JP2010505945A - メチル−4−ホルミルベンゾエートとジメチルテレフタレートの単離方法 - Google Patents

メチル−4−ホルミルベンゾエートとジメチルテレフタレートの単離方法 Download PDF

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Abstract

出発物質としてのp−キシレンから酸化反応およびエステル化反応によってDMTを製造する方法において生成された副生成物の混合物から、メチル−4−ホルミルベンゾエート(MFB)とジメチルテレフタレート(DMT)を高純度で単離しそして回収する方法を開示する。
本方法において、副生成物混合物中に含まれるメチル−4−ホルミルベンゾエート(MFB)は、アルコールとの反応によりそれをアセタール化合物へ転換することにより高純度で単離され、そしてDMTは、MFBが除去された副生成物混合物から単離しそして回収される。
本発明に係る方法によれば、有害でありそして設備を腐食する亜硫酸ガスを生じず、そしてさらに、過剰量の溶剤の使用及び排水の発生に関連する経済問題及び環境問題を軽減する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジメチルテレフタレートの製造方法において生成された副生成物の混合物からメチル−4−ホルミルベンゾエートとジメチルテレフタレートを単離しそして回収する方法に関し、さらに詳しくは、メチル−4−ホルミルベンゾエート(以下、「MFB」という)、ジメチルテレフタレート(以下、「DMT」という)、メチル−p−トルエート(以下、「MPT」という)などを含むDMT製造方法の副生成物からMFBおよびDMTの各々を高純度で単離しそして回収する方法に関する。
MFBは、アルデヒド臭を有する白色の結晶であって、アセトン、トルエン、塩化メチレンなどに容易に溶解する。それは蛍光増白剤、芳香剤などの原料として、そしてp−アミノ安息香酸などのような高付加価値物質の製造の原料として用いられている。
このようなMFBを製造する慣用の方法は下記反応スキーム1で表される。
[反応スキーム1]
Figure 2010505945
反応スキーム1に示すように、従来の慣用の方法によれば、MFBは、テレフタルアルデヒドを硫酸触媒存在下でp−ホルミル安息香酸に転換させ、次に、酸触媒存在下でメタノールをそこへ添加することにより合成される。しかし、この方法は、テレフタルアルデヒドが高価な出発物質であり、4−ホルミル安息香酸の製造後に硫酸を除去するための付加的な処理を必要とし、単離および精製工程における収率低下を招き、そして、メタノール付加反応において触媒の使用を必要とし、目的化合物の製造コストが上昇するという欠点がある。
これに関連し、韓国特許出願公開第2003−70824号明細書は、DMT製造方法の副生成物の混合物からp−アミノ安息香酸を製造する方法を開示しているが、副生成物の主要成分としてMFBとDMTを高純度で単離する方法については開示していない。
上記韓国特許出願公開公報の方法の改善案として、韓国特許出願第2004−13412号明細書(エスケーコーポレーション、韓国、に付与された)は、出発物質としてのp−キシレンから酸化反応およびエステル化反応によってDMTを製造する方法の反応副生成物である、メチル−4−ホルミルベンゾエート(MFB)、ジメチルテレフタレート(DMT)、メチル−p−トルエート(MPT)およびメチルベンゾエート(MBZ)から
MFBおよびDMTを単離しそして回収する方法を開示している。下記反応スキーム2に示すように、前記韓国特許出願は、MFBを亜硫酸水素ナトリウム(Na)と反応させてMFBナトリウム塩に転換してMFBを単離する方法を開示している。
[反応式2]
Figure 2010505945
しかし、前記韓国特許出願第2004−13412号による方法においては、亜硫酸水素ナトリウムの使用は、大量の亜硫酸ガスが発生し、該ガスは加工設備を腐敗させ、そして作業者の安全に悪影響を及ぼし、そして過剰の水と溶剤の使用がMFBを製造するコストを上げるという問題を有する。また、MFBを高純度で単離するためには、水を当初のMFB質量の少なくとも8倍、そして溶剤を当初のMFB質量の少なくとも2倍、使用するため、MFBの製造コストが高く、そして多量の廃水が発生し、それゆえ環境問題を生じるという欠点がある。
韓国特許出願公開第2003−70824号明細書 韓国特許出願公開第2004−13412号明細書
技術的課題
そこで、本発明者らは、従来の技術に係る上記問題点を解決するために多様な研究を重ねた結果、DMT製造方法の副生成物の混合物中に含まれるMFBを、アルコールと反応させることによりアセタール化合物に転換した場合に、該副生成物混合物からDMTおよびMFBを高純度で単離しそして回収し得ることを見出し、これによって、本発明を完成した。
