JP7280061B2 - 水系組成物、塗膜、及び水系組成物の製造方法 - Google Patents

水系組成物、塗膜、及び水系組成物の製造方法 Download PDF

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本発明は、水系組成物、塗膜、及び水系組成物の製造方法に関する。
スチレン・ブタジエン系共重合体ラテックス等のラテックスは、塗工紙のバインダー、カーペットの裏打ちバインダー、各種接着剤及び塗料原料に幅広く使用されている。近年、その機械的安定性及び化学的安定性の向上などを目的として、酸性官能基、水酸基を含有する単量体をラテックスの共重合体成分として、少量配合させることによって得られる変性ラテックスが広く普及している(例えば、特許文献1及び2)。
特開2007-154125号公報 特開2003-73427号公報
しかしながら、耐水性能に関し、特に湿潤環境における耐久性を求められる建築分野においては、耐水性が更に向上した塗膜の開発が求められていた。
本発明は、耐水性に優れた塗膜を形成する水系組成物、塗膜、及び水系組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、イソシアネート系硬化剤と混合した後に所定の粘度となる水系組成物が、耐水性に優れた塗膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]
共重合体を含む、水系組成物であって、
前記水系組成物と炭酸カルシウムとポリビニルアルコールとの混合物に、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートを添加し30分放置した後の粘度が、添加直後の粘度の5.8倍以下となる、前記水系組成物。
[2]
前記共重合体が、前記共重合体を構成する単量体単位の総量を100質量部とした場合、
10質量部以上35質量部以下の水酸基含有不飽和単量体単位(A)、
10質量部以上65質量部以下の脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)、及び
0質量部以上75質量部以下の重合性不飽和単量体単位(C)、
を有し、
前記重合性不飽和単量体単位(C)が、前記水酸基含有不飽和単量体単位(A)及び前記脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)と異なる、
[1]に記載の水系組成物。
[3]
前記重合性不飽和単量体単位(C)が、前記共重合体を構成する単量体単位の総量を100質量部とした場合、0.01質量部以上0.1質量部以下の酸性官能基含有不飽和単量体単位を含む、[2]に記載の水系組成物。
[4]
イソシアネート系硬化剤を更に含む、[1]~[3]のいずれかに記載の水系組成物。
[5]
前記共重合体の平均粒子径が、150nm~250nmである、[1]~[4]のいずれかに記載の水系組成物。
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載の水系組成物の硬化物からなる塗膜。
[7]
建築材料用である[6]記載の塗膜。
[8]
[1]~[5]のいずれかに記載の水系組成物の製造方法であって、
水酸基含有不飽和単量体及び脂肪族共役ジエン系単量体を重合する重合工程を含み、
前記重合工程を実施する前に、前記製造方法で使用される水酸基含有不飽和単量体の全量が前記脂肪族共役ジエン系単量体と混合される、前記製造方法。
本発明によれば、耐水性に優れた塗膜を形成する水系組成物、塗膜、及び水系組成物の製造方法を提供することができる。
以下に本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
本明細書において、「単量体」は、共重合体を形成するための原料を意味する。なお、単に「単量体」と記載する場合、「単量体」は共重合体を形成するための全ての種類の単量体を包含する。
本明細書において、「単量体単位」は、共重合体の一部を構成する、単量体に由来する構造単位を意味する。なお、単に「単量体単位」と記載する場合、「単量体単位」は共重合体を構成する全ての種類の構造単位を包含する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、メタアクリレート及びアクリレートの双方を包含する。
[水系組成物]
本実施形態は、共重合体を含む、水系組成物であって、前記水系組成物と炭酸カルシウムとポリビニルアルコールとの混合物に、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートを添加し30分放置した後の粘度が、添加直後の粘度の5.8倍以下となる、前記水系組成物に関する。
本明細書において、「水系組成物」とは、水を含む組成物であって、組成物中で水が連続相を形成している組成物である。水系組成物の水以外の成分は、組成物中で分散相を形成していてもよいし、水中に溶解していてもよい。水の含有量は、特に限定されないが、水系組成物を基準として、20質量%以上90質量%以下、30質量%以上80質量%以下、40質量%以上70質量%以下等としてもよい。
本実施形態の水系組成物は、例えば、塗工紙のバインダー、カーペットの裏打ちバインダー、各種接着剤、塗料、及びモルタル混和剤の原料に好適に用いることができる。
本実施形態の共重合体は、以下で説明する単量体単位を有することができる。
