JP2022088277A - スピロ化合物、重合体、組成物、硬化物、成形体及び硬化物の製造方法 - Google Patents

スピロ化合物、重合体、組成物、硬化物、成形体及び硬化物の製造方法 Download PDF

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Tomoyasu Kawahara
憲司 原
Kenji Hara
進 熊谷
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直美 佐藤
Naomi Sato
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Abstract

【課題】低溶融粘度、高屈折率、及び高ガラス転移温度を有し、優れた光学材料となりうる重合体及び該重合体を与える化合物を提供する。【解決手段】式(I)で表される骨格を有するスピロ化合物をモノマーとして、重合体を得る。TIFF2022088277000042.tif54158【選択図】なし

Description

本発明は、スピロ化合物及びその重合体、これらを含む組成物及びその硬化物、当該組成物を用いた硬化物の製造方法、並びに前記重合体の成形体に関するものである。
カメラ、フィルム一体型カメラ、ビデオカメラ等の各種カメラの光学系に使用される光学素子の材料として、光学ガラスあるいは光学用透明樹脂が使用されている。光学ガラスは、耐熱性や透明性、寸法安定性、耐薬品性等に優れており、様々な屈折率(nD)やアッベ数(νD)を有する多種類の材料が存在している。しかし、光学ガラスは、材料コストが高い上、成形加工性が悪く、生産性が低いという問題点を有している。とりわけ、収差補正に使用される非球面レンズに加工するには、極めて高度な技術と高いコストがかかるため実用上大きな障害となっている。
一方、光学用透明樹脂、中でも熱可塑性透明樹脂からなる光学レンズは、射出成形により大量生産が可能で、しかも非球面レンズの製造も容易であるという利点を有しており、現在カメラ用レンズ用途として使用されている。光学用透明樹脂としては、ポリスチレン、ポリ-4-メチルペンテン、ポリメチルメタクリレートなどが例示される。
しかしながら、光学用透明樹脂を光学レンズとして用いる場合、屈折率やアッベ数以外にも、耐熱性が求められるため、樹脂の特性バランスによって使用箇所が限定されてしまうという弱点がある。例えば、ポリスチレン、ポリ-4-メチルペンテン、ポリメチルメタクリレートは何れも耐熱性が低い等の弱点を有するため使用箇所が限られてしまい好ましくない。
一方、一般に光学材料の屈折率が高いと、同一の屈折率を有するレンズエレメントをより曲率の小さい面で実現できるため、発生する収差量を小さくできる。高屈折率化は、レンズの枚数の低減、レンズの偏心感度の低減、レンズ厚の低減によるレンズ系の小型軽量化を可能にするため有用である。
特許文献1においてはフルオレン骨格を有するポリカーボネート樹脂及びポリエステル樹脂が、光学材料用途に好適な樹脂として提案されている。
特開2017-171827号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたようなフルオレン骨格のジオキシ単位を有する樹脂は、溶融粘度が高く、成形性に劣る。
本発明が解決しようとする課題は、低溶融粘度、高屈折率、及び高ガラス転移温度を有し、優れた光学材料となりうる重合体及び当該重合体を与える化合物を提供することである。
本発明者は、鋭意検討を行い、特定の構造を有するスピロ化合物を用いることで上記課題を解決できることを知見した。
すなわち、本発明は以下の各項に関するものである。
[1] 下記式(I)で表される骨格を有するスピロ化合物。
Figure 2022088277000001
[2]下記式(II)で表される骨格を有する請求項1に記載のスピロ化合物。
Figure 2022088277000002
[3]反応性基を有する[1]又は[2]に記載のスピロ化合物。
[4] 下記式(V)で表される[1]~[3]の何れかに記載のスピロ化合物。
Figure 2022088277000003
(式中、環A1及び環A2は、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環から選ばれる少なくとも一種であり、R51及びR53はそれぞれ独立して水酸基又は-OR101OHで表される基であり、
101は炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基における両端以外のメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基であり、式中に複数のR101が存在する場合、同一であっても異なっていてもよく、
p及びqは0以上の整数であってそれぞれ環A1及び環A2において取りうる数であり、
52及びR54は、それぞれ独立に、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、p又はqが2以上の場合、複数存在するR52同士、複数存在するR54同士はそれぞれ同一であっても異なってもよく、
<群A>は、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NR25-、-NR25CO-、及び-S-であり、
25は、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基を表し、
11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
11とR12、R12とR13及びR13とR14は、それぞれ結合し環を形成する場合がある。)
[5] 式(V)で表される化合物が、下記式(VI)で表される化合物である、[4]に記載の化合物。
Figure 2022088277000004
(式中、R’~R10’は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
但し、R’及びR’のいずれか一方は水酸基又は-OR101OHで表される基であり、且つ、R’及びR’のいずれか一方は水酸基又は-OR101OHで表される基であり、
101は炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基における両端以外のメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基であり、式中に複数のR101が存在する場合、同一であっても異なっていてもよく、
11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
11とR12、R12とR13及びR13とR14は、それぞれ結合し環を形成する場合がある。)
[6] 式(V)で表される化合物が、下記式(VII)で表される化合物である、[4]に記載の化合物。
Figure 2022088277000005
(式中、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
但し、R31、R32及びR44のいずれか一つは水酸基又は-OR101OHで表される基であり、且つ、R38、R37及びR39のいずれか一つは水酸基又は-OR101OHで表される基であり、
101は炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基における両端以外のメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基であり、式中に複数のR101が存在する場合、同一であっても異なっていてもよく、
11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
11とR12、R12とR13及びR13とR14は、それぞれ結合し環を形成する場合がある。)
[7][3]~[6]の何れかに記載のスピロ化合物をモノマーとする重合体。
[8][1]~[6]のいずれか1項に記載のスピロ化合物を含有するか、又は、[7]に記載の重合体を含有する組成物。
[9]重合開始剤を含有する[8]に記載の組成物。
[10][9]に記載の組成物より得られる硬化物。
[11][7]に記載の重合体を有する成形体。
[12][9]に記載の組成物を加熱する工程、又は当該組成物に光を照射する工程を有する、硬化物の製造方法。
本発明によれば、高屈折率、高ガラス転移温度、及び低溶融粘度を有する重合体を提供できるとともに当該重合体を与えるモノマーであるスピロ化合物を提供できる。本発明の化合物を用いれば、優れた高屈折率と耐熱性を有し、小型軽量化を図れる光学レンズを良好な成形性により得ることができる。
以下、本発明について、その好ましい実施形態について詳細に説明する。
