角部R1と、溝側面536と溝底面538とによって形成される隅部R2とを備える。そして、これら角部R1および隅部R2が、湾曲面により構成されている。ここで、隅部R2のほうが、角部R1よりも曲率が小さい(曲率半径が大きい)。このことにより、凹部135の形成が容易となり得る。
また、図示の例においては、対向面534と溝側面536とを覆う遮光膜539が、角部R1の外周に角部R3を形成する。言い替えると、角部R1において、遮光膜539によりエッジを立てる。また、角部R3は、角部R1よりも曲率が小さい(曲率半径が大きい)。したがって、壁部材531の第1壁部材131Aおよび第2壁部材(不図示)が互いの突出部537を突き当てて配置される際に、突出部537同士が接触する面積が大きくなる。その結果、迷光がより抑制され得る。
<変形例5>
図12(a)乃至(d)は、第1遮光フィルム110の変形例を示す図である。
次に、図12(a)乃至(d)を参照しながら、第1遮光フィルム110の変形例について説明をする。上記の説明においては、第1遮光フィルム110(図12(a)参照)が、平面視略長方形状の第1板面111に形成された略円形の第1貫通孔113を有することを説明したが、これに限定されない。第1遮光フィルム110は、光軸方向において遮光壁130を挟んで第1レンズ173および第2レンズ183とは反対側に設けられ、遮光壁130に進入する光の一部を遮断する構成であれば、その形状は特に限定されない。
例えば、図12(b)に示す第1遮光フィルム210のように、平面視略長方形状の第1板面211に形成された略半円状の第1貫通孔213を有する構成であってもよい。ここで、図12(b)に示す第1遮光フィルム210は、第1遮光フィルム110(図12(a)参照)の幅方向両端を切り落とした形状と捉えることができる。例えば、第1遮光フィルム110の幅方向長さW1が2mmとすると、第1遮光フィルム210の幅方向長さW2は0.75mmとなる。
また、図12(c)に示す第1遮光フィルム310のように、平面視略長方形状の第1板面311に形成された第1貫通孔313を有する構成であってもよい。第1貫通孔313は、略半円、より具体的には、半円よりも領域が狭い円弧と弦によって形成される所謂弓形である。図12(c)に示す第1遮光フィルム310は、第1遮光フィルム110(図12(a)参照)の幅方向両端を切り落とした形状と捉えることができる。例えば、第1遮光フィルム110の幅方向長さW1が2mmとすると、第1遮光フィルム310の幅方向長さW3は0.6mmとなる。
また、図12(d)に示す第1遮光フィルム410のように、平面視略長方形状であってもよい。すなわち、第1貫通孔113(図12(a)参照)を有しない構成であってもよい。第1遮光フィルム410は、副走査方向における第1レンズ173の第1列R71および第2列R72の間において、第1列R71および第2列R72に沿って配置される長尺状部材として捉えることができる。例えば、第1遮光フィルム410の幅方向長さW4は0.18mmである。
図13(a)および(b)は、第1遮光フィルム110の形状を変化させたシミュレーション結果を示す図である。より詳細には、図13(a)は、第1遮光フィルム110の形状を変化させた場合における、主走査方向の焦点深度と解像度(CTF:Contrast Transfer Function)との関係のシミュレーション結果を示す図である。また、図13(b)は、第1遮光フィルム110の形状を変化させた場合における、副走査方向における焦点深度と、解像度との関係のシミュレーション結果を示す図である。
なお、図13(a)および(b)における解像度は、書き込む線画像データの濃度コントラストを100%とした場合の、原稿G上の読取画像の濃度コントラストの相対値である。また、シミュレ―ションの条件としては、図2に示すレンズアレイユニット10のように、遮光壁130、第2遮光フィルム150、第1レンズアレイ170、第2レンズアレイ180、および第3遮光フィルム190をこの順に積層したものに対して、各形状の第1遮光フィルム110などを配置することとした。
