以下に、本開示に係る実施形態の一例について、図面を参照しつつより詳細に説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[回転子の構成]
まず、図1及び図2を参照して、回転子1(鉄心製品)の構成について説明する。回転子1は、固定子(ステータ)と組み合わせられることにより、電動機(モータ)を構成する。回転子1は、例えば、埋込磁石型(IPM)モータの一部を構成してもよい。回転子1は、回転子積層鉄心2(鉄心製品)と、一対の端面板3(素材要素)と、シャフト4とを含む。
回転子積層鉄心2は、積層体10(鉄心本体)と、複数の永久磁石12(素材要素)と、複数の固化樹脂14と、識別コードCとを含む。
積層体10は、図1に示されるように、円筒状を呈している。積層体10の中央部には、中心軸Axに沿って延びるように積層体10を貫通する軸孔10aが設けられている。軸孔10aは、積層体10の高さ方向(上下方向)に延びている。積層体10は中心軸Ax周りに回転するので、中心軸Axは回転軸でもある。
軸孔10aの内周面には、一対の突条10bが形成されている。突条10bは、積層体10の上端面10c(端面)から下端面10d(端面)に至るまで、高さ方向に延びている。一対の突条10bは、中心軸Axを間において対向しており、軸孔10aの内周面から中心軸Axに向けて突出している。
積層体10には、複数の磁石挿入孔16(樹脂形成領域)が形成されている。磁石挿入孔16は、図1に示されるように、積層体10の外周縁に沿って所定間隔で並んでいる。磁石挿入孔16は、図2に示されるように、中心軸Axに沿って延びるように積層体10を貫通している。すなわち、磁石挿入孔16は高さ方向に延びている。磁石挿入孔16は、上方から見たときに、例えば長方形状を呈していてもよい。磁石挿入孔16の数は、例えば6個であってもよい。磁石挿入孔16の位置、形状及び数は、モータの用途、要求される性能などに応じて変更してもよい。
積層体10は、複数の打抜部材Wが積み重ねられて構成されている。打抜部材Wは、金属板Mが所定形状に打ち抜かれた板状体であり、積層体10に対応する形状を呈している。金属板Mは、例えば電磁鋼板であってもよい。積層体10は、いわゆる転積によって構成されていてもよい。「転積」とは、打抜部材W同士の角度を相対的にずらしつつ、複数の打抜部材Wを積層することをいう。転積は、主に打抜部材Wの板厚偏差を相殺することを目的に実施される。転積の角度は、任意の大きさに設定してもよい。
積層方向において隣り合う打抜部材W同士は、図1及び図2に示されるように、カシメ部18によって締結されていてもよい。これらの打抜部材W同士は、カシメ部18に代えて、種々の公知の方法にて締結されてもよい。例えば、複数の打抜部材W同士は、接着剤又は樹脂材料を用いて互いに接合されてもよいし、溶接によって互いに接合されてもよい。あるいは、打抜部材Wに仮カシメを設け、仮カシメを介して複数の打抜部材Wを締結して積層体10を得た後、仮カシメを当該積層体から除去してもよい。なお、「仮カシメ」とは、複数の打抜部材Wを一時的に一体化させるのに使用され且つ回転子積層鉄心2を製造する過程において取り除かれるカシメを意味する。
永久磁石12は、図1及び図2に示されるように、各磁石挿入孔16内に一つずつ挿入されている。永久磁石12の形状は、特に限定されないが、例えば直方体形状を呈していてもよい。永久磁石12の種類は、モータの用途、要求される性能などに応じて決定すればよく、例えば、焼結磁石であってもよいし、ボンド磁石であってもよい。
固化樹脂14は、永久磁石12が挿入されている状態の磁石挿入孔16内に充填された溶融状態の樹脂材料(溶融樹脂)が固化したものである。固化樹脂14は、永久磁石12を磁石挿入孔16内に固定する機能と、積層方向(上下方向)で隣り合う打抜部材W同士を接合する機能とを有する。固化樹脂14を構成する樹脂材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂と、硬化開始剤と、添加剤とを含む樹脂組成物が挙げられる。添加剤としては、フィラー、難燃剤、応力低下剤などが挙げられる。
識別コードCは、図1に示されるように、積層体10の上端面10cに設けられている。識別コードCは、当該識別コードCを備える回転子積層鉄心2の個体(例えば、品種、製造日時、使用材料、製造ライン等)を識別するための個体情報を保持する機能を有する。識別コードCは、明模様と暗模様との組み合わせにより当該個体情報を保持することができれば特に限定されず、例えば、バーコードであってもよいし、二次元コードであってもよい。二次元コードとしては、例えば、QRコード(登録商標)、DataMatrix、Vericode等であってもよい。なお、識別コードCは、積層体10の下端面10dに設けられていてもよいし、上端面10c及び下端面10dの両面に設けられていてもよい。
