JP5517022B2 - 縮環構造含有アルコール化合物 - Google Patents
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Description
さらに本発明は、該(メタ)アクリレート樹脂を含む熱硬化性あるいは放射線硬化性の樹脂組成物であって、カラーフィルター、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子などにおける保護膜や層間絶縁膜を調製するために有用な組成物に関する。さらに本発明は、該樹脂組成物を用いて得られる、耐熱性、光学特性等に優れる成形体に関する。
例えば、ビスフェノールAやエトキシ化あるいはプロポキシ化されたビスフェノールAは、アクリレートやポリカーボネートの原料として多用されている。また、ポリエステルやポリウレタン樹脂の原料としては、各種のアルキレングリコールなどの脂肪族アルコールが用いられている。しかし、これらの樹脂は耐熱性、光学特性および機械特性が不充分であり、例えば、高いレベルの光学特性、耐熱性等が要求される電子材料分野においては不充分である。
これらの要求に対しては、例えば、フルオレン骨格を有するアルコール化合物を出発原料としたアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂が提案されており、フルオレン骨格に由来する高いレベルの特性を実現している(特許文献1、2、3)。しかし、フルオレン骨格が剛直で結晶性の高い性質を有するために、原料であるフルオレン骨格含有アルコール化合物の他原料に対する相溶性が乏しく、アクリレート樹脂やポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の製造において、不利となる可能性がある。また、フルオレン骨格は剛直で、極性に乏しいため、樹脂製造において該骨格の導入比率を高くするにつれて、光学特性や耐熱性などの諸特性は向上するが、得られた樹脂は柔軟性に乏しく、脆くなるなど、機械特性に問題点があり、他の樹脂との相溶性、混和性、各種基材との密着性などに問題が発生する。これらは、樹脂の製造時や各種組成物の配合時に他成分を導入することにより改善は可能であるが、結果として、フルオレン骨格の含有量が低下し、光学特性や耐熱性などの良好な特性を失うこととなる。このような状況の中、近年のより高いレベルの光学特性、耐熱性、機械特性や各種材料との相溶性に対する要求に対応可能な優れた機能性樹脂が求められている。
A.縮環構造含有アルコール化合物
本発明の縮環構造含有アルコール化合物は、下記一般式(1)で表される。
R1〜2における炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。炭素数1から5のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。置換基を有していてもよいフェニル基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ビフェニル基、シクロヘキシルフェニル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
また、上記一般式(7)、(8)及び(10)で表される本発明の各樹脂は、例えばこの工程を含むプロセス(製造方法)によって得られる。
これらは例示であり、これらの製造法に限定されるものではない。
本発明の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂は、下記一般式(7)で表される。
上記アルコール化合物(A)と(メタ)アクリル酸との反応(エステル化反応)は、いずれも必要に応じて適切な溶媒を用いて、30〜120℃の温度範囲において5〜30時間行なわれる。通常、硫酸などの酸触媒の存在下、水と共沸可能な有機溶剤を使用し、常圧、或いは減圧下、還流させ、反応で生成する水を共沸脱水することで、エステル化反応を促進させる。溶媒としては、例えばトルエンやキシレンなどの炭化水素類が好適に用いられる。用いられる酸触媒としては、例えば硫酸や塩酸などの無機酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸、強酸性イオン交換樹脂等が挙げられ、通常、反応物全体の0.01〜10重量%の範囲で用いられることが好ましい。さらに、必要に応じて着色防止剤や重合禁止剤を用いることが出来る。用いられる重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、4−メチルキノリン、p−t−ブチルカテコール等のフェノール系重合禁止剤、フェノチアジン、塩化銅(II)、塩化鉄(III)等が挙げられ、通常、反応物全体の10重量%以下の範囲で添加され得る。着色防止剤としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイドなどのリン系化合物を用いることができる。
