JP2019077734A - 共重合体ラテックス及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]
水酸基を含有する水酸基含有不飽和単量体単位(A)を含有し、
乾燥被膜のトルエン不溶分率(G)及びトルエン膨潤度(S)が下記式(1)を満たす、共重合体ラテックス。
S≧−0.25G+32.5(但し、50≦G≦99)…(1)
[2]
脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)を含有する[1]の共重合体ラテックス。
[3]
下記式(2)で表される乾燥被膜の吸水率(A)が、25%以上である、[1]又は[2]の共重合体ラテックス。
A=100×W(g)/V(g)…(2)
W:乾燥被膜を23℃の水に浸漬してから2時間後の質量
V:乾燥被膜の浸漬前の質量
[4]
JIS K 6251に基づいて測定される乾燥被膜の切断時伸びが1200%以上である、[1]〜[3]のいずれかの共重合体ラテックス。
[5]
水酸基を含有する水酸基含有不飽和単量体(a)と、該水酸基含有不飽和単量体(a)と共重合可能なその他の重合性不飽和単量体(b)とを仕込み、水酸基含有不飽和単量体(a)の仕込み量が、単量体の仕込み総量100質量部に対し、15質量部以上35質量部以下となるように重合させる重合工程を含む共重合体ラテックスの製造方法。
[6]
前記その他の重合性不飽和単量体(b)が、脂肪族共役ジエン系単量体(b1)を含み、前記脂肪族共役ジエン系単量体(b1)の仕込み量が、単量体の仕込み総量100質量部に対し、10質量部以上65質量部以下である、[5]の共重合体ラテックスの製造方法。
[7]
前記その他の重合性不飽和単量体(b)が、酸性官能基を含有する酸性官能基含有不飽和単量体(b2)を含み、前記酸性官能基含有不飽和単量体(b2)の仕込み量が、単量体の仕込み総量100質量部に対し、5質量部以下である、[5]又は[6]の共重合体ラテックスの製造方法。
本実施形態の共重合体ラテックス(以下、単に「ラテックス」ともいう。)は、水酸基を含有する水酸基含有不飽和単量体単位(A)を含有し、乾燥被膜のトルエン不溶分率(G)及びトルエン膨潤度(S)が下記式(1)を満たす。
S≧−0.25G+32.5(但し、50≦G≦99)…(1)
本実施形態の水酸基含有不飽和単量体単位(A)としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、及び2−ヒドロキシエチルメチルフマレートからなる群より選ばれる1種以上の水酸基含有不飽和単量体(a)に由来する単位が挙げられる。これらの中でも、吸水性及び引張伸度をバランスよく一層向上できる観点から、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の水酸基含有不飽和単量体(a)に由来する単位が好ましく、ヒドロキエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の水酸基含有不飽和単量体(a)に由来する単位がより好ましい。
本実施形態の共重合体ラテックスは、例えば、水酸基含有不飽和単量体単位(A)以外のその他の単量体単位(B)を含有する。その他の単量体単位(B)としては、水酸基含有不飽和単量体と共重合可能な単量体(b)(「その他の単量体(b)」ともいう。)由来の単位であればよく、例えば、脂肪族共役ジエン系単量体(b1)、酸性官能基を含有する酸性官能基含有不飽和単量体(b2)、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体(b3)、芳香族ビニル単量体(b4)、シアン化ビニル単量体(b5)、無水マレイン酸単量体、(メタ)アクリルアミド単量体、ビニルエステル単量体、ビニルエーテル単量体、ハロゲン化ビニル単量体、アミノ基を含有するアミノ基含有塩基性単量体、ビニルピリジン単量体、オレフィン単量体、ケイ素を含有するケイ素含有α,β−不飽和性単量体、及びアリル単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単位が挙げられ、水酸基含有不飽和単量体と共重合可能な単量体(b)(「その他の単量体(b)」ともいう。)由来の単位であればよく、例えば、脂肪族共役ジエン系単量体(b1)、酸性官能基を含有する酸性官能基含有不飽和単量体(b2)、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体(b3)、芳香族ビニル単量体(b4)、及びシアン化ビニル単量体(b5)からなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単位であることが好ましい。本実施形態の共重合体ラテックスは、脂肪族共役ジエン系単量体単位を含有するジエン系共重合体ラテックスであってもよく、脂肪族共役ジエン系単量体単位を含有しない非ジエン系共重合体ラテックス(例えば、アクリル系共重合体ラテックス等)であってもよい。
本実施形態の共重合体ラテックスは、ラテックスの成膜性をより一層向上できる観点から、脂肪族共役ジエン系単量体単位(B1)を含有することが好ましい。脂肪族共役ジエン系単量体単位(B1)としては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2−クロロ−1,3−ブタジエン(クロロプレン)、1,3−ペンタジエン、及びシクロペンタジエンからなる群より選ばれる1種以上の脂肪族共役ジエン系単量体(b1)に由来する単位が挙げられる。これらの中でも、入手容易性の観点から、1,3−ブタジエンに由来する単位が好ましい。
