実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について、図1から図5を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る給湯システム100の全体構成図である。給湯システム100は、給湯装置1と、排水装置60と、制御装置70と、を備える。
給湯装置1は、浴槽50への湯はりを行う機能を有する。本実施の形態では、給湯装置1は、貯湯式の給湯装置である。図1に示すように、給湯装置1は、ヒートポンプユニット2と、タンクユニット10と、を有する。ヒートポンプユニット2とタンクユニット10とは、配管および図示しない電気配線によって互いに接続されている。ヒートポンプユニット2は、水を加熱する装置である。タンクユニット10は、内部に水を貯留する貯湯タンク11を有する装置である。本実施の形態におけるヒートポンプユニット2は、貯湯タンク11から導かれた低温の水を加熱するための加熱手段の一例である。
ヒートポンプユニット2は、圧縮機3と、水冷媒熱交換器4と、膨張弁5と、空気熱交換器6と、を有する。圧縮機3、水冷媒熱交換器4、膨張弁5および空気熱交換器6は、冷媒配管7によってこの順に環状に接続されており、ヒートポンプサイクルを構成する。ヒートポンプユニット2は、このヒートポンプサイクルを利用して水を加熱する。
水冷媒熱交換器4は、一次側を流れる冷媒と二次側を流れる水との間での熱交換を行う。水冷媒熱交換器4の一次側には、圧縮機3によって圧縮された高温の冷媒が冷媒配管7を介して導かれる。水冷媒熱交換器4の二次側には、貯湯タンク11から低温の水が導かれる。水冷媒熱交換器4の二次側に導かれた低温の水は、一次側を流れる高温の冷媒によって加熱される。ヒートポンプユニット2は、このようにしてタンクユニット10の貯湯タンク11から導かれた低温の水を加熱する。
タンクユニット10は、貯湯タンク11と、減圧弁12と、風呂用熱交換器16と、風呂循環ポンプ17と、三方弁23と、四方弁24と、ポンプ25と、電磁弁26と、給湯用混合弁27と、風呂用混合弁28と、を有する。
貯湯タンク11は、内部に湯水を貯留するための装置である。貯湯タンク11の下部には、水導入口11aおよび水導出口11bが設けられている。貯湯タンク11の中央部から下部までの間には、温水導入口11cが設けられている。貯湯タンク11の上部には、温水導入出口11dが設けられている。
貯湯タンク11の水導入口11aには、第1給水配管13aの一端が接続されている。第1給水配管13aの他端は、減圧弁12に接続されている。減圧弁12は、配管を流れる水の圧力を調整するための装置である。また、減圧弁12には、第2給水配管13bの一端が接続されている。第2給水配管13bの他端は、給湯装置1の外部の水源に接続されている。水源は、例えば水道である。よって、第2給水配管13bには、水源から低温の水が供給される。水源から第2給水配管13bへ供給された低温の水は、減圧弁12によって所定の圧力に調整される。減圧弁12によって調圧された低温の水は、第1給水配管13aを流れ、水導入口11aから貯湯タンク11内に流入する。このように、貯湯タンク11内の下部には、水源から第2給水配管13b、減圧弁12および第1給水配管13aを介して低温の水が供給される。
貯湯タンク11内の上部には、ヒートポンプユニット2によって加熱された高温の水が、温水導入出口11dから流入する。すなわち、貯湯タンク11内には、温水導入出口11dから高温の水が流入するとともに、水導入口11aから低温の水が流入する。このようにして、貯湯タンク11内には上部と下部とで温度差が生じるように水が貯留される。例えば、貯湯タンク11内の上部には80℃の水が貯留され、貯湯タンク11内の下部には10℃の水が貯留される。
貯湯タンク11の表面には、複数の温度センサが互いに異なる高さに取り付けられている。本実施の形態では、貯湯タンク11の表面には、第1貯湯温度センサ14および第2貯湯温度センサ15が取り付けられている。第1貯湯温度センサ14は、貯湯タンク11の上部の表面に取り付けられている。第2貯湯温度センサ15は、貯湯タンク11の下部の表面に取り付けられている。これらの複数の温度センサを用いて貯湯タンク11内の湯水の温度分布を検出することによって、貯湯タンク11内の残湯量を把握することができる。なお、温度センサの数は上記に限らず、3つ以上の温度センサが貯湯タンク11の表面に取り付けられていてもよい。
風呂用熱交換器16は、風呂用熱交換器16の一次側を流れる高温の水によって、風呂用熱交換器16の二次側を流れる加熱対象水を加熱するための熱交換器である。本実施の形態では、風呂用熱交換器16の一次側には、貯湯タンク11またはヒートポンプユニット2から高温の水が供給される。風呂用熱交換器16の二次側には、加熱対象水として、給湯装置1の外部に設けられた浴槽50内の水が供給される。風呂用熱交換器16の二次側の流入口には、風呂戻り配管18の一端が接続されている。風呂戻り配管18の他端は、浴槽アダプタ51を介して浴槽50に接続されている。浴槽アダプタ51は、浴槽50の壁面に取り付けられている。風呂用熱交換器16の二次側の流出口には、風呂往き配管19の一端が接続されている。風呂往き配管19の他端は、浴槽アダプタ51を介して浴槽50に接続されている。
風呂循環ポンプ17は、風呂戻り配管18に設けられている。風呂循環ポンプ17は、浴槽50内の水を、風呂戻り配管18、風呂用熱交換器16の二次側および風呂往き配管19へ循環させるためのポンプである。風呂循環ポンプ17が駆動することによって、浴槽50、浴槽アダプタ51、風呂戻り配管18、風呂用熱交換器16の二次側および風呂往き配管19に水が循環する。このようにして、浴槽50内の水が風呂用熱交換器16の二次側に供給される。
風呂戻り配管18には、風呂循環ポンプ17と浴槽50との間に風呂戻り温度センサ20が設置されている。風呂戻り温度センサ20は、浴槽50から風呂戻り配管18へ流出した水の温度を検出する。また、風呂往き配管19には、風呂往き温度センサ21が設置されている。風呂往き温度センサ21は、風呂用熱交換器16を通って熱交換された後の水の温度を検出する。
三方弁23は、流路切替手段として機能し、流入口であるaポートおよびbポートと、流出口であるcポートと、を有する。三方弁23のaポートには、水導出口配管29の一端が接続されている。水導出口配管29の他端は、貯湯タンク11の水導出口11bに接続されている。水導出口配管29は、貯湯タンク11内の下部に貯められた低温の水を水導出口11bから三方弁23へ導く配管である。三方弁23のbポートには、水導出配管30の一端が接続されている。水導出配管30の他端は、風呂用熱交換器16の一次側の流出口に接続されている。水導出配管30は、風呂用熱交換器16の一次側から流出した水を三方弁23へ導く配管である。三方弁23のcポートには、ヒートポンプ往き配管31の一端が接続されている。ヒートポンプ往き配管31の他端は、ヒートポンプユニット2の水冷媒熱交換器4の二次側の流入口に接続されている。ヒートポンプ往き配管31は、タンクユニット10からヒートポンプユニット2へ水を導く配管である。