上記アルコール化合物(A)と(メタ)アクリル酸エステルとの反応(エステル交換反応)は、いずれも必要に応じて適切な溶媒を用いて、30〜120℃の温度範囲において5〜30時間行なわれる。通常、硫酸などの酸触媒やアルカリ金属アルコキシド等の触媒存在下、必要に応じて有機溶剤を使用し、常圧、或いは減圧下、還流させ、反応で生成するアルコールを蒸留によって反応系外に除去することで、エステル化反応を促進させる。上記反応において用いられ得る(メタ)アクリル酸エステルとしては、反応終了後、未反応の(メタ)アクリル酸エステルを蒸留により除去することや、副生成物である原料の(メタ)アクリル酸エステルに由来するアルコールを蒸留により除去することを考慮すると、低分子量且つ低沸点のアルコール残基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。このような(メタ)アクリル酸エステルとしては単官能であることが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルが挙げられ、好ましくはメチル(メタ)アクリレートである。溶媒としては、例えばトルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒やヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒が好適に用いられる。用いられる触媒としては、例えば硫酸や塩酸などの無機酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸、強酸性イオン交換樹脂、アルカリ金属アルコキシド、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド等が挙げられ、通常、反応物全体の0.01〜30重量%の範囲で用いられることが好ましい。さらに、必要に応じて着色防止剤や重合禁止剤を用いることが出来る。用いられる重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、4−メチルキノリン、p−t−ブチルカテコール等のフェノール系重合禁止剤、フェノチアジン、塩化銅(II)、塩化鉄(III)等が挙げられ、通常、反応物全体の10重量%以下の範囲で添加され得る。着色防止剤としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイドなどのリン系化合物を用いることができる。
いずれの組成物においても上記(メタ)アクリレート樹脂(B)は単独で含有されていてもよく、2種以上の混合物として含有されていてもよい。
上記「放射線硬化性不飽和基含有化合物」とは、上記放射線硬化性樹脂組成物中に含まれる全ての放射線硬化性を有する不飽和基含有化合物を意味し、本発明の(メタ)アクリレート樹脂(B)、及び、本発明の(メタ)アクリレート樹脂(B)以外の放射線硬化性の(メタ)アクリレート化合物などを含む。
上記「熱硬化性不飽和基含有化合物」とは、上記熱硬化性樹脂組成物に含まれる全ての熱硬化性を有する不飽和基含有化合物を意味し、本発明の(メタ)アクリレート樹脂(B)、及び、本発明の(メタ)アクリレート樹脂(B)以外の熱硬化性の(メタ)アクリレート化合物などを含む。
これらの化合物は、その1種のみを単独で使用できるほか、2種以上を併用して使用することもできる。また、これらの化合物は、本発明の樹脂組成物の性質を損なわない範囲で含有され得る。通常は、(メタ)アクリレート樹脂(B)100重量部当たり、これらの化合物が50重量部以下の割合で含有されることが好ましい。50重量部を超える場合には、該成分を含む組成物を硬化させたときに割れが起こりやすく、密着性も低下しやすくなるおそれがある。
これら固体微粒子の粒径は、例えば1nm〜5μmである。また、これら固体微粒子は、本発明の樹脂組成物の本来の性質を損なわない範囲の量で含有され得る。好ましくは、組成物全体の1〜95重量%の範囲で含有されうる。
本発明の縮環構造含有ポリエステル樹脂は、下記一般式(8)で表される。
一般式(8)におけるXは、一般式(9)の1種類だけではなく、複数種含有していても良い。Xが複数種含有する場合は、本発明のポリエステル樹脂の製造時に一般式(9)の構造を含有するアルコール化合物に加え、単量体として、他のアルコール化合物を同時あるいは段階的に反応させることにより得ることが出来る。
