JP7280061B2 - 水系組成物、塗膜、及び水系組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、耐水性に優れた塗膜を形成する水系組成物、塗膜、及び水系組成物の製造方法を提供することを目的とする。
[1]
共重合体を含む、水系組成物であって、
前記水系組成物と炭酸カルシウムとポリビニルアルコールとの混合物に、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートを添加し30分放置した後の粘度が、添加直後の粘度の5.8倍以下となる、前記水系組成物。
[2]
前記共重合体が、前記共重合体を構成する単量体単位の総量を100質量部とした場合、
10質量部以上35質量部以下の水酸基含有不飽和単量体単位(A)、
10質量部以上65質量部以下の脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)、及び
0質量部以上75質量部以下の重合性不飽和単量体単位(C)、
を有し、
前記重合性不飽和単量体単位(C)が、前記水酸基含有不飽和単量体単位(A)及び前記脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)と異なる、
[1]に記載の水系組成物。
[3]
前記重合性不飽和単量体単位(C)が、前記共重合体を構成する単量体単位の総量を100質量部とした場合、0.01質量部以上0.1質量部以下の酸性官能基含有不飽和単量体単位を含む、[2]に記載の水系組成物。
[4]
イソシアネート系硬化剤を更に含む、[1]~[3]のいずれかに記載の水系組成物。
[5]
前記共重合体の平均粒子径が、150nm~250nmである、[1]~[4]のいずれかに記載の水系組成物。
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載の水系組成物の硬化物からなる塗膜。
[7]
建築材料用である[6]記載の塗膜。
[8]
[1]~[5]のいずれかに記載の水系組成物の製造方法であって、
水酸基含有不飽和単量体及び脂肪族共役ジエン系単量体を重合する重合工程を含み、
前記重合工程を実施する前に、前記製造方法で使用される水酸基含有不飽和単量体の全量が前記脂肪族共役ジエン系単量体と混合される、前記製造方法。
本実施形態は、共重合体を含む、水系組成物であって、前記水系組成物と炭酸カルシウムとポリビニルアルコールとの混合物に、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートを添加し30分放置した後の粘度が、添加直後の粘度の5.8倍以下となる、前記水系組成物に関する。
本実施形態の共重合体は、耐水性を向上させる観点から、水酸基含有不飽和単量体単位(A)を有することが好ましい。
本実施形態の水酸基含有不飽和単量体単位(A)としては、特に限定されないが、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ-(エチレングリコール)マレエート、ジ-(エチレングリコール)イタコネート、2-ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2-ヒドロキシエチル)マレエート、及び2-ヒドロキシエチルメチルフマレートからなる群より選ばれる1種以上の水酸基含有不飽和単量体に由来する単位が挙げられる。
これらの中でも、耐水性を一層向上できる観点から、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の水酸基含有不飽和単量体に由来する単位が好ましく、ヒドロキエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の水酸基含有不飽和単量体に由来する単位がより好ましい。
なお、水酸基含有不飽和単量体単位(A)の原料となる水酸基含有不飽和単量体を以下、「原料成分(a)」と記載することがある。
本実施形態の共重合体は、耐水性を向上させる観点から、脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)を有することが好ましい。
脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)としては、特に限定されないが、例えば、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-クロロ-1,3-ブタジエン(クロロプレン)、1,3-ペンタジエン、及びシクロペンタジエンからなる群より選ばれる1種以上の脂肪族共役ジエン系単量体に由来する単位が挙げられる。これらの中でも、入手容易性の観点から、1,3-ブタジエンに由来する単位が好ましい。
なお、脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)の原料となる脂肪族共役ジエン系単量体を以下、「原料成分(b)」と記載することがある。
本実施形態の重合性不飽和単量体単位(C)は、水酸基含有不飽和単量体単位(A)及び脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)とは異なる単量体単位である。また、重合性不飽和単量体単位(C)は、水酸基含有不飽和単量体単位(A)及び脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)の、少なくとも一方と共重合可能な化合物に由来する単位であればよい。
なお、重合性不飽和単量体単位(C)の原料となる重合性不飽和単量体を以下、「原料成分(c)」と記載することがある。
