JP2010120902A - 縮環構造含有アルコール化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性に優れ、屈折率が高く光学特性に優れた樹脂を提供すること。
【解決手段】縮環構造骨格を有する特定のアルコール化合物、縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂、縮環構造含有ポリエステル樹脂、および、縮環構造含有ポリウレタン樹脂が提供される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱性に優れ、屈折率が高く光学特性に優れた(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂を製造するのに有用な縮環構造含有アルコール化合物とその製造方法に関する。さらに本発明は、該縮環構造含有アルコール化合物を用いて製造される(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂に関する。
さらに本発明は、該(メタ)アクリレート樹脂を含む熱硬化性あるいは放射線硬化性の樹脂組成物であって、カラーフィルター、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子などにおける保護膜や層間絶縁膜を調製するために有用な組成物に関する。さらに本発明は、該樹脂組成物を用いて得られる、耐熱性、光学特性等に優れる成形体に関する。
アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネートなどの樹脂は、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料、光学フィルムなど極めて幅広い分野に利用されている。これらの樹脂は、各種のポリオール化合物を原料として製造されている。これまで、光学特性、機械的性質、電気的性質、熱特性、耐水性、耐薬品性、耐熱性など、各分野における、多様な要求特性に応じて、ポリオール化合物の母骨格を工夫し、様々な構造、特長を有する樹脂が合成され、利用されている。
例えば、ビスフェノールAやエトキシ化あるいはプロポキシ化されたビスフェノールAは、アクリレートやポリカーボネートの原料として多用されている。また、ポリエステルやポリウレタン樹脂の原料としては、各種のアルキレングリコールなどの脂肪族アルコールが用いられている。しかし、これらの樹脂は耐熱性、光学特性および機械特性が不充分であり、例えば、高いレベルの光学特性、耐熱性等が要求される電子材料分野においては不充分である。
これらの要求に対しては、例えば、フルオレン骨格を有するアルコール化合物を出発原料としたアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂が提案されており、フルオレン骨格に由来する高いレベルの特性を実現している(特許文献1、2、3)。しかし、フルオレン骨格が剛直で結晶性の高い性質を有するために、原料であるフルオレン骨格含有アルコール化合物の他原料に対する相溶性が乏しく、アクリレート樹脂やポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の製造において、不利となる可能性がある。また、フルオレン骨格は剛直で、極性に乏しいため、樹脂製造において該骨格の導入比率を高くするにつれて、光学特性や耐熱性などの諸特性は向上するが、得られた樹脂は柔軟性に乏しく、脆くなるなど、機械特性に問題点があり、他の樹脂との相溶性、混和性、各種基材との密着性などに問題が発生する。これらは、樹脂の製造時や各種組成物の配合時に他成分を導入することにより改善は可能であるが、結果として、フルオレン骨格の含有量が低下し、光学特性や耐熱性などの良好な特性を失うこととなる。このような状況の中、近年のより高いレベルの光学特性、耐熱性、機械特性や各種材料との相溶性に対する要求に対応可能な優れた機能性樹脂が求められている。
特開平2000−7741号公報 国際公開番号94/03521号パンフレット 特開平8−3260号公報
本発明の目的は、上記従来の課題を解決するものであり、その目的とするところは、高いレベルでの耐熱性および光学特性を有し、柔軟性に優れた機能性(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂を製造するのに好適なアルコール化合物を提供することにある。本発明の他の目的は、高いレベルでの耐熱性、光学特性を有し、柔軟性や他成分との相溶性に優れた機能性(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、該樹脂の製造方法、および該樹脂を含む熱硬化あるいは放射線硬化性の組成物を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、このような樹脂組成物を硬化させて得られる成形体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、ある縮環構造を含有するアルコール化合物が高い光学特性および耐熱性を有し、機械特性や他成分との相溶性に優れた機能性(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂を製造するのに好適であることを見出し、本発明に至った。
本発明の縮環構造含有アルコール化合物は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2010120902
ここでZは、六員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つ以上の芳香環との縮環構造、または、五員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つの芳香環との縮環構造を含む二価基であり、R1〜2は各々独立して、炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、q1〜2は各々独立して0から4までの整数であり、r1〜2は各々独立して1から5までの整数であり、R3〜4は各々独立して水素原子またはメチル基であり、m1〜2は各々独立して1から10までの整数である。また、複数個のR1〜4は同一でも良いし、異なっていても良い。
本発明の縮環構造含有アルコール化合物の実施態様において、一般式(1)におけるZが式(2)〜(6)からなる群から選ばれる縮環構造を含む二価基であるであることが好ましく、式(2)である縮環構造を含む二価基であることがより好ましい。
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
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本発明の縮環構造含有アルコール化合物の好適な実施態様のひとつには、直鎖状のポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂の合成に有用である点で、一般式(1)におけるr及びrの両方が1である化合物が挙げられる。
本発明の縮環構造含有アルコール化合物の製造方法は、例えば、下記反応式(I)の如く、縮環構造含有ケトン化合物にフェノール類を反応させ、得られたフェノール化合物にアルキレンオキサイドやハロヒドリン化合物を付加する方法や、下記反応式(II)の如く、縮環構造含有ケトン化合物にフェノキシアルコール類を反応させる方法が例示される。
Figure 2010120902
Figure 2010120902
本発明の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂は、下記一般式(7)で表される。
Figure 2010120902
ここでZは、六員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つ以上の芳香環との縮環構造、または、五員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つの芳香環との縮環構造を含む二価基であり、R1〜2は各々独立して炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、q1〜2は各々独立して0から4までの整数であり、R3〜6は各々独立して水素原子またはメチル基であり、m1〜2は各々独立して1から10までの整数であり、r1〜2は各々独立して1から5までの整数である。また、複数個のR1〜6は同一でも良いし、異なっていても良い。
また、本発明の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂は、一般式(1)で表される縮環構造含有アルコール化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとを反応させる工程を含む製法から得られる。
Figure 2010120902
ここでZは、六員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つ以上の芳香環との縮環構造、または、五員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つの芳香環との縮環構造を含む二価基であり、R1〜2は各々独立して、炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、q1〜2は各々独立して0から4までの整数であり、r1〜2は各々独立して1から5までの整数であり、R3〜4は各々独立して水素原子またはメチル基であり、m1〜2は各々独立して1から10までの整数である。また、複数個のR1〜4は同一でも良いし、異なっていても良い。
上記プロセス(製造方法)によって得られる縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂の実施態様において、上記プロセス(製造方法)における一般式(1)のZ、及び、上記一般式(7)のZが、式(2)〜(6)からなる群から選ばれる縮環構造を含む二価基であることが好ましく、式(2)である縮環構造を含む二価基であることがより好ましい。
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