<水酸基含有不飽和単量体単位(A)>
本実施形態の共重合体は、耐水性を向上させる観点から、水酸基含有不飽和単量体単位(A)を有することが好ましい。
本実施形態の水酸基含有不飽和単量体単位(A)としては、特に限定されないが、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ-(エチレングリコール)マレエート、ジ-(エチレングリコール)イタコネート、2-ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2-ヒドロキシエチル)マレエート、及び2-ヒドロキシエチルメチルフマレートからなる群より選ばれる1種以上の水酸基含有不飽和単量体に由来する単位が挙げられる。
これらの中でも、耐水性を一層向上できる観点から、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の水酸基含有不飽和単量体に由来する単位が好ましく、ヒドロキエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の水酸基含有不飽和単量体に由来する単位がより好ましい。
なお、水酸基含有不飽和単量体単位(A)の原料となる水酸基含有不飽和単量体を以下、「原料成分(a)」と記載することがある。
水酸基含有不飽和単量体単位(A)の含有量は、単量体単位の総量100質量部に対して、10質量部以上35質量部以下であることが好ましい。含有量が10質量部以上であることにより、水酸基含有不飽和単量体単位(A)のホモポリマーが重合初期に優先的に生成し、得られるラテックスの乾燥皮膜に高い接触角を与える。含有量が35質量部以下であることにより、ラテックス粘度が低くなることに加え、架橋剤との反応速度が緩やかになる。同様の観点から、含有量は、10質量部以上30質量部以下であることが好ましく、10質量部以上25質量部以下であることがより好ましい。
水酸基含有不飽和単量体単位の含有量は、原料として用いられる水酸基含有不飽和単量体の仕込み量に基づいて算出することができる。但し、重合過程で未反応の単量体が残存することもあるので、この場合は、仕込み量全体から残存した単量体全体を差し引いた値と、水酸基含有不飽和単量体の仕込み量から残存した水酸基含有不飽和単量体を差し引いた値とを算出し、前者の値を100質量部としたときの後者の値を換算することにより算出することができる。以下、各単量体単位の含有量についても同様の方法により算出できる。
<脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)>
本実施形態の共重合体は、耐水性を向上させる観点から、脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)を有することが好ましい。
脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)としては、特に限定されないが、例えば、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-クロロ-1,3-ブタジエン(クロロプレン)、1,3-ペンタジエン、及びシクロペンタジエンからなる群より選ばれる1種以上の脂肪族共役ジエン系単量体に由来する単位が挙げられる。これらの中でも、入手容易性の観点から、1,3-ブタジエンに由来する単位が好ましい。
なお、脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)の原料となる脂肪族共役ジエン系単量体を以下、「原料成分(b)」と記載することがある。
脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)の含有量は、単量体単位の総量100質量部に対して、10質量部以上65質量部以下であることが好ましい。含有量が10質量部以上であることにより、良好な成膜性が得られる。含有量が65質量部以下であることにより、ラテックスを重合する際の機械的安定性を確保できる。同様の観点から、含有量は、20質量部以上60質量部以下であることが好ましく、40質量部以上55質量部以下であることがより好ましい。
<重合性不飽和単量体単位(C)>
本実施形態の重合性不飽和単量体単位(C)は、水酸基含有不飽和単量体単位(A)及び脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)とは異なる単量体単位である。また、重合性不飽和単量体単位(C)は、水酸基含有不飽和単量体単位(A)及び脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)の、少なくとも一方と共重合可能な化合物に由来する単位であればよい。
なお、重合性不飽和単量体単位(C)の原料となる重合性不飽和単量体を以下、「原料成分(c)」と記載することがある。
重合性不飽和単量体単位(C)としては、例えば、酸性官能基含有不飽和単量体単位(C1)、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位(C2)、芳香族ビニル単量体単位(C3)、シアン化ビニル単量体単位(C4)、無水マレイン酸単量体、(メタ)アクリルアミド単量体、ビニルエステル単量体、ビニルエーテル単量体、ハロゲン化ビニル単量体、アミノ基含有塩基性単量体、ビニルピリジン単量体、オレフィン単量体、ケイ素含有α,β-不飽和性単量体、及びアリル単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単位が挙げられる。