重合性不飽和単量体単位(C)としては、例えば、酸性官能基含有不飽和単量体単位(C1)、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位(C2)、芳香族ビニル単量体単位(C3)、シアン化ビニル単量体単位(C4)、無水マレイン酸単量体、(メタ)アクリルアミド単量体、ビニルエステル単量体、ビニルエーテル単量体、ハロゲン化ビニル単量体、アミノ基含有塩基性単量体、ビニルピリジン単量体、オレフィン単量体、ケイ素含有α,β-不飽和性単量体、及びアリル単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単位が挙げられる。
本実施形態の共重合体は、重合初期の分散安定性の観点から、酸性官能基含有不飽和単量体単位(C1)を有することが好ましい。酸性官能基含有不飽和単量体単位(C1)としては、特に限定されないが、例えば、一塩基酸単量体、及び二塩基酸単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単位が挙げられる。
本実施形態の共重合体は、塗膜の物性(例えば、ガラス転移温度(Tg)及び溶解性パラメーター(sp値))を適宜調整するために、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位(C2)を有してもよい。不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位(C2)としては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エチル-ヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジグリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メトキシポリエチリングリコール(メタ)アクリレート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリグリコール(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、及びイソボルニル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単位が挙げられる。
本実施形態の共重合体は、塗膜の物性(例えば、ガラス転移温度(Tg)及び溶解性パラメーター(sp値))を適宜調整するために、芳香族ビニル単量体単位(C3)を有してもよい。芳香族ビニル単量体単位(C3)としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p-t-ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、及びトリビニルベンゼンからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単量体単位が挙げられる。
本実施形態の共重合体は、塗膜の物性(例えば、ガラス転移温度(Tg)及び溶解性パラメーター(sp値))を適宜調整するために、シアン化ビニル単量体単位(C4)を有してもよい。シアン化ビニル単量体単位(C4)としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロニトリルに由来する単量体単位が挙げられる。
本実施形態の水系組成物は、イソシアネート系硬化剤(架橋剤)を更に含んでいてもよい。イソシアネート系硬化剤は、2個以上のイソシアネート基を有することが好ましい。イソシアネート系硬化剤としては、例えば、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水素化物、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリメチロールプロパン-トリレンジイソシアネートアダクト、ジフェニルメタンジイソシアネート[MDI(メチレンジ(4-フェニルイソシアネート)、クルードMDIを含む)]及びその水素化物、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4、4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。これらに高沸点溶剤等を配合したものも使用できる。また、ポリエステル等のポリオールに上記イソシアネート系硬化剤を過剰に混合したもの、ポリオールと過剰のポリイソシアネートとで予めポリマー化したOH基末端プレポリマー、過剰のポリオールで予めポリマー化したOH基末端プレポリマーにポリイソシアネート系硬化剤を過剰に加えたもの、ノニオン界面活性剤を含有するポリイソシアネート等も使用できる。
本実施形態の水系組成物は、イソシアネート系硬化剤と混合した後に所定の粘度を有する。具体的には、水系組成物と炭酸カルシウムとポリビニルアルコールとの混合物に、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートを添加し30分放置した後の粘度(以下「30分後粘度」という。)が、添加直後の粘度(以下「直後粘度」という。)の5.8倍以下である。直後粘度に対する30分後粘度の比率(以下「粘度上昇率」という。)が低いほど、前記混合物に含まれる共重合体とイソシアネート系硬化剤との反応(架橋)速度が遅いことを意味する。反応速度が遅いほど、架橋反応に関与しない共重合体の単量体単位が共重合体粒子の外側に移動することによって、水接触角が大きくなる傾向にあり、これにより耐水性が向上する。
一般にOH基を多量持つポリマーは接触角が低く耐水性が悪い。そして耐水性を向上させる手段として、本実施形態においては硬化剤配合後の粘度上昇率を規定する。本実施形態における共重合体にはOH基を持つモノマー由来の部分と持たないモノマー由来の部分が含まれるが、OH基を持つモノマー由来の部分が選択的に粒子内部に取り込まれた構造となっているので、架橋反応が進行しづらく粘度上昇率が低い。