端面板3は、図1に示されるように、円環状を呈している。すなわち、端面板3の中央部には、端面板3を貫通する軸孔3aが設けられている。端面板3の外径は、例えば、積層体10の外径よりも小さく設定されていてもよいし、積層体10の外径と同程度に設定されていてもよい。
軸孔3aの内周面には、一対の突起3bが形成されている。一対の突起3bは、中心軸Axを間において対向しており、軸孔3aの内周面から中心軸Axに向けて突出している。
端面板3は、積層体10の上端面10c及び下端面10dにそれぞれ配置されており、積層体10と溶接により接合されている。例えば、端面板3は、図2に示されるように、端面板3及び積層体10を跨がるように設けられた溶接ビードBを介して、積層体10と接合されている。このように、回転子積層鉄心2と一対の端面板3とは、溶接によって一体化されているので、一つの回転体5(鉄心製品)として機能する。
端面板3は、金属板が所定形状に打ち抜かれた板状体又はシート状体であり、積層体10に対応する形状を呈している。当該金属板は、溶接による熱変形に耐えうる程度の強度を有していてもよいし、積層体10との間で電気を通さない絶縁性を有していてもよい。当該金属板の表面に絶縁皮膜が設けられていてもよい。当該金属板は、例えばステンレス鋼であってもよい。当該ステンレス鋼としては、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304等)が挙げられる。当該金属板は、非磁性材料によって構成されていてもよい。
シャフト4は、全体として円柱状を呈している。シャフト4には、一対の凹溝4aが形成されている。凹溝4aは、シャフト4の一端から他端にかけてシャフト4の延在方向に延びている。シャフト4は、軸孔3a,10a内に挿通されている。このとき、凹溝4aには、突起3b及び突条10bが係合する。これにより、シャフト4と回転子積層鉄心2との間で回転力が伝達する。
[回転子の製造装置]
続いて、図3~図6を参照して、回転子1の製造装置100について説明する。製造装置100は、帯状の金属板Mから回転子1を製造するための装置である。製造装置100は、打抜ライン200と、モールドライン300と、コントローラCtr(判定部)とを備える。
打抜ライン200は、アンコイラー210と、送出装置220と、打抜装置230と、レーザ装置240とを含む。
アンコイラー210は、帯状の金属板Mがコイル状に巻回されたコイル材211を回転自在に保持するように構成されている。送出装置220は、金属板Mを上下から挟み込む一対のローラ221,222を含む。一対のローラ221,222は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて回転及び停止し、金属板Mを打抜装置230に向けて間欠的に順次送り出す。
打抜装置230は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。打抜装置230は、送出装置220によって間欠的に送り出される金属板Mを順次打抜加工して打抜部材Wを形成するように構成されている。打抜装置230は、打抜加工によって得られた打抜部材Wを順次積層して積層体10を製造するように構成されている。
レーザ装置240は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。レーザ装置240は、積層体10の上端面10cに識別コードCを形成するように構成されている。レーザ装置240は、例えば、打抜装置230から排出された積層体10がコンベアCvによってレーザ装置240の下方まで搬送されたときに、積層体10の上端面10cにレーザビームを照射するように構成されている。
モールドライン300は、磁石取付装置310と、樹脂注入装置320と、溶接装置330と、シャフト取付装置340とを備える。
磁石取付装置310は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。磁石取付装置310には、例えば図4の(a)部分に示されるように、複数の永久磁石12が収容されたケースHが搭載されていてもよい。複数の永久磁石12は、その製造業者ごとに異なるケースHに収容されていてもよい。例えば、a社製の永久磁石12AはケースH1に収容されており、b社製の永久磁石12Bは、ケースH2に収容されていてもよい。ケースH1は、ケースH2とは異なる特徴量を有していてもよい。例えば、図4の(a)部分に示されるように、ケースH1には識別孔Haが設けられており、ケースH2には識別孔Haが設けられていなくてもよい。
磁石取付装置310には、例えば図4の(b)及び(c)部分に示されるように、積層体10が治具20に取り付けられた状態で搬送されてもよい。治具20は、ベース21と、ベース21から上方に延びるポスト22とを含んでいてもよい。積層体10は、軸孔10aがポスト22に挿通された状態でベース21上に載置されていてもよい。
