JP7292828B2 - 撮像素子モジュール、撮像システム、撮像素子パッケージ及び製造方法 - Google Patents

撮像素子モジュール、撮像システム、撮像素子パッケージ及び製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、撮像素子モジュール、撮像システム、撮像素子パッケージ及びその製造方法に関する。
中空のパッケージ内部に固体撮像素子などの電子部品を封入した撮像素子モジュールが提案されている。特許文献1、3には基板と枠と固体撮像素子と透光性部材とから構成された固体撮像素子モジュールが開示されている。また、特許文献2には基板と、基板上にモールド成型された樹脂枠とで構成された固体撮像素子パッケージが開示されている。
特開2013-243339号公報 特願2013-557430号公報(特許第6176118号) 特開2015-185763号公報
しかしながら、上述した従来の技術において、撮像素子モジュールを構成する材料間の線膨張係数差により基板に反りが発生し、撮像素子モジュール製造工程において、撮像素子モジュールの搬送、吸着固定に支障をきたすという課題があった。また、撮像素子モジュール完成後も、撮像素子モジュールの使用環境の温度変化によって、基板に大きな反りを生じ、撮像素子受光面に大きな反りを生じる場合があるという課題があった。
本発明は、温度変化による変形を抑えることが可能な撮像素子モジュール、撮像システム、撮像素子パッケージ、撮像素子モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態によれば、第1の主面第2の主面、および前記第1の主面と前記第2の主面に連続する外縁を有し、複数の導体層および複数の絶縁層を含む基板と、前記第1の主面に取り付けられた固体撮像素子と、前記固体撮像素子の周囲を囲むように前記第1の主面に取り付けられた枠体と、前記枠体の上に固定された透光性部材とを備える撮像素子モジュールであって、前記基板のガラス転移温度Tgp以下における前記基板の面内方向の線膨張係数をαPCB1とし、前記ガラス転移温度Tgp以上における前記基板の前記面内方向の線膨張係数をαPCB2とし、前記枠体のガラス転移温度Tgf以下における前記枠体の線膨張係数をαf1とし、前記ガラス転移温度Tgf以上における前記枠体の線膨張係数をαf2とし、常温をToとした場合、Tgp>Tgf、かつαf1<αPCB1、かつ(Tgp-To)×αPCB1<(Tgf-To)×αf1+(Tgp-Tgf)×αf2または、Tgp<Tgf、かつαPCB1<αf1、かつ(Tgf-To)×αf1<(Tgp-To)×αPCB1+(Tgf-Tgp)×αPCB2の関係を充足する撮像素子モジュールが提供される。
本発明の他の実施形態によれば、第1の主面第2の主面、および前記第1の主面と前記第2の主面に連続する外縁を有し、複数の導体層および複数の絶縁層を含む基板と、前記第1の主面に取り付けられた枠体とを備える電子部品パッケージであって、前記基板のガラス転移温度Tgp以下における前記基板の面内方向の線膨張係数をαPCB1とし、前記Tgp以上における前記基板の前記面内方向の線膨張係数をαPCB2とし、前記枠体のガラス転移温度Tgf以下における前記枠体の線膨張係数をαf1とし、前記Tgf以上における前記枠体の線膨張係数をαf2とし、常温をToとした場合、Tgp>Tgf、かつαf1<αPCB1、かつ(Tgp-To)×αPCB1<(Tgf-To)×αf1+(Tgp-Tgf)×αf2または、Tgp<Tgf、かつαPCB1<αf1、かつ(Tgf-To)×αf1<(Tgp-To)×αPCB1+(Tgf-Tgp)×αPCB2、の関係を充足する電子部品パッケージが提供される。
本発明のさらに他の実施形態によれば、第1の主面第2の主面、および前記第1の主面と前記第2の主面に連続する外縁を有し、複数の導体層および複数の絶縁層を含む基板を用意する工程と、前記第1の主面に固体撮像素子を取り付ける工程と、前記固体撮像素子の周囲を囲むように前記第1の主面に枠体を取り付ける工程と、前記枠体の上に透光性部材を取り付ける工程とを備える撮像素子モジュールの製造方法であって、前記基板のガラス転移温度Tgp以下における前記基板の面内方向の線膨張係数をαPCB1とし、前記ガラス転移温度Tgp以上における前記基板の前記面内方向の線膨張係数をαPCB2とし、前記枠体のガラス転移温度Tgf以下における前記枠体の線膨張係数をαf1とし、前記ガラス転移温度Tgf以上における前記枠体の線膨張係数をαf2とし、常温をToとした場合、Tgp>Tgf、かつαf1<αPCB1、かつ(Tgp-To)×αPCB1<(Tgf-To)×αf1+(Tgp-Tgf)×αf2または、Tgp<Tgf、かつαPCB1<αf1、かつ(Tgf-To)×αf1<(Tgp-To)×αPCB1+(Tgf-Tgp)×αPCB2の関係を充足し、前記枠体を前記基板に取り付ける工程は、前記ガラス転移温度Tgpと前記ガラス転移温度Tgfとの間の温度において行われる撮像素子モジュールの製造方法が提供される。
本発明によれば、温度変化による変形を抑えることが可能な撮像素子モジュール、撮像システム、撮像素子パッケージ及びその製造方法を提供することができる。
第1実施形態に係る撮像素子モジュールの平面図である。 第1実施形態に係る撮像素子モジュールの断面図である。 第1実施形態の変形例に係る撮像素子モジュールの平面図である。 第1実施形態の変形例に係る撮像素子モジュールの断面図である。 第1実施形態に係る撮像素子モジュールの製造方法を示す図である。 第1実施形態に係る撮像素子モジュールの製造方法を示す図である。 第1実施形態の変形例に係る撮像素子モジュールの製造方法を示す図である。 第1実施形態の効果を説明する図である。 第1実施形態の効果を説明する図である。 第1実施形態の効果を説明する図である。 第1実施形態の効果を説明する図である。 第1実施形態の効果を説明する図である。 第1実施形態の効果を説明する図である。 第1実施形態の効果を説明する図である。 本発明の実施例および比較例を説明する図である。 本発明の実施例および比較例を説明する図である。 本発明の実施例および比較例を説明する図である。 本発明の実施例および比較例を説明する図である。 第2実施形態による撮像システムのブロック図である。 第2実施形態による撮像システムを説明するための図である。 第3実施形態における車載カメラに関する撮像システムのブロック図である。 第3実施形態における車載カメラに関する撮像システムのブロック図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る撮像素子モジュール1を説明する。図1は本実施形態に係る撮像素子モジュール1の平面図である。詳しくは、図1(a)は撮像素子モジュール1の表側の平面図、図1(b)はA部の拡大図、図1(c)は撮像素子モジュール1の裏側の平面図である。図2は本実施形態に係る撮像素子モジュール1の断面図である。詳しくは、図2(a)は図1(a)のII―II’線における撮像素子モジュール1の断面図、図2(b)は図2(a)のC部の拡大図、図2(c)は図2(b)のD部の拡大図である。各図にはX方向、Y方向、Z方向を示している。便宜上、Z軸の+方向を上、-方向を下として説明する。
撮像素子モジュール1は固体撮像素子10と、固体撮像素子10を収容する撮像素子パッケージ50とを備える。撮像素子パッケージ50は、主にプリント基板20と透光性部材30と樹脂枠(枠体)40とを備えて構成される。
樹脂枠40は固体撮像素子10に対応する開口を有する。透光性部材30は光学部材として機能し得る。固体撮像素子10はプリント基板20に固定される。透光性部材30は樹脂枠40を介してプリント基板20に固定され、内部空間510を介して固体撮像素子10に対向する。樹脂枠40は透光性部材30と固体撮像素子10との間の内部空間510を囲む。樹脂枠40の開口内に上述した内部空間510が形成される。
撮像素子モジュール1を構成する部材の位置関係は、XY平面において定められ得る。ここで、XY平面に垂直な方向をZ方向とする。固体撮像素子10の表面101と固体撮像素子10の裏面102はXY平面に平行である。また、典型的な例として、透光性部材30の外面301および透光性部材30の内面302にはXY平面に平行である。表面101は内面302に対向し、裏面102はプリント基板20の配置領域210に対向してプリント基板20に接着されている。
典型的な固体撮像素子10および撮像素子モジュール1のXY平面への投影形状は矩形である。また、固体撮像素子10のX方向における寸法はY方向、Z方向における寸法よりも小さく、概ね平板形状である。以下、便宜的にZ方向における寸法を厚みもしくは高さと称する。
X方向およびY方向において、撮像素子モジュール1の外縁は、樹脂枠40の外縁405と透光性部材30の外縁305、変形例では加えて、プリント基板20の外縁205とによって規定される。樹脂枠40は外縁405に加えて内縁403を有する。
XY平面に対し、Z方向に沿って、その部材を投影した場合の影の領域を投影領域とする。ここで、ある部材とは異なる他の部材が、ある部材の投影領域内に位置することは、Z方向から見た場合に、ある部材と他の部材とが重なることを意味する。逆に、ある部材の投影領域外に他の部材の投影領域の一部が位置する場合、他の部材の少なくとも一部は、ある部材と重らない領域に位置するということができる。投影領域の内外の境界は、対象の部材の輪郭である外縁および内縁(内縁は存在しない場合もある)に対応する。例えば固体撮像素子10の投影領域に、固体撮像素子10に対向する透光性部材30の投影領域は含まれるため、固体撮像素子10に透光性部材30は重なっている。
固体撮像素子10は主部11と副部12を有している。主部11は固体撮像素子10の中央に位置し、副部12はその周辺に位置する。固体撮像素子10は限定されないが、CCD(Charged Coupled Deveice)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどであり得る。主部11は撮像部であって、マトリクス状に配列された複数の画素を備える。固体撮像素子10において、透光性部材30との対向面である表面101が光入射面となる。光入射面は、受光面を有する半導体基板の上に設けられた多層膜の最表層によって構成することができる。多層膜は、カラーフィルタ層、マイクロレンズ層、反射防止層、遮光層などの光学的な機能を有する層、平坦化層、パッシベーション層などを含む。
副部12は、主部11を駆動するための駆動回路、主部11からの信号または主部11への信号を処理する信号処理回路を備える。固体撮像素子10がCMOSイメージセンサである場合、これらの回路をモノリシックに形成することが容易である。副部12には固体撮像素子10と外部との信号の通信を行うための電極(電極パッド)103が設けられる。
プリント基板20の中央領域の少なくとも一部には固体撮像素子10が配置され、固体撮像素子10はプリント基板20に固定される。典型的には、固体撮像素子10は、図2、図3に示すように、プリント基板20の配置領域210と固体撮像素子10の裏面102との間に配された接着剤502を介して固定される。ただし、接着剤502が固体撮像素子10の側面である外縁105とプリント基板20の内面202のみに接し、プリント基板20の配置領域210と固体撮像素子10の裏面102との間に接着剤502が配されなくてもよい。接着剤502は導電性であってもよく、絶縁性であってもよい。また、接着剤502は高い熱伝導性を有することが好ましく、金属粒子を含有するものを用いることもできる。
また、固体撮像素子10がシリコンウェハ基板上に形成されたものである場合、一般に、シリコンウェハの線膨張係数は約3ppm/℃であって、プリント基板20の平面方向の線膨張係数との差が大きくなる。そのため、固体撮像素子10の反りを抑制するためには、接着剤502としてゴム弾性を有するものを選択することが好適である。具体的にはシリコーン樹脂が好ましく、その弾性率は1~100MPaであることが好適である。特に固体撮像素子10のXY方向の平面サイズが大きい場合、シリコーン樹脂は固体撮像素子10の反りを抑制するのに効果的であり、APSC(Advanced Phot System typeC)以上のサイズの固体撮像素子に対して高い効果を示す。
撮像素子パッケージ50は、撮像素子パッケージ50の内側(内部空間510の側)の面(プリント基板20の内面202)に形成された内部端子25と、撮像素子パッケージ50の外側の面(プリント基板20の外面201)に形成された外部端子27とを有する。複数の内部端子25が並んで内部端子群を構成している。
これら内部端子25、外部端子27はプリント基板20と一体に設けられている。本例では、図1(a)に示すように、X方向、Y方向に沿って列状に並んだ複数個の内部端子25からなる内部端子群が、固体撮像素子10を囲む様に配されている。このような内部端子25の配置に限らず、X方向のみ、あるいはY方向のみに沿って列状に並んだ内部端子群を配することもできる。
また、複数の外部端子27が外部端子群を構成している。外部端子群の一部、もしくは全部には、公知の方法で複数の電子部品が半田で接続される。このため予めこれらの電子部品の形状、およびこれらの電子部品を繋ぐ配線回路に合わせた配置で外部端子群は形成される。外部端子群の表面には半田付けに適したメッキ層が形成されてもよい。例えば、メッキ層としてはニッケルメッキ(5~10μm)、金メッキ(0.1~1μm)が好適である。
電子部品は限定されず、様々な部品が実装され得る。例えば、電源IC608、コンデンサ609、コネクタ612、抵抗611等が挙げられる。この他、不図示の水晶振動子、PLL(Phase Locked Loop)回路などの発振回路部品が搭載されてもよい。外部端子607の上には部品が搭載されてもよく、搭載されなくても良い。部品が搭載されない端子は、回路の動作チェックの際にプローブを当接させるパッドとして利用され得る。特に撮像素子モジュール1の出荷検査の際に電気的特性を検査するために、プリント基板20の外縁近傍に検査用のパッド列612を配することが可能である。
