JP2009249307A - ビス(ヒドロキシフェニル)アントラセン化合物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は耐熱性が高い、高屈折率である、複屈折が小さいという、光学材料の原料として優れた性能を有するビス(ヒドロキシフェニル)アントラセン化合物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
10,10−ビス(4−フェノキシ)アントラセン誘導体と、アクリル酸誘導体を反応して、ビス(4−フェノキシ)アントラセン骨格を有するアクリル酸エステル化合物、例えば、10,10−ビス(4―(2−メタクリロキシエトキシ)フェニル)アントロン、10,10−ビス(4―(2−アクリロキシエトキシ)フェニル)アントロン、10,10−ビス(4―アクリロキシフェニル)アントロンなどを製造する。
【選択図】なし
【解決手段】
10,10−ビス(4−フェノキシ)アントラセン誘導体と、アクリル酸誘導体を反応して、ビス(4−フェノキシ)アントラセン骨格を有するアクリル酸エステル化合物、例えば、10,10−ビス(4―(2−メタクリロキシエトキシ)フェニル)アントロン、10,10−ビス(4―(2−アクリロキシエトキシ)フェニル)アントロン、10,10−ビス(4―アクリロキシフェニル)アントロンなどを製造する。
【選択図】なし
Description
本発明は高屈折率材料として優れた性能を有するビス(ヒドロキシフェニル)アントラセン化合物及びその製造方法に関する。
ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン等の、フルオレン骨格を持ち官能基として水酸基を有する化合物は、耐熱性が高い、高屈折率である、複屈折が小さいといった特徴を有しており、光学材料の原料等として有用である。その理由としてフルオレン化合物の所謂カルド型構造と呼ばれる特異的な化学構造に起因するとされている。例えば、フルオレン骨格を有するポリエステル樹脂として、特開2002−284864号公報(特許文献1)には、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂で構成された成形材料が開示されている。しかしながら、耐熱樹脂用途や光学材料用途の高機能な材料として用いるためには、耐熱温度、屈折率向上の点で、さらなる改善が望まれている。フルオレンを炭素数が1つ多いアントラセンに変えたビス(ヒドロキシフェニル)アントラセン化合物については、耐熱性が高い、高屈折率である、複屈折が小さいなど光学材料の原料としての機能が期待されるが、化合物の物性、製造方法については知られていない。
特開2002−284864号公報(特許請求の範囲)
本発明は、耐熱性が高い、高屈折率である、複屈折が小さいといった特徴を有しており、光学材料の原料等として優れた性能を有する新規なビス(ヒドロキシフェニル)アントラセン化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した。その結果、高屈折率材料として優れた性能を有するビス(ヒドロキシフェニル)アントラセン化合物が、耐熱性、高屈折率材料として優れた性能を有し、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の化合物は一般式(1)で表される。
また、本発明には、一般式(2)
本発明のビス(ヒドロキシフェニル)アントラセン化合物は、耐熱性が高い、高屈折率である、複屈折が小さいといった特徴を有しており、光学材料の原料等として好適である。
本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。本発明は下記式(1)で表されるビス(ヒドロキシフェニル)アントラセン化合物に関する。
一般式(1)において、C1〜C6の直鎖状乃至分岐状のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの直鎖または分枝を有するアルキル基が挙げられ、水素原子かメチルが好ましい。nは0〜10で、好ましくは0〜6程度で、さらに好ましくは0〜2である。Z,Yは同一で水素原子、酸素原子、異なって水素原子とヒドロキシル基が好ましく、同一で酸素原子がより好ましい。
具体的な化合物としては、10,10−ビス(4―(2−メタクリロキシエトキシ)フェニル)アントロン、10,10−ビス(4―(2−アクリロキシエトキシ)フェニル)アントロン、10,10−ビス(4―メタクリロキシフェニル)アントロン、10,10−ビス(4―アクリロキシフェニル)アントロンが挙げられる。
一般式(1)で表される化合物は、一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物を塩基存在下で反応させることにより製造することができる。
一般式(2)においてハロゲン原子とはフッ素、塩素、臭素、よう素を表し、好ましくは塩素である。R1、nは前記と同じであり、好ましい態様なども同じである。具体的な化合物としては、アクリル酸ブロモエチル、メタクリル酸ブロモエチル、アクリル酸ブロモエトキシエチル、メタクリル酸ブロモエトキシエチル等が挙げられる。
一般式(3)においてR2〜R4、Z,Yは前記と同じであり、好ましい態様なども同じである。
具体的な化合物としては、10,10−ビス(4―フェノキシ)アントロンが挙げられ、その合成法は例えば特開平6−16662に開示されている。
一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物を反応して一般式(1)で表される化合物を合成する反応式を下記に示す。