磁石取付装置310は、図4の(a)部分に示されるように、複数の永久磁石12を収容するケースHの特徴量を識別機311(第1の識別部)によって識別するように構成されている。識別機311は、ケースHの特徴量としての識別孔Haの有無を読み取ることにより、識別機311による識別対象のケースHに収容されている永久磁石12が、a社製の永久磁石12Aであるかb社製の永久磁石12Bであるかを識別してもよい。識別機311による識別結果は、コントローラCtrに送信されてもよい。
磁石取付装置310は、図4の(b)部分に示されるように、積層体10の上端面10cに設けられている識別コードCを読取機312(読取部)によって読み取るように構成されている。読取機312は、読み取った識別コードCに含まれる個体情報に基づいて、当該識別コードCが設けられている積層体10の品種を特定してもよい。読取機312は、例えば、撮像カメラであってもよいし、識別コードCの読み取りに対応したスキャナであってもよい。読取機312による読取結果は、コントローラCtrに送信されてもよい。
磁石取付装置310は、図4の(c)部分に示されるように、識別機311による識別対象の永久磁石12が、読取機312によって特定された積層体10の品種に適合する場合に、取付機(図示せず)によって当該永久磁石12を当該積層体10の磁石挿入孔16に挿入するように構成されている。取付機は、例えば、永久磁石12を吸着可能な吸着ノズルであってもよいし、永久磁石12を把持可能なメカニカルチャックであってもよい。
樹脂注入装置320は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。樹脂注入装置320は、図5の(a)部分に示されるように、樹脂材料T(素材要素)の特徴量を識別機321(第1の識別部)によって識別するように構成されている。樹脂材料Tは、例えば、円柱状、円板状等を呈していてもよい。樹脂材料Tは、その製造業者ごとに異なる高さを有していてもよい。例えば、c社製の樹脂材料Tの高さは、d社製の樹脂材料Tの高さよりも高く設定されていてもよい。識別機321は、樹脂材料Tの特徴量としての高さを読み取ることにより、識別対象の樹脂材料Tがc社製のものであるかd社製のものであるかを識別してもよい。
樹脂注入装置320は、図5の(b)部分に示されるように、永久磁石12が配置された磁石挿入孔16に溶融樹脂を注入するように構成されている。具体的には、樹脂注入装置320は、上型322と、複数のプランジャ323とを含む。上型322には、一つの貫通孔324と、複数の収容孔325とが設けられている。貫通孔324は、上型322の略中央部に位置している。貫通孔324は、ポスト22に対応する形状(略円形状)を呈しており、ポスト22が挿通可能である。なお、上型322の内部に内蔵熱源が配置されていてもよい。
複数の収容孔325は、上型322を貫通しており、貫通孔324の周囲に沿って所定間隔で並んでいる。各収容孔325は、治具20のベース21及び上型322が積層体10を挟持した際に、積層体10の磁石挿入孔16にそれぞれ対応する箇所に位置している。各収容孔325は、円柱形状を呈しており、少なくとも一つの樹脂材料Tを収容可能である。
上型322の内蔵熱源が動作して上型322が加熱されると、上型322に接触している積層体10が加熱されると共に、各収容孔325に収容された樹脂材料Tが加熱される。これにより、各収容孔325内において樹脂材料Tが溶融して溶融樹脂に変化する。
複数のプランジャ323は、上型322の上方に位置している。各プランジャ323は、図示しない駆動源によって、対応する収容孔325に対して挿抜可能となるように構成されている。
樹脂注入装置320は、識別機321による識別対象の樹脂材料Tが積層体10の品種に適合する場合に、取付機(図示せず)によって当該樹脂材料Tを各収容孔325に収容するように構成されている。取付機は、例えば、樹脂材料Tを吸着可能な吸着ノズルであってもよいし、樹脂材料Tを把持可能なメカニカルチャックであってもよい。
溶接装置330は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。溶接装置330は、図6の(a)部分に示されるように、端面板3の特徴量を識別機331(第1の識別部)によって識別するように構成されている。端面板3は、その製造業者ごとに異なる表面状態を有していてもよい。例えば、e社製の金属板からなる端面板3の表面の色味は、f社製の金属板からなる端面板3の表面の色味と異なっていてもよい。識別機331は、端面板3の特徴量としての表面状態を読み取ることにより、識別対象の端面板3がe社製の金属板由来のものであるかf社製の金属板由来のものであるかを識別してもよい。
溶接装置330は、図6の(b)部分に示されるように、端面板3を積層体10の上端面10c及び下端面10dのそれぞれに溶接するように構成されている。具体的には、溶接装置330は、一対の保護板332と、複数の溶接トーチ333とを含む。保護板332は、積層体10の上端面10c及び下端面10dに端面板3がそれぞれ配置された状態で、積層体10及び端面板3を挟持可能に構成されている。溶接トーチ333は、例えば、レーザ溶接機であってもよい。