1.スピロ化合物
本発明のスピロ化合物は式(I)で表される骨格を有する。
Figure 2022088277000006
本発明のスピロ化合物は式(I)で表される骨格を有する化合物の中でも、下記式(II)で表される骨格を有することが高屈折率かつ高アッベ数を示すことから好ましい。
Figure 2022088277000007
本発明のスピロ化合物は、反応性基を有することが、高屈折率、高アッベ数が必要となる硬化物を得ることができる重合体又は重合性組成物を与える誘導体として有用であるため好ましい。
上記反応性基としては、反応して共有結合を形成できるものであれば制限がないが、例えば、水酸基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、ビニル基、イソシアネート基、メルカプト基、アミノ基(-NH2、第1級アミノ基、第2級アミノ基)、カルボキシル基、酸無水物基などが挙げられ、耐熱性が高い硬化物が得られること、様々な誘導体に応用できることから水酸基が特に好ましい。
特に本発明のスピロ化合物は、下記式(III)で表されるスピロ化合物であることが高屈折率かつ高アッベ数を示すことから好ましく、とりわけ下記式(IV)で表されるスピロ化合物であることが、製造容易性の点で好ましい。
Figure 2022088277000008
(式中、R~R10は、それぞれ独立に、水素原子、反応性基、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
11~R24は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
<群A>は、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NR25-、-NR25CO-、及び-S-であり、
25は、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基を表し、
とR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12、R12とR13及びR13とR14は、それぞれ結合し環を形成する場合がある。)
11~R24で表される基が反応性基を有さない化合物は、保存安定性に優れることから好ましい。
Figure 2022088277000009
(式中、R~R14は、式IIIと同じである。)
~R25で表される炭素原子数1~20の炭化水素基としては、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~20のアルケニル基、炭素原子数6~20のアリール基及び炭素原子数7~20のアリールアルキル基等であることが好ましい。炭素原子数1~20のアルキル基は、炭素原子数1~20の鎖状アルキル基のほか、炭素原子数3~20のシクロアルキル基、炭素原子数4~20のシクロアルキルアルキル基を含む。これらの炭化水素基の中でも、光学材料として用いる場合、原料の入手容易性及び化合物の製造容易性の点から炭素原子数1~10の鎖状アルキル基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数3~10のシクロアルキル基、炭素原子数4~10のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基及び炭素原子数7~10のアリールアルキル基等であることがより好ましい。
上記炭素原子数1~20の鎖状アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、t-オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル及びイコシル等が挙げられる。
上記炭素原子数2~20のアルケニル基としては、例えば、ビニル、2-プロペニル、3-ブテニル、2-ブテニル、4-ペンテニル、3-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、4-ヘプテニル、3-オクテニル、3-ノネニル、4-デセニル、3-ウンデセニル、4-ドデセニル、3-シクロヘキセニル、2,5-シクロヘキサジエニル-1-メチル、及び4,8,12-テトラデカトリエニルアリル等が挙げられる。
上記炭素原子数3~20のシクロアルキル基とは、3~20の炭素原子を有する、飽和単環式又は飽和多環式アルキル基を意味する。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカハイドロナフチル、オクタヒドロペンタレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル及びテトラデカヒドロアントラセニル等が挙げられる。これらのシクロアルキル基の水素原子の1つ又は2以上は、炭素原子数が20以下となる範囲で、アルキル基、アルケニル基で置換されていてもよい。
上記炭素原子数4~20のシクロアルキルアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、シクロアルキル基で置換された4~20の炭素原子を有する基を意味する。例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、シクロノニルメチル、シクロデシルメチル、2-シクロブチルエチル、2-シクロペンチルエチル、2-シクロヘキシルエチル、2-シクロヘプチルエチル、2-シクロオクチルエチル、2-シクロノニルエチル、2-シクロデシルエチル、3-シクロブチルプロピル、3-シクロペンチルプロピル、3-シクロヘキシルプロピル、3-シクロヘプチルプロピル、3-シクロオクチルプロピル、3-シクロノニルプロピル、3-シクロデシルプロピル、4-シクロブチルブチル、4-シクロペンチルブチル、4-シクロヘキシルブチル、4-シクロヘプチルブチル、4-シクロオクチルブチル、4-シクロノニルブチル、4-シクロデシルブチル、3-3-アダマンチルプロピル及びデカハイドロナフチルプロピル等が挙げられる。
上記炭素原子数6~20のアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナントレニル等や、上記アルキル基、上記アルケニル基やシクロアルキル基等で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル等、例えば、4-メチルフェニル、4-ビニルフェニル、4-メチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル等が挙げられる。
上記炭素原子数7~20のアリールアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、アリール基で置換された7~20の炭素原子を有する基を意味する。例えば、ベンジル、α-メチルベンジル、α、α-ジメチルベンジル、フェニルエチル及びナフチルプロピル等が挙げられる。上記炭素原子数7~10のアリールアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、アリール基で置換された7~10の炭素原子を有する基を意味する。例えば、ベンジル、α-メチルベンジル、α、α-ジメチルベンジル及びフェニルエチル等が挙げられる。
上記R~R24で表される、炭素原子数1~20の炭化水素基におけるメチレン基が<群A>より選ばれる基により置換された基としては、上記R~R24で表される1価の炭化水素基として挙げた各種の基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が<群A>から選ばれる基で置換された基が挙げられる。なお、本明細書では、炭化水素基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が<群A>より選ばれる基により置換されている基において、<群A>から選ばれる基は互いに隣り合わないものとする。同様に、後述する炭化水素基中のメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基において、-O-同士は隣り合わず、-S-同士は隣り合わず、-O-及び-S-も互いに隣り合わないものとする。
