本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。尚、本発明にかかる実施の形態は、下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。また、以下の各実施例及び別例を適宜組み合わせることも可能である。
図1に示すように、本実施例のパチンコ機1は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51によって構成の各部を保持する構造である。外枠51には、その左側上下に設けられたヒンジ53を介して、内枠(図示せず)が該外枠51に対して開閉可能に取り付けられ、さらに、該内枠の前面に、前枠(ガラス枠)52が該内枠に対して開放可能に取り付けられている。そして、前枠52には、板ガラス61が脱着可能に設けられている。また、板ガラス61の奥側(後側)には、内枠に取り付けられた遊技盤2(図2)が配設されている。
前枠52には、その上部左右に、スピーカ66が配設されており、該スピーカ66から発せられる遊技音や警報音によって、遊技の趣向性を高めたり、遊技者に注意喚起したりする。また、前枠52には、遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65が複数配設されており、該発光によって遊技の趣向性を向上させる。さらに、前枠52の下部には、上皿55と下皿63とが一体的に設けられており、該下皿63の右方に発射ハンドル64が配設されている。この発射ハンドル64は、遊技者によって時計回りに回動操作されることで、図示しない発射装置を可動させて、上皿55から供給される遊技球を遊技盤2の遊技領域3に向かって発射する。
上皿55には、賞球や貸球が払い出される。また、下皿63は、上皿55から溢れた賞球を受ける構成で、該下皿63内の遊技球を排出する球抜きレバー(図示せず)を備える。この球抜きレバーが遊技者により操作されることで、下皿63に貯まった遊技球を別箱(ドル箱)に移すことができる。
本実施例のパチンコ機1は、所謂CR機であって、プリペイドカードの読み書きなどを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)56が隣接されている。パチンコ機1には、貸出ボタン57、精算ボタン58、および残高表示装置59を有する精算表示装置94(図3参照)が設けられている。また、上皿55の中央部には、遊技者が操作可能な演出ボタン67、ジョグダイヤル68、および決定スイッチが設けられている。
図2は、パチンコ機1の遊技盤2の正面図である。遊技盤2には、ガイドレール2a,2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられ、該遊技領域3には多数の遊技釘(図示せず)が植設されている。遊技領域3の中央部には、センターケース5が配設されており、該センターケース5の中央に演出図柄表示装置6(全体の図示は省略)のLCD画面が前方から視認可能に配設されている。
センターケース5の直下には、常時遊技球が入球可能に構成された第一始動口11が配設されている。後述するように、第一始動口11への遊技球の入球に起因して、第一特別図柄の変動表示を伴う当否抽選が行われる。さらに、第一始動口11の下方には、大入賞口14を備えた特別電動役物21が配設されている。特別電動役物21は、大入賞口14を閉鎖する起立位置と、該起立位置から前方へ傾動して該大入賞口14を開放する傾動位置とに位置変換作動する開閉片22を備え、該開閉片22を前記起立位置とすることで、大入賞口14へ遊技球が入球不能な閉鎖状態とし、前記傾動位置とすることで、該大入賞口14へ遊技球が入球可能な開放状態とする。この特別電動役物21は、開閉片22を開閉作動させる大入賞口ソレノイド14b(図3参照)を備えており、該大入賞口ソレノイド14bの駆動制御によって該開閉片22を前記閉鎖状態と開放状態とに変換制御できる。
上記の大入賞口14の左方には、三個の一般入賞口27が配設されている。これら一般入賞口27は、遊技球を常時入球可能な構成である。さらに、遊技領域3の最下流部には、アウト口16が配設されており、該遊技領域3に発射された遊技球がいずれの入賞口や始動口にも入賞しなかった場合に、該アウト口16に入球する。
また、センターケース5の右方には、遊技球を常時通過可能な普通図柄作動ゲート17が配設されている。
普通図柄作動ゲート17の下方には、遊技球を入球可能な入球口105を備えた可変入賞装置101が配設されている。可変入賞装置101は、入球口105を閉鎖する閉鎖位置と、該入球口105を開放する開放位置とに位置変換作動する開閉片109を備え、該開閉片109を閉鎖位置とすることで遊技球を入球口105に入球不能とし、開放位置とすることで入球口105に入球可能とする。可変入賞装置101には、開閉片109を開閉作動させる入球口ソレノイド105a(図3参照)を備えており、該入球口ソレノイド105aの駆動制御によって前記開閉片109を前記閉鎖位置と開放位置とに作動制御する。さらに、可変入賞装置101の内部には、入球口105から入球した遊技球を流下させる球案内路111と、第二始動口106と、一般入賞口107とが配設されている。こうした可変入賞装置101の内部構成は、本発明の要部にかかることから、詳細を後述する。
遊技盤2の右下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7、普通図柄保留数表示装置8、第一特別図柄保留数表示装置18、および第二特別図柄保留数表示装置19と、7セグメント表示装置からなる第一特別図柄表示装置9及び第二特別図柄表示装置10とが配設されている。
図3は、パチンコ機1の電気配線を示すブロック図である。このブロック図には、単に信号を中継するいわゆる中継基板や電源基板等は記載されていない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。そして、これら各制御装置のCPUにより、2ms周期の割込信号により各ROMに搭載されたプログラムを開始し、各種制御を実行する。
主制御装置80には、遊技盤中継端子板74を介して、第一始動口11に入球した遊技球を検出する第一始動口スイッチ11a、第二始動口106に入球した遊技球を検出する第二始動口スイッチ106a、普通図柄作動ゲート17を通過した遊技球を検出する普通ゲートスイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、各一般入賞口27,107に入球した遊技球を夫々検出する各一般入賞口スイッチ27a,107a等からの検出信号が入力される。
主制御装置80は、そのROMに搭載されたプログラムに従って動作して、上記の検出信号等に基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、該コマンドを払出制御装置81及びサブ統合制御装置83へ出力する。また、主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板75を介して、第一特別図柄表示装置9、第二特別図柄表示装置10、及び普通図柄表示装置7の表示制御を行うと共に、第一特別図柄保留数表示装置18、第二特別図柄保留数表示装置19、及び普通図柄保留数表示装置8の点灯制御を行う。さらに、主制御装置80には、遊技盤中継端子板74を介して、大入賞口ソレノイド14bと入球口ソレノイド105aとが接続されている。主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを駆動制御することで大入賞口14を開閉制御し、入球口ソレノイド105aを駆動制御することで入球口105を開閉制御する。また、主制御装置80は、図柄変動や大当り等の管理用の信号を出力し、該出力信号は、外部接続端子板78を介してホールコンピュータ87に送られる。
払出制御装置81は、主制御装置80と双方向通信が可能に構成されており、主制御装置80から送信されるコマンドに応じて払出モータ90を駆動させて賞球を払い出す。本実施例では、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ91の検出信号が、主制御装置80と払出制御装置81とに入力され、両者で賞球の計数を行う構成である。