中でも、重合性不飽和単量体単位(C)は、酸性官能基含有不飽和単量体単位(C1)、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位(C2)、芳香族ビニル単量体単位(C3)、及びシアン化ビニル単量体単位(C4)からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
重合性不飽和単量体単位(C)の含有量は、例えば、単量体単位の総量100質量部に対して、0質量部以上75質量部以下である。
<酸性官能基含有不飽和単量体単位(C1)>
本実施形態の共重合体は、重合初期の分散安定性の観点から、酸性官能基含有不飽和単量体単位(C1)を有することが好ましい。酸性官能基含有不飽和単量体単位(C1)としては、特に限定されないが、例えば、一塩基酸単量体、及び二塩基酸単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単位が挙げられる。
一塩基酸単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、桂皮酸、スチレンスルホン酸、メタアリルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、及びこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩)からなる群より選ばれる1種以上の一塩基酸単量体に由来する単位が挙げられる。
二塩基酸単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、ムコン酸、及びこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩)からなる群より選ばれる1種以上の二塩基酸単量体に由来する単位が挙げられる。
酸性官能基含有不飽和単量体単位(C1)の含有量は、単量体単位の総量100質量部に対して、0.01質量部以上0.1質量部以下であることが好ましい。含有量が0.01質量部以上であることにより、重合初期の分散安定性が向上する。含有量が0.1質量部以下であることにより、ラテックス粘度が低くなることに加え、架橋剤との反応速度が緩やかになる。
<不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位(C2)>
本実施形態の共重合体は、塗膜の物性(例えば、ガラス転移温度(Tg)及び溶解性パラメーター(sp値))を適宜調整するために、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位(C2)を有してもよい。不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位(C2)としては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エチル-ヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジグリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メトキシポリエチリングリコール(メタ)アクリレート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリグリコール(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、及びイソボルニル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単位が挙げられる。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位(C2)の含有量は、塗膜の使用目的により適宜調整してもよく、例えば、単量体単位の総量100質量部に対して、0を超えて、75質量部以下であってもよい。
<芳香族ビニル単量体単位(C3)>
本実施形態の共重合体は、塗膜の物性(例えば、ガラス転移温度(Tg)及び溶解性パラメーター(sp値))を適宜調整するために、芳香族ビニル単量体単位(C3)を有してもよい。芳香族ビニル単量体単位(C3)としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p-t-ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、及びトリビニルベンゼンからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単量体単位が挙げられる。
芳香族ビニル単量体単位(C3)の含有量は、塗膜の使用目的により適宜調整してもよく、例えば、単量体単位の総量100質量部に対して、3質量部以上50質量部以下であってもよい。
<シアン化ビニル単量体単位(C4)>
本実施形態の共重合体は、塗膜の物性(例えば、ガラス転移温度(Tg)及び溶解性パラメーター(sp値))を適宜調整するために、シアン化ビニル単量体単位(C4)を有してもよい。シアン化ビニル単量体単位(C4)としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリロニトリルに由来する単量体単位が挙げられる。