同様に、一般式(8)において、カルボン酸残基を示すYは、単一でも、同時に複数種存在していても良い。Yが複数種存在する場合は、ポリエステル樹脂の製造時に単量体として、2種以上のカルボン酸化合物、カルボン酸エステル化合物またはカルボン酸ハライド化合物を用いることで目的のポリエステル樹脂を得ることが出来る。
一般式(8)において、2種以上のXとYが存在する場合は、異なるXと異なるYの結合の順番は特に限定されるものではなく、同じ構造の繰返し単位が連続して結合する場合もあれば、ランダムに結合する場合もあり、これらは、ポリエステルの製造時の単量体の添加方法(添加順序)などにより制御され得る。例えば、単量体として、XとX’(いずれもアルコール化合物を表す)、及び、YとY’(いずれもカルボン酸化合物、カルボン酸エステル化合物またはカルボン酸ハライド化合物を表す)の4種類を用いて本発明のポリエステル樹脂を製造する場合、−(X−Y)−、−(X−Y’)−、−(X’−Y)−、−(X’−Y’)−という4種の繰返し単位が生成し得るが、同じ繰返し単位が連続して結合する場合もあれば、異なる種類の繰返し単位がランダムに結合する場合もある。
これらの重合方法の中で、界面重合法は、原料としてテレフタル酸ジクロライドなどの酸ハロゲン化物を使用し、複製する塩化水素などの酸を中和処理する必要があり、また、分子量制御も困難であることから、PETなど汎用のポリエステル樹脂の製造にも適用されているエステル交換法が好ましい。エステル交換法では、エチレングリコールなどのジオール類とテレフタル酸ジメチルのようなジカルボン酸エステルとを三酸化アンチモン等のアンチモン触媒、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物、ジルコニウム化合物、コバルト化合物、チタン化合物、スズ化合物などの触媒存在下で反応させ、過剰となったエチレングリコールを蒸留により除去し、所望の分子量になるまで反応を行うことにより製造される。また、反応助剤として、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド等のマグネシウム化合物、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、カルシウムアルコキサイド等のカルシウム化合物、燐化合物、水酸化ナトリウム、安息香酸ナトリウム等を上記触媒と併用してもよい。重合温度としては、重合方法により好適な条件は異なるが、エステル化、エステル交換法の場合、100から300度の温度範囲にて、2時間以上の反応時間で合成されるが、求める樹脂の分子量に応じて調整が必要であり、重合反応物の粘度や、副生成物である、水、アルコール類の回収量を確認しながら、適宜調整され得る。
また、必要に応じて、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸及びこれらのエステル化合物等の脂肪族カルボン酸及び、カルボン酸エステルを共重合しても良い。
本発明の縮環構造含有ポリエステル樹脂から得られる成形体は、耐熱性、透明性、耐酸性、耐アルカリ性、耐薬品性、耐溶剤性などに優れる。そのため、本発明の縮環構造含有ポリエステル樹脂は、例えば、電子部品の保護膜用材料(例えば、カラーフィルターなどの液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子などに用いられる保護膜の形成材料);層間絶縁膜および/または平坦化膜の形成材料;カラーレジスト用バインダー:プリント配線板の製造に用いられるソルダーレジストのバインダー樹脂;等として好適に用いられる。さらに、本発明の縮環構造含有ポリエステル樹脂は、各種光学部品(レンズ、LED、プラスチックフィルム、基板、光ディスク、光ファイバーなど)の材料;該光学部品の保護膜形成用のコーティング剤;光学部品用接着剤(光ファイバー用接着剤など);偏光板製造用のコーティング剤;ホログラム記録用感光性樹脂組成物などとして好適に利用される。
本発明の縮環構造含有ポリウレタン樹脂は、下記一般式(10)で表される。
一般式(10)におけるXは、一般式(9)の1種類だけではなく、複数種含有していても良い。Xが複数種含有する場合は、本発明のポリウレタン樹脂の製造時に一般式(9)の構造を含有するアルコール化合物に加え、単量体として、他のアルコール化合物を同時あるいは段階的に反応させることにより得ることが出来る。
同様に、一般式(10)において、イソシアネート残基を示すUは、単一でも、同時に複数種存在していても良い。Uが複数種存在する場合は、ポリウレタン樹脂の製造時に単量体として、2種以上のイソシアネート化合物を用いることで目的のポリウレタン樹脂を得ることが出来る。
