JP2020061808A - 回転子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本開示の課題は、回転子を極めて簡易且つ効率的に製造することが可能な回転子の製造方法を提供することにある。【解決手段】回転子の製造方法は、高さ方向に貫通する軸孔を含む複数の鉄心部材を、シャフトが軸孔に挿通された状態となるようにシャフトに取り付けることであって、軸孔の内径がシャフトの外径よりも大きいことと、積層された複数の鉄心部材を高さ方向において加圧して、複数の鉄心部材が相互に近接され且つ軸孔がシャフトに係合された積層体を形成することとを含む。【選択図】図7

Description

本開示は、回転子の製造方法に関する。
回転子は、回転子積層鉄心の軸孔にシャフトが挿通されてなる。通常、金属板(例えば、電磁鋼板)を所定形状に打ち抜いて得られる複数の打抜部材を積層することにより得られる。そのため、打ち抜きの際に金属板に生ずる歪みにより、打抜部材が平坦とならないことがある。また、一般に、金属板の厚さは、完全に均一ではなく、わずかに変動している。そのため、打抜部材に形成される軸孔は、打抜部材の高さ方向に関して斜めに延びた状態となることがある。従って、このような複数の打抜部材を積層して回転子積層鉄心を構成すると、回転子積層鉄心の軸孔が非直線状となりうる。
特許文献1は、非直線状の軸孔にシャフトをスムーズに挿通するために、シャフトを軸孔に焼き嵌めする方法を開示している。具体的には、当該方法は、回転子積層鉄心を所定温度に加熱して、回転子積層鉄心の熱膨張により軸孔を拡大することと、拡大した軸孔にシャフトを挿通することと、回転子積層鉄心の温度を低下させることとを含む。
特開2012−161209号公報
本開示は、回転子を極めて簡易に且つ効率的に製造することが可能な回転子の製造方法を説明する。
本開示の一つの観点に係る回転子の製造方法は、高さ方向に貫通する軸孔を含む複数の鉄心部材を、シャフトが軸孔に挿通された状態となるようにシャフトに取り付けることであって、軸孔の内径がシャフトの外径よりも大きいことと、積層された複数の鉄心部材を高さ方向において加圧して、複数の鉄心部材が相互に近接され且つ軸孔がシャフトに係合された積層体を形成することとを含む。
本開示に係る回転子の製造方法によれば、回転子を極めて簡易且つ効率的に製造することが可能となる。
図1は、回転子の一例を示す分解斜視図である。 図2は、図1のII−II線断面図である。 図3は、積層体の分解斜視図である。 図4は、回転子の製造装置の一例を示す概略図である。 図5は、治具によりシャフト部材が保持されている様子を説明するための断面図である。 図6は、加圧装置によりブロック体をシャフトに取り付ける様子を説明するための断面図である。 図7は、図6の後続の工程を説明するための断面図である。 図8は、磁石取付装置により積層体の磁石挿入孔に永久磁石を取り付ける様子を説明するための断面図である。 図9は、溶接装置により端面板を回転子積層鉄心に接合する様子を説明するための断面図である。 図10は、回転子の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。 図11は、回転子の製造方法の他の例を説明するための断面図である。 図12は、回転子の製造方法の他の例を説明するための断面図である。 図13は、治具及びシャフト部材の他の例を説明するための斜視図である。
以下に、本開示に係る実施形態の一例について、図面を参照しつつより詳細に説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[回転子の構成]
まず、図1〜図3を参照して、回転子1(ロータ)の構成について説明する。回転子1は、図1及び図2に示されるように、回転子積層鉄心2(鉄心本体)と、シャフト部材3と、端面板4とを含む。回転子1が固定子(ステータ)と組み合わせられることにより、電動機(モータ)が構成される。本実施形態における回転子1は、埋込磁石型(IPM)モータに用いられる。
回転子積層鉄心2は、図1及び図2に示されるように、積層体10と、複数の永久磁石12と、複数の固化樹脂14とを含む。
積層体10は、複数のブロック体B(鉄心部材)がこの順に積層されている。図1〜図3に示される例では、積層体10は、6つのブロック体B1〜B6が上側から下側に向けてこの順に並ぶように積層されている。ブロック体Bの積層方向(以下、単に「積層方向」という。)において隣り合うブロック体B同士は、互いに接合されて一体化されている。
積層体10は、いわゆる転積によって構成されていてもよい。「転積」とは、ブロック体B同士の角度を相対的にずらしつつ、複数のブロック体Bを積層することをいう。転積は、主に積層体10の板厚偏差を相殺することを目的に実施される。転積の角度は、任意の大きさに設定してもよい。
ブロック体Bは、図2及び図3に示されるように、複数の打抜部材Wが積み重ねられた積層体である。打抜部材Wは、後述する電磁鋼板ESが所定形状に打ち抜かれた板状体であり、積層体10に対応する形状を呈している。
