以下、本発明の各実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施可能である。なお、以下においては、解析対象となる複合材料がポリマー及びフィラーを含む例について説明しているが、本発明は、2種類の以上の物質を含有する複合材料にも適用可能である。また、本発明は、フィラー及びポリマー以外の物質を含有する複合材料にも適用可能である。
図1は、本実施形態に係る複合材料の解析方法の概略を示すフローチャートである。図1に示すように、本実施形態に係る複合材料の解析方法は、第1ステップST11と、第2ステップST12と、第3ステップST13と、第4ステップST14と、第5ステップST15とを含む、コンピュータを用いた分子動力学法による複合材料の解析方法である。
第1ステップST11では、コンピュータは、例えば、ポリマーをモデル化したポリマーモデル及びフィラーをモデル化したフィラーモデルを含む複合材料の解析用モデルを作成する。
第2ステップST12では、コンピュータは、解析対象となる第1物質モデル又は第2物質モデルに属し、粒子間結合で結合された少なくとも一対の粒子の粒子間距離に閾値を設定する。
第3ステップST13では、コンピュータは、粒子間距離が閾値以上の場合に、粒子間結合を破断処理することで解析用モデルの第1数値解析を実行する。
第4ステップST14では、コンピュータは、第2ステップST12で設定した条件とは異なる条件を解析用モデルに設定する。また、第4ステップST14では、設定された条件に従って、第2数値解析を実行する。
第5ステップST15では、コンピュータは、少なくとも、第3ステップST13で実行した第1数値解析の結果と、第4ステップST14で実行した第2数値解析との結果とに基づいて、複合材料の破断特性を算出する。
図2は、本実施形態に係る複合材料の第1解析用モデル1-1の一例を示す概念図である。図2に示すように、第1解析用モデル1-1は、例えば、一辺の長さが距離Lの略立方体形状の仮想空間であるモデル作成領域A内でモデル化される。モデル作成領域Aは、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸方向に広がる三次元空間となっている。第1解析用モデル1-1は、複数のフィラー粒子11a-1がモデル化された4つのフィラーモデル11A-1,11B-1,11C-1,11D-1と、複数のポリマー粒子21a-1及び結合鎖21b-1がモデル化された4つのポリマーモデル21-1とを含む。以下では特に区別を必要としない場合には、4つのフィラーモデル11A-1,11B-1,11C-1,11D-1のことを単にフィラーモデル11-1と呼ぶこともある。なお、図2に示す例では、第1解析用モデル1-1が、4つのフィラーモデル11A-1,11B-1,11C-1,11Dがモデル化された例について説明するが、モデル化されるフィラーモデルの数に制限はない。第1解析用モデル1-1は、4未満のフィラーモデル11-1を含んでいてもよく、4つを超えるフィラーモデル11-1を含んでいてもよい。また、図2においては、4つのポリマーモデル21-1のみを示しているが、第1解析用モデル1-1では、複数のポリマーモデル21がモデル作成領域A内の全域に亘って存在している。さらに、図2に示す例では、モデル作成領域Aが、略直方体形状の仮想空間である例について示しているが、球状、楕円状、直方体形状、多面体形状など任意の形状であってもよい。
フィラーモデル11-1は、複数のフィラー粒子11a-1がそれぞれ略球状体に集合した状態でモデル化される。また、フィラーモデル11-1は、互いに所定間隔をとって離れた状態で配置されている。なお、フィラーモデル11-1とは、相互に凝集した状態で外縁部が共有結合によって相互に連結されていてもよい。
フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、シリカ、及びアルミナなどが含まれる。フィラー粒子11aは、複数のフィラーの原子が集合されてモデル化される。また、フィラー粒子11a-1は、複数のフィラー粒子11a-1が集合してフィラー粒子群を構成する。フィラー粒子11a-1は、複数のフィラー粒子11a-1間の結合鎖(不図示)によって相対位置が特定されている。この結合鎖(不図示)は、フィラー粒子11a-1間の結合距離である平衡長とばね定数とが定義されたバネとしての機能を有し、各フィラー粒子11a-1間を拘束している。結合鎖は、フィラー粒子11a-1の相対位置及び捻り、曲げなどによって力が発生するポテンシャルが定義されているボンドである。フィラーモデル11-1は、フィラーを分子動力学で取り扱うためのフィラー粒子11a-1の質量、体積、直径及び初期座標などを含む数値データである。フィラーモデル11-1の数値データは、コンピュータに入力される。