本発明の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂の製造方法は、上記一般式(1)で表される縮環構造含有アルコール化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとを作用させる工程を包含する。
本発明の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂組成物は、上記縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂を含有し、熱硬化性又は放射線硬化性の組成物である。
本発明は、上記縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂組成物を硬化させて得られる成形体を包含する。
本発明の縮環構造含有ポリエステル樹脂は、下記一般式(8)で表される。
Figure 2010120902
ここで複数存在するXの一部または全部は、一般式(9)で表される2価基であり、複数存在するYの一部または全部は、置換基を有していてもよい芳香族の二価基であり、nは3以上の整数を表す。
Figure 2010120902
ここでZは、六員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つ以上の芳香環との縮環構造、または、五員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つの芳香環との縮環構造を含む二価基であり、R1〜2は各々独立して、炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、q1〜2は各々独立して0から4までの整数であり、R3〜4は各々独立して水素原子またはメチル基であり、m1〜2は各々独立して1から10までの整数である。また、複数個のR1〜4は同一でも良いし、異なっていても良い。
また、本発明の縮環構造含有ポリエステル樹脂は、一般式(1)で表される縮環構造含有アルコール化合物を必須成分とする1種以上のジオール化合物と芳香族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸エステル及び芳香族ジカルボン酸ハライドからなる群から選ばれる少なくとも一種とを反応させて得られる。
Figure 2010120902
ここでZは、六員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つ以上の芳香環との縮環構造、または、五員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つの芳香環との縮環構造を含む二価基であり、R1〜2は各々独立して、炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、q1〜2は各々独立して0から4までの整数であり、r1〜2は各々独立して1から5までの整数であり、R3〜4は各々独立して水素原子またはメチル基であり、m1〜2は各々独立して1から10までの整数である。また、複数個のR1〜4は同一でも良いし、異なっていても良い。
本発明の縮環構造含有ポリエステル樹脂の実施態様において、上記一般式(9)のZが式(2)である縮環構造を含む二価基であることが好ましい。
Figure 2010120902
本発明の縮環構造含有ポリウレタン樹脂は、下記一般式(10)で表される。
Figure 2010120902
ここで複数存在するXの一部または全部は、一般式(9)で表される2価基であり、複数存在するUの一部または全部は、環状構造を有していてもよい炭素数2以上の脂肪族の2価基、または、置換基を有していてもよい芳香族の二価基であり、mは3以上の整数を表す。
Figure 2010120902
ここでZは、六員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つ以上の芳香環との縮環構造、または、五員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つの芳香環との縮環構造を含む二価基であり、R1〜2は各々独立して、炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、q1〜2は各々独立して0から4までの整数であり、R3〜4は各々独立して水素原子またはメチル基であり、m1〜2は各々独立して1から10までの整数である。また、複数個のR1〜4は同一でも良いし、異なっていても良い。
また、本発明の縮環構造含有ポリウレタン樹脂は、一般式(1)で表される縮環構造含有アルコール化合物を必須成分とする1種以上のジオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られる。
Figure 2010120902
ここでZは、六員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つ以上の芳香環との縮環構造、または、五員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つの芳香環との縮環構造を含む二価基であり、R1〜2は各々独立して、炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、q1〜2は各々独立して0から4までの整数であり、r1〜2は各々独立して1から5までの整数であり、R3〜4は各々独立して水素原子またはメチル基であり、m1〜2は各々独立して1から10までの整数である。また、複数個のR1〜4は同一でも良いし、異なっていても良い。
本発明の縮環構造含有ポリウレタン樹脂の実施態様において、上記一般式(9)のZが式(2)である縮環構造を含む二価基であることが好ましい。
Figure 2010120902
以下に本発明を詳細に説明する。
A.縮環構造含有アルコール化合物
本発明の縮環構造含有アルコール化合物は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2010120902
ここでZは、六員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つ以上の芳香環との縮環構造、または、五員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つの芳香環との縮環構造を含む二価基であり、R1〜2は各々独立して、炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、q1〜2は各々独立して0から4までの整数であり、r1〜2は各々独立して1から5までの整数であり、R3〜4は各々独立して水素原子またはメチル基であり、m1〜2は各々独立して1から10までの整数である。また、複数個のR1〜4は同一でも良いし、異なっていても良い。
Zにおける六員環の脂環式化合物と1つ以上の芳香環との縮環構造を含む二価基としては、例えば、六員環の脂環式化合物と1〜3個の芳香環との縮環構造を含む二価基が挙げられる。六員環の脂環式化合物及び五員環の脂環式化合物は、環上に炭素以外の原子を含んでいてもよく、例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含むものが挙げられる。芳香環としては、例えばベンゼン環が挙げられる。
1〜2における炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。炭素数1から5のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。置換基を有していてもよいフェニル基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ビフェニル基、シクロヘキシルフェニル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
この縮環構造含有アルコール化合物は、本明細書中で、「縮環構造含有アルコール化合物(A)」、「アルコール化合物(A)」などと記載される場合がある。
上記一般式(1)において、Zが式(2)〜(6)からなる群から選ばれる縮環構造を含む二価基であることが好ましく、Zが式(2)である縮環構造を含む二価基であることがより好ましい。
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Zが、上記式(2)〜(6)からなる群から選ばれる縮環構造を含む二価基である場合、芳香族を含む縮環骨格由来の高耐熱性、高屈折率が付与でき縮環の面構造由来の分散安定性が得られると共に、溶媒や各種樹脂等との相溶性や柔軟性が良好となる。さらに、Zが上記式(2)である縮環構造を含む二価基である場合、高いレベルでの耐熱性、屈折率、分散安定性と、溶媒や各種樹脂等との相溶性や柔軟性とのバランスに優れるものとなる。
また、一般式(1)において別の好ましい実施形態としては、r、rの両方が1である化合物が挙げられる。本発明のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂を得るためには、本発明のアルコール化合物(A)の少なくとも一部は、ジオールであることが必要であるためである。本発明のアルコール化合物(A)が3官能以上(rとrの合計が3以上)である場合、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂を製造する際に、分岐構造や架橋構造が生じるため、溶剤に対する溶解性や樹脂粘度の増加により成形加工性が悪くなるおそれがある。
また、本発明の縮環構造含有アルコール化合物は、例えば、下記反応式(I)
Figure 2010120902
で示されるように、縮環構造含有ケトン化合物にフェノール化合物を酸性条件下で反応させ、得られた縮環構造含有フェノール化合物にアルキレンオキサイドあるいはハロヒドリン類をアルカリ性条件下で作用させる工程を含む製法、または、下記反応式(II)
Figure 2010120902
で示されるように縮環構造含有ケトン化合物にフェノキシアルコール類を酸性条件下で作用させる工程を含む製法から得られるものである。
また、上記一般式(7)、(8)及び(10)で表される本発明の各樹脂は、例えばこの工程を含むプロセス(製造方法)によって得られる。
これらは例示であり、これらの製造法に限定されるものではない。
式(2)〜(6)で表される縮環構造を有するアルコール化合物(A)は、例えば上記の製法において、次の縮環構造含有ケトンを用いて製造され得る。
Figure 2010120902
