JP7255063B2 - エステル化合物、エステル化合物の製造方法、熱可塑性樹脂用可塑剤、及び熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

エステル化合物、エステル化合物の製造方法、熱可塑性樹脂用可塑剤、及び熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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本発明は、エステル化合物、エステル化合物の製造方法、熱可塑性樹脂用可塑剤、及び熱可塑性樹脂組成物に関する。
一般に樹脂添加用可塑剤としては、アルコールとポリカルボン酸とから合成したエステル化合物が用いられている。商業的に重要な例としては、炭素数8、炭素数9及び炭素数10のアルコールのアジピン酸エステルがあり、具体的には、ジ(2-エチルヘキシル)アジパート、ジイソノニルアジパート、ジイソデシルアジパートなどが挙げられる。また、炭素数8、炭素数9及び炭素数10のアルコールのフタル酸エステルも重要であり、具体的には、ジ(2-エチルヘキシル)フタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレートなどが挙げられる。
前記ジ(2-エチルヘキシル)フタレートは、プラスチゾル(plastisol)及び乾式配合を介し、玩具、フィルム、履物、塗料、床材、手袋、壁紙、人造皮革、シーラント、ターポリン、車床コーティング剤、家具、発泡マット及び防音パネルの製造時に用いられ、かつPVCケーブルの外装及び絶縁、及び他のカレンダリングされた可塑性PVC製品の生産にも用いられる(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
特表2017-509592号公報 特開2017-81833号公報
本発明は上記に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、新規のエステル化合物を提供することである。
また、本発明の目的は、前記エステル化合物の製造方法を提供することである。
また、本発明の目的は、前記エステル化合物を含有し、優れた可塑化効率を有して樹脂の加工性及び物性を改善させることができる熱可塑性樹脂用の可塑剤、及び、前記エステル化合物を含有する熱可塑性樹脂組成物を提供することである。
<1>下記式(1)で表される、エステル化合物。
Figure 0007255063000001


[式(1)において、R、R、R及びRは、互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、窒素含有基、酸素含有基、ホウ素含有基、ケイ素含有基、リン含有基、硫黄含有基、又はハロゲン原子である。R、R、R及びRのうち隣接する任意の2つの基が結合して環を形成していてもよい。Rは、置換もしくは無置換のアリール基である。]
<2>式(1)において、R、R、R、R及びRの炭素原子数はそれぞれ独立に20以下である、<1>に記載のエステル化合物。
<3>式(1)において、R、R、R及びRが、互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換のアリール基である、<1>又は<2>に記載のエステル化合物。
<4>式(1)において、R、R、R及びRが、互いに独立して水素原子、メチル基、又は隣接する基と結合して無置換のベンゼン環を形成している基である、<1>又は<2>に記載のエステル化合物。
<5>式(1)において、Rが無置換のフェニル基である、<1>~<4>のいずれか1項に記載のエステル化合物。
<6>下記式(2)で表されるジオール化合物と、下記式(3)で表される化合物又はその塩と、を反応させる工程を含む、<1>~<5>のいずれか1項に記載のエステル化合物の製造方法。
Figure 0007255063000002


Figure 0007255063000003


[式(2)において、R、R、R及びRは、互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、窒素含有基、酸素含有基、ホウ素含有基、ケイ素含有基、リン含有基、硫黄含有基、又はハロゲン原子である。R、R、R及びRのうち隣接する任意の2つの基が結合して環を形成していてもよい。式(3)において、Rは、置換もしくは無置換のアリール基であり、Xはハロゲン原子もしくは水酸基である。]
<7>式(2)及び式(3)において、R、R、R、R及びRの炭素原子数はそれぞれ独立に20以下である、<6>に記載のエステル化合物の製造方法。
<8>式(2)において、R、R、R及びRが、互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換のアリール基である、<6>又は<7>に記載のエステル化合物の製造方法。
<9>式(2)において、R、R、R及びRが、互いに独立して水素原子、メチル基、又は隣接する基と結合して無置換のベンゼン環を形成している基である、<6>又は<7>に記載のエステル化合物の製造方法。
<10>式(3)において、Rが無置換のフェニル基である、<6>~<9>のいずれか1項に記載のエステル化合物の製造方法
<11><1>~<5>のいずれか1項に記載のエステル化合物を含む熱可塑性樹脂用可塑剤。