~R24で表される炭素原子数1~20の炭化水素基又は炭素原子数1~20の炭化水素基中のメチレン基が上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基中の水素原子の1つ又は2つ以上は、ハロゲン原子、反応性基、第3級アミノ基、ニトロ基、シアノ基、又は炭素原子数2~19の複素環含有基(以下、これらを単に「置換基」と記載する場合がある。)で置換される場合がある。このような置換基を有する場合、R~R24で表される炭化水素基やそのメチレン基の1つ又は2つ以上が上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基の炭素原子数の規定は、上記置換基の炭素原子数を含めた数とする。このことは、R52、R54、R’~R10’及びR31~R44で表される置換された炭化水素基又は当該炭化水素基中のメチレン基が<群A>より選ばれる基により置換された基についても同様である。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
置換基としてのR~R24で表される炭素原子数2~19の複素環含有基としては、ピロリル、ピリジル、ピリジルエチル、ピリミジル、ピリダジル、ピペラジル、ピペリジル、ピラニル、ピラニルエチル、ピラゾリル、トリアジニル、トリアジニルメチル、ピロリジル、キノリル、イソキノリル、キノキサリル、キナゾリル、シンノリル、フタラジル、プリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾトリアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、2-ピロリジノン-1-イル、2-ピペリドン-1-イル、2,4-ジオキシイミダゾリジン-3-イル及び2,4-ジオキシオキサゾリジン-3-イルや、イソシアヌル、1、3-ジオキソラニル等の複素環基や、これらの複素環基が上記の炭化水素基又は炭化水素基中のメチレン基が<群A>で置換された基と結合した基が挙げられる。複素環基が炭化水素基又は炭化水素基中のメチレン基が<群A>で置換された基において、結合手は複素環上に存在してもよく、上記の炭化水素基又は炭化水素基中のメチレン基が<群A>で置換された基に存在してもよい。
置換基としてのアミノ基並びに上記R~R10で表されるアミノ基としては、-NH、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基が挙げられる。
置換基としての酸無水物基並びに上記R~R10で表される酸無水物基としては、例えば、カルボン酸無水物基、スルホン酸無水物基、燐酸無水物基等が挙げられる。
本発明のスピロ化合物は反応性基を2つ以上有することが反応性の点から好ましく、互いに同一な2つ以上の反応性基を有することが重合性の点で好ましい。
例えばスピロ化合物が2つ以上の反応性基を有する場合、そのうち2つの反応性基の置換位置は、反応性基が水酸基であった場合にスピロ化合物を2つのヒドロキシフェニル基又は2つのヒドロキシナフチル基を有する化合物とする位置であることが、当該スピロ化合物が安定性に優れ、重合性が高いので好ましい。更に安定性及び重合性を高めるために、2つの反応性基が2つのヒドロキシフェニル基を有する位置にある場合、2つのヒドロキシフェニル基は互いのベンゼン環同士が最短で1つの炭素原子で連結されていることが好ましく、同様に、2つのヒドロキシナフチル基は互いのナフタレン環同士が最短で1つの炭素原子で連結されていることが好ましい。ここで最短で1つの炭素原子で連結されているとは、環同士を最短経路で結んだ場合に両者の間に介在する炭素原子が1つという意味であり、連結基自体の炭素原子数を規定するものではない。2つのヒドロキシフェニル基が最短で1つの炭素原子で連結されている例としては例えばビスフェノールAが挙げられる。
とR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R11とR12、R12とR13及びR13とR14が、それぞれ結合し形成する環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピロリジン環、ピロール環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、テトラヒドロピリジン環、ラクトン環及びラクタム環等の5~7員環並びにナフタレン環及びアントラセン環等の縮合環等が挙げられる。これらの環中の水素原子は、上記置換基に置換されていてもよく、置換若しくは無置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基が<群A>より選ばれる基で置換される基により置換されていてもよい。
また、R~Rのいずれかが反応性基を有し、R~R10のいずれかが反応性基を有するか、又はR~Rが結合するベンゼン環が縮合環の一部を構成し、R~R10が結合するベンゼン環が別の縮合環の一部を構成し、それら縮合環がそれぞれ反応性基を有することが重合性の点で好ましい。そのような縮合環としては、ナフタレン環、アントラセン環が好ましい。
スピロ化合物が2つ以上の反応性基を有する場合、そのうち2つの反応性基がR~R及びR~R10がそれぞれ結合したベンゼン環又は当該ベンゼン環が一部を構成する縮合環に、直接結合していることは、重合性の点で好ましい。
また2つの反応性基が、前記のベンゼン環又は前記の縮合環に、炭素原子数1~20の炭化水素基又は当該炭化水素基中のメチレン基が上記<群A>に置換された基を介して結合していることは、安定性に優れ、様々な誘導体を得やすいことから好ましい。
更に、RとRおよびRとRがそれぞれ結合し、ベンゼン環を形成する構造を有するスピロ化合物は、屈折率が高いことから好ましい。
また、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10が、いずれも環を形成していない化合物は、低溶融粘度である点で好ましい。
高屈折率、低溶融粘度、安定性に優れ、様々な誘導体を得やすい点から、本発明のスピロ化合物としては、特に下記式(V)で表される化合物が好ましく、更に好ましくは、下記式(VI)又は(VII)で表される化合物である。式(VI)で表される化合物は、特に安定性に優れ、様々な誘導体を得やすいことから好ましい。(VII)で表される化合物は屈折率が高いことから好ましい。
Figure 2022088277000010
(式中、環A1及び環A2は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環から選ばれる少なくとも一種であり、R51及びR53はそれぞれ独立して水酸基又は-OR101OHで表される基であり、
101は炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基における両端以外のメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基であり、式中に複数のR101が存在する場合、同一であっても異なっていてもよく、
p及びqは0以上の整数であってそれぞれ環A1及び環A2において取りうる数であり、
52及びR54は、それぞれ独立に、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、p又はqが2以上の場合、複数存在するR52同士、複数存在するR54同士はそれぞれ同一であっても異なってもよく、
<群A>は、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NR25-、-NR25CO-、及び-S-であり、
25は、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基を表し、
11~R24は式(III)と同義である。)
いうまでもないが、環A1上及び環A2上の結合手のうち、R51、R52、R53、R54及び他の環(R23及びR24が結合するスピロ環)に結合する結合手以外の結合手には、水素原子が結合している。
Figure 2022088277000011
(式中、R’~R10’は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
但し、R’及びR’のいずれか一方は水酸基又は-OR101OHで表される基であり、且つ、R’ 及びR’のいずれか一方は水酸基又は-OR101OHで表される基であり、
101は炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基における両端以外のメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基であり、式中に複数のR101が存在する場合、同一であっても異なっていてもよく、
11~R24は式(III)と同義である。)
Figure 2022088277000012
(式中、R31~R44は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
但し、R31、R32及びR44のいずれか一つは水酸基又は-OR101OHで表される基であり、且つ、R38、R37及びR39のいずれか一つは水酸基又は-OR101OHで表される基であり、