ポンプ25は、給湯装置1が有する各種の配管に水を流すための装置である。本実施の形態では、ポンプ25は、ヒートポンプ往き配管31に設けられている。
四方弁24は、流路切替手段として機能し、流入口であるaポートおよびbポートと、流出口であるcポートおよびdポートと、を有する。四方弁24のaポートには、ヒートポンプ戻り配管32の一端が接続されている。ヒートポンプ戻り配管32の他端は、水冷媒熱交換器4の二次側の流出口に接続されている。ヒートポンプ戻り配管32は、ヒートポンプユニット2からタンクユニット10へ水を導く配管である。ヒートポンプユニット2とタンクユニット10とは、ヒートポンプ往き配管31およびヒートポンプ戻り配管32によって互いに接続されている。四方弁24のbポートには、第1バイパス配管33の一端が接続されている。第1バイパス配管33の他端は、水冷媒熱交換器4とポンプ25との間で、ヒートポンプ往き配管31に接続されている。四方弁24のcポートには、第2バイパス配管34の一端が接続されている。第2バイパス配管34の他端は、貯湯タンク11の温水導入口11cに接続されている。四方弁24のdポートには、送湯配管35の一端が接続されている。送湯配管35の他端は、貯湯タンク11の温水導入出口11dに接続されている。送湯配管35は、ヒートポンプユニット2によって加熱された高温の水を、貯湯タンク11および風呂用熱交換器16の一次側へ送るための配管である。
送湯配管35の途中には、水導入配管36の一端が接続されている。送湯配管35と水導入配管36との接続部分は、第1接続部35aである。水導入配管36の他端は、風呂用熱交換器16の一次側の流入口に接続されている。水導入配管36は、風呂用熱交換器16の一次側に高温の水を流入させるための配管である。また、送湯配管35の第1接続部35aと温水導入出口11dに接続された送湯配管35の他端との間には、第1給湯配管37の一端が接続されている。送湯配管35と第1給湯配管37との接続部分は、第2接続部35bである。第1給湯配管37は、ヒートポンプユニット2によって加熱された高温の水または貯湯タンク11内に貯留された高温の水を給湯装置1の外部へ供給するための配管である。
給湯用混合弁27は、第1の流入口と、第2の流入口と、流出口と、を有する。風呂用混合弁28は、第1の流入口と、第2の流入口と、流出口と、を有する。第1給湯配管37の他端は、2つに分岐している。2つに分岐した第1給湯配管37の他端の一方は給湯用混合弁27の第1の流入口に接続され、他方は風呂用混合弁28の第1の流入口に接続されている。
減圧弁12には、第3給水配管13cの一端が接続されている。よって、減圧弁12には、第1給水配管13aの他端、第2給水配管13bの一端および第3給水配管13cの一端が接続されている。第3給水配管13cの他端は、2つに分岐している。2つに分岐した第3給水配管13cの他端の一方は給湯用混合弁27の第2の流入口に接続され、他方は風呂用混合弁28の第2の流入口に接続されている。第3給水配管13cは、水源から給湯用混合弁27および風呂用混合弁28へ低温の水を供給するための配管である。本実施の形態において、減圧弁12、第1給水配管13a、第2給水配管13bおよび第3給水配管13cは、水源から給湯装置1へ低温の水を供給するための給水管路を構成している。
給湯用混合弁27の流出口には、第2給湯配管38の一端が接続されている。第2給湯配管38の他端は、給湯栓39を介して給湯装置1の外部の蛇口40に接続されている。蛇口40は、使用者によって使用される出湯端末の一例である。蛇口40は、例えばシャワーやカラン等に設けられる。第2給湯配管38には、給湯用混合弁27と給湯栓39との間で、給湯温度センサ43および給湯水流センサ44が設けられている。給湯温度センサ43は、第2給湯配管38を流れる水の温度を検出する。給湯水流センサ44は、第2給湯配管38内の水の流れの有無を検出する。
風呂用混合弁28の流出口には、第3給湯配管41の一端が接続されている。第3給湯配管41の他端は、例えば風呂用熱交換器16と風呂往き温度センサ21との間の、風往き配管19に接続されている。
電磁弁26は、当該電磁弁26が設けられた配管内の流路を開放または閉塞する装置である。本実施の形態において、電磁弁26は、タンクユニット10から浴槽50への水の供給を制御するため、第3給湯配管41に設けられている。電磁弁26は、第3給湯配管41内の流路を開放し、また閉塞する。
第3給湯配管41には、電磁弁26と風呂用混合弁28との間で、流量センサ42が設けられている。流量センサ42は、第3給湯配管41内を流れる水の流量を検出する装置である。
排水装置60は、浴槽50の排水栓61を開閉可能に構成されている。本実施の形態では、排水装置60は、排水栓61と、駆動装置62と、を有する。排水栓61は、浴槽50の底部に設けられている。排水栓61は、浴槽50の排水および止水を制御する。浴槽50には、排水栓61を介して排水管53が接続されている。排水栓61が閉じられた状態で浴槽50へ水が供給されることによって、浴槽50内に水が貯められる。浴槽50内に水が貯められた状態で排水栓61が開けられると、浴槽50内に貯められた水が排水管53へ排出される。駆動装置62は、排水栓61を開閉させる駆動手段の一例である。駆動装置62は、例えば、電動のモータであり、ワイヤ等を介して排水栓61に接続されている。
本実施の形態では、排水栓61には、開閉検出装置63が接続されている。開閉検出装置63は、排水栓61の状態を検出する手段である。開閉検出装置63は、排水栓61の動作量または位置を計測する。開閉検出装置63は、排水栓61の動作量または位置に基づいて、排水栓61が開いているか閉じているかを判定する。開閉検出装置63は、信号を送信する機能を有する。開閉検出装置63は、排水栓61が開いている場合には開信号を送信し、排水栓61が閉じている場合には閉信号を送信する。また、排水栓61には、温度センサ64が取り付けられている。温度センサ64は、排水栓61の温度を検出する。なお、温度センサ64は、排水栓61の近傍に設けられていてもよい。
