JP7277529B2 - 電気化学センサ - Google Patents

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Description

本開示は、電気化学センサに関する。
近年、電気化学センサの作用電極として、ダイヤモンド薄膜を有する電極(以下、「ダイヤモンド電極」とも称する)を用いることが提案されている(例えば特許文献1,2等参照)。導電性を有するダイヤモンドは、電位窓が広く、バックグラウンド電流も小さいことから、尿酸等の種々の物質の電気化学的検出を高感度で行うことができる。このため、導電性を有するダイヤモンドは、作用電極の形成材料として注目を集めている。このような電気化学センサは、基板と、基板上に配された電気配線と、導電性ペースト等を用いて電気配線に接続されるとともに基板上に固定されたダイヤモンド電極と、を備えている。また、ダイヤモンド電極のうち、ダイヤモンド薄膜以外の導電性部材の表面が絶縁性樹脂で封止されている。
特開2007-292717号公報 特開2013-208259号公報
しかしながら、ダイヤモンド電極を搭載した電気化学センサでは、上述の樹脂封止を行ったにも関わらず、被験液の種類によっては、検知対象物の濃度の測定精度が低下することがある。本開示は、ダイヤモンド電極を搭載した電気化学センサにおいて、被験液の種類にかかわらず、検知対象物の濃度を正確に測定可能な電気化学センサを提供することを目的とする。
本開示の一態様によれば、
基板と、
基材及びダイヤモンド薄膜を有する電極チップと、
前記電極チップが有する導電性部材の少なくとも一部の表面を封止する絶縁性樹脂と、を備え、
前記絶縁性樹脂は、前記ダイヤモンド薄膜の少なくとも一部を露出させるように設けられており、
飛行時間型二次イオン質量分析により前記ダイヤモンド薄膜の露出面を測定した際における、分子量が100以上である有機物のイオン強度の単位面積あたりの積分値Bが、1.2×10cts/sec以下である電気化学センサが提供される。
本開示によれば、ダイヤモンド電極を搭載した電気化学センサにおいて、検知対象物の濃度を正確に測定可能な電気化学センサを提供することができる。
本開示の一態様にかかる電気化学センサの概略斜視図である。 図1に示す電気化学センサのA-A線断面図である。 ダイヤモンド結晶を成長させる際に用いられる気相成長装置の概略図である。 (a)は、ダイヤモンド薄膜と基材との積層体(積層ウエハ)の断面構造を示す図であり、(b)は、図4(a)に示す積層ウエハの裏面に凹状の溝を形成した様子を示す断面図であり、(c)は、凹状の溝に沿って基材を破断して電極チップを取得する様子を示す模式図である。 (a)は、本開示の一態様にかかる電気化学センサの変形例を示す図であり、(b)は、本開示の一態様にかかる電気化学センサの他の変形例を示す図であり、(c)は、本開示の一態様にかかる電気化学センサのさらに他の変形例を示す図である。 サンプル1,8のTOF-SIMS(正イオン)の結果を示す図である。 サンプル1,8のTOF-SIMS(負イオン)の結果を示す図である。 サンプル1~3の評価結果を示す図である。 サンプル4~6の評価結果を示す図である。 サンプル7,8の評価結果を示す図である。
<発明者等が得た知見>
生体から採取した被験液(例えばヒトの尿)中の検知対象物(例えば尿酸)の濃度を測定するために、ダイヤモンド薄膜を有する電極チップ(チップ状電極)を搭載した電気化学センサが用いられることがある。このような電気化学センサは、基板と、基板上に配された電気配線と、導電性ペースト等の導電性接合部材を用いて電気配線に接続されるとともに基板上に固定された電極チップと、を備えている。電気化学センサでは、電極チップのうち、ダイヤモンド薄膜以外の導電性部材の表面が露出していると、検知対象物の正確な濃度測定を行うことが難しくなるため、ダイヤモンド薄膜以外の導電性部材の表面を、絶縁性樹脂で封止する必要がある。樹脂封止は、一般的に、ダイヤモンド薄膜以外の導電性部材の表面を覆うように液状の絶縁性樹脂を塗布した後、樹脂を加熱硬化又は紫外線硬化させて行われる。しかしながら、樹脂封止を行ったにも関わらず、検知対象物の濃度の測定精度が低下することがあることが判明した。このことは、発明者等が見出した新規課題である。
発明者等は、測定精度が低下する要因について、鋭意研究を行った。その結果、樹脂を加熱硬化又は紫外線硬化させる際、加熱硬化時の熱、もしくは紫外線硬化装置が発する熱によって様々な分子量を持つ有機物が樹脂から揮発して、ダイヤモンド薄膜表面に付着し、このことが、測定精度が低下する要因となっていることを突き止めた。さらに研究を行った結果、樹脂から揮発した有機物(揮発有機物)がダイヤモンド薄膜表面に付着しており、かつ、被験液中にタンパク質が含まれている場合に、測定精度が低下することがあることを突き止めた。というのも、この場合、タンパク質が揮発有機物と反応することで、ダイヤモンド薄膜表面に皮膜(タンパク質の皮膜)が形成されることがあり、この皮膜によって、検知対象物がダイヤモンド薄膜表面に到達することが阻害されてしまい、その結果、測定精度が低下するのである。
なお、発明者等は、上記揮発物がダイヤモンド薄膜表面に付着していたとしても、被験液がタンパク質を含まない場合は、上記皮膜は形成されず、正確な濃度測定を行うことができることを見出した。また、上記揮発物がダイヤモンド薄膜表面に付着していたとしても、分子量が100以上である有機物の付着量が一定量以下であれば、被験液がタンパク質を含む場合であっても、上記皮膜は形成されず、正確な濃度測定を行うことができることを見出した。
本開示は、発明者等が得た上述の課題や知見に基づいてなされたものである。
<本開示の一態様>
以下、本開示の一態様について、タンパク質を含む被験液中の検知対象物の濃度を、三電極法により測定する電気化学センサについて、図1及び図2を参照しながら説明する。なお、本態様では、一例として、タンパク質を含む被験液がヒトの尿であり、検知対象物が尿酸である場合について説明する。
(1)電気化学センサの構成
図1に示すように、本態様にかかる電気化学センサ10(以下、「センサ10」とも称する)は、基板11と、電極チップ(チップ状の電極)12と、を備えて構成されている。
基板11は、シート状(板状)部材として構成されている。基板11は、例えば絶縁性を有する複合樹脂、セラミック、ガラス、プラスチック、可燃性材料、生分解性材料、不織布、紙等の絶縁性材料で形成することができる。基板11は、例えば、ガラスエポキシ樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)で形成されていることが好ましい。また、基板11は、電極チップ12等が設けられることとなる面が絶縁性を有するように構成された半導体基板や金属基板であってもよい。基板11の平面形状は例えば長方形状とすることができる。基板11は、所定の物理的強度及び機械的強度、例えば尿が付着した後の一定の時間内は、折れ曲がったり、破損したりすることがない強度を有している。
基板11が有する2つの主面のうちいずれか一方の主面(以下、「基板11の上面」とも称する)上には、基板11の長手方向における一端部から他端部側に向かって、3本の配線(電気配線)13,14,15が互いに離間して配設されている。配線13~15の形成材料としては、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)等の各種貴金属、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)等の各種金属、これらの貴金属又は金属を主成分とする合金、上記貴金属や合金の酸化物、金属酸化物、カーボン等が例示される。配線13~15は、同一の材料を用いて形成されていてもよく、それぞれが異なる材料を用いて形成されていてもよい。配線13~15は、サブトラクティブ法やセミアディティブ法等により形成することができる。また、配線13~15は、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷等の印刷法や、蒸着法等により形成することもできる。
配線13の一端部には、作用電極としての電極チップ12が、導電性接合部材18(図2参照)を介して接続されている。電極チップ12の詳細については後述する。