積層方向において隣り合う打抜部材W同士は、カシメ部18によって締結されている。積層方向において隣り合うブロック体B同士は、カシメ部18によって締結されていない。具体的には、カシメ部18は、図2に示されるように、ブロック体Bの最下層以外をなす打抜部材Wに形成されたカシメ20と、ブロック体Bの最下層をなす打抜部材Wに形成された貫通孔22とを有する。カシメ20は、打抜部材Wの表面側に形成された凹部と、打抜部材Wの裏面側に形成された凸部とで構成されている。一の打抜部材Wのカシメ20の凹部は、当該一の打抜部材Wの表面側に隣り合う他の打抜部材Wのカシメ16aの凸部と接合される。一の打抜部材Wのカシメ20の凸部は、当該一の打抜部材Wの裏面側において隣り合う更に他の打抜部材Wのカシメ20の凹部と接合される。貫通孔22には、回転子積層鉄心2の最下層に隣接する打抜部材Wのカシメ20の凸部が接合される。貫通孔22は、ブロック体Bを連続して製造する際、既に製造されたブロック体Bに対して次に製造するブロック体Bがカシメ20によって締結されるのを防ぐ機能を有する。
これらの打抜部材W同士は、カシメ部18に代えて、種々の公知の方法にて締結されてもよい。例えば、複数の打抜部材W同士は、接着剤又は樹脂材料を用いて互いに接合されてもよいし、溶接によって互いに接合されてもよい。あるいは、打抜部材Wに仮カシメを設け、仮カシメを介して複数の打抜部材Wを締結して積層体10を得た後、仮カシメを当該積層体から除去してもよい。なお、「仮カシメ」とは、複数の打抜部材Wを一時的に一体化させるのに使用され且つ回転子積層鉄心2を製造する過程において取り除かれるカシメを意味する。
積層体10は、図1に示されるように、円筒状を呈している。積層体10の中央部には、中心軸Axに沿って延びるように積層体10を貫通する軸孔10aが設けられている。すなわち、軸孔10aは、積層体10の積層方向に延びている。積層方向は、中心軸Axの延在方向でもある。本実施形態において積層体10は中心軸Ax周りに回転するので、中心軸Axは回転軸でもある。
図2に示されるように、本実施形態では、軸孔10aは、各ブロック体Bにおいては、所定の方向に沿って斜めに直線状に延びている。しかしながら、積層体10全体としての軸孔10aは、各ブロック体Bの軸孔10aが連結された結果、屈曲している。すなわち、軸孔10aは全体として非直線状を呈している。
積層体10には、複数の磁石挿入孔16(貫通孔)が形成されている。磁石挿入孔16は、図1及び図3に示されるように、積層体10の外周縁に沿って所定間隔で並んでいる。磁石挿入孔16は、図2に示されるように、中心軸Axに沿って延びるように積層体10を貫通している。すなわち、磁石挿入孔16は積層方向に延びている。磁石挿入孔16も、軸孔10aと同様に、各ブロック体Bにおいては所定の方向に沿って斜めに直線状に延びているが、全体としては非直線状を呈している。
磁石挿入孔16の形状は、本実施形態では、積層体10の外周縁に沿って延びる長孔である。磁石挿入孔16の数は、本実施形態では6個である。磁石挿入孔16の位置、形状及び数は、モータの用途、要求される性能などに応じて変更してもよい。
永久磁石12は、図1及び図2に示されるように、各磁石挿入孔16内に一つずつ挿入されている。永久磁石12の形状は、特に限定されないが、本実施形態では直方体形状を呈している。永久磁石12の種類は、モータの用途、要求される性能などに応じて決定すればよく、例えば、焼結磁石であってもよいし、ボンド磁石であってもよい。
固化樹脂14は、永久磁石12が挿入された後の磁石挿入孔16内に溶融状態の樹脂材料(溶融樹脂)が充填された後に当該溶融樹脂が固化したものである。固化樹脂14は、永久磁石12を磁石挿入孔16内に固定する機能と、積層方向(上下方向)で隣り合う打抜部材W同士(ブロック体B同士)を接合する機能とを有する。固化樹脂14を構成する樹脂材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂と、硬化開始剤と、添加剤とを含む樹脂組成物が挙げられる。添加剤としては、フィラー、難燃剤、応力低下剤などが挙げられる。
シャフト部材3は、図1及び図2に示されるように、シャフト3aと、フランジ3bとを含む。シャフト3aは、円柱状を呈している。シャフト3aの先端部(フランジ3bよりも上方に延びる部分)は、回転子積層鉄心2の軸孔10aに挿通されている。
フランジ3bは、円板状を呈しており、シャフト3aの径方向外方に張り出すようにシャフト3aに設けられている。フランジ3bは、シャフト3aに挿通されている回転子積層鉄心2を保持する機能を有する。すなわち、フランジ3bの上面には、積層体10の下端面S1が当接している。フランジ3bの下部は、シャフト3aの基部(フランジ3bよりも下方に延びる部分)に向かうにつれて縮径しており、全体として截頭円錐状を呈している。フランジ3bの首部3c(フランジ3bの下部とシャフト3aの基部との間の部分)は、図5に示されるように、凹状の湾曲面を呈している。
本実施形態では、フランジ3bの外径は、積層体10の外径と同程度に設定されている。そのため、フランジ3bに回転子積層鉄心2が保持されている場合、磁石挿入孔16の下端は、フランジ3bと重なり合っており、フランジ3bによって閉塞されている。
端面板4は、中央部に貫通孔4aが設けられた円環状を呈する板状体である。端面板4は、貫通孔4aにシャフト3aが挿通された状態で、積層体10の上端面S2上に載置されている。端面板4は、積層体10と互いに接合されて一体化されていてもよい。端面板4は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム等で構成されていてもよい。
