JP7271228B2 - 水系組成物及び塗膜 - Google Patents
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Description
本発明は、せん断接着性能に優れた塗膜を形成する水系組成物、及び塗膜を提供することを目的とする。
[1]
水酸基含有不飽和単量体単位(A)及び脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)を有する共重合体、並びに
水、
を含む、水系組成物であって、
ヘキサメチレンジイソシアネートによって硬化された前記水系組成物の塗膜のケーニッヒ硬度が、ヘキサメチレンジイソシアネートによって硬化されていない前記水系組成物の塗膜のケーニッヒ硬度の2.0倍以上となる、前記水系組成物。
[2]
前記共重合体が、前記共重合体を構成する単量体単位の総量を100質量部とした場合、
15質量部以上35質量部以下の前記水酸基含有不飽和単量体単位(A)、
10質量部以上65質量部以下の前記脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)、及び
0質量部以上75質量部以下の重合性不飽和単量体単位(C)、
を有し、
前記重合性不飽和単量体単位(C)が、前記水酸基含有不飽和単量体単位(A)及び前記脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)と異なる、
[1]に記載の水系組成物。
[3]
イソシアネート系硬化剤を更に含む、[1]又は[2]に記載の水系組成物。
[4]
前記共重合体の平均粒子径が、40nm~250nmである、[1]~[3]のいずれかに記載の水系組成物。
[5]
[1]~[4]のいずれかに記載の水系組成物の硬化物からなる塗膜。
[6]
接着剤用である[5]記載の塗膜。
本実施形態は、水酸基含有不飽和単量体単位(A)及び脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)を有する共重合体、並びに
水、
を含む、水系組成物であって、
ヘキサメチレンジイソシアネートによって硬化された前記水系組成物の塗膜のケーニッヒ硬度が、ヘキサメチレンジイソシアネートによって硬化されていない前記水系組成物の塗膜のケーニッヒ硬度の2.0倍以上となる、前記水系組成物に関する。
本実施形態の水酸基含有不飽和単量体単位(A)としては、特に限定されないが、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ-(エチレングリコール)マレエート、ジ-(エチレングリコール)イタコネート、2-ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2-ヒドロキシエチル)マレエート、及び2-ヒドロキシエチルメチルフマレートからなる群より選ばれる1種以上の水酸基含有不飽和単量体に由来する単位が挙げられる。
これらの中でも、接着性能を一層向上できる観点から、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の水酸基含有不飽和単量体に由来する単位が好ましく、ヒドロキエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の水酸基含有不飽和単量体に由来する単位がより好ましい。
なお、水酸基含有不飽和単量体単位(A)の原料となる水酸基含有不飽和単量体を以下、「原料成分(a)」と記載することがある。
脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)としては、特に限定されないが、例えば、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-クロロ-1,3-ブタジエン(クロロプレン)、1,3-ペンタジエン、及びシクロペンタジエンからなる群より選ばれる1種以上の脂肪族共役ジエン系単量体に由来する単位が挙げられる。これらの中でも、入手容易性の観点から、1,3-ブタジエンに由来する単位が好ましい。
なお、脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)の原料となる脂肪族共役ジエン系単量体を以下、「原料成分(b)」と記載することがある。
本実施形態の重合性不飽和単量体単位(C)は、水酸基含有不飽和単量体単位(A)及び脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)とは異なる単量体単位である。また、重合性不飽和単量体単位(C)は、水酸基含有不飽和単量体単位(A)及び脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)の、少なくとも一方と共重合可能な化合物に由来する単位であればよい。
なお、重合性不飽和単量体単位(C)の原料となる重合性不飽和単量体を以下、「原料成分(c)」と記載することがある。
重合性不飽和単量体単位(C)としては、例えば、酸性官能基含有不飽和単量体単位(C1)、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位(C2)、芳香族ビニル単量体単位(C3)、シアン化ビニル単量体単位(C4)、無水マレイン酸単量体、(メタ)アクリルアミド単量体、ビニルエステル単量体、ビニルエーテル単量体、ハロゲン化ビニル単量体、アミノ基含有塩基性単量体、ビニルピリジン単量体、オレフィン単量体、ケイ素含有α,β-不飽和性単量体、及びアリル単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単位が挙げられる。
