JP7072789B2 - フルオレン誘導体、及びその製造方法、樹脂組成物、並びに物品 - Google Patents
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Description
この問題を解決するために、接着材料として、環状モノマーを用いることが検討されている。環状モノマーは、同等の分子量のビニルモノマーと比較し、重合収縮性が低いことが知られている。このような環状モノマーとしては、例えば、5員環または6員環カーボネート、ビニルシクロプロパン、ビニルオキシラン、4-メチレン-1,3-ジオキソラン、環状ケテンアセタール、ベンゾシクロブテン、スピロオルトカーボネート、スピロオルトエステル、ビニルシクロプロパン環状アセタール、環状アリルスルフィド、環状ビニルスルホンなどが知られている。
例えば、特定の化学式で示されるノルボルナン環状カーボナート化合物とエポキシ樹脂とアミン系アニオン開環重合開始剤を成分として用いる環状カーボナート樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
<1> 下記一般式(1)で表されることを特徴とするフルオレン誘導体である。
<2> 前記Yで表される2価基が、下記一般式(Y1)で表される2価基である前記<1>に記載のフルオレン誘導体である。
<3> 前記X1で表される基が、下記一般式(X1)で表される基であり、
前記X2で表される基が、下記一般式(X2)で表される基である、
前記<1>から<2>のいずれかに記載のフルオレン誘導体である。
<4> 下記一般式(Z31)で表される前記<1>から<3>のいずれかに記載のフルオレン誘導体である。
<5> 下記一般式(Z32)で表される前記<1>から<4>のいずれかに記載のフルオレン誘導体である。
<6> 下記一般式(X3)で表される化合物と、下記一般式(Y2)で表される化合物とを反応させ、下記一般式(Z1)で表されるフルオレン誘導体を得る第1工程と、
前記一般式(Z1)で表されるフルオレン誘導体を、下記一般式(Z2)で表されるフルオレン誘導体に転化する第2工程と、
前記一般式(Z2)で表されるフルオレン誘導体を、下記一般式(Z3)で表されるフルオレン誘導体に転化し、前記一般式(Z3)で表されるフルオレン誘導体を得る第3工程と、
を含むことを特徴とするフルオレン誘導体の製造方法である。
<7> 前記一般式(Y2)で表される化合物が、下記一般式(Y21)で表される化合物であり、
前記一般式(Z1)で表されるフルオレン誘導体が、前記一般式(Z11)で表されるフルオレン誘導体であり、
前記一般式(Z2)で表されるフルオレン誘導体が、前記一般式(Z21)で表されるフルオレン誘導体であり、
前記一般式(Z3)で表されるフルオレン誘導体が、前記一般式(Z31)で表されるフルオレン誘導体である、前記<6>に記載のフルオレン誘導体の製造方法である。
<8> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のフルオレン誘導体を含有することを特徴とする樹脂組成物である。
<9> 更に、エポキシ化合物を含有する前記<8>に記載の樹脂組成物である。
<10> 前記フルオレン誘導体と、前記エポキシ化合物との質量比率(フルオレン誘導体:エポキシ化合物)が、0.1:99.9~15:85である前記<9>に記載の樹脂組成物。
<11> 前記フルオレン誘導体と、前記エポキシ化合物との質量比率(フルオレン誘導体:エポキシ化合物)が、1:99~5:95である前記<9>から<10>のいずれかに記載の樹脂組成物である。
<12> 硬化前後の体積変化率が、-5.00%以下である前記<8>から<11>のいずれかに記載の樹脂組成物である。
<13> 前記<8>から<12>のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物を有することを特徴とする物品である。
本発明のフルオレン誘導体は、下記一般式(1)で表される。
前記X1で表される基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(X1)で表される基が好ましい。
前記X2で表される基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(X2)で表される基が好ましい。
前記R13と、前記R14とは、同じであってもよいし、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。即ち、「炭素数1~6」は、「炭素数1以上6以下」と同義である。
前記Yで表される2価基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(Y1)で表される2価基が好ましい。
前記一般式(Y1)中、環Zとしては、芳香族炭化水素環であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられる。2つの環Zは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記一般式(Y1)中、R1で表される置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6-10アリール基)など]などの非反応性置換基が挙げられ、特に、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基などのC1-6アルキル基(例えば、C1-4アルキル基、特にメチル基)などが挙げられる。
なお、kが複数(2以上)である場合、R1は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環にそれぞれ置換するR1は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対するR1の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0~1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