配線14の一端部には、参照電極16が接続されている。参照電極16は、電極チップ12(作用電極)の電位を決定する際の基準となる電極である。参照電極16は、例えば銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極とすることができる。また、参照電極16は、標準水素電極、可逆水素電極、パラジウム・水素電極、飽和カロメル電極、カーボン電極等とすることもできる。参照電極16は、導電性ペースト等の導電性接合部材を介して配線14に接続することができる。また、参照電極16は、Pt、Au、Cu、Pd、Ni、Ag等の金属で形成された電極等とすることもでき、この場合、参照電極16は、例えば、ディスペンス、スクリーン印刷等の公知の手法により、配線14と一体に形成することができる。
配線15の一端部には、対電極17が接続されている。対電極17は、電極チップ12及び参照電極16を取り囲むように設けられている。対電極17は、Pt、Au、Cu、Pd、Ni、Ag等の金属で形成された電極やカーボン電極等とすることができる。対電極17は、サブトラクティブ法やセミアディティブ法等により配線15と一体に形成されている。対電極17は、配線15と別体に形成し、導電性ペースト等の導電性接合部材を介して配線15に接続されていてもよい。
配線13~15は、センサ10に尿が供給された際に、尿が配線13~15に接触することがないように、絶縁性の樹脂等の防水部材20により覆われている。
図2に示すように、電極チップ12は、ダイヤモンド薄膜(ダイヤモンド膜)121と、基材122と、を有している。電極チップ12は、尿をダイヤモンド膜121に接触させて用いられる。ダイヤモンド膜121を有する電極チップ12を、ダイヤモンド電極と称することもある。
ダイヤモンド膜121は、露出面(表面)121aで尿中の尿酸の電気化学反応を生じさせる。すなわち、電極チップ12(作用電極)、参照電極16、及び対電極17を含む電極群を備えるセンサ10において、尿がセンサ10に供給された際、電極群に尿を接触させた状態で電極群に所定の電圧が印加されると、ダイヤモンド膜121の露出面121aで尿酸の酸化還元反応が生じる。
ダイヤモンド膜121は、ダイヤモンド又はダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)から形成される多結晶膜である。ダイヤモンド膜121は、後述の基材122が有する面のうち、少なくとも1つの面上に設けられている。なお、本明細書では、ダイヤモンド膜121が設けられた基材122の面を、基材122の上面とも称する。ダイヤモンド膜121は、基材122の上面全面にわたって設けられている。ダイヤモンド膜121は、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法や、物理蒸着(Phisical Vapor Deposition:PVD)法等により成長させる(堆積させる、合成する)ことができる。CVD法としては、タングステンフィラメントを用いた熱フィラメント(ホットフィラメント)CVD法、プラズマCVD法等が例示され、PVD法としては、イオンビーム法やイオン化蒸着法等が例示される。ダイヤモンド膜121の厚さは例えば0.5μm以上10μm以下、好ましくは2μm以上4μm以下とすることができる。
ダイヤモンド膜121は、ホウ素(B)等の元素(ドーパント)を、例えば1×1019cm-3以上1×1022cm-3以下の濃度、好ましくは1×1020cm-3以上5×1021cm-3以下の濃度で含むことができる。すなわち、ダイヤモンド膜121はp型とすることができる。ダイヤモンド膜121中のB濃度は例えば二次イオン質量分析法(SIMS)で測定することができる。
基材122は、ダイヤモンド又はDLC以外の導電性の材料から形成されている。すなわち、基材122は、ダイヤモンド膜121の材料とは異なる導電性の材料(異種材料)からなる。例えば、基材122としては、シリコン(Si)単体又はSiの化合物を用いて構成された基材、すなわち、Siを含む導電性基材を用いることができる。具体的には、基材122としては、Si基板を用いることができる。Si基板としては、単結晶Si基板、多結晶Si基板、炭化シリコン基板(SiC基板)等を用いることができる。
基材122の厚さは例えば350μm以上とすることができる。これにより、直径が6インチや8インチである市販の単結晶Si基板や多結晶Si基板等のSi基板を、バックラップ(back rap)して厚さ調整することなく、基材122としてそのまま用いることが可能となる。その結果、電極チップ12の生産性を高め、製造コストを低減することが可能となる。基材122の厚さの上限は特に限定されないが、現在一般的に市場に流通しているSi基板の厚さは、直径が12インチの単結晶Si基板で775μm程度である。このため、現在の技術における基材122の厚さの上限は例えば775μm程度とすることができる。
基材122は、ダイヤモンド膜121と同様に、B等の元素を所定の濃度で含み、p型とすることができる。基材122中のB濃度は、例えば5×1018cm-3以上1.5×1020cm-3以下、好ましくは5×1018cm-3以上1.2×1020cm-3以下とすることができる。基材122中のB濃度が上記範囲内であることにより、基材122の比抵抗を低くしつつ、基材122の製造歩留の低下や性能劣化を回避することができる。
電極チップ12の外形は、平面視で矩形状、例えば正方形状に形成されている。電極チップ12の平面積は例えば1mm以上25mm以下とすることができる。なお、電極チップ12の平面積とは、ダイヤモンド膜121が設けられた面の垂直方向上方から電極チップ12を見た際の面積である。電極チップ12の平面積が1mm以上であれば、後述の破断を用いた手法により、電極チップ12を精度よく安定して容易に作製することが可能である。また、電極チップ12のハンドリング性の低下及び実装安定性の低下を抑制することも可能となる。電極チップ12の平面積が25mm以下であることで、センサ10の大型化を回避すること、すなわち、小型のセンサ10を得ることが可能となる。
電極チップ12は、ダイヤモンド膜121が上側となる(すなわち、基材122が基板11と対向する)ように、導電性接合部材18を介して基板11上に固定されている。また、電極チップ12は、導電性接合部材18を介して配線13に電気的に接続されている。導電性接合部材18としては、導電性ペースト(導電性接着剤)や導電性テープ等を用いることができる。
絶縁性樹脂19は、ダイヤモンド膜121の少なくとも一部を露出させるように設けられている。例えば、絶縁性樹脂19は、基材122の側面全面及び導電性接合部材18を覆うように液状の絶縁性樹脂(例えばエポキシ系の絶縁樹脂)を塗布した後、加熱又は紫外線照射により液状の絶縁性樹脂を硬化させることで設けられている。このように、絶縁性樹脂19は、電極チップ12が有する導電性部材の(少なくとも)一部の表面を封止している。具体的には、電極チップ12のダイヤモンド膜121以外の導電性部材の表面(すなわち、基材122の側面)及び導電性接合部材18は、絶縁性樹脂19により樹脂封止されている。
ダイヤモンド膜121の露出面121a(ダイヤモンド膜121の表面)には、絶縁性樹脂19を設ける際に、具体的には、液状の絶縁性樹脂を加熱硬化又は紫外線硬化させる際に、樹脂から揮発した様々な分子量を持つ有機物が付着してしまう。上述のように、露出面121aに、分子量が100以上の有機物(以下、「高分子有機物」とも称する)が一定量以上付着していると、露出面121aに尿が接触した際に尿中のタンパク質が高分子有機物と反応し、ダイヤモンド膜121の表面に皮膜(タンパク質の皮膜)が(速やかに)形成されてしまう。そして、この皮膜によって、尿酸が露出面121aに到達することを阻害されてしまい、尿酸濃度の測定精度が低下してしまう。