さらに、払出制御装置81には、満杯スイッチ92及び球切れスイッチ93からの信号が入力される。満杯スイッチ92は、下皿63が満杯であることを検出するものであり、この検出に伴って信号を払出制御装置81に出力する。球切れスイッチ93は、球タンク(図示せず)で遊技球の貯留量が少ないこと又は貯留量が無いことを検出するものであり、この検出に伴って信号を払出制御装置81に出力する。払出制御装置81は、これら満杯スイッチ92及び球切れスイッチ93から信号を入力すると、払出モータ90を駆動停止させて、賞球の払出作動を停止させる。尚、満杯スイッチ92及び球切れスイッチ93は、前記検出した状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、該信号の入力停止によって、払出モータ90の駆動を再開する。
払出制御装置81は、CRユニット端子板79を介してCRユニット56と交信可能であり、貸出コマンドに応じて払出モータ90を駆動させて貸球を払い出す。CRユニット端子板79は、精算表示装置94とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置94に設けられた球貸スイッチと精算スイッチとからの信号が入力される。球貸スイッチは、貸出ボタン57の操作を検出して信号を出力するものであり、精算スイッチは、精算ボタン58の操作を検出して信号を出力するものである。また、払出制御装置81は、発射制御装置84にも接続されており、所定契機で該発射制御装置84へ発射停止コマンドを送信する。
発射制御装置84は、発射モータ97を制御して遊技球を遊技領域3に発射させるものである。この発射制御装置84には、上記した払出制御装置81の他に、発射ハンドル64からの回動量信号、タッチスイッチ98からのタッチ信号、発射停止スイッチ99からの発射停止信号が入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を回動操作することで出力され、タッチ信号は、遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止信号は、遊技者が発射停止スイッチ99を押すことで出力される。尚、発射制御装置84は、タッチ信号を入力していなければ、遊技球を発射しないように制御すると共に、発射停止信号が入力されているときにも、発射ハンドル64の操作に関わらず、遊技球を発射しないように制御している。
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されたデータ及びコマンドを受信し、これらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンドなどを演出図柄制御装置82へ送信し、音制御用及びランプ制御用のデータを自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置しての機能部品)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによって、スピーカ66から音声を出力制御し、ランプ制御装置としての機能部は、ランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって、各種LEDやランプ65を発光制御する。
さらに、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67、ジョグダイヤル68、および決定スイッチ等の操作を夫々検出するスイッチが接続されており、各スイッチが遊技者による操作を検出すると、その信号が入力される。尚、ジョグダイヤル68は、演出図柄制御装置82に接続される構成であっても良い。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から送信されたデータ及びコマンド(主制御装置80から送信されたものと、サブ統合制御装置83で主制御装置80からの入力及び演出ボタン67等の入力に基づいて生成されたもの)に基づく制御を行い、特別演出図柄などの演出画像を演出図柄表示装置6の画面に表示させる。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80との間は、演出中継端子板を介して主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82との間は、サブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信回路として構成されている。
図示しない電源基板は、外部のAC電源から供給される電力により直流電圧を生成する直流電源として構成されており、該電源基板に設けられた電源スイッチの操作によってパチンコ機1を構成する各部位に電力を供給する。この電源基板は、コンデンサなどから構成されるバックアップ電源を備えており、AC電源から電力供給中に該バックアップ電源に電力を蓄える。これにより、停電時には、主制御装置80等(例えば、主制御装置80のRAM等)に電力供給し、AC電源からの電力供給が停止後も、一定期間にわたって主制御装置80のRAM内のデータが保持される。尚、バックアップ電源は、主制御装置80に設けても良いし、電源基板以外の他の装置に設けても良い。この場合には、電源基板は、AC電源から電力供給されている状態で、バックアップ電源を備えた装置へ供給信号を出力し、電力供給が停止した状態で、バックアップ電源を備えた装置へ停電信号を出力する。
次に、本実施例のパチンコ機1の動作について説明する。
遊技領域3に発射された遊技球が第一始動口11に入球(図3の第一始動口スイッチ11aが遊技球を検出)すると、第一特別図柄表示装置9で第一特別図柄が変動を開始すると共に、該入球に起因して抽出された乱数によって当否抽選が行われる。そして、変動開始から所定時間後に第一特別図柄を停止表示することで、この当否抽選の結果が報知される。
ここで、第一始動口11への入球に伴って抽出された乱数は、後述するように、第一保留記憶として記憶される。この第一保留記憶は最大四個(後述の上限値)まで記憶され、該第一保留記憶の記憶数(以下、第一保留記憶数という)は、第一特別図柄保留数表示装置18の点灯数により表される。こうして記憶された第一保留記憶を消化することにより、前記当否判定と第一特別図柄の変動とが実行される。尚、第一保留記憶数は、第一保留記憶の未消化数を示している。
一方、遊技領域3に発射された遊技球が普通図柄作動ゲート17を通過(図3の普通ゲートスイッチ17aが遊技球を検知)すると、普通図柄表示装置7で普通図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普通図柄が所定の当り態様であると、前記可変入賞装置101の開閉片109が開放位置へ作動して、入球口105へ遊技球が入球可能となる。そして、この入球口105に流入した遊技球が第二始動口106へ入球(図3の第二始動口スイッチ106aが遊技球を検出)すると、第二特別図柄表示装置10で第二特別図柄が変動を開始すると共に、該入球に起因して抽出された乱数によって当否抽選が行われる。そして、変動開始から所定時間後に第二特別図柄を停止表示することで、この当否抽選の結果が報知される。
ここで、第二始動口106への入球に伴って抽出された乱数は、後述するように、第二保留記憶として記憶される。この第二保留記憶は最大四個(後述の上限値)まで記憶され、該第二保留記憶の記憶数(以下、第二保留記憶数という)は、第二特別図柄保留数表示装置19の点灯数により表される。こうして記憶された第二保留記憶を消化することにより、前記当否判定と第二特別図柄の変動とが実行される。尚、第二保留記憶数は、第二保留記憶の未消化数を示している。
こうした第一特別図柄および第二特別図柄の変動中には、演出図柄表示装置6で各特別図柄の変動に連動させて特別演出図柄の変動演出を表示させる。そして、この特別演出図柄の変動表示と停止態様の表示とによって、遊技者が、各特別図柄の変動や当否判定の結果(大当り、小当り、又はハズレ)を知得できる。