本実施形態の共重合体は、分散安定性の観点から、酸性官能基含有不飽和単量体単位(C1)を有することが好ましい。酸性官能基含有不飽和単量体単位(C1)としては、特に限定されないが、例えば、一塩基酸単量体、及び二塩基酸単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単位が挙げられる。
本実施形態の共重合体は、塗膜の物性(例えば、ガラス転移温度(Tg)及び溶解性パラメーター(sp値))を適宜調整するために、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位(C2)を有していてもよい。不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位(C2)としては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エチル-ヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジグリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メトキシポリエチリングリコール(メタ)アクリレート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリグリコール(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、及びイソボルニル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単位が挙げられる。
本実施形態の共重合体は、塗膜の物性(例えば、ガラス転移温度(Tg)及び溶解性パラメーター(sp値))を適宜調整するために、芳香族ビニル単量体単位(C3)を有していてもよい。芳香族ビニル単量体単位(C3)としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p-t-ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、及びトリビニルベンゼンからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単量体単位が挙げられる。
本実施形態の共重合体は、塗膜の物性(例えば、ガラス転移温度(Tg)及び溶解性パラメーター(sp値))を適宜調整するために、シアン化ビニル単量体単位(C4)を有していてもよい。シアン化ビニル単量体単位(C4)としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロニトリルに由来する単量体単位が挙げられる。
本実施形態の水系組成物は、イソシアネート系硬化剤(架橋剤)を更に含んでいてもよい。イソシアネート系硬化剤は、2個以上のイソシアネート基を有することが好ましい。イソシアネート系硬化剤としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水素化物、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリメチロールプロパン-トリレンジイソシアネートアダクト、ジフェニルメタンジイソシアネート[MDI(メチレンジ(4-フェニルイソシアネート)、クルードMDIを含む)]及びその水素化物、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4、4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。これらに高沸点溶剤等を配合したものも使用できる。また、ポリエステル等のポリオールに上記イソシアネート系硬化剤を過剰に混合したもの、ポリオールと過剰のポリイソシアネートとで予めポリマー化したOH基末端プレポリマー、過剰のポリオールで予めポリマー化したOH基末端プレポリマーにポリイソシアネート系硬化剤を過剰に加えたもの、ノニオン界面活性剤を含有するポリイソシアネート等も使用できる。
本実施形態の水系組成物は、ヘキサメチレンジイソシアネートによって硬化された場合に、非硬化塗膜のケーニッヒ硬度に対する硬化塗膜のケーニッヒ硬度の比率(以下「硬度上昇率」という。)として所定の上昇率を有する。
このような硬度上昇率としては、2.0倍以上、好ましくは2.0倍~3.0倍であり、より好ましくは2.5倍~3.0倍である。
即ち、せん断接着力の測定においては接着層に対し、いわゆるズリ応力が主として印加されることとなるが、このようなズリ応力に対して十分な接着力を発現するためには、通常の180°剥離に比べ、より接着界面の接着性、被着体の変位に対する追従性、及び凝集破壊強度のバランスが重要と考えられる。せん断方向の追従性が良好でも、凝集破壊強度に劣ればせん断方向の変位に耐えられず破断する傾向となり、追従性が劣れば、凝集破壊強度が良好であっても変位と共に増加するせん断応力に耐えることが困難な傾向となる。そもそもの接着界面の接着性が重要であることは言うまでもない。
そして、この様なバランスを実現する手段として、本実施形態においてはケーニッヒ硬度の硬度上昇率を規定する。本実施形態における共重合体には相対的に柔らかいセグメント(脂肪族共役ジエン系単量体に主として由来するセグメント)と、相対的に硬いその他のセグメントとが存在するものと考えられるが、相対的に硬いセグメントが架橋された場合には硬化後にも柔らかいセグメントが存在するため、硬化後の塗膜の硬度上昇率は抑制される傾向となる。つまり、ケーニッヒ硬度の硬度上昇率が高いことは、硬化前においては硬度が小さく接着界面の馴染み性に優れ、いわゆるアンカー効果による接着性発現が期待できると共に、硬化過程において、相対的に柔らかいセグメントが高度に架橋されていることを意味するものと考えられる。