ポリマーとしては、例えば、ゴム、樹脂、及びエラストマーなどが含まれる。ポリマー粒子21a-1は、複数のポリマーの原子が集合されてモデル化される。また、ポリマー粒子21a-1は、複数のポリマー粒子21a-1が集合してポリマー粒子群を構成する。ポリマーには、フィラーとの親和性を高める変性剤が必要に応じて配合される。この変性剤としては、例えば、水酸基、カルボニル基、及び原子団の官能基などが含まれる。ポリマーモデル21-1は、複数のポリマー原子及び複数のポリマー原子の集合体であるポリマー粒子21a-1がモデル作成領域A内に所定密度で充填されてモデル化される。ポリマー粒子21a-1は、複数のポリマー粒子21a-1間の結合鎖21b-1によって結合されて相対位置が特定されている。この結合鎖21b-1は、ポリマー粒子21a-1間の結合距離である平衡長とばね定数とが定義されたバネとしての機能を有し、各ポリマー粒子21a-1間を拘束している。結合鎖21b-1は、ポリマー粒子21a-1の相対位置及び捻り、曲げなどによって力が発生するポテンシャルが定義されているボンドである。また、結合鎖21b-1は、複数のポリマー粒子21aが直列状に連結されてなるポリマーモデル21-1間にも架橋結合(不図示)として結合されている。このポリマーモデル21-1は、ポリマーを分子動力学で取り扱うための数値データ(ポリマー粒子21a-1の質量、体積、直径及び初期座標などを含む)である。ポリマーモデル21-1の数値データは、コンピュータに入力される。
第1解析用モデル1-1は、分子動力学法による数値解析により各種物理量が取得される。数値解析としては、例えば、伸張解析、せん断解析などの変形解析及び緩和解析などの運動解析が挙げられる。これらの運動解析で取得する物理量は、運動解析の結果得られた変位などの値を用いてもよく、所定の演算処理を実行した歪みであってもよい。これらの中でも、運動解析としては、複合材料のコンパウンドの力学特性を解析可能となる観点から、変形解析が好ましい。
本実施形態では、破断特性を算出するために、第1解析用モデル1-1に加えて、第1解析用モデル1-1とは異なる第2解析用モデル1-2を作成する。図3は、第2解析用モデル1-2を示す概念図である。
図3に示すように、第2解析用モデル1-2は、フィラーモデル11A-2,11B-2,11C-2,11D-2と、複数のポリマー粒子21a-2及び結合鎖21b-2がモデル化された4つのポリマーモデル21-2とを含む。4つのフィラーモデル11A-2,11B-2,11C-2,11D-2のことを単にフィラーモデル11-2と呼ぶこともある。フィラーモデル11-2は、複数のフィラー粒子11a-2がそれぞれ略球状体に集合した状態でモデル化される。この場合、第2解析用モデル1-2に含まれる各要素は、例えば、第1解析用モデル1-1に含まれる各要素と、同一の条件で作成されている。本実施形態は、第1解析用モデル1-1と、第2解析用モデル1-2とに対して異なる数値解析を実行する。そして、本実施形態は、第1解析用モデル1-1に対する数値解析の結果と、第2解析用モデル1-2に対する数値解析の結果とに基づいて、複合材料の破断特性を算出する。
なお、以下では、2つの解析用モデルの結果を比較する場合について説明するが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。本発明では、例えば、3つ以上の解析用モデルで数値解析を実行し、その数値解析の結果に基づいて複合材料の破断を予測してもよい。
また、図3には第2解析用モデル1-2として、分子動力学法を実行するためのモデルを示したが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。具体的には、第2解析用モデル1-2は、連続体シミュレーションを実行するためのモデルであってもよい。より具体的には、第2解析用モデル1-2は、例えば、有限要素法(FEM:Finite Element Method)を実行するためのモデルであってもよい。以下では、第2解析用モデル1-2としてタイヤモデルについて説明するが、これは例示では、本発明の複合材料を限定するものではない。
図4は、第2解析用モデル1-2Aの一例を示す概念図である。図5は、第2解析用モデル1-2Aとしてのタイヤモデルの子午断面の一部を示す一部断面図である。図4に示すように、本実施形態に係る第2解析用モデル1-2Aは、例えば、複合材料としてのタイヤの形状も含めて立体的にモデル化された第1解析用モデル1-1より相対的に大きい複合材料の解析用モデルである。言い換えれば、第2解析用モデル1-2Aは、第1解析用モデル1-1とはスケールの異なる解析用モデルである。第2解析用モデル1-2Aは、有限要素法及び有限差分法などの数値解析手法を用いて固有値解析を行い、基本タイヤモデルを作成するために用いられるコンピュータで解析可能なモデル(解析モデル)である。第2解析用モデル1-2Aには、数学的モデルや数学的離散化モデルが含まれる。なお、本実施形態では、タイヤモデルを作成する際に用いる解析手法として、有限要素法を使用する。有限要素法は、構造解析に適した解析手法なので、特にタイヤのような構造体に対して好適に適用できる。