シアン化ビニル単量体単位(C4)の含有量は、塗膜の使用目的により適宜調整してもよく、例えば、単量体単位の総量100質量部に対して、0を超えて10質量部以下であってもよい。
(メタ)アクリルアミド単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、及びN-アルコキシ(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単量体単位が挙げられる。
ビニルエステル単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、酢酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルステアレート、ビニルラウレート、ビニルミリステート、ビニルプロピオネート、及びバーサティク酸ビニルからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単量体単位が挙げられる。
ビニルエーテル単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、及びヘキシルビニルエーテルからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単量体単位が挙げられる。
ハロゲン化ビニル単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、及びフッ化ビニリデンからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単量体単位が挙げられる。
アミノ基含有塩基性単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単量体単位が挙げられる。
オレフィン単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、エチレン、及びプロピレンからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単量体単位が挙げられる。
ケイ素含有α,β-不飽和性単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、ビニルトリクロルシラン、及びビニルトリエトキシシランからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単量体単位が挙げられる。
アリル単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、アリルエステル、及びジアリルフタレートからなる群より選ばれる1種以上の単量体に由来する単量体単位が挙げられる。
重合性不飽和単量体単位(C)の重合性不飽和基の数は、2つ以上であってもよい。重合性不飽和基の数が3である単量体に由来する単位としては、例えば、トリアリルイソシアヌレートに由来する単位が挙げられる。
<イソシアネート系硬化剤>
本実施形態の水系組成物は、イソシアネート系硬化剤(架橋剤)を更に含んでいてもよい。イソシアネート系硬化剤は、2個以上のイソシアネート基を有することが好ましい。イソシアネート系硬化剤としては、例えば、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水素化物、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリメチロールプロパン-トリレンジイソシアネートアダクト、ジフェニルメタンジイソシアネート[MDI(メチレンジ(4-フェニルイソシアネート)、クルードMDIを含む)]及びその水素化物、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4、4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。これらに高沸点溶剤等を配合したものも使用できる。また、ポリエステル等のポリオールに上記イソシアネート系硬化剤を過剰に混合したもの、ポリオールと過剰のポリイソシアネートとで予めポリマー化したOH基末端プレポリマー、過剰のポリオールで予めポリマー化したOH基末端プレポリマーにポリイソシアネート系硬化剤を過剰に加えたもの、ノニオン界面活性剤を含有するポリイソシアネート等も使用できる。
水系組成物に含まれる硬化剤の含有量は、水系組成物を基準として、好ましくは10~40質量%であり、より好ましくは20~30質量%である。硬化剤の含有量が10質量%以上であることにより、評価に適した反応速度が得られる。イソシアネート系硬化剤の含有量が40質量%以下であることにより、架橋剤との反応速度を緩やかにできる。
本実施形態の水系組成物は、例えば、前記共重合体が水中で分散した分散液の形態を有している。水系組成物の固形分濃度は、特に限定されないが、例えば、10~60質量%程度であってもよい。
本実施形態の水系組成物のpHは、特に限定されないが、安定性と取り扱い性の観点から、pH3~10であることが好ましい。
<粘度>