溶接装置330は、識別機331による識別対象の端面板3が積層体10の品種に適合する場合に、取付機(図示せず)によって当該端面板3を積層体10の上端面10c及び下端面10dのそれぞれに取り付けるように構成されている。取付機は、例えば、端面板3を吸着可能な吸着ノズルであってもよいし、端面板3を把持可能なメカニカルチャックであってもよい。
図3に戻って、シャフト取付装置340は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。シャフト取付装置340は、回転子積層鉄心2と端面板3とが溶接により一体化された回転体5に対してシャフト4を取り付ける機能を有する。具体的には、シャフト取付装置340は、回転子積層鉄心2、端面板3及びシャフト4を加熱しながら、軸孔3a,10aに対してシャフト4を焼き嵌めする。このときの加熱温度は、例えば、150℃~300℃程度であってもよい。
コントローラCtrは、例えば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて、打抜ライン200の各要素と、モールドライン300の各要素とをそれぞれ動作させるための指示信号を生成し、これらに当該指示信号をそれぞれ送信するように構成されている。
[回転子の製造方法]
続いて、図3~図7を参照して、回転子1の製造方法について説明する。ここでは、複数の品種のうち品種Aの回転子1を製造する場合について説明する。品種Aの回転子1は、例えば、a社製の永久磁石12Aと、c社製の樹脂材料Tと、e社製の金属板とを素材要素として構成されてもよい。回転子1の品種の設定は、例えば作業者によって、予めコントローラCtrに入力される(図7のステップS1参照)。
まず、図3に示されるように、コントローラCtrが送出装置220及び打抜装置230を制御して、打抜装置230が金属板Mを順次打ち抜きつつ打抜部材Wを積層することにより、積層体10を形成する(図7のステップS2参照)。
次に、コントローラCtrがレーザ装置240を制御して、打抜装置230によって形成された積層体10の上端面10cにレーザビームを照射することにより、当該上端面10cに識別コードCを形成する(図7のステップS3参照)。ここで形成される識別コードCには、積層体10が品種Aであることを示す個体情報(品種情報)が保持されている。識別コードCが形成された積層体10は、例えば、作業者又は搬送装置によってモールドライン300の磁石取付装置310に搬送される。
次に、図4の(b)部分に示されるように、コントローラCtrが読取機312を制御して、積層体10の上端面10cに形成されている識別コードCを読取機312によって読み取ることにより、識別コードCに保持されている品種情報を取得する(図7のステップS4参照)。その結果、品種A以外の品種情報が取得された場合には、例えば、回転子1の製造処理を中断してもよい。一方、品種Aの品種情報が取得された場合には、次のステップに進む。
次に、図4の(a)部分に示されるように、コントローラCtrが識別機311を制御して、磁石取付装置310に搭載されているケースHの特徴量(識別孔Haの有無)を識別機311によって読み取ることにより、ケースHに収容されている永久磁石12がa社製の永久磁石12Aであるか否かを識別する(図7のステップS5参照)。その結果、ケースHに収容されている永久磁石12がa社製でないと識別された場合には、例えば、回転子1の製造処理を中断してもよい。一方、ケースHに収容されている永久磁石12がa社製であると識別された場合には、次のステップに進む。なお、ステップS4とステップS5との実行順序は特に限定されず、ステップS5がステップS4に先行して実行されてもよいし、両者が同時期に実行されてもよい。
次に、コントローラCtrは、識別機311によって識別された特徴量が、読取機312によって読み取られた識別コードCの品種情報に適合しているか否かを判定する(図7のステップS6参照)。例えば、読取機312において得られた当該品種情報が品種Aを示している場合には、a社製の永久磁石12Aが必要となるので、識別機311において得られた特徴量がa社製の永久磁石12Aであるか否かの品種適合性が判定される。その結果、品種適合性なしと判定された場合には、例えば、回転子1の製造処理を中断してもよい。一方、品種適合性ありと判定された場合には、次のステップに進む。
次に、図4の(c)部分に示されるように、コントローラCtrが取付機(図示せず)を制御して、品種適合性ありと判定された永久磁石12を、積層体10の磁石挿入孔16内に挿入する(図7のステップS7参照)。永久磁石12が磁石挿入孔16に挿入された状態の積層体10は、治具20と共に樹脂注入装置320に搬送され、上型322が積層体10の上端面10cに配置される。