このため、本態様では、絶縁性樹脂19を加熱硬化又は紫外線硬化させた後、露出面121aから高分子有機物を除去し、露出面121aを清浄化している。すなわち、露出面121aにおける高分子有機物の付着量を一定量以下にし、露出面121aを清浄面にしている。具体的には、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)により露出面121aを測定した際、分子量が100以上である有機物のイオン強度の単位面積あたりの積分値B(以下、「積分値B」とも称する)が、1.2×10cts/sec以下、好ましくは6.3×10cts/sec以下、より好ましくは4.5×10cts/sec以下である。なお、露出面121aに付着している高分子有機物は、絶縁性樹脂からの揮発物である。このことから、TOF-SIMS測定では、高分子有機物として、例えばCOやSi15O等の有機物イオンのピークが検出される。
なお、TOF-SIMSでは、高分子有機物に一次イオンが衝突した際にフラグメントが発生する。フラグメントが発生することで、TOF-SIMSで得られイオン強度(信号強度)は、露出面121aに付着している高分子有機物に起因して本来得られるはずであるイオン強度よりもフラグメントの分だけ小さくなる。すなわち、TOF-SIMSで得られる高分子有機物に起因するイオン強度は、通常、露出面121aに付着している高分子有機物の濃度未満のイオン強度となる。このため、露出面121aに実際に付着している高分子有機物の分子量を定量的に把握することは困難である。しかしながら、発明者等は、TOF-SIMS測定時にフラグメントが発生した場合であっても、高分子有機物のイオン強度を、所定の条件で測定し、その単位面積あたりの積分値Bを算出し、その値を所定の閾値以下とするように製造プロセスを工夫することで、上記皮膜の形成リスクを回避できることを見出した。これは、発明者等によって初めて見出された知見である。
TOF-SIMS測定は、例えばIONTOF社製のTOF-SIMS M6を用いて行うことができる。また、TOF-SIMSの測定条件としては、下記条件が例示される。
(測定条件)
加速電圧:30kV
DOSE:1.3E+10(ions/cm
ビーム径:3~4μm
測定面積:500μm角
積算数:16scan
一次イオン源:Bi3++
このように、積分値Bが1.2×10cts/sec以下であることで、尿のように被験液がタンパク質を含む場合であっても、露出面121aに上記皮膜が形成されることを抑制できる。また、たとえ露出面121aに上記皮膜が形成された場合であっても、露出面121a全面が上記皮膜で覆われることを回避できる。これらの結果、尿酸が露出面121aに確実に到達できることから、尿酸濃度を正確に測定することが可能となる。すなわち、尿酸濃度の測定精度の低下を回避することができる。一方、積分値Bが1.2×10cts/secを超えると、露出面121aに上記皮膜が形成され、検知対象物が露出面121aに到達できなくなる。このため、尿中の尿酸濃度をサイクリックボルタンメトリー(CV)により測定した際、得られるサイクリックボルタモグラムにおいてピークが出現せず(ピーク電流を確認できず)、尿酸濃度を測定できない場合がある。
積分値Bは6.3×10cts/sec以下であることが好ましく、これにより、上記皮膜の形成を確実に抑制でき、尿酸濃度の測定精度の低下を確実に回避することができる。積分値Bは4.5×10cts/sec以下であることがより好ましく、これにより、上記皮膜の形成をさらに確実に抑制でき、尿酸濃度の測定精度の低下をさらに確実に回避することができる。
積分値Bが低いほど、すなわち、露出面121aに付着する高分子有機物が少ないほど、上記皮膜の形成を抑制でき、尿酸濃度を正確に測定することが可能となる。このため、積分値Bの下限値は特に限定されない。しかしながら、露出面121aを念入りに清浄化したとしても、積分値Bを0(ゼロ)とすることは、現実的には非常に困難である。発明者等は、現在の技術で、積分値Bを、例えば3.5×10cts/secまで低くできることを確認済みである。
上述のように、尿酸濃度を正確に測定するためには、露出面121aにおける高分子有機物の付着量を少なくする必要がある。しかしながら、ダイヤモンドは疎水性を示す材料であることから、接液性(親水性)が低く、尿が露出面121aに安定して付着しにくい。このため、露出面121aにおける高分子有機物の付着量を少なくしても、尿酸濃度の測定精度が低くなることがある。一方、分子量が100未満である有機物(以下、「低分子有機物」とも称する)は、親水性を示すものが多く、また、高分子有機物とは異なり、尿中のタンパク質と反応して上記皮膜を形成するといった悪影響を生じさせることもない。このため、尿との接液性を高める観点から、露出面121aには、低分子有機物が一定量(ある程度)付着していることが好ましい。例えば、TOF-SIMSにより露出面121aを測定した際、分子量が100未満である有機物のイオン強度の単位面積あたりの積分値B(以下、「積分値B」とも称する)が、1.9×10cts/sec以上であることが好ましい。なお、TOF-SIMS測定では、低分子有機物として、例えば、C、C、CO、CO、CO等の有機物イオンのピークが検出される。
上述のように、TOF-SIMS測定では、高分子有機物に一次イオンが衝突した際に一定量のフラグメントが発生する。フラグメントの分子量が100未満である場合、低分子有機物の付着量測定の際のTOF-SIMSで得られるイオン強度(信号強度)は、フラグメントに起因するイオン強度及び低分子有機物に起因するイオン強度の合計強度となる。すなわち、TOF-SIMSで得られる低分子有機物に起因するイオン強度は、通常、露出面121aに付着している低分子有機物の濃度以上のイオン強度となる。このため、実際に付着していた低分子有機物の付着量を定量的に把握することは困難である。しかしながら、発明者等は、TOF-SIMS測定時にフラグメントが発生した場合であっても、低分子有機物のイオン強度を、所定の条件で測定し、その単位面積あたりの積分値Bを算出し、その値を所定の閾値以上とするように製造プロセスを工夫することで、接液性が高いダイヤモンド膜121が得られることを見出した。これは、発明者等によって初めて見出された知見である。なお、TOF-SIMSの測定条件は、上述の積分値Bの測定条件と同様である。
積分値Bが例えば1.9×10cts/sec以上であることで、ダイヤモンド膜121(の露出面121a)の接液性(接液安定性)を高め、露出面121aに尿を安定して付着させることが可能となる。その結果、尿酸濃度をさらに正確に測定することが可能となる。一方、積分値Bが例えば1.9×10cts/sec未満であると、露出面121aの接液性を高める効果が得られないことがある。したがって、露出面121aにおける高分子有機物の付着量を少なくしても、尿酸濃度の測定精度が低くなることがある。
積分値Bが2.4×10cts/sec以上であることがより好ましく、これにより、上記接液性を確実に高めることができる。また、積分値Bが3.2×10cts/sec以上であることがさらに好ましく、これにより、上記接液性をさらに確実に高めることができる。
なお、理論上は、積分値Bが高いほど、上記接液性を高めることができる。しかしながら、上述のように、低分子有機物の付着量測定の際のTOF-SIMSで得られるイオン強度は、フラグメントに起因するイオン強度及び低分子有機物に起因するイオン強度の合計強度である。このため、積分値Bが高くなるほど、露出面121aに付着する低分子有機物も多くなるとは限らない。例えば、高分子有機物の付着量が多いために、フラグメントに起因するイオン強度が高くなり、その結果、積分値Bが高くなることがある。このように、積分値Bが高すぎる場合、積分値Bが1.2×10cts/sec以下でないことがある。露出面121aにおける積分値Bが1.2×10cts/sec以下であるセンサ10を確実に得る観点から、積分値Bの上限値は、例えば4.8×10cts/secとすることができる。
また、積分値Bに対する積分値Bの比(B/B)は、例えば0.3以下であることが好ましい。これにより、露出面121aにおける積分値Bが1.2×10cts/sec以下であるセンサ10を得ることができる。一方、B/Bの値が0.3を超えると、露出面121aにおける積分値Bが1.2×10cts/secを超える場合がある。
/Bの値は、0.23以下であることがより好ましく、これにより、例えば、露出面121aにおける積分値Bが1.2×10cts/sec以下であり、かつ、積分値Bが1.9×10cts/sec以上であるセンサ10を確実に得ることができる。
