JP7276797B2 - 繊維用表面処理剤および繊維製品 - Google Patents
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項1. 少なくとも成分Aと、成分Bと、水とを含有し、フッ素原子を含まない水性乳化分散体であって、
前記成分Aは、単独重合体のガラス転移点が50℃以上である単量体の少なくとも1種を繰り返し単位に有する重合体であり、
前記成分Aは、前記水性乳化分散体中、前記成分Aと前記成分Bの合計100質量%に対して、12~60質量%含まれており、
前記水性乳化分散体において、成分Aを含む分散体の平均粒子径が、3.0μm未満であり、
前記成分Bは、下記疎水性化合物B1、B2、及びB3の少なくとも1種である、繊維用表面処理剤。
疎水性化合物B1:下記一般式(1)で表されるモノエチレン性不飽和単量体bの少なくとも1種を繰り返し単位に有する高分子である重合体
疎水性化合物B2:下記一般式(2)で表される高分子であるシリコーン化合物
疎水性化合物B3:下記一般式(3)で表されるアルコールとポリブロックドイソシアネートを同一粒子中に有する組成物、前記アルコールとポリイソシアネートの反応生成物、および前記アルコールとイソシアネート基と反応しうるブロック剤とポリイソシアネートの反応生成物からなる群より選ばれる少なくとも1種
項2. 前記成分Aにおいて、単独重合体のガラス転移点が50℃以上である前記単量体が、下記一般式(4)で表されるモノエチレン性不飽和単量体aの少なくとも1種である、項1に記載の繊維用表面処理剤。
項3. 前記成分Aにおいて、前記単量体aが、下記一般式(5)で表されるスチレン骨格を有するモノエチレン性不飽和単量体a1、下記一般式(6)で表される環状脂肪族骨格を有するモノエチレン性不飽和単量体a2、および下記一般式(7)で表される他のモノエチレン性不飽和単量体a3からなる群より選ばれる少なくとも1種である、項1または2に記載の繊維用表面処理剤。
項4. 前記成分Aにおいて、前記単量体a1と前記単量体a2と前記単量体a3の合計割合が、55質量%以上である、項3に記載の繊維用表面処理剤。
項5. 前記成分Aの前記重合体を構成する単量体が、(メタ)アクリロイル基およびビニル基のうち少なくとも1種とポリオキシエチレン基を有するモノエチレン性不飽和単量体cをさらに含む、項1~4のいずれかに記載の繊維用表面処理剤。
項6. 前記成分Aの前記重合体を構成する単量体が、水酸基、エポキシ基、アセトアセチル基、カルボニル基、クロロメチル基、アミド基、N-アルコキシメチルアミド基、ブロックドイソシアネート基、オキサゾリン基、カルボキシル基、スルホン酸基、およびアルコキシシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有する架橋性のエチレン性不飽和単量体dをさらに含む、項1~5のいずれかに記載の繊維用表面処理剤。
項7. 前記水性乳化分散体は、前記成分Aと前記成分Bとが同一粒子中に存在している粒子を含んでいる、項1~6のいずれかに記載の繊維用表面処理剤。
項8. 前記水性乳化分散体は、前記成分Aにより構成された粒子と、前記成分Bにより構成された粒子とを含んでいる、項1~7のいずれかに記載の繊維用表面処理剤。
項9. 項1~8のいずれかに記載の繊維用表面処理剤によって繊維表面が処理されてなる、繊維製品。
本発明のフッ素原子を含まない、繊維用表面処理剤は、少なくとも成分Aと、成分Bと、水とを含有し、フッ素原子を含まない水性乳化分散体であって、成分Aは、単独重合体のガラス転移点が50℃以上である単量体の少なくとも1種を繰り返し単位に有する重合体であり、成分Aは、水性乳化分散体中、成分Aと成分Bの合計100質量%に対して、12~60質量%含まれており、水性乳化分散体において、成分Aを含む分散体(成分Aを含んでいる分散粒子)の平均粒子径が、3.0μm未満であり、成分Bは、前記の疎水性化合物B1、B2、及びB3の少なくとも1種であって、必要に応じて、界面活性剤、添加剤を含む水性乳化分散体の形態で提供される。
成分Aは、単独重合体のガラス転移点が50℃以上である単量体の少なくとも1種を繰り返し単位に有する重合体である。以下、成分Aの重合体を構成する単量体について、成分Aに含まれる単量体というように表記することがある。成分Bの重合体を構成する単量体についても、同様である。単独重合体のガラス転移点が50℃以上である単量体の例としては、付加重合しうる単量体であるエチレン性不飽和単量体が挙げられ、1分子中に1個のエチレン性不飽和基を有するモノエチレン性不飽和単量体が好ましい。成分Aの例としては、単独重合体のガラス転移点が50℃以上である下記一般式(4)で表されるモノエチレン性不飽和単量体aの少なくとも1種を繰り返し単位に有する重合体である。