第2解析用モデル1-2Aでは、タイヤを複数の節点で構成される有限個の要素に分割して、図4及び図5に示す基本タイヤモデルが作成される。解析に用いられる有限要素法では、タイヤの性能(例えば、耐摩耗性能や耐偏摩耗性能等)を評価するタイヤを有限個の要素E1、E2、・・・En等に分割して、基本タイヤモデルとしての第2解析用モデル1-2が作成される。また、それぞれの要素Eは、複数の節点N1によって構成される。例えば、2次元の解析モデルにおいて要素Eが四辺形要素である場合、一つの要素Eは4個の節点N1で構成される。また、3次元の解析モデルにおいて要素Eが六面体要素である場合、一つの要素Eは8個の節点N1で構成される。作成された第2解析用モデル1-2は、モデル作成部52a(図12参照)が記憶部54へ格納する。
図6は、本発明の実施形態に係る複合材料の解析用モデルの作成方法の概念図である。第2解析用モデル1-2Aは、分子動力学法により求めた第1解析用モデル1-1がモデル作成領域A内でメッシュ状に複数分割されたものである。例えば、第2解析用モデル1-2は、モデル作成領域Bに5つのフィラーモデル11-2が分散したモデルとなる。ここでは、連続体モデルとなる第2解析用モデル1-2Aの各要素・領域のパラメータは、第1解析用モデル1-1の分子動力学の数値解析の結果から設定される。
次に、本実施形態に係る複合材料の解析方法について詳細に説明する。第1ステップST11では、複数のフィラー粒子11aが集合してモデル化されたフィラーモデル11及び複数のポリマー粒子21aが結合鎖21bを介して連結されてモデル化されたポリマーモデル21を含む複合材料の第1解析用モデル1-1を作成する。なお、第2解析用モデル1-2として分子動力学を実行するためのモデルを作成する場合には、第1解析用モデル1-1を作成する方法と同じなので、説明は省略する。
また、第1ステップST11では、作成したフィラーモデル11-1とポリマーモデル21-1との間に相互作用を設定する。フィラーモデル11-1とポリマーモデル21-1との間の相互作用としては、例えば、分子間力及び水素結合などの引力及び斥力などの化学的な相互作用、及び共有結合などの物理的な相互作用が挙げられる。なお、フィラーモデル11-1とポリマーモデル21-1との間の相互作用は、フィラー粒子11a-1間、ポリマー粒子21a-1間及びフィラー粒子11a-1とポリマー粒子21a-1との間に必要に応じて設定されるものである。そのため、必ずしも全てのフィラー粒子11a-1及びポリマー粒子21a-1に設定されるものではない。また、ポリマーモデル21-1が複数の種類のポリマー粒子21a-1で構成されている場合には、複数の種類のポリマー粒子21a-1にそれぞれ相互作用を設定してもよい。また、複数の種類の各ポリマー粒子21a-1とフィラーモデル11-1との相互作用は同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、ポリマー粒子Aとフィラー粒子11a-1の相互作用と、ポリマー粒子Bとフィラー粒子11a-1の相互作用とは異なる相互作用を設定してもよい。
次に、第2ステップST12では、ポリマー粒子21-1aの粒子間距離に所定の閾値を設定する。粒子間距離としては、ポリマー粒子21a-1を連結する結合鎖21b-1の長さを用いてもよく、一対のポリマー粒子21a-1間の直線距離を用いてもよい。なお、本実施形態においては、第2ステップST12において、解析対象となる一対のポリマー粒子21a-1の粒子間距離に所定の閾値を設定する例について説明するが、これに限定されるものではない。粒子間距離の閾値は、解析対象となる複合材料に応じて一対のフィラー粒子11a-1間の粒子間距離に設定してもよい。
次に、第3ステップST13では、ポリマー粒子21aの粒子間結合の結合エネルギー及び結合力の少なくとも一方を低下させる破断結合演算用関数を用いて粒子間結合を演算し、第1数値解析を実行する。
次に、第4ステップST14では、第3ステップST13とは異なる条件を第1解析用モデル1-1に与える。また、第4ステップST14では、設定された条件に従って、第2数値解析を実行する。例えば、第2数値解析は、第1解析用モデル1-1における、ボイドの成長を評価するためのシミュレーションである。
次に、第5ステップST15では、少なくとも2つの解析結果に基づいて破断特性を算出する。本時実施形態では、例えば、第1数値解析と、第2数値解析との結果に基づいて、破断特性を算出する。
