以下に、本開示に係る実施形態の一例について、図面を参照しつつより詳細に説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[回転子積層鉄心]
まず、図1及び図2を参照して、回転子積層鉄心1(積層鉄心)の構成について説明する。回転子積層鉄心1は、回転子(ロータ)の一部である。回転子は、図示しない端面板及びシャフトが回転子積層鉄心1に取り付けられることにより構成される。回転子が固定子(ステータ)と組み合わせられることにより、電動機(モータ)が構成される。本実施形態における回転子積層鉄心1は、埋込磁石型(IPM)モータに用いられる。
回転子積層鉄心1は、図1に示されるように、積層体10と、複数の永久磁石12と、複数の固化樹脂14とを備える。
積層体10は、図1に示されるように、円筒状を呈している。積層体10の中央部には、中心軸Axに沿って延びるように積層体10を貫通する軸孔10aが設けられている。すなわち、軸孔10aは、積層体10の積層方向(以下、単に「積層方向」という。)に延びている。積層方向は、中心軸Axの延在方向でもある。本実施形態において積層体10は中心軸Ax周りに回転するので、中心軸Axは回転軸でもある。軸孔10a内には、シャフトが挿通される。
積層体10には、複数の磁石挿入孔16が形成されている。磁石挿入孔16は、図1に示されるように、積層体10の外周縁に沿って所定間隔で並んでいる。磁石挿入孔16は、図2に示されるように、中心軸Axに沿って延びるように積層体10を貫通している。すなわち、磁石挿入孔16は積層方向に延びている。
磁石挿入孔16の形状は、本実施形態では、積層体10の外周縁に沿って延びる長孔である。磁石挿入孔16の数は、本実施形態では6個である。磁石挿入孔16は、上方から見て時計回りにこの順に並んでいる。磁石挿入孔16の位置、形状及び数は、モータの用途、要求される性能などに応じて変更してもよい。
積層体10は、複数の打抜部材Wが積み重ねられて構成されている。打抜部材Wは、後述する電磁鋼板ESが所定形状に打ち抜かれた板状体であり、積層体10に対応する形状を呈している。本明細書において、図2に示されるように、積層体10の最下層以外を構成する打抜部材Wを「打抜部材W1」と称し、積層体10の最下層を構成する打抜部材Wを「打抜部材W2」と称することがある。
積層体10の最上層を構成する打抜部材W1の表面は、積層体10の上端面S1(第2の端面)を構成する。積層体10の最下層を構成する打抜部材W2の表面は、積層体10の下端面S2(第1の端面)を構成する。
積層体10は、いわゆる転積によって構成されていてもよい。「転積」とは、打抜部材W同士の角度を相対的にずらしつつ、複数の打抜部材Wを積層することをいう。転積は、主に積層体10の板厚偏差を相殺することを目的に実施される。転積の角度は、任意の大きさに設定してもよい。
積層方向において隣り合う打抜部材W同士は、図1及び図2に示されるように、カシメ部18によって締結されている。具体的には、カシメ部18は、図2に示されるように、打抜部材W1に形成されたカシメ20と、打抜部材W2に形成された貫通孔22とを含む。
カシメ20は、打抜部材W1の表面側に形成された窪み20aと、打抜部材W1の裏面側に形成された突起20bとで構成されている。カシメ20は、例えば、全体として山型状を呈している。このような形状のカシメ20は、「V字形カシメ」とも言われる。
一の打抜部材W1の窪み20aは、当該一の打抜部材W1の表面側に隣り合う打抜部材W1の突起20bと嵌合している。一の打抜部材W1の突起20bは、当該一の打抜部材W1の裏面側において隣り合う打抜部材W1の窪み20aと接合される。
貫通孔22は、カシメ20の外形に対応した形状を呈する長孔である。カシメ20がV字形カシメである場合、貫通孔22は矩形状を呈する。貫通孔22には、打抜部材W2に隣接する打抜部材W1の突起20bが嵌合される。貫通孔22は、積層体10を連続して製造する際、既に製造された積層体10に対し、続いて形成された打抜部材Wがカシメ20(突起20b)によって締結されるのを防ぐ機能を有する。
図2に示されるように、カシメ20の突起20bの先端部は、貫通孔22から外方に突出している。すなわち、積層体10の下端面S2が下向きの状態において、カシメ20の突起20bの先端部は下端面S2から下方に突出している。
永久磁石12は、図1及び図2に示されるように、各磁石挿入孔16内に一つずつ挿入されている。永久磁石12の形状は、特に限定されないが、本実施形態では直方体形状を呈している。永久磁石12の種類は、モータの用途、要求される性能などに応じて決定すればよく、例えば、焼結磁石であってもよいし、ボンド磁石であってもよい。
固化樹脂14は、永久磁石12が挿入された後の磁石挿入孔16内に溶融状態の樹脂材料(溶融樹脂)が充填された後に当該溶融樹脂が固化したものである。固化樹脂14は、永久磁石12を磁石挿入孔16内に固定する機能と、積層方向(上下方向)で隣り合う打抜部材W同士を接合する機能とを有する。固化樹脂14を構成する樹脂材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂と、硬化開始剤と、添加剤とを含む樹脂組成物が挙げられる。添加剤としては、フィラー、難燃剤、応力低下剤などが挙げられる。
[回転子積層鉄心の製造装置]
続いて、図3~図6を参照して、回転子積層鉄心1の製造装置100について説明する。
製造装置100は、図3に示されるように、帯状の金属板である電磁鋼板ES(被加工板)から回転子積層鉄心1を製造するための装置である。製造装置100は、アンコイラー110と、送出装置120と、打抜装置130と、加圧装置200と、反転装置300と、積厚測定装置400と、磁石取付装置500と、コントローラCtr(制御部)とを備える。