成分Bは、以下の3種から選ばれる疎水性化合物B1、B2、B3の少なくとも1種である。成分Bは、疎水性化合物B1、B2、B3のうち、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。
疎水性化合物B1は、下記一般式(1)で表されるモノエチレン性不飽和単量体bの少なくとも1種を繰り返し単位に有する高分子である重合体である。
疎水性化合物B3は、下記一般式(3)で表されるアルコールとポリブロックドイソシアネートを同一粒子中に有する組成物、前記アルコールとポリイソシアネートの反応生成物、及び前記アルコールとイソシアネート基と反応しうるブロック剤とポリイソシアネートの反応生成物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
以上有する化合物であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ブロック剤としては、例えば、アルコール系化合物、アルキルフェノール系化合物、フェノール系化合物、活性メチレン系化合物、メルカプタン系化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、イミダゾール系化合物、イミダゾリン系化合物、トリアゾール系化合物、カルバミン酸系化合物、尿素系化合物、オキシム系化合物、アミン系化合物、イミド系化合物、イミン系化合物、ピラゾール系化合物、重亜硫酸塩等が挙げられる。中でも、酸アミド系化合物、活性メチレン系化合物、オキシム系化合物、ピラゾール系化合物が好ましく、ε-カプロラクタム、アセチルアセトン、マロン酸ジエチル、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、3-メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール等を好ましく用いることができる。
本発明の繊維用表面処理剤は、水に加えて他の液状媒体を含有していてもよい。水以外の液状媒体としては、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、グリコールエステル、ハロゲン化合物、炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、窒素化合物、硫黄化合物、無機溶剤、有機酸等が挙げられ、溶解性、取扱いの容易さの点から、水性媒体が好ましい。水性媒体とは、水、水溶性有機溶媒およびそれらの混合媒体を意味する。水溶性有機溶媒としては、水溶性モノアルコール、水溶性グリコール、水溶性グリコールエーテルおよび水溶性グリコールエステルからなる群より選ばれた1種以上の水溶性有機溶媒が好ましい。
界面活性剤としては、特に限定はなく、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等を使用することができる。これらの界面活性剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。カチオン性界面活性剤のみ、または、ノニオン性界面活性剤のみ、もしくはカチオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤を併用することが水性乳化分散体を繊維製品に処理する上で特に好ましい。界面活性剤は、成分A、成分Bの調製時に好適に配合される成分である。
本発明において、疎水性化合物B1の重合体の製造または乳化分散体の製造には、特開2017-218713に記載された方法を用いることが出来る。また、疎水性化合物B2の乳化体の製造には、疎水性化合物B2と界面活性剤および少なくとも水を含む液状媒体を乳化機の機械力により乳化する方法を用いることが出来る。また、疎水性化合物B3は、WO2014/160906号公報またはWO2017/199726号公報に記載された方法で製造することが出来る。ただし、疎水性化合物B1、B2、またはB3の製造方法はこれらに限定されず、他の従来公知の製造方法を用いてもよい。
また本発明の繊維用表面処理剤には、本発明の効果を生じる限りにおいて任意の添加剤を含んでもよい。添加剤としては例えば、界面活性剤、架橋剤、無機系滑脱防止剤、柔軟剤、SR剤、防しわ剤、難燃剤、帯電防止剤、耐熱剤等の繊維用薬剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、金属粉顔料、レオロジーコントロール剤、硬化促進剤、消臭剤、抗菌剤等が挙げられる。これらの添加剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の繊維用表面処理剤は、繊維製品に適用する際に水で希釈する原液としてもよいし、繊維製品に適用する際にそのままの濃度で使用するものであってもよい。原液とする場合、本発明の繊維用表面処理剤に含まれる固形分(水以外の成分)としては、例えば15~50質量%程度が挙げられる。本発明の繊維用表面処理剤を水に希釈して加工液を調製する際、水の他にも任意的に前述の各種の薬剤、例えば架橋剤等を添加してもよい。繊維製品に適用する際に使用する本発明の繊維用表面処理剤の加工液に含まれる固形分(水以外の成分)としては、例えば0.4~3.0質量%程度が挙げられる。