101は炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基における両端以外のメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基であり、式中に複数のR101が存在する場合、同一であっても異なっていてもよく、
11~R24は式(III)と同義である。)
52、R54、R’~R10’及びR31~R44で表される置換若しくは非置換の炭化水素基又は当該炭化水素基中のメチレン基が<群A>より選ばれる基により置換された基としては、上記Rで表される置換若しくは非置換の炭化水素基又は炭化水素基中のメチレン基が<群A>より選ばれる基により置換された基の例として上記で挙げたものが挙げられる。
上記R101で表される炭素原子数1~20の炭化水素基としては、上記Rで表される1価の炭化水素基として挙げた各種の基に対応する2価の炭化水素基を挙げることができる。上記R101で表される炭化水素基中の両端以外のメチレン基が-O-又は-S-で置換された基としては、上記Rで表される1価の炭化水素基として挙げた各種の基に対応する2価の基中の酸素原子と結合する両端以外のメチレン基の1つ又は2つ以上が酸素原子又は硫黄原子が隣り合わない条件で、-O-又は-S-で置換された基が挙げられる。「両端以外のメチレン基」という記載とは、R101で表される2価、つまり2つの結合手を有する基において、結合手を有するメチレン基以外のメチレン基を指す。R101の炭素原子数としては、高屈折率の点から7以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、3以下であることが特に好ましい。またR101としては、安定性、高屈折の点から、アルキレン基又はアルキレン基におけるメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。R101で表されるアルキレン基の例としては、メチレン、エチレン(エタン-1,2-ジイル)、プロピレン(プロパン-1,3-ジイル)、プロパン-1,1-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、ブタン-1,1-ジイル、ブタン-1,2-ジイル、ブタン-1,3-ジイル、ペンタン-1,1-ジイル、ペンタン-1,2-ジイル、ペンタン-1,3-ジイル、ペンタン-1,4-ジイル等が挙げられる。
式(V)において、環A1及び環A2は互いに同一であってもよく異なってもよい。同様に、R51及びR53は互いに同一であってもよく異なってもよい。R52及びR54は互いに同一であっても異なってもよい。またp及びqは互いに同一であってもよく異なっていてもよい。
式(III)~(VII)において、R11、R13、およびR14は、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは非置換の炭素原子数1~5のアルキル基又は該アルキル基中のメチレン基が群<A>で置換された基であることが好ましく、水素原子又は置換若しくは非置換の炭素原子数1~3のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。このようなスピロ化合物は、安定性に優れ、様々な誘導体を得やすいためである。
また、式(III)~(VII)において、R12が水素原子、置換若しくは非置換の炭素原子数6~20のアリール基又は置換若しくは非置換の炭素原子数1~5のアルキル基であるか、或いは、R11とR12又はR12及びR13が結合してベンゼン環、ナフタレン環を形成していることが好ましく、R12が水素原子又は置換若しくは非置換の炭素原子数6~12のアリール基であることが特に好ましい。このようなスピロ化合物は、安定性に優れ、高屈折率を得やすいためである。
式(V)においてR52及びR54で表される基としては、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素原子数6~20のアリール基又は、置換若しくは非置換の炭素原子数1~5のアルキルであることが好ましく、置換若しくは非置換の炭素原子数6~12のアリール基であることがより好ましい。当該化合物は安定性に優れ、高屈折率だからである。p及びqとしては、それぞれ独立に、0以上3以下が好ましく、0以上2以下がより好ましく、0以上1以下が特に好ましい。当該化合物は安定性に優れ、高屈折率だからである。p及びqの上限は、環A1、環A2がベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環の場合、それぞれ4、6、8である。
式(VI)においてR’、R’、R’ 、R’、R’及びR10’並びにR’、R’、R’及びR’うち水酸基又は-OR101OH以外の基としては、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは非置換の炭素原子数6~20のアリール基又は、置換若しくは非置換の炭素原子数1~5のアルキルであることが好ましく、水素原子又は置換若しくは非置換の炭素原子数6~12のアリール基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。当該化合物は安定性に優れ、高屈折率だからである。
式(VII)においてR33~R36及びR40~R43並びにR31、R32及びR44及びR37~R39のうち水酸基又は-OR101OH以外の基としては、それぞれ独立して、水素原子又は置換若しくは非置換の炭素原子数6~20のアリール基又は、置換若しくは非置換の炭素原子数1~5のアルキルであることが好ましく、水素原子又は置換若しくは非置換の炭素原子数6~12のアリール基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。当該化合物は安定性に優れ、高屈折率だからである。
式(III)、(V)~(VII)において、R15、R16、R21~R24は水素原子であることが化合物の製造容易性や高屈折率の点で好ましい。またR17~R20は水素原子又は置換若しくは非置換の炭素原子数1~5のアルキル基又はアルキル基中のメチレン基が<群A>で置換された基であることが好ましく、特に水素原子であることが化合物原料の入手容易性の点で好ましい。
本発明のスピロ化合物としては、下記化合物No.A1~A57並びに後述する化合物No.1~4が挙げられる。なお、式中のRとしては、水素原子又は-R101OHであってR101が置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基が挙げられる。R101としては、安定性、高屈折の点から、アルキレン基又はアルキレン基におけるメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。R101で表されるアルキレン基の例としては、メチレン、エチレン(エタン-1,2-ジイル)、プロピレン(プロパン-1,3-ジイル)、プロパン-1,1-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、ブタン-1,1-ジイル、ブタン-1,2-ジイル、ブタン-1,3-ジイル、ペンタン-1,1-ジイル、ペンタン-1,2-ジイル、ペンタン-1,3-ジイル、ペンタン-1,4-ジイル等が挙げられる。
Figure 2022088277000013
Figure 2022088277000014
Figure 2022088277000015
Figure 2022088277000016
Figure 2022088277000017
Figure 2022088277000018
Figure 2022088277000019
Figure 2022088277000020
Figure 2022088277000021
Figure 2022088277000022
Figure 2022088277000023
本発明のスピロ化合物における、例えば式(V)においてR51及びR53が水酸基である化合物としては、下記式(VIII)に示される骨格を有する中間体に、フェノール類を、オキシ塩化リンなどの酸触媒、及び3-メルカプトプロピオン酸などのチオール類(又は助触媒)の存在下で反応させる方法により得ることができる。フェノール類としては、フェノール、o-クレゾール、2,6-ジメチルフェノール、ビフェニル-2-オール、2-ナフトール、1-ナフトールなどが挙げられる。また、式(V)においてR51及びR53が-OR101OHで表される基である化合物の製造方法としては、式(V)においてR51及びR53が水酸基である化合物に対し、公知の方法でヒドロキシアルキル基を付加させればよい。下記式(VIII)に示される骨格を有する中間体は、下記式(IX)に示される骨格を有する中間体に、ベンゼン又はその誘導体をトリフルオロメタンスルホン酸等の酸触媒存在下で反応させればよい。下記式(IX)に示される骨格を有する中間体は例えばフルオレノン又はその誘導体から公知の方法で製造できる。