本実施形態の水系組成物は、イソシアネート系硬化剤と混合した後に所定の粘度を有する。具体的には、水系組成物と炭酸カルシウムとポリビニルアルコールとの混合物に、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートを添加し30分放置した後の粘度(以下「30分後粘度」という。)が、添加直後の粘度(以下「直後粘度」という。)の5.8倍以下である。直後粘度に対する30分後粘度の比率(以下「粘度上昇率」という。)が低いほど、前記混合物に含まれる共重合体とイソシアネート系硬化剤との反応(架橋)速度が遅いことを意味する。反応速度が遅いほど、架橋反応に関与しない共重合体の単量体単位が共重合体粒子の外側に移動することによって、水接触角が大きくなる傾向にあり、これにより耐水性が向上する。
一般にOH基を多量持つポリマーは接触角が低く耐水性が悪い。そして耐水性を向上させる手段として、本実施形態においては硬化剤配合後の粘度上昇率を規定する。本実施形態における共重合体にはOH基を持つモノマー由来の部分と持たないモノマー由来の部分が含まれるが、OH基を持つモノマー由来の部分が選択的に粒子内部に取り込まれた構造となっているので、架橋反応が進行しづらく粘度上昇率が低い。
本実施形態においては粘度上昇率が一定値以下である水系組成物を採用することにより、親水性に悪影響がある部分が粒子内部に取り込まれていることで高い接触角が実現されるものと考えられる。
粘度上昇率は、5.8倍以下、好ましくは5.0倍以下であり、より好ましくは4.0倍以下であり、更に好ましくは3.0倍以下であり、特に好ましくは2.0倍以下である。粘度上昇率は低いほど好ましいため、粘度上昇率の下限は、特に限定されないが、例えば、1.2倍、1.4倍、1.6倍等としてもよい。
直後粘度としては、例えば、1.0Pa・s~15.0Pa・s、2.0Pa・s~10.0Pa・s、3.0Pa・s~7.0Pa・s等が挙げられ、より具体的には3.8Pa・s~3.9Pa・s、4.4Pa・s~4.5Pa・s、5.8Pa・s~5.9Pa・s等が挙げられる。
30分後粘度としては、例えば、6.0Pa・s~50.0Pa・s、8.0Pa・s~40.0Pa・s、10.0Pa・s~30.0Pa・s等が挙げられ、より具体的には16.6Pa・s~16.7Pa・s、25.8Pa・s~25.9Pa・s、11.6Pa・s~11.7Pa・s等が挙げられる。
粘度上昇率は、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートを介した共重合体の架橋の度合いによって変化する。そのため、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートと反応性の官能基を含む単量体単位の含有量を調節することによって、粘度上昇率を調節することができる。当業者であれば、共重合体の組成を適宜変更して、適切な粘度上昇率を達成することができる。
(接触角)
本実施形態の水系組成物は、大きい水接触角を有する塗膜を形成することが好ましい。水接触角が大きい塗膜は耐水性に優れる。塗膜の水接触角は、好ましくは65°以上であり、より好ましくは70°以上であり、更に好ましくは80°以上である。塗膜の水接触角の上限は、特に限定されないが、例えば、130°、110°、90°等としてもよい。塗膜の水接触角は、実施例に記載の方法で測定する。
(平均粒子径)
本実施形態の共重合体の平均粒子径としては、好ましくは100nm~600nm、より好ましくは150nm~500nm、更に好ましくは150nm~250nm、特に好ましくは150nm~220nmである。平均粒子径が100nm以上であることにより、架橋剤との反応速度を緩やかにできる。平均粒子径が600nm以下であることにより、ラテックス粒子の沈降を防ぐことができる。
共重合体の平均粒子径は、シードラテックス、界面活性剤を所望の割合で使用することにより調整できる。通常、その使用量を大きくすることにより、共重合体の平均粒子径は小さくなる傾向にある。
(ゲル分率)
本実施形態の共重合体は、好ましくは75~95%、より好ましくは80~90%のゲル分率を有する。ゲル分率が75%以上であることにより、架橋剤との反応速度を緩やかにできる。ゲル分率が95%以下であることにより、架橋反応が効率的に進行する。
(ガラス転移温度)
本実施形態の共重合体ラテックスのガラス転移温度Tgは、-60℃以上40℃以下であることが好ましく、-50℃以上10℃以下であることがより好ましい。ガラス転移温度Tgが-60℃以上であることにより、ラテックスを重合する際の機械的安定性を確保できる。ガラス転移温度Tgが40℃以下であることにより、良好な製膜性が得られる。
[本実施形態の水系組成物の製造方法]
本実施形態の水系組成物の製造方法は、水酸基含有不飽和単量体、及び脂肪族共役ジエン系単量体を重合する重合工程を含み、前記重合工程を実施する前に、前記製造方法で使用される水酸基含有不飽和単量体の全量が前記脂肪族共役ジエン系単量体と混合される。全量の水酸基含有不飽和単量体を重合工程の実施前に加えることにより、水酸基含有不飽和単量体がラテックス粒子の内側に存在できるようになり、粘度上昇率を低下させることができる。
本実施形態の水系組成物の製造方法に使用する単量体の詳細は、前記[水系組成物]の項目で記載したとおりである。なお、各単量体の仕込み量は、各単量体に対応する単量体単位の含有量として、前記[水系組成物]の項目において記載した量とすることができる。