本実施形態の共重合体ラテックスは、分散安定性の観点から、酸性官能基含有不飽和単量体単位(B2)を含有することが好ましい。酸性官能基含有不飽和単量体単位(B2)としては、特に限定されないが、例えば、一塩基酸単量体、及び二塩基酸単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単位が挙げられる。
本実施形態の共重合体ラテックスは、得られるラテックス乾燥皮膜の使用目的に応じて、物性(例えば、ガラス転移温度(Tg)及び溶解性パラメーター(sp値))を適宜調整するために、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位(B3)を含有してもよい。不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位(B3)としては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジグリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メトキシポリエチリングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリグリコール(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、及びイソボルニル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単位が挙げられる。
本実施形態の共重合体ラテックスは、得られるラテックス乾燥皮膜の使用目的に応じて、物性(例えば、ガラス転移温度(Tg)及び溶解性パラメーター(sp値))を適宜調整するために、芳香族ビニル単量体単位(B4)を含有してもよい。芳香族ビニル単量体単位(B4)としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、及びトリビニルベンゼンからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単量体単位が挙げられる。
本実施形態の共重合体ラテックスは、得られるラテックス乾燥皮膜の使用目的に応じて、物性(例えば、ガラス転移温度(Tg)及び溶解性パラメーター(sp値))を適宜調整するために、シアン化ビニル単量体単位(B5)を含有してもよい。シアン化ビニル単量体単位(B5)としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロニトリルに由来する単量体単位が挙げられる。
本実施形態の共重合体ラテックスのトルエン不溶分率(G)は、50%以上99%以下であることが好ましく、55%以上95%以下であることがより好ましく、60%以上90%以下であることがさらに好ましい。トルエン不溶分率が50%以上であることにより、共重合体ラテックスの機械的強度がより一層優れる傾向にあり、トルエン不溶分率が99%以下であることにより、共重合体ラテックスの成膜性がより一層優れるとともに、乾燥皮膜の引張伸度がより一層向上する傾向にある。
本実施形態の共重合体ラテックスは、乾燥被膜のトルエン不溶分率(G)及びトルエン膨潤度(S)が下記式(1)を満たす。これにより、乾燥被膜の吸水率と引張伸度とをバランスよく向上できる。なお、トルエン不溶分率(G)及びトルエン膨潤度(S)は、後述の実施例に記載の方法により算出できる。
S≧−0.25G+32.5(但し、50≦G≦99)…(1)
本実施形態の共重合体ラテックスの乾燥被膜は、優れた吸水性を有しており、共重合体ラテックスは、例えば、下記式(2)で表される乾燥被膜の吸水率を大きくできる。吸水率は、25%以上(例えば、25%以上300%以下)であることが好ましく、27%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。吸水率のより詳細な測定方法は、例えば、後述する実施例に記載の方法を援用できる。
A(%)=100×W(g)/V(g)…(2)
W:乾燥被膜を23℃の水に浸漬してから2時間後の質量
V:乾燥被膜の浸漬前の質量
本実施形態の共重合体ラテックスの乾燥被膜は、優れた引張伸度を有しており、JIS K 6251に基づいて測定される乾燥被膜の切断時伸びを大きくできる。切断時伸びは、1200%以上(例えば、1200%以上4000%以下)であることが好ましく、1220%以上であることがより好ましく、1240%以上であることがさらに好ましい。
本実施形態の共重合体ラテックスの乾燥被膜は、例えば、JIS K 6251に基づいて測定される引張強さを大きくできる。引張強さは、0.5以上(例えば、0.5以上4.0以下)であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることがさらに好ましい。
チャック間距離:50mm
試験力容量:100N
試験温度:23℃、60%RH
伸び率:ダンベル状3号型の標線間距離を基準にした初期に対する比率(%)
応力:JIS K−6251記載の用語の定義でされる応力で、単位はMPa
引張強さ:試験片を切断するまで引っ張ったときに記録される最大の引張力を試験片の初期断面積で除した値