次に、図5の(a)部分に示されるように、コントローラCtrが識別機321を制御して、樹脂材料Tの高さを読み取ることにより、識別対象の樹脂材料Tがc社製の樹脂材料Tであるか否かを識別する(図7のステップS8参照)。その結果、識別対象の樹脂材料Tがc社製でないと識別された場合には、例えば、回転子1の製造処理を中断してもよい。一方、樹脂注入装置320に搬送された品種Aの積層体10にはc社製の樹脂材料Tが必要となるので、識別対象の樹脂材料Tがc社製であると識別された場合には、次のステップに進む。
次に、図5の(b)部分に示されるように、コントローラCtrが取付機(図示せず)を制御して、識別対象の樹脂材料Tを上型322の各収容孔325に収容する。上型322の内蔵熱源によって樹脂材料Tが溶融すると、コントローラCtrが各プランジャ323を制御して、収容孔325内の溶融樹脂を磁石挿入孔16内に注入する(図7のステップS9参照)。その後、溶融樹脂が固化すると、永久磁石12が固化樹脂14によって磁石挿入孔16内に固定され、回転子積層鉄心2が得られる。得られた回転子積層鉄心2は、溶接装置330に搬送される。
次に、図6の(a)部分に示されるように、コントローラCtrが識別機331を制御して、端面板3の表面状態を読み取ることにより、識別対象の端面板3がe社製の金属板由来のものであるか否かを識別する(図7のステップS10参照)。その結果、識別対象の端面板3がe社製でないと識別された場合には、例えば、回転子1の製造処理を中断してもよい。一方、溶接装置330に搬送された品種Aの積層体10にはe社製の端面板3が必要となるので、識別対象の端面板3がe社製であると識別された場合には、次のステップに進む。
次に、図6の(b)部分に示されるように、コントローラCtrが取付機(図示せず)を制御して、識別対象の端面板3を積層体10の上端面10c及び下端面10dのそれぞれに配置させ、さらにこれらを一対の保護板332によって挟持する。この状態で、コントローラCtrが溶接トーチ333を制御して、端面板3を積層体10に溶接する(図7のステップS11参照)。これにより、端面板3と積層体10とが溶接ビードBを介して接合され、回転体5が得られる。その後、得られた回転体5は、シャフト取付装置340に搬送される。
次に、コントローラCtrがシャフト取付装置340を制御して、回転体5にシャフト4を焼き嵌めする(図7のステップS12参照)。こうして、回転子1が完成する。
[作用]
以上の実施形態では、回転子1の製造にあたって後続の処理が行われる前に、当該後続の処理で用いられる素材要素(永久磁石12、樹脂材料T、端面板3)の種類が、製造しようとする回転子1の品種に対応しているか否かが判定される。そのため、製造すべき品種の回転子1に、異なる種類の素材要素が用いられることがなくなる。したがって、以上の実施形態によれば、誤組み付けを防止することが可能となる。
以上の実施形態では、ケースHにおける識別孔Haの有無に基づいて永久磁石12の品種適合性が判定され、品種適合性ありと判定された場合には、当該ケースHから永久磁石12が取り出され、積層体10の磁石挿入孔16に当該永久磁石12が挿入される。そのため、所定の品種となるべき回転子1の積層体10に、対応する永久磁石12を取り付けることが可能となる。
以上の実施形態では、積層体10に設けられている識別コードCを読取機312によって読み取り、識別機311によって識別された特徴量が、読取機312によって読み取られた識別コードCの品種情報に適合しているか否かを判定している。そのため、積層体10の製造ライン(打抜ライン200)と永久磁石12の取付ライン(モールドライン300)とが離れており、積層体10をモールドライン300に搬送する際に異なる品種の積層体10が混在したとしても、識別コードCを読み取ることにより、当該識別コードCが付された積層体10の品種が識別される。そのため、回転子1の製造過程で積層体10の混在が生じても、所望の品種の回転子1を製造することが可能となる。
以上の実施形態では、樹脂材料Tのサイズに基づいて当該樹脂材料Tの品種適合性が判定され、品種適合性ありと判定された場合には、当該樹脂材料Tが溶融された溶融樹脂が、積層体10の磁石挿入孔16に注入される。そのため所定の品種となるべき回転子1の積層体10に、対応する樹脂材料Tを適用することが可能となる。
以上の実施形態では、端面板3の表面状態に基づいて当該端面板3の品種適合性が判定され、品種適合性ありと判定された場合には、当該端面板3が積層体10の上端面10c及び下端面10dにそれぞれ配置される。そのため、所定の品種となるべき回転子1の積層体10に、対応する端面板3を取り付けることが可能となる。
以上の実施形態では、品種適合性の判定の結果、品種適合性なし(不適合)と判定された場合に、回転子1の製造が中断されうる。そのため、不適合の素材要素を用いた処理が行われなくなるので、誤組み付けをいっそう防止することが可能となる。
[変形例]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。