アンコイラー110は、コイル状に巻回された帯状の電磁鋼板ESであるコイル材111が装着された状態で、コイル材111を回転自在に保持する。送出装置120は、電磁鋼板ESを上下から挟み込む一対のローラ121,122を有する。一対のローラ121,122は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて回転及び停止し、電磁鋼板ESを打抜装置130に向けて間欠的に順次送り出す。
打抜装置130は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。打抜装置130は、送出装置120によって間欠的に送り出される電磁鋼板ESを複数のパンチにより順次打ち抜き加工して打抜部材Wを形成する機能と、打ち抜き加工によって得られた打抜部材Wを順次積層して仮積層体11を製造する機能とを有する。本明細書において、仮積層体11とは、積層体10と同様に複数の打抜部材Wが積層され且つカシメ部18により互いに締結された状態ではあるが、打抜部材W同士が密着しておらず、打抜部材W同士の間にある程度の隙間が存在している状態のものをいう。
打抜装置130は、図3に示されるように、ベース131と、下型132と、ダイプレート133と、ストリッパ134と、上型135と、天板136と、プレス機137(駆動部)と、複数のパンチとを含む。
ベース131は、床面上に設置されており、ベース131に載置された下型132を支持する。下型132は、下型132に載置されたダイプレート133を保持する。下型132には、電磁鋼板ESから打ち抜かれた材料(例えば、打抜部材W、廃材等)が排出される排出孔が所定の位置に設けられている。
ダイプレート133は、複数のパンチと共に、打抜部材Wを成形する機能を有する。ダイプレート133には、各パンチに対応する位置にダイがそれぞれ設けられている。各ダイには、対応するパンチが挿通可能に構成されたダイ孔が設けられている。
ストリッパ134は、各パンチで電磁鋼板ESを打ち抜く際に、電磁鋼板ESをダイプレート133との間で挟持する機能と、各パンチに食いついた電磁鋼板ESを各パンチから取り除く機能とを有する。上型135は、ストリッパ134の上方に位置している。上型135には、各パンチの基端部が固定されている。そのため、上型135は、各パンチを保持している。
天板136は、上型135の上方において上型135を保持している。プレス機137は、天板136の上方に位置している。プレス機137のピストンは、天板136に接続されており、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。プレス機137が動作すると、ピストンが伸縮して、ストリッパ134、上型135、天板136、各パンチが全体的に上下動する。
ここで、打抜装置130が含む複数のパンチ及び複数のダイについて、より詳しく説明する。打抜装置130は、例えば、図4及び図5に示されるように、パンチ部P10,P20,P30を含む。
パンチ部P10は、打抜部材W2となる電磁鋼板ESに貫通孔22を形成する機能を有する。パンチ部P10は、図4(a)に示されるように、ダイD1及びパンチP1の組み合わせにより構成されている。ダイD1には、ダイ孔D1aが形成されている。
パンチP1は、ダイ孔D1aに対応する形状を有する。パンチP1は、ストリッパ134の貫通孔134aを通じてダイ孔D1a内に対して挿抜可能に構成されている。
パンチ部P20は、打抜部材W1となる電磁鋼板ESにカシメ20を形成する機能を有する。パンチ部P20は、図4(b)に示されるように、ダイD2及びパンチP2の組み合わせにより構成されている。ダイD2には、ダイ孔D2aが形成されている。ダイ孔D2aの大きさは、ダイ孔D1aの大きさと同程度であってもよい。
パンチP2は、ダイ孔D2aに対応する形状を有する。パンチP2は、ストリッパ134の貫通孔134bを通じてダイ孔D2a内に対して挿抜可能に構成されている。パンチP2の外形は、ダイ孔D2aの外形よりも若干小さく設定されている。ダイ孔D2aとパンチP2との間のクリアランスCLは、カシメ20と貫通孔22との間で生じさせようとする嵌合力に応じて種々の大きさに設定しうる。
パンチP2の先端部は、全体として山型状を呈している。そのため、パンチP2で加工された電磁鋼板ESには、パンチP2の先端部に対応する形状の凹凸が形成される。
パンチ部P30は、電磁鋼板ESを打ち抜き加工して打抜部材Wを形成する機能を有する。パンチ部P30は、図5に示されるように、ダイD3及びパンチP3の組み合わせにより構成されている。ダイD3には、ダイ孔D3aが形成されている。ダイ孔D3aは、打抜部材Wの外形形状に対応する形状を呈している。
パンチP3は、ダイ孔D3aに対応する形状を有する。パンチP3は、ストリッパ134の貫通孔134cを通じてダイ孔D3a内に対して挿抜可能に構成されている。パンチP3の先端面には、複数の押圧突起P3aが設けられている。押圧突起P3aは、当該先端面から下方に突出している。複数の押圧突起P3aはそれぞれ、パンチP2によって電磁鋼板ESに形成される複数のカシメ20に対応するように位置している。
ダイD3の下方の空間132a内には、シリンダ132bと、ステージ132cと、プッシャ132dとが配置されている。シリンダ132bは、コントローラCtrからの指示信号に基づいて、ステージ132cに設けられた孔132eを通じて上下方向に移動可能に構成されている。具体的には、シリンダ132bは、シリンダ132b上に打抜部材Wが積み重ねられるごとに間欠的に下方に移動する。シリンダ132b上において打抜部材Wが所定枚数まで積層され、仮積層体11が形成されると、シリンダ132bの表面がステージ132cの表面と同一高さとなる位置へとシリンダ132bが移動する。