制御装置70は、給湯装置1および排水装置60に接続されている。これにより、制御装置70は、給湯装置1および排水装置60のそれぞれと相互に通信可能である。本実施の形態では、制御装置70は、給湯装置1のタンクユニット10に内蔵されている。制御装置70は、給湯装置1を構成する各部品に電気的に接続されており、給湯装置1を制御する。また、制御装置70は、通信線65を介して排水装置60の駆動装置62、開閉検出装置63および温度センサ64に電気的に接続されており、排水装置60を制御する。制御装置70は、駆動装置62を制御し、排水栓61を動作させる。制御装置70は、開閉検出装置63および温度センサ64から信号を受信する。
制御装置70には、リモートコントローラ80が有線または無線によって接続されている。制御装置70とリモートコントローラ80とは、相互に通信することが可能である。本実施の形態では、リモートコントローラ80として、第1リモートコントローラ81および第2リモートコントローラ82の二つが設けられている。例えば、第1リモートコントローラ81は台所に設置されており、第2リモートコントローラ82は浴槽50が設置された浴室に設置されている。第1リモートコントローラ81は、リモートコントローラ通信線83によって制御装置70と接続されている。第2リモートコントローラ82は、リモートコントローラ通信線84によって制御装置70と接続されている。
第1リモートコントローラ81は、表示部81aおよび操作部81bを有する。同様に、第2リモートコントローラ82は、表示部82aおよび操作部82bを有する。表示部81aおよび表示部82aは、給湯システム100の状態等の情報を表示する。表示部81aおよび表示部82aは、例えば液晶表示パネルまたは有機EL表示パネルによって形成されている。表示部81aおよび表示部82aはそれぞれ、報知装置の一例である。給湯システム100の状態等の情報を表示部81aまたは表示部82aに表示することで、使用者に対してその情報を報知することができる。操作部81bおよび操作部82bは、使用者が給湯システム100を操作するためのボタンやダイヤル等である。使用者は、操作部81bおよび操作部82bのそれぞれによって、給湯システム100を操作することができる。第1リモートコントローラ81および第2リモートコントローラ82のそれぞれは、使用者による操作部81bおよび操作部82bのそれぞれの操作に応じた運転指示を、制御装置70へ送信する。制御装置70は、第1リモートコントローラ81および第2リモートコントローラ82のそれぞれから受信した運転指示に基づいて、給湯システム100を構成する各部を制御する。また、使用者は、操作部81bおよび操作部82bのそれぞれを操作することによって、給湯システム100の設定値を変更することができる。給湯システム100の設定値は、例えば給湯装置1が外部へ供給する水の温度等である。
浴室に設置された第2リモートコントローラ82には、人検出センサ85が設けられている。人検出センサ85は、浴槽50へ入浴する入浴者を検出する入浴者検出装置の一例である。人検出センサ85は、例えば焦電素子を有する人感センサから構成されており、浴槽50に浸っている入浴者を検出する。人検出センサ85の検出情報は、リモートコントローラ通信線84を介して制御装置70に通知される。
図2は、制御装置70の機能を示すブロック図である。本実施の形態では、図2に示すように、制御装置70は、制御部70aと、記憶部70bと、電子時計70cと、を有する。記憶部70bは、記憶手段の一例である。記憶部70bには、給湯システム100を制御するための各種の設定値およびプログラム等が予め記憶されている。制御部70aは、この記憶部70bに記憶された設定およびプログラム等に基づいて、給湯システム100に設けられた各種の機器を制御する。
上述したように、制御装置70は、駆動装置62、開閉検出装置63、温度センサ64、第1リモートコントローラ81および第2リモートコントローラ82に電気的に接続されている。制御装置70の制御部70aは、駆動装置62を動作させることによって排水栓61を開閉させる。制御部70aは、開閉検出装置63からの信号によって、排水栓61が開いているか閉じているかを検出する。また、図2に示すように、制御装置70は、風呂循環ポンプ17、三方弁23、四方弁24、ポンプ25、電磁弁26、給湯用混合弁27、風呂用混合弁28およびヒートポンプユニット2に電気的に接続されており、これらの各機器を制御する。
制御装置70は、給湯システム100に設けられた各種のセンサに電気的に接続されている。本実施の形態では、図2に示すように、制御装置70は、第1貯湯温度センサ14、第2貯湯温度センサ15、風呂戻り温度センサ20、風呂往き温度センサ21、流量センサ42、給湯温度センサ43および給湯水流センサ44に電気的に接続されている。制御装置70の制御部70aは、第1貯湯温度センサ14および第2貯湯温度センサ15によって検出された貯湯タンク11内の温度分布に基づいて、貯湯タンク11内の蓄熱量等を監視する。制御部70aは、第1貯湯温度センサ14および第2貯湯温度センサ15によって得られた情報に基づいて、ヒートポンプユニット2による水の加熱の開始および停止を制御する。制御部70aは、風呂戻り温度センサ20、風呂往き温度センサ21、流量センサ42、給湯温度センサ43および給湯水流センサ44のそれぞれから検出結果の情報を含む信号を受信し、受信した信号に応じて動作する。
図3は、制御装置70の構成の一例を示す図である。制御装置70の各部の機能は、例えば処理回路により実現される。処理回路は、専用ハードウェア200であってもよく、プロセッサ201およびメモリ202を備えていてもよい。処理回路の一部が専用ハードウェア200として形成され、かつ、当該処理回路はさらにプロセッサ201およびメモリ202を備えていてもよい。図3の例では、処理回路の一部は専用ハードウェア200として形成され、処理回路はプロセッサ201およびメモリ202をさらに備えている。
次に、本実施の形態に係る給湯システム100の動作について説明する。まず、給湯システム100の給湯運転について説明する。給湯運転とは、給湯装置1の貯湯タンク11内に貯留された水を使用して、設定温度の水を蛇口40等の出湯端末へ供給する運転である。出湯端末へ供給される水の設定温度(以下、「給湯温度」とも称する。)は、第1リモートコントローラ81または第2リモートコントローラ82によって設定される。以下では、使用者が第1リモートコントローラ81を操作して各種の設定値を設定する場合を例に説明する。第1リモートコントローラ81によって設定された給湯温度は、例えば制御装置70の記憶部70bに記憶される。