反応式(I)で示される工程を含む製造方法の場合、例えば、下記一般式(11)で表されるフェノール化合物を適宜選択することにより、一般式(1)におけるR1〜2及びr1〜2の異なるアルコール化合物(A)を得ることが出来る。
Figure 2010120902
は炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、cは1から5までの整数であり、dは0から4までの整数である。
酸性条件下で行われる反応で使用される酸としては、塩化水素、塩酸、硫酸、硝酸などのプロトン酸、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化鉄などのルイス酸などが挙げられる。
得られた縮環構造含有フェノール化合物に作用させるアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどが挙げられ、ハロヒドリンとしては、例えば、エチレンクロロヒドリン、エチレンブロモヒドリン、2-クロロ-1-プロパノールなどが挙げられる。アルキレンオキサイドやハロヒドリン類の種類や反応させるモル数を適宜選択することにより、一般式(1)におけるR3〜4及びm1〜2を調整することが出来る。
アルカリ条件下で行われる反応で使用されるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物や水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸塩などが挙げられる。
反応式(II)で示される工程を含む製造方法の場合、縮環構造含有ケトン化合物に作用させるフェノキシアルコール類としては、例えば、下記一般式(12)で表される化合物が用いられ得る。
Figure 2010120902
は炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、Rは水素原子またはメチル基であり、eは1から5までの整数であり、fは1から10までの整数であり、gは0から4までの整数である。
反応式(II)で示される反応は、通常酸性条件下で行われ、酸としては、例えば、塩化水素ガス、塩酸、硫酸、硝酸などのプロトン酸、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化鉄などのルイス酸などが用いられる。
B.縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂
本発明の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂は、下記一般式(7)で表される。
Figure 2010120902
ここでZは、六員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つ以上の芳香環との縮環構造、または、五員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つの芳香環との縮環構造を含む二価基であり、R1〜2は各々独立して炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、q1〜2は各々独立して0から4までの整数であり、R3〜6は各々独立して水素原子またはメチル基であり、m1〜2は各々独立して1から10までの整数であり、r1〜2は各々独立して1から5までの整数である。また、複数個のR1〜6は同一でも良いし、異なっていても良い。
Z及びR1〜2における官能基の例は、上記縮環構造含有アルコール化合物の場合と同様である。
この縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂は、本明細書中で、「縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂(B)」、「(メタ)アクリレート樹脂(B)」などと記載される場合がある。
上記一般式(7)において、Zが上記式(2)〜(6)からなる群から選ばれる縮環構造を含む二価基であることが好ましく、Zが上記式(2)である縮環構造を含む二価基であることがより好ましい。
Zが、上記式(2)〜(6)からなる群から選ばれる縮環構造を含む二価基である場合、芳香族を含む縮環骨格由来の高耐熱性、高屈折率が付与でき縮環の面構造由来の分散安定性が得られると共に、溶媒や各種樹脂等との相溶性や柔軟性が良好となる。さらに、Zが上記式(2)である縮環構造を含む二価基である場合、高いレベルでの耐熱性、屈折率、分散安定性と、溶媒や各種樹脂等との相溶性や柔軟性とのバランスに優れるものとなる。
また、本発明の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂は、上記縮環構造含有アルコール化合物(A)に、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルを作用させる工程を含む製法から得られるものである。
上記の方法により得られた縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂は、本明細書中で、「縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂(B1)」、「(メタ)アクリレート樹脂(B1)」などと記載される場合がある。この縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂(B1)は、前述の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂(B)に含まれる。
上記(メタ)アクリレート樹脂(B)は、例えば、上述のアルコール化合物(A)に(メタ)アクリル酸を作用させることにより得られる。
上記アルコール化合物(A)と(メタ)アクリル酸との反応(エステル化反応)は、いずれも必要に応じて適切な溶媒を用いて、30〜120℃の温度範囲において5〜30時間行なわれる。通常、硫酸などの酸触媒の存在下、水と共沸可能な有機溶剤を使用し、常圧、或いは減圧下、還流させ、反応で生成する水を共沸脱水することで、エステル化反応を促進させる。溶媒としては、例えばトルエンやキシレンなどの炭化水素類が好適に用いられる。用いられる酸触媒としては、例えば硫酸や塩酸などの無機酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸、強酸性イオン交換樹脂等が挙げられ、通常、反応物全体の0.01〜10重量%の範囲で用いられることが好ましい。さらに、必要に応じて着色防止剤や重合禁止剤を用いることが出来る。用いられる重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、4−メチルキノリン、p−t−ブチルカテコール等のフェノール系重合禁止剤、フェノチアジン、塩化銅(II)、塩化鉄(III)等が挙げられ、通常、反応物全体の10重量%以下の範囲で添加され得る。着色防止剤としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイドなどのリン系化合物を用いることができる。
上記(メタ)アクリレート樹脂(B)は、上述のアルコール化合物(A)に(メタ)アクリル酸エステルを作用させることによっても得ることができる。
上記アルコール化合物(A)と(メタ)アクリル酸エステルとの反応(エステル交換反応)は、いずれも必要に応じて適切な溶媒を用いて、30〜120℃の温度範囲において5〜30時間行なわれる。通常、硫酸などの酸触媒やアルカリ金属アルコキシド等の触媒存在下、必要に応じて有機溶剤を使用し、常圧、或いは減圧下、還流させ、反応で生成するアルコールを蒸留によって反応系外に除去することで、エステル化反応を促進させる。上記反応において用いられ得る(メタ)アクリル酸エステルとしては、反応終了後、未反応の(メタ)アクリル酸エステルを蒸留により除去することや、副生成物である原料の(メタ)アクリル酸エステルに由来するアルコールを蒸留により除去することを考慮すると、低分子量且つ低沸点のアルコール残基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。このような(メタ)アクリル酸エステルとしては単官能であることが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルが挙げられ、好ましくはメチル(メタ)アクリレートである。溶媒としては、例えばトルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒やヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒が好適に用いられる。用いられる触媒としては、例えば硫酸や塩酸などの無機酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸、強酸性イオン交換樹脂、アルカリ金属アルコキシド、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド等が挙げられ、通常、反応物全体の0.01〜30重量%の範囲で用いられることが好ましい。さらに、必要に応じて着色防止剤や重合禁止剤を用いることが出来る。用いられる重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、4−メチルキノリン、p−t−ブチルカテコール等のフェノール系重合禁止剤、フェノチアジン、塩化銅(II)、塩化鉄(III)等が挙げられ、通常、反応物全体の10重量%以下の範囲で添加され得る。着色防止剤としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイドなどのリン系化合物を用いることができる。
上記(メタ)アクリレート樹脂(B)は、熱硬化性または放射線硬化性を有する。熱または放射線を適宜選択して(メタ)アクリレート樹脂(B)を硬化させる。ここで、放射線とは、可視光線、紫外線、電子線、X線、α線、β線、γ線などを総称していう。
従って、この(メタ)アクリレート樹脂(B)を含む縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂組成物は、熱硬化性または放射線硬化性の樹脂組成物として機能する。該樹脂組成物には、縮環構造由来の耐熱性、分散性、光学特性等が付与され得る。
いずれの組成物においても上記(メタ)アクリレート樹脂(B)は単独で含有されていてもよく、2種以上の混合物として含有されていてもよい。