なお、B/Bの下限値は、0(ゼロ)に近い方が好ましい。しかしながら、上述のように、現在の技術では、積分値Bを0(ゼロ)とすることは、現実的には非常に困難である。発明者等は、現在の技術で、B/Bの値を0.11まで低くできることを確認済みである。
また、露出面121aを清浄化することで、露出面121aは、酸素終端されることとなる。これにより、センサ10の感度の経時変化を抑制でき、センサ感度を、長期間にわたり、安定させることが可能となる。その結果、長期間にわたり、信頼性の高いセンサ10を得ることが可能となる。露出面121a(ダイヤモンド膜121の表面)の酸素終端は、例えばX線光電子分光法(XPS)により評価することができる。
また、露出面121aを清浄化することで、絶縁性樹脂19の表面には、酸化層19aが形成されることとなる。ここでいう「酸化層19a」は、絶縁性樹脂19の表面(表層部)が酸化されることにより形成される層であり、例えば、硬化前の樹脂の表面や硬化後の絶縁性樹脂19の深層部(表層部以外の部分)に比べてC=O結合やO-H結合が多く含まれる層である。酸化層19aは、例えばフーリエ変換赤外線分光法(FTIR)により評価することができる。
酸化層19aは、酸化されていない絶縁性樹脂19から有機物(高分子有機物を含む有機物)が脱離した際、脱離した有機物が露出面121aに到達することを防ぐブロック層のように機能する。したがって、酸化層19aが形成されていることで、長期間にわたり、露出面121aを清浄面に保つことが可能となる。例えば、密閉された梱包内の温度が上昇しやすい状態でセンサ10が長期間にわたり保管された場合であっても、保管中等に、絶縁性樹脂19から脱離した有機物が露出面121aに付着することを抑制できる。
なお、センサ10の保管中等に、酸化層19aから脱離した有機物が、露出面121aに付着することがある。樹脂は、一般的に、酸化により低分子化されることから、酸化層19aの分子量は、酸化前の絶縁性樹脂19の分子量よりも低くなっている。このため、酸化層19aから脱離した有機物が露出面121aに付着したとしても、酸化されていない絶縁性樹脂19から脱離した有機物とは異なり、尿中のタンパク質と反応して上記皮膜を形成するといった悪影響を生じさせることは殆どない。
また、絶縁性樹脂19は酸化されることで、その強度が低くなることが知られている。本態様では、絶縁性樹脂19の少なくとも表面(表層部)のみを酸化して酸化層19aを形成していることから、絶縁性樹脂19の強度の低下を、センサ10の使用に影響を与えない程度に抑えることができる。
酸化層19aの厚さは、例えば1nm以上、好ましくは2nm以上とすることができる。酸化層19aの厚さが1nm以上であれば、絶縁性樹脂19の表面全面を、酸化層19aで覆うことができる。また、酸化層19aの厚さが2nm以上であることで、絶縁性樹脂19の表面全面を、酸化層19aで確実に覆うことができる。その結果、長期間にわたり、露出面121aを清浄面に確実に保つことが可能となる。酸化層19aの厚さが極端に厚くなると、絶縁性樹脂19の強度が低下し、センサ10の使用に影響が生じる場合がある。酸化層19aの厚さは、絶縁性樹脂19の表面全面を覆うことができる厚さであって、できるだけ薄い厚さであることが好ましい。
(2)電気化学センサの製造方法
続いて、上述のセンサ10の製造方法について説明する。
本態様のセンサ10の製造方法では、
基材122上にダイヤモンド膜121を成長させるステップ(ステップA)と、
ダイヤモンド膜121と基材122との積層体をチップ状に加工して、表面にダイヤモンド膜121を有する電極チップ12を取得するステップ(ステップB)と、
導電性接合部材18を用い、電極チップ12を基板11上に固定するステップ(ステップC)と、
ダイヤモンド膜121の少なくとも一部が露出するように液状の絶縁性樹脂を塗布した後、液状の絶縁性樹脂を加熱硬化又は紫外線硬化させ、絶縁性樹脂19を設けるステップ(ステップD)と、
露出面121aに対して酸化処理を施し、ステップDを行うことで絶縁性樹脂19から揮発して露出面121aに付着した高分子有機物を酸化させ、露出面121aから高分子有機物を除去するステップ(ステップE)と、
を行う。
(ステップA)
基材122として、導電性を有する基板、例えば平面視で円形の外形を有するSi基板を用意する。そして、基材122が有する2つの主面のうち、ダイヤモンド結晶を成長(堆積)させることとなる面(以下「結晶成長面」とも称する)に対して、種付け(シーディング)処理又は傷付け(スクラッチ)処理を行う。種付け処理とは、例えば数nm~数十μm程度のダイヤモンド粒子(好ましくはダイヤモンドナノ粒子)を分散させた溶液(分散液)を結晶成長面に塗布したり、分散液中に基材122を浸漬したりすることにより、ダイヤモンド粒子(種)を結晶成長面に付着させる処理をいう。傷付け処理とは、数μm程度のダイヤモンド砥粒(ダイヤモンドパウダー)等を用いて結晶成長面に引っかき傷(スクラッチ)を付ける処理をいう。
種付け処理又は傷付け処理が終了したら、例えばタングステンフィラメントを用いた熱フィラメントCVD法により、基材122の結晶成長面上に、ダイヤモンド結晶を成長させて、ダイヤモンド膜121を形成する。
ダイヤモンド膜121は、例えば図3に示すような熱フィラメントCVD装置300を用いて成長させることができる。熱フィラメントCVD装置300は、石英等の耐熱性材料からなり、成長室301が内部に構成された気密容器303を備えている。成長室301内には、基材122を保持するサセプタ308が設けられている。気密容器303の側壁には、成長室301内へ窒素(N)ガスを供給するガス供給管332aと、水素(H)ガスを供給するガス供給管332bと、炭素(C)含有ガスとしてのメタン(CH)ガス又はエタン(C)ガスを供給するガス供給管332cと、ホウ素(B)含有ガスとしてのトリメチルボロン(B(CH、略称:TMB)ガス、トリメチルボレート(B(OCH)ガス、トリエチルボレート(B(CO))ガス、又はジボラン(B)ガスを供給するガス供給管332dと、が接続されている。ガス供給管332a~332dには、ガス流の上流側から順に、流量制御器341a~341d、バルブ343a~343dがそれぞれ設けられている。ガス供給管332a~332dの下流端には、ガス供給管332a~332dから供給された各ガスを成長室301内に供給するノズル349a~349dがそれぞれ接続されている。気密容器303の他の側壁には、成長室301内を排気する排気管330が設けられている。排気管330にはポンプ331が設けられている。気密容器303内には、成長室301内の温度を測定する温度センサ309が設けられている。また、気密容器303内にはタングステンフィラメント310と、タングステンフィラメント310を加熱する一対の電極(例えばモリブデン(Mo)電極)311a,311bとが、それぞれ設けられている。熱フィラメントCVD装置300が備える各部材は、コンピュータとして構成されたコントローラ380に接続されており、コントローラ380上で実行されるプログラムによって後述する処理手順や処理条件が制御されるように構成されている。
ダイヤモンド膜121は、上述の熱フィラメントCVD装置300を用い、例えば以下の処理手順で成長させることができる。まず、基材122を、気密容器303内へ投入(搬入)し、サセプタ308上に保持する。そして、成長室301内の排気を実施しながら、成長室301内へHガスを供給する。また、電極311a,311b間に電流を流してタングステンフィラメント310の加熱を開始する。タングステンフィラメント310が加熱されることで、サセプタ308上に保持した基材122も加熱されることとなる。タングステンフィラメント310が所望の温度となり、成長室301内が所望の圧力に到達し、また成長室301内の雰囲気が所望の雰囲気となったら、成長室301内へC含有ガス(例えばCHガス)、B含有ガス(例えばTMBガス)を供給する。成長室301内に供給されたCHガス、TMBガスが、高温に加熱されたタングステンフィラメント310を通過する際に分解(熱分解)されて、メチルラジカル(CH )等の活性種が生成される。この活性種等が基材122上に供給されてダイヤモンド結晶が成長する。
