JP7465673B2 - 重合体、成形体及び光学材料 - Google Patents

重合体、成形体及び光学材料 Download PDF

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Description

本発明は、特定の構成単位を有する重合体、並びに当該重合体により形成される成形体及び光学レンズに代表される光学材料に関するものである。
カメラ、フィルム一体型カメラ、ビデオカメラ等の各種カメラの光学系に使用される光学素子の材料として、光学ガラスあるいは光学用透明樹脂が使用されている。光学ガラスは、耐熱性や透明性、寸法安定性、耐薬品性等に優れており、様々な屈折率(nD)やアッベ数(νD)を有する多種類の材料が存在している。しかし、光学ガラスは、材料コストが高い上、成形加工性が悪く、生産性が低いという問題点を有している。とりわけ、収差補正に使用される非球面レンズに加工するには、極めて高度な技術と高いコストがかかるため実用上大きな障害となっている。
一方、光学用透明樹脂、中でも熱可塑性透明樹脂からなる光学レンズは、射出成形により大量生産が可能で、しかも非球面レンズの製造も容易であるという利点を有しており、現在カメラ用レンズ用途として使用されている。光学用透明樹脂としては、ポリスチレン、ポリ-4-メチルペンテン、ポリメチルメタクリレートなどが例示される。
しかしながら、光学用透明樹脂を光学レンズとして用いる場合、屈折率やアッベ数以外にも、耐熱性が求められるため、樹脂の特性バランスによって使用箇所が限定されてしまうという弱点がある。例えば、ポリスチレン、ポリ-4-メチルペンテン、ポリメチルメタクリレートは何れも耐熱性が低い等の弱点を有するため使用箇所が限られてしまい好ましくない。
一方、一般に光学材料の屈折率が高いと、同一の屈折率を有するレンズエレメントをより曲率の小さい面で実現できるため、発生する収差量を小さくできる。高屈折率化は、レンズの枚数の低減、レンズの偏心感度の低減、レンズ厚の低減によるレンズ系の小型軽量化を可能にするため有用である。
特許文献1では、高屈折率を有する材料として、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン類に由来するジオキシ単位を含むポリカーボネート樹脂が提案されている。また特許文献2においてもフルオレン骨格を有するポリカーボネート樹脂及びポリエステル樹脂が、光学材料用途に好適な樹脂として提案されている。
特開平06-025398号公報 特開2017-171827号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載されたようなフルオレン骨格のジオキシ単位を有するポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂は、溶融粘度が高く、成形性に劣る。
本発明が解決しようとする課題は、低溶融粘度、高屈折率、及び高ガラス転移温度を有する重合体を提供し、優れた光学材料を提供することである。
本発明者は、鋭意検討を行い、特定の構造を有する重合体を用いることで上記課題を解決できることを知見した。
すなわち、本発明は以下の各項に関するものである。
[1]下記式(I)で表される構成単位を有する重合体。
Figure 0007465673000001
(式中、Mは、下記式(a)で表される基を表し、
で表される基中の水素原子はハロゲン原子で置換される場合があり、
、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基におけるメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基を表し、
は、直接結合又は2価の連結基を表し、
は、直接結合又は-RO-を表し、
は、直接結合又は-OR-を表し、
は、炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基におけるメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基を表し、
重合体の構造中に、複数存在するR、R、R、R、R、R、R、R、R、X、X、M及びMは、それぞれ、同一である場合があり、又は異なる場合があり、
nは、0又は1を表す。)
Figure 0007465673000002
(式中、Cyは炭素原子数3~10のシクロアルキル基を表し、
11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、フェニル基、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数3~10のシクロアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、
前記フェニル基及び前記シクロアルキル基は、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基又はハロゲン原子により置換されている場合があり、
*は結合手を表す。)
[2]上記式(I)においてMが、直接結合であり、nが0であるか、あるいは、上記式(I)においてMが、2価の連結基であり、nが1である、[1]に記載の重合体。
[3]上記式(a)中のR11、R12、R13、R14及びR15のうち一つ以上がフェニル基である[1]又は[2]に記載の重合体。
[4] 式(a)のR13がフェニル基であり、Cyがシクロヘキシル基である、[1]~[3]の何れかに記載の重合体。
[5]上記式(I)においてMが、直接結合であり、nが0である[1]~[4]の何れかに記載の重合体。
[6]上記式(I)においてMが、ジカルボン酸残基、又はジカルボン酸誘導体残基よりなる2価の連結基であり、nが1である[1]~[4]の何れかに記載の重合体。
[7][1]~[6]の何れか一項に記載の重合体を含有する成形体。
[8][7]に記載の成形体からなる光学材料。
本発明によれば、高屈折率、高ガラス転移温度、及び低溶融粘度を有する重合体を提供できる。本発明の重合体を用いれば、優れた高屈折率と耐熱性を有し、小型軽量化を図れる光学レンズを良好な成形性により得ることができる。