本実施形態では、撮像素子モジュール1を構成する固体撮像素子10の電極103と撮像素子パッケージ50の内部端子25は、接続導体104を介して電気的に接続されている。接続導体104は金属線であって、主に金線、アルミ線、銅線等であり得る。接続導体104は、ワイヤーボンダーを使用した超音波熱圧着により内部端子25に接続される。
また、電極103と内部端子25の接続をフリップチップ接続としてもよい。この場合、電極103は固体撮像素子10の裏面102に設けられ、内部端子25や接続導体104は配置領域210に位置する。
プリント基板20は、所謂、多層ビルドアップ基板である。図2(c)の拡大図に示されたように、多層ビルドアップ基板は、コアとなるプリプレグからなる絶縁層220の両面に、導体層211a、211bを設けた両面基板を内包する。導体層211a、211bはリソグラフィーによって、所望のパターンにパターニングされた後に、ドリルビア内に設けた内部配線260によって必要箇所が接続されている。
さらに、両面基板の上面には絶縁層221aおよび導体層212aが、この順に形成され、両面基板の下面には絶縁層221bおよび導体層212bが順に形成されている。導体層212a、212bも、導体層211a、211bと同様にリソグラフィーによって、所望のパターンにパターニングされる。その際にレーザービア内に設けた内部配線261a、261bによって必要箇所が導体層211a、211bと接続されている。以下、同様に絶縁層222aおよび導体層213aと、絶縁層222bおよび導体層213bとが形成される。また、絶縁層223aおよび導体層214aと、絶縁層223bおよび導体層214bとが形成されている。導体層211a~214aは内部配線261aによって接続され、導体層211b~214bは内部配線261bによって接続される。絶縁層221a~223a、221b~223bもプリプレグからなる。
絶縁層220の厚さは、およそ0.05~1.5mm、絶縁層221a~223a、絶縁層221b~223bの厚さは、およそ0.05~0.3mmである。本実施形態では、プリント基板20がビルドアップ基板の例を示したが、本発明は、これに限定されない。例えば、絶縁層220の厚さは、他の絶縁層221a~223a、221b~223bと同様の厚さを有していてもよく、ドリルビアを使用しない基板(エニーレイヤー基板)であってもよい。
プリプレグは、繊維をクロス上に織った、あるいは編んだものに、樹脂を含浸させたものである。樹脂は多くはエポキシやフェノールを主成分とするものが広く使用されている。また、樹脂は多くの場合、紙、ガラス等の絶縁フィラーを含有している。さらに繊維はガラス繊維のものが一般的であるが、絶縁性であれば、これに限定されない。
プリント基板20の内面(第1の主面)202側の導体層214aに内部端子25が、外面(第2の主面)201側の導体層214bに外部端子27が、夫々、リソグラフィーによるパターニングを経て形成されている。このようにして、内部端子25と外部端子27はプリント基板20の内部配線260、261a、261bからなる内部配線26を介して電気的に連続している。導体層211a~214a、211b~214bは一般には銅が好適である。必要に応じて他の金属を使用しても良い。
図2(c)において、外部端子27には半田601を介してコンデンサ609が接続されている。接続導体104の長さは、およそ固体撮像素子10の厚さ程度であって、例えば0.1~1mmである。プリント基板20の厚さは0.1~1mmであり、内部配線261a、261b、260を一直線上に配置した場合、その長さは、およそ0.1~1mmである。つまり、固体撮像素子10の電極103からコンデンサ609の端子までの距離はおよそ0.2~2mmとすることが可能であり、この配線によるインダクタンスも、およそ0.2~2nHに抑えることが可能となる。この数値は、特許文献1、特許文献3のように、固体撮像素子を搭載するプリント基板と、電子部品を搭載する基板とが異なる場合の配線インダクタンスと比較して十分小さい。
本実施形態では、内部端子25の外面201への投影領域、および電極103の外面201への投影領域に電子部品が重ならない様に、電子部品の配置を設けることが好ましい。これは、内部端子25の外面201への投影領域、および電極103の外面201への投影領域に加熱したメタルステージの一部を当接した状態でワイヤボンディングを行うことが、安定した温度下で超音波熱圧着を確実に行うために必要であるためである。
プリント基板20は、中央領域が、中央領域を囲む周辺領域に対して窪んだ形状、すなわち凹形状を有していてもよい。また、図2(c)に示したようにソルダーレジスト層230が表面に形成されており、必要に応じてパターニングによる開口を有していることが好ましい。
図2において、樹脂枠40はプリント基板20の外縁205を完全に覆っている。外縁205をエンドミルによる一般的なルーター加工にて形成する場合、外縁205の面にはプリント基板を構成するプリプレグ内のガラス繊維、フィラー、樹脂からなる異物が付着する。この異物は洗浄によって完全に除去することが難しい。撮像素子モジュール1の製造工程において、これらの異物が飛散し、固体撮像素子10の主部11に付着した場合、電気特性検査において不良となる可能性が高まり、好ましくない結果が生じ得る。従って、樹脂枠40がプリント基板20の外縁205を完全に覆っていることが、歩留まりを上げるために有効である。このような樹脂枠40は、特許文献3に記載のように、所定の樹脂枠40の形状を彫り込んだ金型にプリント基板20をインサート成型することで作ることが可能である。その際に金型に電子部品が当たって潰れることの無いように、外面201に当接される金型の表面に、電子部品の逃げ部を彫り込むことが好ましい。
樹脂枠40の材料としては、撮像素子モジュールに必要な強度と形状安定性を有していることが好ましい。また、樹脂枠40は、撮像素子モジュールの使用環境下で、固体撮像素子に悪影響を及ぼすハロゲン、長期的に水分に溶け込み透光性部材30の内面302に移行して析出する様な物質を含まないことが好ましい。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリメチルペンテン等の熱可塑性樹脂も使用可能である。なお、-400℃~130℃までの広い温度域で強度、形状を安定して保つためには、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂等も使用可能であるが、エポキシ樹脂を主成分とするものが好適である。特に、ビスフェノールA、あるいはノボラックのグリシジルエーテル型樹脂をベースにし、これに芳香族アミン硬化剤、フェノール樹脂硬化剤あるいは酸無水物硬化剤、および充てん材を配合したものが良い。
フィラーとして、シリカ粉、タルクなどを約70~85重量%含んだものが、成形後の寸法変化が少ないため好ましい。また、金型からの離型性を高めるための離型剤や難燃剤を入れることが好ましい。
図3は本実施形態に係る変形例としての撮像素子モジュール1の平面図である。詳しくは、図3(a)は撮像素子モジュール1の表側の平面図、図3(b)はA部の拡大図、図3(c)は撮像素子モジュール1の裏側の平面図である。図4は本実施形態に係る変形例としての撮像素子モジュール1の断面図である。詳しくは、図4(a)は図3(a)のIV―IV’線における撮像素子モジュール1の断面図、図4(b)は図4(a)のC部の拡大図、図4(c)は図4(b)のD部の拡大図である。各図にはX方向、Y方向、Z方向を示している。以下、変形例としての撮像素子モジュール1について、同一もしくは類似の構成には共通の符号を付けて、各図面を相互に参照しながら説明を行う。
図4では樹脂枠40はプリント基板20の外縁205を覆っていない。したがって、プリント基板の外縁205の加工方法が、前述のルーター加工の場合、固体撮像素子10の主部11への異物付着による歩留まりの低下が問題となる。しかしながら、外縁205の加工方法をウェットダイシングとすることである程度、歩留まりの低下を回避することが可能である。
変形例においても、本実施形態において上述したものと同様の材料が使用可能である。樹脂枠の成形方法も第一の例と同様のトランスファー成形が可能であるが、本例の場合、インジェクション成形、圧縮成形でも良い。本例においては、樹脂枠40単体で成形したものをプリント基板20の内面202上に接着剤501を介して固定している。この接着固定に使用する樹脂としては樹脂枠40と同様に、撮像素子モジュールに必要な強度と形状安定性を有していることが好ましい。また、樹脂枠40は、撮像素子モジュールの使用環境下で、固体撮像素子に悪影響を及ぼすハロゲン、長期的に水分に溶け込み透光性部材30の内面302に移行して析出する様な物質を含まないことが好ましい。例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂が好適であり、適度にフィラー、カップリング剤、難燃剤を含んでいても良い。
なお、図2、図4の断面構造に限らず、固体撮像素子10と透光性部材30の距離を小さくしたり、透光性部材30に枠部を設けるなどしたりすることで、樹脂枠40が内部空間510を囲まずに固体撮像素子10のみを囲むようにしてもよい。つまり、樹脂枠40は内部空間510および固体撮像素子10の少なくとも一方を囲んでいればよい。
透光性部材30は固体撮像素子10に対向し、固体撮像素子10を保護する機能を有する。透光性部材30は、固体撮像素子10が感度を有する波長の光(典型的には可視光)に対して透明であることが求められる。そのような透光性部材30としての好ましい材料はプラスチック、ガラス、水晶等が挙げられる。なお、後述するように、透光性部材30が樹脂枠40に貼られる場合、水晶は固体撮像素子10の反りを効率的に抑えることができる。このため、水晶を透光性部材30として用いることが好ましい。透光性部材30の表面には反射防止コーティング、赤外カットコーティングが形成されても良い。
透光性部材30は樹脂枠40と接着剤503を介して接着されている。プリント基板20の中央領域と透光性部材30の中央域との間に固体撮像素子10および内部空間510が位置している。本実施形態では、透光性部材30はZ方向において樹脂枠40よりも固体撮像素子10およびプリント基板20から離れて位置しており、透光性部材30の固体撮像素子10との対向面である内面302に、接着剤503が設けられている。しかし、特開2003-101042号公報の図3のように、樹脂枠40の一部をZ方向において透光性部材30よりも固体撮像素子10およびプリント基板20から離れて配置し、透光性部材30の外面301に接着剤503を設けてもよい。
接着剤501、502、503の厚さは例えば1~1000μmであり、典型的には10~100μmであり得る。第1の例においては、樹脂枠40とプリント基板20とは直接に接合され、変形例においては、樹脂枠40とプリント基板20とは接着剤501を用いて接着されている。固体撮像素子10とプリント基板20とは、接着剤502を用いて接着され、透光性部材30と樹脂枠40とは、接着剤503を用いて接着されている。これらの接着の順番は特に限定されないが、透光性部材30と樹脂枠40との接着に先立って樹脂枠40とプリント基板20との接着が行われることが好ましい。また、固体撮像素子10とプリント基板20との接着に先立って樹脂枠40とプリント基板20との接着が行われることが好ましい。つまり、まず樹脂枠40とプリント基板20とが接着され、撮像素子パッケージ50が形成される。この撮像素子パッケージ50に固体撮像素子10が固定された後、透光性部材30が撮像素子パッケージ50に接着される。
プリント基板20と樹脂枠40とは、直接、あるいは接着剤501によって、プリント基板20および樹脂枠40の接合面の全周で接合されることが好ましい。また、透光性部材30と樹脂枠40も接着剤503によって接合面の全周で接合されることが好ましい。このように、プリント基板20および透光性部材30のそれぞれの周辺領域の全周を接着領域とすることにより、固体撮像素子10の周囲の内部空間510を外部の空気に対して気密な空間とすることができる。この結果、内部空間510への異物の侵入を抑制し、信頼性を向上することが可能となる。なお、気密性を確保するためには、十分な量の接着剤を用いることが望ましい。
上述の接着剤501、502、503は、それぞれ、塗布された接着剤が固化したものである。接着剤の種類としては、溶媒の蒸発による乾燥硬化型、光や熱による分子の重合などによって硬化する化学反応型、融解した接着剤の凝固によって固化する熱溶融(ホットメルト)型などが挙げられる。典型的な接着剤としては、紫外線や可視光で硬化する光硬化型樹脂、熱で硬化する熱硬化型樹脂などが用いられる。接着剤501、502には熱硬化型樹脂を好適に用いることができ、接着剤503には光硬化型樹脂を好適に用いることができる。接着剤の色見としては、熱硬化性樹脂の場合には、白、黒、透明等、特に限定は無く用いることが可能である。光硬化型樹脂は、可視光、紫外光に対して透明である。接着剤は適度に無機あるいは有機のフィラーを含んでいてもよい。フィラーを含むことで耐湿性を向上させることが可能である。硬化後の接着剤の弾性率は限定されないが、異種材料同士を接着する場合には、1MPa以上100GPa以下の範囲が好適である。但し、弾性率はこの値に限られない。後述するように、APSCサイズ、FULLサイズの大型の固体撮像素子10を用いる場合、ゴム弾性を有する接着剤を用いることで、プリント基板20との線膨張の違いを吸収することができる。この場合。さらに弾性率は1~100MPaであることが好ましい。
樹脂枠40は、プリント基板20に対向し、プリント基板20に直接に接着された、あるいは接着剤501に接着された接合面401と、透光性部材30に対向し接着剤503に接着された接合面402を有する。樹脂枠40は固体撮像素子10と透光性部材30の間の内部空間510を囲むように設けられている。樹脂枠40において、内部空間510に面して内部空間510を囲む面が内縁403である。樹脂枠40の外縁405は外部空間に露出している。図1、図3の樹脂枠40は、Y方向において、プリント基板20と透光性部材30との間から外部空間に向かって延在した拡張部404を有している。図3の変形例において、拡張部404には、貫通穴406が設けられており、貫通穴406は、電子機器の筐体等に固定するためのねじ止め用の穴、または、位置決め用の穴として用いられ得る。電子機器には、スチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置、撮影機能を有する情報端末などが含まれる。
