JP6712633B2 - ポリカーボネート樹脂、成形体、光学部材及びレンズ - Google Patents
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Description
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
R5〜R8はそれぞれ独立に置換基を表す;
a〜dはそれぞれ独立に0以上であり、各環に置換可能な最大数以下の整数を表す;
Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環を含むアリール基又は破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含むヘテロアリール基を表す;
L1及びL2はそれぞれ独立に、炭素数が2〜8のアルキレン基、炭素数が5〜12のシクロアルキレン基、炭素数が6〜20のアリーレン基、又は炭素数が6〜20のヘテロアリーレン基を表す;
X1及びX2はそれぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を表す;
n1及びn2はそれぞれ独立に0〜10の整数を表す;
Ar11及びAr12がそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環を含む芳香族縮合環基である場合は、R5、R6、−X1−[L1−O]n1−及び−X2−[L2−O]n2−はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環に置換していても、破線で囲まれたベンゼン環以外の縮合環に置換していてもよい。
[2] 一般式(1)において、Y1及びY2から選択される少なくとも一方が窒素原子である[1]に記載のポリカーボネート樹脂。
[3] 構成単位は、下記一般式(2)で表される構成単位である[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂;
Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環を含むアリール基又は破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含むヘテロアリール基を表す;
L1及びL2はそれぞれ独立に、炭素数が2〜8のアルキレン基、炭素数が5〜12のシクロアルキレン基、炭素数が6〜20のアリーレン基、又は炭素数が6〜20のヘテロアリーレン基を表す;
X1及びX2はそれぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を表す;
n1及びn2はそれぞれ独立に0〜10の整数を表す;
Ar11及びAr12がそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環を含む芳香族縮合環基である場合は、R5、R6、−X1−[L1−O]n1−及び−X2−[L2−O]n2−はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環に置換していても、破線で囲まれたベンゼン環以外の縮合環に置換していてもよい。
[4] 下記一般式(11)で表される構成単位をさらに含む[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂;
[5] 一般式(11)で表される構成単位中のR11が、下記構造(12)及び下記構造(13)で表される基を含む[4]に記載のポリカーボネート樹脂;
[6] ポリカーボネート樹脂の全構成単位に対して、一般式(1)で表される構成単位と一般式(11)で表される構成単位の総量が90モル%以上であり、一般式(1)で表される構成単位と一般式(11)で表される構成単位のモル比が40:60〜90:10である[4]又は[5]に記載のポリカーボネート樹脂。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の成形体。
[8] [7]に記載の成形体を含む光学部材。
[9] [7]に記載の成形体を含むレンズ。
本発明は、下記一般式(1)で表される構成単位を含むポリカーボネート樹脂に関する。
R5〜R8はそれぞれ独立に置換基を表す。
a〜dはそれぞれ独立に0以上であり、各環に置換可能な最大数以下の整数を表す。
Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環を含むアリール基又は破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含むヘテロアリール基を表す。
L1及びL2はそれぞれ独立に、炭素数が2〜8のアルキレン基、炭素数が5〜12のシクロアルキレン基、炭素数が6〜20のアリーレン基、又は炭素数が6〜20のヘテロアリーレン基を表す。