以下、本発明について、その好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明は、上記式(I)で表される構成単位を有する重合体から形成される。高屈折率、透明性、耐熱性の点から、式(I)で表される構成単位を有する重合体は、n=0でありMが直接結合であるか、n=1でありMが2価の連結基であることが好ましい。前者の重合体はポリカーボネート樹脂であり、後者の重合体は、ポリエステル樹脂である。本発明の重合体は、式(I)で表される構成単位中、下記式で表されるジオキシ構造を有する。主にこのジオキシ構造に起因して、ポリカーボネート及びポリエステルの何れであっても本発明の重合体が高屈折率、低溶融粘度及び高ガラス転移温度を得られるものと本発明者は考えている。本発明の重合体は、上記特性に加えて、更に高アッベ数、高透明性、低複屈折であることが好ましい。
(式中、M、R、R、R、R、R、R、R、R、X及びXは、式(I)と同じである。)
式(I)中のR~Rで表される炭素原子数1~20の炭化水素基は、特に限定されるものではないが、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~20のアルケニル基、炭素原子数3~20のシクロアルキル基、炭素原子数4~20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基及び炭素原子数7~20のアリールアルキル基等であることが好ましい。これらの中でも、光学材料として用いる場合、高屈折率であることから、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数3~10のシクロアルキル基、炭素原子数4~10のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基及び炭素原子数7~10のアリールアルキル基等であることがより好ましい。
上記炭素原子数1~20のアルキル基としては鎖状のものが挙げられ、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、t-オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル及びイコシル等が挙げられ、上記炭素原子数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、t-オクチル、ノニル、イソノニル、デシル及びイソデシル等が挙げられる。
上記炭素原子数2~20のアルケニル基としては、例えば、ビニル、2-プロペニル、3-ブテニル、2-ブテニル、4-ペンテニル、3-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、4-ヘプテニル、3-オクテニル、3-ノネニル、4-デセニル、3-ウンデセニル、4-ドデセニル、3-シクロヘキセニル、2,5-シクロヘキサジエニル-1-メチル、及び4,8,12-テトラデカトリエニルアリル等が挙げられ、上記炭素原子数2~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル、2-プロペニル、3-ブテニル、2-ブテニル、4-ペンテニル、3-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、4-ヘプテニル、3-オクテニル、3-ノネニル及び4-デセニル等が挙げられる。炭素原子数2~20のアルケニル基は環状であってもよい。
上記炭素原子数3~20のシクロアルキル基とは、3~20の炭素原子を有する、飽和単環式又は飽和多環式アルキル基を意味する。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカハイドロナフチル、オクタヒドロペンタレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル及びテトラデカヒドロアントラセニル等が挙げられ、上記炭素原子数3~10のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカハイドロナフチル、オクタヒドロペンタレン及びビシクロ[1.1.1]ペンタニル等が挙げられる。これらのシクロアルキル基の水素原子の1つ又は2以上は、炭素原子数が20以下となる範囲で、アルキル基、アルケニル基で置換されていてもよい。R~Rにおいて炭素原子数3~20のシクロアルキル基が用いられている場合であって当該シクロアルキル基の環にアルキル基やアルケニル基が結合している場合、それらのアルキル基やアルケニル基の炭素原子数は、シクロアルキル基の炭素原子数に含むものとする(この点は以下で例示する各種シクロアルキルアルキル基、アリール基、アリールアルキル基についても同様である)。
上記炭素原子数4~20のシクロアルキルアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、シクロアルキル基で置換された4~20の炭素原子を有する基を意味する。例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、シクロノニルメチル、シクロデシルメチル、2-シクロブチルエチル、2-シクロペンチルエチル、2-シクロヘキシルエチル、2-シクロヘプチルエチル、2-シクロオクチルエチル、2-シクロノニルエチル、2-シクロデシルエチル、3-シクロブチルプロピル、3-シクロペンチルプロピル、3-シクロヘキシルプロピル、3-シクロヘプチルプロピル、3-シクロオクチルプロピル、3-シクロノニルプロピル、3-シクロデシルプロピル、4-シクロブチルブチル、4-シクロペンチルブチル、4-シクロヘキシルブチル、4-シクロヘプチルブチル、4-シクロオクチルブチル、4-シクロノニルブチル、4-シクロデシルブチル、3-3-アダマンチルプロピル及びデカハイドロナフチルプロピル等が挙げられ、上記炭素原子数4~10のシクロアルキルアルキル基としては、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、シクロノニルメチル、2-シクロブチルエチル、2-シクロペンチルエチル、2-シクロヘキシルエチル、2-シクロヘプチルエチル、2-シクロオクチルエチル、3-シクロブチルプロピル、3-シクロペンチルプロピル、3-シクロヘキシルプロピル、3-シクロヘプチルプロピル、4-シクロブチルブチル、4-シクロペンチルブチル及び4-シクロヘキシルブチル等が挙げられる。