(1)回転子1の製造過程で積層体10の混在の可能性が小さい場合には、永久磁石12を磁石挿入孔16に挿入した後に識別コードCを積層体10に形成してもよいし、溶融樹脂を磁石挿入孔16に充填した後に識別コードCを積層体10に形成してもよい。この場合、所定の品種となるべき回転子1の中間品に、当該品種を示す品種情報が保持された識別コードCが形成される。そのため、さらに後続の工程において当該中間品を取り扱う際に、識別コードCを読み取ることにより、当該中間品の品種に適した処理を行うことが可能となる。
(2)磁石取付装置310には、複数のケースHが搭載されていてもよい。この場合、磁石取付装置310に搭載される複数のケースHは、通常、全て同じ特徴量を有している。しかしながら、異なる特徴量を有するケースが混入したことが判明した場合には、回転子1の製造処理を中断してもよい。具体的には、識別機311が複数のケースHを識別する過程で、識別孔Haが存在するケースHと識別孔Haが存在していないケースHとの双方を識別した場合に、回転子1の製造処理を中断してもよい。あるいは、例えば、品種Aの回転子を製造することが設定されていた場合、識別孔Haが存在していないケースHを識別した時点で、回転子1の製造処理を中断してもよい。
(3)識別機311によって読み取られた識別孔Haの有無に関する情報は、コントローラCtrに送信されてもよい。コントローラCtrは、識別機311からの情報に基づいて、識別機311による識別対象のケースHに収容されている永久磁石12が、a社製の永久磁石12Aであるかb社製の永久磁石12Bであるかを識別してもよい。
(4)回転子1以外の鉄心製品(例えば、固定子積層鉄心)に本技術を適用してもよい。固定子積層鉄心としては、複数の鉄心片が組み合われてなる分割型の鉄心ブロックであってもよいし、非分割型の鉄心ブロックであってもよい。
(5)樹脂形成領域は磁石挿入孔16に限定されない。例えば、樹脂形成領域は、積層体10の高さ方向に延びる貫通孔、溝等であってもよい。この場合、貫通孔、溝等に溶融樹脂を注入することで、複数の打抜部材Wが樹脂によって接合されてもよい。あるいは、例えば、樹脂形成領域は、固定子積層鉄心のスロットの表面であってもよい。この場合、スロット内に中子が挿入されてスロットの表面と中子の外周面との間に生ずる空間内に溶融樹脂を注入することで、固化樹脂14がスロットの表面に形成されてもよい。
(6)一つの磁石挿入孔16内に複数の永久磁石12が挿入されていてもよい。この場合、複数の永久磁石12は、積層体10の高さ方向において隣り合うように並ぶ第1の磁石組を含んでいてもよいし、中心軸Axから見て(平面視で)磁石挿入孔16の長辺又は短辺に沿って隣り合うように並ぶ第2の磁石組を含んでいてもよいし、第1及び第2の磁石組の双方を含んでいてもよい。
(7)表面磁石型(SPM)モータを構成する回転子に本技術を適用してもよい。
(8)上記の実施形態では、複数の打抜部材Wが積層されてなる積層体10が、永久磁石12が取り付けられる鉄心本体として機能していたが、鉄心本体が積層体10以外で構成されていてもよい。具体的には、鉄心本体は、例えば、強磁性体粉末が圧縮成形されたものであってもよいし、強磁性体粉末を含有する樹脂材料が射出成形されたものであってもよい。
(9)上記実施形態では、積層体10の識別のために識別コードCを用いていたが、他の特徴量により積層体10を識別してもよい。当該特徴量は、例えば、積層体10の表面状態(色味、粗さ、硬度など)であってもよいし、積層体10の打音であってもよいし、治具20に積層体10が取り付けられた状態での突条10bの向き(角度)であってもよいし、積層体10の重量であってもよいし、積層体10に表示された標識(文字、記号、数字、模様など。以下単に「標識」という。)であってもよいし、積層体10を構成する打抜部材Wの剪断面の状態であってもよいし、積層体10の上端面10c又は下端面10dに形成される識別孔であってもよいし、積層体10が載置される治具20の種類であってもよい。あるいは、磁石挿入孔16に溶融樹脂を注入する際の積層体10の予熱温度が積層体10の品種ごとに異なる温度に設定されている場合には、樹脂注入装置320に設置される前の積層体10の温度を特徴量としてもよい。
(10)上記実施形態では、ケースHにおける識別孔Haの有無によって永久磁石12を識別していたが、他の特徴量により永久磁石12を識別してもよい。当該特徴量は、例えば、ケースHのサイズ(長さなど)であってもよいし、ケースHに表示された識別コードC、標識、色などであってもよいし、永久磁石12の個々に表示された識別コードC、標識、色などであってもよい。
(11)上記実施形態では、樹脂材料Tの高さによって樹脂材料Tを識別していたが、他の特徴量により樹脂材料Tを識別してもよい。当該特徴量は、例えば、樹脂材料Tの高さ以外のサイズ(径、体積など)であってもよいし、樹脂材料Tの形状であってもよいし、樹脂材料Tの重量であってもよい。
(12)上記実施形態では、端面板3の表面状態によって端面板3を識別していたが、他の特徴量により端面板3を識別してもよい。当該特徴量は、例えば、端面板3の色味以外の表面状態(粗さ、硬度など)であってもよいし、端面板3の打音であってもよいし、突起3bの向き(角度)であってもよいし、端面板3の重量であってもよいし、端面板3に表示された識別コードC、標識などであってもよいし、端面板3の剪断面の状態であってもよいし、端面板3に形成される識別孔であってもよい。