ここで、本実施例にあって、第一特別図柄と第二特別図柄とは、第一始動口11と第二始動口106への入球順に関係無く、第二特別図柄の変動を優先して実行する。すなわち、未消化の第二保留記憶がある場合(第二保留記憶数が1個以上の場合)、未消化の第一保留記憶の有無に関係無く、該第二保留記憶が消化されて第二特別図柄の変動が開始される。そして、未消化の第二保留記憶が無い状態でのみ、第一保留記憶が消化されて第一特別図柄の変動が開始される。
第一特別図柄表示装置9で停止した第一特別図柄または第二特別図柄表示装置10で停止した第二特別図柄が所定の大当り態様であると、大入賞口14を開閉する大当り遊技を実行する。また、演出図柄表示装置6では、第一特別図柄または第二特別図柄の大当り態様に対応する停止態様で特別演出図柄が停止表示される。
大当り遊技では、大入賞口14を開放する開放ラウンドを所定回数繰り返し実行する。すなわち、前記特別電動役物21は、大入賞口ソレノイド14bの駆動によって開閉片22を開閉作動させることで、大入賞口14を開放する開放ラウンドをインターバルを介して繰り返す前記大当り遊技を実行する。大当り遊技は、前記開放ラウンドを16回(16R)繰り返し行うものであり、一回の開放ラウンドが30秒経過または大入賞口14への10個入球により終了する。
また、前記第二保留記憶の消化による当否判定結果が小当りであると、第二特別図柄を所定の小当り図柄態様で停止させると共に、演出図柄表示装置6で特別演出図柄を小当り図柄態様により停止表示させる。これにより、小当りを確定する。
小当りを確定すると、大入賞口14を開放する小当り遊技を実行する。すなわち、前記特別電動役物21は、大入賞口ソレノイド14bの駆動によって開閉片22を開閉作動させることで、大入賞口14を1.5秒間開放する作動を一回行う前記小当り遊技を実行する。こうした小当り遊技では、前記した大当り遊技に比して、賞球の獲得が困難である。
本実施例のパチンコ機1は、確率変動機として構成されている。すなわち、本構成による遊技は、大入賞口14を閉鎖した遊技と該大入賞口14を開放する上記の大当り遊技とに大別され、大入賞口14を閉鎖した遊技には、通常確率状態(以下、通常遊技状態という)と、該通常遊技状態に比べて特別図柄の当選確率が高くなる高確率状態(以下、確率変動状態という)とが設定されており、大当り遊技の終了後に、該通常遊技状態と確率変動状態とのいずれかに移行する。ここで、確率変動状態は、各特別図柄の当り態様が所定の確率変動図柄による態様であった場合に、大当り遊技終了後に実行され、通常遊技状態は、各特別図柄の当り態様が所定の非確率変動図柄による態様であった場合に、大当り遊技終了後に実行される。
本実施例にあって、前記特別図柄の大当り当選確率(特別図柄が大当り態様で停止する確率)が相互に異なる通常モードと確変モードとを備えており、前記通常遊技状態で通常モードが有効となり、確率変動状態で確変モードが有効となる。ここで、通常モードにおける特別図柄の当選確率が1/300に設定されており、確変モードにおける特別図柄の当選確率が1/60に設定されている(図4参照)。
確率変動状態では、特別図柄の当選確率を確変モードとすると共に、特別図柄および普通図柄の変動時間を前記通常遊技状態に比して短縮し且つ前記可変入賞装置101の入球口105の開放時間を該通常遊技状態に比して延長する開放延長モードとする。一方、前記の通常遊技状態では、前記通常モードおよび非開放延長モードとする。
こうした確率変動状態は、特別図柄が大当りとなること、又は特別図柄の変動回数が規定回数(例えば、100回)に達することによって終了する。
さらに、前記第二特別図柄が小当りに当選する確率(小当り当選確率)が、一律(例えば、1/60)に設定されている(図4参照)。そのため、小当り当選確率は、前記した遊技状態(通常遊技状態、確変遊技状態)に関係無く、同じである。ここで、本実施例にあっては、第二保留記憶の消化による場合にのみ、小当りか否かの判定を行い、小当りと判定すると、前記小当り遊技を行う。そのため、第一保留記憶の消化では、小当り判定を行わず、小当り遊技が実行されない。
尚、本実施例では、小当り当選確率を一律としたが、これに限らず、上記の大当り当選確率と同様に、低当選確率と高当選確率とを設定し、遊技状態に応じて一方を有効とするようにしても良い。
また、各始動口11,106、大入賞口14、および一般入賞口27,107に遊技球が入球すると、夫々に設定された数の賞球が払い出される。具体的には、図4に示すように、第一始動口11への入球毎に3個の賞球が、第二始動口106への入球毎に5個の賞球が、大入賞口14への入球毎に13個の賞球が、一般入賞口27,107への入球毎に5個の賞球が払い出される。
次に、主制御装置80で実行される各種プログラムの処理について説明する。
図5に、メインルーチンのフローチャートを示す。メインルーチンは、S10~S80までの本処理と、該本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返されるS85の残余処理とから構成され、2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行される。マイコンによるハード割り込みが実行されると、先ず正常割込であるか否かを判断する(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いか否かを判断するためのものである。
S10で否定判定(すなわち、正常割り込みでないと判定)されると(S10:No)、初期設定(S15)を実行し、残余処理(S85)に移行する。この初期設定では、例えば、上記RAMの所定領域への所定値の書き込み、第一および第二特別図柄を初期図柄とする等のRAMの作業領域への各初期値の書き込み等が実行される。一方、S10で肯定判定(すなわち、正常割り込みであると判定)されると(S10:Yes)、初期値乱数の更新処理(S20)、大当り決定用乱数の更新処理(S25)、第一大当り図柄決定用乱数の更新処理(S30)、第二大当り図柄決定用乱数の更新処理(S35)、小当り図柄判定用乱数の更新処理(S40)、当り決定用乱数の更新処理(S45)、リーチ判定用乱数の更新処理(S50)、変動パターン決定用乱数の更新処理(S55)、入賞確認処理(S60)、当否判定処理(S65)、特別遊技処理(S70)、不正監視処理(S75)、画像出力処理等の各出力処理(S80)を行って、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内で初期値乱数の更新処理(S85)をループ処理する。
次に、主制御装置80で実行する始動入賞処理を、図6のフローチャートを用いて説明する。この始動入賞処理は、上記したメインルーチンの入賞確認処理(S60)でコールされるサブルーチンの一つである。
始動入賞処理では、S100で、第一始動口スイッチ11aが遊技球を検知したか否かを判定する。否定判定の場合には(S100:No)、S120に進み、肯定判定の場合には(S100:Yes)、S105に進む。S105では、第一保留記憶の数が上限値(例えば、4個)に達しているか否かを判定する。肯定判定の場合には(S105:Yes)、S120へ進み、否定判定の場合には(S105:No)、S110に進む。S110では、第一抽出乱数保留記憶処理を実行する。この第一抽出乱数保留記憶処理では、大当り決定用乱数、第一大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を抽出し、第一保留記憶として記憶すると共に、第一保留記憶の数を示す第一保留数カウンタに1を加算して、該第一保留数カウンタの情報に従って第一特別図柄保留数表示装置18を点灯させるために必要な処理を行う。
S120では、第二始動口スイッチ106aが遊技球を検知したか否かを判定する。否定判定の場合には(S120:No)、始動入賞処理を終了し、肯定判定の場合には(S120:Yes)、S125に進む。S125では、第二保留記憶の数が上限値(例えば、4個)に達しているか否かを判定する。肯定判定の場合には(S125:Yes)、始動入賞処理を終了し、否定判定の場合には(S125:No)、S130に進む。S130では、第二抽出乱数保留記憶処理を実行する。この第二抽出乱数保留記憶処理では、大当り決定用乱数、第二大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を抽出し、第二保留記憶として記憶すると共に、第二保留記憶の数を示す第二保留数カウンタに1を加算して、該第二保留数カウンタの情報に従って第二特別図柄保留数表示装置19を点灯させるために必要な処理を行う。
