JP7302111B2 - 電気化学センサ用電極 - Google Patents

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Description

本発明は、電気化学センサユニット、電気化学センサ用電極および電気化学センサ用電極の製造方法に関する。
近年、電気化学センサユニットの作用電極として、ダイヤモンド膜を有する電極を用いることが提案されている。導電性を有するダイヤモンドは、電位窓が広く、バックグラウンド電流も小さいことから、種々の物質の電気化学的検出を高感度で行うことができる。このため、導電性を有するダイヤモンドは、電気化学センサ用電極の電極材料として注目を集めている。
特開2007-292717号公報 特開2013-208259号公報
本発明の目的は、ダイヤモンド膜を備える電気化学センサ用電極を有する電気化学センサユニットのセンサ性能をさらに向上させることにある。
本発明の一態様によれば、
作用電極と、
対電極と、を備え、
前記作用電極は、前記作用電極と前記対電極との間に電圧を印加した際に表面で酸化還元反応を生じさせるダイヤモンド膜と、ダイヤモンドとは異なる材料で形成され、前記ダイヤモンド膜を支持する支持体と、を有し、
前記作用電極を側方から見たとき、前記支持体の前記ダイヤモンド膜と接する面とは反対側の面の幅が前記ダイヤモンド膜の幅よりも小さく、
前記ダイヤモンド膜の側から前記作用電極に液状の被験試料が供給される電気化学センサユニット及びその関連技術が提供される。
本発明によれば、ダイヤモンド膜を備える電気化学センサ用電極を有する電気化学センサユニットのセンサ性能をさらに向上させることが可能となる。
本発明の一実施形態にかかる電気化学センサユニットの分解斜視図の一例を示す図である。 本発明の一実施形態にかかる電気化学センサ用電極の断面構造の一例を示す図である。 図2に示す電気化学センサ用電極の平面構造の一例を示す図である。 ダイヤモンド膜を成長させる際に用いられる気相成長装置の概略図である。 (a)はダイヤモンド膜と基板との積層体の断面図であり、(b)は図5(a)に示す積層体の裏面に凹状の溝(スクライブ溝)を形成した様子を示す断面図であり、(c)は凹状の溝に沿ってダイヤモンド膜を破断して電気化学センサ用電極を取得する様子を示す模式図である。 吸水部材が液状の被験試料を吸収して保持した際の要部の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態の変形例にかかる電気化学センサ用電極の断面構造の一例を示す図である。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態として、液状の被験試料中の所定成分の濃度を三電極法により測定する電気化学センサユニットについて、図1を参照しながら説明する。本実施形態では、尿中の尿酸の濃度を三電極法により測定する電気化学センサユニットを例に説明する。
(1)電気化学センサユニットの構成
図1に示すように、本実施形態にかかる電気化学センサユニット100(以下、「センサ100」とも称する)は、作用電極11と対電極(対向電極)12と参照電極13とで構成される電極群10と、電極群10を支持する支持部材20と、作用電極11、対電極12、および参照電極13にそれぞれ接続された第1~第3の配線31~33と、電極群10を覆うように配設された吸水部材40と、第1~第3の配線31~33(の一部)を覆うように配設された防水部材50と、を備えている。センサ100は例えば使い捨て可能(ディスポーサブル)に構成されている。
作用電極11は、液状の被験試料(例えば尿)が接触している状態で例えば後述の電圧印加部を有する計測機構を用いて作用電極11と対電極12との間に所定の電圧を印加した際に、表面で尿中の所定成分(例えば尿酸)の酸化還元反応(電気化学反応)を生じさせるダイヤモンド膜を有している。作用電極11の詳細については後述する。
対電極12は、上述の酸化還元反応により生じた電流を作用電極11に流すための電極である。対電極12としては、白金(Pt)、金(Au)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)等の金属で形成された電極やカーボン電極等を用いることができる。
参照電極13は、作用電極11の電位を決定する際の基準となる電極である。参照電極13としては例えば銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極等を用いることができる。また、参照電極13としては、標準水素電極、可逆水素電極、パラジウム・水素電極、飽和カロメル電極等を用いることもできる。また、参照電極13としては、Pt、Au、Cu、Pd、Ni、Ag等の金属で形成された電極やカーボン電極等を用いることもできる。
本明細書では、作用電極11、対電極12、および参照電極13をまとめて電極群10と称することもある。
センサ100は、電極群10を支持する支持部材20を備えている。電極群10は、支持部材20の同一面上に配設されている。支持部材20は、シート状(板状)の基材として構成されており、取り扱いやすい(例えば被験者が持ちやすい)大きさ及び形状(例えば長方形状(短冊状)の平面形状)を有している。支持部材20は、長手形状部(主部)と、凸状部(後述する計測機構に接続される部分)と、を有していてもよい。支持部材20は、センサ100として使用することができる物理的(機械的)強度、例えば被験試料が付着した場合であっても折れ曲がったり、破損したりすることがない強度を有している。支持部材20は、例えば絶縁性を有する複合樹脂、セラミック、ガラス、プラスチック、可燃性材料、生分解性材料、不織布または紙等の絶縁性材料で形成することができる。支持部材20はフレキシブル基材であることが好ましい。支持部材20としては、例えばガラスエポキシ樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)で形成された基材を好適に用いることができる。また、支持部材20としては、電極群10を支持する面が絶縁性を有するように構成された半導体基材や金属基材を用いることもできる。支持部材20(の長手形状部)の厚さは例えば200μm以上1mm以下、幅は例えば6mm以上12mm以下、長さは例えば95mm以上115mm以下とすることができる。支持部材20が凸状部を有する場合、この凸状部の長さは例えば5mm以上15mm以下とすることができ、幅は、支持部材20の長手形状部の幅よりも2mmから4mm狭くすることができる。