ダイヤモンド膜121を成長させる際の条件としては、下記の条件が例示される。なお、ダイヤモンド膜121の成長時間は、ダイヤモンド膜121の厚さに応じて適宜調整する。
基材温度:600℃以上1000℃以下、好ましくは650℃以上800℃以下
フィラメント温度:1800℃以上2500℃以下、好ましくは2000℃以上2200℃以下
成長室内圧力:5Torr以上50Torr以下(665Pa以上6650Pa以下)、好ましくは10Torr以上35Torr以下(1330Pa以上4655Pa以下)
CHガスに対するTMBガスの分圧の比率(TMB/CH):0.003%以上0.8%以下
ガスに対するCHガスの比率(CH/H):2%以上5%以下
成長時間:30分以上120分以下、好ましくは60分以上100分以下
上述の条件でダイヤモンド結晶の成長を行うことにより、基材122の結晶成長面に付着させたダイヤモンド粒子や結晶成長面上の傷を核としてダイヤモンド結晶が成長し、基材122の結晶成長面上に、B濃度が例えば1×1019cm-3以上1×1022cm-3以下であるp型のダイヤモンド膜121を成長させることができる。
(ステップB)
ステップAが終了したら、ステップBを行う。すなわち、図4(a)に例示するようなダイヤモンド膜121と基材122との積層体(積層ウエハ30)をチップ状に整形して、表面にダイヤモンド膜121を有する電極チップ12を取得する。
具体的には、図4(b)に示すように、積層ウエハ30の裏面(基材122側)から凹状の溝31(例えばスクライブ溝)を形成する。溝31は、例えば、レーザスクライブやレーザダイシング等のレーザ加工法、機械加工法、エッチングのような公知の手法を用いて形成することができる。溝31は、基材122を厚さ方向に貫くことがないように、すなわち、ダイヤモンド膜121まで達しないように形成する。例えば、溝31は、基材122の最薄部の厚さが10μm以上80μm以下となるように形成する。これにより、ダイヤモンド膜121の変質を抑制することができ、その結果、電極チップ12を用いたセンサ10において、尿酸(検知対象物)の濃度の測定精度の低下をさらに確実に回避することができる。なお、ここでいう「ダイヤモンド膜121の変質」とは、例えばダイヤモンド膜121のsp結合がsp結合に変わってしまう、すなわち黒鉛化(グラファイト化)してしまうこと等を意味する。
続いて、図4(c)に示すように、溝31に沿って、ダイヤモンド膜121を外方に折り曲げる方向に積層ウエハ30を折り曲げ、基材122を破断する。これにより、ダイヤモンド膜121と基材122とを有する電極チップ12を取得することができる。
なお、ステップBにおいて、積層ウエハ30の表面(ダイヤモンド膜121側)から溝31を形成することも考えられる。しかしながら、ダイヤモンド膜121は高硬度であるため、ダイヤモンド膜121の側からレーザ加工法や機械加工法等により溝31を形成することは難しい。
また、ステップBにおいて、上述の破断を用いた手法ではなく、積層ウエハ30をドライエッチング等により所定の形状に整形して電極チップ12を取得することも考えられる。しかしながら、高硬度のダイヤモンド膜121を有する積層ウエハ30を、ドライエッチング等により所定の形状に整形することは非常に難しい。また、ドライエッチングにより、ダイヤモンド膜121に変質領域が生じる場合もある。
(ステップC)
ステップBが終了したら、ステップCを行う。すなわち、導電性接合部材18を用い、電極チップ12を基板11上に固定する。
具体的には、まず、基板11を用意する。そして、基板11上に、所定パターンの配線13~15と、配線14に電気的に接続される参照電極16と、配線15に電気的に接続される対電極17と、を設ける。なお、配線13~15、参照電極16、及び対電極17等が予め設けられた基板11を用意してもよい。また、配線13と電気的に接続するように、導電性接合部材18を基板11上に設け、そして、導電性接合部材18上に電極チップ12を配置する。このとき、ダイヤモンド膜121が上側となるように(すなわち、基材122が基板11と対向するように)、電極チップ12を配置する。これにより、電極チップ12は、導電性接合部材18を介して、基板11上に固定されるとともに、配線13に電気的に接続されることとなる。
(ステップD)
ステップCが終了したら、ステップDを行う。すなわち、ダイヤモンド膜121の少なくとも一部が露出するように、液状の絶縁性樹脂を、基板11上に固定された電極チップ12の周りに塗布し、その後、加熱又は紫外線照射により液状の絶縁性樹脂を硬化させる。これにより、電極チップ12は、ダイヤモンド膜121の少なくとも一部が露出した状態となるとともに、基材122の側面全面及び導電性接合部材18は、絶縁性樹脂19により樹脂封止される。
また、ステップDを行うことにより、絶縁性樹脂19から揮発(脱離)した様々な分子量を持つ有機物が、露出面121aに付着することとなる。
なお、上述の説明では、電極チップ12の固定を導電性接合部材18により行い、樹脂封止を絶縁性樹脂19により行った。しかしながら、導電性接合部材18により、基板11上への電極チップ12の仮付けを行い、絶縁性樹脂19により、電極チップ12の固定及び樹脂封止の両方を行ってもよい。すなわち、絶縁性樹脂19に、電極チップ12の固定及び樹脂封止の両方の機能を持たせてもよい。この場合、ステップDにおいて、電極チップ12の固定及び樹脂封止の両方が行われることとなる。
(ステップE)
ステップDが終了したら、ステップEを行う。すなわち、露出面121aを清浄化する。具体的には、ダイヤモンド膜121の露出面121aに対して酸化処理を施し、ステップDを行うことで絶縁性樹脂19(液状の絶縁性樹脂)から揮発して露出面121aに付着した有機物のうち高分子有機物を酸化させ、露出面121aから高分子有機物を除去する。酸化処理としては、気相エッチング処理を用いることが好ましい。気相エッチング処理としては、コロナ処理、大気中プラズマ処理(Oプラズマ処理)、UVオゾン処理等が例示される。
酸化処理(例えば大気中プラズマ処理)の条件としては、下記の条件が例示される。
処理時間:30秒以上15分以下
印加電圧:10kV
ギャップ長:3mm
上述の酸化処理を行うことにより、露出面121aに付着した高分子有機物を酸化させ、露出面121aから高分子有機物を除去することができる。すなわち、上述の酸化処理を行うことにより、露出面121aにおける上述の積分値Bを、1.2×10cts/sec以下にすることができる。
また、上述の酸化処理を行うことにより、露出面121aから低分子有機物の除去を抑制でき、露出面121aに、一定量の低分子有機物を付着させたままとすることができる。すなわち、露出面121aにおける上述の積分値Bを、例えば1.9×10cts/sec以上にすることができる。
また、上述の酸化処理を行うことにより、積分値Bに対する積分値Bの比(B/B)を、例えば0.3以下にすることができる。
また、上述の酸化処理を行うことにより、露出面121aが酸素終端されることとなる。さらにまた、絶縁性樹脂19の表面(表層部)が酸化され、酸化層19aが形成されることとなる。
なお、ステップEにおいて、露出面121aに対してウェットエッチングを行って、露出面121aに付着した高分子有機物を除去することも考えられる。しかしながらこの場合、高分子有機物だけでなく、低分子有機物も除去されることとなる。このため、積分値Bを例えば1.9×10cts/sec以上にしたり、上記B/Bの値を例えば0.3以上にしたりすることができない場合がある。その結果、ダイヤモンド膜121の接液性が低く、尿酸濃度の測定精度が低下することがある。
また、ステップEにおいて、界面活性剤等を用いて露出面121aを清浄化し、露出面121aに付着した高分子有機物を除去することも考えられる。しかしながらこの場合、発明者等は、高分子有機物を充分に除去することができないことを確認済みである。
以上により、露出面121aにおける上述の積分値Bが、1.2×10cts/sec以下であるセンサ10が得られる。
(3)効果
本態様によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