端面板4の外径は、積層体10の外径と同程度に設定されている。そのため、回転子積層鉄心2に端面板4が保持されている場合、磁石挿入孔16の上端は、端面板4と重なり合っており、端面板4によって閉塞されている。
[回転子の製造装置]
続いて、図4〜図9を参照して、回転子1の製造装置100について説明する。
製造装置100は、帯状の金属板である電磁鋼板ES(被加工板)から回転子1を製造するための装置である。製造装置100は、アンコイラー110と、送出装置120と、打抜装置130と、加圧装置140と、磁石取付装置150と、溶接装置160と、コントローラCtr(制御部)とを備える。
アンコイラー110は、コイル状に巻回された帯状の電磁鋼板ESであるコイル材111が装着された状態で、コイル材111を回転自在に保持する。送出装置120は、電磁鋼板ESを上下から挟み込む一対のローラ121,122を有する。一対のローラ121,122は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて回転及び停止し、電磁鋼板ESを打抜装置130に向けて間欠的に順次送り出す。
打抜装置130は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。打抜装置130は、送出装置120によって間欠的に送り出される電磁鋼板ESを順次打ち抜き加工して打抜部材Wを形成する機能と、打ち抜き加工によって得られた打抜部材Wを順次積層してブロック体Bを製造する機能とを有する。
ブロック体Bは、打抜装置130から排出されると、打抜装置130と加圧装置140との間を延びるように設けられたコンベアCvに載置される。コンベアCvは、コントローラCtrからの指示に基づいて動作し、ブロック体Bを加圧装置140に送り出す。なお、打抜装置130と加圧装置140との間において、ブロック体BはコンベアCv以外によって搬送されてもよい。例えば、ブロック体Bは、コンテナに載置された状態で、人手によって搬送されてもよい。
加圧装置140は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。加圧装置140は、シャフト部材3に保持されている複数のブロック体Bを加圧する機能を有する。加圧装置140において、シャフト部材3は、図5に示されるように、治具5に保持されている。
治具5は、板状体であり、凹部5aと、貫通孔5bとを含む。凹部5aは、フランジ3bの外形と対応する形状を有しており、上方から見て略円形状を呈している。凹部5aの内径は、フランジ3bの外径よりも若干大きく設定されている。
貫通孔5bは、凹部5aの中央部に設けられている。すなわち、貫通孔5bは、凹部5aの底面から治具5の下面にかけて延びている。貫通孔5bは、シャフト3aの基部の外形と対応する形状を有しており、上方から見て略円形状を呈している。貫通孔5bの径は、シャフト3aの基部の外径よりも若干大きく設定されている。
貫通孔5bの上端縁5cは、湾曲しながら凹部5aの底面に接続されている。そのため、上端縁5cは、凸状の湾曲面を呈している。上端縁5cの一部の曲率は、首部3cの一部の曲率と略一致している。そのため、シャフト3aの基部が貫通孔5bに挿通されると、首部3c及び上端縁5cの曲率が略一致する部分が当接するが、シャフト3aの基部は貫通孔5bと当接せず、フランジ3bは凹部5aと当接しない。これにより、シャフト3aが鉛直方向に沿って延びるように、シャフト部材3が治具5に位置決めされる。
加圧装置140は、図6及び図7に示されるように、挟持部材141と、昇降機構142とを含む。挟持部材141は、フランジ3b及び治具5の上面と対向するように、これらの上方に位置している。挟持部材141は、板状体であり、凹部141aを含む。凹部141aは、挟持部材141の下面の中央部に設けられている。凹部141aは、シャフト3aの先端部の外形に対応する形状を有しており、下方から見て略円形状を呈している。凹部141aの内径は、シャフト3aの先端部の外形よりも若干大きく設定されている。
昇降機構142は、挟持部材141に接続されている。昇降機構142は、コントローラCtrからの指示に基づいて動作し、挟持部材141を上下方向において往復動させる。すなわち、昇降機構142は、挟持部材141を上下動させることにより、挟持部材141をフランジ3b及び治具5に対して近接及び離間させるように構成されている。昇降機構142は、挟持部材141を上下動させるのであれば、特に限定されるものではなく、例えば、アクチュエータ、エアシリンダ等であってもよい。
シャフト3aの先端部に複数のブロック体Bを嵌入する際(図6参照)には、昇降機構142は、挟持部材141を上方に退避させておく。一方、シャフト3aの先端部に嵌入された複数のブロック体Bを加圧する際(図7参照)には、昇降機構142は、挟持部材141を複数のブロック体B及びフランジ3bに向けて降下させる。このとき、シャフト3aの先端部が挟持部材141の凹部141a内に収容されるので、シャフト3aが挟持部材141の下方への移動を阻害しない。