作用電極11には、第1の配線(導体配線)31の一端部が接続されており、対電極12には、第2の配線(導体配線)32の一端部が接続されており、参照電極13には、第3の配線(導体配線)33の一端部が接続されている。第1の配線31は、ACFフィルム等の異方性導電フィルムやはんだ等の導電性ペースト、あるいは金属等を介して、作用電極11に電気的に接続されている。第2,第3の配線32,33は、それぞれ、対電極12、参照電極13と同一の材料で一体に形成されている。なお、第2,第3の配線32,33は、対電極12、参照電極13と異なる材料で形成されていてもよく、この場合は、第1の配線31と同様に、異方性導電フィルムや導電性ペースト、あるいは金属を介して、対電極12、参照電極13にそれぞれ電気的に接続することができる。
第1~第3の配線31~33は、支持部材20の電極群10が配設された面と同一の面上にそれぞれ配設されている。第1~第3の各配線31~33は、支持部材20の一端部まで達するように配設されていることが好ましい。第1~第3の各配線31~33は、例えばCuを用いて形成することができる。第1~第3の各配線31~33は、Cu以外に、Au、Pt、Ag、または、Pd等の各種貴金属、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、Ni、クロム(Cr)、チタン(Ti)等の各種金属、これらの貴金属または金属を主成分とする合金等の上記貴金属の酸化物、金属酸化物等を用いて形成することもできる。また、第1~第3の各配線31~33は、カーボンを用いて形成することもできる。第1~第3の各配線31~33は、例えば支持部材20上に予め貼付された貴金属や金属の膜(例えばCu膜)のうちレジストで覆われていない不要な部分をエッチングにより除去して必要な導体パターンを形成するサブトラクティブ法を用いて形成することができる。第1~第3の各配線31~33には、サブトラクティブ法により形成した導体パターンに、例えばAuメッキやAgメッキが施されていてもよい。第1~第3の各配線31~33は、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷等の印刷法や、蒸着法等により形成することもできる。
センサ100は、供給された尿を吸収して保持しつつ、保持した尿を電極群10の表面に接触させる吸水部材40を備えている。吸水部材40は例えばシート状に形成されている。吸水部材40の厚さは例えば0.01mm以上0.3mm以下とすることができる。
吸水部材40は電極群10を覆うように支持部材20上に配設されている。吸水部材40は、尿を吸収した際に電極群10の表面に接触するように配設されている。なお、吸水部材40は、尿を吸収していない状態では電極群10の表面に接触していなくてもよい。また、吸水部材40は、吸収した尿を第1~第3の配線31~33に接触させないように配設されていることが好ましい。
吸水部材40は、配設された際に電極群10に対応する位置に、尿を吸収して保持する吸収領域41を有している。吸水部材40は、吸収領域41を囲うように設けられた尿を吸収しない非吸収領域42を有していることが好ましい。これにより、電極群10に接触しない余分な尿を吸水部材40に染み込ませないようにすることができる。また、尿が吸水部材40を介して第1~第3の配線31~33に接触することを確実に防止することもできる。なお、吸水部材40が、吸収した尿を電極群10の表面に接触させるとともに第1~第3の配線31~33に接触させないように構成(配設)されていれば、吸水部材40の全てが吸収領域41であってもよい。
吸収領域41は、例えば、天然繊維、パルプ繊維、再生繊維、合成繊維等を用いて形成することができる。具体的には、吸収領域41は、ろ紙、メンブレンフィルタ、ガラスフィルタ、又はろ布等を用いて形成することができる。吸収領域41は、上記の1つまたは複数の繊維からなる集合体に吸水性ポリマ粒子等を保持させることで形成することもできる。吸収領域41は、スポンジや珪藻土等の多孔質材料、不織布等の繊維材料等を用いて形成してもよい。
非吸収領域42は撥水性または不透水性の材料で形成することができる。非吸収領域42は、例えばプラスチック、シリコン樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、ゴム等を用いて形成することができる。
センサ100は、第1~第3の配線31~33に尿が付着することを防止する防水部材50を備えている。防水部材50は例えばシート状に形成されている。防水部材50は、支持部材20の電極群10が配設された面と同一の面上に、第1~第3の配線31~33(の一部)を覆うように設けられている。防水部材50の厚さは例えば0.01mm以上0.3mm以下とすることができる。
防水部材50は、例えば電極群10上に位置する吸水部材40(の吸収領域41)を露出させるように構成されている。例えば、防水部材50は、配設された際に少なくとも吸収領域41に対応する位置に形成された開口51を有している。