本実施形態においては粘度上昇率が一定値以下である水系組成物を採用することにより、親水性に悪影響がある部分が粒子内部に取り込まれていることで高い接触角が実現されるものと考えられる。
30分後粘度としては、例えば、6.0Pa・s~50.0Pa・s、8.0Pa・s~40.0Pa・s、10.0Pa・s~30.0Pa・s等が挙げられ、より具体的には16.6Pa・s~16.7Pa・s、25.8Pa・s~25.9Pa・s、11.6Pa・s~11.7Pa・s等が挙げられる。
本実施形態の水系組成物は、大きい水接触角を有する塗膜を形成することが好ましい。水接触角が大きい塗膜は耐水性に優れる。塗膜の水接触角は、好ましくは65°以上であり、より好ましくは70°以上であり、更に好ましくは80°以上である。塗膜の水接触角の上限は、特に限定されないが、例えば、130°、110°、90°等としてもよい。塗膜の水接触角は、実施例に記載の方法で測定する。
本実施形態の共重合体の平均粒子径としては、好ましくは100nm~600nm、より好ましくは150nm~500nm、更に好ましくは150nm~250nm、特に好ましくは150nm~220nmである。平均粒子径が100nm以上であることにより、架橋剤との反応速度を緩やかにできる。平均粒子径が600nm以下であることにより、ラテックス粒子の沈降を防ぐことができる。
共重合体の平均粒子径は、シードラテックス、界面活性剤を所望の割合で使用することにより調整できる。通常、その使用量を大きくすることにより、共重合体の平均粒子径は小さくなる傾向にある。
本実施形態の共重合体は、好ましくは75~95%、より好ましくは80~90%のゲル分率を有する。ゲル分率が75%以上であることにより、架橋剤との反応速度を緩やかにできる。ゲル分率が95%以下であることにより、架橋反応が効率的に進行する。
本実施形態の共重合体ラテックスのガラス転移温度Tgは、-60℃以上40℃以下であることが好ましく、-50℃以上10℃以下であることがより好ましい。ガラス転移温度Tgが-60℃以上であることにより、ラテックスを重合する際の機械的安定性を確保できる。ガラス転移温度Tgが40℃以下であることにより、良好な製膜性が得られる。
本実施形態の水系組成物の製造方法は、水酸基含有不飽和単量体、及び脂肪族共役ジエン系単量体を重合する重合工程を含み、前記重合工程を実施する前に、前記製造方法で使用される水酸基含有不飽和単量体の全量が前記脂肪族共役ジエン系単量体と混合される。全量の水酸基含有不飽和単量体を重合工程の実施前に加えることにより、水酸基含有不飽和単量体がラテックス粒子の内側に存在できるようになり、粘度上昇率を低下させることができる。
界面活性剤としては、従来公知のアニオン、カチオン、両性及び非イオン性の界面活性剤を用いることができる。これらの中でも、界面活性剤は、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤であることが好ましい。これらの界面活性剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
分子中にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などのラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤を用いてもよい。反応性乳化剤は、第1原料~第3原料のいずれに含まれていてもよい。また、反応性乳化剤を仕込む場合、単量体の仕込み総量に反応性乳化剤の仕込み量も含まれる。
重合開始剤は、熱又は還元性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるラジカル重合開始剤であれば特に限定されず、無機系ラジカル重合開始剤及び有機系ラジカル重合開始剤のいずれも使用できる。ラジカル重合開始剤の具体例としては、水溶性又は油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2-アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられ、また、これら以外にも、POLYMER HANDBOOK (3rd edition)、J.Brandrup及びE.H.Immergut著、John Willy&Sons刊(1989)のラジカル重合開始剤として記載された化合物も挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合反応抑制剤としては、乳化重合系に添加することにより、ラジカル重合速度を低下させることができる化合物が挙げられ、重合速度遅延剤、重合禁止剤、ラジカル再開始反応性が低い連鎖移動剤、及びラジカル再開始反応性が低い単量体が挙げられる。
連鎖移動剤としては、特に限定されないが、硫黄元素を含む連鎖移動剤が挙げられ、より具体的には、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、等のアルカンチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール等のチオアルキルアルコール、チオグリコール酸、チオプロピオン酸等のチオアルキルカルボン酸、チオグリコール酸オクチルエステル、チオプロピオン酸オクチルエステル等のチオカルボン酸アルキルエステル、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド等のスルフィド等が挙げられる。また、ターピノーレン、ジペンテン、t-テルピネン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。これらの連鎖移動剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の塗膜は、前記水系組成物をイソシアネート系硬化剤によって硬化した塗膜である。イソシアネート系硬化剤は、水系組成物中に含有されていてもよいし、水系組成物とは別に準備されていてもよい。