<12><1>~<5>のいずれか1項に記載のエステル化合物と熱可塑性樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物。
本発明によれば、新規のエステル化合物が提供される。
また、本発明によれば、前記エステル化合物の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、前記エステル化合物を含有し、優れた可塑化効率を有して樹脂の加工性及び物性を改善させることができる熱可塑性樹脂用の可塑剤、及び、前記エステル化合物を含有する熱可塑性樹脂組成物が提供される。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
<エステル化合物>
本発明のエステル化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
Figure 0007255063000004
式(1)において、R、R、R及びRは、互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、窒素含有基、酸素含有基、ホウ素含有基、ケイ素含有基、リン含有基、硫黄含有基、又はハロゲン原子である。R、R、R及びRのうち隣接する任意の2つの基が結合して環を形成していてもよい。Rは、置換もしくは無置換のアリール基である。
式(1)で表されるエステル化合物は、これまで報告のない新規化合物である。さらに本発明者らの検討の結果、熱可塑性樹脂に式(1)で表されるエステル化合物を添加すると、熱可塑性樹脂のメルトフローレートが上昇して加工性が向上することがわかった。すなわち、式(1)で表されるエステル化合物は、熱可塑性樹脂の可塑剤として有用である。ただし、式(1)で表されるエステル化合物の用途はこれに限られない。
式(1)において、R、R、R及びRが置換基を有する脂肪族炭化水素基又は置換基を有するアリール基である場合、それぞれが窒素含有基、酸素含有基、ホウ素含有基、ケイ素含有基、リン含有基又は硫黄含有基に該当するものであってもよい。
脂肪族炭化水素基又はアリール基が置換基を有する場合における置換基の具体例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ジアルキルアミノ基等が挙げられる。これらの置換基は、アルキル基又はアリール基に1個だけでなく2個以上置換していてもよく、単独又は異なる種類の置換基で置換していてもよい。
置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ペンタデシル基、n-イコシル基等の直鎖脂肪族炭化水素基;
イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、1-n-プロピルブチル基、1-iso-プロピルブチル基、1-iso-プロピル-2-メチルプロピル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、5-メチルヘプチル基、6-メチルヘプチル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基 4-エチルヘキシル基、1-n-プロピルペンチル基、2-n-プロピルペンチル基、1-iso-プロピルペンチル基、2-iso-プロピルペンチル基、1-n-ブチルブチル基、1-iso-ブチルブチル基、1-sec-ブチルブチル基、1-tert-ブチルブチル基、2-tert-ブチルブチル基等のモノアルキル置換脂肪族炭化水素基;
tert-ブチル基、tert-ペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1-ジメチルペンチル基、1,2-ジメチルペンチル基、1,3-ジメチルペンチル基、1,4-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、3,4-ジメチルペンチル基、1-エチル-1-メチルブチル基、1-エチル-2-メチルブチル基、1-エチル-3-メチルブチル基、2-エチル-1-メチルブチル基、2-エチル-3-メチルブチル基、1,1-ジメチルヘキシル基、1,2-ジメチルヘキシル基、1,3-ジメチルヘキシル基、1,4-ジメチルヘキシル基、1,5-ジメチルヘキシル基、2,2-ジメチルヘキシル基、2,3-ジメチルヘキシル基、2,4-ジメチルヘキシル基、2,5-ジメチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、3,4-ジメチルヘキシル基、3,5-ジメチルヘキシル基、4,4-ジメチルヘキシル基、4,5-ジメチルヘキシル基、1-エチル-2-メチルペンチル基、1-エチル-3-メチルペンチル基、1-エチル-4-メチルペンチル基、2-エチル-1-メチルペンチル基、2-エチル-2-メチルペンチル基、2-エチル-3-メチルペンチル基、2-エチル-4-メチルペンチル基、3-エチル-1-メチルペンチル基、3-エチル-2-メチルペンチル基、3-エチル-3-メチルペンチル基、3-エチル-4-メチルペンチル基、1-n-プロピル-1-メチルブチル基、1-n-プロピル-2-メチルブチル基、1-n-プロピル-3-メチルブチル基、1-iso-プロピル-1-メチルブチル基、1-iso-プロピル-2-メチルブチル基、1-iso-プロピル-3-メチルブチル基、1,1-ジエチルブチル基、1,2-ジエチルブチル基等のジアルキル置換脂肪族炭化水素基;