前記一般式(Y1)中、R2で表されるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基(又は1,2-プロパンジイル基)、トリメチレン基、1,2-ブタンジイル基、テトラメチレン基などのC2-6アルキレン基、好ましくはC2-4アルキレン基、さらに好ましくはC2-3アルキレン基が挙げられる。特に、これらのアルキレン基のなかでも、プロピレン基などの分岐アルキレン基(分岐C3-4アルキレン基など)は、意外にも、エチレン基などに比べて、前記一般式(1)で表されるフルオレン誘導体の粘度を低減する効果が高い。
なお、mが2以上であるとき、アルキレン基は異なるアルキレン基で構成されていてもよく、通常、同一のアルキレン基で構成されていてもよい。また、2つの炭化水素環において、R2は同一であっても、異なっていてもよく、通常同一であってもよい。
なお、置換数mは、異なる環Zにおいて、同一であっても、異なっていてもよい。また、2つの環Zにおいて、オキシアルキレン基の合計(m×2)は、0~30(例えば、0~24)程度の範囲から選択でき、例えば、0~16(例えば、0~14)、好ましくは0~12(例えば、0~10)、さらに好ましくは0~8(例えば、0~6)、特に0~4(例えば、0~3)であってもよい。
前記炭化水素基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基等のC1-20アルキル基、好ましくはC1-8アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基等のC5-10シクロアルキル基、好ましくはC5-8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5-6シクロアルキル基など)、アリール基[例えば、フェニル基、アルキルフェニル基〔メチルフェニル基(又はトリル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基など)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など〕、ナフチル基等のC6-10アリール基、好ましくはC6-8アリール基、特にフェニル基など]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基等のC6-10アリール-C1-4アルキル基など)などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基などのC1-20アルコキシ基、好ましくはC1-8アルコキシ基、さらに好ましくはC1-6アルコキシ基などが挙げられる。
前記シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロへキシルオキシ基等のC5-10シクロアルキルオキシ基などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基等のC6-10アリールオキシ基などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基等のC6-10アリール-C1-4アルキルオキシ基などが挙げられる。
前記アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基等のC1-20アルキルチオ基、好ましくはC1-8アルキルチオ基、さらに好ましくはC1-6アルキルチオ基などが挙げられる。
前記シクロアルキルチオ基としては、例えば、シクロへキシルチオ基等のC5-10シクロアルキルチオ基などが挙げられる。
前記アリールチオ基としては、例えば、チオフェノキシ基等のC6-10アリールチオ基などが挙げられる。
前記アラルキルチオ基としては、例えば、ベンジルチオ基等のC6-10アリール-C1-4アルキルチオ基などが挙げられる。
前記アシル基としては、例えば、アセチル基等のC1-6アシル基などが挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基等のC1-4アルコキシ-カルボニル基などが挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
前記置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基などが挙げられる。
本発明のフルオレン誘導体の製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記第1工程は、下記一般式(X3)で表される化合物と、下記一般式(Y2)で表される化合物とを反応させ、下記一般式(Z1)で表されるフルオレン誘導体を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記R21のアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、炭素数1~2のアルキル基が特に好ましい。
前記R22のアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、炭素数1~2のアルキル基が特に好ましい。
前記R23のアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、炭素数1~2のアルキル基が特に好ましい。
前記R24のアルキレン基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数1~6のアルキレン基が好ましく、炭素数1~4のアルキレン基がより好ましく、炭素数1~2のアルキレン基が更により好ましく、メチレン基が特に好ましい。