単量体を重合する方法としては、特に限定されないが、例えば、公知の乳化重合による方法が挙げられる。より詳細には、重合可能な温度に調整された反応系に、あらかじめ水、界面活性剤、重合開始剤、及びその他添加剤を含む原料(以下「第1原料」ともいう。)を仕込み、次に、この反応系に単量体、連鎖移動剤、及び重合反応抑制剤を含む原料(以下「第2原料」ともいう。)及び、水、pH調整剤、界面活性剤、及び重合開始剤を含む原料(以下「第3原料」ともいう。)を同時又は逐次的に反応系内に仕込むことにより乳化重合させる方法が挙げられる。この重合工程において、各原料は、回分操作又は連続操作により反応系内に仕込んでもよい。なお、単量体が、二塩基酸単量体を含む場合には、二塩基酸単量体を第1原料に含めてもよい。
また、必要に応じて反応系には、シードラテックス、重合開始剤、その他の調整剤を、第2原料を仕込む前にあらかじめ仕込んでおいてもよい。また、単量体、その他の添加剤又は調整剤を反応系へ添加することにより、得られる共重合体粒子の層構造の各物性(例えば、親水性、ガラス転移温度、分子量、架橋密度など)を段階的に変えることができる。なお、本実施形態において、共重合体の層構造の段階数は特に制限されない。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、従来公知のアニオン、カチオン、両性及び非イオン性の界面活性剤を用いることができる。これらの中でも、界面活性剤は、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤であることが好ましい。これらの界面活性剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の仕込み量(使用量)は、単量体の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部~2.0質量部、より好ましくは0.01質量部~1.3質量部、さらに好ましくは0.01質量部~0.8質量部であってもよい。
<反応性乳化剤>
分子中にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などのラジカル重合性の二重結合を有する反応性乳化剤を用いてもよい。反応性乳化剤は、第1原料~第3原料のいずれに含まれていてもよい。また、反応性乳化剤を仕込む場合、単量体の仕込み総量に反応性乳化剤の仕込み量も含まれる。
<重合開始剤>
重合開始剤は、熱又は還元性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるラジカル重合開始剤であれば特に限定されず、無機系ラジカル重合開始剤及び有機系ラジカル重合開始剤のいずれも使用できる。ラジカル重合開始剤の具体例としては、水溶性又は油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2-アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられ、また、これら以外にも、POLYMER HANDBOOK (3rd edition)、J.Brandrup及びE.H.Immergut著、John Willy&Sons刊(1989)のラジカル重合開始剤として記載された化合物も挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本実施形態において、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリット等の還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を採用してもよい。これらの中では、ペルオキソ二硫酸塩が重合開始剤として好適である。この重合開始剤の仕込み量(使用量)は、重合時の安定性の観点から、単量体の総量100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上3.0質量部以下であることがより好ましい。
<重合反応抑制剤>
重合反応抑制剤としては、乳化重合系に添加することにより、ラジカル重合速度を低下させることができる化合物が挙げられ、重合速度遅延剤、重合禁止剤、ラジカル再開始反応性が低い連鎖移動剤、及びラジカル再開始反応性が低い単量体が挙げられる。
重合反応抑制剤は、重合反応速度の調整及び共重合体の物性の調整に用いられる。これらの重合反応抑制剤は、回分操作又は連続操作で反応系に添加してもよい。重合反応抑制剤を用いる場合、塗膜の強度がより向上する傾向にある。重合反応抑制剤はポリマーの立体構造に密接に関与していると思われ、これにより塗膜の物性の調整に効果があるものと推測されるが、この推測により本発明は何ら限定されない。
重合反応抑制剤としては、特に限定されないが、例えば、o-,m-,又はp-ベンゾキノン等のキノン類、ニトロベンゼン、o-,m-,又はp-ジニトロベンゼン等のニトロ化合物、ジフェニルアミン等のアミン類、第三ブチルカテコール等のカテコール誘導体、1,1-ジフェニル又はα-メチルスチレン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン等の1,1-ジ置換ビニル化合物、2,4-ジフェニル-4-メチル-2-ペンテン、シクロヘキセン等の1,2-ジ置換ビニル化合物等が挙げられる。これら以外にも、「POLYMER HANDBOOK 3rd Ed.(J.Brandup,E.H.Immergut:John Wiley & Sons,1989)」、「改訂高分子合成の化学(大津:化学同人、1979.)」の重合禁止剤又は重合抑制剤として記載された化合物が挙げられる。これらの重合反応抑制剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合反応抑制剤は、これらの中でも、反応性の観点から、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン(α-メチルスチレンダイマー)が好ましい。