具体的には、本実施形態においては、一対のポリマー粒子21a-1の粒子間距離に所定の閾値を設定し、粒子間距離が閾値以上の場合には、粒子間距離が閾値S未満の場合に対して、粒子間結合の結合エネルギー及び結合力を低下させる破断結合演算用関数を用いて粒子間結合を演算する。当該破断結合演算用関数としては、例えば、下記式(1)に示すものが挙げられる。この破断結合演算用関数を用いることにより、ポリマー粒子間距離が所定の閾値未満の場合には、一対のポリマー粒子21a-1間の粒子間距離に応じて結合エネルギー及び結合力が増減し、粒子間距離が所定の閾値S以上の場合には、結合エネルギー及び結合力がゼロとなる。なお、下記式(1)については、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更可能である。なお、以下においては、結合エネルギーを低下させ例について説明するが、結合力を低下させる場合にも同様に実施可能である。
このように、上記実施形態によれば、粒子間距離が閾値以上の領域においては、粒子間結合の結合エネルギー及び結合力の少なくとも一方が低下するので、粒子間結合を破断することなく第1解析用モデル1-1の数値解析を継続することが可能となる。これにより、破断に伴う粒子間結合の物理的な消滅を防ぐことができるので、粒子間結合を物理的に消滅させずに疑似的な切断を再現することが可能となる。したがって、数値解析時に破断した粒子間結合の破断箇所を特定することが可能となる複合材料の解析方法を実現できる。
また、上述した実施形態では、ポリマー粒子21a-1の粒子間距離が閾値以上となると所定の破断結合演算用関数を適用して粒子間結合を演算する例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、粒子間距離の時間平均値が閾値以上となった場合に、粒子間結合の結合エネルギー及び結合力を低下させる破断結合演算用関数を用いて第1解析用モデル1-1の数値解析を実行してもよい。これにより、例えば、ブラウン運動などによって、一時的に粒子間距離が閾値以上となった一対のポリマー粒子21a-1における粒子間結合の結合エネルギー及び結合力を低下させる破断結合演算用関数を用いた演算を除外することができる。この結果、実際の複合材料における粒子間結合の破断を精度よく再現することが可能となる。
ところで、粒子間結合によって連結された一対のポリマー粒子21a-1が複数存在する場合には、第1解析用モデル1-1の数値解析後、複数の一対のポリマー粒子21a-1の粒子間距離が順次閾値S以上となる。そして、粒子間結合の結合エネルギー及び結合力の少なくとも一方が順次低下した状態となる。この場合、粒子間結合の結合エネルギー及び結合力の少なくとも一方が低下したポリマーモデル21-1の座標をそれぞれ特定しても、必ずしも十分にそれぞれの正確な破断位置を評価することができない場合がある。
そこで、上記実施形態においては、粒子間距離が閾値以上となった時点の粒子間結合の座標を破断位置として特定して評価してもよい。図7A~図7Cは、モデル作成領域A内での粒子間結合の破断位置の説明図である。なお、図7Aにおいては、第1解析時間T1の状態を示し、図7Bにおいては、第2解析時間T2の状態を示し、図7Cにおいては、第3解析時間T3の状態を示している。
本実施形態では、複数の解析時間について、それぞれ粒子間結合の結合エネルギー及び結合力が低下した粒子間結合の位置を特定する。図7Aに示す例では、第1解析時間T1では、ポリマーモデル21A-1は、フィラーモデル11-1の近傍で粒子間距離が閾値S以上となり、結合エネルギー又は結合力が低下した破断結合鎖21bx-1が生じている。フィラーモデル11の近傍に存在するポリマーモデル21B-1,21C-1は、ポリマー粒子21a-1の粒子間距離が閾値S未満となり結合鎖21b-1が残存している。この第1解析時間T1では、ポリマーモデル21A-1の座標を破断座標X1として特定する。
次に、所定時間経過後の第2解析時間T2では、ポリマーモデル21B-1は、フィラーモデル11-1の近傍で粒子間距離が閾値S以上となり、結合エネルギー又は結合力が低下した破断結合鎖21bx-1が生じている。フィラーモデル11-1の近傍に存在するポリマーモデル21C-1は、ポリマー粒子21a-1の粒子間距離が閾値S未満となり結合鎖21b-1が残存している。一方、移動によりフィラーモデル11-1から離れたポリマーモデル21A-1は、結合エネルギー又は結合力が低下した破断結合鎖21bx-1が維持されている。この第2解析時間T2では、ポリマーモデル21B-1の座標を新たな破断座標X2として特定し、第1解析時間T1で既に破断結合鎖21bx-1が生じたポリマーモデル21A-1の現座標は破断座標として新たに特定しない。