反応溶媒はN−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、THF、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンなどの極性有機溶媒中で反応させることが好ましく、より好ましくはN−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトンである。溶媒の使用量は、特に限定されず適宜設定することができるが、通常、一般式(3)で表される化合物1gに対して0.1〜50ml程度である。反応は一般式(3)で表される化合物1モルに対し一般式(2)で表される化合物を2〜8モル程度用いることが好ましく、より好ましくは2〜4モル程度用いることが好ましい。反応の際に脱酸剤として塩基を用いることが好ましい。
用いる塩基としてはトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1.8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンなどの有機塩基、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウムなどの無機塩基が好ましい。用いる量は一般式(2)で表される化合物の当量以上使用して行うことが好ましく、より好ましくは一般式(2)で表される化合物の当量〜2倍当量が好ましい。反応速度を速めるために相関移動触媒を加えても良い。相関移動触媒としてはテトラブチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドなどの4級アンモニウム塩、クラウンエーテル、クリプタンドなどの環状エーテル化合物が好ましい。添加量は触媒量でよく、用いる塩基の0〜0.5当量が好ましく、0から0.2当量が好ましい。反応時に重合が起こらないように、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤としてはヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコールなどが好ましい。重合禁止剤の添加量としては重合禁止効果が有効な量であれば良く、通常、一般式(3)で表される化合物1gに対して0.001〜1g、好ましくは0.001〜0.5g程度である。反応の雰囲気としては、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、空気下でも構わない。反応温度は、通常室温から、溶媒の沸点温度であり、60℃から溶媒の沸点温度がより好ましい。反応時間は10分から1週間、好ましくは1時間から3日間である。
反応生成物である一般式(1)で表される化合物は、通常の分離、精製手段、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。前記晶析溶媒としては、炭化水素類[脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタンなど)、脂環族炭化水素(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタンなど)など]、水、アルコール類[メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどの低級脂肪族アルコール(C1-3アルカノールなど)]、ケトン類[アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトンなどの低級脂肪族ケトン(C3-7ジアルキルケトンなど)、シクロヘキサノンなど]、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジアルキルエーテルなど)などが挙げられる。晶析溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。また、晶析溶媒の使用量は、特に限定されず、反応混合物(固形分換算)1重量部に対して、0.5〜50重量部、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部程度であってもよい。このような晶析操作は一回行ってもよく、複数回繰り返して行ってもよい。
一般式(2)で表される化合物は、nが0の場合は、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド等が挙げられる。また、nが1以上の場合には、一般式(6)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物から容易に合成できる。
一般式(6)においてR1は前記と同じであり、好ましい態様なども同じである。R5におけるC1〜C6の直鎖状乃至分岐状のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの直鎖または分枝を有するアルキル基が挙げられ、メチル、エチル、プロピルが好ましい。具体的な化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどが挙げられる。
一般式(7)においてX、nは前記と同じであり、好ましい態様なども同じである。具体的な化合物としては、ブロモエタノール、ブロモエトキシエタノールなどが挙げられる。
一般式(6)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物から一般式(2)で表される化合物を合成する反応式を下記に示す。
反応は、溶媒の存在下もしくは非存在下で行うことができる。エステル交換反応は平衡反応なので平衡をずらすために、生成したアルコールを蒸留で留去することが望ましい。そのためにはR5をメチル、エチルなどの低級アルキルとして生成するメタノール、エタノールを共沸する溶媒(トルエンなど)を使用して共沸留去することが好ましい。溶媒の使用量は、特に限定されず適宜設定することができるが、通常、一般式(6)で表される化合物1gに対して0.1〜50ml程度である。反応の雰囲気としては、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気が好ましい。反応の触媒として、テトラブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどを添加することが好ましい。