プッシャ132dは、コントローラCtrからの指示信号に基づいて、ステージ132cの表面上において水平方向に移動可能に構成されている。シリンダ132bの表面がステージ132cの表面と同一高さとなる位置にシリンダ132bが移動した状態で、プッシャ132dは、仮積層体11をシリンダ132bからステージ132cに払い出す。このときの仮積層体11は、下端面S2が下方を向いており、下端面S2から突起20bが下方に突出した状態(正立状態)である。ステージ132cに払い出された仮積層体11は、コンベアCvにより後続の加圧装置200に搬送される。仮積層体11は、コンテナに載置された状態で、人手によって搬送されてもよい。
図3に戻って、加圧装置200は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。加圧装置200は、積層方向から所定の荷重L1(第1の荷重)を仮積層体11に付与して、打抜部材W同士の間隙が仮積層体11よりも減じられた積層体10を形成する機能を有する。
仮積層体11に付与される荷重L1は、積層体10のサイズによって種々の大きさとなりうるが、例えば、0.1トン~50トン程度であってもよいし、0.5トン~30トン程度であってもよいし、1トン~10トン程度であってもよい。荷重L1が0.1トン以上であると、スプリングバックが生じ難くなる傾向にある。一方、仮積層体11に必要以上の大きな荷重が付与されると、形成された積層体10が変形してしまうことがありうるが、荷重L1が50トン以下であると、そのような積層体10の変形が生じ難くなる傾向にある。
加圧装置200は、一対の挟持部材201,202と、昇降機構203とを含む。一対の挟持部材201,202は、矩形状を呈する平板である。一対の挟持部材201,202は、上下方向に並ぶように位置している。下側に位置する挟持部材201の上面には、上方に向けて延びる複数の案内シャフトが設けられていてもよい。各案内シャフトは、挟持部材201の各角部にそれぞれ位置している。上側に位置する挟持部材202の各角部には、対応する案内シャフトが挿通可能な貫通孔が設けられていてもよい。
昇降機構203は、挟持部材202に接続されている。昇降機構203は、コントローラCtrからの指示に基づいて動作し、挟持部材202を上下方向において往復動させる。すなわち、昇降機構203は、案内シャフトに沿って挟持部材202を上下動させることにより、挟持部材201,202を互いに近接及び離間させるように構成されている。なお、昇降機構203は、挟持部材202を上下動させるのであれば、特に限定されるものではなく、例えば、アクチュエータ、エアシリンダ等であってもよい。
本実施形態においては、正立状態にある仮積層体11が挟持部材201,202によって挟持される。すなわち、仮積層体11の下端面S2は、挟持部材201に対向している。仮積層体11の下端面S2から突出する突起20bは、挟持部材201の上面と当接している。仮積層体11の上端面S1は、挟持部材202と対向し且つ当接している。
反転装置300は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。反転装置300は、加圧装置200から搬送された正立状態にある積層体10の姿勢を反転させる機能を有する。
反転装置300は、一対の挟持部材301,302と、昇降機構303と、反転機構304とを含む。一対の挟持部材301,302は、矩形状を呈する平板である。一対の挟持部材301,302は、上下方向に並ぶように位置している。
昇降機構303は、挟持部材301,302に接続されている。昇降機構303は、コントローラCtrからの指示に基づいて動作し、挟持部材302を上下方向において往復動させる。すなわち、昇降機構303は、挟持部材302を上下動させることにより、挟持部材301,302を互いに近接及び離間させるように構成されている。なお、昇降機構303は、挟持部材302を上下動させるのであれば、特に限定されるものではなく、例えば、アクチュエータ、エアシリンダ等であってもよい。
反転機構304は、コントローラCtrからの指示に基づいて動作し、水平面に沿って延びる軸周りに、挟持部材301,302及び昇降機構303を全体として半回転させる。すなわち、挟持部材301,302によって積層体10が正立状態で挟持されている場合に、反転機構304がこれらを半回転させることにより、積層体10は、下端面S2が上方を向いており、下端面S2から突起20bが上方に突出した状態(倒立状態)となる。
積厚測定装置400は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。積厚測定装置400は、積層体10の積厚(積層方向における積層体10の高さ)を測定する機能を有する。積厚測定装置400は、積層方向から所定の荷重L2を積層体10に付与した状態で積層体10の積厚を測定する。
積層体10に付与される荷重L2は、荷重L1以下に設定されている。荷重L2は、積層体10のサイズによって種々の大きさとなりうるが、例えば、加圧後の積層体10の厚さTが、加圧前の積層体10の厚さT0の99.9%以上で且つ厚さT0未満(0.999T0≦T<T0)を満たす大きさであってもよい。
積厚測定装置400は、一対の挟持部材401,402と、昇降機構403と、距離センサ404とを含む。一対の挟持部材401,402は、矩形状を呈する平板である。一対の挟持部材401,402は、上下方向に並ぶように位置している。下側に位置する挟持部材401(支持体)の上面には、上方に向けて延びる複数の案内シャフトが設けられていてもよい。各案内シャフトは、挟持部材401の各角部にそれぞれ位置している。上側に位置する挟持部材402の各角部には、対応する案内シャフトが挿通可能な貫通孔が設けられていてもよい。
昇降機構403は、挟持部材402に接続されている。昇降機構403は、コントローラCtrからの指示に基づいて動作し、挟持部材402を上下方向において往復動させる。すなわち、昇降機構403は、挟持部材402を上下動させることにより、挟持部材401,402を互いに近接及び離間させるように構成されている。なお、昇降機構403は、挟持部材402を上下動させるのであれば、特に限定されるものではなく、例えば、アクチュエータ、エアシリンダ等であってもよい。