本実施形態の共重合体ラテックスのガラス転移温度Tgは、−60℃以上40℃以下であることが好ましく、−50℃以上10℃以下であることがより好ましい。−60℃以上であることにより、乾燥皮膜の強度がより一層優れる傾向にあり、40℃以下であることにより、共重合体ラテックスの成膜性に問題が生じない傾向にある。
本実施形態の共重合体ラテックスの製造方法は、水酸基を含有する水酸基含有不飽和単量体(a)と、該水酸基含有不飽和単量体(a)と共重合可能なその他の重合性不飽和単量体(b)とを仕込み、水酸基含有不飽和単量体(a)の仕込み量が、単量体の仕込み総量100質量部に対し、15質量部以上35質量部以下となるように重合させる重合工程を含む。本実施形態の製造方法では、水酸基含有不飽和単量体(a)を上記の仕込み量で重合させることにより、得られる共重合体ラテックスの乾燥皮膜は、前記式(1)を満たすことができ、吸水性と引張伸度とをバランスよく向上できる。
また、本実施形態の製造方法では、水酸基含有不飽和単量体を上記の仕込み量で重合させているため、粘度が過度に上昇することがないため、製造工程上取り扱い性に優れる。
水酸基含有不飽和単量体(a)としては、<水酸基含有不飽和単量体単位(A)>の項において例示した水酸基含有不飽和単量体(a)が例示できる。水酸基含有不飽和単量体(a)の仕込み量は、単量体の仕込み総量100質量部に対し、15質量部以上35質量部以下である。仕込み量が15質量部以上であることにより、得られるラテックスの乾燥被膜の吸水性が向上するとともに、前記式(1)を満たすことができ、引張伸度を向上できる。一方、仕込み量が35質量部以下であることにより、粘度の上昇を過度に抑えることができ、この結果、製造工程上の取扱い性に優れるとともに前記式(1)を満たすことができる。同様の観点から、含有量は、15質量部以上30質量部以下であることが好ましく、15質量部以上25質量部以下であることがより好ましい。
その他の重合性不飽和単量体(b)(以下、単に「その他の単量体(b)」ともいう。)としては、<その他の単量体単位(B)>の項において例示したその他の単量体(b)が例示でき、脂肪族共役ジエン系単量体(b1)、酸性官能基を含有する酸性官能基含有不飽和単量体(b2)、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体(b3)、芳香族ビニル単量体(b4)、及びシアン化ビニル単量体(b5)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
その他の重合性不飽和単量体(b)は、得られるラテックスの成膜性をより一層向上できる観点から、脂肪族共役ジエン系単量体(b1)を含むことが好ましい。脂肪族共役ジエン系単量体(b1)としては、<脂肪族共役ジエン系単量体単位(B1)>の項において例示した脂肪族共役ジエン系単量体(b1)が例示できる。
脂肪族共役ジエン系単量体(b1)の仕込み量は、単量体の仕込み総量100質量部に対し、10質量部以上65質量部以下であることが好ましい。仕込み量が10質量部以上であることにより、得られるラテックスの成膜性がより一層向上できる傾向にあり、仕込み量が65質量以下であることにより、得られるラテックスの乾燥被膜のトルエン膨潤度をより一層向上できる傾向にある。同様の観点から、仕込み量は、20質量部以上60質量部以下であることが好ましく、40質量部以上55質量部以下であることがより好ましい。
界面活性剤としては、従来公知のアニオン、カチオン、両性及び非イオン性の界面活性剤を用いることができる。これらの中でも、界面活性剤は、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤であることが好ましい。これらの界面活性剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、分子中にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などのラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤を用いてもよい。反応性乳化剤は、初期張り原料、単量体原料、及び水溶性原料のいずれに含まれていてもよい。また、反応性乳化剤を仕込む場合、単量体の仕込み総量に反応性乳化剤の仕込み量も含まれる。
本実施形態の重合開始剤は、熱又は還元性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるラジカル重合開始剤であれば特に限定されず、無機系ラジカル重合開始剤及び有機系ラジカル重合開始剤のいずれも使用できる。ラジカル重合開始剤の具体例としては、水溶性又は油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられ、また、これら以外にも、POLYMER HANDBOOK (3rd edition)、J.Brandrup及びE.H.Immergut著、John Willy&Sons刊(1989)のラジカル重合開始剤として記載された化合物も挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合反応抑制剤としては、乳化重合系に添加することにより、ラジカル重合速度を低下させることができる化合物が挙げられ、重合速度遅延剤、重合禁止剤、ラジカル再開始反応性が低い連鎖移動剤、及びラジカル再開始反応性が低い単量体が挙げられる。