さらに、所定時間経過後の第3解析時間T3では、ポリマーモデル21C-1は、フィラーモデル11-1の近傍で粒子間距離が閾値S以上となり、結合エネルギー又は結合力が低下した破断結合鎖21bx-1が生じている。移動によりフィラーモデル11-1表面から離れたポリマーモデル21A-1,21B-1は、ポリマー粒子21a-1の粒子間結合が閾値S以上となり破断結合鎖21bx-1が維持されている。この第3解析時間T3では、ポリマーモデル21C-1の座標を破断座標X3として新たに特定する。そして、第1解析時間T1で既に破断結合鎖21bx-1が生じたポリマーモデル21Aの現座標及び第2解析時間T2で既に破断結合鎖21bx-1が生じたポリマーモデル21B-1の現座標は破断座標として特定しない。
このように、連続する第1解析時間T1~第3解析時間T3中に粒子間距離が閾値S以上となった破断座標X1~X3を順次特定することにより、例えば、フィラーモデル11-1表面からの距離と破断座標の座標分布とが得られる。これにより、図7A~図7Cに示した第1解析用モデル1-1の数値解析では、フィラーモデル11-1からの距離が近くなるにつれて破断座標X1~X3の座標分布が増大することが分かる。この結果から、粒子間結合の破断されやすい場所を評価することができるので、フィラーモデル11-1表面からの距離と破断確率の関係などを評価することが可能となる。
なお、図7A~図7Cに示した例では、粒子間結合に代表点を設定して破断位置(破断座標)を特定してもよい。例えば、図7Aに示した例では、粒子間結合である結合鎖21b-1における一対のポリマー粒子21a-1との重心(中点)又はポリマー粒子21a-1の座標と重なる端点などを代表点として破断位置として特定する。これにより、長さが増大した粒子間結合の代表点の座標を破断位置として評価することができるので、破断位置の評価が容易となる。
また、図7A~図7Cに示した例では、粒子間距離が所定値以上となった粒子間結合を可視化してもよい。これにより、疑似的に破断した一対のポリマー粒子21a-1間の粒子間結合である破断結合鎖21bx-1を目視で確認することができるので、数値解析時に破断した粒子間結合の破断箇所の特定が容易となる。同様に、粒子間結合が破断して破断結合鎖21bx-1が生じた破断座標X1~X3を可視化してもよい。これにより、破断しやすい場所を目視で評価できるので、破断しやすい場所の評価が容易となる。また、代表点を可視化してもよい。これにより、長さが増大した粒子間結合の全体を可視化せずに代表点を可視化するので、破断した粒子間結合の確認が容易となる。粒子間結合の可視化は、例えば、破断結合鎖21bx-1以外の結合鎖21bを非表示としてもよく、結合鎖21b-1の透明度を高めてもよく、破断結合鎖21bx-1の色及び太さを結合鎖21b-1と変更して表示してもよい。これにより、破断結合鎖21bx-1を強調することができ、目視で容易に確認することが可能となる。
図8を用いて、本実施形態に係る第1解析用モデル1-1を用いて特性値を算出する方法について説明する。図8は、第1解析用モデル1-1を用いて特性値を算出する処理の一例を示すフローチャートである。
まず、本実施形態は、数値解析を実行するための第1解析用モデル1-1を作成する(ステップST21)。そして、本実施形態は、ステップST22に進む。
次に、本実施形態は、第1解析用モデル1-1に対して、数値解析を実行するための第1解析条件を設定する(ステップST22)。ここで、第1解析用モデル1-1で複数の数値解析を実施するための、複数の解析条件を設定してもよい。そして、本実施形態は、ステップST23に進む。
次に、本実施形態は、設定された第1解析条件に従って、第1数値解析を実施する(ステップST23)。ここで、ステップST22で複数の解析条件が設定されている場合には、複数の数値解析を実施してもよい。そして、本実施形態は、ステップST24に進む。
そして、本実施形態は、第1数値解析の解析結果に基づいて、第1特性値を算出する(ステップST24)。そして、本実施形態は、図5の処理を終了する。
図9を用いて、本実施形態に係る第2解析用モデル1-2を用いて特性値を算出する方法について説明する。図9は、第1解析用モデル1-1を用いて特性値を算出する処理の一例を示すフローチャートである。
まず、本実施形態は、数値解析を実行するための第2解析用モデル1-2を作成する(ステップST31)。ここでは、第2解析用モデル1-2を第1解析用モデル1-1とは異なる条件で作成する。また、第2解析用モデル1-2が、例えば、有限要素法を実行するための解析用モデルである場合には、図8に図示の第1数値解析の結果に基づいて、第2解析用モデル1-2を作成することが好ましい。これにより、有限要素法の解析用モデルに、分子動力学法の数値解析の結果を含めることができる。その結果、より精度よく破断特性を算出することができるようになる。そして、本実施形態は、ステップST32に進む。
次に、本実施形態は、第2解析用モデル1-2に対して、数値解析を実行するための第2解析条件を設定する(ステップST32)。ここでは、第2解析条件は、第1解析条件と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、第2解析用モデル1-2で複数の数値解析を実施するために、複数の解析条件を設定してもよい。そして、本実施形態は、ステップST33に進む。