一般式(10)において、2種以上のXとUが存在する場合は、異なるXと異なるUの結合の順番は特に限定されるものではなく、同じ構造の繰返し単位が連続して結合する場合もあれば、ランダムに結合する場合もあり、これらは、ポリウレタンの製造時の単量体の添加方法(添加順序)などにより制御され得る。例えば、単量体として、XとX’(いずれもアルコール化合物を表す)、及び、UとU’(いずれもイソシアネート化合物を表す)の4種類を用いて本発明のポリウレタン樹脂を製造する場合、−(X−U)−、−(X−U’)−、−(X’−U)−、−(X’−U’)−という4種の繰返し単位が生成し得るが、同じ繰返し単位が連続して結合する場合もあれば、異なる種類の繰返し単位がランダムに結合する場合もある。
すなわち、ポリオール(多価アルコール類)とポリイソシアネート類とを、ジブチルスズジラウレートなどの金属触媒やDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7−エン)などの三級アミン系類などの触媒存在下、必要に応じてケトン類や炭化水素類など活性水素を含まない溶媒を用い、0〜150℃、好ましくは、40〜80℃の温度範囲で製造される。
本発明の縮環構造含有ポリウレタン樹脂から得られる成形体は、耐熱性、透明性、耐酸性、耐アルカリ性、耐薬品性、耐溶剤性などに優れる。そのため、本発明の縮環構造含有ポリウレタン樹脂は、例えば、電子部品の保護膜用材料(例えば、カラーフィルターなどの液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子などに用いられる保護膜の形成材料);層間絶縁膜および/または平坦化膜の形成材料;カラーレジスト用バインダー:プリント配線板の製造に用いられるソルダーレジストのバインダー樹脂;等として好適に用いられる。さらに、本発明の縮環構造含有ポリウレタン樹脂は、各種光学部品(レンズ、LED、プラスチックフィルム、基板、光ディスク、光ファイバーなど)の材料;該光学部品の保護膜形成用のコーティング剤;光学部品用接着剤(光ファイバー用接着剤など);偏光板製造用のコーティング剤;ホログラム記録用感光性樹脂組成物などとして好適に利用される。
(縮環構造含有アルコール化合物の合成)
攪拌器、還流冷却器、温度計を装備した5Lフラスコに、フェノール719.0g(7.7モル)、ドデカンチオール15.6g(0.08モル)、及びキサントン250.0g(1.3モル)を添加し、攪拌を行った。攪拌を続けながら、濃硫酸13.3gを70〜80℃において、1時間かけて滴下仕込みした。そして、更に反応温度を90〜100℃に上げ、そのまま20時間攪拌をおこなった。その後、約1torrの減圧下、90〜100℃にて、過剰のフェノールを留出させ大略除去した。残渣にトルエン1000gを加え溶解し、一回当り5%の水酸化ナトリウム水溶液300gにて、有機層に残存しているフェノールがHPLC分析において検出されなくなるまで、繰返し洗浄を行った。水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、有機層を1%塩酸300gで洗浄した。有機層に、無水硫酸ナトリウム50gを添加し、有機層を乾燥し、ろ過により結晶物を除去後、有機層の固形分が10%になるまで、トルエンを減圧除去した。続いて、得られた残渣に、1,4−ジオキサン950g及び40%水酸化ナトリウム260gを添加し、溶解させた。この混合物にをエチレンクロルヒドリン314.0g(3.9モル)を50〜55℃の温度範囲で約5時間かけて滴下仕込みし、仕込み終了後、さらに1時間反応させた。反応終了後、反応混合物に、トルエン1500gを添加し、水層のpHが中性になるまで、一回あたり水300gで洗浄した。有機層に硫酸ナトリウム50gを添加し有機層を乾燥させ、乾燥後固形物をろ過により除去した。得られた濾液から、80℃以上の温度を保ち固形分が60体積%になるまで、溶媒を除去した。溶媒を除去した後、残渣を10℃まで1時間以上かけて冷却し、結晶を析出させ、結晶をろ過により回収し、以下の式(1.a)で示される多官能水酸基含有縮環構造化合物(上記一般式(1)において、Zが式(2)を含む二価基であり、R3、R4=水素原子、q1=0、q2=0、m1=1、m2=1、r1=1、r2=1)を得た。収量は305gであった。
1H−NMRのチャートを図1に示す。
ピーク δ、ppm
a 3.91−3.93 4H
b 4.02−4.04 4H
c 6.75−6.77 4H
d 6.85−6.87 4H
h 6.88−6.91 2H
g 7.00−7.03 2H
f 7.11−7.13 2H
e 7.22−7.25 2H
(縮環構造含有(メタ)アクリレート化合物の合成)