本実施形態においては、倒立状態にある積層体10が挟持部材401,402によって挟持される。すなわち、積層体10の上端面S1は、挟持部材401の上面に対向し且つ当接している。そのため、挟持部材401の上面は、積層体10を支持する支持面として機能する。積層体10の下端面S2は、挟持部材402の下面に対向している。積層体10の下端面S2から突出する突起20bは、挟持部材402の下面と当接している。
距離センサ404は、例えば挟持部材402に設けられている。距離センサ404は、挟持部材401,402が積層体10を挟持した状態で、挟持部材401と挟持部材402との離間距離を測定するように構成されている。すなわち、距離センサ404は、積層体10の積厚を間接的に測定する。距離センサ404によって測定された積層体10の積厚のデータは、コントローラCtrに送信される。
磁石取付装置500は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。磁石取付装置500は、各磁石挿入孔16に永久磁石12を挿通する機能と、永久磁石12が挿通された磁石挿入孔16内に溶融樹脂を充填する機能とを有する。磁石取付装置500は、図6に詳しく示されるように、下型510(支持体)と、上型520と、複数のプランジャ530とを含む。
下型510は、ベース部材511と、ベース部材511に設けられた挿通ポスト512とを含む。ベース部材511は、矩形状を呈する板状部材である。ベース部材511は、積層体10を載置可能に構成されている。挿通ポスト512は、ベース部材511の略中央部に位置しており、ベース部材511の上面から上方に向けて突出している。挿通ポスト512は、円柱形状を呈しており、積層体10の軸孔10aに対応する外形を有する。
上型520は、下型510と共に積層体10を積層方向(積層体10の高さ方向)において挟持可能に構成されている。上型520が下型510と共に積層体10を挟持する際、積層体10には積層方向から所定の荷重L3(第2の荷重)が付与される。積層体10に付与される荷重L3は、荷重L1以下に設定されている。荷重L3は、積層体10のサイズによって種々の大きさとなりうるが、例えば、0.1トン~10トン程度であってもよい。
上型520は、ベース部材521と、内蔵熱源522とを含む。ベース部材521は、矩形状を呈する板状部材である。ベース部材521には、一つの貫通孔521aと、複数の収容孔521bと、複数の凹部521cとが設けられている。貫通孔521aは、ベース部材521の略中央部に位置している。貫通孔521aは、挿通ポスト512に対応する形状(略円形状)を呈しており、挿通ポスト512が挿通可能である。
複数の収容孔521bは、ベース部材521を貫通しており、貫通孔521aの周囲に沿って所定間隔で並んでいる。各収容孔521bは、下型510及び上型520が積層体10を挟持した際に、積層体10の磁石挿入孔16にそれぞれ対応する箇所に位置している。各収容孔521bは、円柱形状を呈しており、少なくとも一つの樹脂ペレットPを収容する機能を有する。複数の凹部521cはそれぞれ、積層体10の下端面S2から突出する突起20bを収容可能に構成されている。
本実施形態においては、倒立状態にある積層体10が下型510(ベース部材511)及び上型520(ベース部材521)によって挟持される。すなわち、積層体10の上端面S1は、ベース部材511の上面に対向し且つ当接している。そのため、ベース部材511の上面は、積層体10を支持する支持面として機能する。積層体10の下端面S2は、ベース部材521の下面に対向し且つ当接している。積層体10の下端面S2から上方に突出する突起20bは、対応する凹部521c内に収容される。
内蔵熱源522は、例えば、ベース部材521に内蔵されたヒータである。内蔵熱源522が動作すると、ベース部材521が加熱され、ベース部材521に接触している積層体10が加熱されると共に、各収容孔521bに収容された樹脂ペレットPが加熱される。これにより、樹脂ペレットPが溶融して溶融樹脂に変化する。
複数のプランジャ530は、上型520の上方に位置している。各プランジャ530は、図示しない駆動源によって、対応する収容孔521bに対して挿抜可能となるように構成されている。
コントローラCtrは、例えば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて、送出装置120、打抜装置130、加圧装置200、反転装置300、積厚測定装置400及び磁石取付装置500をそれぞれ動作させるための指示信号を生成し、これらに当該指示信号をそれぞれ送信する。
コントローラCtrは、積厚測定装置400によって測定された積厚のデータが基準内であるか否かを判断する機能を有する。積厚が基準内にある積層体10は、コントローラCtrにおいて良品と判断され、磁石取付装置500に搬送される。一方、積厚が基準外にある積層体10は、コントローラCtrにおいて不良品と判断され、製造ラインから除外される。
[回転子積層鉄心の製造方法]
続いて、回転子積層鉄心1の製造方法について、図3~図7を参照して説明する。
まず、打抜装置130により電磁鋼板ESを順次打ち抜きつつ打抜部材Wを積層して、仮積層体11を形成する(図7のステップS11参照)。具体的には、図4に示されるように、電磁鋼板ESが送出装置120によって打抜装置130に送り出され、電磁鋼板ESの加工対象部位が所定のパンチに到達すると、軸孔10aに対応する貫通孔の形成(いわゆる内径抜き)、各磁石挿入孔16に対応する貫通孔の形成、カシメ20又は貫通孔22の形成、電磁鋼板ESからの打抜部材Wの打ち抜き(いわゆる外径抜き)がそれぞれ行われる。