Figure 2022088277000024
2.重合体
スピロ化合物をモノマーとする重合体とは、式(I)又は式(II)で表される骨格を繰り返し単位の中に有する重合体であり、高屈折率、高アッベ数が必要となる硬化物を得ることができることから、特にレンズ形成用材料として有用である。
上記重合体としては、重量平均分子量5,000~100,000の範囲内が好ましく、10,000~60,000の範囲内である場合がより好ましく、20,000~60,000が特に好ましい。上記平均分子量の重合体は、成形性に優れるからである。重量平均分子量は後述する実施例に記載の方法にて測定できる。
重合体の種類としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられ、成形性に優れることからポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、特にポリカーボネート樹脂が好ましい。
本発明の重合体はポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂である場合、例えば、下記式(1)で表される構成単位を有する重合体から形成される。高屈折率、透明性、耐熱性の点から、式(1)で表される構成単位を有する重合体は、n=0でありMが直接結合である場合、ポリカーボネート樹脂であり、n=1でありMが2価の連結基である場合、ポリエステル樹脂である。
Figure 2022088277000025
(式中、Mは、下記式(a)で表される基を表し、
は、直接結合又は2価の連結基を表し、
は、直接結合又は-R101O-を表し、
は、直接結合又は-OR101-を表し、
101は、炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基における両端以外のメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基を表し、
重合体の構造中に、複数存在するR101、X、X、M及びMは、それぞれ、同一である場合があり、又は異なる場合があり、
nは、0又は1を表す。)
Figure 2022088277000026
(式中、環A1、環A2、R52、R54、p、q、R11~R24は式(V)と同義である。*は結合手を表す。)
上記式(1)中のMで表される2価の連結基としては、ジカルボン酸残基又はジカルボン酸誘導体残基が好ましく挙げられる。
ジカルボン酸残基又はジカルボン酸誘導体残基としては、ジカルボン酸残基、ジカルボン酸クロリド(「ジカルボン酸ジクロリド」ともいう。)残基、ジカルボン酸無水物残基が挙げられる。
ジカルボン酸残基はジカルボン酸から2つのCOOH基を除いた構造の残基を指し、ジカルボン酸クロリド残基はジカルボン酸クロリドから2つのCOCl基を除いた構造の残基を指す。Mで表される2価の連結基の炭素原子数は1以上60以下であることが重合体の製造容易性や安定性の点で好ましく、2以上40以下であることが更に好ましく、2以上32以下であることが特に好ましい。
式(1)中のX及びXが、直接結合である重合体は、屈折率及びガラス転移温度が高く、安定性に優れることから好ましい。
式(1)中のX及びXが、それぞれ-R101O-及び-OR101-である重合体は、重合性に優れることから好ましい。
なお、スピロ化合物について上記で述べた各種構成についての好ましい内容は、上記式(1)で表される重合体においても該当する。
式(1)で表される構成単位の質量が、重合体に対して10~100質量%である重合体は、屈折率、耐熱性に優れることから好ましく、20~100質量%がより好ましく、30~100質量%が特に好ましく、40~100質量%がとりわけ好ましく、60~100質量%が最も好ましい。
上記重合体は、耐熱性に優れることが好ましく、具体的には、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。重合体の製造容易性等の点からガラス転移温度は250℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度は後述する実施例に記載の方法にて測定できる。
上記重合体は、成形性に優れることから、300℃の溶融粘度が1,000Pa・s未満であることが好ましく、800Pa・s未満であることがより好ましい。溶融粘度は後述する実施例に記載の方法にて測定できる。
式(1)においてn=0でありMが直接結合である重合体はジオール成分と炭酸ジエステルを塩基性化合物触媒又はエステル交換触媒若しくはその双方からなる混合触媒の存在下で反応させる、公知の溶融重縮合法により製造できる(以下、「ポリカーボネート樹脂である重合体の製造方法」と記載する。)。
また、式(1)においてn=1でありMが2価の連結基である重合体は、原料のジオール成分と、ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体とを反応させることにより製造することができる(以下、「ポリエステル樹脂である重合体の製造方法」と記載する)。
ここで、ジオール成分、炭酸ジエステル、ジカルボン酸及びジカルボン酸誘導体は1種のみを用いることもできるし、2種以上を用いることもできる。
まず、ポリカーボネート樹脂である重合体の製造方法について説明する。上記ジオール成分として上記式(V)に記載の化合物が挙げられる。上記ジオール成分の好ましい例としては、上記式(V)で表されるスピロ化合物の好ましいものとして上記で挙げたものが挙げられ、上記記載の化合物No.A1~A56、下記記載の化合物No.1~4が挙げられる。
上記炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも特に重合性に優れる点でジフェニルカーボネートが好ましい。炭酸ジエステルは、ジオール成分1モルに対して0.97~1.20モルの比率で用いられることが好ましく、更に好ましくは0.98~1.10モルの比率である。炭酸ジエステルは1種のみを用いることもできるし、2種以上を用いることもできる。
上記塩基性化合物触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及び含窒素化合物等があげられる。
上記アルカリ金属化合物としては、例えばアルカリ金属の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物又はアルコキシド等が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が用いられる。
上記アルカリ土類金属化合物としては、例えばアルカリ土類金属の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物又はアルコキシド等が挙げられる。具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が用いられる。
上記含窒素化合物としては、例えば4級アンモニウムヒドロキシド及びそれらの塩、アミン類等が挙げられる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン類、プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン類、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、あるいは、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が用いられる。
エステル交換触媒としては、亜鉛、スズ、ジルコニウム、鉛の塩が好ましく用いられ、これらは単独若しくは組み合わせて用いることができる。
エステル交換触媒としては、例えば、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド、酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)等が挙げられる。
これらの触媒は、ジオール成分の合計1モルに対して、10-9~10-2モルの比率で、好ましくは10-7~10-3モルの比率で用いられる。
溶融重縮合法は、前記の原料及び触媒を用いて、常圧又は減圧下で加熱し、副生成物を除去しながらエステル交換反応により溶融重縮合を行うものである。反応は、一般には二段以上の多段行程で実施される。