内部空間510の気密性を高めるため、樹脂枠40は隙間なく内部空間510を囲んでいることが好ましい。また、樹脂枠40の剛性、ひいては撮像素子モジュール1の剛性を確保するため、樹脂枠40は切れ目のない閉ループであることが好ましい。また、後述するように、熱伝導性を確保するためにも、樹脂枠40は周方向において連続した閉ループであることが好ましい。但し、製造上の制約により、樹脂枠40を辺ごとに複数に分割して形成してもよい。また、内部空間510と外部空間を連通させるため、樹脂枠40にスリットを設けてもよい。このように樹脂枠40に切れ目が存在する場合、樹脂枠40に生じる不連続な部分(スリット)は極力少ないことが望ましく、具体的には、内部空間510、固体撮像素子10を囲む周の長さの10%未満であることが望ましい。すなわち、内部空間510、固体撮像素子10を囲む周に沿って、その周の長さの90%以上に亘って樹脂枠40が存在する場合、樹脂枠40は内部空間510、固体撮像素子10を囲むとみなし得る。例えば、内縁403が縦20mm、横20mmの矩形であり、内縁403の周長が80mmである場合、樹脂枠40に設けるスリットの幅は合計で8mm未満であれば、樹脂枠40が内部空間510を囲んでいるとみなし得る。この場合においても、1つあたりのスリットの幅は小さいことが好ましい。例えば、8mm幅のスリットを1つ設けるよりは、4mm幅のスリットを2つ設ける方が好ましい。
本実施形態は、接着剤を用いて樹脂枠40とプリント基板20とを貼り合せていることから、樹脂枠40の材料がプリント基板20の材料と異なる場合に好適である。また、本実施形態は、樹脂枠40の材料は透光性部材30の材料と異なる場合にも好適である。
樹脂枠40は、固体撮像素子10と透光性部材30との間隔を規定するとともに、透光性部材30を支持する機能を有する。また、樹脂枠40は上述したようなねじ止め用や位置決め用の穴を有していてもよい。
続いて、第1実施形態に係る撮像素子パッケージ50および撮像素子モジュール1の製造方法を説明する。図5A、図5Bは第1実施形態に係る撮像素子パッケージ50および撮像素子モジュール1の製造方法を示す図であって、図1(a)のII―II’線における断面を表している。
図5A(a)において、先ず、プリント基板20を用意する。プリント基板20には、内部端子25、内部配線26、外部端子27が形成されている。内部端子25はプリント基板20の内面202に設けられ、外部端子27はプリント基板20の外面201に設けられる。このようなプリント基板20は、例えば以下のように形成される。
プリント基板20は図2のD部拡大図に示す断面構造を有しており、いわゆる多層ビルドアップ基板工法で形成される。多層ビルドアップ基板工法において、先ず、コアとなるプリプレグからなる絶縁層220の両面に導体層211a、211bが形成され、両面基板が準備される。次に、所定の位置にドリルを使ってビアが形成され、金属メッキによって内部配線260が形成される。次に、導体層211a、211bがリソグラフィーによって、所望のパターンにパターニングされる。これにより両面基板が完成する。
さらに、両面基板の上面に絶縁層221a、導体層212aが順に形成され、両面基板の下面に絶縁層221b、導体層212bが順に形成される。続いて、再び所定の位置にレーザーを使ってビアが形成される。さらに、レーザービア内にメッキ処理によって、内部配線261a、261bが形成され、必要箇所が導体層211a、211bと接続される。導体層212a、212bも、導体層211a、211bと同様にリソグラフィーによって、所望のパターンにパターニングされる。以下、同様に絶縁層222a、222b、導体層213a、213bが形成され、絶縁層223a、223b、導体層214a、214bが形成される。最後に、ソルダーレジスト層230が形成され、リソグラフィーによって所望の開口が形成される。
図5A(b)は、プリント基板20の外面201上に電子部品600を搭載する工程を示す。電子部品600は表面実装方法にてプリント基板20の外面201上に半田接続される。まず、プリント基板20の外面201上に設けられた外部端子27の配置と一致した開口を有する印刷マスクを準備する。次に、印刷マスクは、その開口と外部端子28とが一致するように、外面201上に当接される。その状態において、半田ペーストがマスク上に配され、スキージを使用して半田ペーストが外面201上に印刷される。次に、マウンタを使用して、所望の電子部品600が、外部端子27と各電子部品600の端子とが一致するように、外面201上に搭載される。電子部品600は、上述したように、電源IC608、コンデンサ609などを含み得る。電子部品600が搭載されたプリント基板20は、リフロー炉を通り、外部端子27と各電子部品600の端子との半田接合が完成する。半田ペーストに含まれるフラックスは、後の工程でプリント基板20から脱離し、固体撮像素子10上に付着した場合、歩留まりを低下させる原因となり得る。そのため、洗浄機および洗浄液を使用して、フラックスを洗浄することが望ましい。
図5A(c)は、プリント基板20を金型に挿入し、樹脂枠40を成型する工程を示している。上金型4001は内面202上の一部に当接し、下金型4002は外面201の外縁205近傍に当接することによって、閉空間4003、4004、4005が形成される。閉空間4003は不図示のゲート、ランナー、カル、ポッドに繋がっている。金型は予め、樹脂枠40のガラス転移温度Tgf以上の温度に予熱されている。樹脂枠40を成す樹脂は予め、主成分、硬化剤、離型剤、カップリング剤、難燃剤等の所望の材料を粉状態で混合され、円筒状に固めたタブレットとして用意される。タブレットは前述のポッドに投入され、金型の閉空間4003のみに、カル、ランナー、ゲートを通じて、圧力が加えられることで圧入される。樹脂の特性によって規定される硬化時間を経た後に、金型が開かれ、図5A(d)の撮像素子パッケージ50が取り出される。閉空間4004は、電子部品600に下金型4002が接触し、電子部品600を破損しないように設けられる。また、閉空間4005はプリント基板20の内部端子25を傷付けないように設けられる。本例は、いわゆるトランスファー成型の例であるが、成型方法はインジェクション成型、圧縮成形等であっても良い。
図5B(e)は固体撮像素子10をプリント基板20の内面202上に固定する工程を示す。プリント基板20の内面202と、固体撮像素子10の裏面102の少なくとも一方、または、典型的にはプリント基板20の内面202のみに接着剤502が塗布される。そして、固体撮像素子10が接着剤502の上に配置される。この後、接着剤502が硬化され、固体撮像素子10とプリント基板20とが接着される。接着剤502は、撮像素子モジュール1の使用環境下において、十分な接着強度を保持することが望ましい。また、高い濡れ性を示す溶剤成分を含み、溶剤成分のブリードが進行し、プリント基板20の内面202における内部端子25の表面を汚染するものは、接着剤として好ましくない。さらに、ハロゲンを含み、半導体の配線に腐食性を示すもの、硬化物が揮発成分を含み透光性部材30の内面302に生じた結露水に溶け込み、結果として内面302を汚染するものも好ましくない。接着剤には、一般に硬く、強度が高いエポキシが用いられることが多い。なお、本実施形態においては、APSCサイズ、FULLサイズの大型の固体撮像素子10と、プリント基板20との線膨張の違いを吸収するため、ゴム弾性を有する接着剤を用いることが好ましい。特に好適な弾性率は1~100MPaである。接着剤502は固体撮像素子10の裏面102の全面、もしくは一部と接着されていればよい。また、接着剤502は、固体撮像素子10の外縁105の一部と接着していてもよい。
図5B(f)は、固体撮像素子10とプリント基板20とを電気的に接続する工程を示す。本例ではワイヤボンディング接続が用いられる。キャピラリ345の先端から供給された金属ワイヤの一端は電極103に接続され、次いで、金属ワイヤの他端が内部端子25に接続される。このようにして、金属ワイヤにより接続導体104が形成される。なお、フリップチップ接続を採用する場合には、バンプが接着剤502と接続導体104とを兼ねることもできる。
図5B(g)は、透光性部材30を樹脂枠40に接着する工程を示す。なお、図5B(g)は、すべての内部端子25とすべての電極103とを接続導体104で接続した後の撮像素子モジュール1を表している。
樹脂枠40の接合面402と透光性部材30の接合面である内面302の少なくとも一方に接着剤503が塗布される。上述したように、典型的な接着剤503は光硬化性樹脂である。接着剤503の塗布には印刷法、ディスベンス法等を用いることができる。次に透光性部材30が樹脂枠40に載置される。この時点において、接着剤503は液体である。そのため、透光性部材30の自重あるいは押圧により透光性部材30が樹脂枠40に押し付けられ、余分な接着剤503は樹脂枠40と透光性部材30の間からはみ出す場合がある。その後、塗布された接着剤503を適当な方法で固化させる。これにより、液体である接着剤503は固体である接着剤503となり、接着剤503を介して樹脂枠40と透光性部材30とが接着される。
接着剤503が接合面の全周に形成される場合、接着剤503として熱硬化接着剤を用いると、加熱時に内部空間510が熱膨張し、内圧により液体状態の接着剤503を押し出してしまう可能性がある。本実施形態において、接着剤503として光硬化性樹脂を用いることにより、このような接着剤503の浸出を防ぐことができる。なお、光硬化性接着剤を光硬化によって半硬化させた後であれば、後硬化として補助的に熱硬化を用いることができる。光硬化性の接着剤503を好適に用いるうえでは、透光性部材30は紫外線などの接着剤503が反応する波長に対して十分な光透過性を有することが好ましい。
以上により、本実施形態における撮像素子パッケージ50および撮像素子モジュール1を製造することが出来る。
続いて、本実施形態の変形例に係る撮像素子パッケージ50および撮像素子モジュール1の製造方法を説明する。図6は変形例に係る撮像素子パッケージ50の製造方法を示す。図6(a)は、図5A(c)に相当する工程を表しており、図6(b)は図5A(d)に相当する工程を表している。本実施形態における撮像素子パッケージ50は、別途、単独で作られた樹脂枠40をプリント基板20の内面202に接着することで得られる。図6(a)はプリント基板20の内面202上に接着剤501を塗布する工程を示している。ここでは、事前に成形された樹脂枠40が用意される。
樹脂枠40の表面には、サンドブラスト加工により凹凸を形成されることが好ましい。プリント基板20の内面202と樹脂枠40の接合面401の少なくとも一方に接着剤501が塗布される。典型的な接着剤501は熱硬化性樹脂である。接着剤501の塗布には印刷法、ディスペンス法等を用いることができる。
次に、樹脂枠40がプリント基板20の内面202に載置される。この時点で、接着剤501は液体である。樹脂枠40の自重あるいは押圧により樹脂枠40がプリント基板20に押し付けられることにより、余分な接着剤501は樹脂枠40とプリント基板20の間からはみ出す場合がある。しかし、はみ出した接着剤501が下に垂れ下がることの無いように、図6(b)に示す樹脂枠40の外縁405がプリント基板20の外縁205より大きいことが望ましい。
次に、接着剤501は適当な方法で固化される。好適な接着剤501は熱硬化性樹脂であり、80~200℃程度の加熱によって熱硬化する。これにより、液体である接着剤501は固体になり、接着剤501を介して樹脂枠40とプリント基板20とが接着される。さらに、熱硬化後に樹脂枠40およびプリント基板20は所定の温度(例えば常温)まで冷却される。冷却の方法は特に限定されず、自然冷却でもよいし空冷等を用いた強制冷却であってもよい。このようにして、樹脂枠40とプリント基板20を備える撮像素子パッケージ50を製造することができる。本実施形態における撮像素子パッケージ50から、図5A、図5Bの製造方法と同様の方法によって、図3に示された変形例の撮像素子モジュール1を製造することが可能である。
続いて、本実施形態における固体撮像素子10の線膨張係数αc、プリント基板20の線膨張係数αPCBと、樹脂枠40の線膨張係数αfと、透光性部材30の線膨張係数αLについて説明する。
固体撮像素子10は主にシリコンウェハからなる。したがって、加熱時、あるいは冷却時の熱膨張、収縮の割合は結晶シリコンの線膨張係数とみなせる。結晶シリコンは異方性を有するため、厳密には結晶軸の方向によって、異なる線膨張係数を示すが、本実施形態においては異方性については無視し得る。したがって、固体撮像素子10の線膨張係数αcは3~4ppm/℃であり得る。
プリント基板20は図2、図4のD部拡大図に示したように、少なくとも、複数の導体層と、導体層間の絶縁層とを含む。一般に導体層には銅が用いられる。本実施形態のプリント基板20にはプリプレグが使用される。プリプレグは、繊維を織る、あるいは、編むことによって形成したクロスに、樹脂を含侵させたものである。繊維にはガラス繊維が用いられる。樹脂としては、主にエポキシが用いられる。樹脂には有機、無機フィラー、硬化剤、カップリング剤、難燃剤、色素等が含まれていてもよい。プリント基板20は他にソルダーレジスト層230を有しても構わない。図2、図4に示したように、プリント基板20はXY平面に平行な複数の層からなる多層構造を有する。
プリント基板20は多層構造であるため、プリント基板20の面内方向の線膨張係数に影響を及ぼすパラメータは多い。しかし、主に影響を与えるパラメータは、導体層の厚さ、パターニング後の導体層の残留率(パターニング前後のXY平面への投影面積比)、導体層の層数、導体の線膨張係数、導体の弾性率、プリプレグの厚さ、層数、プリプレグの面内方向の線膨張係数、プリプレグのZ軸方向での曲げ弾性率である。これらを調整することによって、プリント基板20の面内方向の線膨張係数αPCBが決まる。
導体層が銅の場合、導体層の線膨張係数は約17ppm/℃であり、弾性率は100~120GPaである。