次に、本実施形態は、設定された第2解析条件に従って、第2数値解析を実施する(ステップST33)。ここで、ステップS32で複数の解析条件が設定されている場合には、複数の数値解析を実施してもよい。そして、本実施形態は、ステップST34に進む。
そして、本実施形態は、第2数値解析の解析結果に基づいて、第2特性値を算出する(ステップST34)。そして、本実施形態は、図9の処理を終了する。
次に、図10を用いて、破断特性値を算出する処理について説明する。図10は、破断特性値を算出する処理の流れを示すフローチャートである。
まず、本実施形態は、第1特性値及び第2特性値を取得する(ステップST41)。具体的には、本実施形態は、第1解析用モデル1-1で算出された第1特性値と、第2解析用モデル1-2で算出された第2特性値とを取得する。そして、本実施形態は、ステップST42に進む。
次に、本実施形態は、ステップST41で取得した、第1特性値及び第2特性値に基づいて、破断特性値を算出する(ステップST42)。そして、本実施形態は、図7の処理を終了する。
図11を用いて、破断特性値を算出する方法について説明する。図11は、破断特性値を算出する方法を説明するための模式図である。
図11には、第1解析用モデル1-1と、第2解析用モデル1-2とに対し、数値解析Aと、数値解析Bとを実行した結果が示されている。図11では、各数値解析の結果が数字で示されており、ここでは、数値が小さい方が破断しにくいものとしているが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。本発明では、例えば、破断特性の相対的によいものを「○」、相対的に悪いものを「×」などの記号で評価してもよい。なお、図11では、各解析用モデルに対して2つの数値解析を実行した場合を示しているが、各解析用モデルには3つ以上の数値解析を実行してもよい。
具体的には、第1解析用モデル1-1に対し、数値解析Aを実行した結果は100である。第1解析用モデル1-1に対し、数値解析Bを実行した結果は100である。本実施形態は、例えば、(数値解析Aの結果+数値解析Bの結果)/2、のように各数値解析の結果に演算を施すことによって、第1解析用モデル1-1としてモデル化された複合材料のマクロ破断特性を算出する。図11に示す例の場合、本実施形態は、複合材料の判断特性を、(100+100)/2=100と算出する。
また、第2解析用モデル1-2に対し、数値解析Aを実行した結果は90である。第2解析用モデル1-2に対し、数値解析Bを実行した結果は80である。この場合、本実施形態は、モデル化された複合材料のマクロ破断特性を、(90+80)/2=85と算出する。
なお、図11では、各数値解析の結果をそのまま用いたが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。本実施形態は、各数値解析の結果に重みを付けて、破断特性を算出してもよい。
また、図11では、各数値解析の結果の平均値を、その解析用モデルの破断特性として説明したが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。本実施形態は、例えば、各数値解析の結果の中央値や、最頻値を破断特性として算出してもよい。この場合、数値解析の種類は、3つ以上であることが好ましい。
さらに、本実施形態は、異なる条件で作成された各解析用モデルの各数値解析の結果を比較してもよい。図11に示す例の場合、第1解析用モデル1-1の数値解析Aの結果と、第2解析用モデル1-2の数値解析Aの結果とを比較してもよい。また、第1解析用モデル1-1の数値解析Bの結果と、第2解析用モデル1-2の数値解析Bの結果とを比較してもよい。これにより、複合材料のナノ構造や、変形条件が破断に与える影響を評価することができる。解析用モデルの違いとしては、架橋密度、架橋分布、架橋結合、フィラーの有無、フィラーのモルフォロジー、フィラーの体積分率、フィラー径などが挙げられる。また、解析用モデルの違いとしては、フィラーとポリマーとの間の相互作用、ポリマー種(伸張、ねじり、2面角エネルギーなど)、ポリマー構造(長さなど)、ブレンドポリマーなどが挙げられる。ここで挙げた、比較する解析用モデルは、例示であり、本発明を限定するものではない。本発明は、その他の異なる解析用モデルを比較してもよい。
次に、本実施形態に係る複合材料の解析方法、複合材料の解析用モデルの作成用コンピュータプログラム、複合材料の解析方法及び複合材料の解析用コンピュータプログラムについてより詳細に説明する。図12は、本実施形態に係る複合材料の解析方法及び複合材料の解析方法を実行する解析装置の機能ブロック図である。