したがって、本発明の目的は、DMT製造方法で生じる副生成物から低コストの簡単な精製工程によって高純度の非常に有用なMFBおよびDMT両方を単離しそして回収する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、従来示された単離方法(韓国特許出願第2004−13412号)における過剰量の溶剤の使用による高コストの問題を画期的に改善し、添加される水の量を画期的に減少させ、それゆえ多量の廃水発生による経済的および環境的問題を軽減し、有害であり設備を腐蝕させる亜硫酸ガスを発生しない効率的な方法を提供することにある。
技術的解決方法
上記目的および他の目的を達成するために、本発明は、出発物質としてのp−キシレンから酸化反応及びエステル化反応によってDMTを製造する方法において製造された副生成物の混合物から、MFB及びDMTのそれぞれを単離しそして回収する方法であって、(a)MFB、DMT、MPT及びMBZを含む反応副生成物の混合物へアルコールを添加し、このアルコール溶液を攪拌し、そして攪拌した該溶液をろ過して高純度のDMTを固体として回収する工程;(b)工程(a)の濾液に酸を添加し、MFBをアセタール化合物に転換する工程;(c)工程(b)から得られた反応材料を−15℃乃至20℃の温度において濾過して残存DMTを固体として回収する工程;(d)工程(c)の濾液からアルコールを蒸留しそして回収し、そして残存の材料に水及び有機溶剤を添加して前記アセタール化合物をMFBへ転換する工程;そして(e)工程(d)から得られた反応材料を濾過して、高純度のMFBを固体として得る工程;を含む方法を提供する。
有利な効果
本発明のMFB及びDMTを単離しそして回収する方法は効率的な方法であって、出発物質としてのp−キシレンから酸化反応及びエステル化反応によってDMTを製造する際に生じた副生成物の混合物を処理することによりMFB及びDMTを単離しそして回収する従来の方法における過剰量の溶剤の使用による高コストの問題を画期的に改善し、添加される水の量を画期的に減少させ、従って、多量の廃水発生による経済的および環境的問題を軽減し、そして有害で設備を腐蝕する亜硫酸ガスを発生しない。
発明を実施するための最善の態様
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
前記したように、本発明は、MFB、DMT、MPTおよびMBZを含むDMT製造方法の副生成物混合物から低コストの簡単な精製方法によって非常に有用で高純度のMFBおよびDMTを単離しそして回収する方法を提供する。
DMF製造方法で生じる副生成物の組成は、DMT製造方法の条件に応じて変化し得
る。p−キシレンの液相酸化反応を用いるDMT製造方法において生成される副生成物には、テレフタル酸(以下「TPA」という)の中間生成物であるp−ホルミル安息香酸が相当量含有されている。p−ホルミル安息香酸が過剰のメタノールとのエステル化反応によりDMTに転換される過程において、MFB50乃至90質量%、DMT5乃至30質量%、メチル−p−トルエート(MPT)1乃至8質量%及びメチルベンゾエート(MBZ)0.1乃至3質量%を含む副生成物の混合物が得られる。
本発明では、出発物質としてのp−キシレンから酸化反応およびエステル化反応によりDMTを製造する方法で生成される反応副生成物からMFBおよびDMTを高純度で単離しそして回収するために、まず、DMT製造方法の副生成物、好ましくはMFB50乃至90質量%、DMT5乃至30質量%、MPT1乃至8質量%、MBZ0.1乃至3質量%を含むもの、にアルコールが添加される。次に、このアルコール溶液は、DMTのみが反応材料中に高純度で固体として存在するよう攪拌される。この反応材料を濾過し、純粋なDMTを固体として単離する。
反応副生成物に添加するアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールまたはブタノールなどの炭素原子数1乃至10のアルコールであり得、そして添加するアルコールの量は、当初のMFB100質量部に基づき好ましくは50乃至300質量部、さらに好ましくは150乃至250質量部である。添加される前記アルコールの量が50質量部より少ないと、MFBの回収率が低下し、そして300質量部より多いと、DMTが溶解し、従ってMFB生成物の純度が低下する。
次に、前記濾液に酸を加えて、MFBをアセタール化合物に転換する。その転換反応を、例えば、下記反応スキーム3に示す。
[反応式3]
Figure 2010505945