(a)TOF-SIMSにより露出面121aを測定した際における、高分子有機物(分子量が100以上である有機物)の積分値Bが、1.2×10cts/sec以下であることで、尿中のタンパク質が高分子有機物と反応し、露出面121aに、タンパク質の皮膜が形成されることを抑制できる。すなわち、尿のようにタンパク質を含む被験液であっても、露出面121aにおける上記皮膜の形成リスクを回避できる。また、上記皮膜が形成された場合であっても、露出面121a全面が上記皮膜で覆われることを回避できる。これらの結果、尿酸が露出面121aに確実に到達できることから、尿酸濃度を正確に測定することが可能となる。すなわち、露出面121aにおける上述の積分値Bが、1.2×10cts/sec以下であることで、タンパク質を含む被験液であっても(すなわち、被験液の種類にかかわらず)、検知対象物の濃度の測定精度の低下を回避することができる。
(b)TOF-SIMSにより露出面121aを測定した際における、低分子有機物(分子量が100未満である有機物)の積分値Bが1.9×10cts/sec以上であることで、露出面121aの接液性を高めることができる。これにより、尿酸濃度をさらに正確に測定することが可能となる。
(c)積分値Bに対する積分値Bの比(B/B)が、0.3以下であることで、露出面121aにおける積分値Bが1.2×10cts/sec以下であるセンサ10を得ることができる。
(d)露出面121aが酸素終端されていることで、センサ10の感度の経時変化を抑制でき、センサ感度を、長期間にわたり、安定させることが可能となる。すなわち、長期間にわたり、信頼性の高いセンサ10を得ることが可能となる。
発明者等は、露出面121aが酸素終端されているセンサ10及び水素終端されているセンサについて、基板11に電極チップ12を実装した直後及び実装から1か月経過後に、それぞれ、尿中の尿酸濃度のCV測定を行い、ピーク強度(ピーク電流値)を測定した。そして、露出面121aが酸素終端されている場合、実装直後のピーク強度(P1)に対する、実装から1か月経過後のピーク強度(P2)の比率(=(P2/P1)×100)が約98%であること、すなわち、実装から1か月経過した後であっても、センサ感度が低下しないことを確認した。これに対し、露出面121aが水素終端されている場合、上記比率(=(P2/P1)×100)が約90%となることを確認した。このように、発明者等は、露出面121aが酸素終端されていることで、水素終端されている場合よりも、CV測定においてピーク強度が変化しにくいこと、すなわち、センサ感度が経時変化しにくいことを確認した。
(e)絶縁性樹脂19の表面が酸化されていることで、すなわち、絶縁性樹脂19の表面に酸化層19aが形成されていることで、保管中等に、酸化されていない絶縁性樹脂19から脱離した有機物が露出面121aに付着することを抑制できる。その結果、長期間にわたり、露出面121aを清浄面に保つことが可能となる。
(4)変形例
本態様は、以下の変形例のように変形することができる。なお、以下の変形例の説明において、上述の態様と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、上述の態様及び以下の変形例は任意に組み合わせることができる。
(変形例1)
上述の態様では、基材122の側面全面が絶縁性樹脂19で覆われている例について説明した。しかしながら、本態様は、このような態様に限定されるものではない。
絶縁性樹脂19は、基材122の側面全面を覆う必要はなく、例えば、図5(a)に示すように、基材122の側面の少なくとも一部(例えば基材122の側面の下側(基板11側))及び導電性接合部材18を覆うように設けられていてもよい。すなわち、基材122の側面の上側(ダイヤモンド膜121側)が露出していてもよい。本変形例においても、露出面121aにおける積分値Bが、1.2×10cts/sec以下であることで、上述の態様と同様の効果を得ることができる。
なお、基材122の一部が露出している場合であっても、上述のステップEを行うことで、基材122の露出面が酸化され、その結果、基材122の露出面が不活性化されることとなる。これにより、基材122の露出面上で、検知対象物の酸化還元反応が生じることを回避でき、検知対象物の測定精度の低下を回避することができる。発明者等は、少なくとも、尿酸濃度の測定時にセンサ10(電極群)に印加される電圧範囲(例えば、0V以上1V以下の範囲を含む電圧範囲)では、基材122の側面の露出面上で、尿酸の酸化還元反応は殆ど生じないことを確認済みである。しかしながら、検知対象物の濃度の測定精度の低下を確実に回避する観点から、絶縁性樹脂19は、基材122の側面全面を覆うように設けられる方が好ましい。
また例えば、図5(b)に示すように、絶縁性樹脂19は、基材122の側面全面に加えて、ダイヤモンド膜121の側面及び露出面121aにおける周縁部を覆うように設けられていてもよい。これにより、電極チップ12のうち、ダイヤモンド膜121以外の導電性部材をより確実に樹脂封止でき、検知対象物の濃度の測定精度の低下をさらに確実に抑制することが可能となる。
(変形例2)
上述の態様では、基材122の上面全面にダイヤモンド膜121が設けられている例について説明した。しかしながら、本態様は、このような態様に限定されるものではない。例えば、図5(c)に示すように、ダイヤモンド膜121が基材122の上面の一部にのみ設けられ、基材122の上面の一部が露出していてもよい。本変形例においても、露出面121aにおける積分値Bが、1.2×10cts/sec以下であることで、上述の態様と同様の効果を得ることができる。
なお、本変形例においても、変形例1と同様に、上述のステップEを行うことで、基材122の露出面が酸化され、その結果、基材122の露出面が不活性化されることとなる。これにより、基材122の露出面上で、検知対象物の酸化還元反応が生じることを回避でき、検知対象物の測定精度の低下を回避することができる。
しかしながら、検知対象物の濃度の測定精度の低下を確実に回避する観点から、基材122の表面は露出していない方が好ましい。すなわち、本変形例では、絶縁性樹脂19が、基材122の側面全面に加えて、基材122の上面のうち、ダイヤモンド膜121が設けられていない面(以下、「基材122の上面の露出面」とも称する)を覆うように設けられていることが好ましい。さらには、絶縁性樹脂19が、基材122の側面全面、基材122の上面の露出面、ダイヤモンド膜121の側面、及びダイヤモンド膜121の露出面121aの周縁部を覆うように、設けられていることがより好ましい。
<他の態様>
以上、本開示の態様を具体的に説明した。但し、本開示は上述の態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、ダイヤモンド膜121上に所定の検知対象物(例えば尿酸)のみを透過させる機能膜や検知対象物のみと反応する機能膜を設けてもよい。このような機能膜として、例えば検出成分に応じた所定の酵素を含む膜やイオン交換膜等の所定の表面装飾膜が設けられていてもよい。
また、上述の態様や変形例では、被験液がヒトの尿であり、検知対象物が尿酸である例について説明したが、これに限定されない。被験液は、ヒトを含む動物の体液、血液、尿等のタンパク質を含む液であってもよい。すなわち、センサ10(電極チップ12)は、ヒトを含む動物の体液、血液、又は尿を含む被験液をダイヤモンド膜121に接触させて用いられる。また、検知対象物は、電極群(少なくとも電極チップ12と対電極17との間)に印加される電圧が所定の電圧範囲内であれば、サイクリックボルタンメトリーの電圧掃引条件を適宜変更することで、尿酸以外の種々の成分(物質)の濃度を測定することができる。
また、上述の態様や変形例では、電極チップ12をセンサ10の作用電極として用いる例について説明したが、これに限定されない。電極チップ12は、例えば、化合物の電解又は合成や水の電解等で用いられる電解用電極(例えばオゾン発生装置の電解用電極)として用いることもできる。
また例えば、センサ10は、二電極法により測定するセンサであってもよい。すなわち、参照電極16及び配線14は設けられていなくてもよい。
以下、上述の態様の効果を裏付ける実験結果について説明する。
(サンプル1)