図12に示すように、本実施形態に係る複合材料の解析方法は、処理部52と記憶部54とを含むコンピュータである解析装置50が実現する。この解析装置50は、入力手段53を備えた入出力装置51と電気的に接続されている。入力手段53は、複合材料の解析用モデルの作成対象であるポリマー及びフィラーの各種物性値、ポリマー及びフィラーを含有する複合材料を用いた伸張試験結果の実測結果、及び解析における境界条件などを処理部52又は記憶部54へ入力する。入力手段53としては、例えば、キーボード、マウスなどの入力デバイスが用いられる。
処理部52は、例えば、中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)及びメモリを含む。処理部52は、各種処理を実行する際にコンピュータプログラムを記憶部54から読み込んでメモリに展開する。メモリに展開されたコンピュータプログラムは、各種処理を実行する。例えば、処理部52は、記憶部54から予め記憶された各種処理に係るデータを必要に応じて適宜メモリ上の自身に割り当てられた領域に展開する。そして、処理部52は、展開したデータに基づいて複合材料の解析用モデルの作成及び複合材料の解析用モデルを用いた複合材料の解析に関する各種処理を実行する。
処理部52は、モデル作成部52aと、条件設定部52bと、解析部52cとを含む。モデル作成部52aは、予め記憶部54に記憶されたデータに基づき、分子動力学法により複合材料の第1解析用モデル1-1を作成する際のフィラー及びポリマーなどの複合材料の粒子数、分子数、分子量、分子鎖長、分子鎖数、分岐、形状、大きさ、反応時間、反応条件及び作成する解析用モデルに含まれる分子数である目標分子数などの構成要素の配置、設定及び計算ステップ数などの粗視化モデルの設定を行う。また、モデル作成部52aは、フィラー粒子11a間、ポリマー粒子21a間及びフィラー・ポリマー粒子の水素結合、分子間力などの相互作用などの各種計算パラメータの初期条件の設定を行う。また、モデル作成部52aは、必要に応じてポリマーモデル21の架橋による架橋結合の作成などの架橋解析などを作成してもよい。
フィラー粒子11a間の相互作用及びポリマー粒子21a間の相互作用を調整する計算パラメータとしては、下記式(2)で表されるレナード・ジョーンズポテンシャルのσ、εを用い、これらが調整される。ポテンシャルを計算する上限距離(カットオフ距離)を大きくすることで、遠距離まで働いた引力、斥力を調整できる。なお、フィラー粒子11a間の相互作用及びポリマー粒子21a間の相互作用が一定値になるまで順次、フィラー粒子11a間の相互作用及びポリマー粒子21a間の相互作用のパラメータを小さくすることが好ましい。レナード・ジョーンズポテンシャルのσ、εを大きな値から徐々に本来の値に近づけることにより、分子を不自然な状態に導かない穏やかな速度で粒子の接近を行うことができる。また、カットオフ距離も徐々に小さくすることにより、適正な範囲で引力、斥力を調整できる。
条件設定部52bは、変温解析及び変圧解析などの数値解析、伸張解析、せん断解析などの変形解析及び緩和解析などの運動解析などの各種数値解析条件を設定する。
解析部52cは、条件設定部52bによって設定された解析条件に基づいて第1解析用モデル1-1の各種数値解析を実行する。また、解析部52cは、モデル作成部52aによって作成された複合材料の第1解析用モデル1-1を用いて分子動力学法による数値解析を実行して物理量を取得する。ここでは、解析部52cは、数値解析として、伸張解析、せん断解析などの変形解析及び緩和解析などの運動解析などを実行する。また、解析部52cは、数値解析の結果得られた変位などの値又は得られた値に所定の演算処理を実行した歪みなどの物理量を取得する。
また、解析部52cは、数値解析による運動解析の結果得られる運動変位及び公称応力又は運動変位を演算して得られる公称歪みなどの各種物理量を取得する。このような数値解析及び運動解析により、解析時間毎に変化する解析用モデル全体のポリマー分子の結合長及びポリマー粒子速度、架橋点間と自由末端の速度又は結合長、配向などの物理量などのセグメントの状態変化を表す数値と歪みとの関係などを評価できる。また、解析時間毎に変化するポリマー分子の結合長及びポリマー粒子速度などのセグメントの状態変化を表す数値と圧力又は解析時間との関係などを評価できる。さらに、解析時間毎に変化するポリマー分子の結合長及びポリマー粒子速度などのセグメントの状態変化を表す数値と温度又は解析時間との関係などを評価できる。これにより、ポリマー分子の局所的な分子状態変化のより詳細な解析が可能となる。