プリプレグの線膨張係数は、内部に含まれるクロスの繊維の方向によって異方性を示す。プリプレグが、X方向の繊維と、Y方向の繊維とが織られたクロスを含む場合、X方向、Y方向において線膨張係数は小さい値を示す。一方、繊維と直交するZ軸方向においては、線膨張係数は比較的大きな値を示す。また、クロスの本数密度が、X方向、Y方向において異なる場合、線膨張係数はX方向、Y方向において互いに異なる値を示す。また、クロスに含侵させる樹脂の種類、フィラーの種類、添加量によって、線膨張係数は変化する。プリプレグがガラスエポキシである場合、XY平面の面内方向の線膨張係数は0.5~30ppm/℃である。一方、Z方向の線膨張係数は1~300ppm/℃である。また、プリプレグのZ軸方向での曲げに対する曲げ弾性率は3~100GPaである。
ソルダーレジスト層230の線膨張係数は1~300ppm/℃である。また、弾性率は100MPa~10GPaである。ソルダーレジスト層230は一般に4~30μmの厚さであり、プリント基板の総厚と比較して薄い。そのため、ソルダーレジスト層230のαPCBへの寄与は少ない。
プリプレグはガラス転移温度Tgpを有する。これは、ほぼ、含浸される樹脂のガラス転移温度である。ガラス転移温度Tgpよりも高い温度と、低い温度とにおいて、プリプレグの面内方向の線膨張係数は異なる。ガラス転移温度Tgpよりも高い温度において、線膨張係数は大きい値となる。このため、プリプレグを含む多層体であるプリント基板20に関しても、面内方向の線膨張係数αPCBが、ガラス転移温度Tgpよりも高い温度と、低い温度とにおいて異なる値を示す。ガラス転移温度Tgpよりも低い温度における線膨張係数をαPCB1、ガラス転移温度Tgpよりも高い温度における線膨張係数をαPCB2とする。
樹脂枠40は、上述のように樹脂およびフィラーの混合物である。したがって、樹脂枠40の線膨張係数は、樹脂の線膨張係数、樹脂の弾性率、フィラーの線膨張係数、フィラーのサイズ、フィラーの充填率、フィラーの弾性率によって決まる。樹脂枠40もガラス転移温度Tgfを有する。樹脂枠40のガラス転移温度Tgfは、ほぼ、樹脂枠40に含まれる樹脂のガラス転移温度である。ただし、フィラーが有機フィラーを含む場合、フィラーのガラス転移温度が樹脂枠40のガラス転移温度に影響する。ガラス転移温度Tgfよりも高い温度と、低い温度とにおいて、樹脂枠40の線膨張係数は異なる。ガラス転移温度Tgfよりも高い温度において、線膨張係数は大きい値となる。ガラス転移温度Tgfよりも低い温度における線膨張係数をαf1、ガラス転移温度Tgfより高い温度における線膨張係数をαf2とする。
透光性部材30としては上述のように樹脂、ガラス、サファイア、水晶等を使用可能である。樹脂としてはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂が挙げられる。これらの線膨張係数は50~100ppm/℃である。ガラス、サファイアの線膨張係数は1~10ppm/℃である。ガラスとしてはホウケイ酸ガラス、石英ガラスが好適である。サファイア、水晶などの結晶性の部材は、結晶軸の方向に対する線膨張係数と、結晶軸に垂直な方向に対する線膨張係数とにおいて異なる値を示す。サファイアの結晶軸方向の線膨張係数は7.7ppm/℃、結晶軸に垂直方向の線膨張係数は7ppm/℃であって、2つの値の差は小さい。ところが、水晶の結晶軸方向の線膨張係数は8ppm/℃であるのに対し、結晶軸に垂直方向の線膨張係数は13.4ppm/℃と、比較的大きな差がある。水晶の場合、所謂、オプティカルローパスフィルタの構成要素として、樹脂枠40に貼ることが可能である。その場合、水晶の結晶軸はZ方向から45度傾ける必要がある。そうした場合、透光性部材30の面内方向に対する線膨張係数αLは10~13.4ppm/℃となる。
これら線膨張係数の測定方法として、TMA(Thermal MechanicalAnalysis)を使用することができる。また、プリント基板20のような多層材、あるいは異方性を有する部材の線膨張係数は、ASTM D696に準拠した方法により、ディラトメーターを利用することも可能である。さらに、カメラによって直接にサンプルの寸法変化を測定してもよい。サンプルを恒温チャンバーに保持し、カメラを使用したデジタル画像相関法(DIC:Digital Image Correlation)により線膨張係数を計測することができる。
図7に第1実施形態における各部材の線膨張係数の関係を示す。図7において、横軸は部材の温度を表し、縦軸は、常温Toの部材の伸びをゼロとした場合における各部材の単位長さ当りの伸び量を表している。すなわち、図7は、各部材の単位長さ当たりの伸び量を各温度においてプロットしたグラフを表している。グラフの傾きが部材の線膨張係数を表し、グラフが屈曲している点の温度が、部材のガラス転移点を表している。
例えば、樹脂枠のグラフは温度Tgfにおいて屈曲していることから、樹脂枠のガラス転移温度はTgfとなる。ガラス転移温度Tgf以下におけるグラフの傾きは、ガラス転移温度Tgf以下における樹脂枠の線膨張係数αf1を示している。また、ガラス転移温度Tgf以上の温度におけるグラフの傾きが、ガラス転移温度Tgf以上における樹脂枠の線膨張係数αf2を示している。
図7において、第1実施形態におけるプリント基板20のグラフは、プリント基板Aと記されており、ガラス転移温度Tgpにおいて屈曲している。したがって、プリント基板20のガラス転移温度は温度Tgpである。ガラス転移温度Tgp以下におけるグラフの傾きが、ガラス転移温度Tgp以下におけるプリント基板20の面内方向の線膨張係数αPCB1を示している。また、ガラス転移温度Tgp以上におけるグラフの傾きが、ガラス転移温度Tgp以上におけるプリント基板20の面内方向の線膨張係数αPCB2を示している。なお、常温Toは通常の室温を意味し、20~30℃であり、平均的には25℃である。第1実施形態において、ガラス転移温度Tgp、Tgf、To、線膨張係数αf1、αf2、αPCB1、αPCB2は以下の式を満たすことが望ましい。
Tgp>Tgf、かつ
αf1<αPCB1、かつ
(Tgp-To)×αPCB1<(Tgf-To)×αf1+(Tgp-Tgf)×αf2
上述の式を満たすことにより、図7に示されたように、プリント基板20(プリント基板A)のグラフと、樹脂枠40のグラフとが、交点を有する。交点の温度をTcとする。図10(a)は、温度Tmにて、樹脂枠40とプリント基板20とが固定された状態を示す。上述の金型にプリント基板20を挿入して成型する場合、図10(a)は温度Tmの金型から、一体となったプリント基板20と樹脂枠40とを取り出した状態を示す。この状態において、プリント基板20と樹脂枠40とは平坦である。
図10(b)は温度Tmから温度Tcに冷却した状態を示している。図7のグラフによると、温度Tmから温度Tcまでの間において、樹脂枠40の線膨張係数は、プリント基板20の線膨張係数よりも高い。そのため、温度Tmから温度Tcに冷却する過程において、樹脂枠40はプリント基板20よりも縮む。そのため、図10(b)に示すように、温度Tcにおいて、プリント基板20と樹脂枠40は凹状に反った状態となる。
さらに、図10(c)は温度Tcから温度(常温)Toに冷却した状態を示している。同様に図7のグラフによると、温度Tcから常温Toまでの間において、樹脂枠40の線膨張係数と、プリント基板20の線膨張係数とを比較すると、プリント基板20の方が高い。そのため、温度Tcから常温Toに冷却される過程において、プリント基板20の方が、樹脂枠40よりも縮む。そのため図10(c)に示す様に、常温Toにおいて、プリント基板20と樹脂枠40は再び平らに戻る。この時、より平らに戻すためには、図7のグラフにおいて、温度Tcから温度Tmの間で、プリント基板20(プリント基板A)のグラフと、樹脂枠40のグラフに挟まれた領域iの面積と、常温Toから温度Tcの間で、プリント基板20(プリント基板A)のグラフと、樹脂枠40のグラフに挟まれた領域iiの面積とが等しいことが好ましい。所定の温度範囲で、部材の線膨張係数のグラフを積分した値が、その温度範囲での部材の縮み量を示している。このため、領域iの面積と、領域iiの面積とが等しければ、結果的に温度Tmから常温Toまでの間に、プリント基板20が縮む量と、樹脂枠40が縮む量とが等しくなる。これにより、プリント基板20および樹脂枠40の温度変化による変形を抑えることが可能となる。
仮に、プリント基板20の面内方向の線膨張係数が図7のプリント基板Bで示したグラフの値である場合、温度Tmから常温Toまでの間、プリント基板Bの線膨張係数が常に樹脂枠の線膨張係数を下回る。このため、温度Tmから常温Toに冷却される過程において、樹脂枠40はプリント基板20よりも大きく縮む。その結果、常温Toにおいて、プリント基板20と、樹脂枠40とが凹状に大きく変形するため、固体撮像素子モジュールを組み立てる際に、組立装置内のワークステージへのワークの吸着固定が不十分となり、組立精度が低下するという問題が発生する。さらには、装置の稼働率の低下、歩留りの低下などの問題が生じてしまう。
また、プリント基板20の面内方向の線膨張係数が図7のプリント基板Cで示したグラフの値である場合、温度Tmから常温Toまでの間、プリント基板Bの線膨張係数が常に樹脂枠40の線膨張係数を上回る。このため、温度Tmから常温Toに冷却される過程において、プリント基板20は、樹脂枠40よりも大きく縮む。その結果、常温Toにおいて、プリント基板20と、樹脂枠40とが凸状に大きく変形する。このため、撮像素子モジュールを組み立てる際に、組立装置内のワークステージへのワークの吸着固定が不十分となり、組立精度が低下するという問題が発生する。また、装置の稼働率の低下、歩留りの低下などの問題が生じてしまう。
図8に他の例における各部材の線膨張係数の関係を示す。図8は図7と同様に、横軸は部材の温度を表し、縦軸は、常温Toの部材の伸びをゼロとした場合における各部材の単位長さ当たりの伸び量を表している。すなわち、図8は、各部材の単位長さ当たりの量としてプロットしたグラフである。グラフの傾きがその部材の線膨張係数である。グラフが折れ曲がっている点の温度が、その部材のガラス転移点である。
プリント基板20のグラフで温度Tgpにおいて折れ曲がっている。したがって、プリント基板20のガラス転移温度は温度Tgpである。温度Tgp以下におけるグラフの傾きが、温度Tgp以下の温度におけるプリント基板20の線膨張係数αPCB1を示している。また、温度Tgp以上におけるグラフの傾きが、温度Tgp以上の温度におけるプリント基板20の線膨張係数αPCB2を示している。
図8において、樹脂枠40に対するグラフは、樹脂枠Aとして示されており、温度Tgfにおいて折れ曲がっている。したがって、樹脂枠40のガラス転移温度は温度Tgfである。温度Tgf以下におけるグラフの傾きが、温度Tgf以下における樹脂枠40の線膨張係数αf1を示している。また、温度Tgf以上におけるグラフの傾きが、温度Tgf以上における樹脂枠40の線膨張係数αf2を示している。常温Toは図7と同様に通常の室温を表している。
図8において、温度Tgp、Tgf、To、線膨張係数αf1、αf2、αPCB1、αPCB2は以下の式を満たすことを望ましい。
Tgp<Tgf、かつ
αPCB1<αf1、かつ
(Tgf-To)×αf1<(Tgp-To)×αPCB1+(Tgf-Tgp)×αPCB2
上述の式を満たすことで、図8に示すように、プリント基板20のグラフと、樹脂枠40(樹脂枠A)のグラフとが、交点を有する。交点の温度をTcとする。図11(a)は、温度Taにて、樹脂枠40とプリント基板20とが固定された状態を示す。上述の樹脂枠40をプリント基板20に接着剤501を介して接着する場合は、図11(a)は温度Taのオーブンから、一体となったプリント基板20と樹脂枠40とが取り出された状態を示す。この状態において、プリント基板20と樹脂枠40とは平坦である。
図11(b)は温度Taから温度Tcに冷却した状態を示している。図8のグラフによると、温度Taから温度Tcまでの間において、プリント基板20の線膨張係数は樹脂枠40の線膨張係数よりも高い。そのため、温度Taから温度Tcに冷却する過程において、プリント基板20は樹脂枠40よりも縮む。そのため、図11(b)に示すように、温度Tcにおいて、プリント基板20と樹脂枠40は凸状に反った状態となる。
さらに、図11(c)は温度Tcから常温To(常温)に冷却した状態を示している。同様に図8のグラフによると、温度Tcから常温Toまでの間において、樹脂枠40の線膨張係数はプリント基板20の線膨張係数よりも高い。そのため、温度Tcから常温Toに冷却する過程において、樹脂枠40はプリント基板20よりも縮む。そのため図11(c)に示すように、常温Toにおいて、プリント基板20と樹脂枠40は再び平らに戻る。この時、プリント基板20と樹脂枠40とをより平らに戻すためには、図8のグラフにおいて、温度Tcから温度Taの間で、プリント基板20のグラフと、樹脂枠40(樹脂枠A)のグラフに挟まれた領域iの面積と、常温Toから温度Tcの間で、プリント基板20(プリント基板A)のグラフと、樹脂枠40のグラフに挟まれた領域である領域iiの面積とが等しいことが好ましい。第1実施形態と同様に、領域iの面積と領域iiの面積とが等しい場合、結果的に温度Taから常温Toまでの間に、プリント基板20が縮む量と、樹脂枠40が縮む量とが等しくなる。これにより、プリント基板20および樹脂枠40の温度変化による変形を抑えることが可能となる。
仮に、樹脂枠40の線膨張係数が図8の樹脂枠Bで示したグラフの値である場合、温度Taから常温Toまでの間、樹脂枠Bの線膨張係数が常に樹脂枠の線膨張係数を下回る。このため、温度Taから常温Toに冷却する過程において、プリント基板20は樹脂枠40よりも大きく縮む。その結果、常温Toにおいて、プリント基板20と、樹脂枠40とが凸状に大きく反るため、固体撮像素子モジュールを組み立てる際に、組立装置内のワークステージへのワークの吸着固定が不十分となり、組立精度が低下するという問題が発生する。さらには、装置の稼働率の低下、歩留りの低下などの問題が生じてしまう。