また、防水部材50は、第1~第3の配線31~33が有する2つの端部のうち作用電極11、対電極12および参照電極13に接続された端部とは異なる他の端部を、支持部材20の一端部でそれぞれ露出させるように構成されている。例えば、防水部材50は、長手方向における長さL50が支持部材20の長手方向における長さL20よりも短くなる(L50<L20)ように形成されている。センサ100を用いて尿酸の濃度を測定する際には、センサ100とは別体として構成された計測機構の接続部が第1~第3の配線31~33の露出された他の端部に接続される。第1~第3の配線31~33の他の端部は、上述の計測機構の接続部が第1~第3の配線31~33の他の端部に接続された際に計測機構(の接続部)で覆われるように露出されている。
上述のように、防水部材50は、支持部材20の電極群10が配設された面の所定領域を覆うように構成されている。この所定領域とは、例えば、電極群10上に位置する吸水部材40を露出させる領域以外の領域であって、上述の計測機構の接続部が接続された状態(例えば計測機構が挟持された状態)で尿が接触し得る領域である。
防水部材50は、第1~第3の配線31~33に尿が付着することを防止する観点から、不透水性であって絶縁性を有する材料で形成されていることが好ましい。例えば、防水部材50は、プラスチック、シリコン樹脂、およびテフロン(登録商標)樹脂、ゴム等を用いて形成することができる。
防水部材50と第1~第3の配線31~33の間には、第1~第3の配線31~33に尿が付着することを防止する防水部材52が設けられていてもよい。防水部材52は、例えば防水部材50と同様の材料を用いてフィルム状に形成されている。防水部材52は、第1~第3の配線31~33の露出部以外の領域を覆うように、すなわち、第1~第3の配線31~33の露出部以外の領域を密封するように支持部材20上に設けられている。これにより、第1~第3の配線31~33に尿が付着することを確実に防止することができる。なお、防水部材52は、第1~第3の配線31~33の露出部以外の領域を覆うように設けられていることが好ましいが、少なくとも第1の配線31の露出部以外の領域を覆うように設けられていれば良い。また、吸水部材40の非吸収領域42や防水部材50により、第1~第3の配線31~33に尿が付着することを確実に防止することができれば、防水部材52は設けられていなくてもよい。
(2)電気化学センサユニットを用いた尿酸濃度の測定方法
上述の電気化学センサユニット100を用い、電気化学測定を行って尿中の尿酸濃度を測定する方法について説明する。
電気化学センサユニット100を用いた尿酸濃度測定方法では、
第1~第3の配線31~33の他の端部に計測機構の接続部を接続した後、吸水部材40を介して電極群10に尿を供給するステップ(ステップ1)と、
電極群10の表面に尿が接触した状態で、作用電極11と対電極12との間に電圧を印加して作用電極11が有するダイヤモンド膜の表面で尿酸の酸化還元反応(電気化学反応)を生じさせ、尿酸の酸化還元反応によって流れる電流値を測定するステップ(ステップ2)と、
電極群10の表面に尿が接触した状態で、作用電極11と参照電極13との間の電位差(電圧の差)を測定するステップ(ステップ3)と、
測定した電流値および電位差に基づいて尿酸濃度を定量するステップ(ステップ4)と、を実施する。
(ステップ1)
センサ100の第1~第3の配線31~33の他の端部(防水部材50から露出している第1~第3の配線31~33の部分)に、センサ100とは別体として構成された計測機構の接続部を接続する。計測機構は、第1~第3の配線31~33の他の端部を支持部材20と一緒に挟むだけで、計測機構の接続部と第1~第3の配線31~33とを電気的に接続できるように構成されている。計測機構は、第1~第3の配線31~33の他の端部(凸状部)が挿入される挿入口(スロット)を有し、この挿入口に第1~第3の配線31~33の他の端部(凸状部)を挿入するだけで、計測機構の接続部と第1~第3の配線31~33とを電気的に接続できるように構成されていてもよい。
計測機構は、電圧印加部、電流測定部、電位差測定部、電位調整部、尿酸濃度算出部、表示部、無線通信部、記憶部を有している。計測機構が有する上記各部は、それぞれデータ交換可能なように互いに接続されている。電圧印加部は、接続部が第1~第3の配線31~33の他の端部に接続されて所定の回路が形成されたら、作用電極11と対電極12との間に電圧を印加するように構成されている。電流測定部は、尿酸の酸化還元反応により生じた電流を測定するように構成されている。電位差測定部は、作用電極11と参照電極13との間の電位差(電圧の差)を測定するように構成されている。電位調整部は、電位差測定部により測定した電位差に基づき、参照電極13の電位を基準として作用電極11の電位を一定に維持するように構成されている。尿酸濃度算出部は、電流測定部により測定した電流値に基づいて尿酸濃度を算出(定量)するように構成されている。表示部は、尿酸濃度算出部により算出した尿酸濃度を表示するように構成されている。無線通信部は、無線で接続された外部装置(コンピュータ等)に、測定した電流の値や算出した尿酸濃度等のデータを送信するように構成されている。記憶部には、電圧印加手順、電流値測定手順、電位調整手順、尿酸濃度算出手順、尿酸濃度表示手順、データ送信手順等が記載されたプログラム等が格納されている。これらのプログラムを実行することで上記各手順が実行される。また、計測機構は、測定した電流値や算出した尿酸濃度等を記憶部に記憶させるように構成されていてもよい。
センサ100に計測機構を接続したら、センサ100に尿を供給する。例えば、センサ100の防水部材50の開口51(防水部材50の開口51から露出している吸水部材40)に向けて被験者が尿をかける。
(ステップ2)
センサ100に尿が供給されると、尿は吸水部材40に吸収される。吸水部材40に吸収された尿は、吸水部材40の吸収領域41を透過して電極群10の表面に到達し、電極群10の表面に尿が接触する。