本発明の繊維用表面処理剤を用いて、公知の方法で布帛に対して繊維処理を行うことができる。処理方法としては例えば、連続法又はバッチ法等が挙げられる。連続法としては、まず、繊維用表面処理剤をそのまま、または水に希釈して加工液を調製する。加工液を調製する際、水の他にも任意的に前述の各種の薬剤、例えば架橋剤等を添加することも好ましい。次に、加工液で満たされた含浸装置に、被処理物(すなわち、繊維製品)を連続的に送り込み、被処理物に加工液を含浸させた後、不要な加工液を除去する。含浸装置としては特に限定されず、パッダ、キスロール式付与装置、グラビアコーター式付与装置、スプレー式付与装置、フォーム式付与装置、コーティング式付与装置等が好ましく採用でき、特にパッダ式が好ましい。続いて、乾燥機を用いて被処理物に残存する水を除去する操作を行う。乾燥機としては、特に限定されず、ホットフルー、テンター等の拡布乾燥機が好ましい。該連続法は、被処理物が織物等の布帛状の場合に採用するのが好ましい。バッチ法は、被処理物を加工液に浸漬する工程、処理を行った被処理物に残存する水を除去する工程からなる。該バッチ法は、被処理物が布帛状でない場合、たとえばバラ毛、トップ、スライバ、かせ、トウ、糸等の場合、または編物等連続法に適さない場合に採用するのが好ましい。浸漬する工程においては、たとえば、ワタ染機、チーズ染色機、液流染色機、工業用洗濯機、ビーム染色機等を用いることができる。水を除去する操作においては、チーズ乾燥機、ビーム乾燥機、タンブルドライヤー等の温風乾燥機、高周波乾燥機等を用いることができる。本発明の繊維用表面処理剤を付着させた被処理物には、乾熱処理を行うことが好ましい。乾熱処理の温度としては、120~180℃が好ましく、特に160~180℃が好ましい。該乾熱処理の時間としては、10秒間~3分間が好ましく、特に1~2分間が好ましい。乾熱処理の方法としては、特に限定されないが、被処理物が布帛状である場合にはテンターが好ましい。
300mLフラスコに、スチレン80g、サニゾールC0.4g、ポリオキシエチレン(9モル)オレイルエーテル2.45g、ポリオキシエチレン(13モル)オレイルエーテル2.45gおよびイオン交換水200gを入れ、60℃にて高速撹拌により乳化させ混合液を得た。その後、40℃に保ちながら高圧ホモジナイザーを用いて、40MPaにて処理し乳化液を得た。還流冷却管を取り付けた300mL3口フラスコに乳化液を移し、室温に冷却した後、アゾビス(イソブチルアミジン)二塩酸塩0.3gを加え、窒素雰囲気下で70℃にて15時間ラジカル重合反応を行った。その後乳化分散体の成分濃度が20質量%になるようにイオン交換水で希釈し、成分Aの乳化分散体を得た。組成を表1に示す。
単量体組成を表1のように変更した他は、合成例1と同様にして各成分Aの乳化分散体を得た。組成を表1に示す。
特開2017-218713に記載された方法を参考に、ステアリルアクリレートを重合体の全質量中98質量%含み、ヒドロキシエチルメタクリレートを重合体の全質量中2質量%含む重合体である疎水性化合物B1をカチオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤により乳化分散された乳化分散体B1-1(成分Bの濃度20質量%の水性乳化分散体)を得た。
特開2017-218713に記載された方法を参考に、ステアリルアクリレートを重合体の全質量中92質量%含み、官能基等量900の片末端メタクリル変性シリコーンと官能基等量12000の片末端メタクリル変性シリコーンを重合体の全質量中それぞれ3質量%含み、ヒドロキシエチルメタクリレートを重合体の全質量中2質量%含む重合体である疎水性化合物B1をカチオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤により乳化分散された乳化分散体B1-2(成分Bの濃度20質量%の水性乳化分散体)を得た。
前記乳化分散体B1-2を300mLフラスコに200g入れた。次に、ここにスチレン17.2gとトリプロピレングリコール20gの混合液を45分かけて滴下し、アゾビス(イソブチルアミジン)二塩酸塩0.3gを加え、窒素雰囲気下で70℃にて15時間ラジカル重合反応を行った。その後、乳化分散体の重合体濃度が20質量%になるようにイオン交換水で希釈し、平均粒子径0.16μmの成分Aと成分Bの複合物の乳化分散体を得た。