本実施形態においては硬度上昇率が一定値以上である水系組成物を採用することにより、アンカー効果が期待されると共に、硬化過程において適度に柔らかいセグメントが架橋されるため、適度な凝集破壊強度と適度な追従性とがバランスし、良好なせん断接着強度が実現されるものと考えられる。
なお、硬度上昇率が2.0倍以上であることにより、架橋によって高い硬度が得られる傾向となる。一方、硬度上昇率が好ましくは3.0倍以下であることにより、共重合体の柔らかさをより維持できる傾向となる。塗膜が適度な初期接着性、硬度と柔軟性とを有することによって、塗膜が破壊されにくくなり、これによりせん断接着性能が向上する。
本実施形態の水系組成物の製造方法は、水酸基含有不飽和単量体と、脂肪族共役ジエン系単量体とを仕込み、重合させる重合工程を含む。
界面活性剤としては、従来公知のアニオン、カチオン、両性及び非イオン性の界面活性剤を用いることができる。これらの中でも、界面活性剤は、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤であることが好ましい。これらの界面活性剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
分子中にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などのラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤を用いてもよい。反応性乳化剤は、第1原料~第3原料のいずれに含まれていてもよい。また、反応性乳化剤を仕込む場合、単量体の仕込み総量に反応性乳化剤の仕込み量も含まれる。
重合開始剤は、熱又は還元性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるラジカル重合開始剤であれば特に限定されず、無機系ラジカル重合開始剤及び有機系ラジカル重合開始剤のいずれも使用できる。ラジカル重合開始剤の具体例としては、水溶性又は油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2-アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられ、また、これら以外にも、POLYMER HANDBOOK (3rd edition)、J.Brandrup及びE.H.Immergut著、John Willy&Sons刊(1989)のラジカル重合開始剤として記載された化合物も挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合反応抑制剤としては、乳化重合系に添加することにより、ラジカル重合速度を低下させることができる化合物が挙げられ、重合速度遅延剤、重合禁止剤、ラジカル再開始反応性が低い連鎖移動剤、及びラジカル再開始反応性が低い単量体が挙げられる。
連鎖移動剤としては、特に限定されないが、硫黄元素を含む連鎖移動剤が挙げられ、より具体的には、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン等のアルカンチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール等のチオアルキルアルコール、チオグリコール酸、チオプロピオン酸等のチオアルキルカルボン酸、チオグリコール酸オクチルエステル、チオプロピオン酸オクチルエステル等のチオカルボン酸アルキルエステル、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド等のスルフィド等が挙げられる。また、ターピノーレン、ジペンテン、t-テルピネン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。これらの連鎖移動剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の塗膜は、前記水系組成物をイソシアネート系硬化剤によって硬化した塗膜である。イソシアネート系硬化剤は、水系組成物中に含有されていてもよいし、水系組成物とは別に準備されていてもよい。
なお、上述した各種パラメータは、特に断りのない限り、実施例に記載の測定方法に準じて測定される。
(実施例1~3)
撹拌装置と温度調節用ジャケットとを取り付けた耐圧反応容器に、表1に示す第1原料を表1に示す仕込み量にて仕込み、内温を85℃に昇温した。次に、表1に示す第2原料を表1に示す仕込み量にて、5時間かけて一定の流速で仕込むとともに、表1に示す第3原料を表1に示す仕込み量にて6時間かけて一定の流速で仕込んだ。次に、温度を85℃に1時間保って、重合反応を完了した。得られた水系組成物に水酸化ナトリムを加えてpHを7に調整し、スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し、固形分濃度を40質量%に調整した。水系組成物は分散液の形態で得られた。
撹拌装置と温度調節用ジャケットとを取り付けた耐圧反応容器に、平均粒子径30nmのポリスチレン製シードラテックス0.5質量部と、表1に示す第1原料とを一括して、表1に示す仕込み量にて仕込み、内温を85℃に昇温した。次に、表1に示す第2原料を表1に示す仕込み量にて、5時間かけて一定の流速で仕込むとともに、表1に示す第3原料を表1に示す仕込み量にて6時間かけて一定の流速で仕込んだ。次に、温度を85℃に1時間保って、重合反応を完了した。得られた水系組成物に水酸化ナトリムを加えてpHを7に調整し、スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し、固形分濃度を50質量%に調整した。水系組成物は分散液の形態で得られた。