磁石取付装置150は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。磁石取付装置150は、各磁石挿入孔16に永久磁石12を挿通する機能と、永久磁石12が挿通された磁石挿入孔16内に溶融樹脂を充填する機能とを有する。磁石取付装置150は、図8に示されるように、上型151と、複数のプランジャ152と、内蔵熱源153とを含む。
上型151は、シャフト部材3のフランジ3bと共に積層体10を積層方向(積層体10の高さ方向)において挟持可能に構成されている。上型151がフランジ3bと共に積層体10を挟持する際、積層体10には積層方向から所定の荷重が付与される。
上型151は、矩形状を呈する板状部材である。上型151には、一つの貫通孔151aと、複数の収容孔151bとが設けられている。貫通孔151aは、上型151の略中央部に位置している。貫通孔151aは、シャフト3aに対応する形状(略円形状)を呈しており、シャフト3aの先端部が挿通可能である。
複数の収容孔151bは、上型151を貫通しており、貫通孔151aの周囲に沿って所定間隔で並んでいる。各収容孔151bは、フランジ3b及び上型151が積層体10を挟持した際に、積層体10の磁石挿入孔16にそれぞれ対応する箇所に位置している。各収容孔151bは、円柱形状を呈しており、少なくとも一つの樹脂ペレットPを収容する機能を有する。
複数のプランジャ152は、上型151の上方に位置している。各プランジャ152は、図示しない駆動源によって、対応する収容孔151bに対して挿抜可能となるように構成されている。
内蔵熱源153は、例えばヒータであり、上型151に内蔵されている。内蔵熱源153が動作すると、上型151が加熱され、上型151に接触している積層体10が加熱されると共に、各収容孔151bに収容された樹脂ペレットPが加熱される。これにより、樹脂ペレットPが溶融して溶融樹脂に変化する。
溶接装置160は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。溶接装置160は、回転子積層鉄心2と端面板4とを溶接する機能を有する。溶接装置160は、図9に例示されるように、溶接トーチであってもよい。
加圧装置140、磁石取付装置150及び溶接装置160の間において、シャフト部材3に保持された積層体10又は回転子積層鉄心2は、シャフト部材3が治具5に保持された状態で搬送される。このとき、積層体10又は回転子積層鉄心2は、シャフト部材3を介して治具5と共に、コンベア(図示せず)によって搬送されてもよいし、コンテナに載置された状態で人手によって搬送されてもよい。
コントローラCtrは、例えば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて、送出装置120、打抜装置130、加圧装置140、磁石取付装置150及び溶接装置160をそれぞれ動作させるための指示信号を生成し、これらに当該指示信号をそれぞれ送信する。
[回転子の製造方法]
続いて、図4〜図10を参照して、回転子1の製造方法について説明する。まず、打抜装置130により電磁鋼板ESを順次打ち抜きつつ打抜部材Wを積層して、ブロック体Bを順次形成する(図10のステップS11参照)。こうして、軸孔10a、磁石挿入孔16及びカシメ部18が形成されたブロック体Bが得られる。このとき、ブロック体Bの軸孔10aの内径はシャフト3aの外径よりも大きく設定される。
このとき、電磁鋼板ESから打抜部材Wが打ち抜かれる際に、打抜部材Wに歪みが生じ、打抜部材Wが平坦とならず、わずかに湾曲等することがある。また、一般に、電磁鋼板ESの厚さは、完全に均一ではなく、わずかに変動している。そのため、ブロック体Bの軸孔10a及び磁石挿入孔16は、ブロック体Bの高さ方向に関して斜めに延びた状態となりうる。なお、各図では傾きが大きく誇張して描かれているが、実際には、数10μm程度である。
次に、各ブロック体Bを加圧装置140に搬送して、治具5に保持されているシャフト部材3に複数のブロック体Bを一つずつ取り付ける。具体的には、まず、コントローラCtrからの指示に基づいて、昇降機構142が挟持部材141を上昇させ、挟持部材141がシャフト部材3及び治具5から離間した状態とする。続いて、ブロック体Bの軸孔10aにシャフト3aの先端部が挿通された状態となるように、ブロック体Bを一つずつシャフト3aに嵌入する(図10のステップS12参照)。
ブロック体Bの軸孔10aの内径はシャフト3aの外径よりも大きいので、ブロック体Bはシャフト3aに引っ掛かることなくスムーズに嵌入される。このとき、ブロック体Bの軸孔10aがシャフト3aの延在方向に沿って延びることとなるので、ブロック体B自身はシャフト3aに対して斜めに傾いた状態となる(図6参照)。特に、転積しつつ複数のブロック体Bをシャフト3aに嵌入すると、図6に示されるように、ブロック体Bの傾斜が交互に逆方向となる。
続いて、図7に示されるように、コントローラCtrからの指示に基づいて、昇降機構142が挟持部材141を降下させ、シャフト3aに嵌入されている複数のブロック体Bを加圧する(図10のステップS13参照)。このときの荷重は、例えば、5トン〜10トン程度であってもよい。