上記炭素原子数6~20のアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナントレニル等や、上記アルキル基、上記アルケニル基やシクロアルキル基、シクロハロゲン原子等で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル等、例えば、4-クロロフェニル、4-カルボキシルフェニル、4-ビニルフェニル、4-メチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル等が挙げられ、上記炭素原子数6~10のアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル及びナフチル等や、上記アルキル基、上記アルケニル基やカルボキシル基、ハロゲン原子等で1つ以上置換されたフェニル、ナフチル等、例えば、4-クロロフェニル、4-カルボキシルフェニル、4-ビニルフェニル、4-メチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル等が挙げられる。
上記炭素原子数7~20のアリールアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、アリール基で置換された7~20の炭素原子を有する基を意味する。例えば、ベンジル、α-メチルベンジル、α、α-ジメチルベンジル、フェニルエチル及びナフチルプロピル等が挙げられる。上記炭素原子数7~10のアリールアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、アリール基で置換された7~10の炭素原子を有する基を意味する。例えば、ベンジル、α-メチルベンジル、α、α-ジメチルベンジル及びフェニルエチル等が挙げられる。
上記式(I)中のR~R8で表される、炭化水素基におけるメチレン基が-O-又は-S-で置換された基としては、上記R~Rで表される1価の炭化水素基として挙げた各種の基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が酸素原子又は硫黄原子が隣り合わない条件で、-O-又は-S-で置換された基が挙げられる。酸素原子又は硫黄原子が隣り合わない条件とは、具体的には、-O-O-、-O-S-、-S-O-、-S-S-を含まないことを指す。
上記式(I)中のRで表される炭素原子数1~20の炭化水素基としては、上記R~Rで表される1価の炭化水素基として挙げた各種の基に対応する2価の炭化水素基を挙げることができる。
上記式(I)中のRで表される炭化水素基中のメチレン基が-O-又は-S-で置換された基としては、上記R~Rで表される1価の炭化水素基として挙げた各種の基に対応する2価の基中のメチレン基の1つ又は2つ以上が酸素原子又は硫黄原子が隣り合わない条件で、-O-又は-S-で置換された基が挙げられる。
式(a)中のR11~R15で表される炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数2~10のアルケニル基としては、R~Rで表される炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~20のアルケニル基の例として上記で挙げた基のうち、所定の炭素原子数を有するものを挙げることができる。
式(a)中のR11~R15で表される炭素原子数1~10のアルコキシ基としては、R~Rで表される炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数3~20のシクロアルキル基、炭素原子数4~20のシクロアルキルアルキル基の例として上記で挙げた基のうち、所定の炭素原子数を有するものの基部に酸素原子が結合した基を挙げることができる。
式(a)中のCy、R11~R15で表される炭素原子数3~10のシクロアルキル基としては、式(I)中のR~Rで表される炭素原子数3~20のシクロアルキル基として挙げたもののうち、炭素原子数を10以下とするものが挙げられる。
式(a)中のCyで表される炭素原子数3~10のシクロアルキル基、並びに式(a)中のR11~R15で表される炭素原子数3~10のシクロアルキル基及びフェニル基は炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基又はハロゲン原子により置換されてもよい。式(a)中のCy、R11~R15で表されるシクロアルキル基中の環にアルキル基又はアルコキシ基が結合している場合、該アルキル基又はアルコキシ基の炭素原子数は、式(a)中のCy、R11~R15で表されるシクロアルキル基の炭素原子数に含めない。
式(a)中のCy、R11~R15で表される炭素原子数3~10のシクロアルキル基、及び式(a)中のR11~R15で表される炭素原子数3~10のシクロアルキル基及びフェニル基を置換してもよい炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基の例としては、R11~R15で表される炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基として上記で挙げたものが挙げられ、炭素原子数が5以下、特に3以下であることが重合体の製造容易性や安定性の点で好ましい。
上記式(I)において用いられる各ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記式(I)中のMで表される2価の連結基としては、ジカルボン酸残基又はジカルボン酸誘導体残基が好ましく挙げられる。