前記乳化分散体B1-2を300mLフラスコに200g入れた。次に、ここにメチルメタクリレート17.2gとポリオキシエチレン(9モル)オレイルエーテル0.53g、ポリオキシエチレン(13モル)オレイルエーテル0.53gの混合液を45分かけて滴下し、アゾビス(イソブチルアミジン)二塩酸塩0.3gを加え、窒素雰囲気下で70℃にて15時間ラジカル重合反応を行った。その後、乳化分散体の重合体濃度が20質量%になるようにイオン交換水で希釈し、平均粒子径0.16μmの成分Aと成分Bの複合物の乳化分散体を得た。
各単量体の単独重合体のガラス転移点(Tg)として、スチレン、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレートについては、ポリマーハンドブック(Polymer Handbook Third Edition 1990年発行 発行者ジョン・ワイリー・アンド・サンズ)に記載の値を採用した。また、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルおよびステアリルアクリレートは、溶液重合後、良く乾燥したポリマーを示差走査熱量計(DSC)により測定した。ホモポリマーのガラス転移点を表1に示す。
各乳化分散体の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-300(堀場製作所製)を用い、算術平均径の測定値(D50)とした。結果を表1に示す。
前記乳化分散体B1-1と、上記で合成した各成分Aの乳化分散体と、ブロックイソシアネート系架橋剤としてのメイカネートFM-1(明成化学工業社製ブロックドイソシアネート:有効成分30%)と、無機系滑脱防止剤として市販のコロイダルシリカ(スノーテックスAK(数平均一次粒子径 10-15nm、M値0)、日産化学工業社製、「スノーテックス」は同社の登録商標)を表2~4のように配合し、繊維用表面処理剤とした。組成を表2~4に示す。
合成例13の乳化分散体(成分Aと成分Bの複合物の乳化分散体)と、ブロックイソシアネート系架橋剤としてのメイカネートFM-1(明成化学工業社製ブロックドイソシアネート:有効成分30%)を表3のように配合し、繊維用表面処理剤とした。組成を表3に示す。
合成例14の乳化分散体(成分Aと成分Bの複合物の乳化分散体)と、ブロックイソシアネート系架橋剤としてのメイカネートFM-1(明成化学工業社製ブロックドイソシアネート:有効成分30%)を表3のように配合し、繊維用表面処理剤とした。組成を表3に示す。
疎水性化合物B2としてジメチルシロキサン単位をポリマーの全質量中75質量%以上含む側鎖ジアミン変性シリコーン(官能基等量11000)をカチオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤により乳化分散されている乳化分散体B2-1(成分B濃度が20質量%の水性乳化分散体)と、上記で合成した各成分A乳化分散体と、ブロックイソシアネート系架橋剤としてのメイカネートFM-1(明成化学工業社製ブロックドイソシアネート:有効成分30%)と、無機系滑脱防止剤として市販のコロイダルシリカ(スノーテックスAK(数平均一次粒子径 10-15nm、M値0)、日産化学工業社製、「スノーテックス」は同社の商標)を表5のように配合し、繊維用表面処理剤とした。組成を表5に示す。
WO2014/160906号公報を参考にして、ソルビタントリステアレートとヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体がその水酸基等量とイソシアネート等量の重量比率で縮合した疎水性化合物B2をカチオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤により乳化分散させた乳化分散体B3-1(成分B濃度が25質量%の水性乳化分散体)と、上記で合成した各成分A乳化分散体と、ブロックイソシアネート系架橋剤としてのメイカネートFM-1(明成化学工業社製ブロックドイソシアネート:有効成分30%)と、無機系滑脱防止剤として市販のコロイダルシリカ(スノーテックスAK(数平均一次粒子径 10-15nm、M値0)、日産化学工業社製、「スノーテックス」は同社の商標)を表6のように配合し、繊維用表面処理剤とした。組成を表6に示す。
上記で得られた各繊維用表面処理剤を、それぞれアルミカップに約1gずつ、110℃の乾燥機で1時間乾燥させた。乾燥後、40℃まで降温し形成された被膜を人差し指で触り、タック性と指への被膜の付き具合を評価した。タック性が無く、指に被膜が付かないものを〇、タック性が僅かに有るが指に被膜が付かないものを△、タック性が有り指に被膜が付くものを×とした。
上記で得られた各繊維用表面処理剤をポリエステルタフタ布(繊維径56dtex)およびナイロン高密度タフタ布(繊維径44dtex)にパティングし、2本のゴムローラーでニップ(ピックアップ30%、42%)し、110℃にて2分間乾燥させた後、170℃にて1分間キュアを行って評価布を作製した。得られた評価布を用い、はっ水性をJIS L 1092(2009)のスプレー法にて評価した。評価布は、いずれの場合も洗濯後自然乾燥を行った。なお、はっ水性は、表2~6に示す1~5の5段階の数値(JISの既定値)にて表記し、数字に+(-)の付いた場合、その数値の評価よりもわずかに良い(悪い)ことを示す。結果を表2~6に示す。