これにより、複数のブロック体Bは、フランジ3bと挟持部材141とで挟持され、ブロック体B自身は、フランジ3bの上面及び挟持部材141の下面に沿って水平に延びた状態となる。一方、軸孔10a及び磁石挿入孔16はシャフト3aに関して傾いた状態となる。そのため、軸孔10aが全体として曲折した状態(非直線状)となり、これに伴い、軸孔10aの内周縁がシャフト3aに食いつく。従って、複数のブロック体Bがシャフト3aに係合するので、挟持部材141が上昇してブロック体Bから離間しても、複数のブロック体Bが外側に拡がり難い。こうして、複数のブロック体B同士の間の隙間が減じられて、複数のブロック体Bが積み重ねられた積層体10がフランジ3b上において構成される。
次に、積層体10をシャフト部材3及び治具5と共に磁石取付装置150に搬送する。次に、各磁石挿入孔16内に永久磁石12を挿入する(図10のステップS14参照)。各磁石挿入孔16内への永久磁石12の挿入は、人手で行われてもよいし、コントローラCtrの指示に基づいて、磁石取付装置150が備えるロボットハンド(図示せず)等により行われてもよい。
次に、上型151を積層体10上に載置し、上型151によって積層体10を加圧する。このときの荷重は、例えば、1トン〜10トン程度であってもよい。これにより、上型151とフランジ3bとで積層体10が積層方向から挟持される。次に、各収容孔151bに樹脂ペレットPを投入する。上型151の内蔵熱源153により樹脂ペレットPが溶融状態となると、溶融樹脂をプランジャ152によって各磁石挿入孔16内に注入する。このとき、積層体10は、内蔵熱源153により、例えば150℃〜180℃程度に加熱される。
その後、溶融樹脂が固化すると、磁石挿入孔16内に固化樹脂14が形成される。こうして、各ブロック体Bが固化樹脂14によって一体化されると共に、積層体10に永久磁石12が取り付けられる(図10のステップS15参照)。上型151が積層体10から取り外されると、回転子積層鉄心2がフランジ3b上において完成する。
次に、回転子積層鉄心2をシャフト部材3及び治具5と共に加圧装置140に搬送する。次に、コントローラCtrからの指示に基づいて、昇降機構142が挟持部材141を降下させ、シャフト3aに取り付けられている回転子積層鉄心2を再加圧する(図10のステップS16参照)。このときの荷重は、例えば、1トン〜10トン程度であってもよい。これにより、回転子積層鉄心2がフランジ3bに押し付けられて、回転子積層鉄心2の下端面S1がフランジ3bの上面と当接する。
次に、回転子積層鉄心2をシャフト部材3及び治具5と共に溶接装置160に搬送する。次に、端面板4の貫通孔4aをシャフト3aの先端部に嵌入しつつ、端面板4を回転子積層鉄心2の上端面S2に載置する。次に、コントローラCtrの指示に基づいて溶接装置160が動作し、端面板4及び積層体10の間を溶接する(図10のステップS17参照)。これにより、端面板4が回転子積層鉄心2に接合された回転体が構成される。その後、治具5からシャフト部材3が取り外されることにより、回転子1が完成する。
[作用]
以上のような本実施形態では、複数のブロック体Bを積層して積層体10を形成してから、積層体10にシャフト3aを取り付けるのではなく、複数のブロック体Bをそれぞれシャフト3aに取り付けた後に、複数のブロック体Bを加圧している。ブロック体Bの軸孔10aの内径はシャフト3aの外径よりも大きいので、個々のブロック体Bは容易にシャフト3aに挿通される一方で、複数のブロック体Bが加圧されると積層体10全体としての軸孔10aは非直線状となろうとして、軸孔10aの内周縁がシャフト3aに食いつき、複数のブロック体Bがシャフト3aに係合する。従って、シャフト3aに挿通された複数のブロック体Bを加圧するだけで複数のブロック体Bがシャフト3aに取り付けられるので、回転子1を極めて簡易に且つ効率的に製造することが可能となる。
本実施形態において、複数のブロック体Bのシャフト3aへの嵌入と、複数のブロック体Bに対する加圧とは、常温の環境下において行われてもよい。この場合、焼き嵌めによりシャフト3aを回転子積層鉄心2に取り付けることと比較して、積層体10の加熱処理及び冷却処理が不要となる。そのため、回転子1をより効率的に且つ短時間で製造することが可能となる。本明細書において「常温」とは、外部径から加熱も冷却もされていない状態での温度を言うものとし、より具体的には、回転子1が製造される場所(工場)の室温である。
本実施形態では、複数のブロック体Bは、シャフト3aに嵌入される際に、シャフト3aに設けられているフランジ3bに載置される。そのため、シャフト3aに対する複数のブロック体Bの位置決めを容易に行うことが可能となると共に、複数のブロック体Bが加圧される際の加圧力をフランジ3bで受けることが可能となる。
本実施形態では、シャフト3aは、フランジ3bが治具5に保持されることにより、鉛直方向に沿って延びるように位置決めされている。そのため、複数のブロック体Bを上方からシャフト3aに挿通しやすくなる。従って、生産効率のさらなる向上を図ることが可能となる。
本実施形態では、磁石挿入孔16内に永久磁石12及び固化樹脂14を設けることにより回転子積層鉄心2を形成した後に、加圧装置140により回転子積層鉄心2を再加圧している。そのため、回転子積層鉄心2がフランジ3bに当接する。従って、回転子積層鉄心2とフランジ3bの間に隙間が生じ難くなり、回転子積層鉄心2がシャフト3aに対して相対移動し難くなる。その結果、完成した回転子1を用いて構成された電動機(モータ)が動作する際に、回転子1のガタつきを極めて抑制することが可能となる。