X1及びX2はそれぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を表す。
n1及びn2はそれぞれ独立に0〜10の整数を表す。
Ar11及びAr12がそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環を含む芳香族縮合環基である場合は、R5、R6、−X1−[L1−O]n1−及び−X2−[L2−O]n2−はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環に置換していても、破線で囲まれたベンゼン環以外の縮合環に置換していてもよい。
aが2〜4の整数である場合、複数のR5は同じであっても異なっていてもよく、複数のR5は互いに結合して環を形成してもよい。
bが2〜4の整数である場合、複数のR6は同じであっても異なっていてもよく、複数のR6は互いに結合して環を形成してもよい。
cが2〜4の整数である場合、複数のR7は同じであっても異なっていてもよく、複数のR7は互いに連結して環を形成してもよい。
dが2以上の整数である場合、複数のR8は同じであっても異なっていてもよく、複数のR8は互いに結合して環を形成してもよい。
さらに、本発明においてはポリカーボネート樹脂から成形体を成形する際、その成形性が良好であり、成形体の光学歪の発生を抑制できる。加えて、本発明のポリカーボネート樹脂は上記構成単位を含む樹脂であるため、溶媒溶解性が高く、かつ流動性にも優れている。
このように、本発明のポリカーボネート樹脂から成形される成形体は優れた光学特性を兼ね備えたものであり、光学部材としての品質が高い。また、樹脂の流動性にも優れているため成形性が良好である。
R5〜R7が表す置換基はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基またはアリール基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基またはフェニル基であることがより好ましく、メチル基又はメトキシ基であることが特に好ましい。
R8はアルキル基、シリル基、アルコキシ基またはアリール基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基、シリル基、炭素数1〜5のアルコキシ基またはフェニル基であることがより好ましく、メチル基、シリル基またはメトキシ基であることがさらに好ましい。また、複数のR8は置換する環と縮合環を形成する基であることがより好ましい。
bが2〜4の整数である場合、複数のR6は同じであっても異なっていてもよい。複数のR6は互いに結合して環を形成してもよいが、複数のR6は互いに結合して環を形成していないことが好ましい。
cが2〜4の整数である場合、複数のR7は同じであっても異なっていてもよい。複数のR7は互いに結合して環を形成してもよいが、複数のR7は互いに結合して環を形成していないことが好ましい。
Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環を含むアリール基又は破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含むヘテロアリール基を表す。
L1及びL2はそれぞれ独立に、炭素数が2〜8のアルキレン基、炭素数が5〜12のシクロアルキレン基、炭素数が6〜20のアリーレン基、又は炭素数が6〜20のヘテロアリーレン基を表す。
X1及びX2はそれぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を表す。
n1及びn2はそれぞれ独立に0〜10の整数を表す。
Ar11及びAr12がそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環を含む芳香族縮合環基である場合は、R5、R6、−X1−[L1−O]n1−及び−X2−[L2−O]n2−はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環に置換していても、破線で囲まれたベンゼン環以外の縮合環に置換していてもよい。
aが2〜4の整数である場合、複数のR5は同じであっても異なっていてもよく、複数のR5は互いに結合して環を形成してもよい。
bが2〜4の整数である場合、複数のR6は同じであっても異なっていてもよく、複数のR6は互いに結合して環を形成してもよい。
cが2〜4の整数である場合、複数のR7は同じであっても異なっていてもよく、複数のR7は互いに連結して環を形成してもよい。
dが2以上の整数である場合、複数のR8は同じであっても異なっていてもよく、複数のR8は互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(2)におけるAr11及びAr12の好ましい範囲は、一般式(1)におけるAr11及びAr12の好ましい範囲と同様である。
一般式(2)におけるL1及びL2の好ましい範囲は、一般式(1)におけるL1及びL2の好ましい範囲と同様である。