次に、主制御装置80で実行する当否判定処理を、図7~10のフローチャートを用いて説明する。当否判定処理は、メインルーチンから実行される処理である。
当否判定処理では、図7に示すように、特別電動役物21の作動中(すなわち、大当り遊技または小当り遊技の実行中)であるか否かを判定する(S150)。そして、肯定判定の場合には(S150:Yes)、当否判定処理を終了し、否定判定の場合には(S150:No)、S155に進む。S155では、第一,第二特別図柄の変動表示中か否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S155:Yes)、図9のS260に進み、否定判定の場合には(S155:No)、S160に進む。S160では、第一,第二特別図柄の確定表示中か否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S160:Yes)、図10のS300に進み、否定判定の場合には(S160:No)、S165に進む。
S165では、未消化の第二保留記憶があるか否かを判定し、肯定判定の場合には(S165:Yes)、S170に進み、否定判定の場合には(S165:No)、S175に進む。S170では、第二保留記憶の数をデクリメントすると共に、最も古い未消化の第二保留記憶を選択して、当該第二保留記憶に記憶された情報(乱数値等の数値データ)を大当り判定用の所定のバッファに移動させる。その後に、S185に進む。
S175では、未消化の第一保留記憶があるか否かを判定し、肯定判定の場合には(S175:Yes)、S180に進み、否定判定の場合には(S175:No)、当否判定処理を終了する。S180では、第一保留記憶の数をデクリメントすると共に、最も古い未消化の第一保留記憶を選択して、上記S170と同様に、当該第一保留記憶に記憶された情報を大当り判定用の所定のバッファに移動処理させ、その後に、S185に進む。尚、本実施例の当否判定処理では、第一保留記憶よりも第二保留記憶を優先して、当否判定の対象とする。そのため、第一保留記憶は、第二保留記憶が無い場合にのみ、当否判定の対象となる。
S185では、確率変動状態であることを示す確変フラグが1か否かを判定し、肯定判定の場合には(S185:Yes)、S190に進み、否定判定の場合には(S185:No)、S195に進む。
S190では、確変モードの当選確率に対応する当否判定用テーブル(確変テーブル)を選択し、選択した確変テーブルに基づいて、大当り判定用のバッファに移動された大当り判定用乱数を、大当りか否か判定し、当該大当り判定用乱数に係る保留記憶を消化する。ここで、本実施例では、選択した確変テーブルに基づいて、大当り判定用乱数が、小当りか否かも判定する。このS190の処理後に、図8のS200に進む。
一方、S195では、通常モードの当選確率に対応する当否判定用テーブル(通常テーブル)を選択し、選択した通常テーブルに基づいて、大当り判定用のバッファに移動された大当り判定用乱数を、大当りか否か判定し、当該大当り判定用乱数に係る保留記憶を消化する。ここで、本実施例では、選択した通常テーブルに基づいて、大当り判定用乱数が、小当りか否かも判定する。このS195の処理後に、図8のS200に進む。
図8のS200では、S190又はS195の判定結果に基づいて、大当りか否かを判定し、肯定判定の場合には(S200:Yes)、S205に進み、否定判定の場合には(S200:No)、S220に進む。
S205では、消化した保留記憶に係る大当り図柄決定用乱数に基づき大当り図柄を決定する。そして、S210に進む。
S210の変動パターン決定処理では、消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数およびリーチ判定乱数等(大当り判定用のバッファ内の変動パターン決定用乱数およびリーチ判定乱数等)と前記確変フラグとに基づいて、特別図柄の変動時間を決定し、該変動時間に応じて特別図柄の変動パターンを決定する。
詳述すると、確変フラグに応じて、選定可能な特別図柄の変動時間が予め定められており、前記した変動パターン決定用乱数やリーチ判定乱数等に従って特別図柄の変動時間が決定される。すなわち、確変フラグ=0の場合(通常遊技状態)には、非開放延長モードであることから、非開放延長モードに対応する特別図柄の変動時間を選択可能とし、消化した保留記憶の変動パターン決定用乱数やリーチ判定乱数等により特別図柄の変動時間を決定する。一方、確変フラグ=1の場合(確変遊技状態)には、特別図柄の変動時間を短縮する開放延長モードであることから、開放延長モードに対応する特別図柄の変動時間を選択可能とし、変動パターン決定用乱数やリーチ判定乱数等により変動時間を決定する。尚、リーチ判定乱数は、予め定められた各種リーチ演出を実行するか否かを決定するために用いられる。
続くS215では、大当り遊技のラウンド数、大入賞口の開放パターン、大当り遊技に係る演出時間、インターバル時間、及び大当り遊技の演出態様等を設定し、S250に進む。
一方、S200の否定判定から続くS220では、S190又はS195の判定結果に基づいて、小当りか否かを判定する。ここで、肯定判定の場合には(S220:Yes)、S225に進み、否定判定の場合には(S220:No)、S240に進む。ここで、本実施例にあって、第一保留記憶を消化した場合には、小当りか否かの判定を行わないことから、S220を否定判定してS240に進む。
S225では、消化した第二保留記憶に係る大当り図柄決定用乱数に基づき小当り図柄を決定し、S230に進む。S230では、上記したS210と同様に、消化した第二保留記憶に係るリーチ判定用乱数および変動パターン決定用乱数等と前記確変フラグとに基づいて、第二特別図柄の変動時間を決定し、該変動時間に応じて第二特別図柄の変動パターンを決定する。このS230の後に、S235に進む。S235では、小当り遊技における大入賞口の開放パターン、小当り遊技に係る演出時間、および小当り遊技の演出態様などを設定し、S250に進む。
さらに、S220の否定判定から続くS240では、前記S210と同様に、消化した保留記憶に係るリーチ判定用乱数および変動パターン決定用乱数等と確変フラグとに基づいて、特別図柄の変動時間と変動パターンとを決定すると共に、これに先だって、ハズレ図柄を決定する処理を行う。このS240の後に、S245に進み、ハズレにかかる処理を行う。そして、S250に進む。尚、本実施例では、S240でハズレ図柄を決定する処理を行うようにしたが、これに限らず、S240の前に、ハズレ図柄を決定する処理を備えた構成であっても良い。
S250では、前記S170およびS180でデクリメントした保留記憶の数を示す保留数コマンドをサブ統合制御装置83に送信する。さらに、前記S190又はS195による抽選結果(大当り、小当り、又はハズレ)の情報を含むコマンドと、前記S205で決定した大当り遊技内容や特別図柄の変動時間や特別図柄の停止態様等を含む変動開始コマンドとをサブ統合制御装置83に送信する。この変動開始コマンドには、消化された保留記憶が第一保留記憶か第二保留記憶かを示す情報と、リーチ演出を実行するか否かの情報とを含む。さらに、消化された保留記憶に応じて、第一特別図柄表示装置9または第二特別図柄表示装置10を駆動制御して第一特別図柄または第二特別図柄を変動開始させ、当否判定処理を終了する。
尚、サブ統合制御装置83は、こうしたコマンドを受信すると、該コマンドに示された情報(第一保留記憶数および第二保留記憶数、特別図柄の変動時間、各種リーチ演出の有無、当否判定結果、特別図柄の停止態様、大当り遊技内容など)を所定のバッファに記憶する。そして、サブ統合制御装置83は、前記変動開始コマンドに伴って演出図柄制御装置82へコマンドを送信し、該演出図柄制御装置82は、受信した該コマンドに従って演出図柄表示装置6を駆動制御して、特別図柄の停止図柄態様および変動パターンの情報に対応する特別演出図柄の表示を開始する。