1,1,2-トリメチルプロピル基、1,2,2-トリメチルプロピル基、1,1,2-トリメチルブチル基、1,1,3-トリメチルブチル基、1,2,3-トリメチルブチル基、1,2,2-トリメチルブチル基、1,3,3-トリメチルブチル基、2,3,3-トリメチルブチル基、1,1,2-トリメチルペンチル基、1,1,3-トリメチルペンチル基、1,1,4-トリメチルペンチル基、1,2,2-トリメチルペンチル基、1,2,3-トリメチルペンチル基、1,2,4-トリメチルペンチル基、1,3,4-トリメチルペンチル基、2,2,3-トリメチルペンチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、2,3,4-トリメチルペンチル基、1,3,3-トリメチルペンチル基、2,3,3-トリメチルペンチル基、3,3,4-トリメチルペンチル基、1,4,4-トリメチルペンチル基、2,4,4-トリメチルペンチル基、3,4,4-トリメチルペンチル基、1-エチル-1,2-ジメチルブチル基、1-エチル-1,3-ジメチルブチル基、1-エチル-2,3-ジメチルブチル基、2-エチル-1,1-ジメチルブチル基、2-エチル-1,2-ジメチルブチル基、2-エチル-1,3-ジメチルブチル基、2-エチル-2,3-ジメチルブチル基等のトリアルキル置換脂肪族炭化水素基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状脂肪族炭化水素基;
3-メチルシクロペンチル基、4-メチルシクロヘキシル基、1,2-ジメチルシクロヘキシル基、1,3-ジメチルシクロヘキシル基、1,4-ジメチルシクロヘキシル基、4-エチルシクロヘキシル基等のアルキル置換環状脂肪族炭化水素基;
2-ビシクロ[2,2,0]ブチル基、2-ビシクロ[2,2,1]ヘプチル基、1-ビシクロ[2,2,2]オクチル基等の多環式炭化水素基:
ベンジル基、4-メチルベンジル基等のアリール置換脂肪族炭化水素基;
ビニル基、アリール基、3-ブテニル基、4-ペンテニル基、1-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、1,2―ジメチル-1-プロペニル基、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、3-ブチニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基:
フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、1-フルオロエチル基、1-クロロエチル基、1-ブロモエチル基、1,1,1-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1,1,2,2-テトラクロロエチル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル基等の、ハロゲン原子が置換したハロゲン化脂肪族炭化水素基;及び
メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert-ブトキシ基等のエーテル置換脂肪族炭化水素基が挙げられる。
置換もしくは無置換のアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の無置換の芳香族炭化水素基;
2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、オクチルフェニル基、2-メチル-1-ナフチル基、3-メチル-1-ナフチル基、4-メチル-1-ナフチル基、5-メチル-1-ナフチル基、6-メチル-1-ナフチル基、7-メチル-1-ナフチル基、8-メチル-1-ナフチル基、1-メチル-2-ナフチル基、3-メチル-2-ナフチル基、4-メチル-2-ナフチル基、5-メチル-2-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、7-メチル-2-ナフチル基、8-メチル-2-ナフチル基、2-エチル-1-ナフチル基等のモノアルキル置換アリール基;
2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、3,6-ジメチルフェニル基等のジアルキル置換アリール基;
2,3,4-トリメチルフェニル基、2,3,5-トリメチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、2,4,5-トリメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、3,4,5-トリメチルフェニル基等のトリアルキル置換アリール基;
1,1’-ビフェニル-4-イル基、4-スチリルフェニル基、4-スチルベニル基等の置換又は無置換のアリール基が置換したアリール基;