前記R25の置換スルホニル基としては、例えば、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基などが挙げられる。
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記一般式(X3)で表される化合物は、例えば、下記一般式(X3-1)で表される化合物を、アルカリ金属アルコキシドと反応させ、下記一般式(X3-2)で表される化合物に転化した後に、前記一般式(X3-2)で表される化合物と、前記一般式(B)で表される化合物とを反応させ、前記一般式(X3)で表されるフルオレン誘導体を得る方法などが挙げられる。この方法は、前記一般式(X3-2)で表される化合物を精製することなく行ってもよい。
前記第2工程は、前記一般式(Z1)で表されるフルオレン誘導体を、下記一般式(Z2)で表されるフルオレン誘導体に転化する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記酸性水溶液としては、例えば、塩酸水溶液などが挙げられる。
前記第3工程としては、前記一般式(Z2)で表されるフルオレン誘導体を、下記一般式(Z3)で表されるフルオレン誘導体に転化し、前記一般式(Z3)で表されるフルオレン誘導体を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記R33としては、例えば、炭素数6以下のアルキル基、若しくはそれらのハロゲン置換体であるか、ベンゼンやナフタレン等のアリール基、又は1個以上の置換基により置換されたアリール基(ここで、置換基には例えばフッ素、塩素、臭素を含むハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基、アルキル基、ハロアルキル基が挙げられる)などが挙げられる。
前記脂肪族炭酸ジエステルとしては、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジブチルなどが挙げられる。
前記芳香族炭酸ジエステルとしては、例えば、炭酸ジフェニル、炭酸ジナフチルなどが挙げられる。
前記混合炭酸ジエステルとしては、例えば、炭酸メチルフェニルなどが挙げられる。
これらの中でも、炭酸ジメチル、炭酸ジフェニル又はトリホスゲンが、入手又は取扱いの容易さ、安全性等の面で好ましい。
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、環化反応への関与を抑制して収率を高めるためには、非プロトン性有機溶媒が好ましい。
前記エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどが挙げられる。
前記芳香族溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
前記カーボネート系溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、プロピレンカーボネートなどが挙げられる。
これら有機溶媒は、反応条件(反応温度、前記一般式(Z2)で表されるフルオレン誘導体の反応性、前記一般式(A)で表される化合物の反応性など)に応じて、適宜選択して使用すればよい。
前記一般式(Y2)で表される化合物が、下記一般式(Y21)で表される化合物である。
前記一般式(Z1)で表されるフルオレン誘導体が、前記一般式(Z11)で表されるフルオレン誘導体である。
前記一般式(Z3)で表されるフルオレン誘導体が、前記一般式(Z31)で表されるフルオレン誘導体である。
本発明の樹脂組成物は、本発明の前記一般式(1)で表されるフルオレン誘導体(以下、単に「フルオレン誘導体」と称することがある)を少なくとも含有し、好ましくはエポキシ化合物を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記樹脂組成物における前記フルオレン誘導体の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%~90質量%が好ましく、0.5質量%~40質量%がより好ましく、1.0質量%~10質量%が特に好ましい。
前記エポキシ化合物(エポキシ樹脂ともいう)としては、エポキシ基を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ポリグリシジルエーテル、ポリグリシジルエステル、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、グリシジルアミン系エポキシ化合物、グリシジルエステル系エポキシ化合物、ビフェニルジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリグリシジルメタクリレート、グリシジルメタクリレートと前記グリシジルメタクリレートと共重合可能なビニル単量体との共重合体などが挙げられる。
ここで、1:99~5:95は、質量比率(フルオレン誘導体/エポキシ化合物)として、1/99以上5/95以下と同義である。
前記その他の成分としては、例えば、硬化剤、導電性粒子などが挙げられる。
前記硬化剤としては、例えば、カチオン系硬化剤、アニオン系硬化剤などが挙げられる。
前記カチオン系硬化剤としては、熱又は光によりカチオン種を発生する硬化剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オニウム塩などが挙げられる。
前記オニウム塩としては、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などが挙げられる。
前記アニオン系硬化剤としては、熱又は光によりアニオン種を発生する硬化剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤、アミン硬化剤などが挙げられる。