一般式(2)におけるX1及びX2の好ましい範囲は、一般式(1)におけるX1及びX2の好ましい範囲と同様である。
一般式(2)におけるa〜cの好ましい範囲は、一般式(1)におけるa〜cの好ましい範囲と同様である。
一般式(2)におけるn1及びn2の好ましい範囲は、一般式(1)におけるn1及びn2の好ましい範囲と同様である。
上述したアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基は置換基を有するものであることが好ましく、上述したアルキレン基とシクロアルキレン基の炭素原子はO原子又はS原子で置換されていてもよい。
なお、R11は−O−C(=O)−O−を含まない基である。
また、ポリカーボネート樹脂が一般式(11)で表される構成単位を含む場合は、ポリカーボネート樹脂の全構成単位に対して、一般式(11)で表される構成単位は60モル%以下含まれていることが好ましく、50モル%以下含まれていることがより好ましく、45モル%以下含まれていることがさらに好ましく、40モル%以下含まれていることが特に好ましい。ポリカーボネート樹脂に含まれる構成単位の割合を上記範囲内とすることにより、成形体のアッベ数をより効果的に低下させることができる。
ここで、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、ポリカーボネート樹脂を塩化メチレン100mlに溶解し、その溶液の20℃における比粘度(ηsp)から下記式を用いて算出するものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c (但し、[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-4 M0.83
c=0.7
本発明のポリカーボネート樹脂は、公知の反応手段を用いて重合することができる。例えば、(a)二価フェノール及び二価フェノールの誘導体から選択される少なくとも1種にホスゲンを反応させる縮合方法や、(b)二価フェノール及び二価フェノールの誘導体から選択される少なくとも1種を炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を用いてエステル交換する方法などが挙げられる。なお、以下では、二価フェノール及び二価フェノールの誘導体から選択される少なくとも1種を単に、二価フェノールということもある。
また、ポリカーボネート樹脂の構成単位として一般式(11)で表される構成単位が含まれる場合は、二価フェノールや二価フェノールの誘導体として、一般式(11)で表される構成単位となり得る化合物や、一般式(11)で表される構成単位となり得るクロロ炭酸化合物を用いることができる。
上述したポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物から成形体を製造することができる。成形体の成形方法としては、加熱加圧成形を挙げることができ、例えば、圧縮成形、射出成形、押出成形、ブロー成形、エンボス成形等を採用することができる。中でも、本発明の成形体を成形する際には、射出成形を採用することが好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物には、帯電防止剤として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、界面活性剤混合物等を添加することが好ましい。帯電防止剤としては、例えば、ステアリン酸モノグリセリドを挙げることができる。帯電防止剤の添加量は、樹脂組成物の全質量に対し、0.01〜0.1質量%であることが好ましい。
本発明は、上述したポリカーボネート樹脂の成形体に関するものでもある。ポリカーボネート樹脂の成形体には、ポリカーボネート樹脂に加えて、酸化防止剤や帯電防止剤、熱安定化剤等の添加剤が含まれていてもよい。なお、成形体が各種添加剤を含む場合は、成形体の全質量に対して、添加剤の含有量が5質量%以下であることが好ましい。
本明細書中、アッベ数(νD)は、アッベ屈折計(カルニュー光学工業株式会社製)を用いて、波長589nm、486nm、656nmにおけるそれぞれの屈折率nD、nF、nCを測定し、下記式により算出される。
νD=(nD−1)/(nF−nC)
ここで、nDは波長589nmにおける屈折率、nFは波長486nmにおける屈折率、nCは波長656nmにおける屈折率を表す。
本明細書中、異常分散性(θgF)は、アッベ屈折計(カルニュー光学工業株式会社製)を用いて、波長589nm、486nm、656nm、435.8nmにおけるそれぞれの屈折率nD、nF、nC、ngを測定し、下記式により算出される。
θgF=(ng−nF)/(nF−nC)
ここで、nDは波長589nmにおける屈折率、nFは波長486nmにおける屈折率、nCは波長656nmにおける屈折率、ngは波長435.8nmでの屈折率を表す。