ジカルボン酸残基又はジカルボン酸誘導体残基としては、ジカルボン酸残基、ジカルボン酸クロリド(「ジカルボン酸ジクロリド」ともいう。)残基、ジカルボン酸無水物残基が挙げられる。
ジカルボン酸残基はジカルボン酸から2つのCOOH基を除いた構造の残基を指し、ジカルボン酸クロリド残基はジカルボン酸クロリドから2つのCOCl基を除いた構造の残基を指す。
前記ジカルボン酸及び前記ジカルボン酸クロリドは下記式(II)で表される化合物である。
(式中、Mは、上記式(I)と同様である。R21及びR22は水酸基又は塩素原子である)
上記ジカルボン酸としては、例えば、炭素数4~32のアルカンジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸、グルタル酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸及びオクタデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等);炭素数4~32のアルケンジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸及びメサコン酸等);炭素数8~40の分岐アルケンジカルボン酸[例えば、ダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等)];炭素数12~40の分岐アルカンジカルボン酸[例えば、アルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸及びオクタデシルコハク酸等)];炭素数2~32の酸素原子にメチレン基が置換されたアルカンジカルボン酸(例えばジグリコール酸等);炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸、フルオレン骨格を有するジカルボン酸、フェニルインダン骨格を有するジカルボン酸、オキシビス安息香酸、メチレンビス安息香酸、チオビス安息香酸、エチレンビス安息香酸、プロピレンビス安息香酸等)等が挙げられる。
上記ジカルボン酸クロリドとしては、上記で挙げた各種のジカルボン酸において、2つのカルボキシル基のOH基をCl基に置換したジカルボン酸クロリドが挙げられる。代表的なものとして例えば、コハク酸クロリド、フタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、テレフタル酸クロリド及びナフタレンジカルボン酸クロリド、オキシビス安息香酸クロリド、メチレンビス安息香酸クロリド、チオビス安息香酸クロリド、エチレンビス安息香酸クロリド、プロピレンビス安息香酸クロリドが挙げられる。
ジカルボン酸無水物残基とは、ジカルボン酸無水物から脱水縮合構造である―(C=O)O構造を削除した残基を指す。上記ジカルボン酸無水物は、2つのカルボキシル基を脱水縮合させた酸無水物基を有する化合物を表し、下記式(III)で表される化合物である。
(式中、Mは、上記式(I)と同様である。)
上記ジカルボン酸無水物としては、上述したジカルボン酸の無水物が挙げられる。代表的な上記ジカルボン酸無水物の例としては、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、フェニルコハク酸無水物等が挙げられる。
特にMが芳香族ジカルボン酸やその誘導体の残基である場合、高屈折率に優れることから好ましい。芳香族ジカルボン酸とは、芳香族環を1又は2以上含有するジカルボン酸を意味する。芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられる。
で表される2価の連結基の炭素原子数は1以上60以下であることが重合体の製造容易性や安定性の点で好ましく、2以上40以下であることが更に好ましく、2以上32以下であることが特に好ましい。
上記式(I)で表される構成単位を有する重合体の中でも、上記式(a)中のR11、R12、R13、R14及びR15(R11~R15)のうち1つ以上がフェニル基である重合体は、高屈折率に優れることから好ましい。高屈折率に加えて重合体の合成しやすさ及び安定性に優れることから、R13がフェニル基であるものが好ましい。高屈折率、重合体の合成しやすさ及び安定性の観点から、R13がフェニル基であり、R11、R12、R14及びR15がそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数2~10のアルケニル基又はハロゲン原子であり、且つR11、R12、R14及びR15の1つ以上、好ましくは2つ以上、特に好ましくは3つ以上が水素原子であるものがより好ましく、R13がフェニル基であり、R11、R12、R14及びR15がそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又はハロゲン原子であって且つR11、R12、R14及びR15の1つ以上、好ましくは2つ以上、特に好ましくは3つ以上が水素原子であるものが更に好ましく、R13がフェニル基であり、R11、R12、R14及びR15が水素原子であるものが最も好ましい。
11~R15の何れか1以上がフェニル基である場合、当該フェニル基としては、無置換又は置換基を有するものであるところ、置換基を有する場合は、合成しやすさ、安定性に優れる点で当該置換基が炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、又はハロゲン原子であることが好ましく、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、又はハロゲン原子であることがより好ましく、炭素数1~3のアルキル基であることが最も好ましい。
上記式(a)中のCyが、炭素原子数3~8のシクロアルキル基である重合体は、透明性に優れることから好ましい。特に式(a)中のCyは、重合体が透明性に優れることに加えて、合成しやすさ及び安定性に優れることから、炭素原子数4~7のシクロアルキル基が好ましく、炭素原子数5~7のシクロアルキル基がより好ましく、シクロヘキシル基が最も好ましい。