給湯運転は、使用者が蛇口40を開くことによって実行される。蛇口40が開けられると、水源から低温の水が第2給水配管13bへ流入する。第2給水配管13bへ流入した低温の水は、減圧弁12を通過する。減圧弁12を通過した低温の水の一部は、第1給水配管13aを介して、水導入口11aから貯湯タンク11内の下部へ供給される。また、減圧弁12を通過した低温の水の一部は、第3給水配管13cを介して給湯用混合弁27へ供給される。貯湯タンク11内の下部へ低温の水が供給されると、貯湯タンク11内の上部に貯留された高温の水が、温水導入出口11dから取り出される。温水導入出口11dから取り出された高温の水は、第1給湯配管37を介し、給湯用混合弁27へ供給される。給湯用混合弁27では、給湯用混合弁27に供給された高温の水と低温の水とが混合される。給湯用混合弁27で混合された水は、第2給湯配管38および給湯栓39を介して蛇口40へ供給される。このとき、制御装置70は、給湯温度センサ43によって検出される温度が第1リモートコントローラ81によって設定された給湯温度となるように、給湯用混合弁27を制御する。これにより、設定された給湯温度の水が蛇口40へ供給される。給湯運転は、使用者が蛇口40を閉じることによって終了する。
次に、給湯システム100の湯はり運転について説明する。湯はり運転とは、給湯装置1の貯湯タンク11内に貯留された水を使用して、浴槽50への湯はりを行う運転である。湯はり運転は、第1リモートコントローラ81によって設定された温度(以下、「湯はり温度」とも称する。)の水を浴槽50へ供給する運転である。第1リモートコントローラ81によって設定された湯はり温度は、例えば制御装置70の記憶部70bに記憶される。なお、以下では、給湯装置1が湯はり運転によって浴槽50へ供給する水を「湯」とも称する。
湯はり運転は、例えば、第1リモートコントローラ81の操作部81bが操作されることによって開始する。湯はり運転において制御装置70は、給湯装置1に浴槽50への湯の供給を開始させる。具体的には、制御装置70は、電磁弁26を開く。電磁弁26が開くと、水源から低温の水が第2給水配管13bへ流入する。第2給水配管13bへ流入した低温の水は、減圧弁12を通過する。減圧弁12を通過した低温の水の一部は、第1給水配管13aを介して水導入口11aから貯湯タンク11内の下部へ供給される。また、減圧弁12を通過した低温の水の一部は、第3給水配管13cを介して風呂用混合弁28へ供給される。貯湯タンク11内の下部へ低温の水が供給されると、貯湯タンク11内の上部に貯留された高温の水が温水導入出口11dから取り出される。温水導入出口11dから取り出された高温の水は、第1給湯配管37を介して風呂用混合弁28へ供給される。風呂用混合弁28では、供給された高温の水と低温の水とが混合される。風呂用混合弁28で混合された水は、第3給湯配管41、電磁弁26、風呂戻り配管18および風呂往き配管19を介して浴槽50へ供給される。このとき、制御装置70は、風呂戻り温度センサ20および風呂往き温度センサ21によって検出される温度が湯はり温度となるように、風呂用混合弁28を制御する。これにより、湯はり温度の湯が浴槽50へ供給される。制御装置70は、浴槽50への湯はり量が設定量に達すると、電磁弁26を閉じる。これにより湯はり運転が終了する。湯はり量の設定量は、例えば第1リモートコントローラ81によって予め設定される。
続いて、湯はり運転の開始の際に実施される排水装置60の動作について説明する。図4は、給湯システム100における排水装置60の動作に関する制御を示すフローチャートである。まず、制御装置70の制御部70aは、浴槽50への湯はりを行う指示を受けたか否かを判定する(ステップS101)。使用者が、例えば第1リモートコントローラ81の操作部81bを操作して湯はり運転の開始を指示すると、第1リモートコントローラ81から制御装置70に信号が送られる。制御部70aは、第1リモートコントローラ81から受信する信号に基づいて、ステップS101の処理を実行する。使用者によって湯はり運転の指示が行われていない場合、すなわち浴槽50への湯はりを行う指示を受けていない場合、制御部70aは本フローチャートの処理を終了する。
使用者によって湯はり運転の指示が行われた場合、すなわち浴槽50への湯はりを行う指示を受けた場合、制御部70aは排水栓61を開くことが禁止されているか否かを判定する。この判定は、排水栓61を開けると不都合が生じる場合に排水栓61を開くことを禁止することで、不用意に排水栓61を開いてしまうことを防止するために設定されている。本実施の形態では、制御部70aは、次の二つの所定の条件について該当するか否かを判定する。制御部70aは、これら所定の条件に該当すると判定した場合、排水栓61を開くことが禁止されている状態であると判定し、本フローチャートの処理を終了する。制御部70aは、所定の条件に該当しないと判定した場合、排水栓61を開くことが禁止されていない状態であると判定し、次のステップに進む。
具体的には、まず、制御部70aは、人検出センサ85が浴槽50へ入浴する入浴者を検出したか否かを判定する(ステップS102)。この条件は、入浴者が浴槽50を使用している最中に、誤って浴槽50内の湯を排出してしまうことを防止するために設定されている。例えば、使用者が浴室の状況を確認せずに台所に設置された第1リモートコントローラ81を操作して湯はり運転の指示を行ってしまった場合等に、上記の状況が発生する可能性が考えられる。制御部70aは、人検出センサ85から受信する信号に基づいて入浴者の検出の有無を判定する。制御部70aは、人検出センサ85から入浴者を検出したことが通知されている場合、排水栓61を開くことが禁止されている状態であると判定し、本フローチャートの処理を終了する。制御部70aは、人検出センサ85から入浴者を検出していないことが通知されている場合、排水栓61を開くことが禁止されていない状態であると判定し、次のステップS103に進む。
続いて、制御部70aは、現在の時刻が、排水栓61を開くことを禁止する禁止時間帯に含まれるか否かを判定する(ステップS103)。この禁止時間帯は、使用者によって任意に設定することができる。例えば、使用者は第1リモートコントローラ81の操作部81bを操作して禁止時間帯を設定し、設定した禁止時間帯は制御装置70の記憶部70bに記憶される。この条件は、浴槽50から排水する際に発生する排水音が大きい場合、排水音が騒音となって使用者自身や近隣の住民等に迷惑を掛けてしまう可能性がある深夜等の時間帯に排水することを禁止するために設定されている。例えば、深夜23時から翌朝6時までの時間帯が禁止時間帯として設定される。制御部70aは、記憶部70bに記憶されている禁止時間帯を参照し、電子時計70cから現在の時刻を取得して、現在の時刻が禁止時間帯に含まれるか判定する。現在の時刻が禁止時間帯に含まれる場合、制御部70aは、排水栓61を開くことが禁止されている状態であると判定し、本フローチャートの処理を終了する。現在の時刻が禁止時間帯に含まれない場合、制御部70aは、排水栓61を開くことが禁止されていない状態であると判定し、次のステップS104に進む。
