JP7200668B2 - オリゴアザフルオレンモノマー - Google Patents

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JP7200668B2 JP2018244666A JP2018244666A JP7200668B2 JP 7200668 B2 JP7200668 B2 JP 7200668B2 JP 2018244666 A JP2018244666 A JP 2018244666A JP 2018244666 A JP2018244666 A JP 2018244666A JP 7200668 B2 JP7200668 B2 JP 7200668B2
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Description

本発明は、光学特性、耐熱性、熱安定性および溶解性に優れた、オリゴアザフルオレン
モノマーに関する。
近年、フルオレン環を側鎖に有するジヒドロキシ化合物やジエステル化合物は、ポリカ
ーボネート樹脂やポリエステル樹脂、または、ポリエステルポリカーボネート樹脂の原料
として用いられている例が数多く報告されており、フルオレン環に由来する光学特性と耐
熱性といった特徴を活かし、光学用途に有用な材料として提案されている(例えば、特許
文献1参照)。
また、特許文献2では、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオ
レンを用いたポリカーボネート樹脂が高屈折率で、レンズ用材料として有用であることが
開示されている。特許文献3では、同一分子内に2つのフルオレン環を有するジヒドロキ
シ化合物やジエステル化合物を用いたポリエステル樹脂およびポリエステルポリカーボネ
ート樹脂の延伸フィルムが短波長になるほど位相差が小さくなる逆波長分散性を示し、光
弾性係数も低いことから、位相差フィルムとして優れた性能を有していることが開示され
ている。さらに最近では、フルオレン環の炭素原子を窒素原子に置き換えたアザフルオレ
ン環を持つジヒドロキシ化合物が提案され、高屈折率で低アッベ数を示すことからレンズ
材料として好適であることが開示されている(特許文献4参照)。
特開平10-101786号公報 特開2010-254806号公報 国際公開第2014/061677号パンフレット 国際公開第2017/146022号パンフレット
近年、撮像モジュールの小型化に伴い、用いられる光学材料に対してもより一層小型化
、薄肉化の要求が強まっている。光学材料を小型化、薄肉化していくためには、色収差の
影響を回避するため、高屈折率で、アッベ数の小さい材料が求められている。
また、加工性や生産性に優れたポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂などの熱可塑
性樹脂が近年、光学材料に広く用いられるようになってきている。しかしながら、熱可塑
性樹脂は射出成型により成型されるため、光弾性係数の大きい材料では残留応力の影響で
応力複屈折が生じ光学歪みが現れる原因となる。
一方で、ポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂などの代表的な製造法として溶融重
縮合法が挙げられる。溶融重縮合法ではその名の通り、原料となるモノマーを溶融状態で
均一で反応させることが重要であるため、高融点の化合物や他の原料に対して溶解度や溶
解速度が著しく低いモノマーは、より高温で溶解させる必要があったり、溶解までの時間
が長くなったりするので、樹脂の分解や色調の悪化が懸念されるうえ、設備面の負荷が高
く、作業性や生産性の低下が予想される。しかし、高屈折率、低アッベ数を示すモノマー
の多くは、芳香環が広く拡張された多環式の化合物であるため、芳香環同士のπ-π相互
作用が強く、一般的に高融点で、溶解性が低い傾向にある。また、芳香環が広く拡張され
た多環式の化合物は光弾性係数が高くなる傾向にある。
しかしながら、本発明者らの検討により、特許文献1で用いられている2,2′-[9
H―フルオレン-9-イリデンビス(4,1-フェニレンオキシ)]ビスエタノールや、
特許文献2で用いられている9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フル
オレンは光学材料に小型化、薄肉化が求められている近年においては、屈折率やアッベ数
が十分でないことが明らかになった。特許文献3に記載の同一分子内に2つのフルオレン
環を有するジヒドロキシ化合物やジエステル化合物は、樹脂にした際の光弾性係数は低く
、有用であるが、やはり屈折率やアッベ数は十分でなく、モノマーとしての溶解度が不十
分であるため、取扱いの面で問題がある。一方で、特許文献4に記載のアザフルオレン環
を有する化合物は、高屈折率で、アッベ数が低く、優れた光学特性を示すが、光弾性係数
、溶解度の記載がなく、不明である。一般に、側鎖にフェニレン基などの芳香環を持つ化
合物は、芳香環の回転運動により、光弾性係数が高くなる傾向にある。そのため、特許文
献4に記載のモノマーも側鎖にフェノキシ基やフェノキシエトキシ基などの芳香環を持つ
ために、光弾性係数は高いことが予想される。
本発明の目的は、上記従来の問題点を解消し、光学材料向けに優れた光学特性を示し、
溶解性に優れ、取扱いの面でも良好な化合物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく、鋭意検討を重ねた結果、オリゴアザフルオレン
モノマーが優れた光学特性、耐熱性、熱安定性および良好な溶解性を示すことを見出し、
本発明に到達した。
即ち本発明は以下を要旨とする。
[1]下記一般式(1)で表されるオリゴアザフルオレンモノマー。
Figure 0007200668000001
(式中、A~Aはそれぞれ独立に=CH-又は=N-を示す。ただし、A~A
少なくとも一つは=N-を含む。R及びRは、それぞれ独立に、直接結合、置換され
ていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数6~10のア
リーレン基、置換されていてもよい炭素数4~8のヘテロアリーレン基、置換されていて
もよい炭素数8~12のアラルキレン基、若しくは置換されていてもよい炭素数6~10
のヘテロアラルキレン基、又は置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置
換されていてもよい炭素数6~10のアリーレン基、置換されていてもよい炭素数4~8
のヘテロアリーレン基、置換されていてもよい炭素数8~12のアラルキレン基及び置換
されていてもよい炭素数6~10のヘテロアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以
上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてよい窒素原子若し
くはカルボニル基で、連結された基であり、
~R10は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10の