Cyとしては、無置換又は置換基を有するものであるところ、置換基を有する場合は、合成しやすさ、安定性に優れる点で当該置換基が炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、又はハロゲン原子であることが好ましく、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、又はハロゲン原子であることがより好ましい。
ポリカーボネート樹脂である本発明の重合体、具体的には、上記式(I)においてMが、直接結合であり、nが0である重合体は、高屈折率、透明性、耐熱性,寸法安定性に優れることから好ましい。
ポリエステル樹脂である本発明の重合体、具体的には、上記式(I)においてMが、ジカルボン酸残基、又はジカルボン酸誘導体残基よりなる2価の連結基であり、nが1である重合体は、高屈折率、透明性、溶融粘度に優れることから好ましい。
式(I)中のR~Rがそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~5の炭化水素基又はハロゲン原子である重合体は、安定性に優れることから好ましく、R~Rがそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~3の炭化水素基又はハロゲン原子である重合体が特に好ましい。とりわけ、式(I)中のR~Rが水素原子である重合体は、屈折率が高く、安定性に優れることから好ましい。
式(I)中のX及びXは、いずれも直接結合であるか、あるいは、Xが-RO-であり、Xが-OR-であることが、合成しやすさの点で好ましい。Xが-RO-であり、Xが-OR-である場合に、X及びXにおけるRが同一であるものは、合成しやすさの点で好ましい。
式(I)中のX及びXが、直接結合である重合体は、屈折率及びガラス転移温度が高く、安定性に優れることから好ましい。
式(I)中のXが-RO-であり、Xが-OR-である場合において、Rの炭素原子数としては、高屈折率の点から7以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、3以下であることが特に好ましい。またRとしては、安定性、高屈折の点から、アルキレン基又はアルキレン基におけるメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。
重量平均分子量Mwが、5,000~100,000の範囲内である場合、耐熱性に優れた硬化物が得られることから好ましく、10,000~60,000の範囲内である場合がより好ましく、20,000~60,000が特に好ましい。重量平均分子量Mwはポリスチレン換算であり、後述する実施例の記載の方法にて測定できる。
式(I)で表される構成単位の質量が、重合体に対して10~100質量%である重合体は、屈折率、耐熱性に優れることから好ましく、20~100質量%がより好ましく、30~100質量%が特に好ましく、40~100質量%が最も好ましい。
上記重合体は、耐熱性に優れることが好ましく、具体的には、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。重合体の製造容易性等の点からガラス転移温度は250℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度は後述する実施例に記載の方法にて測定できる。
上記重合体は、成形性に優れることから、溶融粘度が1000Pa・s未満であることが好ましく、800Pa・s未満であることがより好ましい。溶融粘度は後述する実施例に記載の方法にて測定できる。
本発明の重合体は、原料のジオール成分と、炭酸ジエステルあるいはジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体とを反応させることにより製造することができる。具体的には、式(I)においてn=0でありMが直接結合である重合体はジオール成分と炭酸ジエステルを塩基性化合物触媒又はエステル交換触媒若しくはその双方からなる混合触媒の存在下で反応させる、公知の溶融重縮合法により製造できる(以下、「ポリカーボネート樹脂である重合体の製造方法」と記載する。)。
また、式(I)においてn=1でありMが2価の連結基である重合体は、原料のジオール成分と、ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体とを反応させることにより製造することができる(以下、「ポリエステル樹脂である重合体の製造方法」と記載する)。ここで、ジオール成分、炭酸ジエステル、ジカルボン酸及びジカルボン酸誘導体は1種のみを用いることもできるし、2種以上を用いることもできる。
まず、ポリカーボネート樹脂である重合体の製造方法について説明する。上記ジオール成分は下記式(IV)に記載の化合物である。
(式中、M、R、R、R、R、R、R、R、R、X及びXは、式(I)と同じである。)
式(IV)で表されるジオール成分の好ましい例としては、下記に記載の化合物No.A1~A43が挙げられる。
上記炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも特にジフェニルカーボネートが好ましい。炭酸ジエステルは、ジオール成分1モルに対して0.97~1.20モルの比率で用いられることが好ましく、更に好ましくは0.98~1.10モルの比率である。炭酸ジエステルは1種のみを用いることもできるし、2種以上を用いることもできる。
上記塩基性化合物触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及び含窒素化合物等があげられる。
上記アルカリ金属化合物としては、例えばアルカリ金属の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物又はアルコキシド等が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が用いられる。