制御部70aは、排水栓61を開くことが禁止されていない状態であると判定した場合、排水栓61を開くために、第1リモートコントローラ81に対して排水栓61が動作中であることを報知させるための排水栓動作報知指示を実行する(ステップS104)。排水栓動作報知指示を受けた第1リモートコントローラ81は、表示部81aに排水栓61が動作中であることを報知させる。図5は、第1リモートコントローラ81による報知の例を示す図である。一例として、第1リモートコントローラ81の表示部81aには、「浴槽排水栓が動作中であること」が表示される。この表示は、例えば、次のステップS105で排水栓61が開いたことを制御部70aが確認するまで行われる。
制御部70aは、ステップS104で排水栓動作報知指示を実行した後、排水栓61の開制御を実行する(ステップS105)。開制御は、排水装置60に排水栓61を開かせる制御である。制御部70aは、排水装置60の駆動装置62を動作させて排水栓61を開かせる。制御部70aは、開閉検出装置63から開信号を受信して、排水栓61が開いたことを確認する。なお、このステップS105の処理は、上述のステップS104の処理と同時に実行されてもよい。
制御部70aは、ステップS105で排水装置60に排水栓61を開かせた後、予め設定された第1の時間T1が経過したか否かを判定する(ステップS106)。具体的には、制御部70aは、ステップS105で開閉検出装置63からの開信号を受信して排水栓61が開いたことを確認した時から第1の時間T1が経過したか否かを判定する。第1の時間T1は、排水栓61が開いている時間であり、この第1の時間T1の間に、浴槽50内に残留する水を排出する。
第1の時間T1は、任意に設定可能である。例えば、使用者は第1リモートコントローラ81の操作部81bを操作して第1の時間T1を設定することができ、設定された第1の時間T1は記憶部70bに記憶される。第1の時間T1は、長くするほど浴槽50内に残留している水が排水されやすくなり、浴槽50内に残留する水が少なくなる。第1の時間T1は、例えば、浴槽50内に残留している水を確実に排出し、浴槽50内を乾燥させる程度の時間に設定される。この時間は浴槽50の大きさや容量、形状等に応じて異なる。例えば、大きい浴槽であれば第1の時間T1を1時間と長時間に設定し、小さい浴槽であれば第1の時間T1を30分と短時間に設定する。また、浴槽50内を十分に乾燥させたい場合には第1の時間T1を数時間に設定してもよい。このように、第1の時間T1は浴槽50の大きさ等に対応して適切に設定することができる。
制御部70aは、第1の時間T1が経過したと判定すると、排水栓61を閉じるために、第1リモートコントローラ81に対して排水栓61が動作中であることを報知させるための排水栓動作報知指示を実行する(ステップS107)。排水栓動作報知指示を受けた第1リモートコントローラ81は、例えば図5に示すように、表示部81aに排水栓61が動作中であることを報知させる。この報知は、例えば、次のステップS108で排水栓61が閉じたことを制御部70aが確認するまで行われる。
制御部70aは、ステップS107で排水栓動作報知指示を実行した後、排水栓61の閉制御を実行する(ステップS108)。閉制御は、排水装置60に排水栓61を閉じさせる制御である。制御部70aは、排水装置60の駆動装置62を動作させて排水栓61を閉じさせる。制御部70aは、開閉検出装置63から閉信号を受信して、排水栓61が閉じたことを確認する。なお、このステップS108の処理は、上述のステップS107の処理と同時に実行されてもよい。また、本明細書では、排水装置60がステップS105で排水栓61を開き、ステップS106で第1の時間T1が経過した後、ステップS108で排水栓61を閉じる動作を事前排水動作とも称する。
制御部70aは、ステップS108で排水装置60に排水栓61を閉じさせた後、予め設定された第2の時間T2が経過したか否かを判定する(ステップS109)。具体的には、制御部70aは、ステップS108で開閉検出装置63からの閉信号を受信して排水栓61が閉じたことを確認した時から第2の時間T2が経過したか否かを判定する。第2の時間T2は、排水栓61が閉じた時から次のステップS110で給湯が開始されるまでの時間である。
第2の時間T2は、第1の時間T1と同様に、任意に設定可能である。例えば、使用者は第1リモートコントローラ81の操作部81bを操作して第2の時間T2を設定することができ、設定された第2の時間T2は記憶部70bに記憶される。第2の時間T2は、例えば、排水栓61を閉じた後、直ぐに給湯が開始されるように、数秒から十数秒程度に設定されてもよい。一方で、排水栓61が開いていると、使用者が、排水栓61に接続された排水管53から菌やガス等が浴槽50や浴室内に流入することを懸念する可能性がある。このような場合には、第2の時間T2を例えば1時間に設定する等、第2の時間T2を長めに設定することによって、湯はり前に排水栓61が閉じている時間を長くし、浴槽50や浴室における菌やガス等の影響を小さくすることができる。このように、第2の時間T2は使用者の好みに応じて適切に設定することができる。
制御部70aは、第2の時間T2が経過したと判定すると、給湯装置1に浴槽50への湯の供給を開始させる(ステップS110)。これで排水装置60の動作制御が終了するとともに、以降は上述した湯はり運転が実行されて、浴槽50に湯はりが行われる。
以上に説明したように、本実施の形態に係る給湯システム100は、浴槽50への湯はりを行う給湯装置1と、浴槽50の排水栓61を開閉する排水装置60と、給湯装置1および排水装置60に接続されており、浴槽50への湯はりを行う指示を受けた場合に、排水栓61を開くことが禁止されていない状態であると判定した場合、排水装置60に排水栓61を開かせた後に閉じさせる事前排水動作を実施させ、給湯装置1に浴槽50への湯の供給を開始させる制御装置70と、を備える。
このような構成によって、制御装置70は、浴槽50への湯はりを行う指示を受けた場合に排水装置60に排水栓61を開かせる前に、排水栓61を開くことが禁止されていない状態であることを確認する。このため、例えば入浴者が浴槽50を使用している場合等、排水栓61を開けると不都合が生じる場合には排水栓61を開くことが禁止され、排水栓61を開くことが禁止されていない状態である場合にのみ排水栓61を開くので、不用意に排水栓61を開いてしまうことを防止できる。また、制御装置70は、給湯装置1に浴槽50への湯の供給を開始させる前に、排水装置60に排水栓61を開かせるので、湯が供給される前に浴槽50内に残留していた水を確実に排出することができる。このため、浴槽50に残留していた水が混ざった状態で湯はりが行われてしまうことを防止できる。