サンプル1では、まず、基材として6インチの平面視で円形状のSi基板を用意し、このSi基板が有する主面のうちダイヤモンドを成長させることとなる面(すなわち、結晶成長面)に対して所定の傷付け処理を行った。そして、図3に示す熱フィラメントCVD装置を用い、またフィラメントとしてタングステンフィラメントを用い、傷付け処理を行ったSi基板の結晶成長面上にダイヤモンド結晶を成長させて、所定のB濃度のダイヤモンド膜を設け、Si基板とダイヤモンド膜との積層体である積層ウエハを作製した。
そして、ガルバノ光学系のレーザを用い、積層ウエハ(Si基板)の裏面(ダイヤモンド膜が設けられた面とは反対側の面)に、レーザ光(532nm、5W、10kHz、スポット径2μm)を、2mmピッチの格子状に走査速度10cm/secで照射して、格子状のレーザ溝(凹状の溝)を形成した。なお、レーザ光のスキャン回数は4回とした。その後、ブレーク押し込み量:0.1mm、ブレーク速度:100mm/sの条件でレーザ溝に沿ってブレーキング(破断)を行い、積層ウエハから2mm四方の大きさの電極チップを作製した。
また、基板(絶縁性を有する板状部材)上に、2本の配線と、この2本の配線のうちの一方の配線に接続される対電極と、を設けた。また、電極チップの基材が基板と対向するとともに、他方の配線と接続されるように、導電性ペーストを用いて、電極チップを基板上に固定した。そして、配線が露出しないように、2本の配線を絶縁性の樹脂により覆った。そして、ダイヤモンド膜の少なくとも一部が露出するとともに、電極チップの基材及び導電性ペーストが露出しないように、液状の絶縁性樹脂を塗布した後、加熱により液状の絶縁性樹脂を硬化させ、絶縁性樹脂を設けた。
続いて、ダイヤモンド膜の露出面に対して酸化処理(Oプラズマ処理)を行い、露出面を清浄化した。これにより得たセンサを、サンプル1とした。
(サンプル2~8)
サンプル2~8では、それぞれ、酸化処理の時間をサンプル1から変更した。酸化処理の時間を除く他の条件は、サンプル1の条件と同一条件とした。
(評価)
サンプル1~8において、TOF-SIMSにより、ダイヤモンド膜の露出面における、分子量が100以上である有機物(高分子有機物)のイオン強度を所定の条件で測定し、その単位面積あたりの積分値Bを算出した。また、サンプル1~8において、TOF-SIMSにより、ダイヤモンド膜の露出面における分子量が100未満である有機物(低分子有機物)のイオン強度を、所定の条件で測定し、その単位面積あたりの積分値Bを算出した。なお、TOF-SIMSの測定条件は、下記の通りである。
<TOF-SIMSの測定条件>
加速電圧:30kV
DOSE:1.3E+10(ions/cm
ビーム径:3~4μm
測定面積:500μm角
積算数:16scan
一次イオン源:Bi3++
一例として、サンプル1,8の正イオン(陽イオン)で評価したTOF-SIMSの結果を図6に示し、サンプル1,8の負イオンで評価したTOF-SIMSの結果を図7に示す。なお、「正イオンで評価したTOF-SIMSの結果」とは、TOF-SIMS測定で発生した正イオンの有機物イオンのイオン強度を評価した結果であり、「負イオンで評価したTOF-SIMSの結果」とは、TOF-SIMS測定で発生した負イオンの有機物イオンのイオン強度を評価した結果である。
また、サンプル1~8の積分値B及び積分値Bの測定結果を、それぞれ、図8~図10に示す。また、サンプル1~8において、取得した積分値B及び積分値Bから、積分値Bに対する積分値Bの比(B/B)を算出した。これらの結果を、それぞれ、図8~図10に示す。
また、サンプル1~8を用い、CV測定により、尿酸及びタンパク質を含む被験液中の尿酸濃度を測定し、サイクリックボルタモグラムを得た。サイクリックボルタンメトリーは、-1V以上1.5V以下の範囲を含む電圧範囲、0.1V/s以上1V/s以下の掃引速度の範囲内の所定の同一条件で行った。得られたサイクリックボルタモグラムを、それぞれ、図8~図10に示す。また、図8及び図9に示す「ピーク電流」とは、各サンプルにおいて、CV測定を行った際に得られた電流値のうち、最も高い電流値である。
図6及び図7に示すサンプル1のTOF-SIMSの結果から分かるように、サンプル1では、正イオンで評価したTOF-SIMS及び負イオンで評価したTOF-SIMSのいずれにおいても、分子量が100以上で観測されるイオン強度のピーク強度(信号)、すなわち高分子有機物に起因するイオン強度のピーク強度は、いずれも、5×10cts/sec以下である。これは、ダイヤモンド膜の露出面に付着する高分子有機物が少ないことを示している。
また、図6及び図7に示すサンプル1のTOF-SIMSの結果から分かるように、サンプル1では、正イオンで評価したTOF-SIMS及び負イオンで評価したTOF-SIMSのいずれにおいても、分子量が100未満で観測されるイオン強度のピーク強度(信号強度)、すなわち低分子有機物に起因するイオン強度のピーク強度は、5×10(5E4)cts/secを超えているピークがある。例えば、図6に示すサンプル1のTOF-SIMS(正イオン)では、分子量が29,43,55,69付近で、5×10cts/secを超えるピーク強度を観測できる。これは、ダイヤモンド膜の露出面に、一定量以上の低分子有機物が付着していることを示している。
なお、図6及び図7から、TOF-SIMS(正イオン)とTOF-SIMS(負イオン)とでは、観測される低分子有機物の種類が異なることが分かる。すなわち、TOF-SIMS(負イオン)で観測される低分子有機物の種類は、TOF-SIMS(正イオン)で観測される低分子有機物の種類よりも多いことが分かる。サンプル1では、観測される低分子有機物の種類が多いTOF-SIMS(負イオン)の結果においても、TOF-SIMS(正イオン)の結果と同様に、低分子有機物に起因するイオン強度のピーク強度が5×10cts/secを超えているピークがあり、また、高分子有機物に起因するピーク強度は、いずれも、5×10cts/sec以下となっている。すなわち、TOF-SIMS(負イオン)の結果においても、高分子有機物に起因するピーク強度は、低分子有機物に起因するイオン強度のピーク強度よりも一桁以上小さくなっている。
上述のように、サンプル1では、高分子有機物に起因するピーク強度が、低分子有機物に起因するピーク強度よりも一桁以上小さくなっている。これは、ダイヤモンド膜の露出面に被験液が接触した際、被験液中のタンパク質と反応(結合)してダイヤモンド膜の露出面に皮膜を形成する高分子有機物の量が少ないことを示している。
また、図6及び図7に示すサンプル8のTOF-SIMSの結果から分かるように、サンプル8では、正イオンで評価したTOF-SIMS及び負イオンで評価したTOF-SIMSのいずれにおいても、高分子有機物に起因するイオン強度のピーク強度が、サンプル1の高分子有機物に起因するピーク強度よりも高くなっている。例えば、図6に示すサンプル8のTOF-SIMS(正イオン)では、分子量が107,147,207,221,281の付近で、ピークを観測できる。このように、図6及び図7から、サンプル8では、サンプル1に比べて、高分子有機物に起因するイオン強度の積分値Bが明らかに高くなっていることが分かる。これは、ダイヤモンド膜の露出面に付着する高分子有機物が多いことを示している。
また、図6及び図7に示すサンプル8のTOF-SIMSの結果から分かるように、サンプル8では、正イオンで評価したTOF-SIMS及び負イオンで評価したTOF-SIMSのいずれにおいても、低分子有機物に起因するピーク強度は、サンプル1における低分子有機物に起因するピーク強度よりもやや高くなっている。例えば、図6に示すサンプル8のTOF-SIMS(正イオン)では、サンプル1のTOF-SIMS(正イオン)の結果においてピークが観測された分子量が29,43,55,69付近の他、分子量が73,91付近でもピークを観測できる。すなわち、図6及び図7から、低分子有機物に起因するイオン強度の積分値Bが、サンプル1の積分値Bよりも高くなることが分かる。これは、TOF-SIMS測定時のフラグメントの影響と考えられる。すなわち、サンプル8では、ダイヤモンド膜の露出面の接液性を高めるためにダイヤモンド膜の露出面に意図的に付着させる低分子有機物以外の要因により、積分値Bが高くなっていると考えられる。サンプル8では、ダイヤモンド膜の露出面における高分子有機物の付着量が多いために、TOF-SIMS測定時のフラグメントに起因するイオン強度が高くなり、その結果、積分値Bが高くなっていると考えられる。