本発明は、上述した成形体を含む光学部材に関するものでもある。本発明の成形体は、光学特性に優れた成形体であるため、光学部材に好ましく用いられる。本発明の光学部材の種類は、特に制限されないが、成形体の優れた光学特性を利用した光学部材、特に光を透過する光学部材(いわゆるパッシブ光学部材)として好適に利用することができる。このような光学部材を備えた光学機能装置としては、例えば、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP(Overhead projector)、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等が例示される。
本発明の成形体を用いた光学部材は、特にレンズ基材に好ましく用いられる。本発明のポリカーボネート樹脂を用いて製造されたレンズ基材は低アッベ数を有し、好ましくは、高屈折性、光線透過性、軽量性を併せ持ち、光学特性に優れている。
なお、本明細書中において「レンズ基材」とは、レンズ機能を発揮することができる単一部材を意味する。レンズ基材の表面や周囲には、レンズの使用環境や用途に応じて膜や部材を設けることができる。例えば、レンズ基材の表面には、保護膜、反射防止膜、ハードコート膜等を形成することができる。また、ガラスレンズ基材や、プラスチックレンズ基材に積層させた複合レンズにすることができる。さらにレンズ基材の周囲を基材保持枠などに嵌入して固定することもできる。ただし、これらの膜や枠などは、レンズ基材に付加される部材であり、本明細書中でいうレンズ基材そのものとは区別される。
レンズ基材は低アッベ数であることから色収差補正レンズに好ましく用いることができ、色収差補正レンズとしては例えば、携帯やデジタルカメラ等の撮像用レンズやテレビ、ビデオカメラ等の撮映レンズ、さらには車載、内視鏡レンズに使用されることが好ましい。
<A−1の合成>
o−フェニレンジアミン21.6g(0.2mol)及びニンヒドリン35.6g(0.2mol)に対して、エタノール50mL、酢酸10mLを加えて70℃で3時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却したのち、析出した結晶を濾取し、エタノールで洗浄、乾燥することで、化合物(A−1−1)を40.9g(0.18mol)得た。
1H−NMR(300MHz,DMSO−d6):δ2.10ppm(s、12H)、6.70ppm(bs,2H)、6.80ppm(s,4H)、7.55−7.70ppm(m,3H)、7.75−7.90ppm(m,2H)、8.00−8.10ppm(d,1H)、8.12−8.22ppm(m,2H)
攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に25%水酸化ナトリウム水溶液103.05g及びイオン交換水309.15gを仕込み、これに上記化合物(A−1)98.3g(214.4mmol)を溶解させ、少量のハイドロサルファイトを加えた。次にこれにイオン交換水20.64g、48%水酸化ナトリウム水溶液14.17g及び塩化メチレン237.23gを加え、20℃でホスゲン27.63g(279mmol)を約60分かけて吹き込んだ。この溶液に、さらに、p−tert−ブチルフェノール1.13gを塩化メチレン3gに溶解させた溶液及び25%水酸化ナトリウム水溶液17.17gを加えて乳化させ、その後、トリエチルアミン0.12gを加えて30℃で約3時間攪拌して反応を終了させた。反応終了後、塩化メチレンを加えて希釈し水洗した後、有機相分取し、塩化メチレンを蒸発させて構成単位として(a−1)を含むポリカーボネート樹脂(P−1)を得た。
<A−8の合成>
2,6−ジメチルフェノールをフェノールに代えた以外は、化合物(A−1)の合成と同様にして、化合物(A−8)を合成した。1H−NMRデータは下記の通りであった。
1H−NMR(300MHz,DMSO(Dimethyl sulfoxide)−d6):δ6.60−6.70ppm(d,4H)、6.95−7.05ppm(d,4H)、7.55−7.70ppm(m,3H)、7.75−7.90ppm(m,2H)、8.00−8.10ppm(d,1H)、8.12−8.22ppm(m,2H)、9.40ppm(bs,2H)
(A−1)を(A−8)に代えた以外は、実施例1の<a−1の合成>と同様にして、構成単位として(a−8)を含むポリカーボネート樹脂(P−2)を得た。
<A−6の合成>
Journal of Heterocyclic Chemistry,1972,vol.9,p.1399に記載の方法で、化合物(A−6−1)を合成した。
化合物(A−6−1)60.9g(647mmol)と、フェノール30.0g(129mmol)を、トルエン21mLと、メタンスルホン酸12mLに溶解させた。反応溶液を加温し、100℃に保ちつつ、3−メルカプトプロピオン酸0.48mLを滴下した。3時間攪拌後、反応溶液にトルエンを30mLおよび炭酸ジメチル10mL滴下した。反応溶液を室温に戻し、析出した結晶を濾取し、トルエン150mLにて煮沸洗浄を行った。ろ過することで化合物(A−6)を37g(92mmol)得た。化合物(A−6)の1H−NMRデータは下記の通りであった。