上記したS155の肯定判定から続く図9のS260では、特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定し、肯定判定の場合には(S260:Yes)、S265に進み、否定判定の場合には(S260:No)、当否判定処理を終了する。S265では、特別図柄の変動表示を終了し、特別図柄の確定図柄(すなわち、上記したS205で決定した大当り図柄、S225で決定した小当り図柄、又はS240で決定したハズレ図柄)を表示させると共に、サブ統合制御装置83に、特別演出図柄の確定表示を実行させる図柄確定コマンドを送信し、当否判定処理を終了する。
また、上記したS160の肯定判定から続く図10のS300では、特別図柄の確定表示の継続時間が終了したか否かを判定し、肯定判定の場合には(S300:Yes)、S305に進み、否定判定の場合には(S300:No)には、当否判定処理を終了する。S305では、特別図柄の確定表示を終了し、S310に進む。S310では、確定表示された特別図柄が大当りになる図柄か否かを判定し、肯定判定の場合には(S310:Yes)、S315に進み、否定判定の場合には(S310:No)、S360に進む。S315では、確率変動状態であることを示す確変フラグを参照して、確変フラグ=1である場合には確変フラグをクリアし(S320)、S340に進む。その後、状態指定コマンド送信処理(S340)、条件装置作動開始処理(S345)、役物連続作動装置作動開始処理(S350)、大当り開始演出処理(S355)を順次実行することで、大当り遊技の態様を示すコマンドや、大当り遊技の開始を指示するコマンド等をサブ統合制御装置83に送信する等して大当り遊技を開始し、当否判定処理を終了する。
ここで、本実施例の状態指定コマンド送信処理(S340)にあっては、確変フラグがクリアされた場合に(S320)、確変遊技状態の終了を示す情報を、サブ統合制御装置83に送信する。
一方、S310の否定判定から続くS360では、確変フラグを参照し、該フラグ=1である場合には(S360:Yes)、確変モード中に実行可能な当否判定の残り回数(確変回数)を参照する(S365)。そして、確変回数=0である場合には(S365:Yes)、確変フラグをクリアし(S370)、S390に進む。また、S360で否定判定の場合には(S360:No)、S390に進む。
S390では、状態指定コマンド送信処理を実行し、S395に進む。この状態指定コマンド送信処理(S390)では、確変フラグがクリアされた場合に(S370)、確変遊技状態の終了を示す情報を、サブ統合制御装置83に送信する。
S395では、確定表示された第二特別図柄が小当りになる図柄か否かを判定し、肯定判定の場合には(S395:Yes)、S400に進み、特別電動役物作動開始処理(S400)、小当り開始演出処理(S405)を順次実行することで、小当り遊技の態様を示すコマンドや、小当り遊技の開始を指示するコマンド等をサブ統合制御装置83に送信する等して小当り遊技を開始し、当否判定処理を終了する。また、S395で否定判定の場合には(S395:No)、当否判定処理を終了する。
次に、主制御装置80で実行する大当り遊技処理を、図11~13のフローチャートを用いて説明する。この大当り遊技処理は、上記した当否判定処理により大当りとなった場合に、上記したメインルーチンの特別遊技処理から実行される処理である。
大当り遊技処理では、図11に示すように、役物連続作動装置の作動中(すなわち、大当り遊技の実行中)であるか否かを判定する(S500)。ここで、肯定判定の場合には(S500:Yes)、S505に進み、否定判定の場合には(S500:No)、大当り遊技処理を終了する。
S505では、大入賞口14の開放中であるか否かを判定し、肯定判定の場合には(S505:Yes)、図12のS550に進み、否定判定の場合には(S505:No)、S510に進む。S510では、大当り遊技における各開放ラウンドのインターバル中であるか否かを判定する。肯定判定の場合には(S510:Yes)、図12のS570に進み、否定判定の場合には(S510:No)、S515に進む。S515では、大当り遊技の終了演出中であるか否かを判定する。肯定判定の場合には(S515:Yes)、図13のS600に進み、否定判定の場合には(S515:No)、S520に進む。
S520では、大当り遊技における開始演出時間が経過したか否かを判定する。肯定判定の場合には(S520:Yes)、S525に進み、否定判定の場合には(S520:No)、大当り遊技処理を終了する。S525では、大入賞口開放処理を実行し、大入賞口14を開放させる。S525の後に、大当り遊技処理を終了する。
上記のS505の肯定判定から続く図12のS550では、大入賞口14に入賞した遊技球の数が10個となったか否かを判定する。肯定判定の場合には(S550:Yes)、S560に進み、否定判定の場合には(S550:No)、S555に進む。S555では、大入賞口14の開放時間(例えば、30秒間)が終了したか否かを判定する。肯定判定の場合には(S555:Yes)、S560に進み、否定判定の場合には(S555:No)、大当り遊技処理を終了する。S560では、大入賞口閉鎖処理を実行し、大入賞口14を閉鎖させる。S560の後に、S565に進む。S565では、大当り遊技の各ラウンドのインターバルを設定する大当りインターバル処理を実行し、大当り遊技処理を終了する。
一方、上記のS510の肯定判定から続くS570では、大当り遊技のインターバル時間が経過したか否かを判定する。肯定判定の場合には(S570:Yes)、S575に進み、否定判定の場合には(S570:No)、大当り遊技処理を終了する。S575では、最終ラウンド(16ラウンド)の終了か否かを判定し、肯定判定の場合には(S575:Yes)、S580に進み、否定判定の場合には(S575:No)、S585に進む。S580では、大当り遊技を終了させる際の演出を行う大当り終了演出処理を実行し、大当り遊技処理を終了する。S585では、大入賞口開放処理を実行し、大入賞口14を開放させる。S585の後に、大当り遊技処理を終了する。
また、上記のS515の肯定判定から続く図13のS600では、終了演出の時間が終了したか否かを判定する。肯定判定の場合には(S600:Yes)、S605に進み、該S605とS610とを順次実行する一方、否定判定の場合には(S600:No)、大当り遊技処理を終了する。S605とS610とでは、役物連続作動装置と条件装置とを停止させ、S615に進む。S615では、大当り遊技後に確率変動状態に移行するか否かを判定する。肯定判定の場合には(S615:Yes)、確率変動状態を継続する大当り抽選の回数(確変回数)を設定し(S620)、確変フラグをセットし(S625)、S640に進む。S640とS645とでは、サブ統合制御装置83に対して、大当り遊技に関する演出を終了させる大当り終了コマンドを送信する処理と、状態指定コマンド送信処理とを実行し、大当り遊技処理を終了する。
次に、本発明の要部について説明する。
本実施例のパチンコ機1は、図2に示すように、遊技盤2に前記可変入賞装置101が配設された構成である。可変入賞装置101は、遊技領域3を流下する遊技球を入球可能とする入球口105が、前述したように、普通図柄の当りに伴って開放作動する構成となっている。すなわち、本実施例にあって、可変入賞装置101は、所謂普通電動役物としての機能を有している。ここで、可変入賞装置101の入球口105は、一回の普通図柄の当りのよって、前記非開放延長モードで0.2秒間の開放が一回実行され、後述の開放延長モードで1秒間の開放が一回実行される(図4参照)。
可変入賞装置101は、遊技領域3と区画された内部作動領域102を備え、該内部作動領域102に、入球口105から流入した遊技球が流下する球案内路111が配設されている。可変入賞装置101は、内部作動領域102が遊技盤2の盤面よりも背方に配置され、該盤面と面一に配設された透明板(図示せず)により該内部作動領域102の前方が覆われている。これにより、内部作動領域102の球案内路111を流下する遊技球を、機台前方から視認できると共に、該内部作動領域102の前面側を遊技球が流下可能である。また、本実施例の可変入賞装置101は、入球口105を介してのみ遊技球が内部作動領域102へ入球可能な構成としている。すなわち、普通図柄が当りとなった場合にのみ、開放された入球口105を介して内部作動領域102(球案内路111)へ遊技球が入球可能である。さらにまた、内部作動領域102の下部には、前記一般入賞口107が設けられており、後述するように、球案内路111の可動流路部117または第二固定流路部118の貫通孔119から落下した遊技球が入球する。