上記で作製した評価布を洗濯回数0回(HL-0(N))とし、JIS L 1092(2009)に記載の洗濯方法に準じた洗濯を10回(HL-10(N))、20回(HL-20(N))行った後、同様に評価布のはっ水性を評価した。結果を表2~6に示す。
上記で得られた各繊維用表面処理剤を用いて、ポリエステルタフタ布をはっ水評価と同様に処理し、JIS L 1096-99.8.21.1縫目滑脱法B法に準じて、荷重117.2N(12kgw)にて経糸滑脱で試験を行い、縫目滑脱(mm)を測定した。結果を表2~6に示す。
実施例2,11及び比較例2,6で得られた各繊維用表面処理剤を用いて、ポリエステルウーリー布をはっ水評価と同様に処理した後、金属ロール-樹脂ロールのカレンダーユニットによって、150℃、ニップ圧130kg/cmにてカレンダー処理を行って評価布を作製した。得られた評価布を用い、耐水圧をJIS L 1096(2009)に記載の静水圧法のA法に準じて試験を行い、5回の平均値を1cm単位に丸めた。結果を表2、4に示す。
Claims (8)
- 少なくとも成分Aと、成分Bと、水とを含有し、フッ素原子を含まない水性乳化分散体であって、
前記成分Aは、単独重合体のガラス転移点が50℃以上である単量体の少なくとも1種を繰り返し単位に有する重合体であり、
前記成分Aにおいて、単独重合体のガラス転移点が50℃以上である前記単量体は、下記一般式(4)で表されるモノエチレン性不飽和単量体aの少なくとも1種を含み、
前記成分Aにおいて、前記単量体aの割合が、55質量%超であり、
前記成分Aは、前記水性乳化分散体中、前記成分Aと前記成分Bの合計100質量%に対して、12~60質量%含まれており、
前記水性乳化分散体において、成分Aを含む分散体の平均粒子径が、3.0μm未満であり、
前記成分Bは、下記疎水性化合物B1、B2、及びB3の少なくとも1種である、繊維用表面処理剤。
疎水性化合物B1:下記一般式(1)で表されるモノエチレン性不飽和単量体bの少なくとも1種を繰り返し単位に有する高分子である重合体
疎水性化合物B2:下記一般式(2)で表される高分子であるシリコーン化合物
疎水性化合物B3:下記一般式(3)で表されるアルコールとポリブロックドイソシアネートを同一粒子中に有する組成物、前記アルコールとポリイソシアネートの反応生成物、および前記アルコールとイソシアネート基と反応しうるブロック剤とポリイソシアネートの反応生成物からなる群より選ばれる少なくとも1種
- 前記成分Aにおいて、前記単量体aが、下記一般式(5)で表されるスチレン骨格を有するモノエチレン性不飽和単量体a1、下記一般式(6)で表される環状脂肪族骨格を有するモノエチレン性不飽和単量体a2、および下記一般式(7)で表される他のモノエチレン性不飽和単量体a3からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の繊維用表面処理剤。
- 前記成分Aにおいて、前記単量体a1と前記単量体a2と前記単量体a3の合計割合が、55質量%以上である、請求項2に記載の繊維用表面処理剤。
- 前記成分Aの前記重合体を構成する単量体が、(メタ)アクリロイル基およびビニル基のうち少なくとも1種とポリオキシエチレン基を有するモノエチレン性不飽和単量体cをさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載の繊維用表面処理剤。
- 前記成分Aの前記重合体を構成する単量体が、水酸基、エポキシ基、アセトアセチル基、カルボニル基、クロロメチル基、アミド基、N-アルコキシメチルアミド基、ブロックドイソシアネート基、オキサゾリン基、カルボキシル基、スルホン酸基、およびアルコキシシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有する架橋性のエチレン性不飽和単量体dをさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載の繊維用表面処理剤。
- 前記水性乳化分散体は、前記成分Aと前記成分Bとが同一粒子中に存在している粒子を含んでいる、請求項1~5のいずれかに記載の繊維用表面処理剤。
- 前記水性乳化分散体は、前記成分Aにより構成された粒子と、前記成分Bにより構成された粒子とを含んでいる、請求項1~6のいずれかに記載の繊維用表面処理剤。
- 請求項1~7のいずれかに記載の繊維用表面処理剤によって繊維表面が処理されてなる、繊維製品。
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