1H−NMR(300MHz,DMSO−d6):δ4.00−4.10ppm(m,4H)、4.30−4.40ppm(m,4H)、5.85−5.95ppm(m、1H)、6.15−6.25ppm(m、1H)、6.30−6.40ppm(m、1H)、6.80−6.90ppm(d,4H)、7.00−7.10ppm(d,4H)、7.60−7.80ppm(m,3H)、8.20ppm(d,1H)
(A−1)を(A−6)に代えた以外は、実施例1の<P−1の合成>と同様にして、構成単位として(a−6)を含むポリカーボネート樹脂(P−3)を得た。
<A―2の合成>
化合物(A−1−1)10.0g(43mmol)と、2−フェノキシエタノール30.0g(215mmol)を、トルエン15mlと、メタンスルホン酸12mlに溶解させた。反応溶液を加温し、120℃に保ちつつ、3−メルカプトプロピオン酸0.16mLを滴下した。反応溶液を加温し、150℃にて2時間攪拌後、反応溶液を室温に戻した。二相分離した有機層の上層を除去し、酢酸エチル200mlおよび水を加えて攪拌した。析出した結晶を濾取し、酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒にて再結晶を行った。ろ過することで化合物(A−2)を12g(25mmol)得た。化合物(A−2)の1H−NMRデータは下記の通りであった。
1H−NMR(300MHz,DMSO−d6):δ3.66ppm(tt、4H)、3.92ppm(t,4H)、4.84ppm(t,2H)、6.85ppm(d,4H)、7.11ppm(t,4H)、7.57−7.70ppm(m,3H)、7.76―7.89ppm(m,2H)、8.04−8.10ppm(m,1H)、8.15−8.25ppm(m,2H)
(A−1)を(A−2)に代えた以外は、実施例1の<P−1の合成>と同様にして、構成単位として(a−2)を含むポリカーボネート樹脂(P−4)を得た。
<A―11の合成>
2−フェノキシエタノールを3−メルカプトフェニルプロパノールに代えた以外は、実施例4の<A−2の合成>と同様にして、化合物(A−11)を合成した。
(A−1)を(A−11)に代えた以外は、実施例1の<P−1の合成>と同様にして、構成単位として(a−11)を含むポリカーボネート樹脂(P−5)を得た。
<P―6の合成>
攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を仕込み、これに化合物(A−1)と、化合物(B−7)としてビスフェノールA(BPA)を70対30のモル比で溶解させ、少量のハイドロサルファイトと加えた。次にこれに塩化メチレンを加え、20℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、p−tert−ブチルフェノールを加えて乳化させた後、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応を終了させた。反応終了後、有機相分取し、塩化メチレンを蒸発させて構成単位として(a−1)及び(b―7)を含むポリカーボネート樹脂(共重合体)(P−6)を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。
<P―7の合成>
(B−7)を(B−19)に代えた以外は、実施例6の<P−6の合成>と同様にして、構成単位として(a−1)及び(b−19)を含むポリカーボネート樹脂(共重合体)(P−7)を得た。
<P―8の合成>
(B−7)を(B−17)に代えた以外は、実施例6の<P−6の合成>と同様にして、構成単位として(a−1)及び(b−17)を含むポリカーボネート樹脂(共重合体)(P−8)を得た。
特開2010−254806号公報の実施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂を得た。特開2010−254806号公報の実施例1で用いた9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(BCF(B−18))及びビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド(HMPS(B−16))の構造は下記の通りである。
特開2010−254806号公報の比較例3と同様にして、ポリカーボネート樹脂を得た。特開2010−254806号公報の比較例3で用いたビスフェノールA(BPA(B−7))と9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPFL(B−17))の構造は下記の通りである。
特許第401081号公報の実施例2と同様にして、ポリカーボネート樹脂を得た。
ビスフェノールA(BPA)を用いなかった以外は比較例2と同様にして、ポリカーボネート樹脂を得た。