本実施形態では、高さ方向において積層体10を加圧しつつ磁石挿入孔16内に溶融樹脂を注入することにより、複数のブロック体Bを一体化して回転子積層鉄心2を形成している。そのため、磁石挿入孔16内に注入された溶融樹脂が固化することで、複数のブロック体B同士を固化樹脂14によって締結することが可能となる。また、溶融樹脂が磁石挿入孔16内に注入されて固化する過程で、樹脂により積層体10が磁石挿入孔16周りに押し拡げられて、軸孔10aが狭められる。そのため、軸孔10aの内周縁がより強固にシャフト3aに食いつく。従って、複数のブロック体Bをより確実にシャフト3aに取り付けることが可能となる。
本実施形態では、フランジ3bが磁石挿入孔16の下端を覆うように複数のブロック体Bがフランジ3bに保持されており、磁石挿入孔16の上端を覆うように端面板4が積層体10の上端面S2に取り付けられる。そのため、フランジ3bが磁石挿入孔16を覆っているので、フランジ3bは、磁石挿入孔16内に注入される溶融樹脂を堰き止める機能を発揮する。従って、フランジ3bと対向する積層体10の下端面S1に端面板4を取り付ける必要がなくなる。その結果、回転子1をよりいっそう簡易且つ効率的に製造することが可能となる。
本実施形態では、電磁鋼板ESから打ち抜かれた複数の打抜部材Wが積層されたブロック体Bをさらに積層して、積層体10を得ている。そのため、複数のブロック体Bが加圧されて得られる積層体10全体としての軸孔10aは、曲折する傾向が強まる。従って、軸孔10aの内周縁がさらに強固にシャフト3aに食いつく。その結果、複数のブロック体Bをさらに確実にシャフト3aに取り付けることが可能となる。
[変形例]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。
(1)ブロック体Bは、複数の打抜部材Wが転積されることで構成されていてもよい。
(2)上記の実施形態では、複数のブロック体Bを積層して積層体10を得たが、複数の打抜部材30を積層して積層体10を得てもよい。すなわち、打抜部材Wを一つずつシャフト3aに嵌入した後、複数の打抜部材Wを加圧装置140により加圧してもよい。このときも、複数の打抜部材Wが転積によって積層されてもよい。
(3)上記の実施形態では、複数のブロック体Bを転積しつつ積層していたが、転積せずに複数のブロック体Bを積層してもよい。この場合であっても、積層体10の軸孔10aは全体として屈曲した状態(非直線状)となるので、複数のブロック体Bを加圧装置140により加圧するだけで複数のブロック体Bをシャフト3aに取り付けることが可能となる。
(4)フランジ3bの上面と治具5の上面とは略一致していてもよい。フランジ3bの外径が積層体10の外径と同程度である場合には、フランジ3bの上面が治具5の上面より高くても低くてもよい。図11に示されるように、フランジ3bの外径が積層体10の外径よりも小さく、積層体10の下端面S1側に配置された端面板4によって積層体10の磁石挿入孔16を閉塞する場合には、フランジ3bの上面が治具5の上面よりも低くてもよい。この場合、磁石挿入孔16に注入される溶融樹脂が治具5によって堰き止められることにより、回転子積層鉄心2が形成される。そして、加圧装置140により回転子積層鉄心2が再加圧されることで、回転子積層鉄心2とフランジ3bの間の隙間が抑制される。
(5)回転子積層鉄心2が得られた時点で回転子積層鉄心2がフランジ3bに当接している場合には、回転子積層鉄心2を加圧装置140により再加圧しなくてもよい。
(6)ところで、パンチにより電磁鋼板ESから打抜部材Wが打ち抜かれる過程で、図12に示されるように、打抜部材Wの軸孔10aの内周縁にバリWaが生ずることがある。焼き嵌めによりシャフト3aを回転子積層鉄心2に取り付けようとする場合には、シャフト3aが軸孔10aのバリWaに引っ掛からないようにするため、軸孔10aのバリWaがシャフト3aの挿通方向に沿って一方に向けて突出するように複数のブロック体Bを積層していた。そのため、積層体10の一方の端面からバリWaが突出してしまい、端面板4を当該端面に当接し難くなる場合があった。そこで、図12に示されるように、少なくとも高さ方向において両端に位置するブロック体Bにおいて、軸孔10aの周縁部に形成されているバリWaの向きが共に内向きとなるように、複数のブロック体Bをシャフト3aに取り付けてもよい。この場合、ブロック体Bの軸孔10aの内径はシャフト3aの外径よりも大きいので、軸孔10aにバリWaが存在していても、個々のブロック体Bは容易にシャフト3aに挿通される。そのため、軸孔10aのバリWaの向きが共に内向きとなるように複数のブロック体Bをシャフト3aに取り付けることで、積層体10の各端面S1,S2への端面板4の取り付けをより容易に行うことが可能となる。
(7)図13に示されるように、フランジ3bの首部3cが多角形状を呈しており、貫通孔5bの上端縁5cが首部3cに対応した多角形状を呈していてもよい。この場合、シャフト3aがその軸周りにおいて位置決めされる。従って、シャフト3aの回転に伴うシャフト3aの軸周りにおける複数のブロック体Bの位置ずれを抑制することが可能となる。なお、シャフト3aをその軸周りにおいて位置決めすることができれば、図13に示されるような形態の首部3c及び上端縁5cに限られず、種々の回り止め手段を採用しうる。
[摘記]