上記(メタ)アクリレート樹脂(B)を含む縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が放射線硬化性樹脂組成物である場合には、上記(メタ)アクリレート樹脂(B)に加えて(I)放射線重合開始剤が含有され得る。また、熱硬化性樹脂組成物である場合には、熱によりラジカルを発生する(II)ラジカル開始剤が含有され得る。さらにこれらの組成物のいずれにも、(III)上記(メタ)アクリレート樹脂(B)以外の放射線硬化性または熱硬化性の(メタ)アクリレート化合物、(IV)添加剤、(V)溶剤、(VI)固体微粒子などが含有され得る。
本発明の(メタ)アクリレート樹脂(B)を含む放射線硬化性樹脂組成物中に含有され得る(I)の放射線重合開始剤は、上記(メタ)アクリレート樹脂(B)および必要に応じて含有される上記(III)放射線硬化性の(メタ)アクリレート化合物の放射線重合を開始させる効果を有する化合物および/または増感効果を有する化合物である。このような放射線重合開始剤としては、例えば次の化合物が挙げられる:アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノンなどのアセトフェノン類;ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテンなどのイオウ化合物;2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノンなどのアントラキノン類;アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキサイドなどの有機過酸化物;および2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールなどのチオール化合物。
このような放射線重合開始剤の配合量は、放射線硬化性不飽和基含有化合物100重量部に対して、0.05〜5.0重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3.0重量部である。
上記「放射線硬化性不飽和基含有化合物」とは、上記放射線硬化性樹脂組成物中に含まれる全ての放射線硬化性を有する不飽和基含有化合物を意味し、本発明の(メタ)アクリレート樹脂(B)、及び、本発明の(メタ)アクリレート樹脂(B)以外の放射線硬化性の(メタ)アクリレート化合物などを含む。
これらの放射線重合開始剤は、その1種を単独で使用してもよく、また、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、それ自体では放射線重合開始剤として作用しないが、上記の化合物と組み合わせて用いることにより、放射線重合開始剤の能力を増大させ得るような化合物を添加することもできる。このような化合物としては、例えば、ベンゾフェノンと組み合わせて使用すると効果のあるトリエタノールアミンなどの第三級アミンを挙げることができる。
上記熱硬化性樹脂組成物に含有され得る(II)のラジカル開始剤としては、ケトンパーオキサイド系化合物、ジアシルパーオキサイド系化合物、ハイドロパーオキサイド系化合物、ジアルキルパーオキサイド系化合物、パーオキシケタール系化合物、アルキルパーエステル系化合物、パーカーボネート系化合物、アゾビス系化合物などから選ばれるラジカル開始剤が用いられる。特に、ジアシルパーオキサイド系あるいはアゾビス系のラジカル開始剤が好適であり、例えば過酸化ベンゾイル、α,α’−アゾビス(イソブチロニトリル)などが汎用される。これらの化合物は、その1種を単独で使用してもよく、また、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
このようなラジカル開始剤の配合量は、熱硬化性不飽和基含有化合物100重量部に対して、0.05〜10.0重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5.0重量部である。
上記「熱硬化性不飽和基含有化合物」とは、上記熱硬化性樹脂組成物に含まれる全ての熱硬化性を有する不飽和基含有化合物を意味し、本発明の(メタ)アクリレート樹脂(B)、及び、本発明の(メタ)アクリレート樹脂(B)以外の熱硬化性の(メタ)アクリレート化合物などを含む。
上記(III)の(メタ)アクリレート樹脂(B)以外の放射線硬化性または熱硬化性の(メタ)アクリレート化合物は、組成物が必要とされる物性に応じて、粘度調整剤あるいは光架橋剤として利用され、該化合物は所定の範囲内で組成物中に含有される。このような(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、次の化合物がある:2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの1価の(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレートなどの多価(メタ)アクリレート等。
これらの化合物は、その1種のみを単独で使用できるほか、2種以上を併用して使用することもできる。また、これらの化合物は、本発明の樹脂組成物の性質を損なわない範囲で含有され得る。通常は、(メタ)アクリレート樹脂(B)100重量部当たり、これらの化合物が50重量部以下の割合で含有されることが好ましい。50重量部を超える場合には、該成分を含む組成物を硬化させたときに割れが起こりやすく、密着性も低下しやすくなるおそれがある。
上記(IV)の添加剤としては、該組成物の使用目的に応じて、熱重合禁止剤、密着助剤、消泡剤、界面活性剤、可塑剤などが用いられる。
これらのうち熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、フェノチアジンなどが挙げられる。これらの化合物は、その1種のみを単独で使用できるほか、2種以上を併用して使用することもできる。このような熱重合禁止剤の配合量は、本発明の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂組成物100重量部に対して、5重量部以下の割合で含有され得る。
密着助剤は、(メタ)アクリレート樹脂(B)を含む液状の組成物が基材に塗布される場合に、基材との接着性を向上させる目的で添加される。該密着助剤としては、好ましくは、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアナト基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシラン化合物(官能性シランカップリング剤)が用いられる。このような官能性シランカップリング剤の具体例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。このような密着助剤の配合量は、通常、(メタ)アクリレート樹脂(B)100重量部に対して、5重量部以下の割合で含有され得る。
消泡剤としては、例えば、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、アクリル系化合物などが挙げられる。このような消泡剤の配合量は、通常、本発明の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂組成物100重量部に対して、10重量部以下の割合で含有され得る。
界面活性剤は、液状の組成物を塗布しやすくすること、得られる塗膜の平担度を向上させることなどの目的で含有される。界面活性剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。具体的には例えば、BM−1000[BMへミー社製];メガファックF142D、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF183[大日本インキ化学工業(株)製];フロラードFC−135、フロラードFC−170C、フロラードFC−430、フロラードFC−431[住友スリーエム(株)製];サーフロンS−112、サーフロンS−113、サーフロンS−131、サーフロンS−141、サーフロンS−145[旭硝子(株)製];SH−28PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8428、DC−57、DC−190[東レシリコーン(株)製]などが挙げられる。このような界面活性剤の配合量は、通常、本発明の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂組成物100重量部に対して、10重量部以下の割合で含有され得る。
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルなどが挙げられる。このような可塑剤の配合量は、通常、(メタ)アクリレート樹脂(B)100重量部に対して、20重量部以下の割合で含有され得る。
上記(V)の溶剤としては、例えば、次の溶剤が用いられる:メタノール、エタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチル−1−アセテートなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;ならびに2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、シュウ酸ジブチルなどのエステル類。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。このような溶剤を添加する場合、その配合量は、組成物全体の5〜70重量%が好ましい。