カシメ20及び貫通孔22は、選択的に形成される。すなわち、電磁鋼板ESのうち打抜部材W1が形成される予定の領域にカシメ20が形成され、電磁鋼板ESのうち打抜部材W2が形成される予定の領域に貫通孔22が形成される。
貫通孔22は、次のように形成される。すなわち、図4(a)に示されるように、コントローラCtrからの指示信号に基づいて打抜装置130が動作すると、電磁鋼板ESがダイプレート133及びストリッパ134によって挟持され、続いてストリッパ134の貫通孔134aを通じてパンチP1が降下して、パンチP1の先端部が電磁鋼板ESをダイ孔D1a内へと押し出す。これにより、電磁鋼板ESに貫通孔22が形成される。
カシメ20は次のように形成される。すなわち、図4(b)に示されるように、コントローラCtrからの指示信号に基づいて打抜装置130が動作すると、電磁鋼板ESがダイプレート133及びストリッパ134によって挟持され、続いてストリッパ134の貫通孔134bを通じてパンチP2が降下して、パンチP2の先端部が電磁鋼板ESをダイ孔D2a内へと押し出す。これにより、電磁鋼板ESにカシメ20が形成される。
電磁鋼板ESからの打抜部材Wの打ち抜きは次のように行われる。すなわち、図5に示されるように、コントローラCtrからの指示信号に基づいて打抜装置130が動作すると、電磁鋼板ESがダイプレート133及びストリッパ134によって挟持され、続いてストリッパ134の貫通孔134cを通じてパンチP3が降下して、パンチP3の先端部が電磁鋼板ESをダイ孔D3a内へと押し出す。これにより、電磁鋼板ESから打抜部材Wが打ち抜かれる。
パンチP3による電磁鋼板ESからの打抜部材W2の打ち抜き時には、押圧突起P3aは貫通孔22内に挿入されるので、押圧突起P3aより電磁鋼板ESが加工されない。一方、パンチP3による電磁鋼板ESからの打抜部材W1の打ち抜き時には、押圧突起P3aは、対応するカシメ20の窪み20aを押圧する。これにより、カシメ20の突起20bは、カシメ20の窪み20a内又は貫通孔22内に圧入され、両者が嵌合する。
パンチP3によって電磁鋼板ESから打ち抜かれた打抜部材Wは、シリンダ132b上において積層され、正立状態の仮積層体11が構成される。正立状態の仮積層体11は、プッシャ132dによってシリンダ131bからステージ132cに払い出され、さらにコンベアCvによって加圧装置200に搬送される。
次に、加圧装置200に搬送された仮積層体11を、正立状態で挟持部材201上に載置する。このとき、積層体10の下端面S2が挟持部材201に当接する。次に、コントローラCtrが昇降機構203に指示して、挟持部材202を降下させる。これにより、仮積層体11が挟持部材201,202に挟持され、仮積層体11が荷重L1にて加圧される。その結果、打抜部材W同士の間の隙間が減じられて、積層体10が形成される(図7のステップS12参照)。積層体10は、正立状態のまま反転装置300に搬送される。
次に、反転装置300に搬送された積層体10を、正立状態で挟持部材301上に載置する。次に、コントローラCtrが昇降機構303に指示して、挟持部材302を降下させる。これにより、積層体10が挟持部材301,302に挟持される。この状態で、コントローラCtrが反転機構304に支持して、挟持部材301,302によって挟持されている積層体10と共に、挟持部材301,302及び昇降機構303を全体として半回転させる。これにより、積層体10が反転されて倒立状態となる(図7のステップS13参照)。積層体10は、倒立状態のまま積厚測定装置400に搬送される。
次に、積厚測定装置400に搬送された積層体10を、倒立状態で挟持部材401上に載置する。このとき、積層体10の上端面S1が挟持部材401に当接する。次に、コントローラCtrが昇降機構403に指示して、挟持部材402を降下させる。これにより、積層体10が挟持部材401,402に挟持され、積層体10が荷重L2にて加圧される。この状態で、コントローラCtrが距離センサ404に指示して、挟持部材401,402間の離間距離を測定する。距離センサ404は、測定したデータを積層体10の積厚のデータとしてコントローラCtrに送信する。これにより、積層体10の積厚が測定される(図7のステップS14参照)。
次に、コントローラCtrは、距離センサ404から送信された積厚のデータが、所定の基準内であるか否かを判断する(図7のステップS15参照)。積層体10の積厚が所定の基準外であるとコントローラCtrが判断すると(図7のステップS15でNO)、当該積層体10が不良品である可能性が高いので、当該積層体10を製造ラインから除外する(図7のステップS16参照)。なお、積層体10の積厚が所定の基準よりも大きい場合には、当該積層体10の積厚が所定の基準内となるよう少なくとも1枚の打抜部材Wを当該積層体10から取り外して、製造ラインに戻してもよい。
一方、積層体10の積厚が所定の基準内であるとコントローラCtrが判断すると(図7のステップS15でYES)、当該積層体10を、倒立状態のまま磁石取付装置500に搬送し、下型510に載置する(図6参照)。このとき、積層体10の上端面S1がベース部材511に当接する。次に、各磁石挿入孔16内に永久磁石12を挿入する。各磁石挿入孔16内への永久磁石12の挿入は、人手で行われてもよいし、コントローラCtrの指示に基づいて、磁石取付装置500が備えるロボットハンド(図示せず)等により行われてもよい。
次に、上型520を積層体10上に載置する。そのため、積層体10は、下型510及び上型520で積層方向から挟持され、積層体10が荷重L3にて加圧される。このとき、積層体10の下端面S2から上方に向けて突出する突起20bは上型520の凹部521c内に収容され、下端面S2が上型520と当接する。