式中、Rは炭素原子数1乃至10のアルキル基である。添加する酸は、塩酸(HCl)、硝酸(HNO)、硫酸(HSO)、p−トルエンスルホン酸、酢酸(CHCOOH)などのようなpH6以下の酸が好ましい。添加される前記酸の量は、当初のMFBの100質量部に基づき好ましくは0.01乃至30質量部、さらに好ましくは0.1乃至3質量部である。添加される酸の量が0.01質量部より少ないと、アセタールへの転換反応が完全に起らず、そして30質量部を超えると、次の中和工程における廃水発生量が過剰となり経済効率が低下する。
上記のようにアセタール化合物に転換された反応物を低温に維持した場合、残存DMTが結晶として沈殿する。残存DMTは濾過により固体として高純度で回収される。濾過は、好ましくは−15乃至20℃、そしてさらに好ましくは−5乃至3℃の温度で行なわれる。前記濾過温度が−15℃より低い場合、アセタール化合物が結晶化されて回収率の著しい低下を招き、そして、20℃を超えると、DMTが溶解してMFBの純度の低下を招く。
ここで、アセタール化反応後、降温してDMTを回収する理由は、温度が高い場合にDMTの溶解度が高くなりMFB生成物中のDMT含有量が増加し、これによりMFB生成物の純度が低下するためである。
上記のように残存DMTが単離された濾液から、アルコールは蒸留によって回収される。残存材料に水と非芳香族溶剤を添加し、そしてアセタール化合物、例えば前記反応スキーム3に示したようなベンズアルデヒドジアルキル−4−アセテートを、酸触媒存在下でMFBに転換させる。
この際、添加される水の量は、当初のMFB100質量部に基づき好ましくは50乃至300質量部、そしてさらに好ましくは150乃至200質量部である。アセタール化合物は非芳香族溶剤への溶解度が小さいため、転換反応に用いられる非芳香族溶剤は、芳香族成分を含む溶剤より好ましい。また、該溶剤は、好ましくは炭素原子数3乃至12を有する非芳香族炭化水素溶剤が好ましい。添加される前記溶剤の量は、当初のMFB100質量部に基づき好ましくは50乃至300質量部、そしてさらに好ましくは100乃至200質量部である。前記溶剤の添加量が50質量部より少ないと、アセタールのMFBへの転換反応において結晶が急激に形成されて、こうして不純物によりMFB生成物の純度が低下し、そして300質量部を超えると、MFBの製造コストは溶剤の過度な使用に起
因して増加し、経済効率が低下する。
前記反応によってアセタール化合物がMFBに転換された場合、MFBは、固体として存在する。MFBは、濾過によって固体として回収され、そして、MPTとMBZなどのその他の不純物は溶剤と共に単離されて除去される。回収した固体のMFBから、溶剤と水分を除去し、そのようにして高純度のMFB生成物を得る。
発明の実施のための態様
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は単に本発明を例示するためのもので、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
DMT製造方法の副生成物であるMFB約63質量%、DMT約30質量%、MPT約6質量%、MBZ約1質量%および微量の不純物を含む混合物100質量部へ、メタノール200質量部を添加した。このメタノール溶液を25℃で0.5時間攪拌した。攪拌が完了した後、DMTのみが固体として留まり、そして、攪拌した溶液を濾過してDMTを固体として回収した。固体のDMTを、メタノールで洗浄し、そしてこうして得られたDMTは質量が27.4gであり、そして純度は99.4%であった。
前記濾液に塩酸(HCl)0.2質量部を添加し、そしてこの溶液を2時間攪拌してMFBをベンズアルデヒドジメチルアセタール−4−アセテートに転換させた。ベンズアルデヒドジメチルアセタール−4−アセテートに転換された反応材料を−2℃に保持し、残存DMTを固体として析出させた。この反応材料を−2℃において濾過して残存DMTを固体として回収した。析出させたDMTをメタノールで洗浄し、そしてこうして得られたDMTは質量が2.1gであり、そして純度は98.5%であった。
前記濾液からメタノールを蒸留によって回収し、そしてヘプタン63質量部と水63質量部を残存した材料に添加した。この溶液を70℃で4時間攪拌した。反応が完了した後、この反応溶液を25℃に冷却しそして濾過して、生成されたMFBを固体として回収した。生成されたMFBを50℃で乾燥させて回収し、そして回収されたMFBは質量が39.2gであり、そして純度は98.9%であった。
実施例2
DMT製造方法の副生成物であるMFB約63質量%、DMT約30質量%、MPT約6質量%、MBZ約1質量%および微量の不純物を含む混合物100質量部へ、エタノール200質量部を添加した。このエタノール溶液を25℃で0.5時間攪拌した。攪拌が完了した後、DMTのみが固体として留り、そして、攪拌した溶液を濾過してDMTを固体として回収した。固体のDMTを、メタノールで洗浄し、そしてこうして得られたDMTは質量が25.1gであり、そして純度は99.6%であった。