上記(VI)の固体微粒子としては、有機顔料や無機微粒子などが挙げられ、例えば光学材料、表示素子材料などの用途に好適に用いるために添加され得るものである。上記有機顔料の具体例としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物や、心金属がCu、Mg、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ge、Sn等の異種金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。また、上記無機微粒子の具体例としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化錫、酸化タンタル、酸化インジウムスズ、酸化ハフニウム硫酸バリウムなどの金属酸化物;炭酸カルシウム、塩化金、臭化金、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化パラジウム、塩化白金酸、塩化金酸ナトリウム、硝酸銀、白金アセチルアセトナート、パラジウムアセチルアセトナートなどの金属塩;金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムなどの貴金属類;亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等を挙げることができる。これら固体微粒子は、いずれも1種で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら固体微粒子の粒径は、例えば1nm〜5μmである。また、これら固体微粒子は、本発明の樹脂組成物の本来の性質を損なわない範囲の量で含有され得る。好ましくは、組成物全体の1〜95重量%の範囲で含有されうる。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物を硬化させるのに用いる放射線としては、波長の長いものから順に、可視光線、紫外線、電子線、X線、α線、β線、γ線などが挙げられる。これらの中で、経済性および効率性の点から、実用的には、紫外線が最も好ましい放射線である。本発明に用いる紫外線としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、アーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプなどのランプから発振される紫外光を好適に使用することができる。紫外線よりも波長の短い上記放射線は、化学反応性が高いため理論的には紫外線より優れているが、経済性の観点から紫外線が実用的である。
本発明の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂組成物は、目的に応じた成形体とされる。本発明の(メタ)アクリレート樹脂組成物を硬化させて得られる成形体も本発明の一つである。この成形体は、組成物自体の硬化物でなる所望の形状の製品、あるいは基材上に形成された該組成物の硬化物でなる塗膜であってもよい。
例えば溶媒を含む液状の組成物を基材上に塗布・乾燥し、次いで放射線(例えば光)を照射しあるいは加熱することにより、基材上に硬化膜を形成することができる。あるいは、上記放射線硬化性あるいは熱硬化性の組成物は、必要に応じて加熱溶融し、所定の型に流し込んで加熱、あるいは放射線照射することにより、所望の形状の成形体が得られる。
上記本発明の組成物により形成された成形体(塗膜を含む)は、高い硬度を有し、耐熱性に極めて優れ、さらに、高い屈折率を有する。
本発明の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂(B)は、耐熱性、光学特性に優れる。この(メタ)アクリレート樹脂を含有する熱硬化性あるいは放射線硬化性組成物は、種々の用途に利用される。具体的には、例えば、各種コーティング剤、特に高い硬度と耐熱性とを要求されるコーティング剤として有用である。あるいは、カラーフィルター用レジストインク材料;電子部品の保護膜用材料(例えば、カラーフィルターを包含する液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子などに用いられる保護膜の形成材料);層間絶縁および/または平坦化膜の形成材料;プリント配線板の製造に用いられるソルダーレジスト;あるいは、液晶表示素子におけるビーズスペーサーの代替となる柱状スペーサーの形成に好適な感光性組成物として好適に用いられる。さらに、本発明の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂組成物は、各種光学部品(レンズ、LED、プラスチックフィルム、基板、光ディスクなど)の材料;該光学部品の保護膜形成用のコーティング剤;光学部品用接着剤(光ファイバー用接着剤など);偏光板製造用のコーティング剤;ホログラム記録用感光性樹脂組成物原料などとして好適に利用される。
本発明の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂(B)は分散性に優れるので、組成物中に有機顔料や無機微粒子を分散させる場合に好適に用いることができる。このような組成物を硬化させて得られる成形体も本発明の一つである。
C.縮環構造含有ポリエステル樹脂
本発明の縮環構造含有ポリエステル樹脂は、下記一般式(8)で表される。
Figure 2010120902
ここで複数存在するXの一部または全部は、一般式(9)で表される2価基であり、複数存在するYの一部または全部は、置換基を有していてもよい芳香族の二価基であり、nは3以上の整数を表す。好適な実施形態としては、nが5以上のものが、耐熱性や成形性の点で好ましい。重量平均分子量としては、1500以上1000000以下であることが好ましい。
Figure 2010120902
ここでZは、六員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つ以上の芳香環との縮環構造、または、五員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つの芳香環との縮環構造を含む二価基であり、R1〜2は各々独立して、炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、q1〜2は各々独立して0から4までの整数であり、R3〜4は各々独立して水素原子またはメチル基であり、m1〜2は各々独立して1から10までの整数である。また、複数個のR1〜4は同一でも良いし、異なっていても良い。
Z及びR1〜2における官能基の例は、上記縮環構造含有アルコール化合物の場合と同様である。
好適な実施態様においては、一般式(9)のZが、式(2)〜(6)からなる群から選ばれる縮環構造を含む二価基、より好ましくは、得られるポリエステル樹脂の耐熱性、光学特性(高屈折率)と、各種樹脂等との相溶性や柔軟性のバランスが良くなる点から、式(2)である縮環構造を含む二価基である。
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
一般的に、ポリエステル樹脂には、単量体として、2官能以上のアルコール類と2官能以上のカルボン酸類、カルボン酸エステル類またはカルボン酸ハライド類が用いられ、これら単量体のエステル化、エステル交換反応により製造される。一般式(8)におけるXは、アルコール類の残基を示し、Yは、カルボン酸類、カルボン酸エステル類またはカルボン酸ハライド類の残基を示す。
一般式(8)におけるXは、一般式(9)の1種類だけではなく、複数種含有していても良い。Xが複数種含有する場合は、本発明のポリエステル樹脂の製造時に一般式(9)の構造を含有するアルコール化合物に加え、単量体として、他のアルコール化合物を同時あるいは段階的に反応させることにより得ることが出来る。
同様に、一般式(8)において、カルボン酸残基を示すYは、単一でも、同時に複数種存在していても良い。Yが複数種存在する場合は、ポリエステル樹脂の製造時に単量体として、2種以上のカルボン酸化合物、カルボン酸エステル化合物またはカルボン酸ハライド化合物を用いることで目的のポリエステル樹脂を得ることが出来る。
一般式(8)において、2種以上のXとYが存在する場合は、異なるXと異なるYの結合の順番は特に限定されるものではなく、同じ構造の繰返し単位が連続して結合する場合もあれば、ランダムに結合する場合もあり、これらは、ポリエステルの製造時の単量体の添加方法(添加順序)などにより制御され得る。例えば、単量体として、XとX’(いずれもアルコール化合物を表す)、及び、YとY’(いずれもカルボン酸化合物、カルボン酸エステル化合物またはカルボン酸ハライド化合物を表す)の4種類を用いて本発明のポリエステル樹脂を製造する場合、−(X−Y)−、−(X−Y’)−、−(X’−Y)−、−(X’−Y’)−という4種の繰返し単位が生成し得るが、同じ繰返し単位が連続して結合する場合もあれば、異なる種類の繰返し単位がランダムに結合する場合もある。
本発明の縮環構造含有ポリエステル樹脂は、アルコール成分として一般式(1)に示す縮環構造アルコール化合物を単量体として、公知の方法を使用して製造され得る。すなわち、エステル化、エステル交換法、界面重合法などの方法を用いることが出来る。
これらの重合方法の中で、界面重合法は、原料としてテレフタル酸ジクロライドなどの酸ハロゲン化物を使用し、複製する塩化水素などの酸を中和処理する必要があり、また、分子量制御も困難であることから、PETなど汎用のポリエステル樹脂の製造にも適用されているエステル交換法が好ましい。エステル交換法では、エチレングリコールなどのジオール類とテレフタル酸ジメチルのようなジカルボン酸エステルとを三酸化アンチモン等のアンチモン触媒、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物、ジルコニウム化合物、コバルト化合物、チタン化合物、スズ化合物などの触媒存在下で反応させ、過剰となったエチレングリコールを蒸留により除去し、所望の分子量になるまで反応を行うことにより製造される。また、反応助剤として、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド等のマグネシウム化合物、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、カルシウムアルコキサイド等のカルシウム化合物、燐化合物、水酸化ナトリウム、安息香酸ナトリウム等を上記触媒と併用してもよい。重合温度としては、重合方法により好適な条件は異なるが、エステル化、エステル交換法の場合、100から300度の温度範囲にて、2時間以上の反応時間で合成されるが、求める樹脂の分子量に応じて調整が必要であり、重合反応物の粘度や、副生成物である、水、アルコール類の回収量を確認しながら、適宜調整され得る。
一般式(8)におけるXの構造を供し得るアルコール類としては、一般式(1)のアルコール化合物の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのグリコール類、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式構造を含有するジオール類、或いは、エトキシ化ビスフェノールA(13)、プロポキシ化ビスフェノールA(14)、エトキシ化ビスフェノールフルオレン(15)、プロポキシ化ビスフェノールフルオレン(16)などのアルキレンオキシ化ビスフェノール類などが挙げられ、一般式(1)のアルコール化合物と1種以上を組み合わせて用いることが出来る。