攪拌器、還流冷却器、Dean−Starkトラップ、温度計を装備した1Lフラスコに、上記式(1.a)で示される縮環構造含有アルコール化合物158.0g(0.35モル)と、アクリル酸58.5g(0.81モル)とを仕込み、更に、反応触媒としてp−トルエンスルホン酸8.7g(0.05モル)、溶媒としてトルエン173.5g、重合禁止剤として4-メトキシフェノール(MEHQ)1.2gを加えた。次に、減圧下(350mmHg)、80から90℃にてトルエンを還流させ、共沸により反応で生成する水をDean−Starkトラップを用い、反応系外に除去した。還流開始後、約15時間で理論量の水が除去できたため、反応を終了し、反応液にトルエン200gと水100gを仕込み、反応触媒と過剰のアクリル酸を除去した。続いて、有機層を1%の水酸化ナトリウム水溶液で5回水洗した。さらに、有機層を水100gで洗浄した後、有機層に硫酸ナトリウム70gを加え、有機層を乾燥後、ろ過により固形物を除去し、減圧下、溶媒のトルエンを除去し、一般式(7)において、Zが式(2)を含む二価基であり、R3、R4、R5、R6=水素原子、q1=0、q2=0、m1=1、m2=1、r1=1、r2=1で示される縮環構造含有アクリレート樹脂(下式(7.a))を得た。この樹脂のアクリル基含量は295g/eq(理論値 281g/eq)、GPC測定における純度は95%であった。
(縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂を含むUV硬化性樹脂組成物を用いた成形体の調製および評価)
実施例2で得られた、縮環構造含有アクリレート樹脂(7.a)(100重量部)とイルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)(3重量部)とを溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中に溶解し、濃度約30重量%の溶液とした。この縮環構造含有アクリレート樹脂を含む溶液を、スピンナーを用いてガラス基板およびシリコン基板上に塗布した後、90℃のホットプレート上で120秒間プリベークして、厚みが約2μmの塗膜を得た。次に、高圧水銀灯(400W)にて300mJ/cm2の光を照射し、塗膜を硬化させた。得られた硬化膜について、次の項目の評価を行った。本実施例に用いた組成物の組成を表1に、そして得られた硬化膜の評価結果を表2に示す。後述の実施例4および比較例1〜4についても合わせて表1および表2に示す。
上記得られたシリコン基板上の硬化膜につき、光干渉式膜質測定機にて632.8nmにおける屈折率を測定する。
上記得られた硬化膜につき、スガ試験機株式会社製ダブルビーム方式ヘーズコンピューターMODEL HGM−2Bにて全光線透過率を測定する。
本発明のUV硬化性樹脂組成物をPETフィルム上にバーコーターを使用して塗布し、100℃の送風乾燥機にて5分間乾燥させた後、高圧水銀灯(400W)にて300mJ/cm2の光を照射し、塗膜を硬化させ、5μmの膜厚の塗膜試験片を得た。
得られた塗膜試験片をゆっくり折り曲げ、薄膜にひび割れが生じたときの角度を測定し、次の基準で柔軟性を評価する。
○:曲げ角度が90°以上
△:曲げ角度が45°超〜90°未満
×:曲げ角度が45°以下
基材上の硬化膜表面を、#1000のスチールウールで軽く押さえながら、該スチールウールを30往復させて摩擦する。この塗膜表面の傷の程度を次の基準で判断し、耐摩耗性を評価する。
○:傷がつかない
△:傷はつくが光沢は保たれている
×:無数に傷がつき、光沢が失われる
上記得られた硬化膜につき、JIS−K−5400に準じ、碁盤目剥離試験により評価する。
上記得られた硬化膜を250℃、3時間オーブンに入れキュアベークを行う。キュアベーク前後における膜厚変化率[(キュアベーク前の膜厚−キュアベーク後の膜厚)/(キュアベーク前の膜厚)]×100を求める。この評価においては値が小さい程、耐熱性が良い。
露光硬化前後における膜厚変化率を算出する。
露光硬化前後における膜厚変化率=[(露光前の膜厚−露光後の膜厚)/(露光前の膜厚)]×100
実施例3中のアクリレート樹脂(7.a)100重量部を(メタ)アクリレート樹脂(7.a)75重量部およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)25重量部の混合物に変更したこと以外は、実施例3と同様の条件で薄膜を作成し、評価を行った。
実施例3中のアクリレート樹脂(7.a)をフルオレン型アクリレート樹脂(17)(大阪ガスケミカル製、オグソールEA)に変更したこと以外は、実施例3と同様の条件で薄膜を作成し、評価を行った。
実施例4中のアクリレート樹脂(7.a)をフルオレン型アクリレート樹脂(17)(大阪ガスケミカル製、オグソールEA)に変更したこと以外は、実施例4と同様の条件で薄膜を作成し、評価を行った。