電極群10の表面に尿が接触した状態で、計測機構により作用電極11と対電極12との間に電圧を印加することで、作用電極11が有するダイヤモンド膜の表面上で尿酸の酸化還元反応が生じる。尿酸の酸化還元反応が生じることにより、作用電極11内を電流(以下、「反応電流」とも称する)が流れる。この反応電流の値を、計測機構を用いて例えばサイクリックボルタンメトリーにより測定する。サイクリックボルタンメトリー条件としては、電圧範囲:0~1V、掃引速度:0.1~1V/sが例示される。反応電流の値は、スクエアウェーブボルタンメトリー(矩形波ボルタンメトリー)、微分パルスボルタンメトリー、ノーマルパルスボルタンメトリー、交流ボルタンメトリー等の手法を用いて測定してもよい。測定した反応電流の値を、無線通信部を介してコンピュータとして構成された外部装置に送信してもよい。
(ステップ3)
計測機構を用い、上述のステップ2を行っている際の作用電極11と参照電極13との間の電位差(電圧の差)を測定する。
(ステップ4)
ステップ2で測定した反応電流の値から、例えばサイクリックボルタモグラムを作成し、酸化ピーク電流値を取得する。取得した酸化ピーク電流値およびステップ3で測定した電位差の値に基づいて、計測機構により尿酸濃度を算出する(定量する)。反応電流の値は、尿中の尿酸濃度と相関関係にあることを本願発明者等は確認済みである。したがって、反応電流の値と尿酸濃度との関係を予め求めておけば、測定した反応電流の値に基づいて尿酸濃度を定量することができる。続いて、算出した尿酸濃度を表示部に表示する。なお、算出した尿酸濃度を、無線通信部を介してコンピュータとして構成された外部装置に送信してもよい。
(3)電気化学センサ用電極の構成
本実施形態にかかる電気化学センサ用電極について、図2および図3を用いて説明する。本実施形態にかかる電気化学センサ用電極200(以下、「電極200」とも称する)は、上述のセンサ100における作用電極11として好適に用いることができる。以下では、電極200が上述の作用電極11として用いられる例について説明する。
図2に示すように、電極200は、尿が接触した状態で所定の電圧を印加した際に表面で尿酸の酸化還元反応を生じさせるダイヤモンド膜210と、ダイヤモンド膜210を支持する支持体220と、を有している。上述のセンサ100において、電極200は、ダイヤモンド膜210の側から尿が供給されるように、すなわちダイヤモンド膜210が上述の吸水部材40と接触するように、支持部材20上に配設されることとなる。
ダイヤモンド膜210は多結晶膜である。ダイヤモンド膜210は、ホウ素(B)等の元素を例えば1×1019cm-3以上1×1022cm-3以下の濃度で含むことが好ましい。ダイヤモンド膜210中のB濃度は例えば二次イオン質量分析法(SIMS)で測定することができる。ダイヤモンド膜210は、熱フィラメント(ホットフィラメント)CVD法、プラズマCVD法等の化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法、イオンビーム法やイオン化蒸着法等の物理蒸着(Phisical Vapor Deposition:PVD法)等を用いて成長させる(合成する)ことができる。熱フィラメントCVD法を用いてダイヤモンド膜210を成長させる場合、フィラメントとして例えばタングステンフィラメントを用いることができる。ダイヤモンド膜210の厚さは例えば0.5μm以上10μm以下、好ましくは2μm以上4μm以下とすることができる。
ダイヤモンド膜210の側面は、電極200を作製する際に後述の凹状の溝222に沿ってダイヤモンド膜210を破断させることで生じた破断面を有している。
ダイヤモンド膜210の支持体220と接する面の縁部には、変質層211が形成されている。変質層211は、ダイヤモンド膜210の支持体220と接する面の縁部の全周にわたって形成されていることが好ましい。ここでいう「変質層」とは、ダイヤモンド膜210(ダイヤモンドの結晶構造)が変質(変性)することで形成された層をいう。例えば、変質層211は、レーザ照射によりダイヤモンド膜210中のSP結合がSP結合に変わることで形成された層(すなわちダイヤモンド膜210が黒鉛化(グラファイト化)することで形成された層)や、機械加工、エッチング液の接触、プラズマ照射、イオンビーム照射等によってダイヤモンド膜210が変質することで形成された層等のことである。
支持体220は、ダイヤモンドとは異なる材料(異種材料)を用いて形成されている。支持体220としては、例えば単結晶シリコン(Si)基板を用いることができる。また、支持体220としては、多結晶Si基板、炭化シリコン(SiC)基板、ステンレス(SUS)等の金属材料により形成された金属基板を用いることもできる。支持体220の厚さは例えば200μm以上1000μm以下とすることができる。
支持体220は、電極200(ダイヤモンド膜210と支持体220との積層体)を側方から見たとき、支持体220のダイヤモンド膜210と接する面とは反対側の面(以下、「第2の面」とも称する)Sの幅Wが、ダイヤモンド膜210の幅Wよりも小さくなる(W<W)ように構成されている。すなわち、支持体220は、第2の面Sの幅Wがダイヤモンド膜210の幅Wよりも小さい側面を有している。支持体220が上記構成を有することから、支持体220の第2の面Sの平面積はダイヤモンド膜210の平面積よりも小さくなる。
また、電極200を側方から見たとき、第2の面Sの幅Wが支持体220のダイヤモンド膜210と接する面(以下、「第1の面」とも称する)Sの幅Wよりも小さいことが好ましい。すなわち、第2の面Sの平面積は第1の面Sの平面積よりも小さいことが好ましい。
また、電極200を側方から見たとき、第1の面Sの幅Wがダイヤモンド膜210の幅Wと同程度であることが好ましい。なお、ここでいう「同程度」とは、第1の面Sの幅Wとダイヤモンド膜210の幅Wとが完全に同一である場合の他、これらの差が100μm以内である場合も含むものとする。第1の面Sの幅Wはダイヤモンド膜210の幅Wよりもわずかに小さいことがより好ましい。