次に、各収容孔521bに樹脂ペレットPを投入する。上型520の内蔵熱源522により樹脂ペレットPが溶融状態となると、溶融樹脂をプランジャ530によって各磁石挿入孔16内に注入する。このとき、積層体10は、内蔵熱源522により、例えば150℃~180℃程度に加熱される。その後、溶融樹脂が固化すると、磁石挿入孔16内に固化樹脂14が形成される。こうして、積層体10に永久磁石12が固化樹脂14と共に取り付けられる(図7のステップS17参照)。下型510及び上型520が積層体10から取り外されると、回転子積層鉄心1が完成する。
[作用]
以上のような本実施形態では、積厚測定装置400において積層体10の積厚を測定する際に、下端面S2から突出する突起20bが挟持部材401に接触しない。すなわち、突起20bが突出していない上端面S1が下向きの状態で、積層体10が挟持部材401に載置される。そのため、積厚測定処理に際して、挟持部材401に支持されている積層体10が不安定とならない。従って、打抜装置130による積層体10の形成処理の後続の積厚測定処理を良好に実施することが可能となる。
本実施形態では、磁石取付装置500において積層体10の磁石挿入孔16に永久磁石12を取り付ける際に、下端面S2から突出する突起20bが下型510(ベース部材511)に接触しない。すなわち、突起20bが突出していない上端面S1が下向きの状態で、積層体10が下型510に載置される。そのため、磁石取付処理に際して、下型510に支持されている積層体10が不安定とならない。従って、打抜装置130による積層体10の形成処理の後続の磁石取付処理を良好に実施することが可能となる。
本実施形態では、打抜装置130により形成された積層体10を、下端面S2が上方に向き且つ突起20bが上方に向けて突出するように、反転装置300によって反転している。そのため、後続の積厚測定処理または磁石取付処理において、突起20bが突出していない側の上端面S1が挟持部材401又は下型510の上面(支持面)と当接する。従って、積層体10を挟持部材401又は下型510でより安定して支持することが可能となる。
本実施形態では、カシメ20がV字形カシメであり、突起20bの下端面S2からの突出量がより大きくなりやすい。しかしながら、上記のとおり、突起20bが突出していない上端面S1が下向きの状態で、積層体10が挟持部材401又は下型510に載置される。そのため、V字形カシメを含む積層体10であっても、挟持部材401又は下型510でより安定して支持することが可能となる。
本実施形態では、仮積層体11が加圧される荷重L1は、積層体10のモールド加工時における荷重L3以上に設定されている。そのため、仮積層体11が十分に加圧されるので、積層体10のモールド加工時においてスプリングバックが抑制される。換言すれば、仮積層体11の加圧時の荷重L1を積層体10のモールド加工時の荷重L3以上とすることで、積層体10の積厚が、積層体10のモールド加工の前後で変化し難くなる。従って、加圧処理の後続のモールド加工処理を良好に実施することが可能となる。
[変形例]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。
(1)上記の実施形態では、打抜装置130により形成された積層体10を、反転装置300によって反転した後に、積厚測定装置400及び磁石取付装置500に搬送していたが、製造装置100が反転装置300を備えておらず、積層体10が反転されないままの正立状態で積層体10を積厚測定装置400及び磁石取付装置500に搬送してもよい。具体的には、図8に示されるように、挟持部材401が複数の開口部401aを含んでいてもよい。複数の開口部401aはそれぞれ、積層体10の下端面S2から下方に突出する突起20bを収容可能に構成されている。開口部401aは、挟持部材401を貫通する貫通孔であってもよいし、挟持部材401の上面に設けられた窪みであってもよい。あるいは、積層体10の下端面S2から下方に突出する複数の突起20bを全て収容可能な一つの開口部が挟持部材401に設けられていてもよい。当該開口部は、例えば、円環状の凹溝であってもよい。磁石取付装置500においても、挟持部材401の開口部401aと同様の開口部が、下型510のベース部材511に設けられていてもよい。これらの場合、カシメ20の突起20bが開口部401a内に収容されるので、後続の積厚測定処理または磁石取付処理において、下端面S2のうち突起20b以外の平坦面が挟持部材401又は下型510の上面(支持面)と当接する。従って、積層体10を反転する工程を経ることなく、積層体10を挟持部材401及びベース部材511でより安定して支持することが可能となる。
(2)上記の実施形態では、上型520のベース部材521に複数の凹部521cが設けられていたが、積層体10の下端面S2から上方に突出する複数の突起20bを全て収容可能な一つの開口部がベース部材521に設けられていてもよい。当該開口部は、例えば、円環状の凹溝であってもよい。
(3)上型520に凹部521cが設けられていない場合には、積層体10の下端面S2から突出する突起20bは、上型520の下面と当接していてもよい。
(4)挟持部材402の下面に開口部が設けられており、挟持部材401,402が積層体10を挟持する際に突起20bが当該開口部内に収容されてもよい。このとき、突起20bを除く積層体10の下端面S2が挟持部材402の下面と当接する。
(5)図9に示されるように、支持部材601及びセンサ602を含むカシメ測定装置600を製造装置100がさらに備え、カシメ測定装置600によって、カシメ20の突起20bの突出量又はカシメ20の窪み20aの深さを測定してもよい。支持部材601は、積層体10を支持できれば特に限定されず、例えば矩形状の平板であってもよい。センサ602は、例えば、非接触式又は接触式の距離センサであってもよい。