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
一般式(8)におけるYの構造を供し得る芳香族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸エステルまたは芳香族ジカルボン酸ハライドとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、これらのメチルエステル及びこれらのハライドなどが挙げられる、これらは、単独でも2種以上を組み合わせても用いることが出来る。
また、必要に応じて、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸及びこれらのエステル化合物等の脂肪族カルボン酸及び、カルボン酸エステルを共重合しても良い。
本発明の縮環構造含有ポリエステル樹脂は、射出成形法、押出成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、加圧成形法、キャスティング成形法など、公知の成形方法により、フィルム、シート、繊維など所望の形状に成形することが可能である。また、各種の有機溶媒に対しても良好な溶解性を示すことから、各種のコーティング材、フォトレジストなどのバインダー樹脂などとしても用いることが出来る。
本発明の縮環構造含有ポリエステル樹脂から得られる成形体は、耐熱性、透明性、耐酸性、耐アルカリ性、耐薬品性、耐溶剤性などに優れる。そのため、本発明の縮環構造含有ポリエステル樹脂は、例えば、電子部品の保護膜用材料(例えば、カラーフィルターなどの液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子などに用いられる保護膜の形成材料);層間絶縁膜および/または平坦化膜の形成材料;カラーレジスト用バインダー:プリント配線板の製造に用いられるソルダーレジストのバインダー樹脂;等として好適に用いられる。さらに、本発明の縮環構造含有ポリエステル樹脂は、各種光学部品(レンズ、LED、プラスチックフィルム、基板、光ディスク、光ファイバーなど)の材料;該光学部品の保護膜形成用のコーティング剤;光学部品用接着剤(光ファイバー用接着剤など);偏光板製造用のコーティング剤;ホログラム記録用感光性樹脂組成物などとして好適に利用される。
D.縮環構造含有ポリウレタン樹脂
本発明の縮環構造含有ポリウレタン樹脂は、下記一般式(10)で表される。
Figure 2010120902
ここで複数存在するXの一部または全部は、一般式(9)で表される2価基であり、複数存在するUの一部または全部は、環状構造を有していてもよい炭素数2以上の脂肪族の2価基、または、置換基を有していてもよい芳香族の二価基であり、mは3以上の整数を表す。好適な実施形態としては、mが5以上のものが、耐熱性や成形性の点で好ましい。重量平均分子量としては、1500以上1000000以下であることが好ましい。
Figure 2010120902
ここでZは、六員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つ以上の芳香環との縮環構造、または、五員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つの芳香環との縮環構造を含む二価基であり、R1〜2は各々独立して、炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、q1〜2は各々独立して0から4までの整数であり、R3〜4は各々独立して水素原子またはメチル基であり、m1〜2は各々独立して1から10までの整数である。また、複数個のR1〜4は同一でも良いし、異なっていても良い。
Z及びR1〜2における官能基の例は、上記縮環構造含有アルコール化合物の場合と同様である。
好適な実施態様においては、一般式(9)のZが、式(2)〜(6)からなる群から選ばれる縮環構造を含む二価基、より好ましくは、得られるポリウレタン樹脂の耐熱性、光学特性(高屈折率)と、各種樹脂等との相溶性や柔軟性のバランスが良くなる点から、式(2)である縮環構造を含む二価基である。
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
一般的に、ポリウレタン樹脂は、単量体として、2官能以上のアルコール類と2官能以上のイソシアネート類との重付加反応により製造される。一般式(10)におけるXは、アルコール類の残基を示し、Uは、イソシアネート類の残基を示す。
一般式(10)におけるXは、一般式(9)の1種類だけではなく、複数種含有していても良い。Xが複数種含有する場合は、本発明のポリウレタン樹脂の製造時に一般式(9)の構造を含有するアルコール化合物に加え、単量体として、他のアルコール化合物を同時あるいは段階的に反応させることにより得ることが出来る。
同様に、一般式(10)において、イソシアネート残基を示すUは、単一でも、同時に複数種存在していても良い。Uが複数種存在する場合は、ポリウレタン樹脂の製造時に単量体として、2種以上のイソシアネート化合物を用いることで目的のポリウレタン樹脂を得ることが出来る。
一般式(10)において、2種以上のXとUが存在する場合は、異なるXと異なるUの結合の順番は特に限定されるものではなく、同じ構造の繰返し単位が連続して結合する場合もあれば、ランダムに結合する場合もあり、これらは、ポリウレタンの製造時の単量体の添加方法(添加順序)などにより制御され得る。例えば、単量体として、XとX’(いずれもアルコール化合物を表す)、及び、UとU’(いずれもイソシアネート化合物を表す)の4種類を用いて本発明のポリウレタン樹脂を製造する場合、−(X−U)−、−(X−U’)−、−(X’−U)−、−(X’−U’)−という4種の繰返し単位が生成し得るが、同じ繰返し単位が連続して結合する場合もあれば、異なる種類の繰返し単位がランダムに結合する場合もある。
本発明の縮環構造含有ポリウレタン樹脂は、アルコール成分として一般式(1)に示す縮環構造アルコール化合物を単量体として、公知の方法を使用して製造され得る。
すなわち、ポリオール(多価アルコール類)とポリイソシアネート類とを、ジブチルスズジラウレートなどの金属触媒やDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7−エン)などの三級アミン系類などの触媒存在下、必要に応じてケトン類や炭化水素類など活性水素を含まない溶媒を用い、0〜150℃、好ましくは、40〜80℃の温度範囲で製造される。
一般式(10)におけるXの構造を供し得るアルコール類としては、一般式(1)のアルコール化合物の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ジメチロールブタン酸などの低分子または高分子グリコール類、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式構造を含有するジオール類、或いは、エトキシ化ビスフェノールA(13)、プロポキシ化ビスフェノールA(14)、エトキシ化ビスフェノールフルオレン(15)、プロポキシ化ビスフェノールフルオレン(16)などのアルキレンオキシ化ビスフェノール類などが挙げられ、一般式(1)のアルコール化合物と1種以上を組み合わせて用いることが出来る。
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
Figure 2010120902
一般式(10)におけるUの構造を供し得るイソシアネート類としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(ジイソシアナトメチル)シクロヘキサンなどの脂肪族イソシアネートが挙げられ、これらは、単独でも2種以上を組み合わせても用いることが出来る。
本発明の縮環構造含有ポリウレタン樹脂は、各種の成形材料、コーティング材、フォトレジストなどのバインダー樹脂などとして用いることが出来る。
本発明の縮環構造含有ポリウレタン樹脂から得られる成形体は、耐熱性、透明性、耐酸性、耐アルカリ性、耐薬品性、耐溶剤性などに優れる。そのため、本発明の縮環構造含有ポリウレタン樹脂は、例えば、電子部品の保護膜用材料(例えば、カラーフィルターなどの液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子などに用いられる保護膜の形成材料);層間絶縁膜および/または平坦化膜の形成材料;カラーレジスト用バインダー:プリント配線板の製造に用いられるソルダーレジストのバインダー樹脂;等として好適に用いられる。さらに、本発明の縮環構造含有ポリウレタン樹脂は、各種光学部品(レンズ、LED、プラスチックフィルム、基板、光ディスク、光ファイバーなど)の材料;該光学部品の保護膜形成用のコーティング剤;光学部品用接着剤(光ファイバー用接着剤など);偏光板製造用のコーティング剤;ホログラム記録用感光性樹脂組成物などとして好適に利用される。
本発明によれば、このように、新規な縮環構造含有アルコール化合物、縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂、縮環構造含有ポリエステル樹脂、縮環構造含有ポリウレタン樹脂樹脂及びそれらの簡便な製造方法が提供される。(メタ)アクリレート樹脂は熱または放射線により重合し、硬化することが可能である。これら(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂は、微粒子の分散性に優れる。また、(メタ)アクリレート樹脂を含む樹脂組成物を用いて得られる硬化成形体あるいは薄膜は、透明性が高く、高屈折率であり、高いレベルでの耐熱性を有し、他の材料や有機溶媒との相溶性に優れる。従って、本発明の樹脂あるいは樹脂組成物は、例えば、電子部品の保護膜用材料(例えば、カラーフィルターなどの液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子などに用いられる保護膜の形成材料);層間絶縁膜および/または平坦化膜の形成材料;カラーレジスト用バインダー:プリント配線板の製造に用いられるソルダーレジストのバインダー樹脂;等として好適に用いられる。さらに、本発明の樹脂あるいは樹脂組成物は、各種光学部品(レンズ、LED、プラスチックフィルム、基板、光ディスク、光ファイバーなど)の材料;該光学部品の保護膜形成用のコーティング剤;光学部品用接着剤(光ファイバー用接着剤など);偏光板製造用のコーティング剤;ホログラム記録用感光性樹脂組成物などとして好適に利用される。