上記アルカリ土類金属化合物としては、例えばアルカリ土類金属の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物又はアルコキシド等が挙げられる。具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が用いられる。
上記含窒素化合物としては、例えば4級アンモニウムヒドロキシド及びそれらの塩、アミン類等が挙げられる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、基等を有する4級アンモニウムヒドロキシド類、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン類、プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン類、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、あるいは、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基あるいは塩基性塩等が用いられる。
エステル交換触媒としては、亜鉛、スズ、ジルコニウム、鉛の塩が好ましく用いられ、これらは単独若しくは組み合わせて用いることができる。
エステル交換触媒としては、例えば、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド、酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)等が挙げられる。
これらの触媒は、ジオール成分の合計1モルに対して、10-9~10-2モルの比率で、好ましくは10-7~10-3モルの比率で用いられる。
溶融重縮合法は、前記の原料及び触媒を用いて、常圧又は減圧下で加熱し、副生成物を除去しながらエステル交換反応により溶融重縮合を行うものである。反応は、一般には二段以上の多段行程で実施される。
具体的には、常圧又は減圧下、第一段目の反応を120~260℃、好ましくは180~240℃の温度で0.1~5時間、好ましくは0.5~3時間行う。次いで反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めてジオール成分と炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には1mmHg以下の減圧下、200~350℃の温度で0.05~2時間重縮合反応を行う。このような反応は、連続式で行っても良くまたバッチ式で行ってもよい。上記の反応を行うに際して用いられる反応装置は、錨型攪拌翼、マックスブレンド攪拌翼、ヘリカルリボン型攪拌翼等を装備した縦型であっても、パドル翼、格子翼、メガネ翼等を装備した横型であってもスクリューを装備した押出機型であってもよく、また、これらを重合物の粘度を勘案して適宜組み合わせた反応装置を使用して好適に実施される。
次いで、ポリエステル樹脂である重合体の製造方法について更に詳細に説明する。
ジオール成分及びその好ましいものとしては、ポリカーボネート樹脂である重合体の製造方法で説明したものと同様のものが挙げられる。ジカルボン酸及びジカルボン酸誘導体としては上述したものが挙げられる。
ジジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体は、ジオール成分1モルに対して0.97~1.20モルの比率で用いられることが好ましく、更に好ましくは0.98~1.10モルの比率である。
次に本発明の成形体について説明する。
本発明の成形体は、上記式(I)で表される構成単位を有する重合体を含有していればよく、特に限定されないが、成形性が高く、高透明性、高屈折率であり、薄膜を形成できることから光学材料、特に光学レンズに好ましく使用できる。
上記成形体は、異物含有量が極力少ないことが望まれるため、上記重合体を製造する際には、溶融原料の濾過、触媒液の濾過が好適に実施される。濾過に用いるフィルターのメッシュは5μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以下である。更に、得られた上記重合体のポリマーフィルターによる濾過が好適に実施される。ポリマーフィルターのメッシュは100μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下である。また、上記重合体のペレットを採取する工程は当然低ダスト環境でなければならず、クラス1000以下であることが好ましく、より好ましくはクラス100以下である。
本発明の成形体は、上記式(I)で表される構成単位を有する重合体を射出成形機あるいは射出圧縮成形機により所望の形状に射出成形することによって得ることができる。射出成形の成形条件は特に限定されないが、成形温度は好ましくは180~280℃である。また、射出圧力は好ましくは50~1700kg/cmである。
成形体への異物の混入を極力避けるため、成形環境も当然低ダスト環境でなければならず、クラス1000以下であることが好ましく、より好ましくはクラス100以下である。
このようにして得られる本発明の成形体は、JIS-K-7142の方法で測定した屈折率が1.50~1.75、好ましくは1.55~1.70である。このような高屈折率の成形体を用いることで小型軽量な光学レンズが得られる好適である。
上記成形体からなる光学レンズの表面には、必要に応じ、反射防止層あるいはハードコート層といったコート層が設けられていても良い。反射防止層は、単層であっても多層であっても良く、有機物であっても無機物であっても構わないが、無機物であることが好ましい。具体的には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム等の酸化物あるいはフッ化物が例示される。これらのうちでより好ましいものは酸化ケイ素、酸化ジルコニウムであり、更に好ましいものは酸化ケイ素と酸化ジルコニウムの組み合わせである。