前記導電性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属粒子、金属被覆樹脂粒子などが挙げられる。
これらの中でも、ニッケル、銀、銅が好ましい。これらの金属粒子は、表面酸化を防ぐ目的で、その表面に金、パラジウムを施していてもよい。更に、表面に金属突起や有機物で絶縁被膜を施したものを用いてもよい。
前記樹脂粒子への金属の被覆方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無電解めっき法、スパッタリング法などが挙げられる。
前記樹脂粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン-シリカ複合樹脂などが挙げられる。
前記体積変化率は、以下の式で表される。
体積変化率(%)=((硬化後体積)-(硬化前体積))/(硬化前体積)×100(%)
硬化前後の樹脂組成物の体積は、例えば、密度を測定し、密度の逆数を単位体積とすることで求めることができる。
例えば、体積変化率を求める際には、樹脂組成物を125μmの厚みとし、1,500mJ/cm2の照射量のメタルハライドランプでUV硬化を行った後、130℃、1時間で加熱して硬化物を得る。
本発明の物品は、本発明の前記樹脂組成物の硬化物を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
前記物品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光学材料、成形材料、複合材料、注型材料、封止材料、医用材料、歯科材料、記録材料、セメント、塗料、接着剤、ホログラム光記録媒体の材料などが挙げられる。
日本電子株式会社製核磁気共鳴装置「JNM-ECZ400R/S3」によって得られる1H-NMRチャートから、構造を確認した。任意の重溶媒を用いて、積算回数8回で測定した。
ウォーターズ製UPLCを用い、アセトニトリル/THF=9/1(vol/vol)の混合溶媒で試料を0.1質量%に希釈した。サンプル注入量を5μl、流量0.4ml/minで測定行い、得られたMSスペクトルを確認した。
Thermo Fisher SCIENTIFIC社製 NICOLET iS10を用い、ATR法にて得られたIRスペクトルを確認した。積算回数は16回で測定を行った。
作製した各サンプルのモノマー密度及びポリマー密度を乾式自動密度計(アキュピックII1340、株式会社島津製作所製)を用いて測定し、密度の逆数を単位体積とし、下記式を用いて、重合時における体積変化を算出した。
((硬化後体積)-(硬化前体積))/(硬化前体積)×100(%)
得られた値が、正の値であれば体積膨張を示し、負の値であれば体積収縮を示す。
動的粘弾性測定装置(製造会社名:ティー・エイ・インスツルメント株式会社、商品名:RSA3)を用い、作製した硬化物を装着し、昇温速度10.0℃/minの条件下で、30℃~300℃の温度範囲で測定を行った。周波数10.0Hzの測定条件で得られたtanδ(損失弾性率/貯蔵弾性率)の最大点における温度をガラス転移温度(Tg)とした。
横軸をエポキシ樹脂やオキセタン化合物の官能基含有量の和とし、縦軸を体積変化率とし、体積変化率の値をグラフ上にプロットした。プロットの二乗平均の近似式の切片をそれぞれTMC(トリメチレンカーボネート)または合成品(構造式5で表される化合物)が100%の場合であるとして、相変化を伴わない体積変化率を求めた。
<合成例1:(5-エチル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタノール(下記構造式1で表される化合物)の合成>
下記スキームに従って、下記構造式1で表される化合物を合成した。
1H-NMR(CDCl3): δppm = 0.82 (3H, t, J=7.6Hz), 1.28 (2H, q, J=7.6Hz), 1.36 (3H, s), 1.40 (3H,s),3.61 (2H, d, J=11.6Hz), 3.65 (2H, d, J=11.6Hz), 3.72 (2H, s).
下記スキームに従って、下記構造式2で表される化合物を合成した。
1H-NMR(CDCl3): δppm = 0.73 (3H, t, J=7.6Hz), 1.20 (3H, s), 1.27 (2H, q, J=7.6Hz), 1.34 (3H, s), 2.42 (3H,s),3.52 (2H, d, J=11.6Hz), 3.57 (2H, d, J=11.6Hz), 4.11 (2H, s), 7.33 (2H, d, J=8.8Hz),7.79 (2H, d, J=8.8Hz).
下記スキームに従って、下記構造式3で表される化合物を合成した。
1H-NMR(CDCl3): δppm = 0.80 (6H, t, J=8.0Hz), 1.25 (4H, q, 8.0Hz), 1.35 (6H, s), 1.41 (6H, s), 3.65 (4H,d, J=12.0Hz), 3.75 (4H, d, J=12.0Hz), 3.95 (4H, s), 6.76 (4H, d, J=8.8Hz), 7.08 (4H, d, J=8.8Hz), 7.24 (2H, ddd, J=1.2, 7.6, 7.6Hz), 7.31 (2H, ddd, J=1.2, 7.6, 7.6Hz), 7.35 (2H, dd, J=1.2, 7.6Hz), 7.79 (2H, dd, J=1.2, 7.6Hz).
1H-NMR(DMSO-d6): δppm = 0.79 (6H, t, J=7.6Hz), 1.32 (4H, q, 7.6Hz), 3.25 (8H, d, 5.1Hz), 3.67 (4H, s), 4.36 (4H, t, J=5.1Hz), 6.78 (4H, d, J=9.2Hz), 6.98 (4H, d, J=9.2Hz), 7.28 (2H, ddd, J=1.6, 8.0, 8.0Hz), 7.34-7.38 (4H, m), 7.89 (2H, dd, J=1.6, 8.0Hz).