例1.本開示の一つの例に係る回転子(1)の製造方法は、高さ方向に貫通する軸孔(10a)を含む複数の鉄心部材(B)を、シャフト(3a)が軸孔(10a)に挿通された状態となるようにシャフト(3a)に取り付けることであって、軸孔(10a)の内径がシャフト(3a)の外径よりも大きいことと、積層された複数の鉄心部材(B)を高さ方向において加圧して、複数の鉄心部材(B)が相互に近接され且つ軸孔(10a)がシャフト(3a)に係合された積層体(10)を形成することとを含む。この場合、複数の鉄心部材(B)を積層して積層体(10)を形成してから、積層体(10)にシャフト(3a)を取り付けるのではなく、複数の鉄心部材(B)をそれぞれシャフト(3a)に取り付けた後に、複数の鉄心部材(B)を加圧している。そのため、鉄心部材(B)の軸孔(10a)の内径はシャフト(3a)の外径よりも大きいので、個々の鉄心部材(B)は容易にシャフト(3a)に挿通される一方で、複数の鉄心部材(B)が加圧されると積層体(10)全体としての軸孔(10a)は非直線状となろうとして、軸孔(10a)の内周縁がシャフト(3a)に食いつき、複数の鉄心部材(B)がシャフト(3a)に係合する。従って、シャフト(3a)に挿通された複数の鉄心部材(B)を加圧するだけで複数の鉄心部材(B)がシャフト(3a)に取り付けられるので、回転子(1)を極めて簡易に且つ効率的に製造することが可能となる。
例2.例1の方法において、複数の鉄心部材(B)をシャフト(3a)に取り付けることと、積層体(10)を形成することとは、共に常温の環境下で行われてもよい。この場合、焼き嵌めによりシャフト(3a)を回転子積層鉄心(2)に取り付けることと比較して、積層体(10)の加熱処理及び冷却処理が不要となる。そのため、回転子(1)をより効率的に且つ短時間で製造することが可能となる。
例3.例1又は例2の方法において、複数の鉄心部材(B)をシャフト(3a)に取り付けることは、複数の鉄心部材(B)を、シャフト(3a)に設けられているフランジ(3b)に載置することを含んでいてもよい。この場合、シャフト(3a)に対する複数の鉄心部材(B)の位置決めを容易に行うことが可能となると共に、複数の鉄心部材(B)が加圧される際の加圧力をフランジ(3b)で受けることが可能となる。
例4.例3の方法において、シャフト(3a)は、フランジ(3b)が治具(5)に保持されることにより、鉛直方向に沿って延びるように位置決めされていてもよい。この場合、複数の鉄心部材(B)を上方からシャフト(3b)に挿通しやすくなる。そのため、生産効率のさらなる向上を図ることが可能となる。
例5.例3又は例4の方法において、シャフト(3a)は、フランジ(3b)が治具(5)と係合することにより、シャフト(3a)の軸周りにおいて位置決めされていてもよい。この場合、シャフト(3a)の回転に伴うシャフト(3a)の軸周りにおける複数の鉄心部材(B)の位置ずれを抑制することが可能となる。
例6.例3〜例5のいずれかの方法は、積層体(10)を構成する複数の鉄心部材(B)を一体化して鉄心本体(2)を形成することと、鉄心本体(2)を加圧してフランジ(3b)に当接させることとをさらに含んでいてもよい。この場合、鉄心本体(2)とフランジ(3b)の間に隙間が生じ難くなるので、鉄心本体(2)がシャフト(3b)に対して相対移動し難くなる。そのため、完成した回転子(1)を用いて構成された電動機(モータ)が動作する際に、回転子(1)のガタつきを極めて抑制することが可能となる。
例7.例1〜例6のいずれかの方法は、高さ方向において積層体(10)を加圧しつつ、高さ方向に延びるように積層体(10)に設けられている貫通孔(16)内に溶融樹脂を注入することにより、積層体(10)を構成する複数の鉄心部材(B)を一体化して鉄心本体(2)を形成することをさらに含んでもよい。この場合、貫通孔(16)内に注入された溶融樹脂が固化することで、複数の鉄心部材(B)同士を固化樹脂(14)によって締結することが可能となる。また、溶融樹脂が貫通孔(16)内に注入されて固化する過程で、樹脂により積層体(10)が貫通孔(16)周りに押し拡げられて、軸孔(10a)が狭められる。そのため、軸孔(10a)の内周縁がより強固にシャフト(3a)に食いつく。従って、複数の鉄心部材(B)をより確実にシャフト(3a)に取り付けることが可能となる。
例8.例7の方法は、鉄心本体(2)の端面に端面板(4)を取り付けることをさらに含み、複数の鉄心部材(B)をシャフト(3a)に取り付けることは、シャフト(3a)に設けられているフランジ(3b)が貫通孔(16)を覆うように複数の鉄心部材(B)をフランジ(3b)に載置することを含み、端面板(4)を取り付けることは、フランジ(3b)と端面板(4)とで鉄心本体(2)を挟み且つ端面板(4)が貫通孔(16)を覆うように、鉄心本体(2)の端面に端面板(4)を取り付けることを含んでいてもよい。この場合、フランジ(3b)が貫通孔(16)を覆っているので、フランジ(3b)は、貫通孔(16)内に注入される溶融樹脂を堰き止める機能を発揮する。そのため、フランジ(3b)と対向する側の鉄心本体(2)の端面に端面板(4)を取り付ける必要がなくなる。従って、回転子(1)をよりいっそう簡易且つ効率的に製造することが可能となる。