また、樹脂枠40の面内方向の線膨張係数が図8の樹脂枠Cで示したグラフの値である場合、温度Taから常温Toまでの間、樹脂枠Bの線膨張係数が常にプリント基板の線膨張係数を上回る。このため、温度Taから常温Toに冷却する過程において、樹脂枠40は、プリント基板20よりも大きく縮む。その結果、常温Toにおいて、プリント基板20および樹脂枠40が凹状に大きく反ってしまい、固体撮像素子モジュールを組み立てる際に、組立装置内のワークステージへのワークの吸着固定が不十分となり、組立精度が低下するという問題が発生する。また、装置の稼働率の低下、歩留りの低下などの問題がしょうじてしまう。
本実施形態において、常温To、Tgo、Tgf、線膨張係数αf1、αf2、αPCB1、αPCB2が上述の条件を満たすこと以外に、線膨張係数αPCB1、αf1が、透光性部材30の面内方向の線膨張係数αLよりも小さく、かつ固体撮像素子10の面内方向の線膨張係数αcよりも大きいことが好ましい。
図9を用いて、その理由を説明する。上述の条件において、線膨張係数αPCB1、αf1は同一ではないが比較的に近い値を有する。図9は特に線膨張係数αPCB1、αf1が等しい場合を示している。図9において、横軸は線膨張係数αを表し、縦軸は固体撮像素子10の光入射面の反り量を表している。グラフ9aは、撮像素子モジュールの温度が低温T1の場合の光入射面の反り量を表し。グラフ9bは、撮像素子モジュールの温度が高温T2の場合の変形量を表している。
図9において、線膨張係数αが固体撮像素子10の線膨張係数αcと透光性部材30の線膨張係数αLの中央値であるとき、低温T1から高温T2まで固体撮像素子モジュールの温度が変化しても、固体撮像素子10の表面反り量は一定となることが確認できる。すなわち、この場合、広い温度帯において、固体撮像素子10の表面反りを抑えることが可能となる。本実施形態において、線膨張係数αPCB1、αf1は必ずしも一致しないが、ほぼ近い値をとるため、図9と同様の特性を示すことが分かる。したがって、各部材の線膨張係数はαc<αPCB≒αf1<αLの式を充足することが好ましい。より好ましくは、αPCB≒αf1≒(αc+αL)/2が充足されるとよい。
この理由を、図12を用いて説明する。図12(a)は、低温T1において仮想的に固体撮像素子10が設けられていない撮像素子モジュールの断面図を表している。この場合、各部材の線膨張係数はαf1≒αPCB1<αLとなるため、撮像素子モジュールには断面が凹状に変形しようとする効果が働く。一方、図12(b)は、低温T1において仮想的に透光性部材30が設けられていない撮像素子モジュールの断面図を表している。各部材の線膨張係数はAc<αf1≒αPCB1のため、プリント基板20および樹脂枠40には、凸状に変形させる効果が働く。図12(c)に示されるように、実際の撮像素子モジュール全体においては、図12(a)(b)の効果が相殺され、変形が生じることなく、断面形状は平坦に保たれる。
同様に、図13(a)に示したのは、高温T2において仮想的に固体撮像素子10が設けられていない撮像素子モジュールの断面図を表している。この場合、各部材の線膨張係数はαf1≒αPCB1<αLとなるため、撮像素子モジュールには凸状に変形しようとする効果が働く。一方、図13(b)は、高温T2において仮想的に透光性部材30が設けられていない撮像素子モジュールの断面図を表している。各部材の線膨張係数はAc<αf1≒αPCB1のため、プリント基板20および樹脂枠40には凹状に変形させる効果が働く。図13(c)に示されるように、実際の固体撮像素子モジュール全体においては、図13(a)(b)の効果が相殺され、変形が生じることなく、断面形状は平坦に保たれる。
以上より、本実施形態によれば、広い温度範囲において変形が生じ難い撮像素子モジュールが得られる。
なお、固体撮像素子10をプリント基板20に接着するための接着剤502はゴム弾性を有することが好ましい。これは線膨張係数Ac<<αf1≒αPCB1のために働く効果を、接着剤502が伸びるために緩和されるためである。したがって、この場合、αf1≒αPCB1≒<αLであることが好ましい。
本実施形態によれば、プリント基板、樹脂枠のそれぞれの温度による変形量が相殺されるように構成することで、反りが極めて少ない撮像素子モジュールを提供することが可能となる。
上述したように、APSCサイズ、FULLサイズ等の大型の撮像素子モジュールにおいて、LGA(Land Grid Array)型、LCC(Leadless Chip Carrier)型の半田端子を有する撮像素子パッケージが採用されている。プリント基板の半田端子間のピッチ(0.8~1.5mm)に各配線間隔を一旦、広げる構成のため、固体撮像素子の端子からバイパスコンデンサまでの配線、グランドループや電源ループの配線長が比較的長くなり得る。このように、配線のインダクタンスが無視できない場合、高周波のノイズを抑える必要ある。特に、グランドループ、電源ループが長くなり、ループ面積が大きくなると、ループを通る磁界の変化による磁気ノイズが無視できない。固体撮像素子の画素数、単位時間当たりの撮像枚数が増加し、出力のデジタル化が進み、固体撮像素子の出力信号の伝送スピードを高める必要性が増している。このため、LVDS(Low Voltage Differential Signalling)、SLVS(Scalable Low Voltage Signaling)等の高速のシリアル伝送が用いられている。高速のシリアル伝送においては、取り扱う信号がより小振幅、高周波になっているため、配線のインダクタンス、ループ面積が無視できない。さらに、高速の伝送信号は小振幅で伝送するため、伝送配線はインピーダンスマッチングがとれた電力損失の少ない配線が好ましく、銅の配線を使用する必要性が増している。
上述した特許文献2にはバイパスコンデンサ、電源IC、コネクタ等の電子部品を裏面に搭載した基板の表面に、直接、固体撮像素子を搭載することによって、固体撮像素子のシリアル伝送回路の電源入力PADからバイパスコンデンサまでの配線長を従来よりも短縮し、配線のインダクタンスを下げることが可能な構成が開示されている。さらに、この構成であれば、配線長を短くすることができるため、電源ループ、グランドループのループ面積も小さく抑え得る。しかしながら、特許文献2において、基板にプリプレグを用い、より電力損失の少ない銅配線を含むプリント基板を使用した場合、基板の剛性が低いため、撮像素子モジュールを構成する材料間の線膨張係数差により基板に反りが発生し得る。撮像素子モジュール製造工程において、撮像素子モジュールの搬送、吸着固定に支障をきたす場合が生じ得る。また、撮像素子モジュール完成後においても、撮像素子モジュールの使用環境の温度変化によって、基板に大きな反りが生じ、さらに固体撮像素子受光面に大きな反りが生じ得る。特に、DSLR(Digital Single Lens Reflex)カメラのように、APSCサイズ、フルサイズの固体撮像素子をカメラに組み込む場合、固体撮像素子表面の反りを極めて小さい範囲に抑える必要がある。例えば、反りを50μm以内、好ましくは25μm以内に抑えることが好ましい。
上述した本実施形態によれば、プリント基板、樹脂枠のそれぞれの温度による変形量が相殺されるように構成することで、反りが極めて少ない撮像素子モジュールを提供でき、上述の課題を解決することが可能となる。また、特にプリプレグからなるプリント基板上に固体撮像素子を搭載する場合に、撮像素子モジュールの製造工程、使用環境の温度変化によって生じ得る固体撮像素子受光面の反りを極めて小さな範囲に抑えることが可能となる。
[実施例1]
以下、本発明の実施例を説明する。図1、図2、図5Aおよび図5Bで示した撮像素子モジュール1を作製した。まず、プリント基板20を作製した。使用したプリプレグのガラス転移温度Tgpは220℃である。工法はサブトラクト法による。レーザービアのスタック2層、ドリルビアのコア4層からなる、いわゆる2-4-2の8層基板を作製した。導体は20μm厚の銅を使用し、リソグラフィー手法でパターニングが施されている。導体間の絶縁層の厚みは、コアが250μm、その他が50μmである。内面202の導体層に内部端子25を、外面201の導体層に電子部品を搭載するための半田端子、電子部品搭載のためのアライメントマーク、テストプローブを当てるためのパッド列612をパターニングし、外面201、内面202共に20μm厚で、ソルダーレジスト層203によって覆った。導体層のパターニングは、パターニング前の面積を100とし、パターニング後に残っている部分の面積が70となる様に、各層のパターンを調整した。このように、各層のパターニング後の面積を調整することは、プリント基板20の面内方向に対する線膨張係数αPCBを所望の値に調整するために好ましい。
最後に、内部端子25、半田端子、パッド等、必要箇所はパターニングで開口させた後に、表面にニッケルメッキ4~100μm、金メッキ0.1~0.8μmを施した。総厚は720μmであった。作製したプリント基板は1シートに4つのプリント基板が含まれる集合状態のものであり、各プリント基板の外形をルーター加工にて処理した。1枚のプリント基板につき、複数個所をルーター加工未処理とし、4つが一体化したシート状のまま、プリント基板作製加工を終了した。
プリント基板作製後に、面内方向に対する線膨張係数αPCBを測定した。測定には公知のデジタル画像相関法を使用した。測定の結果、プリント基板のガラス転移温度Tgpは220℃であった。また、ガラス転移温度Tgp以下における線膨張係数αPCB1は10ppm/℃、ガラス転移温度Tgp以上における線膨張係数αPCB2は20ppm/℃であった。
次に、半田ペーストと、印刷機とを使用して、半田端子の上に半田ペーストを印刷し、その上にマウンターを使用して電子部品を搭載した。半田ペーストにはフラックスが含まれるが、ハロゲンフリーのものを使用した。搭載した電子部品は、セラミックコンデンサ、タンタルコンデンサ、チップ抵抗、電源IC、B-to-Bコネクタ、水晶発振器、PLL、EPROM、温度測定IC、トランジスタの総計137点である。各電子部品を搭載した後に公知のリフロー炉に通し、半田接合を完成させた。
次に、レーザーマーカーにてプリント基板20の外面201上のソルダーレジスト層にシリアル番号、及びデータマトリックスコードを印字した。使用したレーザーはYV04(イットリウム・四酸化バナジューム)である。さらに、洗浄機、乾燥機、およびフラックス洗浄液を利用して、半田ペーストに含まれていたフラックスを除去した。
次に、一般的なプレス機と抜き金型を使用して、プリント基板20の外形でルーター未加工であった部分を切断し、シート状のプリント基板を個片のプリント基板20に切り離した。次に、プリント基板20に樹脂枠40を成型した。まず、図5A(c)に示した様に、電子部品が搭載されたプリント基板20を上下の金型で挟んで固定した。金型は150℃に予熱しておいた。金型にはプリント基板20の外縁205と、内面202の外周部が露出した閉空間4003を設けた。閉空間4003にはゲート、ランナー、カル、ポッドが通じており、ポッドにエポキシを主成分とし、硬化剤、シリカフィラー、カップリング剤、難燃剤、離型剤を含むタブレットを入れ、プランジャーで加圧し、閉空間4003に樹脂を充填した。充填後、3分保持し、樹脂を硬化させた。硬化後に金型を開き、一体化されたプリント基板20と樹脂枠を取り出し、不要なゲート、ランナー部、以降の樹脂を切り落として撮像素子パッケージ50を取り出した。取り出した撮像素子パッケージ50は150℃のオーブンに入れてポストキュアを3時間行い、樹脂枠40を最終的に硬化させた。
使用した樹脂の成型物を使用して、TMA(Thermal Mechanical Analysis)測定機によって、ガラス転移温度と、線膨張係数を測定した。測定結果によると、ガラス転移温度Tgfは140℃であり、ガラス転移温度Tgf以下における線膨張係数αf1は9ppm/℃、ガラス転移温度Tgf以上における線膨張係数αf2は30ppm/℃であった。
次に、完成した撮像素子パッケージ50の樹脂枠40の上面402に粗面加工を施した。粗面化は公知の方法で行い、算術平均粗さRaは7~10μmであった。また、純水洗浄機により、表面を洗浄し、乾燥させて撮像素子パッケージを完成させた。完成した撮像素子パッケージのダイアタッチ面(固体撮像素子10を固定する面)の反りを測定したところ、反りは-10μm程度であった。また、撮像素子パッケージの裏面での反りは+10μm程度であって、小さかった。ここで、マイナスは断面において凹状に変形していることを表し、プラスは断面において凸状に変形していることを表している。
次に、撮像素子モジュールを組み立てた。まず、CMOSウェハプロセス、カラーフィルタプロセスにおいて、複数の固体撮像素子10を厚さ775μmの直径12インチのシリコンウェハ表面に形成し、ダイシングによって個片化を行った。次に個片化した固体撮像素子の表面洗浄を行ってAPSCサイズの固体撮像素子10を得た。固体撮像素子10の線膨張係数αcは3ppm/℃であった。上述の撮像素子パッケージ50を、ダイボンダ―の吸着ステージ670上に吸着固定した。図5B(e)の矢印で示した部分をポンプで吸引した。中央部分は、大気にリークしているため、吸引されていない。吸引時における吸着真空度は-60kPaであった。この状態で、撮像素子パッケージ50に含まれるプリント基板20の内面202上であって、かつプリント基板20の中央部に、ディスペンサーでゴム弾性を有するシリコーン樹脂を塗布した。塗布形状は線状とし、図5B(e)のX方向に長い直線状に、Y方向にオフセットしながらシリコーン樹脂を3本塗布した。塗布したシリコーン樹脂上に固体撮像素子10を搭載し、撮像素子パッケージの全体を120℃のオーブン内にいれた。撮像素子パッケージ50の全体をオーブン内で50分間加熱し、シリコーン樹脂を硬化させ、撮像素子パッケージ50と固体撮像素子10とを互いに固定した。固定した固体撮像素子10のX方向、Y方向の位置ズレは100μm以内であり、十分な精度が得られた。また、固体撮像素子10の光入射面の反り量を測定したところ+10μmであった。上述したように、マイナスは凹状の変形を表し、プラスは凸状の変形を表している。