(13)上記実施形態では、積層体10、永久磁石12、樹脂材料T及び端面板3のそれぞれの特徴量を識別していたが、これらのいずれか少なくとも一つの特徴量を識別してもよい。
(14)打抜装置230においてコイル材211として用いられる金属板Mは、例えば、図8(a)に示されるような圧延鋼板RSがその長さ方向において切断され切断片であってもよい。ここでは、便宜上、圧延鋼板RSの先端側からみて左側の切断片を金属板M1(第1の金属板、第2の金属板)とよび、右側の切断片を金属板M2(第2の金属板)とよぶこととする。ところで、圧延鋼板RSの板厚はその面内において必ずしも均一ではない。すなわち、圧延鋼板RSには、板厚偏差が存在している。一般的には、圧延鋼板RSの幅方向において中央部ほど板厚が厚く、側端部ほど板厚が薄くなっている。これは、一対の圧延ロールで鋼板を圧延する際に、圧延ロールの中央部分が特に鋼板からの反力を受けやすく、圧延ロールが円弧状に沿ってしまうことによる。そのため、金属板M1又は金属板M2を打抜装置230で打ち抜く場合には、それぞれの金属板M1,M2の板厚偏差の傾向に合わせて、パンチとダイとのクリアランスを設定する必要がある。金属板M1,M2を打ち抜くときの当該クリアランスの設定が同じであると、金属板M1,M2から打ち抜かれた打抜部材Wの形状にずれが生ずる場合があるためである。したがって、コイル材211の交換の前後において、金属板Mの板厚偏差の傾向が一致していてもよい。
そこで、コイル材211の交換の際に、打抜ライン200に設けられた識別機201(第2の識別部)によって金属板Mの板厚偏差の傾向を識別し、交換前後の金属板Mにおいて板厚偏差の傾向の一致又は不一致を判定してもよい。この場合、図8(a)に示されるように、金属板M1には左側の切断片であることを示す識別部MLが設けられており、金属板M2には右側の切断片であることを示す識別部MRが設けられている。識別機201は、図8(b)に示されるように、識別部MR又は識別部MLを読み取ることにより、識別対象の金属板Mが金属板M1であるのか金属板M2であるのかを識別する。この識別結果は、コントローラCtrに送信される。
コントローラCtrは、交換前の金属板Mの識別結果と、交換予定の金属板Mの識別結果とを対比し、これらの金属板Mの板厚偏差の傾向が一致しているか否かを判定する。交換前後で板厚偏差の傾向が一致していると判定された場合(例えば、交換前の金属板Mも交換予定の金属板Mも共に金属板M1である場合)には、交換予定の金属板M1の裏表を反転させることなく、当該金属板M1を打抜装置230において打抜処理する。一方、交換前後で板厚偏差の傾向が一致していないと判定された場合(例えば、交換前の金属板Mが金属板M1であるが、交換予定の金属板Mが金属板M2である場合)には、図8(c)に示されるように、交換予定の金属板M2の裏表を反転させてから、当該金属板M2を打抜装置230において打抜処理する。この場合、板厚偏差の傾向が異なる金属板Mを打抜処理する場合であっても、パンチとダイとのクリアランスの設定変更が不要となる。したがって、金属板Mの交換前後において、同様の形状の打抜部材Wを効率的に打ち抜くことが可能となる。
[他の例]
例1.本開示の一つの例に係る鉄心製品(1,2,5)の製造方法は、製造対象となる鉄心製品(1,2,5)の品種を予め設定することと、鉄心製品(1,2,5)を構成する素材要素(3,12,T)の特徴量を第1の識別部(311,321,331)によって識別することと、第1の識別部(311,321,331)による識別結果に基づいて、素材要素(3,12,T)が品種に適合しているか否かを判定部(Ctr)によって判定することと、判定部(Ctr)により適合と判定された場合に、判定部(Ctr)の判定対象であった素材要素(3,12,T)を用いて、品種となる鉄心製品(1,2,5)を製造するための後続の処理を実行することとを含む。この場合、鉄心製品の製造にあたって後続の処理が行われる前に、当該後続の処理で用いられる素材要素の種類が、製造しようとする鉄心製品の品種に対応しているか否かが判定される。そのため、製造すべき品種の鉄心製品に、異なる種類の素材要素が用いられることがなくなる。したがって、例1の方法によれば、誤組み付けを防止することが可能となる。
例2.例1の方法において、第1の識別部(311)によって識別することは、素材要素(3,12,T)である永久磁石(12)を収容しているケース(H)に設けられている特徴量(Ha)を第1の識別部(311)によって識別することを含み、後続の処理を実行することは、判定部(Ctr)により適合と判定された場合に、判定部(Ctr)の判定対象であった永久磁石(12)をケース(H)から取り出し、鉄心製品(1,2,5)を構成する鉄心本体(10)に当該永久磁石(12)を取り付けることを含んでいてもよい。この場合、所定の品種となるべき鉄心製品の鉄心本体に、対応する永久磁石を取り付けることが可能となる。