撹拌装置と温度調節用ジャケットとを取り付けた耐圧反応容器に、平均粒子径30nmのポリスチレン製シードラテックス2質量部と、表1に示す第1原料とを一括して、表1に示す仕込み量にて仕込み、内温を85℃に昇温した。次に、表1に示す第2原料を表1に示す仕込み量にて、5時間かけて一定の流速で仕込むとともに、表1に示す第3原料を表1に示す仕込み量にて6時間かけて一定の流速で仕込んだ。次に、温度を85℃に1時間保って、重合反応を完了した。得られた水系組成物に水酸化ナトリムを加えてpHを7に調整し、スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し、固形分濃度を50質量%に調整した。水系組成物は分散液の形態で得られた。
校正したガラス電極式水素イオン濃度指示計(東亜DKK株式会社製HM-30R)の電極を水系組成物に浸し、値が安定したのちの水素イオン濃度指示計の支持する数値を読むことで測定した。結果を表2に示す。
ブラウン運動している微粒子に光を当て、粒子から戻ってくる光(後方散乱光)の振動数(光の周波数)の変化量から、微粒子の粒子径を求める方法で体積平均粒子径(nm)を測定した。測定装置はマイクロトラックUPA150(日機装株式会社)を用いた。結果を表2に示す。
水系組成物を100℃で1時間乾燥を行い、フィルムを作成した。このフィルムを高感度示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製DSC-7020)を用いて、温度-75℃から+115℃まで、昇温速度15℃/minで測定した。ガラス転移温度は、DSC曲線を更に温度で微分した、DDSC曲線のピーク位置をもってガラス転移温度とした。結果を表2に示す。
(非硬化塗膜)
水系組成物を20μmの厚さになるようにガラス板に塗布した。その後、130℃で30分間加熱し、25℃で3日間乾燥し、非硬化塗膜を得た。
水系組成物24質量部に、水10質量部、及び架橋剤としてイソシアネート系硬化剤であるヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成社製、WT30-100)6質量部を添加し、混合撹拌した。次いで、この組成物を20μmの厚さになるようにガラス板に塗布した。その後、130℃で30分間加熱し、25℃で3日間乾燥し、硬化塗膜を得た。
非硬化塗膜及び硬化塗膜のケーニッヒ硬度を、ペンデュラム硬度試験機(Therminport Quality Control社製のSPO500)によって、ケーニッヒ振り子(ステンレス製200g)を用いて測定した。測定開始角度を6°とし、測定終了角度が3°を下回るまでの振り子の往復回数をケーニッヒ硬度(回)とした。結果を表2に示す。
せん断強さは、JISK6852-1994に記載の「接着剤の圧縮せん断接着強さ試験方法」に準じて測定した。すなわち、決められた接着面積(せん断面積)に決められた量の接着剤を塗布し、接着面と平行な方向に圧縮荷重をかけ、試験片が破断するまでの最大荷重を測定し、せん断面積で除した値をせん断強さとした。
◎:25N/mm2以上
〇:20N/mm2以上25N/mm2未満
×:20N/mm2未満
Claims (5)
- 水酸基含有不飽和単量体単位(A)及び脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)を有する共重合体、並びに
水、
を含む、水系組成物であって、
ヘキサメチレンジイソシアネートによって硬化された前記水系組成物の塗膜のケーニッヒ硬度が、ヘキサメチレンジイソシアネートによって硬化されていない前記水系組成物の塗膜のケーニッヒ硬度の2.0倍以上となり、
前記水酸基含有不飽和単量体単位(A)が、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及び3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上であり、
前記脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)が、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-クロロ-1,3-ブタジエン(クロロプレン)、1,3-ペンタジエン、及びシクロペンタジエンからなる群より選ばれる1種以上であり、
前記共重合体が、前記共重合体を構成する単量体単位の総量を100質量部とした場合、
20質量部以上35質量部以下の前記水酸基含有不飽和単量体単位(A)、
10質量部以上55質量部以下の前記脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)、及び
0質量部以上75質量部以下の重合性不飽和単量体単位(C)、
を有し、
前記重合性不飽和単量体単位(C)が、前記水酸基含有不飽和単量体単位(A)及び前記脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)と異なる、前記水系組成物。 - イソシアネート系硬化剤を更に含む、請求項1に記載の水系組成物。
- 前記共重合体の平均粒子径が、40nm~250nmである、請求項1又は2に記載の水系組成物。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の水系組成物の硬化物からなる塗膜。
- 接着剤用である請求項4に記載の塗膜。
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