なお、「半円0.6」とは、第1遮光フィルム110の副走査方向の両側を切り落とし、第1遮光フィルムの幅方向長さを0.6mmとしたものである。また、比較対象として、第1遮光フィルム110を設けない条件を「フィルム無し」とした。また、「線0.18」は図12(d)の第1遮光フィルム410であり、「半円0.6」は図12(c)の第1遮光フィルム310であり、「半円0.75」は図12(b)の第1遮光フィルム210であり、「円」は図12(a)の第1遮光フィルム110である。
次に、図12(a)乃至(d)、図13(a)および(b)を参照しながら、第1遮光フィルム110の形状を変化させた際のシミュレーション結果について説明をする。
図13(a)および(b)に示すように、上記第1遮光フィルム110、210、310、410、および「半円0.65」の第1遮光フィルム(不図示)の各々において、主走査方向における焦点深度および解像度の関係、および副走査方向における焦点深度および解像度との関係をシミュレーションした。
図13(a)および(b)によれば、「線0.18」、「半円0.6」、「半円0.65」、「半円0.75」、および「円」のいずれにおいても、「フィルム無し」と比較して、より大きな解像度が得られた。すなわち、第1遮光フィルム110などを配置することによって、レンズアレイユニット10の光学性能が向上することが確認された。なお、「線0.18」である第1遮光フィルム410においては、図13(b)に示す副走査方向における解像度が「フィルム無し」と比較して大きくなることが確認された。
<他の変形例>
上記の説明においては、第1遮光フィルム110を設けることを説明したが、フィルム状の形状や材質に限定されるものではない。例えば、フィルムよりも剛性が高い板状部材によって第1遮光フィルム110を構成してもよい。すなわち、第1遮光フィルム110に替えて、遮光板として構成してもよい。さらに、第1遮光フィルム110を設けない構成であってもよい。
また、第1遮光フィルム110などにおいて、第1貫通孔113、213、313を設けることを説明したが、光を透過させる構成であれば、これに限定されない。例えば、光源73からの光に対して透明なフィルムや板などにより、第1貫通孔113、213、313が覆われている構成であってもよい。
上記の説明においては、第1レンズ173の光軸ごとに、1つの突出部137あるいは1つの凹部135を配置したが、複数の第1レンズ173の光軸にまたがって、1つの突出部137あるいは1つの凹部135が構成されてもよい。さらに説明をすると、突出部137が、レンズピッチの整数倍ごとに設けられてもよい。また、凹部135が、レンズピッチの整数倍ごとに設けられてもよい。
また、上記の説明においては、凹部135および突出部137が、1段(図8参照)あるいは2段(図4参照)で形成されることを説明したが、凹部135および突出部137の段数はこれに限定されない。凹部135および突出部137が、3段あるいはそれ以上の数の段で形成されてもよい。
また、上記の説明においては、対向面134および内側面136の表面を粗く構成することを説明したが、対向面134あるいは内側面136と遮光膜139との間において反射を抑制する機能を有するものであればこれに限定されない。例えば、粗い表面に替えて、対向面134あるいは内側面136と遮光膜139との間において反射を抑制する膜など他の部材を配置する構成でもよい。また、対向面134および内側面136の表面を粗くすることなく、遮光膜139によって覆う構成としてもよい。
また、対向面134を遮光膜139によって覆うことを説明したが、これに限定されない。対向面134が遮光膜139に覆われない構成であってもよい。すなわち、対向面134が光を透過させることを許容する構成であってもよい。
また、底面138は、遮光膜139によって覆われないことを説明したが、これに限定されない。対向面134および内側面136と同様に、底面138が遮光膜139によって覆われる構成であってもよい。対向面134、内側面136、および底面138が遮光膜139によって覆われる構成とすることで、底面138を遮光膜139に覆われない構成と比較して、例えば製造工程において、底面138に遮光膜139が塗装されないよう、底面138にマスキングなどを行う作業が不要となり得る。