また、反射防止層に関しては、単層/多層の組み合わせ、またそれらの成分、厚みの組み合わせ等について特に限定はされないが、好ましくは2層構成又は3層構成、特に好ましくは3層構成である。また、該反射防止層全体として、光学レンズの厚みの0.00017~3.3%、具体的には0.05~3μm、特に好ましくは1~2μmとなるような厚みで形成するのがよい。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何らの制限を受けるものではない。
[実施例1]ポリカーボネート樹脂である重合体No.1の製造
化合物のNo.A1の1.00mol、ジフェニルカーボネートの1.05mol、及び炭酸水素ナトリウムの1.00×10-3molを、撹拌機及び留出機付きの1L反応器に入れ、窒素雰囲気、760Torr下、攪拌しながら1時間かけて215℃に加熱した。
その後、15分かけて減圧度を150Torr(19998.4Pa)に調整し、215℃、150Torrの条件下で20分間保持し、エステル交換反応を行った。更に30℃/hrの速度で240℃まで昇温し、240℃、150Torrで10分間保持した。その後、10分かけて120Torr(15998.7Pa)に調整し、240℃、120Torrで70分間保持した。その後、10分かけて100Torr(13332.2Pa)に調整し、240℃、100Torrで10分間保持した。更に40分かけて1Torr以下とし、240℃、1Torr(133.32Pa)以下の条件下で10分間重合反応を行った。反応終了後、反応器に窒素を吹き込んで常圧に戻した。以上の操作により、式(I)においてnが0、Mが直接結合であるポリカーボネート樹脂である重合体No.1を得た。
[実施例2]ポリカーボネート樹脂である重合体No.2の製造
実施例1の化合物No.A1を化合物No.A2に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、重合体No.2を得た。
[比較例1]ポリカーボネート樹脂である比較重合体No.1の製造
実施例1の化合物No.A1をビスフェノールAに変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、比較重合体No.1を得た。
[比較例2]ポリカーボネート樹脂である比較重合体No.2の製造
実施例1の化合物No.A1を9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンに変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、比較重合体No.2を得た。
[比較例3]ポリカーボネート樹脂である比較重合体No.3の製造
実施例1の化合物No.A1を1,4-ブタンジオールに変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、比較重合体No.3を得た。
[実施例3]ポリエステル樹脂である重合体No.3の製造
化合物のNo.A1の1.00mol、及びトルエンの10.00molを撹拌機、冷却管付きの反応器に入れ、溶解させた。次に、イソフタル酸クロリドの1.00mol、及びテトラブチルアンモニウムの0.001molを加えて溶解させた後、系内を60℃以下に制御しながら、20%水酸化ナトリウム水溶液400gを3時間かけて滴下した。滴下終了後、60℃で1時間攪拌を継続した。反応液を静置して分液し水層を取り除いた。残った有機層に水1000gを加えて約30分間攪拌後、静置して分液し、水層を取り除いた。水層のpHが7になるまで同様の操作を繰り返した後、減圧下で加熱することで溶媒を除去した。以上の操作により、式(I)においてnが1、Mがジカルボン酸誘導体残基であるポリエステル樹脂である重合体No.3を得た。
[実施例4]ポリエステル樹脂である重合体No.4の製造
化合物のNo.A2の1.00mol、及び1,2-ジクロロエタンの10.00molを撹拌機、冷却管付きの反応器に入れ、溶解させた。次に、ピリジンの2.00molを加えて氷冷した。系内を15℃以下に制御しながら、イソフタル酸クロリドの1.00molを1時間かけて滴下した。滴下終了後、30℃で1時間攪拌を継続した。水1000gを加えて約30分間攪拌後、静置して分液し、水層を取り除いた。水層のpHが7になるまで同様の操作を繰り返した後、減圧下で加熱することで溶媒を除去し、重合体No.4を得た。
[比較例4]ポリエステル樹脂である比較重合体No.4の製造
実施例3の化合物No.A1をビスフェノールAに変えた以外は同様の操作を行い、比較重合体No.4を得た。
[比較例5]ポリエステル樹脂である比較重合体No.5の製造
実施例3の化合物No.A1を9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンに変えた以外は同様の操作を行い、比較重合体No.5を得た。
[比較例6]ポリエステル樹脂である比較重合体No.6の製造
実施例4の化合物No.A2を1,4-ブタンジオールに変えた以外は同様の操作を行い、比較重合体No.6を得た。
実施例1~4で得られた重合体No.1~4は目視において透明性に優れるものであった。更に実施例1~4で得られた重合体No.1~4及び比較例1~6で得られた重合体No.1~6について、以下の方法で評価した。
[評価例1~4、比較評価例1~6]
<ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)>
GPC(日立製、型番:ELITE LaChrom L-2000、カラム:KF-805、804、803連結)を用い、クロロホルムを展開溶媒として、既知の分子量(分子量分布=1)の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。この検量線に基づいて、GPCのリテンションタイムから算出した。
<ガラス転移温度(Tg)>
示差熱走査熱量分析計(DSC:日立社製、型番:DSC7000X)を用いて測定し、得られたDSC曲線のベースラインと変曲点での接線との交点の温度をTgとした。
<屈折率>
得られた重合体を3mm厚×8mm×8mmの直方体にプレス成形し、ATAGO社屈折率計により、JIS-K-7142の方法で測定した。
<溶融粘度>
東洋精機製作所社製の細管流動式レオメーターを用いて、下記の操作を行い、溶融粘度を測定した。