制御装置70は、事前排水動作において排水装置60に排水栓61を開かせて第1の時間T1が経過した後に閉じさせており、第1の時間T1は任意に設定可能である。このため、浴槽50の大きさや容量、形状等に応じた適切な排水時間に第1の時間T1を設定することができる。また、制御装置70は、事前排水動作において排水装置60に排水栓61を閉じさせて第2の時間T2が経過した後、給湯装置1に浴槽50への湯の供給を開始させており、第2の時間T2は任意に設定可能である。このため、排水栓61に接続された排水管53から菌やガス等が浴槽50や浴室内に流入することを懸念する使用者に対しては、第2の時間T2を長めに設定することによって、湯はり前に排水栓61が閉じている時間を長くし、浴槽50や浴室における菌やガス等の影響を小さくすることができる。
給湯システム100は、浴槽50へ入浴する入浴者を検出する人検出センサ85を備え、制御装置70は、人検出センサ85が入浴者を検出しない場合に、排水栓61を開くことが禁止されていない状態であると判定する。このため、入浴者が浴槽50を使用している最中に誤って浴槽50内の湯を排出してしまうことを防止できる。また、制御装置70は、排水栓61を開くことを禁止する禁止時間帯を設定可能に構成されており、現在の時刻が禁止時間帯に含まれない場合に、排水栓61を開くことが禁止されていない状態であると判定する。このため、排水音が騒音となって使用者自身や近隣の住民等に迷惑を掛けてしまう可能性のある時間帯に排水することを防止できる。
給湯システム100は、排水栓61の開閉動作を報知する第1リモートコントローラ81の表示部81aおよび第2リモートコントローラ82の表示部82aを備える。このため、浴槽50の底部に設けられた排水栓61を目視等することなく、表示部81aまたは表示部82aによって排水栓61の開閉動作を確認できる。
また、本実施の形態に係る給湯システム100の制御方法は、制御装置70が、浴槽50への湯はりを行う指示を受けた場合に、排水栓61を開くことが禁止されているか否かを判定する過程と、制御装置70が、排水栓61を開くことが禁止されていないと判定した場合に、排水装置60に排水栓61を開かせた後に閉じさせる事前排水動作を実施させ、給湯装置1に浴槽50への湯の供給を開始させる過程と、を含むものである。これにより、制御装置70は、排水栓61を開くことが禁止されていない状態である場合にのみ排水栓61を開くので、不用意に排水栓61を開いてしまうことを防止できる。また、制御装置70は、給湯装置1に浴槽50への湯の供給を開始させる前に、排水装置60に排水栓61を開かせるので、湯が供給される前に浴槽50内に残留していた水を確実に排出することができる。
なお、本実施の形態において、制御装置70の制御部70aは、排水装置60に排水栓61を閉じさせて第2の時間T2が経過した後、給湯装置1に浴槽50への湯の供給を開始させていたが、これに限らない。制御部70aは、排水装置60に排水栓61を閉じさせると同時(完全な同時だけでなく実質的に同時と見做せる場合を含む)に、給湯装置1に浴槽50への湯の供給を開始させてもよい。このようにすることで、湯の供給が開始されるまでの時間をより短くすることができる。
また、本実施の形態において、制御装置70の制御部70aが排水装置60に実施させた事前排水動作に関し、制御装置70は、排水装置60の事前排水動作の実施と不実施とを選択可能に構成されていてもよい。このような構成により、例えば使用者が浴槽50を清掃した後に浴槽50へ湯はりを行う場合や浴槽50内に水が残留していないことを前もって確認している状態で浴槽50へ湯はりを行う場合等、使用者が事前排水動作を行う必要がないと分かっている場合に、排水装置60の事前排水動作を不実施とすることで、事前排水動作に掛かる時間を短縮して浴槽50への湯はりを行うことができる。事前排水動作の実施と不実施とを選択する構成として、例えば、制御装置70の記憶部70bには、排水装置60が事前排水動作を実施する第1動作モードと排水装置60が事前排水動作を実施しない第2動作モードとが予め設定されていてもよい。この場合に、使用者が第1リモートコントローラ81の操作部81bまたは第2リモートコントローラ82の操作部82bを操作して第1動作モードと第2動作モードとのいずれかを選択することで制御装置70の設定が変更され、事前排水動作の実施と不実施とが選択される。
本実施の形態では、給湯装置1は貯湯式の給湯装置であったが、これに限らない。給湯装置1は、即湯式の給湯装置であってもよい。
制御装置70は、給湯装置1のタンクユニット10に内蔵されていたが、給湯装置1の外部に設けられてもよい。また、本実施の形態における制御装置70の動作は、単一の装置によって行われる構成に限定されるものではなく、複数の装置が連携することで制御装置70の動作が行われてもよい。例えば、給湯装置1のタンクユニット10に内蔵された制御装置70と排水装置60との間に、中継器が設けられてもよく、上述した制御装置70の動作の一部は、この中継器によって行われてもよい。また、例えば、この給湯システム100が設けられた住宅内にHEMS(Home Energy Management System)が設けられている場合、HEMSと制御装置70とを相互に有線通信または無線通信可能に接続し、HEMSによって上述した制御装置70の動作の一部が行われてもよい。この場合、上述した第1リモートコントローラ81や第2リモートコントローラ82を介して行われた操作や報知等は、HEMSのコントローラやHEMSと相互通信可能に接続されたスマートフォン等の端末装置を介して行われてもよい。
リモートコントローラ80は、表示部および操作部を有するとしたが、これらに加えて、スピーカやブザー、マイク等を有していてもよい。リモートコントローラ80がスピーカを有する場合には、スピーカから発する音または音声によって、使用者に対して情報を報知してもよい。また、リモートコントローラ80の表示部は、例えばタッチスクリーンのように、操作部の機能を兼ね備えていてもよい。
入浴者検出装置として人検出センサ85が第2リモートコントローラ82に設けられていたが、これに限らない。例えば、浴槽50の水位を検出する水位センサを入浴者検出装置として用いてもよい。水位センサとしては、例えば圧力センサを使用することができる。水位センサでは、浴槽50に人が入ると湯に浸かった人の容積に依存して水位が上昇することを利用して、入浴者の検出を行う。なお、人検出センサ85と水位センサとは互いに独立したセンサであるので、入浴者検出装置として人検出センサ85および水位センサのいずれか一方を用いてもよいし、両方を用いてもよい。