実施例3中のアクリレート樹脂(7.a)をビスフェノールA型メタアクリレート樹脂(18)(共栄社化学製、ライトエステルBP−2EM)に変更したこと以外は、実施例3と同様の条件で薄膜を作成し、評価を行った。
実施例4中のアクリレート樹脂(7.a)をビスフェノールA型メタアクリレート樹脂(18)(共栄社化学製、ライトエステルBP−2EM)に変更したこと以外は、実施例4と同様の条件で薄膜を作成し、評価を行った。
(縮環構造含有ポリエステル樹脂の合成)
攪拌器、リービッヒ冷却管、ガス導入管、温度計を装備した300mLフラスコに、上記式(1.a)で示される縮環構造含有アルコール化合物104.5g(0.23モル)と、エチレングリコール14.4g(0.23モル)、テレフタル酸ジメチル45.0g(0.23モル)とを仕込み、更に、反応触媒として酢酸カルシウム0.09g、三酸化アンチモン0.19gを加え、窒素ガスを導入しながら、180℃で加熱し、副生するメタノールを蒸留により除去しながら2時間反応させた。次に、275℃、10mmHg以の減圧下にて、エチレングリコールを蒸留により除去しながら3時間重合反応を行った。反応終了後、そのまま反応容器から得られた樹脂を掻き出した。
得られた樹脂を200℃に設定したプレス成形機を使用し、5Mpaの圧力で、厚み0.5mmのシートを作成し、得られたシートの屈折率、全光線透過率、柔軟性を測定した。
得られたシートの評価結果を表3に示す。後述の比較例5についても合わせて表2に示す。
上記得られたシートにつき、ERMA INC.製ユニバーサルアッベ屈折計にて屈折率を測定する。
上記得られたシートにつき、スガ試験機株式会社製ダブルビーム方式ヘーズコンピューターMODEL HGM−2Bにて全光線透過率を測定する。
上記得られたシートを約90度折り曲げ、次の基準でシートの柔軟性を判断した。
○:折り曲げることができる
×:折り曲げることが出来ない、又は、折り曲げると試験片が割れる
実施例5において、縮環構造含有アルコール化合物(1.a)をビスフェノキシエタノールフルオレン(15)(大阪ガスケミカル製、BPEF)100gに変更した以外は、実施例5と同じ操作にて重合反応及び評価を行った。本比較例においては、重合初期段階では反応液は不均一で、275℃の反応において、5時間以上を要した。
Claims (15)
- r1およびr2が1である請求項1または2に記載の縮環構造含有アルコール化合物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の縮環構造含有アルコール化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとを反応させる工程を含む製法から得られる請求項4記載の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂。
- 請求項4〜6のいずれか一項に記載の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂の製造方法であって、請求項1〜3のいずれか一項に記載の縮環構造含有アルコール化合物と(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとを反応させる工程を包含する方法。
- 請求項4〜6のいずれか一項に記載の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂を含む縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂組成物。
- 請求項8に記載の縮環構造含有(メタ)アクリレート樹脂組成物を硬化させて得られる成形体。
- 一般式(8)で表される繰返し単位を有する縮環構造含有ポリエステル樹脂。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の縮環構造含有アルコール化合物を必須成分とする1種以上のジオール化合物と芳香族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸エステル及び芳香族ジカルボン酸ハライドからなる群から選ばれる少なくとも一種とを反応させて得られる請求項10に記載の縮環構造含有ポリエステル樹脂。
- 一般式(10)で表される繰返し単位を有する縮環構造含有ポリウレタン樹脂。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の縮環構造含有アルコール化合物を必須成分とする1種以上のジオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られる請求項13に記載の縮環構造含有ポリウレタン樹脂。
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