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) : (ppm): 0.83 (6H , t , J = 7.8 Hz ), 1.48 (4H , q , J = 7.6Hz), 3.89ppm (4H , s ), 4.30 (4H , d , J = ,10.4 Hz ), 4.34 (4H , d , J = 10.4 Hz, ), 6.84 (4H , d , J = 9.2Hz ), 7.01 (4H , d , J = 8.8Hz ), 7.29 (2Hv, ddd, J = 1.2 , 8.0 , 8.0 Hz ), 7.35 - 7.39 (4H, m), 7.90 (2Hv, dd, J = 0.8 , 8.0 Hz)
MS(LC/MS):〔2M+NH4〕 m/z=1286.9、〔M+NH4〕 m/z=652.8
FT-IR(ATR):2972-2871cm-1 (CH2)、 1751cm-1 (C=O)、 1173cm-1 (C-O)
<重合例1:CEL2021Pとの共重合体の作製>
合成した構造式5で表される化合物 1質量部と、CEL2021P(ダイセル化学社製、官能基当量128~145eq/g、ここでは計算時に128eq/gを採用)99質量部とを混合し、140℃で1h加熱することで溶液を作製した。得られた溶液を室温まで冷却し、光カチオン重合開始剤PI2074(ローディア社製、ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)を2質量部投入し、溶解するまで撹拌した。得られた溶液は、125μmのPETフィルムをスペーサーとして使用し、離型処理をしたガラスで挟んだ。1,500mJ/cm2の照射量のメタルハライドランプでUV硬化を行った後、130℃、1時間で加熱することにより共重合体のフィルムを作製した。
作製したフィルムについて、密度測定により体積変化率を求め、動的粘弾性率測定装置におけるtanδの最大値よりガラス転移温度を測定した。
<重合例2:CEL2021Pとの共重合体の作製>
合成した構造式5で表される化合物 3質量部と、CEL2021P(ダイセル化学社製、官能基当量128~145eq/g、ここでは計算時に128eq/gを採用)97質量部とを混合し、140℃で1h加熱することで溶液を作製した。得られた溶液を室温まで冷却し、光カチオン重合開始剤PI2074(ローディア社製)を2質量部投入し、溶解するまで撹拌した。それ以外は、重合例1と同様にして、共重合体のフィルムを作製した。
作製したフィルムについて、密度測定により体積変化率を求め、動的粘弾性率測定装置におけるtanδの最大値よりガラス転移温度を測定した。
<重合例3:CEL2021Pとの共重合体の作製>
合成した構造式5で表される化合物 5質量部と、CEL2021P(ダイセル化学社製、官能基当量128~145eq/g、ここでは計算時に128eq/gを採用)95質量部とを混合し、140℃で1h加熱することで溶液を作製した。得られた溶液を室温まで冷却し、光カチオン重合開始剤PI2074(ローディア社製)を2質量部投入し、溶解するまで撹拌した。それ以外は、重合例1と同様にして、共重合体のフィルムを作製した。
作製したフィルムについて、密度測定により体積変化率を求め、動的粘弾性率測定装置におけるtanδの最大値よりガラス転移温度を測定した。
<CEL2021P重合体の作製>
CEL2021P(ダイセル化学社製)100質量部に、光カチオン重合開始剤PI2074(ローディア社製)を2質量部投入し、溶解するまで撹拌した。それ以外は、重合例1と同様にして、共重合体のフィルムを作製した。
作製したフィルムについて、密度測定により体積変化率を求め、動的粘弾性率測定装置におけるtanδの最大値よりガラス転移温度を測定した。
TMC(トリメチレンカーボネート、東京化成工業株式会社製)、CEL2000P(ダイセル化学社製)、OXT-211(東亜合成社製)、及びYL-980(三菱化学社製)を、表2の割合で混合し溶液を作製した。光カチオン重合開始剤PI2074(ローディア社製)を0.2質量部投入し、溶解するまで撹拌した。得られた溶液は、125μmのPETフィルムをスペーサーとして使用し、離型処理をしたガラスで挟んだ。1,500mJ/cm2の照射量のメタルハライドランプでUV硬化を行った後、130℃、1時間で加熱することにより共重合体のフィルムを作製した。
作製したフィルムについて、密度測定により体積変化率を求め、動的粘弾性率測定装置におけるtanδの最大値よりガラス転移温度を測定した。