次に、ワイヤーボンダを使用して、固体撮像素子10の電極103と、プリント基板20の内部端子25とを結線した。ワイヤーは直径23μmの金線を使用した。吸着ステージ670はダイボンダーと同様のものを使用した。-67kPaの吸着真空度において、安定して加工が行われた。最後に樹脂枠40の接合面402に透光性部材30を接着剤503で接着固定した。ここで、透光性部材30には水晶を使用した。水晶の結晶軸はZ軸に対して、XZ平面内で45度傾けた方向に設定された。この時、水晶のX方向の線膨張係数は13ppm/℃であり、Y方向の線膨張係数は10ppm/℃であった。使用した水晶は500μmの厚さを有し、4隅と8稜線に面取り加工を施した。
装置はマウンターであり、吸着ステージにはダイボンダー同様のステージを用いた。ここでの吸着真空度も-63kPaであり、安定した加工が行われた。公知のディスペンサーで樹脂枠40の接合面402に接着剤503を塗布した。塗布の際には空気抜きのために、一部隙間を設けた。エポキシを主成分とする紫外線硬化樹脂を接着剤503として用いた。透光性部材30と樹脂枠40との線膨張係数差に比例して生じる応力を、接着剤503が歪むことによって吸収出来るようにするために、接着剤に直径30μmの樹脂スペーサーを添加して、接着剤の厚みが30~50μmとなるように調節した。最後に4000mJの紫外線を照射して、接着剤503を硬化させた。使用した接着剤503の硬化時の弾性率は5GPaであった。
以上のようにして、実施例1の撮像素子モジュールを完成させた。完成後の撮像素子モジュールにおいて、固体撮像素子10の反りをカメラの使用環境下である-40℃から60℃の間で測定した。透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の室温における固体撮像素子10の面の反りは+10μm、-40℃にした際の反りは+20μm、60℃にした際の反りは0μmであって、反りを十分に小さくすることができた。以上により、良好な結果が得られた。
[実施例2]
以下に、実施例1と異なる点を中心に説明する。実施例2においては、プリント基板20に使用するプリプレグの種類が実施例1と異なる。完成したプリント基板20のガラス転移温度Tgpは190℃、ガラス転移温度Tgp以下の線膨張係数αPCB1は12ppm/℃、温度Tgp以上の線膨張係数αPCB2は28ppm/℃であった。
この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは0μmと小さく、ダイボンダー、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて安定した吸着力が得られた。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後、固体撮像素子10の反りは+20μmであった。さらに、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の反りは+20μmで十分小さかった。また、撮像素子モジュールを-40℃にした際の固体撮像素子10の反りは+30μm、60℃にした際の反りは+10μmであって、反りを十分に小さくすることができた。
[実施例3]
続いて、実施例3について、実施例1と異なる点を中心に説明する。実施例3においては、透光性部材30として水晶に代えてホウケイ酸ガラスを用いた。ホウケイ酸ガラスの線膨張係数αLは7ppm/℃であった。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは-10μmで小さく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて安定した吸着力が得られた。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の反りは+10μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+10μmであって、十分に小さかった。また、撮像素子モジュールを-40℃にした際の固体撮像素子10の面の反りは+30μm、60℃にした際の反りは-10μmで、いずれも小さかった。但し、反りの変化量が増加した。
[実施例4]
続いて、実施例4について、実施例2と異なる点を中心に説明する。実施例4においては、透光性部材30として水晶に代えてホウケイ酸ガラスを用いた。ホウケイ酸ガラスの線膨張係数αLは7ppm/℃であった。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは0μmで小さく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて安定した吸着力が得られた。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは+20μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+20μmであって、十分に小さかった。また、撮像素子モジュールを-40℃にした際の固体撮像素子10の面の反りは+40μm、60℃にした際の反りは0μmで、いずれも小さかった。但し、反りの変化量が増加した。
[実施例5]
続いて、実施例5について、実施例1と異なる点を中心に説明する。実施例5においては、固体撮像素子10をプリント基板20に固定する接着剤502をシリコーン樹脂から非ゴム弾性のエポキシ樹脂に変更した。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは-10μmで小さく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて安定した吸着力が得られた。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは+20μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+20μmであって、十分小さかった。また、撮像素子モジュール50を-40℃にした際の固体撮像素子10の面の反りは+30μm、60℃にした際の反りは+10μmであって、いずれも小さかった。但し、反りの最大値が増加した。
[実施例6]
続いて、実施例6について、実施例2と異なる点を中心に説明する。実施例6においては、実施例5と同様に、固体撮像素子10をプリント基板20に固定する接着剤502をシリコーン樹脂からエポキシ樹脂に変更した。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは0μmで小さく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて安定した吸着力が得られた。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは+30μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+30μmで十分小さかった。また、撮像素子モジュールを-40℃にした際の固体撮像素子10の面の反りは+40μm、60℃にした際の反りは+20μmであって、いずれも小さかった。但し、反りの最大値が増加した。
[比較例1]
比較例1について、実施例1と異なる点を中心に説明する。比較例1において、プリント基板20に使用するプリプレグの種類は実施例1と異なる。完成したプリント基板20のガラス転移温度Tgpは250℃、ガラス転移温度Tgp以下の線膨張係数αPCB1は5ppm/℃、温度Tgp以上の線膨張係数αPCB2は10ppm/℃であった。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは-100μmで大きく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタでの吸着力が足らず、位置精度不良の発生による歩留り低下、装置稼働率の低下が顕著だった。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは-90μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは-90μmで大きくなり、カメラに必要な精度を満たさなかった。また、撮像素子モジュールを-40℃にした際の固体撮像素子10の面の反りは-150μm、60℃にした際の反りは-30μmで、これもまた、カメラに必要な安定性を確保出来なかった。
[比較例2]
比較例2について、実施例1と異なる点を中心に説明する。比較例2において、プリント基板20に使用するプリプレグの種類を変更した。完成したプリント基板20のガラス転移温度Tgpは160℃、ガラス転移温度Tgp以下の線膨張係数αPCB1は16ppm/℃、温度Tgp以上の線膨張係数αPCB2は36ppm/℃であった。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは+110μmで大きく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタでの吸着力が足らず、位置精度不良の発生による歩留り低下、装置稼働率の低下が顕著だった。
固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは+115μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+115μmで大きくなり、カメラに必要な精度を満たさなかった。また、撮像素子モジュール50を-40℃にした際の固体撮像素子10の面の反りは+130μm、60℃にした際の反りは+80μmとなり、カメラに必要な安定性を確保することはできなかった。
[比較例3]
比較例3について、比較例1と異なる点を中心に説明する。比較例3において、透光性部材30を水晶からホウケイ酸ガラスに変更した。ホウケイ酸ガラスの線膨張係数αLは7ppm/℃であった。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは-100μmで大きく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタでの吸着力が足らず、位置精度不良の発生による歩留り低下、装置稼働率の低下が顕著だった。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは-90μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは-90μmと大きくなり、カメラに必要な精度を満たさなかった。また、撮像素子モジュールを-40℃にした際の固体撮像素子10の面の反りは-140μm、60℃にした際の反りは-40μmとなり、カメラに必要な安定性を確保することはできなかった。
[比較例4]
比較例4について、比較例2と異なる点を中心に説明する。比較例4において、透光性部材30を水晶からホウケイ酸ガラスに変更した。ホウケイ酸ガラスの線膨張係数αLは7ppm/℃であった。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは+110μmで大きく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタでの吸着力が足らず、位置精度不良の発生による歩留り低下、装置稼働率の低下が顕著だった。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは+115μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+115μmと大きくなり、カメラに必要な精度を満たさなかった。また、固体撮像素子モジュール50を-40℃にした際の固体撮像素子10の面の反りは+140μm、60℃にした際の反りは+70μmとなり、カメラに必要な安定性を確保することはできなかった。
[比較例5]
比較例5について、比較例1と異なる点を中心に説明する。比較例5において、固体撮像素子10を撮像素子モジュールに固定する接着剤502をシリコーン樹脂からエポキシ樹脂に変更した。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは-100μmと大きく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタでの吸着力が足らず、位置精度不良の発生による歩留り低下、装置稼働率の低下が顕著だった。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは-80μm、透光性部材30を樹脂40枠に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは-80μmと大きくなり、カメラに必要な精度を満たさなかった。また、撮像素子モジュール50を-40℃にした際の固体撮像素子10の面の反りは-140μm、60℃にした際の反りは-20μmとなり、カメラに必要な安定性を確保出来なかった。
[比較例6]
比較例6について、比較例2と異なる点を中心に説明する。比較例6において、固体撮像素子10を撮像素子モジュール50に固定する接着剤502をシリコーン樹脂からエポキシ樹脂に変更した。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは+110μmと大きく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタでの吸着力が足らず、位置精度不良の発生による歩留り低下、装置稼働率の低下が顕著だった。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは+125μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+125μmで大きくなり、カメラに必要な精度を満たさなかった。また、固体撮像素子モジュール50を-40℃にした際の固体撮像素子10の面の反りは+140μm、60℃にした際の反りは+90μmとなり、カメラに必要な安定性を確保出来なかった。
[実施例7]