具体的には、常圧又は減圧下、第一段目の反応を120~260℃、好ましくは180~240℃の温度で0.1~5時間、好ましくは0.5~3時間行う。次いで反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めてジオール成分と炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には1mmHg以下の減圧下、200~350℃の温度で0.05~2時間重縮合反応を行う。このような反応は、連続式で行っても良くまたバッチ式で行ってもよい。上記の反応を行うに際して用いられる反応装置は、錨型攪拌翼、マックスブレンド攪拌翼、ヘリカルリボン型攪拌翼等を装備した縦型であっても、パドル翼、格子翼、メガネ翼等を装備した横型であってもスクリューを装備した押出機型であってもよく、また、これらを重合物の粘度を勘案して適宜組み合わせた反応装置を使用して好適に実施される。
次いで、ポリエステル樹脂である重合体の製造方法について更に詳細に説明する。
ジオール成分及びその好ましいものとしては、ポリカーボネート樹脂である重合体の製造方法で説明したものと同様のものが挙げられる。ジカルボン酸及びジカルボン酸誘導体としては上述したものが挙げられる。
ジジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体は、ジオール成分1モルに対して0.97~1.20モルの比率で用いられることが好ましく、更に好ましくは0.98~1.10モルの比率である。
3.成形体
次に本発明の成形体について説明する。
本発明の成形体は、上記で説明した本発明の重合体を含有していればよく、特に限定されないが、成形性が高く、高透明性、高屈折率であり、薄膜を形成できることから光学材料、特に光学レンズに好ましく使用できる。
上記成形体は、異物含有量が極力少ないことが望まれるため、上記重合体を製造する際には、溶融原料の濾過、触媒液の濾過が好適に実施される。濾過に用いるフィルターのメッシュは5μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以下である。更に、得られた上記重合体のポリマーフィルターによる濾過が好適に実施される。ポリマーフィルターのメッシュは100μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下である。また、上記重合体のペレットを採取する工程は当然低ダスト環境でなければならず、クラス1000以下であることが好ましく、より好ましくはクラス100以下である。
本発明の成形体は、本発明の重合体を射出成形機あるいは射出圧縮成形機により所望の形状に射出成形することによって得ることができる。射出成形の成形条件は特に限定されないが、成形温度は好ましくは140~280℃である。また、射出圧力は好ましくは50~1700kg/cmである。
成形体への異物の混入を極力避けるため、成形環境も当然低ダスト環境でなければならず、クラス1000以下であることが好ましく、より好ましくはクラス100以下である。
このようにして得られる本発明の成形体は、JIS-K-7142の方法で測定した屈折率が1.50以上であり、好ましくは、1.55~1.8、特に好ましくは1.63~1.75である。このような高屈折率の成形体を用いることで小型軽量な光学レンズが得られる好適である。
上記成形体からなる光学レンズの表面には、必要に応じ、反射防止層あるいはハードコート層といったコート層が設けられていても良い。反射防止層は、単層であっても多層であっても良く、有機物であっても無機物であっても構わないが、無機物であることが好ましい。具体的には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム等の酸化物あるいはフッ化物が例示される。これらのうちでより好ましいものは酸化ケイ素、酸化ジルコニウムであり、更に好ましいものは酸化ケイ素と酸化ジルコニウムの組み合わせである。
また、反射防止層に関しては、単層/多層の組み合わせ、またそれらの成分、厚みの組み合わせ等について特に限定はされないが、好ましくは2層構成又は3層構成、特に好ましくは3層構成である。また、該反射防止層全体として、光学レンズの厚みの0.00017~3.3%、具体的には0.05~3μm、特に好ましくは1~2μmとなるような厚みで形成するのがよい。
4.組成物
本発明の組成物は、上記の本発明のスピロ化合物又は本発明の重合体を含有する。本発明の組成物は、本発明のスピロ化合物又は本発明の重合体に加えて任意の成分を含有していてもよい。例えば本発明のスピロ化合物又は本発明の重合体を用いて硬化物を製造する際には、本発明の組成物はラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物、アニオン重合性化合物等の硬化性成分を含有することができる。硬化性成分としては、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物、アニオン重合性化合物等を有していてもよい。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能な反応性基を有する。ラジカル重合可能な反応性基としては、例えば、アクリル基、メタアクリル基、ビニル基等のエチレン性不飽和二重結合基を挙げることができる。
カチオン重合性化合物は、カチオン重合可能な反応性基を有する。カチオン重合可能な反応性基としては、例えば、エポキシ基及びオキセタン基等の環状エーテル基並びにビニルエーテル基等を挙げることができる。
アニオン重合性化合物としては、アニオン重合可能な反応性基を有する。上記アニオン重合可能な反応性基としては、例えば、エポキシ基、ラクトン基、アクリル基、メタアクリル基等を挙げることができる。
本発明の組成物は、本発明のスピロ化合物又は本発明の重合体において上記の各種反応性基を有させてもよいし、本発明のスピロ化合物又は本発明の重合体以外の化合物に上記各種の反応性基を有させてもよい。
本発明の組成物は、本発明の組成物が含む硬化性成分における反応性基に合わせた重合開始剤を含有することができる。例えば重合開始剤としては光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤、熱カチオン重合開始剤、熱アニオン重合開始剤等が挙げられる。重合開始剤の量としては、硬化性成分を重合させるために適した量が挙げられる。
なお、硬化性成分及び各種重合開始剤の具体例としては、再表2019/069961号公報に記載のものが挙げられる。
5.硬化物及びその製造方法
本発明の組成物は加熱又は光(エネルギー線)照射によって硬化させ、硬化物を製造することができる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何らの制限を受けるものではない。
[実施例1] 化合物No.1の合成
<ステップ1>中間体1Aの合成
1Lの4つ口フラスコに窒素をフローし、60質量%流動パラフィン分散NaH 10.21g(0.255mol)、テトラヒドロフラン(THF)111.11gを加え、攪拌を開始した。そこにホスホノ酢酸トリエチル57.23g(0.255mol)を滴下した。滴下終了後、1時間室温で攪拌した。次に、THF111.11gに溶解させたフルオレノン40.00g(0.222mol)を滴下した後、60℃で2時間加熱攪拌した。氷冷後、イオン交換水111.11g、酢酸エチル166.27gを加え、油水分離を行った。有機層をイオン交換水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧溶媒留去を行った。残渣にイソプロピルエーテル(IPE) 54.62gを加え攪拌することで結晶が析出したため、結晶をろ取、乾燥した。目的物である中間体1Aを29.16g、収率52.5%で得た。HPLC純度(254nm):98.95%、H NMR(CDCl):1.39ppm(t,3H)、4.34ppm(q,2H)、6.75ppm(s,1H)、7.30ppm(m,4H)、7.63ppm(m,3H)、8.89ppm(d,1H)。
Figure 2022088277000027
<ステップ2>中間体1Bの合成
500mLの4つ口フラスコに窒素をフローし、中間体1A 28.00g(0.112mol)、エタノール112.00gを加え攪拌を開始した。そこに、50質量%NaOH水溶液 11.63g(0.145mol)を滴下した後、70℃で1時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、イオン交換水100.00g、ヘキサン100.00gを加え油水分離した。水層に5質量%HCl 114.01g(0.157mol)を滴下することで結晶が析出したため、結晶をろ取、乾燥した。目的物である中間体1Bを21.64g、収率87.1%で得た。HPLC純度(230nm)99.49%、H NMR(DMSO):6.99ppm(s,1H)、7.33ppm(q,2H)、7.45ppm(q,2H)、7.84ppm(q,2H)、7.93ppm(d,1H)、8.67ppm(d,1H)、13.00ppm(s,1H)。