また、レンズアレイユニット10を原稿読取装置1に設けることを説明したが、これに限定されない。例えば、発光ダイオードが発光する光を像保持体に結像する像形成装置など、原稿読取装置1以外の光学装置にレンズアレイユニット10を設けてもよい。
なお、上記の説明における第1レンズ173は、レンズ体の一例である。遮光壁130は、透過体および遮光体の一例である。遮光膜139は、遮光部、他の遮光部、および塗装部材の一例である。凹部135は、空間および他の空間の一例である。第1壁部材131Aは、第1透過体の一例である。第2壁部材131Bは、第2透過体の一例である。第1壁部材131Aの基部132は、第1基部の一例である。第1壁部材131Aの突出部137は、透過部、他の透過部、第1透過部、および第1突出部の一例である。第2壁部材131Bの基部132は、第2基部の一例である。第2壁部材131Bの突出部137は、第2透過部および第2突出部の一例である。第1遮光フィルム110は、覆い部材の一例である。第1貫通孔113は、通過領域の一例である。光源73は、照射部の一例である。受光素子74は、受光部の一例である。原稿読取装置1は、画像読取装置の一例である。
上記では種々の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態や変形例同士を組み合わせて構成してももちろんよい。
また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
1…原稿読取装置、10…レンズアレイユニット、100…画像形成装置、110…第1遮光フィルム、130…遮光壁、131A…第1壁部材、131B…第2壁部材、135…凹部、136…内側面、137…突出部、139…遮光膜

Claims (16)

  1. 各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えるレンズ体と、
    前記レンズ体に対して配置され、前記複数のレンズのうちの予め定めた間隔に位置する一部のレンズの光軸上に位置し光を透過させる複数の透過部と、当該透過部の表面にて、当該複数のレンズにおけるレンズ同士の間に設けられ、光の通過を遮る遮光部とを有する透過体と
    を有し、
    前記複数の透過部における透過部同士の間には、前記複数のレンズのうちの前記一部のレンズ以外の他のレンズの光軸上に位置する空間が形成され、
    前記透過体は、前記他のレンズの光軸に沿う方向において前記空間とは異なる位置に光を透過させる複数の他の透過部を有し、且つ、当該複数の他の透過部における他の透過部同士の間であって、前記一部のレンズの光軸に沿う位置に他の空間が形成される
    光学装置。
  2. 前記レンズは、前記他のレンズよりも曲率が大きいことを特徴とする請求項記載の光学装置。
  3. 前記透過体は、前記他の透過部の表面に設けられ、光の通過を遮る他の遮光部を有することを特徴とする請求項記載の光学装置。
  4. 前記複数の他の透過部の各々は、前記複数のレンズの並び方向において、前記複数の透過部のいずれかと連続する部分を有することを特徴とする請求項記載の光学装置。
  5. 前記複数のレンズは、互いに沿う第1列および第2列に並べて設けられ、
    前記透過体は、
    前記第1列のレンズの光軸からずれた位置で当該第1列のレンズの並ぶ方向である並び方向に沿って設けられる第1基部と、当該第1基部から当該並び方向と交差する交差方向に突出し当該第1列のレンズの光軸上に位置する複数の第1透過部とを有する第1透過体と、
    前記第2列のレンズの光軸からずれた位置で、前記第1列のレンズおよび当該第2列のレンズを挟んで前記第1基部とは反対側に前記並び方向に沿って設けられる第2基部と、当該第2基部から前記交差方向に突出し当該第2列のレンズの光軸上に位置する複数の第2透過部とを有する第2透過体と
    を有することを特徴とする請求項1記載の光学装置。
  6. 前記遮光部は、前記第1列および前記第2列の並び方向におけるレンズ同士の間、および当該第1列と当該第2列との間に設けられることを特徴とする請求項記載の光学装置。
  7. 前記第1透過体における前記第1透過部の先端は、前記第2透過体における前記第2透過部の先端と接触して設けられることを特徴とする請求項記載の光学装置。