連鎖移動剤としては、特に限定されないが、硫黄元素を含む連鎖移動剤が挙げられ、より具体的には、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、等のアルカンチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール等のチオアルキルアルコール、チオグリコール酸、チオプロピオン酸等のチオアルキルカルボン酸、チオグリコール酸オクチルエステル、チオプロピオン酸オクチルエステル等のチオカルボン酸アルキルエステル、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド等のスルフィド等が挙げられる。また、ターピノーレン、ジペンテン、t−テルピネン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。これらの連鎖移動剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
トルエン不溶分率(G)及びトルエン膨潤度(S)は、以下の方法にて測定した。すなわち、まず、得られた各共重合体ラテックスの分散液を、130℃、30分間乾燥させ、乾燥皮膜を得た。次に、得られた乾燥皮膜を0.5g取り、25℃のトルエン30mLに浸漬させ、振とう器を用いて3時間振とうさせ、320SUSメッシュを用いて濾過し、メッシュの不通過分の重量X(g)を測定した。次に、この不通過分を130℃、1時間乾燥させた後、重量Y(g)を測定した。測定したX(g)及びY(g)を用いて、下記式(1a)及び(1b)にてトルエン不溶分率(G)及びトルエン膨潤度(S)を算出した。
トルエン不溶分率G(%)=Y(g)/0.5(g)×100…(1a)
トルエン膨潤度S=X(g)/Y(g)…(1b)
得られた各共重合体ラテックスを23℃、湿度60%RHにて3日間乾燥し、厚さ0.5mmの乾燥皮膜を調製した。さらに90℃、30分間加熱して完全に乾燥した後、この乾燥皮膜を5×5cmに切り出し、その質量V(g)を測定した。この乾燥皮膜を23℃の水に浸漬し、浸漬してから2時間後の質量W(g)を測定した。吸水率は下記式(2)により算出した。
吸水率(%)=100×W(g)/V(g)…(2)
得られた各共重合体ラテックスをフィルムアプリケーターで薄膜化して乾燥させた。乾燥は、23℃、湿度60%RHの条件下で48時間放置した。次に、乾燥後の薄膜に対し、90℃、30分間加熱処理を施すことで、厚さ0.3mm以上0.5mm以下のラテックス乾燥皮膜を得た。得られた乾燥皮膜について、厚さ以外はJIS K−6251に記載のダンベル状3号型の形状及び寸法に打ち抜いて試験片とした。この試験片を、乾燥用シリカゲルを設置したデシケーター中で24時間以上放置した後、マイクロメーターにより試験片の正確な厚みを測定後、引張圧縮試験機を用いて500mm/minの引っ張り速度で試験することにより、引張応力及び伸び率(変位)を測定した。引張圧縮試験機:TECHNO GRAPH TG−20kN(ミネベア株式会社製品)を使用した。得られた測定結果に基づき、引張強さ、及び切断時伸び(ラテックス皮膜が切断した時の伸び率)を求めた。なお、引張応力及び切断時伸び率の測定時の試験条件等は以下の通りとした。
(試験条件等)
チャック間距離:50mm
試験力容量:100N
試験温度:23℃、60%RH
伸び率:ダンベル状3号型の標線間距離を基準にした初期に対する比率(%)
応力:JIS K−6251記載の用語の定義による応力で、単位はMPa
引張強さ:試験片を切断するまで引っ張ったときに記録される最大の引張力を試験片の初期断面積で除した値
Claims (7)
- 水酸基を含有する水酸基含有不飽和単量体単位(A)を含有し、
乾燥被膜のトルエン不溶分率(G)及びトルエン膨潤度(S)が下記式(1)を満たす、共重合体ラテックス。
S≧−0.25G+32.5(但し、50≦G≦99)…(1) - 脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)を含有する請求項1記載の共重合体ラテックス。
- 下記式(2)で表される乾燥被膜の吸水率(A)が、25%以上である、請求項1又は2記載の共重合体ラテックス。
A=100×W(g)/V(g)…(2)
W:乾燥被膜を23℃の水に浸漬してから2時間後の質量
V:乾燥被膜の浸漬前の質量 - JIS K 6251に基づいて測定される乾燥被膜の切断時伸びが1200%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の共重合体ラテックス。
- 水酸基を含有する水酸基含有不飽和単量体(a)と、該水酸基含有不飽和単量体(a)と共重合可能なその他の重合性不飽和単量体(b)とを仕込み、水酸基含有不飽和単量体(a)の仕込み量が、単量体の仕込み総量100質量部に対し、15質量部以上35質量部以下となるように重合させる重合工程を含む共重合体ラテックスの製造方法。
- 前記その他の重合性不飽和単量体(b)が、脂肪族共役ジエン系単量体(b1)を含み、前記脂肪族共役ジエン系単量体(b1)の仕込み量が、単量体の仕込み総量100質量部に対し、10質量部以上65質量部以下である、請求項5記載の共重合体ラテックスの製造方法。
- 前記その他の重合性不飽和単量体(b)が、酸性官能基を含有する酸性官能基含有不飽和単量体(b2)を含み、前記酸性官能基含有不飽和単量体(b2)の仕込み量が、単量体の仕込み総量100質量部に対し、5質量部以下である、請求項5又は6に記載の共重合体ラテックスの製造方法。
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