図3に電極200の平面図(上面図)を示すように、第1の面Sおよび第2の面Sの平面形状は例えば正方形であり、支持体220は4つの側面を有している。支持体220が有する4つの側面の全てが上記構成を有することが好ましい。すなわち、支持体220が有する全ての側面において、第2の面Sの幅Wがダイヤモンド膜210の幅Wよりも小さいことが好ましく、ダイヤモンド膜210の幅Wおよび第1の面Sの幅Wよりも小さいことがより好ましい。
支持体220の各側面は、第1の面Sから第2の面Sに向かって漸次なだらかに湾曲している傾斜面である。支持体220の各側面は例えば平坦な傾斜面であってもよい。
図2に示すように、支持体220の側面は、電極200を作製する際に後述する凹状の溝222を形成することで生じたスクライブ面又はエッチング面の少なくともいずれかを有している。支持体220の側面は、スクライブ面又はエッチング面の少なくともいずれか(のみ)からなることが好ましい。
凹状の溝222は、例えばレーザ加工法、機械加工法、エッチングのような公知の手法を用いて形成することが可能である。ここでいう「スクライブ面」とは、例えばレーザスクライブ(レーザ加工)を行うことで形成された融解面(レーザ加工面)や、ダイヤモンドスクライバ等を用いたスクライブ(機械加工)を行うことで形成された切削面(機械加工面)を含む面のことである。また、ここでいう「エッチング面」とは、ウェットエッチング或いはプラズマやイオンビームを用いたエッチングにより形成された面のことである。
図3に示すように、支持体220は、電極200をダイヤモンド膜210の側から見たときにダイヤモンド膜210の外周縁からはみ出ないことが好ましい。すなわち、支持体220の第2の面Sの外周縁が第1の面S(ダイヤモンド膜210)の外周縁の内側に位置し、かつ、第1の面Sの外周縁がダイヤモンド膜210の外周縁と重なっているか又はダイヤモンド膜210の外周縁の内側に位置することが好ましい。図3は、第1の面Sの外周縁がダイヤモンド膜210の外周縁と重なっている例を示している。また、第1の面Sの中心位置と第2の面Sの中心位置とダイヤモンド膜210の中心位置とが、電極200の厚さ方向において一致していることがより好ましい。
(4)電気化学センサ用電極の製造方法
本実施形態にかかる電気化学センサ用電極200の製造方法について、図4および図5を用いて説明する。
(基板の準備工程)
まず、ダイヤモンドとは異なる材料(異種材料)で形成され、平面視で例えば円形の外形を有する基板(円板状の基板)220Aを準備する。例えば、単結晶Siからなる円板状の基板220Aを準備する。基板220Aは、電極200において支持体220となる。
基板220Aを準備したら、基板220Aが有する2つの主面のうちいずれか一方の主面(以下、「第1の主面221」とも称する)に、種付け(シーディング)処理や、傷付け(スクラッチ)処理等を施す。種付け処理とは、例えば数nm~数十μm程度のダイヤモンド粒子(好ましくはダイヤモンドナノ粒子)を分散させた溶液(分散液)を基板220Aの第1の主面221上に塗布したり、分散液中に基板220Aを浸漬したりすることにより、ダイヤモンド粒子を基板220Aの第1の主面221上に付着させる処理をいう。傷付け処理とは、数μm程度のダイヤモンド砥粒(ダイヤモンドパウダー)等を用いて第1の主面221に引っかき傷(スクラッチ)を付ける処理をいう。これにより、基板220A上にダイヤモンド膜210を成長させることができるようになる。
(ダイヤモンド膜の成長工程(積層体の作製工程))
基板220Aを用意したら、例えばタングステンフィラメントを用いた熱フィラメントCVD法により、基板220Aの第1の主面221上にダイヤモンド膜210を成長させる。
ダイヤモンド膜210の成長は、例えば図4に示すような熱フィラメントCVD装置300を用いて行うことができる。熱フィラメントCVD装置300は、石英等の耐熱性材料からなり、成長室301が内部に構成された気密容器303を備えている。成長室301内には、基板220Aを保持するサセプタ308が設けられている。サセプタ308は、回転機構316が有する回転軸315に接続されており、回転自在に構成されている。気密容器303の側壁には、成長室301内へ窒素(N)ガスを供給するガス供給管332aと、水素(H)ガスを供給するガス供給管332bと、炭素含有ガスとしてのメタン(CH)ガス又はエタン(C)ガスを供給するガス供給管332cと、ホウ素含有ガスとしてのトリメチルボロン(B(CH、略称:TMB)ガス、トリメチルボレート(B(OCH)ガス、トリエチルボレート(B(CO))ガス、又はジボラン(B)ガスを供給するガス供給管332dと、が接続されている。ガス供給管332a~332dには、ガス流の上流側から順に、流量制御器341a~341d、バルブ343a~343dがそれぞれ設けられている。ガス供給管332a~332dの下流端には、ガス供給管332a~332dから供給された各ガスを成長室301内に供給するノズル349a~349dがそれぞれ接続されている。気密容器303の他の側壁には、成長室301内を排気する排気管330が設けられている。排気管330にはポンプ331が設けられている。気密容器303内には、成長室301内の温度を測定する温度センサ309が、それぞれ設けられている。また、気密容器303内にはタングステンフィラメント310と、タングステンフィラメント310を加熱する一対の電極(例えば銅電極)311a,311bとが、それぞれ設けられている。熱フィラメントCVD装置300が備える各部材は、コンピュータとして構成されたコントローラ380に接続されており、コントローラ380上で実行されるプログラムによって後述する処理手順や処理条件が制御されるように構成されている。