上述した排水装置60の動作に関する制御について、ステップS102を実行した後にステップS103を実行したが、これに限らない。ステップS102およびステップS103は、同時または逆順で実行されてもよい。また、排水栓61を開くことが禁止されているか否かの判定として、ステップS102およびステップS103の二つを実行したが、これに限らず、いずれか一方のステップのみの実行であってもよいし、使用状況等に応じて設定された他の条件を実行してもよい。また、排水栓61を開くことが禁止されているか否かの判定として、ステップS102およびステップS103に加えて、使用状況等に応じて設定された他の条件を実行してもよい。加えて、制御部70aは、ステップS102またはステップS103において排水栓61を開くことが禁止されている状態であると判定した場合、排水栓61を開くことが禁止されている状態であることを第1リモートコントローラ81の表示部81a等の報知装置によって使用者に報知してもよい。
ステップS104およびステップS107では、使用者が湯はり運転の開始を指示する際に用いた第1リモートコントローラ81の表示部81aによって排水栓61が動作中であることを報知させたが、これに限らない。第1リモートコントローラ81の表示部81aだけでなく、第2リモートコントローラ82の表示部82aにも排水栓61が動作中であることを報知させてもよい。また、上述した説明では、排水栓61が動作中であることを表示部81a等の報知装置によって報知させたが、これに加えて、排水栓61の開閉の状態を表示部82a等の報知装置によって報知させてもよい。これによって、使用者は排水栓61が開いている状態か閉じている状態かを容易に確認することができる。
上述した説明では、ステップS106で用いる第1の時間T1をリモートコントローラ80の操作等によって制御装置70に直接設定していたが、これに限らない。例えば、制御部70aが排水装置60に排水栓61を開かせてから給湯装置1に浴槽50への湯の供給を開始させるまでの時間を第3の時間T3として、リモートコントローラ80の操作等によって第3の時間T3を制御装置70に設定し、制御装置70が第3の時間T3と第2の時間T2との差分から第1の時間T1を算出して設定してもよい。
また、ステップS106において、制御部70aは開閉検出装置63からの開信号を受信して排水栓61が開いたことを確認した時に第1の時間T1のカウントを開始していたが、これに限らない。制御部70aは、ステップS105において排水装置60に排水栓61を開かせる指示を行った時、すなわち当該指示の信号を排水装置60に送信した時に第1の時間T1のカウントを開始してもよい。同様に、ステップS109において、制御部70aは開閉検出装置63からの閉信号を受信して排水栓61が閉じたことを確認した時に第2の時間T2のカウントを開始していたが、これに限らない。制御部70aは、ステップS108において排水装置60に排水栓61を閉じさせる指示を行った時、すなわち当該指示の信号を排水装置60に送信した時に第2の時間T2のカウントを開始してもよい。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2について、図6を参照して説明する。図6は、本実施の形態に係る給湯システム100における排水装置60の動作に関する制御を示すフローチャートである。上述した実施の形態1では、浴槽50への湯はりを行う指示として使用者によって湯はり運転の指示が行われていたのに対して、本実施の形態では、浴槽50への湯はりを行う指示として使用者によって湯はりの予約運転の指示が行われる点が異なる。なお、本実施の形態のうち、実施の形態1と同様の部分の説明は省略する。また、本実施の形態における機器の構成については、実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
湯はりの予約運転は、予め設定された予約時刻に湯はりが完了するように湯はり運転を行う運転である。以下、図6を参照して、湯はりの予約運転の際に実施される排水装置60の動作について説明する。
まず、制御装置70の制御部70aは、湯はりの予約運転を行う指示を受けたか否かを判定する(ステップS201)。使用者は、例えば第1リモートコントローラ81の操作部81bを操作して湯はりの予約運転の指示を制御装置70に対して行う。これにより、第1リモートコントローラ81から制御装置70に信号が送られる。制御部70aは、第1リモートコントローラ81から受信する信号に基づいて、ステップS201の処理を実行する。湯はりの予約運転の指示に際して、使用者は、湯はりが完了する時刻である予約時刻を設定する。使用者によって湯はりの予約運転の指示が行われていない場合、制御部70aは本フローチャートの処理を終了する。
使用者によって湯はりの予約運転の指示が行われた場合、制御部70aは、事前排水動作において排水栓61を開かせる時刻である排水栓開時刻を算出する(ステップS202)。本ステップにおいて、制御部70aは、まず、設定された予約時刻に対応して実施する浴槽50への湯の供給を開始する時刻である供給開始時刻を、湯はりに必要な湯量等に基づいて算出する。そして、制御部70aは、供給開始時刻と予め設定された第1の時間T1および第2の時間T2とに基づいて排水栓開時刻を算出する。具体的には、排水栓開時刻は、供給開始時刻から第1の時間T1と第2の時間T2との和に相当する時間をさかのぼった時刻となる。予約時刻、供給開始時刻および排水栓開時刻は、記憶部70bに記憶される。
続いて、制御部70aは、現在の時刻が排水栓開時刻になったか否かを判定する(ステップS203)。制御部70aは、記憶部70bに記憶されている排水栓開時刻を参照し、電子時計70cから現在の時刻を取得して、現在の時刻が排水栓開時刻になったか判定する。このステップS203では、現在の時刻と排水栓開時刻とが厳密に一致しなくてもよく、現在の時刻が排水栓開時刻に到達したことが分かればよい。
制御部70aは、現在の時刻が排水栓開時刻になったと判定すると、ステップS102に進む。ステップS102以降のステップは、実施の形態1と同じである。制御部70aは、ステップS105において排水装置60に排水栓61を開かせ、ステップS108において排水装置60に排水栓61を閉じさせ、ステップS110において給湯装置1に浴槽50への湯の供給を開始させる。
以上に説明したように、本実施の形態に係る給湯システム100において、制御装置70は、浴槽50への湯はりが完了する予約時刻が設定されている場合に、予約時刻に対応して実施される浴槽50への湯の供給が開始される前に、排水装置60に事前排水動作を実施させる。このような構成によって、湯はりの予約運転を行う場合であっても、予約時刻に対応して実施される浴槽50への湯の供給が開始される前に制御装置70が排水装置60に排水栓61を開かせるので、湯が供給される前に浴槽50内に残留していた水を確実に排出することができる。