実施例7について、実施例1と異なる点を中心に説明する。実施例7においては、プリント基板20に使用するプリプレグの種類が異なる。完成したプリント基板20のガラス転移温度Tgpは190℃、ガラス転移温度Tgp以下の線膨張係数αPCB1は12ppm/℃、温度Tgp以上の線膨張係数αPCB2は28ppm/℃であった。また、樹脂枠40を単独でモールド成型により作成した。作成した樹脂枠40は接着剤501を介してプリント基板20に接着した。樹脂枠40はエポキシを主剤とする樹脂を選択し、成型はインジェクション成型で行った。ガラス転移温度Tgfは220℃、ガラス転移温度Tgf以下における樹脂枠40の線膨張係数αf1は13ppm/℃、ガラス転移温度Tgf以上における樹脂枠40の線膨張係数αf2は26ppm/℃であった。
樹脂枠40をプリント基板20に接着する工程は図6に記載のとおりである。マウンタの上にプリント基板20を固定し、ディスペンサでプリント基板20の内面202の周囲に、接着剤501を塗布した。使用した接着剤501は熱硬化性のエポキシ樹脂である。その後、マウンタによって樹脂枠40を接着剤501の上に搭載した。この時、接着剤501の一部が樹脂枠40の内縁403に濡れ上がり、かつプリント基板20の外縁205に濡れ下がるように、樹脂の塗布量を調節した。次に、そのまま200℃のオーブンに入れて接着剤501を硬化させた。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは-15μmで小さく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて十分な吸着力が得られた。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは+15μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+5μmであって、十分に小さかった。また、撮像素子モジュール50の-40℃における固体撮像素子10の面の反りは+15μm、60℃における反りは-5μmで、いずれも小さかった。
[実施例8]
実施例8について、実施例7と異なる点を中心に説明する。実施例8において、プリント基板20に使用するプリプレグの種類が異なる。完成したプリント基板20のガラス転移温度Tgpは160℃、ガラス転移温度Tgp以下の線膨張係数αPCB1は16ppm/℃、ガラス転移温度Tgp以上の線膨張係数αPCB2は36ppm/℃であった。また、樹脂枠40の樹脂と、接着剤501を変更した。変更後の樹脂枠40のガラス転移温度Tgfは200℃、ガラス転移温度Tgf以下における線膨張係数αf1は18ppm/℃、ガラス転移温度Tgf以上の温度における線膨張係数αf2は39ppm/℃であり、接着剤501の硬化温度は170℃である。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは-5μmで小さく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて十分な吸着力が得られた。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは+15μm、透光性部材を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+15μmで十分に小さかった。また、撮像素子モジュール50の-40℃における固体撮像素子10の面の反りは+35μm、60℃における反りは+5μmで、いずれも小さかった。
[実施例9]
実施例9について、実施例7と異なる点を中心に説明する。実施例9において、透光性部材30を水晶からホウケイ酸ガラスに変更した。ホウケイ酸ガラスの線膨張係数αLは7ppm/℃であった。この時、樹脂枠30を貼った後のダイアタッチ面の反りは15μmで小さく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて十分な吸着力が得られた。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは+5μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+5μmで十分に小さかった。また、撮像素子モジュール50の-40℃における固体撮像素子10の面の反りは+35μm、60℃における反りは-15μmで、いずれも小さかった。但し、反りの変化量が増加した。
[実施例10]
実施例10について、実施例8と異なる点を中心に説明する。実施例10において、透光性部材30を水晶からホウケイ酸ガラスに変更した。ホウケイ酸ガラスの線膨張係数αLは7ppm/℃であった。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは-5μmで小さく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて十分な吸着力が得られた。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは+15μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+15μmで十分に小さかった。また、撮像素子モジュール50の-40℃における固体撮像素子面の反りは+45μm、60℃における反りは-5μmで、いずれも小さかった。但し、反りの変化量が増加した。
[実施例11]
実施例11について、実施例7と異なる点を中心に説明する。実施例11において、固体撮像素子10を撮像素子モジュール50に固定する接着剤502をシリコーン樹脂からエポキシ樹脂に変更した。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは-15μmで小さく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて十分な吸着力が得られた。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは+15μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+15μmで十分小さかった。また、撮像素子モジュール50の-40℃における固体撮像素子10の面の反りは+25μm、60℃における反りは-5μmで、いずれも小さかった。但し、反りの最大値が増加した。
[実施例12]
実施例12について、実施例8と異なる点を中心に説明する。実施例12において、固体撮像素子10を撮像素子モジュール50に固定する接着剤502をシリコーン樹脂からエポキシ樹脂に変更した。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは-5μmで小さく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて十分な吸着力が得られた。固体撮像素子10を撮像素子パッケージに接着した後の固体撮像素子10の面の反りは+25μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+25μmで十分に小さかった。また、撮像素子モジュール50の-40℃における固体撮像素子10の面の反りは+45μm、60℃における反りは+15μmで、いずれも小さかった。但し、反りの最大値が増加した。
[比較例7]
比較例7について、実施例7と異なる点を中心に説明する。比較例7において、樹脂枠40に使用する樹脂の種類が異なる。完成した樹脂枠40のガラス転移温度Tgfは250℃、ガラス転移温度Tgf以下の線膨張係数αf1は9ppm/℃、ガラス転移温度Tgf以上の線膨張係数αf2は30ppm/℃であった。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは+105μm、裏面の反りは-105μmで大きく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて十分な吸着力が得られず、位置精度不良の発生による歩留り低下、装置稼働率の低下が顕著だった。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは+115μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+115μmで大きくなり、カメラに必要な精度を満たさなかった。また、撮像素子モジュール50の-40℃における固体撮像素子10の面の反りは+160μm、60℃における反りは+40μmであって、カメラに必要な安定性を確保できなかった。
[比較例8]
比較例8について、実施例8と異なる点を中心に説明する。比較例8において、樹脂枠40に使用する樹脂の種類が異なる。完成した樹脂枠40のガラス転移温度Tgfは180℃、ガラス転移温度Tgf以下の線膨張係数αf1は20ppm/℃、温度Tgf以上の線膨張係数αf2は40ppm/℃であった。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは-120μmで大きく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて十分な吸着力が得られず、位置精度不良の発生による歩留り低下、装置稼働率の低下が顕著だった。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは-105μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは-105μmで大きくなり、カメラに必要な精度を満たさなかった。また、撮像素子モジュール50の-40℃における固体撮像素子10の面の反りは-170μm、60℃における反りは-95μmであって、カメラに必要な安定性を確保できなかった。
[比較例9]
比較例9について、比較例7と異なる点を中心に説明する。比較例9において、透光性部材30を水晶からホウケイ酸ガラスに変更した。ホウケイ酸ガラスの線膨張係数αLは7ppm/℃であった。この時、樹脂枠30を貼った後のダイアタッチ面の反りは+105μmで大きく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて十分な吸着力が得られず、位置精度不良の発生による歩留り低下、装置稼働率の低下が顕著だった。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは+115μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+115μmで大きくなり、カメラに必要な精度を満たさなかった。また、固体撮像素子モジュールの-40℃における固体撮像素子10の面の反りは+170μm、60℃における反りは+30μmであって、カメラに必要な安定性を確保出来なかった。
[比較例10]
比較例10について、比較例8と異なる点を中心に説明する。比較例10では透光性部材30を水晶からホウケイ酸ガラスに変更した。ホウケイ酸ガラスの線膨張係数αLは7ppm/℃であった。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは-1200μmで大きく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて十分な吸着力が得られず、位置精度不良の発生による歩留り低下、装置稼働率の低下が顕著だった。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは-105μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは-105μmで大きくなり、カメラに必要な精度を満たさなかった。また、撮像素子モジュール50の-40℃における固体撮像素子10の面の反りは-190μm、60℃における反りは-105μmで、カメラに必要な安定性を確保出来なかった。
[比較例11]
比較例11について、比較例7と異なる点を中心に説明する。比較例11において、固体撮像素子10を撮像素子モジュール50に固定する接着剤502をシリコーン樹脂からエポキシ樹脂に変更した。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは+105μmで大きく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて十分な吸着力が得られず、位置精度不良の発生による歩留り低下、装置稼働率の低下が顕著だった。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは+125μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは+125μmで大きくなり、カメラに必要な精度を満たさなかった。また、撮像素子モジュール50の-40℃における固体撮像素子10の面の反りは+170μm、60℃における反りは+50μmであって、カメラに必要な安定性を確保出来なかった。
[比較例12]
比較例12について、比較例8と異なる点を中心に説明する。比較例12において、固体撮像素子10を撮像素子モジュールに固定する接着剤502をシリコーン樹脂からエポキシ樹脂に変更した。この時、樹脂枠40を貼った後のダイアタッチ面の反りは-120μmで大きく、ダイボンダ、ワイヤーボンダ、透光性部材マウンタにおいて十分な吸着力が得られず、位置精度不良の発生による歩留り低下、装置稼働率の低下が顕著だった。固体撮像素子10を撮像素子パッケージ50に接着した後の固体撮像素子10の面の反りは-95μm、透光性部材30を樹脂枠40に貼った後の固体撮像素子10の面の反りは-95μmで大きくなり、カメラに必要な精度を満たさなかった。また、撮像素子モジュールの-40℃における固体撮像素子10の面の反りは-160μm、60℃における反りは-85μmであって、カメラに必要な安定性を確保できなかった。
図14A、図14B、図15A、図15Bに実施例、比較例の測定結果および判定結果を示す。図14Aは実施例1~6、比較例1~6における線膨張係数、ガラス転移温度の関係を示し、図14Bは同実施例、同比較例における反り量、吸着搬送判定結果、反り判定結果などを示している。同様に、図15Aは、実施例7~12、比較例7~12における線膨張係数、ガラス転移温度の関係を示し、図15Bは同実施例、同比較例における反り量、吸着搬送判定結果、反り判定結果などを示している。