ダイヤモンド膜210の成長は、上述の熱フィラメントCVD装置を用い、例えば以下の処理手順で実施することができる。まず、基板220Aを、気密容器303内へ投入(搬入)し、サセプタ308上に保持する。そして、成長室301内の排気を実施しながら、成長室301内へHガス(又はNガスとHガスとの混合ガス)を供給する。また、電極311a,311b間に電流を流してタングステンフィラメント310の加熱を開始する。タングステンフィラメント310が加熱されることで、サセプタ308上に保持した基板220Aも加熱されることとなる。タングステンフィラメント310が所望の温度となり、成長室301内が所望の成長圧力に到達し、また成長室301内の雰囲気が所望の雰囲気となったら、成長室301内へCHガス、TMBガスを供給する。成長室301内に供給されたCHガス、TMBガスが、高温に加熱されたタングステンフィラメント310を通過する際に分解(熱分解)されて、メチルラジカル(CH )等の活性種が生成される。この活性種等が基板220A上に供給されてダイヤモンド膜が成長する。
ダイヤモンド膜210を成長させる際の条件としては、下記の条件が例示される。
基板温度:600℃以上1000℃以下、好ましくは650℃以上800℃以下
フィラメント温度:1800℃以上2500℃以下、好ましくは2000℃以上2200℃以下
成長室内圧力:5Torr以上50Torr以下、好ましくは10Torr以上35Torr以下
CHガスに対するTMBガスの分圧の比率(TMB/CH):0.003%以上0.8%以下
ガスに対するCHガスの比率(CH/H):2%以上5%以下
これにより、図5(a)に断面概略図で示すような基板220Aとダイヤモンド膜210との積層体230が作製される。なお、ダイヤモンドとは異なる材料で形成された基板220A上にダイヤモンド膜210を成長させることで、成長させたダイヤモンド膜210は多結晶ダイヤモンド膜となる。また、上述の条件下でダイヤモンド膜210を成長させることで、ダイヤモンド膜210の厚さは例えば0.5μm以上10μm以下、好ましくは2μm以上4μm以下となり、ダイヤモンド膜210中のB濃度は例えば1×1019cm-3以上1×1022cm-3以下となる。
(凹状の溝の形成工程)
ダイヤモンド膜210の成長が完了したら、図5(b)に示すように、積層体230の裏面側(基板220Aの第1の主面221とは反対側の主面側)から凹状の溝222(例えばスクライブ溝)を形成する。凹状の溝222は、例えばレーザスクライブにより形成することができる。凹状の溝222は、基板220Aを厚さ方向に貫通し、ダイヤモンド膜210まで達するように設ける。これにより、ダイヤモンド膜210の基板220Aと接する面にもレーザが照射されることとなり、ダイヤモンド膜210の基板220Aと接する面に変質層211が形成される。
(ダイヤモンド膜の破断工程)
凹状の溝222を形成したら、図5(c)に示すように、凹状の溝222に沿ってダイヤモンド膜210を破断する。このとき、凹状の溝222に沿ってダイヤモンド膜210を外方に折り曲げて破断することが好ましい。これにより、ダイヤモンド膜210と支持体220とを有する上述の電極200が得られる。
(5)本実施形態により得られる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
(a)電気化学センサユニット100の作用電極11として、ダイヤモンド膜210と接する面とは反対側の面(第2の面S)の幅Wがダイヤモンド膜210の幅Wよりも小さい支持体220を有する電極200を用いることで、ダイヤモンド膜210の側から尿が供給された際、支持体220の側面に尿が接触(付着)しにくくなる。例えば、図6に示すように、センサ100に尿が供給されて吸水部材40が尿を吸収して保持して膨張した場合であっても、吸水部材40が支持体220の側面に接触しにくくなる。このため、支持体220の側面で意図しない酸化還元反応が生じることを抑制できる。これにより、作用電極11内を流れる電流に、尿酸の酸化還元反応により生じた電流以外の電流が混ざることを抑制できる。例えば、作用電極11内を流れる電流を、尿酸の酸化還元反応により生じた電流のみとすることができる。その結果、電気化学センサユニット100のセンサ性能を向上させることができる。
(b)作用電極11として、上述のように支持体220の側面に尿が接触しにくい電極200を用いることで、支持体220の側面に尿が付着することを防止するための層を設ける必要がなくなる。
(c)支持体220の第1の面Sの外周縁がダイヤモンド膜210の外周縁と重なっているか又はダイヤモンド膜210の外周縁の内側に位置することで、吸水部材40を介して作用電極11に尿が接触した際、支持体220の第1の面S上に尿が接触することを抑制することができる。その結果、支持体220の第1の面S上で意図しない酸化還元反応が生じることを抑制できる。これにより、作用電極11内を流れる電流に、尿酸の酸化還元反応により生じた電流以外の電流が混ざることを確実に抑制できることから、電気化学センサユニット100のセンサ性能を確実に向上させることができる。
(e)基板220Aの第1の主面221上にダイヤモンド膜210を成長させて積層体230を作製した後、積層体230の裏面側から凹状の溝222を形成し、凹状の溝222に沿ってダイヤモンド膜210を破断して電極200を作製することで、破断時にダイヤモンド膜210が基板220Aから剥離を抑制することができる。例えば、作製した電極200において、支持体220から剥離しているダイヤモンド膜210の領域を例えば5%以下とすることができる。これにより、電極200の寿命を長くするとともに、この電極200を用いた電気化学センサユニット100のセンサ性能を向上させることができる。
(f)また、上記手順で電極200を作製することで、高硬度のダイヤモンド膜210を有する場合であっても、所定形状の電極200を容易に作製することが可能となる。