また、解析部52cは、数値解析によって得られたポリマーモデル21の破断座標を特定し、特定した破断座標を評価する。ここでは、解析部52cは、破断した粒子間結合を可視化して評価してもよく、破断座標を可視化して評価してもよい。さらに、解析部52cは、複数のフィラーモデル11の周囲に発生した破断座標を集約して評価してもよく、複数のフィラーモデル11の周囲に発生した破断座標を1つの代表フィラーモデルに集約して評価してもよい。また、解析部52cは、複数の第1解析用モデル1-1を用いて別途解析した解析結果を集約して評価してもよい。解析部52cは、解析した複合材料の解析結果を記憶部54に格納する。
記憶部54は、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ及びCD-ROMなどの読み出しのみが可能な記録媒体である不揮発性のメモリ、並びに、RAM(Random Access Memory)のような読み出し及び書き込みが可能な記録媒体である揮発性のメモリが適宜組み合わせられる。
記憶部54には、入力手段53を介して解析対象となる複合材料の解析用モデルを作成するためのデータであるゴムカーボンブラック、シリカ、及びアルミナなどのフィラーのデータ、ゴム、樹脂、及びエラストマーなどのポリマーのデータなどが格納されている。また、記憶部54には、予め設定した物理量履歴である応力歪み曲線及び本実施形態に係る複合材料の解析方法、複合材料の解析方法を実現するためのコンピュータプログラムなどが格納されている。このコンピュータプログラムは、コンピュータ又はコンピュータシステムに既に記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、本実施形態に係る複合材料の解析方法を実現できるものであってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)及び周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
表示手段55は、例えば、液晶表示装置等の表示用デバイスである。なお、記憶部54は、データベースサーバなどの他の装置内にあってもよい。例えば、解析装置50は、入出力装置51を備えた端末装置から通信により処理部52及び記憶部54にアクセスするものであってもよい。
[第1実施例]
本発明を用いた第1実施例として、純ゴムと、フィラーを充填させたフィラー充填ゴムの解析モデルを作成し、ボイドの発生のし易さと、き裂の進展のし易さとを数値解析によって算出した。そして、ボイドの発生のし易さと、き裂の進展のし易さとに基づいて、純ゴムと、フィラー充填ゴムとのマクロ破断特性を算出した。図13は、第1実施例の結果を示す表である。
図13に示すように、純ゴムのボイドの発生のし易さは60である。また、純ゴムのき裂の進展のし易さは100である。マクロ破断特性には、ボイドの発生のし易さよりも、き裂の進展のし易さの方がマクロ破断特性に与える影響が大きいため、き裂の進展のし易さに重みを付けて、マクロ破断特性を算出する。その結果、純ゴムのマクロ破断特性は、き裂の進展の値のとおり100と算出される。
フィラー充填ゴムのボイドの発生のし易さは100である。また、フィラー充填ゴムのき裂の進展のし易さは20である。この場合、フィラー充填ゴムは、ボイドは発生し易いが、き裂が進展しにくいのでマクロ破断特性は50と算出される。
また、第1実施例において、純ゴムのボイドの発生のし易さと、フィラー充填ゴムのボイドの発生のし易さとを比較してもよい。これにより、モデルの違いに起因する、ボイドの発生のし易さを評価することができる。具体的には、フィラーの充填が、ボイドの発生のし易さに与える影響を評価することができる。同様に、純ゴムのき裂の進展のし易さと、フィラー充填ゴムのき裂の進展のし易さとを比較してもよい。これにより、フィラーの充填が、き裂の進展のし易さに与える影響を評価することができる。
[第2実施例]
本発明の用いた第2実施例として、単一ポリマーと、ブレンドポリマーとの解析モデルを作成し、ボイドの発生のし易さと、き裂の進展のし易さとを数値解析によって算出した。そして、ボイドの発生のし易さと、き裂の進展のし易さとに基づいて、マクロ破断特性を算出した。図14は、第2実施例の結果を示す表である。
図14に示すように、単一ポリマーのボイドの発生のし易さは100である。また、単一ポリマーのき裂の進展のし易さは100である。この場合、単一ポリマーのマクロ破断特性は100と算出される。
ブレンドポリマーのボイドの発生のし易さは80である。ブレンドポリマーのき裂の進展のし易さは90である。ボイドの発生のし易さよりも、き裂の進展のし易さの方がマクロ破断特性に与える影響が大きいため、マクロ破断特性は88と算出される。
また、第2実施例において、単一ポリマーのボイドの発生のし易さと、ブレンドポリマーのボイドの発生のし易さを比較してもよい。これにより、ポリマーの構造がボイドの発生に与える影響を評価することができる。同様に、単一ポリマーのき裂の進展と、ブレンドポリマーのき裂の進展とを比較してもよい。これにより、ポリマーの構造が、き裂の進展のし易さに与える影響を評価することができる。