2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、4-プロポキシフェニル基、4-ブトキシフェニル基、4-ヘキシルオキシフェニル基、4-シクロヘキシルオキシフェニル基、4-オクチルオキシフェニル基、2-メトキシ-1-ナフチル基、3-メトキシ-1-ナフチル基、4-メトキシ-1-ナフチル基、5-メトキシ-1-ナフチル基、6-メトキシ-1-ナフチル基、7-メトキシ-1-ナフチル基、8-メトキシ-1-ナフチル基、1-メトキシ-2-ナフチル基、3-メトキシ-2-ナフチル基、4-メトキシ-2-ナフチル基、5-メトキシ-2-ナフチル基、6-メトキシ-2-ナフチル基、7-メトキシ-2-ナフチル基、8-メトキシ-2-ナフチル基、2-エトキシ-1-ナフチル基等の、炭素数10以下の置換又は無置換のアルキルオキシ基が置換したモノアルコキシアリール基;
2,3-ジメトキシフェニル基、2,4-ジメトキシフェニル基、2,5-ジメトキシフェニル基、2,6-ジメトキシフェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、3,5-ジメトキシフェニル基、3,6-ジメトキシフェニル基、4,5-ジメトキシ-1-ナフチル基、4,7-ジメトキシ-1-ナフチル基、4,8-ジメトキシ-1-ナフチル基、5,8-ジメトキシ-1-ナフチル基、5,8-ジメトキシ-2-ナフチル基等の、炭素数10以下の置換又は無置換のアルキルオキシ基が置換したジアルコキシアリール基;
2,3,4-トリメトキシフェニル基、2,3,5-トリメトキシフェニル基、2,3,6-トリメトキシフェニル基、2,4,5-トリメトキシフェニル基、2,4,6-トリメトキシフェニル基、3,4,5-トリメトキシフェニル基等の、炭素数10以下の置換又は無置換のアルキルオキシ基が置換したトリアルコキシアリール基;
4-クロロフェニル基、2,6-ジクロロフェニル基、2,4,6-トリクロロフェニル基、4-ブロモフェニル基、2,6-ジブロモフェニル基、4-ヨードフェニル基、4-フルオロフェニル基、5-クロロナフチル基、5-ブロモナフチル基、2,6-ジフルオロフェニル基、2,4,6-トリフルオロフェニル基、2,3,5,6-テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等の、ハロゲン原子が置換したアリール基;
4-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリクロロメチルフェニル基等の、炭素数10以下のハロゲン原子が置換したアルキル基が置換したハロゲン化アルキルアリール基;
4-N,N-ジメチルアミノフェニル基、4-N,N-ジエチルアミノフェニル基、4-N-フェニル-N-メチルアミノフェニル基、4-N-トリル-N-エチルアミノフェニル基、4-N-クロロフェニル-N-シクロヘキシルアミノフェニル基、4-N,N-ジトリルアミノフェニル基等のN,N-二置換アミノ基が置換したアリール基;及び
4-メチルチオフェニル基、4-エチルチオフェニル基、5-メチルチオナフチル基、4-フェニルチオフェニル基等のアルキルチオアリール基又はアリールチオアリール基が挙げられる。
窒素含有基としては、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったもの等が挙げられる。
酸素含有基としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。
ホウ素含有基としては、ジアルキルボリル基、ジアリールボリル基、ジアルコキシボリル基、ジアリーロキシボリル基、ジヒドロキシボリル基等が挙げられる。
ケイ素含有基としては、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基、トリアルコキシシリル基、トリアリーロキシシリル基等が挙げられる。
リン含有基としては、ジアルキルホスフィノ基、ジアリールホスフィノ基、アルキルアリールホスフィノ基、ジアルコキシホスフィノ基、ジアリールオキシホスフィノ基、アルコキシアリールオキシホスフィノ基等が挙げられる。
硫黄含有基としては、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
、R、R及びRの炭素原子数は、それぞれ独立に20以下であってもよい。R、R、R及びRが置換基を有する脂肪族炭化水素基又は置換基を有するアリール基である場合、脂肪族炭化水素基又はアリール基の炭素原子数は置換基の炭素原子数を含むものとする。
、R、R及びRのうち隣接する任意の2つの基が結合して環を形成している場合の環の構造としては、芳香族炭化水素、環状脂肪族炭化水素、ヘテロ環等が挙げられる。
、R、R及びRが置換又は無置換の脂肪族炭化水素基である場合、その炭素原子数は、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~10であり、さらに好ましくは1~8である。
、R、R及びRが置換又は無置換のアリール基である場合、その炭素原子数は、好ましくは6~20であり、より好ましくは6~15であり、さらに好ましくは6~10である。
、R、R及びRは、互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましい。この場合、R、R、R及びRのうち隣接する任意の2つの基が結合して環を形成していることがより好ましく、RとRとが結合して環を形成していることがさらに好ましい。
、R、R及びRは、互いに独立して水素原子、メチル基、又は隣接する基と結合して無置換のベンゼン環を形成している基であることがさらに好ましい。