得られた重合体を300℃に加熱して溶融させた後、射出速度を0.01~150mm/sに設定し、長さ(L)と径(D)の比(L/D)が40/2、20/1、10/0.5、15/1、10/1、5/1の6種類の溶融粘度測定用のキャピラリを用いて測定した。
上記評価において溶融粘度が800Pa・s未満のものをA、800Pa・s以上1000Pa・s未満のものをB、1000Pa・s以上のものをCとした。
Figure 0007465673000011
Figure 0007465673000012
本発明の重合体は、表1に示す通り、高品質な光学材料を提供できることから有用である。具体的には本発明は、高Tgであることから耐熱性が高く、高屈折率を有することから低膜厚を実現でき、低溶融粘度であることから成形性に優れる光学材料を提供できる。また本発明の光学材料は、透明性に優れるため、様々な光学材料に応用でき、特に眼鏡用レンズとして有用である。

Claims (7)

  1. 下記式(I)で表される構成単位を有するポリカーボネート樹脂又はポリエステル樹脂である重合体であって、
    重量平均分子量Mwが、5,000~100,000の範囲内であり、
    式(I)で表される構成単位の質量が、前記重合体に対して10~100質量%であり、
    ガラス転移温度(Tg)が120℃以上である、重合体。
    (式中、Mは、下記式(a)で表される基を表し、
    で表される基中の水素原子はハロゲン原子で置換される場合があり、
    、R、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基におけるメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基を表し、
    は、直接結合又は2価の連結基を表し、
    は、直接結合又は-RO-を表し、
    は、直接結合又は-OR-を表し、
    は、炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基におけるメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基を表し、
    重合体の構造中に、複数存在するR、R、R、R、R、R、R、R、R、X、X、M及びMは、それぞれ、同一である場合があり、又は異なる場合があり、
    nは、0又は1を表し、下記(1)又は(2)である。
    (1)M が、直接結合であり、nが0である。
    (2)M が、ジカルボン酸残基、又はジカルボン酸誘導体残基よりなる2価の連結基であり、nが1である。)
    (式中、Cyは炭素原子数3~10のシクロアルキル基を表し、
    11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、フェニル基、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数3~10のシクロアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、
    前記フェニル基及び前記シクロアルキル基は、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基又はハロゲン原子により置換されている場合があり、
    *は結合手を表す。)
  2. 上記式(a)中のR11、R12、R13、R14及びR15のうち一つ以上がフェニル基である請求項1記載の重合体。
  3. 式(a)のR13がフェニル基であり、Cyがシクロヘキシル基である、請求項1又は2に記載の重合体。
  4. 上記式(I)においてMが、直接結合であり、nが0である請求項1~の何れか1項に記載の重合体。
  5. 上記式(I)においてMが、ジカルボン酸残基又はジカルボン酸誘導体残基である2価の連結基であり、nが1である請求項1~の何れか1項に記載の重合体。
  6. 請求項1~の何れか一項に記載の重合体を含有する成形体。
  7. 下記式(I)で表される構成単位を有する重合体を含有する成形体からなる光学材料。
    (式中、M は、下記式(a)で表される基を表し、
    で表される基中の水素原子はハロゲン原子で置換される場合があり、
    、R 、R 、R 、R 、R 、R 及びR はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基におけるメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基を表し、
    は、直接結合又は2価の連結基を表し、
    は、直接結合又は-R O-を表し、
    は、直接結合又は-OR -を表し、
    は、炭素原子数1~20の炭化水素基、又は、該炭化水素基におけるメチレン基が-O-若しくは-S-で置換された基を表し、
    重合体の構造中に、複数存在するR 、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 、X 、X 、M 及びM は、それぞれ、同一である場合があり、又は異なる場合があり、
    nは、0又は1を表す。)
    (式中、Cyは炭素原子数3~10のシクロアルキル基を表し、
    11 、R 12 、R 13 、R 14 及びR 15 は、それぞれ独立に、水素原子、フェニル基、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数3~10のシクロアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、
    前記フェニル基及び前記シクロアルキル基は、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基又はハロゲン原子により置換されている場合があり、
    *は結合手を表す。)
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