なお、基板220Aとダイヤモンド膜210との積層体230の表面側(ダイヤモンド膜210の側)から凹状の溝222を形成することも考えられる。しかしながら、ダイヤモンド膜210は非常に硬い膜であるため、ダイヤモンド膜210の側からレーザ加工法や機械加工法等により凹状の溝222を形成することは難しい。このため、この場合、所定形状の電極200を作製することが難しい。
(g)電極200を作製する際、基板220Aを厚さ方向に貫通し、ダイヤモンド膜210まで達するように凹状の溝222を形成することで、ダイヤモンド膜210の基板220Aと接する面に変質層211を形成することができる。変質層211は、ダイヤモンド膜210よりも硬度が低く脆いことから、変質層211を形成することで、ダイヤモンド膜210の破断制御性を向上させることができる。例えば、ダイヤモンド膜210を破断する際、ダイヤモンド膜210を容易かつ正確に破断することができる。
(6)変形例
本実施形態は、以下の変形例のように変形することができる。
図7に示すように、電極200において、支持体220の側面のうちダイヤモンド膜210と接する面(第1の面S)に近い側には破断面が形成されていてもよい。すなわち、支持体220の側面は、凹状の溝222を形成することで生じたスクライブ面又はエッチング面の少なくともいずれかと、凹状の溝222に沿って基板220Aを破断させることで生じた破断面と、を有していてもよい。なお、支持体220の破断面は劈開面を含む場合がある。本変形例では、ダイヤモンド膜210の支持体220と接する面には変質層211は形成されていない。このような電極200は、上述の凹状の溝の形成工程において、凹状の溝222が、基板220Aを厚さ方向に貫通することがないように(ダイヤモンド膜210まで達しないように)形成することで作製することができる。この場合、基板220Aの最薄部の厚さが例えば10μm以上80μm以下となるように、凹状の溝222を形成することが好ましい。これにより、変質層211の形成を抑制しつつ、ダイヤモンド膜210の破断制御性の低下を抑制することが可能となる。
本変形例では、ダイヤモンド膜210に変質層211が形成されていないことから、変質層211が形成されている場合よりも支持体220とダイヤモンド膜210との密着性を高めることができる。このため、電極200の寿命をより長くするとともに、この電極200を用いたセンサ100のセンサ性能を確実に向上させることができる。また、変質層211が形成されていないことで、複数の電極200間でダイヤモンド膜210の品質(例えば電気特性)がばらつくことを抑制することもできる。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。但し、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
上述の実施形態では、液状の被験試料である尿中の尿酸濃度を測定する例について説明したが、これに限定されない。液状の被験試料は、尿以外に、血液、涙、鼻水、唾液、汗等であってもよい。また、検出成分は、尿酸以外の他の成分であってもよい。サイクリックボルタンメトリーの条件を適宜変更することで、液状の被験試料中の種々の成分(物質)の濃度を測定することができる。
ダイヤモンド膜210上に検出成分に応じた所定の酵素を塗布し、尿酸等の検出成分と酵素とを電気化学反応させて検出成分の濃度を算出するようにしてもよい。
上述の実施形態では、三電極法により液状の被験試料中の所定成分の濃度を測定する例に説明したが、これに限定されない。例えば、液状の被験試料中の所定成分の濃度を二電極法により測定してもよい。この場合、センサ100において、参照電極13および第3の配線33を設けないことを除くその他の点は、上述の実施形態と同様の構造とすることができる。
上述の実施形態では、吸水部材40を介して被験試料を電極群10の表面に供給する例について説明したが、これに限定されない。例えば、センサ100は吸水部材40を有していなくてもよく、電極群10の表面に被験試料を直接供給するように構成されていてもよい。この場合、被験試料は液状の被験試料のほか、霧状の被験試料であってもよい。
上述の実施形態では、センサ100が1つの電極群10を有する例について説明したが、センサ100は複数の電極群10を有していてもよい。複数の電極群10を有する場合、各電極に第1~第3の配線31~33がそれぞれ接続されている。
上述の実施形態では、支持体220の第1の面Sおよび第2の平面形状が正方形である例を説明したが、これに限定されない。支持体220の第1の面Sおよび第2の面Sの平面形状は例えば正方形以外の矩形や円形であってもよい。また、上述の実施形態では、第1の面Sおよび第2の面Sの平面形状が相似形状である例を説明したが、これに限定されない。例えば、支持体220の第1の面Sの平面形状が円形であり、支持体220の第2の面Sの平面形状が正方形である等、第1の面Sおよび第2の面Sは、それぞれ非相似形状であってもよい。
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
(付記1)
本発明の一態様によれば、
作用電極と、
対電極と、を備え、
前記作用電極は、前記作用電極と前記対電極との間に電圧を印加した際に表面で酸化還元反応を生じさせるダイヤモンド膜と、ダイヤモンドとは異なる材料で形成され、前記ダイヤモンド膜を支持する支持体と、を有し、
前記作用電極を側方から見たとき、前記支持体の前記ダイヤモンド膜と接する面とは反対側の面の幅が前記ダイヤモンド膜の幅よりも小さく、
前記ダイヤモンド膜の側から前記作用電極に液状の被験試料が供給される電気化学センサユニットが提供される。
(付記2)
本発明の他の態様によれば、
作用電極と、
対電極と、を備え、
前記作用電極は、前記作用電極と前記対電極との間に電圧を印加した際に表面で酸化還元反応を生じさせるダイヤモンド膜と、ダイヤモンドとは異なる材料で形成され、前記ダイヤモンド膜を支持する支持体と、を有し、