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。
実施例1
(縮環構造含有アルコール化合物の合成)
攪拌器、還流冷却器、温度計を装備した5Lフラスコに、フェノール719.0g(7.7モル)、ドデカンチオール15.6g(0.08モル)、及びキサントン250.0g(1.3モル)を添加し、攪拌を行った。攪拌を続けながら、濃硫酸13.3gを70〜80℃において、1時間かけて滴下仕込みした。そして、更に反応温度を90〜100℃に上げ、そのまま20時間攪拌をおこなった。その後、約1torrの減圧下、90〜100℃にて、過剰のフェノールを留出させ大略除去した。残渣にトルエン1000gを加え溶解し、一回当り5%の水酸化ナトリウム水溶液300gにて、有機層に残存しているフェノールがHPLC分析において検出されなくなるまで、繰返し洗浄を行った。水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、有機層を1%塩酸300gで洗浄した。有機層に、無水硫酸ナトリウム50gを添加し、有機層を乾燥し、ろ過により結晶物を除去後、有機層の固形分が10%になるまで、トルエンを減圧除去した。続いて、得られた残渣に、1,4−ジオキサン950g及び40%水酸化ナトリウム260gを添加し、溶解させた。この混合物にをエチレンクロルヒドリン314.0g(3.9モル)を50〜55℃の温度範囲で約5時間かけて滴下仕込みし、仕込み終了後、さらに1時間反応させた。反応終了後、反応混合物に、トルエン1500gを添加し、水層のpHが中性になるまで、一回あたり水300gで洗浄した。有機層に硫酸ナトリウム50gを添加し有機層を乾燥させ、乾燥後固形物をろ過により除去した。得られた濾液から、80℃以上の温度を保ち固形分が60体積%になるまで、溶媒を除去した。溶媒を除去した後、残渣を10℃まで1時間以上かけて冷却し、結晶を析出させ、結晶をろ過により回収し、以下の式(1.a)で示される多官能水酸基含有縮環構造化合物(上記一般式(1)において、Zが式(2)を含む二価基であり、R、R=水素原子、q=0、q=0、m=1、m=1、r=1、r=1)を得た。収量は305gであった。
Figure 2010120902
得られたアルコール化合物(1.a)について構造解析を行った。次にその結果を示す。
H−NMRのチャートを図1に示す。
〔1〕融点:207.6℃(DSCによる。DSC210型:セイコー電子工業株式会社製)
〔2〕H−NMR(溶媒:CDCl、内部標準:TMS)
ピーク δ、ppm
a 3.91−3.93 4H
b 4.02−4.04 4H
c 6.75−6.77 4H
d 6.85−6.87 4H
h 6.88−6.91 2H
g 7.00−7.03 2H
f 7.11−7.13 2H
e 7.22−7.25 2H
〔3〕MS m/n=455(M+H)+(装置:Waters社製alliance・ZQ
実施例2
(縮環構造含有(メタ)アクリレート化合物の合成)
攪拌器、還流冷却器、Dean−Starkトラップ、温度計を装備した1Lフラスコに、上記式(1.a)で示される縮環構造含有アルコール化合物158.0g(0.35モル)と、アクリル酸58.5g(0.81モル)とを仕込み、更に、反応触媒としてp−トルエンスルホン酸8.7g(0.05モル)、溶媒としてトルエン173.5g、重合禁止剤として4-メトキシフェノール(MEHQ)1.2gを加えた。次に、減圧下(350mmHg)、80から90℃にてトルエンを還流させ、共沸により反応で生成する水をDean−Starkトラップを用い、反応系外に除去した。還流開始後、約15時間で理論量の水が除去できたため、反応を終了し、反応液にトルエン200gと水100gを仕込み、反応触媒と過剰のアクリル酸を除去した。続いて、有機層を1%の水酸化ナトリウム水溶液で5回水洗した。さらに、有機層を水100gで洗浄した後、有機層に硫酸ナトリウム70gを加え、有機層を乾燥後、ろ過により固形物を除去し、減圧下、溶媒のトルエンを除去し、一般式(7)において、Zが式(2)を含む二価基であり、R、R、R、R=水素原子、q=0、q=0、m=1、m=1、r=1、r=1で示される縮環構造含有アクリレート樹脂(下式(7.a))を得た。この樹脂のアクリル基含量は295g/eq(理論値 281g/eq)、GPC測定における純度は95%であった。
Figure 2010120902
実施例3
(縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂を含むUV硬化性樹脂組成物を用いた成形体の調製および評価)
実施例2で得られた、縮環構造含有アクリレート樹脂(7.a)(100重量部)とイルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)(3重量部)とを溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中に溶解し、濃度約30重量%の溶液とした。この縮環構造含有アクリレート樹脂を含む溶液を、スピンナーを用いてガラス基板およびシリコン基板上に塗布した後、90℃のホットプレート上で120秒間プリベークして、厚みが約2μmの塗膜を得た。次に、高圧水銀灯(400W)にて300mJ/cmの光を照射し、塗膜を硬化させた。得られた硬化膜について、次の項目の評価を行った。本実施例に用いた組成物の組成を表1に、そして得られた硬化膜の評価結果を表2に示す。後述の実施例4および比較例1〜4についても合わせて表1および表2に示す。
(1)屈折率
上記得られたシリコン基板上の硬化膜につき、光干渉式膜質測定機にて632.8nmにおける屈折率を測定する。
(2)全光線透過率
上記得られた硬化膜につき、スガ試験機株式会社製ダブルビーム方式ヘーズコンピューターMODEL HGM−2Bにて全光線透過率を測定する。
(3)柔軟性
本発明のUV硬化性樹脂組成物をPETフィルム上にバーコーターを使用して塗布し、100℃の送風乾燥機にて5分間乾燥させた後、高圧水銀灯(400W)にて300mJ/cmの光を照射し、塗膜を硬化させ、5μmの膜厚の塗膜試験片を得た。
得られた塗膜試験片をゆっくり折り曲げ、薄膜にひび割れが生じたときの角度を測定し、次の基準で柔軟性を評価する。
○:曲げ角度が90°以上
△:曲げ角度が45°超〜90°未満
×:曲げ角度が45°以下
(4)耐磨耗性(耐擦傷性)
基材上の硬化膜表面を、#1000のスチールウールで軽く押さえながら、該スチールウールを30往復させて摩擦する。この塗膜表面の傷の程度を次の基準で判断し、耐摩耗性を評価する。
○:傷がつかない
△:傷はつくが光沢は保たれている
×:無数に傷がつき、光沢が失われる
(5)密着性
上記得られた硬化膜につき、JIS−K−5400に準じ、碁盤目剥離試験により評価する。
(6)耐熱性
上記得られた硬化膜を250℃、3時間オーブンに入れキュアベークを行う。キュアベーク前後における膜厚変化率[(キュアベーク前の膜厚−キュアベーク後の膜厚)/(キュアベーク前の膜厚)]×100を求める。この評価においては値が小さい程、耐熱性が良い。
(7)膜収縮率
露光硬化前後における膜厚変化率を算出する。
露光硬化前後における膜厚変化率=[(露光前の膜厚−露光後の膜厚)/(露光前の膜厚)]×100
実施例4
実施例3中のアクリレート樹脂(7.a)100重量部を(メタ)アクリレート樹脂(7.a)75重量部およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)25重量部の混合物に変更したこと以外は、実施例3と同様の条件で薄膜を作成し、評価を行った。
比較例1
実施例3中のアクリレート樹脂(7.a)をフルオレン型アクリレート樹脂(17)(大阪ガスケミカル製、オグソールEA)に変更したこと以外は、実施例3と同様の条件で薄膜を作成し、評価を行った。
Figure 2010120902
比較例2
実施例4中のアクリレート樹脂(7.a)をフルオレン型アクリレート樹脂(17)(大阪ガスケミカル製、オグソールEA)に変更したこと以外は、実施例4と同様の条件で薄膜を作成し、評価を行った。
比較例3
実施例3中のアクリレート樹脂(7.a)をビスフェノールA型メタアクリレート樹脂(18)(共栄社化学製、ライトエステルBP−2EM)に変更したこと以外は、実施例3と同様の条件で薄膜を作成し、評価を行った。
Figure 2010120902
比較例4
実施例4中のアクリレート樹脂(7.a)をビスフェノールA型メタアクリレート樹脂(18)(共栄社化学製、ライトエステルBP−2EM)に変更したこと以外は、実施例4と同様の条件で薄膜を作成し、評価を行った。
Figure 2010120902
Figure 2010120902
表1〜2の結果から明らかなように、本発明の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂を用いると、透明性が高く、高いレベルでの屈折率、耐熱性を有し、柔軟性の良好な硬化薄膜が得られることがわかる。
実施例5
(縮環構造含有ポリエステル樹脂の合成)
攪拌器、リービッヒ冷却管、ガス導入管、温度計を装備した300mLフラスコに、上記式(1.a)で示される縮環構造含有アルコール化合物104.5g(0.23モル)と、エチレングリコール14.4g(0.23モル)、テレフタル酸ジメチル45.0g(0.23モル)とを仕込み、更に、反応触媒として酢酸カルシウム0.09g、三酸化アンチモン0.19gを加え、窒素ガスを導入しながら、180℃で加熱し、副生するメタノールを蒸留により除去しながら2時間反応させた。次に、275℃、10mmHg以の減圧下にて、エチレングリコールを蒸留により除去しながら3時間重合反応を行った。反応終了後、そのまま反応容器から得られた樹脂を掻き出した。
(縮環構造含有ポリエステル樹脂の評価)
得られた樹脂を200℃に設定したプレス成形機を使用し、5Mpaの圧力で、厚み0.5mmのシートを作成し、得られたシートの屈折率、全光線透過率、柔軟性を測定した。
得られたシートの評価結果を表3に示す。後述の比較例5についても合わせて表2に示す。
(1)屈折率
上記得られたシートにつき、ERMA INC.製ユニバーサルアッベ屈折計にて屈折率を測定する。
(2)全光線透過率
上記得られたシートにつき、スガ試験機株式会社製ダブルビーム方式ヘーズコンピューターMODEL HGM−2Bにて全光線透過率を測定する。
(3)柔軟性
上記得られたシートを約90度折り曲げ、次の基準でシートの柔軟性を判断した。
○:折り曲げることができる