  8. 前記第1透過体における前記第1透過部の先端および前記第2透過体における前記第2透過部の先端は、平坦であることを特徴とする請求項記載の光学装置。
  9. 前記レンズの光軸に沿う方向において、前記第1透過体および前記第2透過体を挟んで前記レンズ体と反対側に設けられ、当該第1透過体および当該第2透過体の対向する領域を覆う覆い部材を有することを特徴とする請求項記載の光学装置。
  10. 前記覆い部材は、前記複数のレンズの各光軸上に光を通過させる通過領域を有することを特徴とする請求項記載の光学装置。
  11. 前記覆い部材は、前記レンズの光軸に沿う方向において、前記第1透過体および前記第2透過体よりも厚さが薄いことを特徴とする請求項10記載の光学装置。
  12. 前記遮光部は、前記透過部の表面を塗装して設けられた塗装部材を有することを特徴とする請求項1記載の光学装置。
  13. 前記透過部における前記塗装部材により覆われている表面は、当該塗装部材により覆われない当該透過部の表面よりも、表面が粗いことを特徴とする請求項12記載の光学装置。
  14. 各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えるレンズ体と、
    前記レンズ体に対して配置され、前記複数のレンズのうちの一部のレンズの光軸上に位置し光を透過させる複数の透過部と、当該透過部の表面に設けられ、光の通過を遮る遮光部とを有する透過体と、
    を備え、
    前記複数のレンズは、互いに沿う第1列および第2列に並べて設けられ、
    前記第1列のレンズの各々と前記第2列のレンズの各々とは前記並び方向において互いにずれて配置され、
    前記複数の透過部の各々は、前記複数のレンズの並び方向と交差する交差方向に突出し、前記第1列のレンズの光軸および前記第2列のレンズの光軸と交差し、当該第1列のレンズの光軸と交差する部分および当該第2列のレンズの光軸と交差する部分が連続する部分において屈曲す
    学装置。
  15. 原稿に対して光を照射する照射部と、
    各々の光軸が互いに沿うように並べられ、原稿から反射した光を通す複数のレンズを備えるレンズ体と、
    前記レンズ体に対して配置され、前記複数のレンズのうちの予め定めた間隔に位置する一部のレンズの光軸上に位置し光を透過させる複数の透過部と、当該透過部の表面にて、当該複数のレンズにおけるレンズ同士の間に設けられ、光の通過を遮る遮光部とを有する透過体と、
    前記複数のレンズを通る光を受光する受光部と
    を有し、
    前記複数の透過部における透過部同士の間には、前記複数のレンズのうちの前記一部のレンズ以外の他のレンズの光軸上に位置する空間が形成され、
    前記透過体は、前記他のレンズの光軸に沿う方向において前記空間とは異なる位置に光を透過させる複数の他の透過部を有し、且つ、当該複数の他の透過部における他の透過部同士の間であって、前記一部のレンズの光軸に沿う位置に他の空間が形成される
    画像読取装置。
  16. 原稿に対して光を照射する照射部と、
    各々の光軸が互いに沿うように並べられ、原稿から反射した光を通す複数のレンズを備えるレンズ体と、
    前記レンズ体に対して配置され、前記複数のレンズのうちの予め定めた間隔に位置する一部のレンズの光軸上に位置し光を透過させる複数の透過部と、当該透過部の表面にて、当該複数のレンズにおけるレンズ同士の間に設けられ、光の通過を遮る遮光部とを有する透過体と、
    前記複数のレンズを通る光を受光する受光部と、
    前記受光部が受光した光に基づいて画像を形成する画像形成部と
    を有し、
    前記複数の透過部における透過部同士の間には、前記複数のレンズのうちの前記一部のレンズ以外の他のレンズの光軸上に位置する空間が形成され、
    前記透過体は、前記他のレンズの光軸に沿う方向において前記空間とは異なる位置に光を透過させる複数の他の透過部を有し、且つ、当該複数の他の透過部における他の透過部同士の間であって、前記一部のレンズの光軸に沿う位置に他の空間が形成される
    画像形成装置。
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