サンプル8のように、積分値Bに対する積分値B(B/B)の値が、所定の値よりも大きい場合(例えば0.3超である場合)、ダイヤモンド膜の露出面に被験液が接触すると、ダイヤモンド膜の露出面にタンパク質の皮膜が形成されてしまい、ダイヤモンド膜の露出面への検知対象物の到達を妨げ、その結果、センサ感度が低下することも確認した。
また、図8及び図9から、積分値Bが1.2×10cts/sec以下、具体的には、6.3×10cts/sec以下であるサンプル1~6では、サイクリックボルタモグラムにおいて、ピーク電流を確認でき、正確なCV測定を行うことができることが分かる。すなわち、サンプル1~6では、尿酸濃度の測定精度の低下が回避されていることが分かる。これに対し、図10から、積分値Bが1.2×10cts/sec超であるサンプル7,8では、サイクリックボルタモグラムにおいてピーク電流を確認できず、正確なCV測定を行うことができないことが分かる。これは、被験液中のタンパク質が高分子有機物と反応し、ダイヤモンド膜の露出面に所定の皮膜が形成されたため、検知対象物(尿酸)がダイヤモンド膜の露出面に到達できなかったためと考えられる。
また、図8及び図9から、積分値Bが4.5×10cts/sec以下であるサンプル1,2,6では、ピーク電流がより高くなっていることが分かる。これは、ダイヤモンド膜の露出面における高分子有機物の付着量がより少ないことで、ダイヤモンド膜の露出面における上記皮膜の形成が確実に抑制され、ダイヤモンド膜の露出面に到達する検知対象物の量が多くなったためと考えられる。すなわち、サンプル1,2,6から、ダイヤモンド膜の露出面における積分値Bが4.5×10cts/sec以下であることで、検知対象物の濃度の測定精度の低下を確実に回避でき、正確な濃度測定を確実に行うことができることが分かる。
また、図8及び図9から、積分値Bが1.9×10cts/sec以上であることで、ダイヤモンド膜の露出面の接液性を高めることができ、正確なCV測定を確実に行うことができることが分かる。例えば、積分値Bの値が近いサンプル2とサンプル5とを比較した際、積分値Bがより高いサンプル2の方が、ピーク電流が高くなっていることが分かる。これは、ダイヤモンド膜の露出面における低分子有機物の付着物の量が多いことで、接液性が向上したためと考えられる。
また、図8及び図9から、積分値Bが4.5×10cts/sec以下、かつ、積分値Bが3.2×10cts/sec以上であるサンプル2,6では、ピーク電流が特に高くなっていることが分かる。これは、ダイヤモンド膜の露出面における上記皮膜の形成を確実に抑制しつつ、接液性を確実に高めることができたためと考えられる。
また、図8及び図9から、B/Bの値が0.3以下であるサンプル1~6では、積分値Bが1.2×10cts/sec以下であり、かつ、積分値Bが1.9×10cts/sec以上であることが分かる。また、図10から、B/Bの値が0.3超のサンプル7,8では、積分値Bが1.2×10cts/sec超であることが分かる。
<本開示の好ましい態様>
以下、本開示の好ましい態様について付記する。
(付記1)
本開示の一態様によれば、
基板と、
基材及びダイヤモンド薄膜を有する電極チップと、
前記電極チップが有する導電性部材の少なくとも一部の表面を封止する絶縁性樹脂と、を備え、
前記絶縁性樹脂は、前記ダイヤモンド薄膜の少なくとも一部を露出させるように設けられており、
飛行時間型二次イオン質量分析により前記ダイヤモンド薄膜の露出面を測定した際における、分子量が100以上である有機物のイオン強度の単位面積あたりの積分値Bが、1.2×10cts/sec以下、好ましくは、6.3×10cts/sec以下、より好ましくは、4.5×10cts/sec以下である電気化学センサが提供される。
(付記2)
付記1に記載のセンサであって、好ましくは、
飛行時間型二次イオン質量分析により前記ダイヤモンド薄膜の前記露出面を測定した際における、分子量が100未満である有機物のイオン強度の単位面積あたりの積分値Bが、1.9×10cts/sec以上、好ましくは、2.4×10cts/sec以上、より好ましくは、3.2×10cts/sec以上である。
(付記3)
付記1又は2に記載のセンサであって、好ましくは、
前記積分値Bに対する前記積分値Bの比(B/B)が0.3以下、好ましくは、0.23以下である。
(付記4)
付記1~3のいずれか1項に記載のセンサであって、好ましくは、
前記ダイヤモンド薄膜の前記露出面は酸素終端されている。
(付記5)
付記1~4のいずれか1項に記載のセンサであって、好ましくは、
前記絶縁性樹脂の表面には、酸化層が形成されている。
(付記6)
付記1~5のいずれか1項に記載のセンサであって、好ましくは、
タンパク質を含む被験液を前記ダイヤモンド薄膜に接触させて用いられる。すなわち、タンパク質を含む被験液を前記ダイヤモンド薄膜に接触させた状態で所定の電圧を印加し、前記ダイヤモンド薄膜の表面で酸化還元反応を生じさせる。
(付記7)
付記1~6のいずれか1項に記載のセンサであって、好ましくは、
ヒトを含む動物の体液、血液、又は尿を含む被験液を前記ダイヤモンド薄膜に接触させて用いられる。
10 電気化学センサ
11 基板
12 電極チップ
121 ダイヤモンド(薄)膜
121a ダイヤモンド膜の露出面
122 基材
19 絶縁性樹脂

Claims (8)

  1. 基板と、
    基材及びダイヤモンド薄膜を有する電極チップと、
    前記電極チップが有する導電性部材の少なくとも一部の表面を封止する絶縁性樹脂と、を備え、
    前記絶縁性樹脂は、前記ダイヤモンド薄膜の少なくとも一部を露出させるように設けられており、
    飛行時間型二次イオン質量分析により前記ダイヤモンド薄膜の露出面を測定した際における、分子量が100以上である有機物のイオン強度の単位面積あたりの積分値Bが、1.2×10cts/sec以下であり、分子量が100未満である有機物のイオン強度の単位面積あたりの積分値B が、1.9×10 cts/sec以上である、電気化学センサ。
  2. 前記積分値Bに対する前記積分値Bの比が0.3以下である、請求項1に記載の電気化学センサ。
  3. 前記ダイヤモンド薄膜の前記露出面は酸素終端されている、請求項1又は2に記載の電気化学センサ。
  4. 前記絶縁性樹脂の表面には、酸化層が形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気化学センサ。
  5. 基板と、
    基材及びダイヤモンド薄膜を有する電極チップと、
    前記電極チップが有する導電性部材の少なくとも一部の表面を封止する絶縁性樹脂と、を備え、
    前記絶縁性樹脂は、前記ダイヤモンド薄膜の少なくとも一部を露出させるように設けられており、
    飛行時間型二次イオン質量分析により前記ダイヤモンド薄膜の露出面を測定した際における、分子量が100以上である有機物のイオン強度の単位面積あたりの積分値B が、1.2×10 cts/sec以下であり、
    前記ダイヤモンド薄膜の前記露出面は酸素終端されている、電気化学センサ。
  6. 基板と、
    基材及びダイヤモンド薄膜を有する電極チップと、
    前記電極チップが有する導電性部材の少なくとも一部の表面を封止する絶縁性樹脂と、を備え、
    前記絶縁性樹脂は、前記ダイヤモンド薄膜の少なくとも一部を露出させるように設けられており、
    飛行時間型二次イオン質量分析により前記ダイヤモンド薄膜の露出面を測定した際における、分子量が100以上である有機物のイオン強度の単位面積あたりの積分値B が、1.2×10 cts/sec以下であり、
    前記絶縁性樹脂の表面には、酸化層が形成されている、電気化学センサ。
  7. タンパク質を含む被験液を前記ダイヤモンド薄膜に接触させて用いられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の電気化学センサ。
  8. ヒトを含む動物の体液、血液、又は尿を含む被験液を前記ダイヤモンド薄膜に接触させて用いられる、請求項1~7のいずれか1項に記載の電気化学センサ。
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