×:折り曲げることが出来ない、又は、折り曲げると試験片が割れる
比較例5(フルオレン系)
実施例5において、縮環構造含有アルコール化合物(1.a)をビスフェノキシエタノールフルオレン(15)(大阪ガスケミカル製、BPEF)100gに変更した以外は、実施例5と同じ操作にて重合反応及び評価を行った。本比較例においては、重合初期段階では反応液は不均一で、275℃の反応において、5時間以上を要した。
Figure 2010120902
Figure 2010120902
実施例5および比較例5の結果から明らかなように、本発明の縮環構造含有ポリエステル樹脂を用いると、屈折率と透明性が高く、柔軟性に優れた成形体が得られることがわかる。
本発明によれば、このように、新規な縮環構造含有アルコール化合物は、高いレベルでの光学特性、耐熱性および柔軟性を有する(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂を製造するのに好適である。さらに、縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び、それらの簡便な製造方法が提供される。(メタ)アクリレート樹脂は熱または放射線により重合し、硬化することが可能である。これら(メタ)アクリレート樹脂を含む樹脂組成物は、微粒子の分散性に優れる。また、これらを含む樹脂組成物を用いて得られる硬化成形体あるいは薄膜は、透明性が高く、高いレベルでの光学特性、耐熱性、柔軟性を有する。従って、本発明の樹脂あるいは樹脂組成物は、各種電子部品(カラーフィルターを包含する液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子など)の保護膜形成材料;層間絶縁膜の形成材料、カラーレジスト用バインダー組成物;プリント配線板製造の際に用いられるソルダーレジスト;コーティング剤;光学部品材料などとして好適に用いられる。
実施例1で得られた、本発明の縮環構造含有アルコール化合物のH−NMRチャートである。

Claims (17)

  1. 下記一般式(1)で表される縮環構造含有アルコール化合物。
    Figure 2010120902
    ここでZは、六員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つ以上の芳香環との縮環構造、または、五員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つの芳香環との縮環構造を含む二価基であり、R1〜2は各々独立して、炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、q1〜2は各々独立して0から4までの整数であり、r1〜2は各々独立して1から5までの整数であり、R3〜4は各々独立して水素原子またはメチル基であり、m1〜2は各々独立して1から10までの整数である。また、複数個のR1〜4は同一でも良いし、異なっていても良い。
  2. Zが、式(2)〜(6)からなる群から選ばれる縮環構造を含む二価基である請求項1に記載の縮環構造含有アルコール化合物。
    Figure 2010120902
    Figure 2010120902
    Figure 2010120902
    Figure 2010120902
    Figure 2010120902
  3. Zが、式(2)である縮環構造を含む二価基である請求項1または2に記載の縮環構造含有アルコール化合物。
    Figure 2010120902
  4. およびrが1である請求項1〜3のいずれか一項に記載の縮環構造含有アルコール化合物。
  5. 下記一般式(7)で表される縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂。
    Figure 2010120902
    ここでZは、六員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つ以上の芳香環との縮環構造、または、五員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つの芳香環との縮環構造を含む二価基であり、R1〜2は各々独立して炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、q1〜2は各々独立して0から4までの整数であり、R3〜6は各々独立して水素原子またはメチル基であり、m1〜2は各々独立して1から10までの整数であり、r1〜2は各々独立して1から5までの整数である。また、複数個のR1〜6は同一でも良いし、異なっていても良い。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の縮環構造含有アルコール化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとを反応させる工程を含む製法から得られる請求項5記載の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂。
  7. Zが、式(2)〜(6)からなる群から選ばれる縮環構造を含む二価基である請求項5または6に記載の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂。
    Figure 2010120902
    Figure 2010120902
    Figure 2010120902
    Figure 2010120902
    Figure 2010120902
  8. Zが、式(2)である縮環構造を含む二価基である請求項5〜7のいずれか一項に記載の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂。
    Figure 2010120902
  9. 請求項5〜8のいずれか一項に記載の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂の製造方法であって、請求項1〜4のいずれか一項に記載の縮環構造含有アルコール化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとを反応させる工程を包含する方法。
  10. 請求項5〜8のいずれか一項に記載の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂を含む縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂組成物。
  11. 請求項10に記載の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂組成物を硬化させて得られる成形体。
  12. 一般式(8)で表される繰返し単位を有する縮環構造含有ポリエステル樹脂。
    Figure 2010120902
    ここで複数存在するXの一部または全部は、一般式(9)で表される2価基であり、複数存在するYの一部または全部は、置換基を有していてもよい芳香族の二価基であり、nは3以上の整数を表す。
    Figure 2010120902
    ここでZは、六員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つ以上の芳香環との縮環構造、または、五員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つの芳香環との縮環構造を含む二価基であり、R1〜2は各々独立して、炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、q1〜2は各々独立して0から4までの整数であり、R3〜4は各々独立して水素原子またはメチル基であり、m1〜2は各々独立して1から10までの整数である。また、複数個のR1〜4は同一でも良いし、異なっていても良い。
  13. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の縮環構造含有アルコール化合物を必須成分とする1種以上のジオール化合物と芳香族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸エステル及び芳香族ジカルボン酸ハライドからなる群から選ばれる少なくとも一種とを反応させて得られる請求項12に記載の縮環構造含有ポリエステル樹脂。
  14. Zが、式(2)である縮環構造を含む二価基である請求項12または13に記載の縮環構造含有ポリエステル樹脂。
    Figure 2010120902
  15. 一般式(10)で表される繰返し単位を有する縮環構造含有ポリウレタン樹脂。
    Figure 2010120902
    ここで複数存在するXの一部または全部は、一般式(9)で表される2価基であり、複数存在するUの一部または全部は、環状構造を有していてもよい炭素数2以上の脂肪族の2価基、または、置換基を有していてもよい芳香族の二価基であり、mは3以上の整数を表す。
    Figure 2010120902
    ここでZは、六員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つ以上の芳香環との縮環構造、または、五員環の脂環式化合物(環上に炭素以外の原子を含んでもよい)と1つの芳香環との縮環構造を含む二価基であり、R1〜2は各々独立して、炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は、ハロゲン原子であり、q1〜2は各々独立して0から4までの整数であり、R3〜4は各々独立して水素原子またはメチル基であり、m1〜2は各々独立して1から10までの整数である。また、複数個のR1〜4は同一でも良いし、異なっていても良い。
  16. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の縮環構造含有アルコール化合物を必須成分とする1種以上のジオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られる請求項15に記載の縮環構造含有ポリウレタン樹脂。
  17. Zが、式(2)である縮環構造を含む二価基である請求項15または16に記載の縮環構造含有ポリウレタン樹脂。
    Figure 2010120902
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