<比較用硬化物の作製>
実施例4において、合成した構造式5で表される化合物の代わりにBis-A型エポキシ樹脂YL-980(三菱化学社製)、または、ビスフェニルフルオレン骨格を含有したエポキシ樹脂OGSOL EG-200(大阪ガス化学社製)を表3に示す割合で用い、光カチオン重合開始剤PI2074(ローディア社製)を2質量部用いて、室温で撹拌し溶解させた。それ以外は、実施例4と同様にして、共重合体のフィルムを作製した。
作製したフィルムについて、密度測定により体積変化率を求め、動的粘弾性率測定装置におけるtanδの最大値よりガラス転移温度を測定した。
比較例1及び実施例2~4において作製したサンプルの体積変化率、及びガラス転移温度Tgを測定した結果を表4に示す。
硬化前後の密度から算出した体積変化率を比較した結果、基準となる比較例1のCEL2021Pでは-5.09%の体積変化率であったが、CEL2021Pの一部を合成品(構造式5で表される化合物)に置き換えて共重合を行った実施例2~4では、-4.98%~-4.69%の体積変化率となり、硬化による体積変化は小さくなり、ベースモノマーのCEL2021Pより低硬化収縮性を示した。また、相変化を伴わない体積変化を算出した結果、+3.5%の膨張を示した(図1)。
耐熱性については、DMAのtanδのピークより求めた。基準となる比較例1のCEL2021PのホモポリマーのTgは192℃である。対してCEL2021Pの一部を合成品(構造式5で表される化合物)に置き換えて共重合を行った実施例2~4では、186℃~187℃であった。CEL2021Pと同等であり高い耐熱性を維持している。本合成品(構造式5で表される化合物)は、低硬化収縮性を持ち、さらに高耐熱性を示す新規化合物であることを確認した。
比較例2~6の結果を表5に示す。単官能TMCの重合結果では、体積変化率は-0.97%でありわずかに収縮を示す(図2)。また、TMCの増加に伴い、ガラス転温度が減少していくため、耐熱性は不利である。
比較例7~10の結果を表6に示す。一般的なBis-A型エポキシ樹脂であるYL-980、及びビスフェニルフルオレンを含有した2官能エポキシでは、5質量部添加でそれぞれ、-5.37%、-5.55%となり、10質量部添加で、-5.56%、-5.43%となり硬化時の収縮は大きい(図3、4)。
実施例2と同様の方法でそれぞれの100%の体積変化率を算出すると、-7.25%、-6.38%となり硬化収縮を示す。
比較例7~10のガラス転移温度については、それぞれ、194℃、192℃、188℃、184℃であり、高耐熱性を示す。
g
Claims (10)
- 下記一般式(1)で表されることを特徴とするフルオレン誘導体。
- 下記一般式(Z31)で表される請求項1に記載のフルオレン誘導体。
- 下記一般式(X3)で表される化合物と、下記一般式(Y21)で表される化合物とを反応させ、下記一般式(Z11)で表されるフルオレン誘導体を得る第1工程と、
前記一般式(Z11)で表されるフルオレン誘導体を、下記一般式(Z21)で表されるフルオレン誘導体に転化する第2工程と、
前記一般式(Z21)で表されるフルオレン誘導体を、下記一般式(Z31)で表されるフルオレン誘導体に転化し、前記一般式(Z31)で表されるフルオレン誘導体を得る第3工程と、
を含むことを特徴とするフルオレン誘導体の製造方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載のフルオレン誘導体を含有することを特徴とする樹脂組成物。
- 更に、エポキシ化合物を含有する請求項5に記載の樹脂組成物。
- 前記フルオレン誘導体と、前記エポキシ化合物との質量比率(フルオレン誘導体:エポキシ化合物)が、0.1:99.9~15:85である請求項6に記載の樹脂組成物。
- 前記フルオレン誘導体と、前記エポキシ化合物との質量比率(フルオレン誘導体:エポキシ化合物)が、1:99~5:95である請求項6から7のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 硬化前後の体積変化率が、-5.00%以下である請求項5から8のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項5から9のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物を有することを特徴とする物品。
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