実施例及び比較例で得たポリカーボネート樹脂を100℃で24時間乾燥した後、トリス(2,4−di−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.0025質量%、ステアリン酸モノグリセリドを0.05質量%となるように添加し、均一に混合した。その後、ベント式単軸押出機を用いてペレット化した後、射出成形機((株)メイホー社製、Micro−1)を用いて射出成形した。射出成形では、シリンダー温度を360℃、金型温度を表2に示す温度として、厚さ1.0mm、幅10mm、長さ20mmの成形体を評価用成形体として成形した。
<屈折率、アッベ数及び異常分散性>
評価用成形体の屈折率、アッベ数(νD)及び異常分散性(θgF)を、アッベ屈折計(カルニュー光学工業株式会社製)を用いて測定した。
νD=(nD−1)/(nF−nC)
θgF=(ng−nF)/(nF−nC)
ここで、nDは波長589nmにおける屈折率、nFは波長486nmにおける屈折率、nCは波長656nmにおける屈折率、ngは波長435.8nmでの屈折率を表す。表2の屈折率の欄には波長589nmにおける屈折率を示した。
なお、異常分散性(θgF)については、下記の基準で評価した。
L:θgF≦0.500
M:0.500<θgF<0.600
H:0.600≦θgF
評価用成形体を2枚の偏光板の間に挟み、直行ニコル法を用いて後ろからの光漏れを目視することで評価した。
A:光漏れがない
B:僅かに光漏れが認められる
C:光漏れが顕著である
一方、比較例のポリカーボネート樹脂から成形された成形体のアッベ数は高く、異常分散性も低下していた。また、比較例のポリカーボネート樹脂から成形された成形体の屈折率は低い傾向であった。
実施例で得たポリカーボネート樹脂を100℃で24時間乾燥した後、トリス(2,4−di−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.0025質量%、ステアリン酸モノグリセリドを0.05質量%となるように添加し、均一に混合した。その後、ベント式単軸押出機を用いてペレット化した後、表面が窒化クロム処理された成形金型に実施例で得られたポリカーボネート樹脂を射出し、樹脂の成形金型と接していない側のすべての表面上を覆うように透明なガラスレンズ(硝材=BK7、直径33mm、中心厚み3mm、樹脂と接する面の曲率半径=44.3mm、樹脂と接しない面の曲率半径=330.9mmである凸レンズ)を被せて、樹脂の直径が30mmとなるように押し広げた。その後、冷却した後、成形体と金型を引き離すことにより、複合レンズを作製した。
Claims (7)
- 下記一般式(2)で表される構成単位を含むポリカーボネート樹脂;
a〜dはそれぞれ独立に0以上であり、各環に置換可能な最大数以下の整数を表す;
但し、dが2以上の整数である場合、複数のR8は同じであっても異なっていてもよく、複数のR8は互いに結合して環を形成してもよい;
Ar11及びAr12はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環を含むアリール基又は破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含むヘテロアリール基を表す;
L1及びL2はそれぞれ独立に、炭素数が2〜8のアルキレン基、炭素数が5〜12のシクロアルキレン基、炭素数が6〜20のアリーレン基、又は炭素数が6〜20のヘテロアリーレン基を表す;
X1及びX2はそれぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を表す;
n1及びn2はそれぞれ独立に0〜10の整数を表す;
Ar11及びAr12がそれぞれ独立に破線で囲まれたベンゼン環を縮合環のひとつとして含む芳香族縮合環基である場合は、R5、R6、−X1−[L1−O]n1−及び−X2−[L2−O]n2−はそれぞれ独立に、破線で囲まれたベンゼン環に置換していても、破線で囲まれたベンゼン環以外の縮合環に置換していてもよい。 - 下記一般式(11)で表される構成単位をさらに含む請求項1に記載のポリカーボネート樹脂;
- 前記一般式(11)で表される構成単位中のR11が、下記構造(12)及び下記構造(13)から選択される少なくとも1種を含む請求項2に記載のポリカーボネート樹脂;
- 前記ポリカーボネート樹脂の全構成単位に対して、一般式(2)で表される構成単位と一般式(11)で表される構成単位の総量が90モル%以上であり、
一般式(2)で表される構成単位と一般式(11)で表される構成単位のモル比が40:60〜90:10である請求項2又は3に記載のポリカーボネート樹脂。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の成形体。
- 請求項5に記載の成形体を含む光学部材。
- 請求項5に記載の成形体を含むレンズ。
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