触媒の添加量としては、一般式(6)で表される化合物1gに対して0.01〜1g、より好ましくは0.002〜0.5gである。反応温度は、通常室温から、溶媒の沸点温度であり、アルコールと溶媒が共沸する温度が好ましい。反応時間は原料が消失するのを薄層クロマトグラフィー(TLC)や、HPLCで確認できるまでであり、具体的には30分から24時間が好ましい。反応時に重合が起こらないように、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤としてはヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコールなどが好ましい。重合禁止剤の添加量としては重合禁止効果が有効な量であれば良く、通常、一般式(6)で表される化合物1gに対して0.001〜1g、好ましくは0.001〜0.5g程度である。反応の雰囲気としては、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、空気下でも構わない。
また、一般式(1)で表される化合物は、一般式(4)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物を塩基存在下で反応させることにより製造することができる。
一般式(4)においてR1、Xは前記と同じであり、好ましい態様なども同じである。具体的な化合物は、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド、アクリル酸ブロミド、メタクリル酸ブロミド等が挙げられる。
一般式(5)においてR2〜R4、Z,Y、nは前記と同じであり、好ましい態様なども同じである。具体的な化合物としては、10,10−ビス(4―ヒドロキシエトキシフェニル)アントロン、10,10−ビス(4―ヒドロキシプロピロポキシフェニル)アントロンが挙げられる。
一般式(4)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物から一般式(1)で表される化合物を合成する反応式を下記に示す。
反応溶媒はN−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、THF、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンなどの極性有機溶媒中で反応させることが好ましく、より好ましくはN−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドである。溶媒の使用量は、特に限定されず適宜設定することができるが、通常、一般式(5)で表される化合物1gに対して0.1〜50ml程度である。反応は一般式(5)で表される化合物1モルに対し一般式(4)で示される化合物を2〜8モル程度用いることが好ましく、より好ましくは2〜4モル程度用いることが好ましい。反応の際に脱酸剤として塩基を用いることが好ましい。用いる塩基としてはトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1.8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンなどの有機塩基、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウムなどの無機塩基が好ましい。用いる量は一般式(5)で表される化合物の当量以上使用して行うことが好ましく、より好ましくは一般式(5)で表される化合物の当量〜2倍当量が好ましい。
反応速度を速めるために相関移動触媒を加えても良い。相関移動触媒としてはテトラブチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドなどの4級アンモニウム塩、クラウンエーテル、クリプタンドなどの環状エーテル化合物を添加しても良い。添加量は触媒量でよく、用いる塩基の0〜0.5当量が好ましく、0から0.2当量が好ましい。反応時に重合が起こらないように、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤としてはヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコールなどが好ましい。重合禁止剤の添加量としては重合禁止効果が有効な量であれば良く、通常、一般式(5)で表される化合物1gに対して0.001〜1g、好ましくは0.001〜0.5g程度である。反応の雰囲気としては、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、空気下でも構わない。反応温度は、通常室温から、溶媒の沸点温度である。反応時間は10分から1週間、好ましくは1時間から3日間である。
反応生成物である一般式(1)で表される化合物は、通常の分離、精製手段、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。前記晶析溶媒としては、炭化水素類[脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタンなど)、脂環族炭化水素(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタンなど)など]、水、アルコール類[メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどの低級脂肪族アルコール(C1-3アルカノールなど)]、ケトン類[アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトンなどの低級脂肪族ケトン(C3-7ジアルキルケトンなど)、シクロヘキサノンなど]、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジアルキルエーテルなど)などが挙げられる。晶析溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。また、晶析溶媒の使用量は、特に限定されず、反応混合物(固形分換算)1重量部に対して、0.5〜50重量部、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部程度であってもよい。このような晶析操作は一回行ってもよく、複数回繰り返して行ってもよい。