重合反応抑制剤の仕込み量(使用量)は、単量体の総量100質量部に対して、重合速度の観点から、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
<連鎖移動剤>
連鎖移動剤としては、特に限定されないが、硫黄元素を含む連鎖移動剤が挙げられ、より具体的には、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、等のアルカンチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール等のチオアルキルアルコール、チオグリコール酸、チオプロピオン酸等のチオアルキルカルボン酸、チオグリコール酸オクチルエステル、チオプロピオン酸オクチルエステル等のチオカルボン酸アルキルエステル、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド等のスルフィド等が挙げられる。また、ターピノーレン、ジペンテン、t-テルピネン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。これらの連鎖移動剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連鎖移動剤は、これらの中でも、連鎖移動速度が大きく、また共重合体の物性が優れる観点から、t-ドデシルメルカプタンであることが好ましい。本実施形態の重合工程では、連鎖移動剤を、単量体と混合して反応系に仕込んでもよく、単独で所定の時期に所定量反応系に仕込んでもよい。これらの連鎖移動剤の仕込み量(使用量)は、単量体の総量100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。仕込み量が0.1質量部以上であることにより、架橋剤とラテックスが反応しづらく、反応効率が低下する。仕込み量が10質量部以下であることにより、架橋剤との反応速度を緩やかにできる。
本実施形態の重合工程(例えば、乳化重合による重合工程)において、さらに酸化還元触媒として、金属触媒、例えば、2価の鉄イオン、3価の鉄イオン、銅イオン等を共存させてもよい。
さらに酸化還元触媒として、金属触媒、例えば、2価の鉄イオン、3価の鉄イオン、銅イオン等を共存させてもよい。
本実施形態においては、必要に応じ各種重合調整剤をさらに添加することができる。例えば、pH調整剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等のpH調整剤をさらに添加することができる。また、ジアミン四酢酸ナトリウム等の各種キレート剤等も重合調整剤としてさらに添加することもできる。pH調整剤の仕込み量(使用量)は、単量体の総量100質量部に対して、0を超えて、1.0質量部以下であってもよい。
また、上述した以外の添加剤としては、アルカリ感応ラテックス、ヘキサメタリン酸等の減粘剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、増粘剤、各種老化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の分散剤、耐水化剤、亜鉛華等の金属酸化物、滑剤、保水剤等の各種添加剤を添加してもよい。これらの添加剤の添加方法は、特に制限されず共重合体の重合時、重合後に関わらず添加することができる。
本実施形態の重合工程(例えば、乳化重合による重合工程)における重合温度は、例えば、60~120℃の範囲であり、レドックス重合法等を用いる場合には、より低い温度で重合を行ってもよい。
[塗膜]
本実施形態の塗膜は、前記水系組成物をイソシアネート系硬化剤によって硬化した塗膜である。イソシアネート系硬化剤は、水系組成物中に含有されていてもよいし、水系組成物とは別に準備されていてもよい。
塗膜は、水系組成物を基材に塗布し、加熱し、乾燥することにより形成することができる。水系組成物がイソシアネート系硬化剤を含まない場合には、基材への塗布の前に、水系組成物をイソシアネート系硬化剤と混合することが好ましい。
加熱温度は、特に限定されないが、例えば100~150℃としてもよい。加熱時間は、特に限定されないが、例えば10分~1時間としてもよい。
乾燥温度は、特に限定されないが、例えば20~30℃としてもよい。乾燥時間は、特に限定されないが、例えば1~5日としてもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてさらに具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、上述した各種パラメータは、特に断りのない限り、実施例に記載の測定方法に準じて測定される。
<水系組成物の調製>
(実施例1~3)