式(1)においてRは、置換もしくは無置換のアリール基である。
式(1)における2個のRは、同じ構造を有する。
の炭素原子数は、20以下であってもよい。Rが置換基を有するアリール基である場合、アリール基の炭素原子数は置換基の炭素原子数を含むものとする。Rの炭素原子数は、好ましくは6~20であり、より好ましくは6~15であり、さらに好ましくは6~10である。
で表される置換又は無置換のアリール基の具体例としては、R~Rで表される置換又は無置換のアリール基の具体例として上述したものが挙げられる。
は置換又は無置換のフェニル基であることが好ましく、無置換のフェニル基であることがより好ましい。
式(1)で表されるエステル化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。ただし、式(1)で表されるエステル化合物はこれらに限定されるわけではない。
Figure 0007255063000005
Figure 0007255063000006

<エステル化合物の製造方法>
本発明のエステル化合物の製造方法は、下記式(2)で表されるジオール化合物と、下記式(3)で表される化合物又はその塩と、を反応させる工程(反応工程)を含む。この方法により、上述した式(1)で表されるエステル化合物が製造される。
式(1)で表されるエステル化合物は、例えば、式(2)で表されるジオール化合物(以下、キノキサリン-2,3-ジオール化合物ともいう)と、式(3)で表される化合物又はその塩(塩酸塩など)と、の縮合反応により製造される。
Figure 0007255063000007
Figure 0007255063000008
式(2)及び式(3)において、R、R、R、R及びRは、式(1)で規定したR、R、R、R及びRとそれぞれ同義である。式(3)において、Xは、ハロゲン原子又は水酸基である。
反応工程における反応条件としては、式(3)においてXがハロゲン原子の場合には、例えば、1.0モルのキノキサリン-2,3-ジオール化合物に対し、一般式(3)により示される化合物を2.0モル以上5.0モル以下となる割合で添加し、さらに2.0モル以上10.0モル以下の割合で塩基を一括添加又は徐々に添加しながら0℃~100℃の温度で0.5時間~10時間反応させる条件が挙げられる。
溶媒としては、ハロゲン系炭化水素(例えばジクロロメタン、クロロホルム等)が使用できる。また、触媒としては塩基類(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等)を使用できる。
一般式(3)においてXが水酸基の場合には、例えば、1.0モルのキノキサリン-2,3-ジオール化合物に対し、一般式(3)により示される化合物を2.0モル以上5.0モル以下となる割合で添加し、さらに2.0モル以上10.0モル以下の割合で縮合剤(ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール等)を一括添加又は徐々に添加しながら0℃~100℃の温度で0.5時間~10時間反応させる条件が挙げられる。
溶媒としては、ハロゲン系炭化水素(例えばジクロロメタン、クロロホルム等)が使用できる。
式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とを反応させた後、分離及び必要に応じて精製を行って、式(1)で表される化合物が得られる。
分離及び精製の方法は特に限定されず、例えば、得られた反応物を水とクロロホルム等の有機溶媒で分液し、次いで、水洗と脱水を行い、次いで、再結晶により精製することができる。目的物の性質に応じて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーのような精製法を実施することもある。次いで、乾燥することによって、目的とするエステル化合物からなる液状物質又は固体状物質を得ることができる。
なお、本発明の式(1)で表されるエステル化合物の製造方法は、この方法に限定されるものではない。
<熱可塑性樹脂用可塑剤>
本発明の熱可塑性樹脂用可塑剤は、上述した式(1)で表されるエステル化合物を含む。本発明の熱可塑性樹脂用可塑剤は、式(1)で表されるエステル化合物を含むことで可塑剤としての高い性能を発現する。
本発明の熱可塑性樹脂用可塑剤は、式(1)で表されるエステル化合物のみからなってもよく、必要に応じて式(1)で表されるエステル化合物以外の他の成分を含んでもよい。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した式(1)で表されるエステル化合物と熱可塑性樹脂とを含む。
式(1)で表されるエステル化合物の詳細については既述の通りであるので、ここでの説明は省略する。
熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、特に制限されない。具体的には、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、テフロン(ポリテトラフルオロエチレン)、AS樹脂、ABS樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂等の汎用熱可塑性樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、環状ポリオレフィン等の熱可塑性エンジニアリングプラスチック;ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の熱可塑性スーパーエンジニアリングプラスチック;酢酸セルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、エチルセルロース等の熱可塑性セルロース系樹脂;及びポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、ポリ-DL-乳酸等のポリ乳酸系樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、1種のみでも2種以上であってもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、特に制限されない。例えば、式(1)で表されるエステル化合物と熱可塑性樹脂の両者を溶解可能な溶媒に溶解させて均一化した後に溶媒を除去する方法、式(1)で表されるエステル化合物と熱可塑性樹脂を溶融混合して均一化する方法などが挙げられる。
式(1)で表されるエステル化合物と熱可塑性樹脂とを溶媒に溶解させて均一化する方法としては、具体的には、式(1)で表されるエステル化合物と熱可塑性樹脂のそれぞれを適量秤量して容器に装入し、そこに溶媒を装入して撹拌し溶解する方法が挙げられる。必要に応じて容器中を加熱しながら撹拌してもよい。式(1)で表されるエステル化合物と熱可塑性樹脂が溶解したことを確認した後、エバポレーター等を用いて溶媒を留去させ、熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。十分に溶媒を除けない場合は、得られた熱可塑性樹脂組成物を粉砕して真空乾燥機等で溶媒を除去してもよい。
式(1)で表されるエステル化合物と熱可塑性樹脂とを溶融混合して均一化する方法としては、具体的には、式(1)で表されるエステル化合物と熱可塑性樹脂のそれぞれを適量秤量して容器に装入し、加熱混合して均一化した後、冷却する方法が挙げられる。得られた熱可塑性樹脂組成物を取り扱いやすくするために、押し出し機等を用いてペレット化してもよい。
熱可塑性樹脂組成物に含まれる式(1)で表されるエステル化合物の含有率は、熱可塑性樹脂組成物の不揮発分全体に対して0.01質量%~50質量%であることが好ましい。
式(1)で表されるエステル化合物の含有率が熱可塑性樹脂組成物の不揮発分全体の0.01質量%以上であると、熱可塑性樹脂組成物のメルトフローレートの上昇効果、即ち、可塑機能が良好に発現する傾向にある。一方、式(1)で表されるエステル化合物の含有率が熱可塑性樹脂組成物の不揮発分全体の50質量%以下であると、熱可塑性樹脂組成物のメルトフローレートが高くなりすぎない範囲に保持することができ、良好な取り扱い性が維持される傾向にある。
式(1)で表されるエステル化合物の含有率は、熱可塑性樹脂組成物の不揮発分全体の0.1質量%~20質量%であることがより好ましく、0.4質量%~10質量%であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて式(1)で表されるエステル化合物及び熱可塑性樹脂以外の成分を含んでもよい。式(1)で表されるエステル化合物及び熱可塑性樹脂以外の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、離型剤、無機フィラー、溶剤等が挙げられる。
以下、本発明の実施形態を実施例により更に具体的に説明するが、本実施形態はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1] 式(1-1)の化合物の合成
300mLのナスフラスコに、式(2)で表される化合物としてキノキサリン-2,3-ジオール9.82g(60.6mmol)、トリエチルアミン12.36g(122.4mmol)およびクロロホルム200gを挿入し、窒素雰囲気下で氷浴により5℃に冷却した。その後、式(3)で表される化合物としてベンゾイルクロリド17.66g(125.6mmol)を50分かけて滴下し、室温(25℃付近、以下同様)で1日撹拌した。
この反応液を分液漏斗に移液した後、蒸留水100mLを加え振とうしてから静置し、生じた2層のうち上層を除き下層を取り出した。この操作(水洗工程)を更に2回繰り返した。取り出した下層を硫酸マグネシウムで脱水した後、ロータリーエバポレーターで減圧してクロロホルムを留去した。残渣にメタノールを添加して生じた固体を濾別し、18.93gの粗体を得た。この粗体をクロロホルム70gに溶解し、メタノール100gを添加して、再沈殿させ、得られた結晶を濾別して、15.69g(42.4mmol)の下記式(1-1)で表される化合物を収率70%で得た。
Figure 0007255063000009

得られた化合物のH-NMR(270MHz、溶媒CDCl3)解析結果は、以下の通りとなった。
δ8.19-8.06(m,6H)、7.86-7.79(m,2H)、7.61-7.55(m,2H)、7.44-7.38(m,4H)
得られた化合物の融点を示差走査熱量計(株式会社島津製作所製 DSC-60A、開始温度:25℃、終了温度:300℃、昇温速度:10℃/分)にて測定したところ、融点は138℃であった。