Figure 2022088277000028
<ステップ3>中間体1Cの合成
300mLの4つ口フラスコに窒素をフローし、中間体1B 20.00g(0.09mol)トリフルオロメタンスルホン酸135.06g(0.90mol)、ベンゼン140.59g(1.80mol)を加え、60℃で1時間加熱攪拌した。氷冷し、水60.00g、塩化メチレン 60.00gを加え、油水分離した。有機層を10質量%食塩水で4回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧溶媒留去を行った。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:クロロホルム)で単離した。目的物である中間体1Cを7.19g、収率28.3%で得た。HPLC純度(230nm)99.9%、H NMR(DMSO):3.23ppm(s,2H)、6.56ppm(m,1H)、7.15ppm(d,2H)、7.27ppm(t,2H)、7.42ppm(t,2H)、7.50ppm(m,2H)、7.82ppm(m,1H)、7.97ppm(d,2H)。
Figure 2022088277000029
<ステップ4>化合物 No.1の合成
300mLの4つ口フラスコに窒素をフローし、中間体1C 7.10g(0.025mol)、フェノール23.67g(0.251mol)、3-メルカプトプロピオン酸0.64g(0.006mol)、オキシ塩化リン1.93g(0.013mol)を加え、65℃で13時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、イオン交換水22.76g、酢酸エチル34.14gを加え、油水分離した。有機層を5質量%NaOH水溶液で中和、イオン交換水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧溶媒留去を行った。残渣にクロロホルム100gを加え分散洗浄することで結晶が析出したためろ取、乾燥した。目的物である化合物 No.1の白色固体を6.95g、収率61.1%で得た。HPLC純度(230nm)97.5%、融点225℃、H NMR(DMSO):3.44ppm(s,2H)、6.26ppm(d,1H)、6.68ppm(d,4H)、6.76ppm(d,2H)、7.06ppm(m,8H)、7.31ppm(m,3H)、7.85ppm(d,2H)、9.38ppm(s,2H)。
Figure 2022088277000030
[実施例2] 化合物No.2の合成
100mLの4つ口フラスコに窒素をフローし、化合物 No.1 6.00g(0.013mol)、炭酸エチレン 2.57g(0.029mol)、炭酸カリウム 0.05g(3.98×10-4mol)、ジメチルアセトアミド 21.50gを加え、120℃で5時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、イオン交換水20.00g、酢酸エチル20.00gを加え、油水分離した。有機層をイオン交換水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧溶媒留去を行った。残渣のヘプタン 50.00gを加え、攪拌することで結晶が析出したため、ろ取、乾燥した。目的物である化合物 No.2の白色固体を6.52g、収率90.9%で得た。HPLC純度(230nm)99.5%、融点147℃、H NMR(DMSO):3.69ppm(t,4H)、4.33ppm(t,4H)、4.90ppm(s,2H)、6.26ppm(d,1H)、6.68ppm(d,4H)、6.76ppm(d,2H)、7.06ppm(m,8H)、7.31ppm(m,3H)、7.85ppm(d,2H)。
Figure 2022088277000031
[実施例3] 化合物No.3の合成
300mLの4つ口フラスコに窒素をフローし、中間体1C 5.00g(0.018mol)、1-ナフトール25.53g(0.177mol)、3-メルカプトプロピオン酸0.45g(0.004mol)、オキシ塩化リン1.36g(0.009mol)を加え、65℃で16時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、イオン交換水30.00g、酢酸エチル35.00gを加え、油水分離した。有機層を5質量%NaOH水溶液で中和、イオン交換水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧溶媒留去を行った。残渣にクロロホルム100gを加え分散洗浄することで結晶が析出したためろ取、乾燥した。目的物である化合物 No.3の白色固体を8.19g、収率83.2%で得た。HPLC純度(230nm)99.1%、融点243℃、H NMR(DMSO):3.44ppm(s,2H)、7.01ppm(m,3H)、7.12ppm(m,2H)、7.30ppm(m,9H)、7.51ppm(m,4H)、7.67ppm(d,2H)、7.78ppm(d,2H)、7.90ppm(d,2H)、9.39ppm(s,2H)。
Figure 2022088277000032
[実施例4] 化合物No.4の合成
<ステップ1>中間体4Aの合成
300mLの4つ口フラスコに窒素をフローし、中間体1B 20.00g(0.09mol)、トリフルオロメタンスルホン酸135.06g(0.90mol)、ビフェニル13.88g(0.09mol)、クロロホルム64.51gを加え、60℃で1時間加熱攪拌した。氷冷し、水60.00g、塩化メチレン 40.00gを加え、油水分離した。有機層を10質量%食塩水で4回水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧溶媒留去を行った。残渣にメチルtert-ブチルエーテル(MTBE) 100gを加え攪拌することで結晶が析出したため、ろ取、乾燥した。目的物である中間体4Aを14.30g、収率44.3%で得た。HPLC純度(254nm)98.1%、H NMR(DMSO):3.29ppm(s,2H)、6.63ppm(d,1H)、7.21ppm(d,2H)、7.29ppm(t,2H)、7.50ppm(m,5H)、7.70ppm(d,2H)、7.78ppm(d,1H)、8.00ppm(m,3H)。
Figure 2022088277000033
<ステップ2>化合物 No.4の合成
100mLの4つ口フラスコに窒素をフローし、中間体4A 10g(0.028mol)、フェノール26.26g(0.279mol)、3-メルカプトプロピオン酸0.71g(0.007mol)、オキシ塩化リン4.28g(0.028mol)を加え65℃で15時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、イオン交換水20.00g、酢酸エチル20.00gを加え、油水分離した。有機層を5質量%NaOH水溶液で中和、イオン交換水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧溶媒留去を行った。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:クロロホルム)で単離した。目的物である化合物 No.4を8.34g、収率56.5%で得た。HPLC純度(254nm)99.5%、融点258℃(TG-DTA)、H NMR(DMSO):3.50ppm(s,2H)、6.36ppm(d,1H)、6.74ppm(d,2H)、6.79ppm(d,4H)、7.07~7.17ppm(m,7H)、7.32ppm(m,4H)、7.42ppm(t,2H)、7.54ppm(d,2H)、7.87ppm(d,2H)、9.40ppm(s,2H)。
Figure 2022088277000034
[実施例5]ポリカーボネート化合物No.5の製造 (重合体No.1)
化合物No.1の1.00mol、ジフェニルカーボネートの1.05mol、及び炭酸水素ナトリウムの1.00×10-6molを撹拌機、及び留出機付きの1L反応器に入れ、窒素雰囲気760torrの下、攪拌しながら180℃に加熱した。
その後、15分かけて減圧度を200torr、温度を200℃に調整し、同条件で20分間保持し、エステル交換反応を行った。さらに30℃/hrの速度で240℃まで昇温し、240℃150torrで10分間保持した。その後、10分かけて120torrに調整し、240℃、120torrで70分間保持した。その後、10分かけて100torrに調整し、240℃、100torrで10分間保持した。更に40分かけて1torr以下とし、240℃1torr以下の条件下で10分間重合反応を行った。反応終了後、反応器に窒素を吹き込んで常圧に戻し、化合物No.5(重合体No.1)を得た。