球案内路111は、図14に示すように、上流端が前記入球口105に連通し且つ下流端が前記第二始動口106に連通して設けられており、該入球口105から流入した遊技球を該第二始動口106へ案内するものである。本実施例の球案内路111は、蛇行状の第一固定流路部116と、傾動可能に枢支された可動流路部117と、第二始動口106に向かって下方傾斜する第二固定流路部118とから構成されている。そして、第一固定流路部116の上端が入球口105に連通され、該第一固定流路部116の下端と第二固定流路部118の上端との間に、前記可動流路部117が配設されている。こうした球案内路111によって、入球口105から流入した遊技球は、第一固定流路部116と可動流路部117と第二固定流路部118とを順に流下して、第二始動口106に入球可能となっている。
前記可動流路部117は、その上面を遊技球が転動可能な平板状に形成されており(図16参照)、上端部に、ロータリーソレノイド117a(図3参照)により回動される回動軸121が連結されており、該ロータリーソレノイド117aの駆動により該回動軸121を中心に傾動される。本実施例にあっては、可動流路部117の下端部が、第二固定流路部118の上端部よりも上方に位置する第一傾動位置(図15(A))と、該第二固定流路部118の上端部と略同じ位置の第二傾動位置(図15(B))と、該第二固定流路部118の上端部よりも下方に位置する第三傾動位置(図15(C))とに位置変換するように、該可動流路部117が傾動される。そして、可動流路部117は、第一傾動位置で、第二固定流路部118側へ緩やかに下方傾斜した状態となり、第二傾斜位置で、該第一傾斜位置に比して急勾配で下方傾斜した状態となり、第三傾斜位置で、最も急勾配で下方傾斜した状態となる。
可動流路部117が第一傾動位置にある状態では、図15(A)および図16に示すように、該可動流路部117を転動した遊技球Xが、第二固定流路部118上に落下して、該第二固定流路部118上を転動できる。また、第二傾動位置にある状態では、図15(B)および図18に示すように、遊技球Xが可動流路部117から第二固定流路部118へ連続して転動できる。そして、第二傾動位置の状態では、第一傾動位置の状態に比して、可動流路部117の傾斜角度が急勾配となることから、遊技球Xが加速される。これにより、可動流路部117が第二傾動位置にある状態では、第一傾動位置の状態に比して、第二固定流路部118上を転動する遊技球Xの転動速度が速くなる。
尚、可動流路部117は、後述するように、第一傾動位置と第三傾動位置との間で繰り返し傾動するように作動制御される。そのため、遊技球Xの通過タイミングによって第一傾動位置と第二傾動位置との間で傾動中の可動流路部117を、該遊技球Xが転動することもあり得る。こうした傾動中であっても、可動流路部117の傾斜角度に応じて、遊技球Xの転動速度が変わる。
一方、可動流路部117が第三傾動位置にある状態では、図15(C)および図20に示すように、該可動流路部117の下端と第二固定流路部118の上端との間に、遊技球Xを通過可能な空隙が形成される。そのため、可動流路部117を転動した遊技球Xは、該可動流路部117から落下して、内部作動領域102の下部に配設された前記一般入賞口107へ入球する。
前記第二固定流路部118は、その上面を遊技球Xが転動可能な平板状に形成されてなり(図16参照)、所定の傾斜角度で配設されている。そして、第二固定流路部118は、前述したように、下端が第二始動口106に隣接するように設けられていることから、該第二固定流路部118上を転動した遊技球Xが該第二始動口106へ入球できる。さらに、本実施例の第二固定流路部118には、遊技球Xを落下可能な貫通孔119が開口形成されていると共に、該貫通孔119を開閉するシャッター片120が配設されている(図16,17参照)。このシャッター片120は、貫通孔ソレノイド120a(図3参照)により、貫通孔119を閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置とに位置変換作動される。こうした第二固定流路部118を遊技球が転動する際に、前記貫通孔119が閉鎖状態であると(図16,18)、該遊技球Xが第二始動口106へ入球できる一方、該貫通孔119が開放状態であると(図17)、該遊技球Xが該貫通孔119から落下して前記一般入賞口107に入球する。
尚、本実施例の構成では、前述したように、可動流路部117の傾斜角度によって第二固定流路部118を通過する遊技球Xの転動速度が変化する。そのため、遊技球Xの転動速度が速ければ、貫通孔119の開放状態であっても、該貫通孔119に落下せずに第二始動口106へ入球することもあり得る(図19参照)。
前記したロータリーソレノイド117aと貫通孔ソレノイド120aとは、図3に示すように、サブ統合制御装置83に接続されており、該サブ統合制御装置83により駆動制御される。ここで、本実施例にあっては、ロータリーソレノイド117aを駆動制御する駆動パターンと、貫通孔ソレノイド120aを駆動制御する駆動パターンとが予め設定されており、夫々の駆動パターンに従ってサブ統合制御装置83が駆動制御する。
具体的には、ロータリーソレノイド117aの駆動パターンとして、可動流路部117が、第一傾斜位置から第二傾斜位置を介して第三傾斜位置まで傾動させる降下傾動と、第三傾斜位置から第二傾斜位置を介して第一傾斜位置まで傾動させる上昇傾動とを繰り返すパターンが設定されている。この駆動パターンでは、第一傾斜位置、第二傾斜位置、および第三傾斜位置で所定時間(例えば、1秒間)停止保持されて、降下傾動と上昇傾動とが繰り返される。すなわち、サブ統合制御装置83によるロータリーソレノイド117aの駆動制御により、可動流路部117は、第一傾動位置から第二傾動位置へ降下傾動し、該第二傾動位置で所定時間停止した後に、第三傾動位置へ降下傾動する。そして、第三傾動位置で所定時間停止した後に、該第三傾動位置から第二傾動位置へ上昇傾動し、該第二傾動位置で所定時間停止した後に第一傾動位置へ上昇傾動する。第一傾動位置に達すると、所定時間停止した後に、前記降下傾動する。
さらに、本実施例では、可動流路部117を降下傾動する傾動速度を、上昇傾動する傾動速度に比して速くしている。これにより、第一傾動位置から第三傾動位置までの降下に要する時間が、第三傾動位置から第一傾動位置までの上昇に要する時間に比して短い。
一方、貫通孔ソレノイド120aの駆動パターンとして、シャッター片120が、貫通孔119を開放する作動と閉鎖する作動とを断続的に実行するように設定されている。すなわち、シャッター片120は、サブ統合制御装置83による貫通孔ソレノイド120aの駆動制御により、閉鎖位置から開放位置へ位置変換作動されて該開放位置で所定時間(例えば、1.3秒間)保持された後に、開放位置から閉鎖位置へ位置変換作動する。こうした開閉作動を、所定の間隔(例えば、2.5秒間)をおいて繰り返し実行する。
こうしたロータリーソレノイド117aと貫通孔ソレノイド120aとの駆動は、機台の電源入力中で継続して実行される。そのため、可動流路部117の傾動とシャッター片120の開閉作動とは、機台の電源ONに基づいて開始され、電源OFFに基づいて終了する。そして、前記駆動パターンにより、可動流路部117の傾動タイミングとシャッター片120の開閉タイミングとが常に一致しないように、ロータリーソレノイド117aと貫通孔ソレノイド120aとを夫々駆動制御する。これにより、遊技者が、第二始動口106に入球し易いタイミングを推測できず、該タイミングを計って遊技球を発射することができないようにしている。
次に、可変入賞装置101の内部作動領域102での遊技球Xの挙動について説明する。
例えば、前述した確変遊技状態では、開放延長モードであることから、センターケース5の右側を狙って遊技球Xを発射すること(所謂、右打ち)によって可変入賞装置101の入球口105が頻繁に開放され、該入球口105に遊技球Xが入球し易い。
ここで、可変入賞装置101では、前述したように、サブ統合制御装置83によるロータリーソレノイド117aと貫通孔ソレノイド120aとの駆動制御により、可動流路部117が第一傾動位置と第三傾動位置との間で繰り返し傾動されると共に、シャッター片120が繰り返し開閉作動されて、第二固定流路部118の貫通孔119が開閉される。