具体的には、図9(a)に示されるように、反転装置300によって反転された倒立状態の積層体10を支持部材601に載置し、上方に向けて突出する突起20bの突出量を、積層体10の上方からセンサ602によって測定してもよい。図9(b)に示されるように、正立状態の積層体10を支持部材601に載置し、上方に向かう上端面S1が含む窪み20aの深さを、積層体10の上方からセンサ602によって測定してもよい。図9(c)に示されるように、カシメ20の突起20bを収容可能に構成された複数の貫通孔601aが支持部材601に設けられており、突起20bが貫通孔601a内に位置するように正立状態の積層体10を支持部材601に載置し、下方に向けて突出する突起20bの突出量を、支持部材601の下方からセンサ602によって測定してもよい。これらの場合、突起20b又は窪み20aの存在をセンサ602によって検知することにより、下端面S2が上向きであるのか下向きであるのかを判定することができる。
ところで、積層体10の積厚が基準よりも大きい場合に、積厚を調整するために少なくとも一枚の打抜部材Wを積層体10から取り除く(剥がす)ことがある。しかしながら、誤って積層体10の下端面S2側から打抜部材Wを取り除いてしまうと、貫通孔22が設けられた打抜部材W2が取り除かれてしまう。そのため、貫通孔22内に挿通されていた突起20bの全体が外部に露出するので、積層体10の下端面S2からの突起20bの突出量が大きくなってしまう。この場合、積層体10がより不安定な状態となりうる。このとき、上記のように突起20bの突出量の変化をセンサ602によって検知することにより、誤って下端面S2側から打抜部材Wが取り除かれているか否かを判定することができる。
(6)上記の実施形態では、積層体10の形成後で且つ積層体10に対するモールド加工前に積層体10の積厚を測定していたが、積層体10の積厚測定処理は、積層体10の形成後の任意の時点で行われてもよい。例えば、積層体10に対するモールド加工後に、積層体10の積厚が測定されてもよい。この場合も、荷重L1で仮積層体11が加圧されて、積層体10の積厚が変化し難くなった後に、積層体10の積厚が測定されるので、積層体10の積厚をより正確に測定することが可能となる。
(7)上記の実施形態では、積層体10に対してモールド加工(溶融樹脂の磁石挿入孔16への注入)を行っていたが、積層体10に対して他の加工が行われてもよい。例えば、積層体10の周面に対して溶接加工が行われてもよいし、積層体10の表面に識別コードが形成されてもよい(刻印加工)。
積層体10に溶接加工が行われる場合、溶接ビードによって複数の打抜部材Wが接合される。仮に、仮積層体11の加圧処理がされない場合、荷重L3で加圧しつつ溶接加工が実施されると、複数の打抜部材W同士の隙間がある程度縮まった状態で複数の打抜部材W同士が溶接ビードによって接合される。ところが、スプリングバックにより複数の打抜部材Wが積層方向において拡がろうとするので、溶接ビードに損傷(クラック等)が生じうる。しかしながら、本開示の積層体10の積厚が積層体10の加工の前後で変化し難いので、溶接ビードの損傷が生じ難くなる。
積層体10に刻印加工が行われる場合、積層体10の表面(例えば、上端面、下端面等)にレーザビームが照射されることにより、識別コードが形成される。仮に、仮積層体11の加圧処理がされない場合、積層体10の表面に識別コードを形成しようとレーザビームを積層体に照射する際に、積層体10の積厚が安定しないので、レーザ光源と積層体10との間の距離が変動してしまいうる。そのため、識別コードの品質にばらつきが生じることがある。しかしながら、本開示の積層体10の積厚は積層体10の加工の前後で変化し難いので、積層体10の表面に形成される識別コードの品質を良好に維持することが可能となる。なお、積層体10の刻印加工に際しても、積層体10が所定の荷重(例えば、荷重L3)で加圧されていてもよいし、積層体10が加圧されていなくてもよい。
識別コードは、当該識別コードを備える回転子積層鉄心1の個体(例えば、品種、製造日時、使用材料、製造ライン等)を識別するための個体情報を保持する機能を有する。識別コードは、明模様と暗模様との組み合わせにより当該個体情報を保持することができれば特に限定されず、例えば、バーコードであってもよいし、二次元コードであってもよい。二次元コードとしては、例えば、QRコード(登録商標)、DataMatrix、Vericode等であってもよい。あるいは、識別コードは、コントラストを高めることができれば、白色及び黒色の他に、他の種々の色を組み合わせて構成されていてもよい。例えば、識別コードは、階層化二次元コード(色情報を多層化してなる二次元形状コード)であってもよい。階層化二次元コードとしては、例えば、PMコード(登録商標)等であってもよい。
(8)上記の実施形態では、加圧装置200により仮積層体11を加圧して積層体10を形成した後に、反転装置300により当該積層体10を反転させていたが、反転装置300により仮積層体11を反転させた後に、加圧装置200により仮積層体11を加圧して積層体10を形成してもよい。
(9)製造装置100が加圧装置200を備えておらず、加圧装置200による仮積層体11の加圧が行われなくてもよい。
(10)打抜部材W同士を締結するカシメ20は、図10に示されるような、いわゆる切り起こしカシメであってもよい。切り起こしカシメは、電磁鋼板ESから部分的に切断された切り起こし片によって構成されている。切り起こし片の先端部が、隣接する打抜部材W2の貫通孔22の内周面又は隣接する打抜部材W1の切り起こし片と嵌合することにより、複数の打抜部材Wが締結される。この場合も、突起20bの下端面S2からの突出量がより大きくなりやすいが、上記のとおり、切り起こしカシメを含む積層体10であっても積層体10をより安定して支持することが可能となる。
(11)打抜部材W同士を締結するカシメ20は、円柱状を呈するいわゆる丸カシメであってもよい。