式(1-1)で表される化合物の合成に使用したキノキサリン-2,3-ジオールは、下記の原料を用いて、下記非特許文献に記載の方法を参考にして合成した。
(原料)
・1,2-フェニレンジアミン(東京化成工業株式会社製)
・シュウ酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・塩酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)
(非特許文献)
“Synthesis of New Bis(amidine)-Cobalt Catalysts and Their Application to Styrene Polymerization”(Organometallics, 2014, 33 (7), 1617-1622. DOI: 10.1021/om401183d)
[実施例2] 式(1-2)の化合物の合成
300mLのナス型フラスコ中に、式(2)で表される化合物として5,7-ジメチルキノキサリン-2,3-ジオール13.1g(68.9mmol)、式(3)で表される化合物としてベンゾイルクロリド20.33g(145mmol)、及びクロロホルム100mLを装入し、窒素雰囲気下で撹拌した。5℃以下に冷却後、トリエチルアミン14.64g(145mmol)を30分かけて滴下装入した。室温に戻した後、3時間撹拌した。
この反応液を分液漏斗に移液した後、蒸留水100mLを加え振とうしてから静置し、生じた2層のうち上層を除き下層を取り出した。この操作(水洗工程)を更に2回繰り返した。取り出した下層に無水硫酸マグネシウム約50gを加え良く振とうした後、ろ過して固体成分を除き、得られたろ過液を濃縮し白色の固体を得た。これをクロロホルムとヘキサンから再沈殿を行うことにより、下記式(1-2)で表されるエステル化合物18.4g(46.2mmol)を収率67%で得た。
Figure 0007255063000010

得られた化合物のH-NMR(270MHz、溶媒CDCl)解析結果は、以下の通りとなった。
δ8.14-8.08(m,4H)、7.72(s,1H)、7.60-7.53(m,2H)、7.49(s,1H)、7.43-7.36(m,4H)、2.74(s,3H)、2.57(s,3H)
得られた化合物の融点を示差走査熱量計(株式会社島津製作所製 DSC-60A、開始温度:25℃、終了温度:300℃、昇温速度:10℃/分)にて測定したところ、融点は132℃であった。
式(1-2)で表される化合物の合成に使用した5,7-ジメチルキノキサリン-2,3-ジオールは、下記の原料を用いて、上記非特許文献に記載の方法を参考にして合成した。
(原料)
・3,5-ジメチル-1,2-フェニレンジアミン(アルドリッチ社製)
・シュウ酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・塩酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)
[実施例3] 式(1-3)の化合物の合成
300mLのナス型フラスコ中に、式(2)で表される化合物としてベンゾ[g]キノキサリン-2,3-ジオール6.37g(330.0mmol)、式(3)で表される化合物としてベンゾイルクロリド8.86g(63.0mmol)、及びクロロホルム100mLを装入し、窒素雰囲気下で撹拌した。5℃以下に冷却後、トリエチルアミン6.38g(63.0mmol)を30分かけて滴下装入した。70℃に昇温した後、12時間撹拌した。
この反応液を分液漏斗に移液した後、蒸留水100mLを加え振とうしてから静置し、生じた2層のうち上層を除き下層を取り出した。この操作(水洗工程)を更に2回繰り返した。取り出した下層に無水硫酸マグネシウム約50gを加え良く振とうした後、ろ過して固体成分を除き、得られたろ過液を濃縮し黄色の固体を得た。これをクロロホルムとヘキサンから再沈殿を行うことにより、下記式(1-3)で表されるエステル化合物2.2g(5.23mmol)を収率17%で得た。
Figure 0007255063000011

得られた化合物のH-NMR(270MHz、溶媒DMSO-d)解析結果は、以下の通りとなった。
δ8.20-7.50(m,16H)
得られた化合物の融点を示差走査熱量計(株式会社島津製作所製 DSC-60A、開始温度:25℃、終了温度:300℃、昇温速度:10℃/分)にて測定したところ、融点は156.5℃であった。
式(1-3)で表される化合物の合成に使用したベンゾ[g]キノキサリン-2,3-ジオールは、下記の原料を用いて、上記非特許文献に記載の方法を参考にして
成した。
(原料)
・2,3-ナフタレンジアミン(東京化成工業株式会社製)
・シュウ酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・塩酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)
[実施例4] 式(1-1)の化合物の可塑剤としての性能評価
ポリカーボネート(帝人株式会社製、パンライトL-1225WP)2.0gと、実施例1で合成した式(1-1)で表される化合物0.10gとを、ホットプレートを用いてポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製、ユーピレックス、50μm厚)上、280℃で融解させて混合し、均一化した。この溶液を冷却した後、得られた固体を粉砕し、ポリカーボネートと式(1-1)で表される化合物の混合物粉体(熱可塑性樹脂組成物)を得た。