入球口105に入球した遊技球Xは、前記第一固定流路部116を流下して、可動流路部117へ至る。遊技球Xが可動流路部117に到達した際に、該可動流路部117が第一傾動位置にあると、図16,17に示すように、該遊技球Xが可動流路部117を転動して、第二固定流路部118に至る。そして、この第二固定流路部118を遊技球Xが転動する際に、図16に示すように、該第二固定流路部118の貫通孔119が閉鎖されていると、該遊技球Xが第二固定流路部118を介して第二始動口106へ入球する。一方、図17に示すように、前記貫通孔119が開放されていると、遊技球Xが該貫通孔119から落下して、一般入賞口107へ入球する。
また、入球口105に入球した遊技球Xが可動流路部117に到達した際に、該可動流路部117が第二傾動位置にあると、図18,19に示すように、該遊技球Xが可動流路部117を転動して、第二固定流路部118に至る。そして、第二固定流路部118を転動する際に、図18に示すように、前記貫通孔119が閉鎖されていると、該遊技球Xが第二固定流路部118を介して第二始動口106へ入球する。一方、前記貫通孔119が開放されている場合には、前記第一傾動位置の場合と同様に該貫通孔119から落下してしまうものの、図19に示すように、開放状態の貫通孔119から落下せずに、第二固定流路部118を転動して第二始動口106へ入球することもあり得る。これは、第二傾動位置の傾斜角度が急勾配であることから、該第二傾動位置の可動流路部117を遊技球Xが転動することにより該遊技球Xの転動速度が増加し、前記貫通孔119が開放状態であっても、該貫通孔119上を遊技球Xが通過できる場合があることに因る。
尚、前記第一傾動位置の可動流路部117を遊技球Xが転動した場合には(図17参照)、該第一傾動位置が第二傾動位置に比して勾配が緩やかであることから、該遊技球Xの転動速度も遅い。そのため、第一傾動位置の可動流路部117を通過した遊技球Xは、開放状態の貫通孔119上を通過できずに、該貫通孔119から落下してしまう。
また、入球口105に入球した遊技球Xが可動流路部117に到達した際に、該可動流路部117が第三傾動位置にあると、図20に示すように、該可動流路部117を転動した遊技球Xが落下して、一般入賞口107へ入球する。
このように本実施例では、可動流路部117の傾動位置(傾斜角度)によって、該可動流路部117を転動した遊技球Xが第二固定流路部118へ達するか一般入賞口107へ入球するかが決まると共に、該第二固定流路部118へ達した場合にも、貫通孔119の開閉状態と前記可動流路部117の傾動位置(傾斜角度)とによって、第二始動口106へ入球できるか一般入賞口107へ入球するかが決まる。すなわち、遊技球Xが入球口105に入球したタイミングによって、遊技球Xが第二始動口106へ入球できたり、一般入賞口107へ入球したりする。
さらに、本実施例は、前述したように、可動流路部117の降下傾動と上昇傾動とを異なる速度で行っている。そして、可動流路部117が各傾動位置に変位するタイミングと貫通孔119が開閉状態に変化するタイミングとが常時一致しないように、該可動流路部117の傾動速度やシャッター片120の作動速度を調整している。これにより、可動流路部117の傾斜角度と貫通孔119の開閉状態との関係が多様に生じ、球案内路111を流下する遊技球Xの挙動が様々に変化する。こうしたことから、遊技者は、遊技球Xが入球口105へ入球したタイミングのみで該遊技球Xが第二始動口106と一般入賞口107とのいずれに入球するかを推測できず、前述のように多様に変化する遊技球Xの挙動を注視し易く、該挙動により遊技を楽しむことができる。
尚、第二始動口106に入球すると、前述したように、第二保留記憶を生成し、該第二保留記憶の消化に伴って当否判定する。そして、当否判定結果が大当りの場合に、前記大当り遊技が実行される。一方、一般入賞口107に入球すると、所定個数の賞球が払い出される。
次に、本実施例の特徴を説明する。
本実施例のパチンコ機1は、前述したように、入球口105から入球された遊技球Xを第二始動口106へ案内する球案内路111を備えた可変入賞装置101が、遊技盤2に配設された構成であり、該球案内路111が、第一~第三傾動位置に傾動される可動流路部117と第一,第二固定流路部116,118とから構成されたものである。そして、可動流路部の傾動位置(傾斜角度)によって、遊技球Xの転動速度が変わると共に、該遊技球Xが前記第二始動口106または一般入賞口107へ流下する。さらに、本実施例では、可動流路部117の下流側に設けられた第二固定流路部118には、開放状態で遊技球Xを一般入賞口107へ流下させる貫通孔119が設けられている。
かかる構成にあっては、入球口105に遊技球Xが入球したタイミングによって、該遊技球Xが可動流路部117を転動する際における該可動流路部117の傾動位置(傾斜角度)が変わることから、球案内路111を転動する遊技球Xの挙動を多様に変化させることができ、該挙動により遊技者を楽しませることができる。具体的には、可動流路部117の傾動位置によって、遊技球Xが該可動流路部117を介して第二固定流路部118へ流下できるか、一般入賞口107へ流下するかが決まる。そして、第二固定流路部118へ流下できた場合であっても、貫通孔119の開閉状態と可動流路部117の傾動位置に応じて変化する遊技球Xの転動速度とによって第二始動口106へ流下できるか否かが決まる。さらに、貫通孔119の開放状態にあっても、可動流路部117の傾斜角度が急勾配であると、遊技球Xの転動速度が増加することから、該貫通孔119上を通過して第二始動口106へ入球できる可能性もある。
このように本実施例の構成によれば、可動流路部117の傾動位置(傾斜角度)により変化する遊技球Xの挙動に応じて、該遊技球Xが第二始動口106へ入球できるか否かが決まることから、第二始動口106への入球を望む遊技者の期待感を効果的に刺激でき、遊技の興趣を著しく向上できる。
また、本実施例の構成では、可動流路部117を降下傾動させる傾動速度が上昇傾動させる傾動速度に比して速いことから、例えば、第二固定流路部118へ流下できる第一傾動位置と第二傾動位置との間で傾動する場合であっても、降下傾動と上昇傾動とで遊技球Xの挙動に変化が生ずる。そのため、第一傾動位置と第二傾動位置との間では、降下傾動時が上昇傾動時よりも遊技球Xの転動速度が速くなり易く、該遊技球Xが、開放状態の貫通孔119を通過できる可能性が高くなる。このように可動流路部117の降下傾動と上昇傾動とでも遊技球Xの挙動に変化が生ずることから、前記遊技者の期待感を一層効果的に刺激できる。
以下に、前述した実施例で用いた用語と、特許請求の範囲に記載した用語との対応関係を説明する。パチンコ機1が、本発明にかかる弾球遊技機の一例に相当する。入球口105が、本発明にかかる球流入口の一例に相当する。第二始動口106が、本発明にかかる特定の入球領域の一例に相当する。第一傾動位置、第二傾動位置、および第三傾動位置が、本発明にかかる傾動位置の一例に相当する。サブ統合制御装置83とロータリーソレノイドとが、本発明にかかる駆動制御手段の一例に相当する。サブ統合制御装置83が可動流路部117の降下傾動と上昇傾動とを異なる速度で駆動制御することが、本発明にかかる速度制御処理内容の一例に相当する。
以下に、前述した実施例の別例について説明する。
実施例では、球案内路111の可動流路部117を三箇所の傾動位置(第一~第三傾動位置)に傾動させる構成としたが、これに限らず、傾動位置の個数は適宜変更して設定可能である。例えば、可動流路部117を二箇所の傾動位置へ傾動させる構成としても良いし、傾斜角度の相互に異なる五箇所の傾動位置へ傾動させる構成としても良い。具体的に例示すると、実施例の第一傾動位置と第三傾動位置とに可動流路部117を傾動させる構成とできる。かかる構成では、実施例の第二傾動位置で停止せずに、可動流路部117を第一傾動位置と第三傾動位置とに繰り返し傾動させる。こうした構成にあっては、第二傾動位置で停止しないこと以外は、前述した実施例と同じであることから、該実施例と同様の作用効果を奏し得る。