図14、図15には、温度Tgpと温度Tgfの大小関係、線膨張係数αPCB1、αf1との大小関係、及び((Tgp-To)×αPCB1)、((Tgf-To)×αf1+(Tgp-Tgf)×αf2)との大小関係、吸着搬送判定結果、撮像素子面の反り判定結果が示されている。これらを照らし合わせると、本発明に係る実施例1~12の効果は明らかである。
[第2実施形態]
上述の実施形態における撮像素子モジュールは種々の撮像システムに適用可能である。撮像システムとして、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、カメラヘッド、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星、監視カメラなどがあげられる。図16に、撮像システムの例としてデジタルスチルカメラのブロック図を示す。
図16に示す撮像システムは、バリア1001、レンズ1002、絞り1003、撮像装置1004、信号処理装置1007、タイミング発生部1008、全体制御・演算部1009、メモリ部1010、記録媒体制御I/F部1011、記録媒体1012、外部I/F部1013、角速度センサ(検出部)1015、アクチュエータ1016を含む。バリア1001はレンズ1002を保護し、レンズ1002は被写体の光学像を撮像装置1004に結像させる。絞り1003はレンズ1002を通った光量を可変する。撮像装置1004は、上述の撮像素子モジュール1により構成され、レンズ1002により結像された光学像を画像データに変換する。信号処理装置1007は撮像装置1004より出力された画像データに各種の補正、データ圧縮を行う。タイミング発生部1008は撮像装置1004および信号処理装置1007に、各種タイミング信号を出力する。全体制御・演算部1009はデジタルスチルカメラ全体を制御し、メモリ部1010は画像データを一時的に記憶する。記録媒体制御I/F部1011は記録媒体1012に画像データの記録または読み出しを行うためのインターフェースであり、記録媒体1012は撮像データの記録または読み出しを行うための半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体である。外部I/F部1013は外部コンピュータ等と通信するためのインターフェースである。タイミング信号などは撮像システムの外部から入力されてもよく、撮像システムは少なくとも撮像装置1004と、撮像装置1004から出力された画像信号を処理する信号処理装置1007とを有すればよい。
撮像装置1004とAD変換部とが同一の半導体基板に設けられていてもよく、撮像装置1004とAD変換部とが別の半導体基板に形成されていてもよい。また、撮像装置1004と信号処理装置1007とが同一の半導体基板に形成されていてもよい。それぞれの画素が第1の光電変換部と、第2の光電変換部を含んでもよい。信号処理装置1007は、第1の光電変換部で生成された画素信号と、第2の光電変換部で生成された画素信号とを処理し、撮像装置1004から被写体までの距離情報を取得するように構成されてもよい。
角速度センサ1015は撮像システムの筐体などに固定され、撮像システムの手振れを検出する。手振れは、撮像デバイスの受光面におけるX軸方向、Y軸方向のそれぞれの変位量として検出される。アクチュエータ1016は電磁駆動機構またはピエゾ駆動機構などから構成され、撮像装置1004の位置を変位させる。アクチュエータ1016は全体制御・演算部1009によって制御され、角速度センサ1015によって検出された変位量を打ち消す方向に、撮像装置1004を駆動する。
図17は本実施形態における撮像装置1004を説明するための図である。図17(A)は撮像装置1004の平面図であって、図17(B)は撮像装置1004の側面図である。撮像装置1004は基板1017の上面に取り付けられ、基板1017の下面にはアクチュエータ1016が設けられている。アクチュエータ1016は、撮像装置1004をX方向、Y方向に移動させることができる。
本実施形態における撮像装置1004は、第1実施形態における撮像素子モジュール1によって構成されている。撮像素子モジュール1において、固体撮像素子10などの電子デバイスは、セラミックパッケージを用いることなく、プリント基板20に直接に取り付けられている。このため、撮像装置1004を軽量化することができ、撮像装置1004の変位を制御するセンサシフト方式の手振れ補正機構を採用することができる。
[第3実施形態]
図18A、図18Bは、本実施形態における車載カメラに関する撮像システムのブロック図である。撮像システム2000は、上述した実施形態の撮像装置1004を有する。撮像システム2000は、撮像装置1004により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部2030と、撮像システム2000より取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差算出部2040を有する。また、撮像システム2000は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離計測部2050と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部2060とを有する。ここで、視差算出部2040、距離計測部2050は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部2060はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Itegrated Circuit)によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
撮像システム2000は車両情報取得装置2310と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム2000には、衝突判定部2060での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU2410が接続されている。また、撮像システム2000は、衝突判定部2060での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置2420とも接続されている。例えば、衝突判定部2060の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU2410はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置2420は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。撮像システム2000は上述のように車両を制御する動作の制御を行う制御手段として機能する。
本実施形態では車両の周囲、例えば前方または後方を撮像システム2000で撮像する。図18Bは、車両前方(撮像範囲2510)を撮像する場合の撮像システムを示している。撮像制御手段としての車両情報取得装置2310が、上述の第1および実施形態に記載した動作を行うように撮像システム2000ないしは撮像装置1004に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
上述では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。さらに、撮像システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
[他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。また、本発明は、固体撮像素子以外の電子デバイスにおいても適用可能である。
なお、上述の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
1 撮像素子モジュール
10 固体撮像素子
20 プリント基板
201プリント基板の外面(第2の主面)
202プリント基板の内面(第1の主面)
205プリント基板の外縁
30 透光性部材
40 樹脂枠
50 撮像素子パッケージ
510 内部空間
600 部品

Claims (14)

  1. 第1の主面、第2の主面、および前記第1の主面と前記第2の主面に連続する外縁を有し、複数の導体層および複数の絶縁層を含む基板と、
    前記第1の主面に取り付けられた固体撮像素子と、
    前記固体撮像素子の周囲を囲むように前記第1の主面に取り付けられた枠体と、
    前記枠体の上に固定された透光性部材とを備える撮像素子モジュールであって、
    前記基板のガラス転移温度Tgp以下における前記基板の面内方向の線膨張係数をαPCB1とし、前記ガラス転移温度Tgp以上における前記基板の前記面内方向の線膨張係数をαPCB2とし、前記枠体のガラス転移温度Tgf以下における前記枠体の線膨張係数をαf1とし、前記ガラス転移温度Tgf以上における前記枠体の線膨張係数をαf2とし、常温をToとした場合、
    Tgp<Tgf、かつ
    αPCB1<αf1、かつ
    (Tgf-To)×αf1<(Tgp-To)×αPCB1+(Tgf-Tgp)×αPCB2、
    の関係を充足することを特徴とする撮像素子モジュール。
  2. 前記ガラス転移温度Tgpは前記ガラス転移温度Tgfよりも大きく、前記枠体は前記基板上にモールド成型されていることを特徴とする請求項に記載の撮像素子モジュール。
  3. 前記線膨張係数αPCB1と、前記線膨張係数αf1とは、前記透光性部材の面内方向の線膨張係数αLよりも小さく、かつ前記固体撮像素子の面内方向の線膨張係数αcよりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像素子モジュール。
  4. 前記基板はプリプレグを含むプリント基板であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像素子モジュール。
  5. 前記枠体は樹脂を含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像素子モジュール。
  6. 前記固体撮像素子は前記第1の主面に接着剤によって取り付けられたことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像素子モジュール。
  7. 前記接着剤はゴム弾性を有する樹脂であることを特徴とする請求項に記載の撮像素子モジュール。
  8. 前記枠体は前記基板の前記外縁を覆っていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像素子モジュール。
  9. 前記枠体は前記基板の前記外縁を覆っていないことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像素子モジュール。
  10. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の前記固体撮像素子から出力された画素信号を処理する信号処理装置とを備える撮像システム。
  11. 前記撮像システムの動きを検出する検出部と、
    前記検出部からの信号に基づき、前記撮像素子モジュールを変位させるアクチュエータとを備えることを特徴とする請求項10に記載の撮像システム。
  12. 前記固体撮像素子は複数の画素を備え、
    前記画素は複数の光電変換部を備え、
    前記信号処理装置は、複数の前記光電変換部にて生成された前記画素信号をそれぞれ処理し、前記固体撮像素子から被写体までの距離に基づく情報を取得することを特徴とする請求項10または11に記載の撮像システム。
  13. 第1の主面、第2の主面、および前記第1の主面と前記第2の主面に連続する外縁を有し、複数の導体層および複数の絶縁層を含む基板と、
    前記第1の主面に取り付けられた枠体とを備える撮像素子パッケージであって、
    前記基板のガラス転移温度Tgp以下における前記基板の面内方向の線膨張係数をαPCB1とし、前記Tgp以上における前記基板の前記面内方向の線膨張係数をαPCB2とし、前記枠体のガラス転移温度Tgf以下における前記枠体の線膨張係数をαf1とし、
    前記Tgf以上における前記枠体の線膨張係数をαf2とし、常温をToとした場合、
    Tgp<Tgf、かつ
    αPCB1<αf1、かつ
    (Tgf-To)×αf1<(Tgp-To)×αPCB1+(Tgf-Tgp)×αPCB2、
    の関係を充足することを特徴とする撮像素子パッケージ。
  14. 第1の主面、第2の主面、および前記第1の主面と前記第2の主面に連続する外縁を有し、複数の導体層および複数の絶縁層を含む基板を用意する工程と、
    前記第1の主面に固体撮像素子を取り付ける工程と、
    前記固体撮像素子の周囲を囲むように前記第1の主面に枠体を取り付ける工程と、
    前記枠体の上に透光性部材を取り付ける工程とを備える撮像素子モジュールの製造方法であって、
    前記基板のガラス転移温度Tgp以下における前記基板の面内方向の線膨張係数をαPCB1とし、前記ガラス転移温度Tgp以上における前記基板の前記面内方向の線膨張係数をαPCB2とし、前記枠体のガラス転移温度Tgf以下における前記枠体の線膨張係数をαf1とし、前記ガラス転移温度Tgf以上における前記枠体の線膨張係数をαf2とし、常温をToとした場合、
    Tgp<Tgf、かつ
    αPCB1<αf1、かつ
    (Tgf-To)×αf1<(Tgp-To)×αPCB1+(Tgf-Tgp)×αPCB2、
    の関係を充足し、
    前記枠体を前記基板に取り付ける工程は、前記ガラス転移温度Tgpと前記ガラス転移温度Tgfとの間の温度において行われることを特徴とする撮像素子モジュールの製造方法。
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