次に、フローテスター(株式会社島津製作所製、CFT-500D)を使用し、得られた熱可塑性樹脂組成物のメルトフローレートを下記条件で測定した。測定結果は、20.74g/10minであった。
・測定温度:280℃
・シリンダ圧力:4.903×10Pa
・予熱時間:300秒
・ダイ穴径:1.0mm
・ダイ長さ:10.0mm
・せん断応力:1.226×10Pa
[実施例5] 式(1-2)の化合物の可塑剤としての性能評価
ポリカーボネート(帝人株式会社製、パンライトL-1225WP)2.0gと、実施例2で合成した式(1-2)で表される化合物0.10gを使用する以外は実施例4と同様にして熱可塑性樹脂組成物を調製し、実施例4と同じ条件でメルトフローレートを測定した。測定結果は、14.30g/10minであった。
[比較例]
ポリカーボネート(帝人株式会社製、パンライトL-1225WP)1.5gを使用して、実施例4と同じ条件でメルトフローレートの測定を行った。測定結果は、8.40g/10minとなった。
以上のように、ポリカーボネートに式(1-1)又は式(1-2)で表される化合物を添加した実施例4、5では、ポリカーボネート単独の比較例に比べてメルトフローレートが上昇した。
これらの結果から、本発明のエステル化合物は熱可塑性樹脂の可塑剤としての性能に優れていることがわかる。

Claims (12)

  1. 下記式(1)で表される、エステル化合物。
    Figure 0007255063000012


    [式(1)において、R、R、R及びRは、互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、窒素含有基、酸素含有基、ホウ素含有基、ケイ素含有基、リン含有基、硫黄含有基、又はハロゲン原子である。R、R、R及びRのうち隣接する任意の2つの基が結合して環を形成していてもよい。Rは、置換もしくは無置換のアリール基である。]
  2. 式(1)において、R、R、R、R及びRの炭素原子数はそれぞれ独立に20以下である、請求項1に記載のエステル化合物。
  3. 式(1)において、R、R、R及びRが、互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換のアリール基である、請求項1又は請求項2に記載のエステル化合物。
  4. 式(1)において、R、R、R及びRが、互いに独立して水素原子、メチル基、又は隣接する基と結合して無置換のベンゼン環を形成している基である、請求項1又は請求項2に記載のエステル化合物。
  5. 式(1)において、Rが無置換のフェニル基である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のエステル化合物。
  6. 下記式(2)で表されるジオール化合物と、下記式(3)で表される化合物又はその塩と、を反応させる工程を含む、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のエステル化合物の製造方法。
    Figure 0007255063000013


    Figure 0007255063000014


    [式(2)において、R、R、R及びRは、互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、窒素含有基、酸素含有基、ホウ素含有基、ケイ素含有基、リン含有基、硫黄含有基、又はハロゲン原子である。R、R、R及びRのうち隣接する任意の2つの基が結合して環を形成していてもよい。式(3)において、Rは、置換もしくは無置換のアリール基であり、Xはハロゲン原子もしくは水酸基である。]
  7. 式(2)及び式(3)において、R、R、R、R及びRの炭素原子数はそれぞれ独立に20以下である、請求項6に記載のエステル化合物の製造方法。
  8. 式(2)において、R、R、R及びRが、互いに独立して水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換のアリール基である、請求項6又は請求項7に記載のエステル化合物の製造方法。
  9. 式(2)において、R、R、R及びRが、互いに独立して水素原子、メチル基、又は隣接する基と結合して無置換のベンゼン環を形成している基である、請求項6又は請求項7に記載のエステル化合物の製造方法。
  10. 式(3)において、Rが無置換のフェニル基である、請求項6~請求項9のいずれか1項に記載のエステル化合物の製造方法
  11. 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のエステル化合物を含む熱可塑性樹脂用可塑剤。
  12. 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のエステル化合物と熱可塑性樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物。
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