撹拌装置と温度調節用ジャケットとを取り付けた耐圧反応容器に、表1に示す第1原料を表1に示す仕込み量にて仕込み、内温を85℃に昇温した。次に、表1に示す第2原料を表1に示す仕込み量にて、5時間かけて一定の流速で仕込むとともに、表1に示す第3原料を表1に示す仕込み量にて6時間かけて一定の流速で仕込んだ。次に、温度を85℃に1時間保って、重合反応を完了した。得られた水系組成物に水酸化ナトリムを加えてpHを7に調整し、スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し、固形分濃度を40質量%に調整した。水系組成物は分散液の形態で得られた。
(比較例1及び2)
撹拌装置と温度調節用ジャケットとを取り付けた耐圧反応容器に、表1に示す第1原料を表1に示す仕込み量にて仕込み、内温を85℃に昇温した。次に、表1に示す第2原料を表1に示す仕込み量にて、5時間かけて一定の流速で仕込むとともに、表1に示す第3原料を表1に示す仕込み量にて6時間かけて一定の流速で仕込んだ。次に、温度を85℃に1時間保って、重合反応を完了した。得られた水系組成物に水酸化ナトリムを加えてpHを7に調整し、スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し、固形分濃度を50質量%に調整した。水系組成物は分散液の形態で得られた。
Figure 0007280061000001
<粘度>
(配合物の調製)
15質量%に調整したポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、ポバール217)水溶液40質量部、炭酸カルシウム40質量部、及び前記水系組成物40質量部を混合撹拌し、ベースコンパウンドを作成した。次いで、このベースコンパウンドに硬化剤としてジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート12質量部を添加し、スリーワンモーターを使用し、500回転で2分間攪拌した。
(粘度測定)
攪拌終了後1分以内の粘度、及び攪拌終了後から25℃で30分放置した後の粘度を、B型粘度計(TVB-10型)及びローターNo.H7のローターを用いて、回転速度60rpm及び測定温度25℃の条件で測定した。結果を表2に示す。
Figure 0007280061000002
<接触角>
前記粘度の測定時と同様、配合物を調整し、20μmの厚さになるようにポリプロピレンシートに塗布した。その後、25℃で3日間乾燥し、塗膜を得た。この塗膜に水滴を1滴たらした際の接触角をKYOWA製の接触角計PCA-1によって測定した。結果を表3に示す。
Figure 0007280061000003
<平均粒子経>
ブラウン運動している微粒子に光を当て、粒子から戻ってくる光(後方散乱光)の振動数(光の周波数)の変化量から、微粒子の粒子径を求める方法で体積平均粒子径(nm)を測定した。測定装置はマイクロトラックUPA150(日機装株式会社)を用いた。
Figure 0007280061000004
<ゲル分率>
テフロン(登録商標)シート上で前記水系組成物サンプル約1gを130℃で30分乾燥した。乾燥したサンプルを約0.5g精秤し、30mlのトルエンが入った容器に入れ、振とう器で3時間振とうした。振とう後のトルエン分散液を325メッシュのステンレス金網で濾過し、濾過残さ量を130℃で1時間乾燥して測定した。トルエン不溶分は乾燥サンプル重量に対する濾過残さ乾燥重量の割合(重量%)から求めた。
Figure 0007280061000005
<ガラス転移温度(Tg)>
水系組成物を100℃で1時間乾燥を行い、フィルムを作成した。このフィルムを高感度示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製DSC-7020)を用いて、温度-75℃から+115℃まで、昇温速度15℃/minで測定した。ガラス転移温度は、DSC曲線を更に温度で微分した、DDSC曲線のピーク位置をもってガラス転移温度とした。
Figure 0007280061000006

Claims (5)

  1. 共重合体を含む、水系組成物であって、
    前記共重合体が、前記共重合体を構成する単量体単位の総量を100質量部とした場合、
    10質量部以上35質量部以下の水酸基含有不飽和単量体単位(A)、
    10質量部以上65質量部以下の脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)、及び
    0質量部以上75質量部以下の重合性不飽和単量体単位(C)、
    を有し、
    前記重合性不飽和単量体単位(C)が、前記水酸基含有不飽和単量体単位(A)及び前記脂肪族共役ジエン系単量体単位(B)と異なり、
    前記重合性不飽和単量体単位(C)が、前記共重合体を構成する単量体単位の総量を100質量部とした場合、0.01質量部以上0.1質量部以下の酸性官能基含有不飽和単量体単位を含み、
    前記水系組成物と炭酸カルシウムとポリビニルアルコールとの混合物に、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートを添加し30分放置した後の粘度が、添加直後の粘度の5.8倍以下となる、前記水系組成物。
  2. イソシアネート系硬化剤を更に含む、請求項1に記載の水系組成物。
  3. 前記共重合体の平均粒子径が、150nm~250nmである、請求項1又は2に記載の水系組成物。
  4. 請求項1~のいずれか一項に記載の水系組成物の硬化物からなる塗膜。
  5. 建築材料用である請求項に記載の塗膜。

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