一般式(5)で表される化合物は一般式(3)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物を反応させることにより製造することができる。
一般式(7)においてX、nは前記と同じであり、好ましい態様なども同じである。具体的な化合物としては、2−ブロモエタノール、2−クロロエタノール、2−ブロモエトキシエタノール、2−クロロエトキシエタノールが挙げられる。
一般式(3)で表される化合物と一般式(7)で表される化合物から一般式(5)で表される化合物を合成する反応式を下記に示す。
反応溶媒はN−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、THF、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンなどの極性有機溶媒中で反応させることが好ましく、より好ましくはN−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトンである。溶媒の使用量は、特に限定されず適宜設定することができるが、通常、一般式(3)で表される化合物1gに対して0.1〜50ml程度である。反応の雰囲気としては、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気が好ましい。反応は一般式(3)で表される化合物1モルに対し一般式(7)で表される化合物を2〜8モル程度用いることが好ましく、より好ましくは2〜4モル程度用いることが好ましい。反応の際に脱酸剤として塩基を用いることが好ましい。用いる塩基としてはトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1.8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンなどの有機塩基、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウムなどの無機塩基が好ましい。用いる量は一般式(7)で表される化合物の当量以上使用して行うことが好ましく、より好ましくは一般式(7)で表される化合物の当量〜2倍当量が好ましい。
反応速度を速めるために相関移動触媒を加えても良い。相関移動触媒としてはテトラブチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドなどの4級アンモニウム塩、クラウンエーテル、クリプタンドなどの環状エーテル化合物を添加しても良い。添加量は触媒量でよく、用いる塩基の0〜0.5当量が好ましく、0から0.2当量が好ましい。反応温度は、通常室温から、溶媒の沸点温度であり、60℃から溶媒の沸点温度がより好ましい。反応時間は10分から1週間、好ましくは1時間から3日間である。
反応生成物である一般式(5)で表される化合物は、通常の分離、精製手段、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。前記晶析溶媒としては、炭化水素類[脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタンなど)、脂環族炭化水素(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタンなど)など]、水、アルコール類[メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどの低級脂肪族アルコール(C1-3アルカノールなど)]、ケトン類[アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトンなどの低級脂肪族ケトン(C3-7ジアルキルケトンなど)、シクロヘキサノンなど]、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジアルキルエーテルなど)などが挙げられる。晶析溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。また、晶析溶媒の使用量は、特に限定されず、反応混合物(固形分換算)1重量部に対して、0.5〜50重量部、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部程度であってもよい。このような晶析操作は一回行ってもよく、複数回繰り返して行ってもよい。
(屈折率の測定法)
各化合物の10Wt%THF溶液を調製し、アタゴ社製アッベ屈折率計3Tを用いてナトリウムD線の波長光の屈折率を測定した。測定値を比重から計算して100vol%に外挿し、化合物の屈折率を得た。
(屈折率の測定法)
各化合物の10Wt%THF溶液を調製し、アタゴ社製アッベ屈折率計3Tを用いてナトリウムD線の波長光の屈折率を測定した。測定値を比重から計算して100vol%に外挿し、化合物の屈折率を得た。
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
還流冷却器を備えた3つ口フラスコに、アントラキノン18g、フェノール47gおよび3−メルカプトプロピオン酸2.4gを加えた。混合物を65℃に加熱し、硫酸15mlを滴下し、終夜攪拌した。酢酸エチルを加え、不溶のアントラキノンを濾過して除き、濾液を水洗、硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、濃縮し、残渣にヘキサン:酢酸エチル=1:1の溶液を加えて、静置すると固体が析出したので、濾過、乾燥し、下図に示す、10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アントロンを1.35g得た。