(12)2つ以上の永久磁石12が組み合わされた一組の磁石組が、一つの磁石挿入孔16内にそれぞれ挿入されていてもよい。この場合、一つの磁石挿入孔16内において、複数の永久磁石12が磁石挿入孔16の長手方向において並んでいてもよい。一つの磁石挿入孔16内において、複数の永久磁石12が磁石挿入孔16の延在方向において並んでいてもよい。一つの磁石挿入孔16内において、複数の永久磁石12が当該長手方向に並ぶと共に複数の永久磁石12が当該延在方向において並んでいてもよい。
(13)上記の実施形態では、上型420の収容孔421b内に収容されている樹脂ペレットPを内蔵熱源422により溶融し、永久磁石12が挿入されている磁石挿入孔16内に溶融状態の樹脂(溶融樹脂)を注入していたが、他の種々の方法によって永久磁石12を磁石挿入孔16内に保持させてもよい。例えば、磁石挿入孔16内に永久磁石12及び樹脂ペレットPが投入された状態で積層体10を加熱し、樹脂ペレットPを溶融させることにより、磁石挿入孔16内に樹脂を充填してもよい。また例えば、磁石挿入孔16内に樹脂ペレットPが投入された状態で、加熱された永久磁石12を磁石挿入孔16に挿入して、永久磁石12の熱で樹脂ペレットPを溶融させることにより、磁石挿入孔16内に樹脂を充填してもよい。
(14)上記の実施形態では、回転子積層鉄心1について説明したが、固定子積層鉄心に本発明を適用してもよい。この場合、複数の鉄心片が組み合わされてなる分割型の固定子積層鉄心であってもよいし、非分割型の固定子積層鉄心であってもよい。
(15)上記の実施形態では、加圧装置200で仮積層体11を加圧して積層体10を得た後に、反転装置300で積層体10を反転させていたが、先に反転装置で仮積層体11を反転させた後に、反転後の仮積層体11を加圧装置200で加圧して積層体10を得てもよい。
[摘記]
例1.本開示の一つの例に係る積層鉄心(1)の製造方法は、複数の打抜部材(W)を積層して積層体(10)を形成することであって、積層体(10)は一対の第1及び第2の端面(S2,S1)を含んでおり、複数の打抜部材(W)は積層体(10)の積層方向においてカシメ(20)により締結されており、下向きの状態にある第1の端面(S2)からカシメ(20)の突起(20b)が下方に突出していることと、突起(20b)が支持体(401,510)の支持面に接触しないように、積層体(10)を支持体(401,510)に載置することと、積層体(10)が支持体に載置された状態で積層体(10)を処理することとを含む。この場合、カシメ(20)の突起(20b)が支持体(401,510)の支持面に接触していない。すなわち、積層体(10)の一対の端面(S1,S2)のうちより平坦な面が支持面に当接した状態で、積層体(10)が支持体に載置される。そのため、後続の処理に際して、支持体(401,510)に載置されている積層体(10)が不安定とならない。従って、後続の処理を良好に実施することが可能となる。
例2.例1の方法において、積層体(10)を支持体(401,510)に載置することは、第1の端面(S2)が上方に向き且つ突起(20b)が上方に向けて突出するように反転された後の積層体(10)を支持体(401,510)に載置することを含んでもよい。この場合、突起(20b)が突出していない側の第2の端面(S1)が支持体(401,510)の支持面と当接する。そのため、積層体(10)を支持体(401,510)でより安定して支持することが可能となる。
例3.例1の方法において、積層体(10)を支持体(401)に載置することは、支持体(401)の支持面に設けられた開口部(401a)内に突起が位置するように積層体の端面(S2)を支持面で支持することを含んでもよい。この場合、カシメ(20)の突起(20b)が開口部(20a)内に収容されるので、突起(20b)が突出している側の第1の端面(S2)が支持体(401)の支持面と当接する。そのため、積層体(10)を支持体(401)でより安定して支持することが可能となる。
例4.例1~例3のいずれかの方法において、カシメ(20)はV字形カシメ又は切り起こしカシメであってもよい。この場合、突起(20b)の突出量がより大きくなりやすいV字形カシメ又は切り起こしカシメを含む積層体であっても、支持体(401,510)でより安定して支持することが可能となる。
例5.例1~例4のいずれかの方法において、第1の端面(S2)からの突起(20b)の突出量を測定することをさらに含んでもよい。この場合、突起(20b)の存在を検知することにより、第1の端面(S2)が上向きであるのか下向きであるのかを判定することができる。また、積層体(10)の積厚が基準よりも大きい場合に、積厚を調整するために少なくとも一枚の打抜部材(W)を積層体(10)から取り除く(剥がす)ことがあるが、突起(20b)の突出量の変化を検知することにより、誤って第1の端面(S2)側から打抜部材(W)が取り除かれているか否かを判定することができる。
例6.例1~例5のいずれかの方法は、第2の端面(S1)におけるカシメ(20)の窪み(20a)の深さを測定することをさらに含んでもよい。この場合、窪み(20a)の存在を検知することにより、第2の端面(S1)が上向きであるのか下向きであるのかを判定することができる。
例7.例1~例6のいずれかの方法は、第1の荷重(L1)で積層体(11)を加圧することをさらに含み、積層体(10)を処理することは、第1の荷重(L1)で加圧後の積層体(10)を、第1の荷重(L1)以下の第2の荷重(L3)で加圧しつつ加工することを含んでもよい。この場合、積層体(11)が加圧される第1の荷重(L1)は、加圧後の積層体(10)の加工時における第2の荷重(L3)以上である。そのため、積層体(11)が十分に加圧されるので、加圧後の積層体(10)の加工時においてスプリングバックが抑制される。換言すれば、積層体(11)の加圧時の荷重(第1の荷重)(L1)を加圧後の積層体(10)の加工時の荷重(第2の荷重)(L3)以上とすることで、加圧後の積層体(10)の積厚が加工の前後で変化し難くなる。従って、加圧処理の後続の加工処理を良好に実施することが可能となる。