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3について、図7を参照して説明する。図7は、本実施の形態に係る給湯システム100における排水装置60の動作に関する制御を示すフローチャートである。上述した実施の形態2では、浴槽50への湯はりを行う指示として使用者によって湯はりの予約運転の指示が行われていたのに対して、本実施の形態では、浴槽50への湯はりを行う指示として使用者によって湯はりの予測運転の指示が行われる点が異なる。なお、本実施の形態のうち、上述した実施の形態1および実施の形態2と同様の部分の説明は省略する。また、本実施の形態における機器の構成については、実施の形態1および実施の形態2と同じであるので説明を省略する。
湯はりの予測運転は、過去に実施した湯はりの時刻情報から当日の湯はりの実施時刻を予測し、予測した実施時刻に基づいて湯はり運転を行う運転である。以下、図7を参照して、湯はりの予測運転の際に実施される排水装置60の動作について説明する。
まず、制御装置70の制御部70aは、湯はりの予測運転を行う指示を受けたか否かを判定する(ステップS301)。使用者は、例えば第1リモートコントローラ81の操作部81bを操作して湯はりの予測運転の指示を制御装置70に対して行う。これにより、第1リモートコントローラ81から制御装置70に信号が送られる。制御部70aは、第1リモートコントローラ81から受信する信号に基づいて、ステップS301の処理を実行する。使用者によって湯はりの予測運転の指示が行われていない場合、制御部70aは本フローチャートの処理を終了する。
使用者によって湯はりの予測運転の指示が行われた場合、制御部70aは、湯はりの実施時刻を予測する(ステップS302)。ここでは、湯はりの実施時刻として、湯はりが完了する時刻を用いる。湯はりの実施時刻は、一例として、次のようにして予測する。制御部70aは、過去1週間の湯はりの完了時刻を記憶部70bに記憶しておく。制御部70aは、記憶部70bに記憶された湯はりの完了時刻のうち、最も早い時刻を当日の湯はりの実施時刻として予測する。このように予測することによって、湯はりは使用者が実際に入浴する時間の前で比較的早く完了するので、使用者が入浴したいと思うタイミングで湯はりが完了していないという事態を生じにくくすることができる。予測した湯はりの実施時刻は、記憶部70bに記憶される。
続いて、制御部70aは、実施の形態2と同様に、事前排水動作において排水栓61を開かせる時刻である排水栓開時刻を算出する(ステップS303)。制御部70aは、予測した湯はりの実施時刻である湯はりの完了時刻に対応して実施する浴槽50への湯の供給を開始する時刻である供給開始時刻を、湯はりに必要な湯量等に基づいて算出し、供給開始時刻と予め設定された第1の時間T1および第2の時間T2とに基づいて排水栓開時刻を算出する。供給開始時刻および排水栓開時刻は、記憶部70bに記憶される。
ステップS303の後は、ステップS203に進む。ステップS203以降のステップは、実施の形態2と同じである。制御部70aは、ステップS105において排水装置60に排水栓61を開かせ、ステップS108において排水装置60に排水栓61を閉じさせ、ステップS110において給湯装置1に浴槽50への湯の供給を開始させる。
以上に説明したように、本実施の形態に係る給湯システム100において、制御装置70は、湯はりの実施時刻を過去に実施した湯はりの実施時刻の情報に基づいて予測し、予測した実施時刻に対応して実施される浴槽50への湯の供給が開始される前に、排水装置60に事前排水動作を実施させる。このような構成によって、湯はりの実施時刻を予測して湯はりを行う場合であっても、予測した実施時刻に対応して実施される浴槽50への湯の供給が開始される前に制御装置70が排水装置60に排水栓61を開かせるので、湯が供給される前に浴槽50内に残留していた水を確実に排出することができる。
なお、湯はりの実施時刻を予測する方法は、上述したものに限らない。例えば、制御部70aは、過去1週間の湯はりの完了時刻を記憶部70bに記憶しておき、記憶部70bに記憶された湯はりの完了時刻のうち、最も遅い時刻を当日の湯はりの実施時刻として予測してもよい。このように予測することによって、湯はりは使用者が実際に入浴する時間の前で比較的遅く完了するので、湯はりの完了から使用者が入浴し終えるまでの時間が相対的に短くなる。通常、湯はり完了から使用者が入浴し終えるまでの間、浴槽50の湯の温度を一定に保つ機能である自動保温機能が働いている。湯はりの完了から使用者が入浴し終えるまでの時間が短くなることで、自動保温機能において湯の温度を一定に保つために必要なエネルギーを抑制でき、エネルギーを節約することができる。
また、例えば、制御部70aは、過去4週間の同一曜日の湯はりの完了時刻を記憶部70bに記憶しておき、記憶部70bに記憶された湯はりの完了時刻の平均時刻を、同一曜日である当日の湯はりの実施時刻として予測してもよい。このように予測することによって、湯はりが完了する時間は使用者が実際に入浴する時間に最も近くなると考えられるので、使用者が入浴したいと思うタイミングで湯はりが完了しており、かつ湯はりの完了から使用者が入浴し終えるまでの自動保温機能が働く時間が短くなるので、自動保温機能に要するエネルギーを節約できる。
上述した説明では、湯はりの実施時刻として湯はりが完了する時刻を用いたが、これに限らない。例えば、湯はりの実施時刻として、湯はりを開始する時刻、すなわち湯の供給を開始する時刻を用いてもよいし、湯はりを開始する時刻と湯はりが完了する時刻との中間の時刻を用いてもよい。この場合、湯はりの実施時刻として用いた上記時刻に対応する過去の時刻を用いて、湯はりの実施時刻を予測すればよく、また、湯はりの実施時刻として用いた上記時刻を考慮して、供給開始時刻および排水栓開時刻を算出すればよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
例えば、実施の形態1において、ステップS101で湯はり運転の指示が行われていないと判定した場合、制御部70aは図4に示すフローチャートの処理を終了していたが、このフローチャートの処理を終了せずに実施の形態2において説明したステップS201に進み、図6に示すフローチャートを進めてもよい。さらに、このステップS201で湯はりの予約運転の指示が行われていないと判定した場合、制御部70aは図6に示すフローチャートの処理を終了せずに実施の形態3において説明したステップS301に進み、図7に示すフローチャートを進めてもよい。