例9.例1〜例8の方法において、複数の鉄心部材(B)をシャフト(3a)に取り付けることは、高さ方向において両端に位置する鉄心部材(B)において、軸孔(10a)の周縁部に形成されているバリ(Wa)の向きが共に内向きとなるように、複数の鉄心部材(B)をシャフト(3a)に取り付けてもよい。ところで、焼き嵌めによりシャフト(3a)を回転子積層鉄心(2)に取り付けようとする場合には、シャフト(3a)が軸孔(10a)のバリ(Wa)に引っ掛からないようにするため、軸孔(10a)のバリ(Wa)がシャフト(3a)の挿通方向に沿って一方に向けて突出するように複数の鉄心部材(B)を積層していた。そのため、積層体(10)の一方の端面からバリ(Wa)が突出してしまい、端面板(4)を当該端面に当接し難くなる場合があった。しかしながら、例9によれば、各鉄心部材(B)の軸孔(10a)の内径がシャフト(3a)の外径よりも大きいので、軸孔(10a)にバリ(Wa)が存在していても、個々の鉄心部材(B)は容易にシャフト(3a)に挿通される。そのため、軸孔(10a)のバリ(Wa)の向きが共に内向きとなるように複数の鉄心部材(B)をシャフト(3a)に取り付けることで、積層体(10)の各端面への端面板(4)の取り付けをより容易に行うことが可能となる。
例10.例1〜例8のいずれかの方法において、複数の鉄心部材(B)はそれぞれ、金属板(ES)から打ち抜かれた複数の打抜部材(W)が積層されたブロック体(B)であってもよい。この場合、複数のブロック体(B)が加圧されて得られる積層体(10)全体としての軸孔(10a)は、曲折する傾向が強まる。そのため、軸孔(10a)の内周縁がさらに強固にシャフト(3a)に食いつく。従って、複数のブロック体(B)をさらに確実にシャフト(3a)に取り付けることが可能となる。
1…回転子、2…回転子積層鉄心(鉄心本体)、3…シャフト部材、3a…シャフト、3b…フランジ、4…端面板、5…治具、10…積層体、10a…軸孔、16…磁石挿入孔(貫通孔)、100…製造装置、130…打抜装置、140…加圧装置、150…磁石取付装置、160…溶接装置、B…ブロック体(鉄心部材)、Ctr…コントローラ(制御部)、S1…下端面(端面)、S2…上端面(端面)。

Claims (10)

  1. 高さ方向に貫通する軸孔を含む複数の鉄心部材を、シャフトが前記軸孔に挿通された状態となるように前記シャフトに取り付けることであって、前記軸孔の内径が前記シャフトの外径よりも大きいことと、
    積層された前記複数の鉄心部材を前記高さ方向において加圧して、前記複数の鉄心部材が相互に近接され且つ前記軸孔が前記シャフトに係合された積層体を形成することとを含む、回転子の製造方法。
  2. 前記複数の鉄心部材を前記シャフトに取り付けることと、前記積層体を形成することとは、共に常温の環境下で行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記複数の鉄心部材を前記シャフトに取り付けることは、前記複数の鉄心部材を、前記シャフトに設けられているフランジに載置することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記シャフトは、前記フランジが治具に保持されることにより、鉛直方向に沿って延びるように位置決めされている、請求項3に記載の方法。
  5. 前記シャフトは、前記フランジが治具と係合することにより、前記シャフトの軸周りにおいて位置決めされている、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 前記積層体を構成する前記複数の鉄心部材を一体化して鉄心本体を形成することと、
    前記鉄心本体を加圧して前記フランジに当接させることとをさらに含む、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記高さ方向において前記積層体を加圧しつつ、前記高さ方向に延びるように前記積層体に設けられている貫通孔内に溶融樹脂を注入することにより、前記積層体を構成する前記複数の鉄心部材を一体化して鉄心本体を形成することをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記鉄心本体の端面に端面板を取り付けることをさらに含み、
    前記複数の鉄心部材を前記シャフトに取り付けることは、前記シャフトに設けられているフランジが前記貫通孔を覆うように前記複数の鉄心部材を前記フランジに載置することを含み、
    前記端面板を取り付けることは、前記フランジと前記端面板とで前記鉄心本体を挟み且つ前記端面板が前記貫通孔を覆うように、前記鉄心本体の前記端面に前記端面板を取り付けることを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記複数の鉄心部材を前記シャフトに取り付けることは、前記高さ方向において両端に位置する鉄心部材において、前記軸孔の周縁部に形成されているバリの向きが共に内向きとなるように、前記複数の鉄心部材を前記シャフトに取り付ける、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記複数の鉄心部材はそれぞれ、金属板から打ち抜かれた複数の打抜部材が積層されたブロック体である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
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