実施例では、可動流路部117を第一傾動位置から第二傾動位置を介して第三傾動位置へ位置変換させる降下傾動と、第三傾動位置から第二傾動位置を介して第一傾動位置へ位置変換させる上昇傾動とを繰り返し実行するように制御する構成であるが、こうした可動流路部117を傾動させるパターンは適宜設定変更することが可能である。例えば、第一傾動位置から降下傾動する場合には第二傾動位置で停止せずに第三傾動位置まで傾動し且つ第三傾動位置から上昇傾動する場合に第二傾動位置で一時停止するパターンとできる。又は、第一傾動位置と第二傾動位置との間で昇降を所定回数(例えば、2回)繰り返した後に、第一傾動位置と第三傾動位置との間で昇降を所定回数(例えば、1回)行うようにすることもできる。
実施例では、可動流路部117を降下傾動する傾動速度を、上昇傾動する傾動速度に比して速くした構成であるが、こうした傾動速度は適宜設定変更することが可能である。例えば、上昇傾動する傾動速度を、降下傾動する傾動速度に比して速くする構成とすることができる。この構成では、可動流路部117を遊技球が転動する際に、第二傾動位置から第一傾動位置へ上昇傾動すると、該遊技球が跳ねるという挙動を生じ得る。こうした遊技球の挙動により遊技者を一層楽しませることができる。また、第一傾動位置と第二傾動位置との間で昇降する傾動速度を、第二傾動位置と第三傾動位置との間で昇降する傾動速度に比して速く(又は遅く)する構成としても良い。又は、予め複数の傾動速度を設定し、所定条件の成立毎(例えば、入球口105に入球毎)に抽選により傾動速度を決定する構成とすることもできる。尚、当然ながら、降下傾動と上昇傾動とを同じ傾動速度で行っても良い。
実施例にあって、第二固定流路部118の貫通孔119を開閉するシャッター片120の作動パターンについても、適宜設定変更することが可能である。例えば、貫通孔119を閉鎖する方向への作動速度を、開放する方向への作動速度に比して速く(又は遅く)する構成としても良い。また、シャッター片120の開放作動を、所定条件の成立(例えば、入球口105の入球)に伴って抽選により実行するか否かを決定する構成としても良い。
実施例では、第二固定流路部118に設けられた貫通孔119を開閉させる構成であるが、この他の構成として、該貫通孔119(およびシャッター片120)を備えない構成としても良い。この構成では、遊技球が可動流路部117を介して第二固定流路部118へ達すると、必ず第二始動口106へ入球できる。
実施例では、可動流路部117の上端部が回動軸121により枢支された構成としたが、これに限らず、枢支される部位は適宜変更可能である。例えば、図21に示すように、可動流路部133の下端部が回動軸121により枢支された構成とすることもできる。この構成の可変入賞装置131では、球案内路132を構成する可動流路部133が、該可動流路部133の下端部を支点として傾動可能である。そして、可動流路部133の上端部が第一固定流路部116の下端部と略同じ高さの第一傾動位置(図21(A))と、該第一固定流路部116の下端部よりも上方の第二傾動位置(図21(B))とに、該可動流路部133を位置変換し、該第一傾動位置の場合に遊技球が可動流路部133へ流下できる一方、該第二傾動位置の場合に遊技球が一般入賞口107へ流下する。さらに、この構成では、第二傾動位置に近づくにつれて、可動流路部133の傾斜角度が急勾配となることから、開放状態の貫通孔119上を遊技球が通過できる可能性が高くなる。
実施例は、球案内路111が、第一固定流路部116、可動流路部117、および第二固定流路部118により構成されたものであるが、これに限らず、例えば、第一固定流路部と可動流路部とにより球案内路が構成されたもの(第二固定流路部を備えないもの)としても良い。又は、第一固定流路部を備えない構成としても良い。さらには、球案内路が可動流路部のみから構成されるものであっても良い。いずれの構成にあっても、可動流路部の傾動位置によって、遊技球の挙動が多様に変わることから、遊技の興趣を向上できる。
実施例では、平板状の可動流路部117を備えた構成であるが、これに限らず、転動方向に沿って湾曲する形状や逆へ字形状などの可動流路部を備えた構成とすることも可能である。こうした湾曲状や逆へ字形状の可動流路部を備えた構成にあっても、該可動流路部の傾動位置に応じて、遊技球の転動する角度が異なることから、前述した実施例と同様の作用効果を奏し得る。
実施例では、可変入賞装置101の入球口105に入球した遊技球を第二始動口106または一般入賞口107へ流下させる構成であるが、これに限らず、例えば、第二始動口106またはアウト口へ流下させる構成としても良い。この場合には、可変入賞口装置が、一般入賞口に代えてアウト口を備えた構成となる。また、一般入賞口に代えて、遊技領域へ戻す排出口を備えた構成としても良い。
実施例では、サブ統合制御装置83によるロータリーソレノイド117aの駆動制御により可動流路部117を傾動制御する構成としたが、この他の構成として、主制御装置80がロータリーソレノイド117aを駆動制御する構成としても良い。同様に、シャッター片120の貫通孔ソレノイド120aの駆動制御を主制御装置80により行う構成とすることもできる。
実施例では、球案内路111により遊技球を第二始動口106へ案内する構成としたが、この他の構成として、入球により大当り又は次の開放ラウンドを発生させる特定入賞口へ案内する構成とすることもできる。すなわち、実施例は、可変入賞装置101が、遊技球を第二始動口106へ案内する所謂普通電動役物としての機能を有する構成であるが、別例の構成として、可変入賞装置が、遊技球を前記特定入賞口へ案内する第二の特別電動役物としての機能を有する構成とできる。この別例の構成では、例えば、始動口11への入球を契機とする特別図柄の変動により大当りが確定すると、実施例と同様に大入賞口14を開放する大当り遊技を実行する一方、該特別図柄の変動により小当りが確定した場合には、前記第二の大入賞口(実施例の入球口105に相当)を開放する小当り遊技を実行し、該第二の大入賞口に入球した遊技球が球案内路111を流下して前記特定入賞口(実施例の第二始動口106に相当)に入球すると、大当りが発生して、前記大入賞口14を開放する大当り遊技を実行する。又は、特別図柄の大当り確定により大入賞口14を開放する第一の大当り遊技と、該大当り確定により前記第二の大入賞口(実施例の入球口105に相当)を開放する第二の大当り遊技とを実行する構成とし、第二の大当り遊技では、第二の大入賞口へ流入した遊技球が前記特定入賞口へ入球すると、次の開放ラウンドを実行する構成とできる。
また、可変入賞装置101を第二の特別電動役物とした構成にあって、大当り遊技中に前記特定入賞口へ入球すると、当該大当り遊技後に確変遊技状態へ移行する構成とすることもできる。尚、この構成の場合には、大当りの確定により、前記第二の大入賞口を開放する前記第二の大当り遊技を実行する構成とすることが好適である。
さらには、球案内路によって遊技球をクルーンに案内する構成とすることもできる。かかる構成では、例えば、球案内路を介してクルーンに流入した遊技球が、該クルーンにより特定入賞領域または一般領域へ入球可能とする構成とできる。この構成では、球案内路の可動流路部の傾動位置によって、クルーンに流入できるか否かが決まると共に、クルーンに流入する場合にも、可動流路部の傾動位置(傾斜角度)に応じて、該クルーンに流入する時点での速度と角度とが変化することから、該クルーン上で転動する遊技球の挙動を一層多様に変化させることができ、遊技の興趣を飛躍的に向上できる。さらに、クルーン上での遊技球の挙動は、球案内路の流下により決まることから、球案内路を流下する遊技球の挙動に遊技者の興味を一層層惹き付けることができ、該遊技球の挙動により多様に変化する面白い遊技を提供できる。
実施例では、可変入賞装置101の内部作動領域102に球案内路111を設けた構成であるが、この他の構成として、例えば、該球案内路をセンターケースのワープ通路として設けた構成としても良い。また、実施例では、可動流路部を有する球案内路を一個のみ設けた構成であるが、該球案内路を有する可変入賞装置を複数設けた構成とすることもできる。さらには、実施例の可変入賞装置と、前記したセンターケースに設けられた球案内路との両方を備えた構成としても良いし、普通電動役物としての可変入賞装置と、前記した第二の大入賞口を有する可変入賞装置とを備えた構成としても良い。