[実施例6]ポリカーボネート化合物No.6の製造 (重合体No.2)
実施例5において、用いた化合物No.1を化合物No.2に変えた以外は同様の操作を行い、化合物No.6(重合体No.2)を得た。
[実施例7]ポリカーボネート化合物No.7の製造 (重合体No.3)
実施例5において、化合物No.1を化合物No.3に変えた以外は同様の操作を行い、化合物No.7(重合体No.3)を得た。
[実施例8]ポリカーボネート化合物No.8の製造 (重合体No.4)
実施例5において、化合物No.1を化合物No.4に変えた以外は同様の操作を行い、化合物No.8(重合体No.4)を得た。
[比較例1]比較ポリカーボネート化合物No.1の製造
実施例5において、化合物No.1をビスフェノールAに変えた以外は同様の操作を行い、比較化合物No.1を得た。
[比較例2]比較ポリカーボネート化合物No.2の製造
実施例5において、化合物No.1を9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン[FL-BP]に変えた以外は同様の操作を行い、比較化合物No.2を得た。
Figure 2022088277000035
(評価例)
<ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)>
GPC(日本分光社製、ChromNAV、カラム:KF-805、804、803連結)を用い、テトラヒドロフランを展開溶媒として、既知の分子量(分子量分布=1)の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。この検量線に基づいて、GPCのリテンションタイムから算出した。
<ガラス転移温度(Tg)>
示差熱走査熱量分析計(DSC:日立社製、型番:DSC7000X)を用いて測定し、得られたDSC曲線のベースラインと変曲点での接線との交点の温度をTgとした。
<屈折率>
得られた化合物を3mm厚×8mm×8mmの直方体に成形温度180℃、射出圧力500kg/cmでプレス成形し、ATAGO社屈折率計により、JIS-K-7142の方法で測定した。
<溶融粘度>
東洋精機製作所社製の細管流動式レオメーターを用いて、下記の操作を行い、溶融粘度を測定した。
得られた化合物を300℃に加熱して溶融させた後、射出速度を0.01~150mm/sに設定し、長さ(L)と径(D)の比(L/D)が40/2、20/1、10/0.5、15/1、10/1、5/1の6種類の溶融粘度測定用のキャピラリを用いて測定した。
上記評価において溶融粘度が800Pa・s未満のものを○、800Pa・s以上1000Pa・s未満のものを△、1,000Pa・s以上のものを×とした。
Figure 2022088277000036
本発明の化合物は表1に示すように、高品質な光学材料を提供できることから有用である。具体的には、耐熱性が高く(高Tg)、低膜厚(高屈折率)で成形性に優れる(低溶融粘度)光学材料を提供できる。これに対し、比較化合物No.1は屈折率が十分ではなく、比較化合物No.2は溶融粘度が高いことが判る。

Claims (12)

  1. 下記式(I)で表される骨格を有するスピロ化合物。
    Figure 2022088277000037
  2. 下記式(II)で表される骨格を有する請求項1に記載のスピロ化合物。
    Figure 2022088277000038
  3. 反応性基を有する請求項1又は2に記載のスピロ化合物。
  4. 下記式(V)で表される請求項1~3の何れか1項に記載のスピロ化合物。
    Figure 2022088277000039
    (式中、環A1及び環A2は、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環から選ばれる少なくとも一種であり、R51及びR53はそれぞれ独立して水酸基又は-OR101OHで表される基であり、
    101は炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基における両端以外のメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基であり、式中に複数のR101が存在する場合、同一であっても異なっていてもよく、
    p及びqは0以上の整数であってそれぞれ環A1及び環A2において取りうる数であり、
    52及びR54は、それぞれ独立に、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、p又はqが2以上の場合、複数存在するR52同士、複数存在するR54同士はそれぞれ同一であっても異なってもよく、
    <群A>は、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NR25-、-NR25CO-、及び-S-であり、
    25は、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基を表し、
    11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
    11とR12、R12とR13及びR13とR14は、それぞれ結合し環を形成する場合がある。)
  5. 式(V)で表される化合物が、下記式(VI)で表される化合物である、請求項4に記載の化合物。
    Figure 2022088277000040
    (式中、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR10’は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
    但し、R’及びR’のいずれか一方は水酸基又は-OR101OHで表される基であり、且つ、R’及びR’のいずれか一方は水酸基又は-OR101OHで表される基であり、
    101は炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基における両端以外のメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基であり、式中に複数のR101が存在する場合、同一であっても異なっていてもよく、
    11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
    11とR12、R12とR13及びR13とR14は、それぞれ結合し環を形成する場合がある。)
  6. 式(V)で表される化合物が、下記式(VII)で表される化合物である、請求項4に記載の化合物。
    Figure 2022088277000041
    (式中、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
    但し、R31、R32及びR44のいずれか一つは水酸基又は-OR101OHで表される基であり、且つ、R38、R37及びR39のいずれか一つは水酸基又は-OR101OHで表される基であり、
    101は炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基における両端以外のメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基であり、式中に複数のR101が存在する場合、同一であっても異なっていてもよく、
    11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは非置換の炭素原子数1~20の炭化水素基又は該炭化水素基中のメチレン基の1つ若しくは2つ以上が、上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
    11とR12、R12とR13及びR13とR14は、それぞれ結合し環を形成する場合がある。)
  7. 請求項3~6の何れか1項に記載のスピロ化合物をモノマーとする重合体。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載のスピロ化合物を含有するか、又は、請求項7に記載の重合体を含有する組成物。
  9. 重合開始剤を含有する請求項8に記載の組成物。
  10. 請求項9に記載の組成物より得られる硬化物。
  11. 請求項7に記載の重合体を有する成形体。
  12. 請求項9に記載の組成物を加熱する工程、又は当該組成物に光を照射する工程を有する、硬化物の製造方法。

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