アルキル基、置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基、置換されていてもよい
炭素数4~10のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、
置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数6~
11のアリールオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数
2~10のビニル基又はエチニル基、置換基を有するケイ素原子、置換基を有する硫黄原
子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基であり、
11は、水素原子、置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基、置換されて
いてもよい炭素数4~10のヘテロアリール基、又は置換されていてもよい炭素数1~1
0のアルキル基である。
ただし、R~R10のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成し
ていてもよい。nは1~5の整数値を示す。)
[2] 前記一般式(1)におけるR11が、置換されていてもよい炭素数6~10のア
リール基であることを特徴とする、[1]に記載のオリゴアザフルオレンモノマー。
[3] 下記一般式(1)で表されるオリゴアザフルオレンモノマーと、下記一般式(2
)で表されるアザフルオレンモノマーとを含むオリゴアザフルオレンモノマー組成物。
Figure 0007200668000002
Figure 0007200668000003
(式中、A~Aはそれぞれ独立に=CH-又は=N-を示す。ただし、A~A
少なくとも一つは=N-を含む。R及びRは、それぞれ独立に、直接結合、置換され
ていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数6~10のア
リーレン基、置換されていてもよい炭素数4~8のヘテロアリーレン基、置換されていて
もよい炭素数8~12のアラルキレン基、若しくは置換されていてもよい炭素数6~10
のヘテロアラルキレン基、又は置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置
換されていてもよい炭素数6~10のアリーレン基、置換されていてもよい炭素数4~8
のヘテロアリーレン基、置換されていてもよい炭素数8~12のアラルキレン基及び置換
されていてもよい炭素数6~10のヘテロアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以
上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてよい窒素原子若し
くはカルボニル基で、連結された基であり、
~R10は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10の
アルキル基、置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基、置換されていてもよい
炭素数4~10のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、
置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数6~
11のアリールオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数
2~10のビニル基又はエチニル基、置換基を有するケイ素原子、置換基を有する硫黄原
子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基であり、
11は、水素原子、置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基、置換されて
いてもよい炭素数4~10のヘテロアリール基、又は置換されていてもよい炭素数1~1
0のアルキル基である。
ただし、R~R10のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成し
ていてもよい。nは1~5の整数値を示す。)
[4] 前記一般式(1)及び前記一般式(2)におけるR11が、置換されていてもよ
い炭素数6~10のアリール基であることを特徴とする、[3]に記載のオリゴアザフル
オレンモノマー組成物。
[5] 下記一般式(3)で表されるアザフルオレンジアリールエステルモノマー。
Figure 0007200668000004
(式中、A~Aはそれぞれ独立に=CH-又は=N-を示す。ただし、A~A
少なくとも一つは=N-を含む。R及びRは、それぞれ独立に、直接結合、置換され
ていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数6~10のア
リーレン基、置換されていてもよい炭素数4~8のヘテロアリーレン基、置換されていて
もよい炭素数8~12のアラルキレン基、若しくは置換されていてもよい炭素数6~10
のヘテロアラルキレン基、又は置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置
換されていてもよい炭素数6~10のアリーレン基、置換されていてもよい炭素数4~8
のヘテロアリーレン基、置換されていてもよい炭素数8~12のアラルキレン基及び置換
されていてもよい炭素数6~10のヘテロアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以
上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてよい窒素原子若し
くはカルボニル基で、連結された基であり、
~R10は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10の
アルキル基、置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基、置換されていてもよい
炭素数4~10のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、
置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数6~
11のアリールオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数
2~10のビニル基又はエチニル基、置換基を有するケイ素原子、置換基を有する硫黄原
子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基であり、
Arは、置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基である。
ただし、R~R10のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成して
いてもよい。)
本発明のオリゴアザフルオレンモノマーは、光学特性、耐熱性および熱安定性に優れて