前記支持体の前記ダイヤモンド膜と接する面とは反対側の面の平面積が前記ダイヤモンド膜の平面積よりも小さく、
前記ダイヤモンド膜の側から前記作用電極に液状の被験試料が供給される電気化学センサユニットが提供される。
(付記3)
付記1または2のセンサユニットであって、好ましくは、
前記作用電極を前記ダイヤモンド膜の側から見たとき、
前記支持体の前記ダイヤモンド膜と接する面とは反対側の面の外周縁が前記ダイヤモンド膜の外周縁の内側に位置し、
前記支持体の前記ダイヤモンド膜と接する面の外周縁が前記ダイヤモンド膜の外周縁と重なっているか又は前記ダイヤモンド膜の外周縁の内側に位置する。
(付記4)
付記1~3のいずれか1つのセンサユニットであって、好ましくは、
前記支持体の側面は、前記支持体の前記ダイヤモンド膜と接する面とは反対側の面から凹状の溝を形成することで生じたスクライブ面又はエッチング面の少なくともいずれかを有し、
前記ダイヤモンド膜の側面は、前記凹状の溝に沿って前記ダイヤモンド膜を破断させることで生じた破断面を有する。
(付記5)
付記4のセンサユニットであって、好ましくは、
前記支持体の側面は、前記スクライブ面又は前記エッチング面のいずれか(のみ)からなる。
(付記6)
付記5のセンサユニットであって、好ましくは、
前記ダイヤモンド膜の前記支持体と接する面の縁部には、変質層が形成されている。好ましくは、前記変質層は、前記ダイヤモンド膜の前記支持体と接する面の縁部の全周にわたって形成されている。
(付記7)
付記4のセンサユニットであって、好ましくは、
前記支持体の側面のうち前記ダイヤモンド膜と接する面に近い側には、前記凹状の溝に沿って前記支持体を破断させることで生じた破断面が形成されている。
(付記8)
付記7のセンサユニットであって、好ましくは、
前記ダイヤモンド膜の前記支持体と接する面には、変質層が形成されていない。
(付記9)
付記1~8のセンサユニットであって、好ましくは、
前記支持体は、単結晶シリコンまたは多結晶シリコンからなる。
(付記10)
本発明のさらに他の態様によれば、
電圧を印加した際に表面で酸化還元反応を生じさせるダイヤモンド膜と、
ダイヤモンドとは異なる材料で形成され、前記ダイヤモンド膜を支持する支持体と、を有し、
前記ダイヤモンド膜と前記支持体との積層体を側方から見たとき、前記支持体の前記ダイヤモンド膜と接する面とは反対側の面の幅が前記ダイヤモンド膜と接する面の幅よりも小さく、
前記積層体の前記ダイヤモンド膜の側から液状の被験試料が供給される電気化学センサ用電極が提供される。
(付記11)
本発明のさらに他の態様によれば、
ダイヤモンドとは異なる材料からなる基板を用意する工程と、
前記基板が有する2つの主面のうちいずれか一方の主面上にダイヤモンド膜を形成(成膜)して積層体を作製する工程と、
前記基板の前記ダイヤモンド膜を形成した主面とは反対側の主面から所定形状の凹状の溝を形成する工程と、
前記凹状の溝に沿って、前記ダイヤモンド膜を破断する工程と、を行う電気化学センサ用電極の製造方法が提供される。
(付記12)
付記11の方法であって、好ましくは、
前記凹状の溝を形成する工程では、前記凹状の溝を前記ダイヤモンド膜に達するように形成する。
(付記13)
付記11の方法であって、好ましくは、
前記凹状の溝を形成する工程では、前記凹状の溝を前記ダイヤモンド膜に達しないように形成する。
(付記14)
付記11~13のいずれか1つの方法であって、好ましくは、
前記ダイヤモンド膜を破断する工程では、前記ダイヤモンド膜を、前記凹状の溝に沿って外方に折り曲げて破断する。
100 電気化学センサユニット
11 作用電極
200 電気化学センサ用電極
210 ダイヤモンド膜
220 支持体

Claims (8)

  1. 多結晶ダイヤモンド膜と、
    ダイヤモンドとは異なる材料で形成され、前記多結晶ダイヤモンド膜を支持する支持体と、を有し、
    前記多結晶ダイヤモンド膜と前記支持体との積層体を側方から見たとき、前記支持体の前記多結晶ダイヤモンド膜と接する面とは反対側の面の幅が前記多結晶ダイヤモンド膜と接する面の幅よりも小さい、電気化学センサ用電極。
  2. 多結晶ダイヤモンド膜と、
    ダイヤモンドとは異なる材料で形成され、前記多結晶ダイヤモンド膜を支持する支持体と、を有し、
    前記支持体の前記多結晶ダイヤモンド膜と接する面とは反対側の面の平面積が前記多結晶ダイヤモンド膜と接する面の平面積よりも小さい、電気化学センサ用電極。
  3. 前記多結晶ダイヤモンド膜の平面形状が矩形である、請求項1又は2に記載の電気化学センサ用電極。
  4. 前記多結晶ダイヤモンド膜にはホウ素が1×1019cm-3以上1×1022cm-3以下の濃度で含まれている、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気化学センサ用電極。
  5. 前記支持体は単結晶シリコンからなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気化学センサ用電極。
  6. 前記多結晶ダイヤモンド膜の厚さは0.5μm以上10μm以下であり、
    前記支持体の厚さは200μm以上1000μm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気化学センサ用電極。
  7. 前記多結晶ダイヤモンド膜の前記支持体と接する面の縁部には、変質層が形成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の電気化学センサ用電極。
  8. 前記多結晶ダイヤモンド膜の前記支持体と接する面には、変質層が形成されていない、請求項1~6のいずれか1項に記載の電気化学センサ用電極。
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