なお、上述した各種パラメータは、特に断りのない限り、実施例に記載の測定方法に準じて測定される。
(実施例1~3)
撹拌装置と温度調節用ジャケットとを取り付けた耐圧反応容器に、表1に示す第1原料を表1に示す仕込み量にて仕込み、内温を85℃に昇温した。次に、表1に示す第2原料を表1に示す仕込み量にて、5時間かけて一定の流速で仕込むとともに、表1に示す第3原料を表1に示す仕込み量にて6時間かけて一定の流速で仕込んだ。次に、温度を85℃に1時間保って、重合反応を完了した。得られた水系組成物に水酸化ナトリムを加えてpHを7に調整し、スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し、固形分濃度を40質量%に調整した。水系組成物は分散液の形態で得られた。
撹拌装置と温度調節用ジャケットとを取り付けた耐圧反応容器に、表1に示す第1原料を表1に示す仕込み量にて仕込み、内温を85℃に昇温した。次に、表1に示す第2原料を表1に示す仕込み量にて、5時間かけて一定の流速で仕込むとともに、表1に示す第3原料を表1に示す仕込み量にて6時間かけて一定の流速で仕込んだ。次に、温度を85℃に1時間保って、重合反応を完了した。得られた水系組成物に水酸化ナトリムを加えてpHを7に調整し、スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し、固形分濃度を50質量%に調整した。水系組成物は分散液の形態で得られた。
(配合物の調製)
15質量%に調整したポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、ポバール217)水溶液40質量部、炭酸カルシウム40質量部、及び前記水系組成物40質量部を混合撹拌し、ベースコンパウンドを作成した。次いで、このベースコンパウンドに硬化剤としてジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート12質量部を添加し、スリーワンモーターを使用し、500回転で2分間攪拌した。
攪拌終了後1分以内の粘度、及び攪拌終了後から25℃で30分放置した後の粘度を、B型粘度計(TVB-10型)及びローターNo.H7のローターを用いて、回転速度60rpm及び測定温度25℃の条件で測定した。結果を表2に示す。
前記粘度の測定時と同様、配合物を調整し、20μmの厚さになるようにポリプロピレンシートに塗布した。その後、25℃で3日間乾燥し、塗膜を得た。この塗膜に水滴を1滴たらした際の接触角をKYOWA製の接触角計PCA-1によって測定した。結果を表3に示す。
ブラウン運動している微粒子に光を当て、粒子から戻ってくる光(後方散乱光)の振動数(光の周波数)の変化量から、微粒子の粒子径を求める方法で体積平均粒子径(nm)を測定した。測定装置はマイクロトラックUPA150(日機装株式会社)を用いた。
テフロン(登録商標)シート上で前記水系組成物サンプル約1gを130℃で30分乾燥した。乾燥したサンプルを約0.5g精秤し、30mlのトルエンが入った容器に入れ、振とう器で3時間振とうした。振とう後のトルエン分散液を325メッシュのステンレス金網で濾過し、濾過残さ量を130℃で1時間乾燥して測定した。トルエン不溶分は乾燥サンプル重量に対する濾過残さ乾燥重量の割合(重量%)から求めた。
水系組成物を100℃で1時間乾燥を行い、フィルムを作成した。このフィルムを高感度示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製DSC-7020)を用いて、温度-75℃から+115℃まで、昇温速度15℃/minで測定した。ガラス転移温度は、DSC曲線を更に温度で微分した、DDSC曲線のピーク位置をもってガラス転移温度とした。
Claims (5)
- 共重合体を含む、水系組成物であって、
前記共重合体が、前記共重合体を構成する単量体単位の総量を100質量部とした場合、
10質量部以上35質量部以下の水酸基含有不飽和単量体単位(A)、
10質量部以上65質量部以下の脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)、及び
0質量部以上75質量部以下の重合性不飽和単量体単位(C)、
を有し、
前記重合性不飽和単量体単位(C)が、前記水酸基含有不飽和単量体単位(A)及び前記脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)と異なり、
前記重合性不飽和単量体単位(C)が、前記共重合体を構成する単量体単位の総量を100質量部とした場合、0.01質量部以上0.1質量部以下の酸性官能基含有不飽和単量体単位を含み、
前記水系組成物と炭酸カルシウムとポリビニルアルコールとの混合物に、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートを添加し30分放置した後の粘度が、添加直後の粘度の5.8倍以下となる、前記水系組成物。 - イソシアネート系硬化剤を更に含む、請求項1に記載の水系組成物。
- 前記共重合体の平均粒子径が、150nm~250nmである、請求項1又は2に記載の水系組成物。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の水系組成物の硬化物からなる塗膜。
- 建築材料用である請求項4に記載の塗膜。
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