例3.例2の方法は、鉄心本体(10)の磁石挿入孔(16)に永久磁石(12)を挿入した後に、鉄心製品(1,2,5)の品種情報を保持する識別コード(C)を鉄心本体(10)の表面に形成することをさらに含んでいてもよい。この場合、所定の品種となるべき鉄心製品の中間品に、当該品種を示す品種情報が保持された識別コードが形成される。そのため、さらに後続の工程において中間品を取り扱う際に、識別コードを読み取ることにより、当該中間品の品種に適した処理を行うことが可能となる。
例4.例2の方法は、鉄心製品(1,2,5)を構成する鉄心本体(10)の表面に、鉄心製品(1,2,5)の品種情報を保持する識別コード(C)を形成することと、鉄心製品(1,2,5)の識別コード(C)を読取部(312)によって読み取ることとをさらに含み、判定部(Ctr)によって判定することは、第1の識別部(311)によって識別された永久磁石(12)の特徴量が、読取部(312)によって読み取られた識別コード(C)が保持する品種情報に対応しているか否かを判定することを含んでいてもよい。この場合、鉄心本体の製造ラインと永久磁石の取付ラインとが離れており、鉄心本体を当該取付ラインに搬送する際に異なる品種の鉄心本体が混在したとしても、識別コードを読み取ることにより、当該識別コードが付された鉄心本体の品種が識別される。そのため、鉄心製品の製造過程で鉄心本体の混在が生じても、所望の品種の鉄心製品を製造することが可能となる。
例5.例1~例4のいずれかの方法において、第1の識別部(321)によって識別することは、素材要素(3,12,T)である樹脂材料(T)の特徴量を第1の識別部(321)によって識別することを含み、後続の処理を実行することは、判定部(Ctr)により適合と判定された場合に、判定部(Ctr)の判定対象であった樹脂材料(T)を溶融して、鉄心製品(1,2,5)を構成する鉄心本体(10)の樹脂形成領域(16)に溶融樹脂を注入することを含んでいてもよい。この場合、所定の品種となるべき鉄心製品の鉄心本体に、対応する樹脂材料を適用することが可能となる。
例6.例1~例5のいずれかの方法において、第1の識別部(331)によって識別することは、素材要素(3,12,T)である端面板(3)の特徴量を第1の識別部(331)によって識別することを含み、後続の処理を実行することは、判定部(Ctr)により適合と判断された場合に、判定部(Ctr)の判定対象であった端面板(3)を、鉄心製品(1,2,5)を構成する鉄心本体(10)の端面(10c,10d)に配置することを含んでいてもよい。所定の品種となるべき鉄心製品の鉄心本体に、対応する端面版を取り付けることが可能となる。
例7.例1~例6のいずれかの方法は、判定部(Ctr)により不適合と判定された場合に、鉄心製品(1,2,5)の製造を中断することをさらに含んでいてもよい。この場合、不適合の素材要素を用いた処理が行われなくなるので、誤組み付けをいっそう防止することが可能となる。
例8.例1~例7のいずれかの方法は、第1の金属板(M1)の板厚偏差の傾向を示す第1の偏差傾向を第2の識別部(201)によって識別することと、第2の金属板(M1,M2)の板厚偏差の傾向を示す第2の偏差傾向を第2の識別部(201)によって識別することと、第2の偏差傾向が第1の偏差傾向と一致するか否かを判定部(Ctr)によって判定することと、判定部(Ctr)により一致すると判定された場合には、裏表の変更なく第2の金属板(M1)が打抜装置(230)に送り出されるように、打抜加工が行われた第1の金属板(M1)から打抜加工が行われていない新たな第2の金属板(M1)へと交換するが、判定部(Ctr)により第2の偏差傾向が第1の偏差傾向と逆の傾向を示すと判定された場合には、裏表が反転された状態で第2の金属板(M2)が打抜装置(230)に送り出されるように、打抜加工が行われた第1の金属板(M1)から打抜加工が行われていない新たな第2の金属板(M2)へと交換することと、第1又は第2の金属板(M1,M2)から打ち抜かれた複数の打抜部材(W)を積層して、鉄心製品(2,5)を構成する鉄心本体(10)を形成することとをさらに含んでいてもよい。ところで、板厚偏差の傾向が異なる金属板を打抜装置で打ち抜こうとするとする場合、パンチとダイとの間のクリアランスの設定変更を要する場合がある。例えば、幅方向において右端から左端に向けて板厚が増加する金属板を打ち抜く場合と、幅方向において左端から右端に向けて板厚が増加する金属板を打ち抜く場合とで、パンチとダイとの間のクリアランスの設定が同じであると、金属板から打ち抜かれた打抜部材の形状にずれが生ずる場合がある。しかしながら、例8によれば、第1の金属板から第2の金属板に交換する際に、第1の金属板の偏差傾向と一致するように姿勢が整えられた状態の第2の金属板が打抜装置に送り出される。そのため、金属板の交換前後において、同様の形状の打抜部材を効率的に打ち抜くことが可能となる。