還流冷却器を備えた3つ口フラスコに、ブロモエタノール4.0g、メタクリル酸メチル13g、トルエン13g、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.02gを加え、80℃に加熱し、テトラブトキシチタン2滴を添加し、110℃まで昇温し、4時間攪拌し、さらに120℃まで昇温し、5時間攪拌した。メタクリル酸メチル、トルエンを減圧下で留去し、トルエンを加えて2.5%塩酸で洗浄、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、蒸留水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。 濾過し、ヒドロキノンモノメチルエーテルを1さじ加えて濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、下図に示す、ブロモエチルメタクリレートを5.75g得た。
還流冷却器を備えた3つ口フラスコに、実施例1で得た10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アントロン0.85g、炭酸カリウム2.9g、メチルエチルケトン9g、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.02g、実施例2で得たブロモエチルメタクリレート1.7gを加え、70℃で4.3時間攪拌し、N,N−ジメチルホルムアミド6mlを追加して70℃で5時間攪拌した。酢酸エチル、水を加え分液し、蒸留水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。 濾過し、ヒドロキノンモノメチルエーテルを1さじ加えて濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、下図に示す、10,10−ビス(4−(2−メタクリロキシエトキシ)フェニル)アントロンを0.56g得た。
3つ口フラスコに、実施例1で得た10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アントロン0.47g、THF4.0g、トリエチルアミン0.5gを加え、氷水浴につけ攪拌しながら、アクリル酸クロリド0.4mlを添加した。氷水浴をはずして室温で2時間攪拌して、原料の消失を確認したら、酢酸エチル、蒸留水を加え、分液、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、ヒドロキノンモノメチルエーテルを1さじ加えて濃縮した。ヘキサン:酢酸エチル=2:1の溶液を加えて、不溶な黒色タールを除き、溶解部分を冷却すると橙色の沈殿が生じたので冷蔵庫で冷却し、濾過、乾燥し、下図に示す、10,10−ビス(4−アクリロキシフェニル)アントロンを0.13g得た。 濾液を濃縮し、ヘキサン:酢酸エチル=2:1の溶液を加えると沈殿が析出したので、濾過、乾燥し、第2晶を0.08g得た。
還流冷却器を備えた3つ口フラスコに、実施例1で得た10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アントロン0.60g、ブロモエタノール1.0g、N,N−ジメチルホルムアミド4.0g、炭酸カリウム0.9g、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド2滴を加え、70℃で1日、85℃で1日攪拌した。ブロモエタノール1.2g、炭酸カリウム1.0g、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド2滴加え、85℃で6時間さらに攪拌した。酢酸エチル、水を加え、分液、水洗、硫酸ナトリウムで乾燥した。 濾過し、濾液を濃縮し、メタノールを加え静置して結晶化させて、濾過、乾燥し、下図に示す、10,10−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)アントロンを0.2g得た。
3つ口フラスコに実施例5で得た10,10−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)アントロン0.06g、THF4ml、トリエチルアミン0.1g、ヒドロキノンモノメチルエーテルをスパチュラ1さじ、4−ジメチルアミノピリジンをスパチャラ1さじ加えて、攪拌下、アクリル酸クロリドを4滴加え室温で1日攪拌した。酢酸エチル、水を加え、分液、水洗、硫酸ナトリウムで乾燥した。 濾過し、濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、下図に示す、10,10−ビス(4−(2−アクリロキシエトキシ)フェニル)アントロンを0.03g得た。
本発明の化合物の用途としては、ビス(ヒドロキシフェニル)アントラセンを分子骨格に有していることから耐熱性が高い、高屈折率である、複屈折が小さいといった特徴を有しており、光学材料の原料等として好ましく用いられる。
Claims (4)
- 前記式中のR1が水素原子またはメチル基であり、R2、R3及びR4が水素原子であり、nが0または1であり、Z,Yは酸素原子である請求項1記載のビス(ヒドロキシフェニル)アントラセン化合物。
- 塩基存在下、一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物を反応させることを特徴とする一般式(1)で表されるビス(ヒドロキシフェニル)アントラセン化合物の製造方法。
- 塩基存在下、一般式(4)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物を反応させることを特徴とする一般式(1)で表されるビス(ヒドロキシフェニル)アントラセン化合物の製造方法。
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