前記濾液に塩酸(HCl)0.2質量部を添加し、そしてこの溶液を2時間攪拌してMFBをベンズアルデヒドジメチルアセタール−4−アセテートに転換させた。ベンズアルデヒドジメチルアセタール−4−アセテートに転換された反応材料を−2℃に保持し、残存DMTを固体として析出させた。この反応材料を−2℃において濾過して残存DMTを固体として回収した。析出させたDMTをエタノールで洗浄し、そしてこうして得られたDMTは質量が1.8gであり、そして純度は99.1%であった。
前記濾液からエタノールを蒸留によって回収し、そしてヘプタン63質量部と水63質量部を残存した材料に添加した。この溶液を70℃で4時間攪拌した。反応が完了した後、この反応溶液を25℃に冷却しそして濾過して、生成されたMFBを固体として回収した。生成されたMFBを50℃で乾燥させて回収し、そして回収されたMFBは質量が36.8gであり、そして純度は98.1%であった。
実施例3
ヘプタンを使用する代わりに同量のExelsol670(エスケーコーポレーション、韓国)を使用する以外は実施例1と同様にしてMFBを回収した。この場合、回収されたDMTは、純度が99.4%でありそして質量が29.8gであり、そして回収されたMFBは純度が98.8%でありそして質量が39.9gであった。
実施例4
塩酸を使用する代わりにp−トルエンスルホン酸を使用する以外は実施例1と同様にしてMFBを回収した。この場合、回収されたDMTは、純度が99.5%でありそして質量が29.5gであり、そして回収されたMFBは、純度が99.0%でありそして質量が40.5gであった。

Claims (10)

  1. 出発物質としてのp−キシレンから酸化反応及びエステル化反応によってDMTを製造する方法において生成された副生成物の混合物から、メチル−4−ホルミルベンゾエート(MFB)及びジメチルテレフタレート(DMT)のそれぞれを単離しそして回収する方法であって、
    (a)MFB,DMT、メチル−p−トルエート(MPT)及びメチルベンゾエート(MBZ)を含む反応副生成物の混合物へアルコールを添加し、このアルコール溶液を攪拌し、そして攪拌した該溶液をろ過してDMTを固体として回収する工程;
    (b)工程(a)の濾液に酸を添加して、MFBをアセタール化合物に転換する工程;
    (c)工程(b)から得られた反応材料を−15℃乃至20℃の温度において濾過して残存DMTを固体として回収する工程;
    (d)工程(c)の濾液から蒸留によってアルコールを回収し、そして残存の材料に水及び有機溶剤を添加して前記アセタール化合物をMFBへ転換する工程;そして
    (e)工程(d)から得られた反応材料を濾過して、固体相のMFBを単離する工程;
    を含む方法。
  2. 前記工程(a)における反応副生成物が、50乃至90質量%のMFB、5乃至30質量%のDMT、1乃至8質量%のMPT及び0.1乃至3質量%のMBZを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(a)におけるアルコールが1乃至10個の炭素原子を有するアルコールである
    、請求項1に記載の方法。
  4. 前記工程(a)において添加されたアルコールの量が、当初のメチル−4−ホルミルベンゾエート(MFB)100質量部に基づき50乃至300質量部である、請求項1又は3に記載の方法。
  5. 前記工程(b)における酸が、塩酸(HCl)、硝酸(HNO)、硫酸(HSO)、p−トルエンスルホン酸及び酢酸(CHCOOH)から選ばれる、6より低いpHを有する酸である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記工程(b)において添加された酸の量が、当初のメチル−4−ホルミルベンゾエート(MFB)100質量部に基づき0.01乃至30質量部である、請求項1又は5に記載の方法。
  7. 前記工程(d)において添加された水の量が、当初のメチル−4−ホルミルベンゾエート(MFB)100質量部に基づき50乃至300質量部である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記工程(d)における有機溶剤が、3乃至12個の炭素原子を有する非芳香族炭化水素溶剤である、請求項1に記載の方法。
  9. 添加された有機溶剤の量が、当初のメチル−4−ホルミルベンゾエート(MFB)100質量部に基づき50乃至300質量部である、請求項1又は8に記載の方法。
  10. 前記アセタール化合物がベンズアルデヒド ジアルキルアセタール−4−アセテートである、請求項1に記載の方法。
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