おり、さらには優れた溶解性も兼ね備えていることから、光学用途、特に光学レンズ用の
材料として有用である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本
発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容
に限定されない。本発明において、「重量」は「質量」と同義である。また、本発明にお
いて、「置換基を有していてもよい」は「置換されていてもよい」と同義である。
<1.オリゴアザフルオレンモノマー>
本発明のオリゴアザフルオレンモノマーは、下記一般式(1)で表される。
Figure 0007200668000005
(式中、A~Aはそれぞれ独立に=CH-又は=N-を示す。ただし、A~A
少なくとも一つは=N-を含む。R及びRは、それぞれ独立に、直接結合、置換され
ていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数6~10のア
リーレン基、置換されていてもよい炭素数4~8のヘテロアリーレン基、置換されていて
もよい炭素数8~12のアラルキレン基、若しくは置換されていてもよい炭素数6~10
のヘテロアラルキレン基、又は置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置
換されていてもよい炭素数6~10のアリーレン基、置換されていてもよい炭素数4~8
のヘテロアリーレン基、置換されていてもよい炭素数8~12のアラルキレン基及び置換
されていてもよい炭素数6~10のヘテロアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以
上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてよい窒素原子若し
くはカルボニル基で、連結された基であり、
~R10は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10の
アルキル基、置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基、置換されていてもよい
炭素数4~10のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、
置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数6~
11のアリールオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数
2~10のビニル基又はエチニル基、置換基を有するケイ素原子、置換基を有する硫黄原
子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基であり、
11は、水素原子、置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基、置換されて
いてもよい炭素数4~10のヘテロアリール基、又は置換されていてもよい炭素数1~1
0のアルキル基である。
ただし、R~R10のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成し
ていてもよい。nは1~5の整数値を示す。)
なお、R1及びR2は下記と同義である。
1及びR2は、それぞれ独立に、以下に示す(a)~(e)からなる群から選ばれるい
ずれか1つである。
(a)直接結合
(b)置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基
(c)置換されていてもよい炭素数6~10のアリーレン基
(d)置換されていてもよい炭素数4~8のヘテロアリーレン基
(e)置換されていてもよい炭素数8~12のアラルキレン基
(f)置換されていてもよい炭素数6~10のヘテロアラルキレン基
(e)置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素
数6~10のアリーレン基、置換されていてもよい炭素数4~8のヘテロアリーレン基、
置換されていてもよい炭素数8~12のアラルキレン基及び置換されていてもよい炭素数
6~10のヘテロアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置
換されていてもよい硫黄原子、置換されていてもよい窒素原子又はカルボニル基で連結さ
れた基
<1-1.置換基の具体例>
1及びRにおいて、「置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基」の具
体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メチレン基、エチレ
ン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレンなどの直
鎖状のアルキレン基;メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチルメチレン基、プロ
ピルメチレン基、ブチルメチレン基、(1-メチルエチル)メチレン基、1-メチルエチ
レン基、2-メチルエチレン基、1-エチルエチレン基、2-エチルエチレン基、1-メ
チルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、1,1-ジメチルエチレン基、2,2-ジ
メチルプロピレン基、3-メチルプロピレン基などの分岐鎖を含むアルキレン基(R
びRにおいて置換位置の数値は、フルオレン環側の炭素からつけるものとする);下記
[A]群に示されるような脂環構造の任意の2箇所に直鎖状又は分岐状のアルキレン基の
結合手を持つ脂環式アルキレン基
Figure 0007200668000006
(上記[A]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置については任意であ
り、同一炭素に2つの結合手が置換していてもよい。);下記[B]群に示されるような
複素環構造の任意の2箇所に直鎖状又は分岐状のアルキレン基の結合手を持つ複素環式ア
ルキレン基
Figure 0007200668000007
(上記[B]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置については任意であ
り、同一炭素に2つの結合手が置換していてもよい。)が挙げられる。
上記[A]群に示されるような脂環構造や、上記[B]群に示されるような複素環構造
が、任意の2箇所に有している直鎖状又は分岐状のアルキレン基の結合手の具体的な構造
は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メチレン基、エチレン基、n-
プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレンなどの直鎖状のアル
キレン基;1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、1-エチルエチレン基、2-
エチルエチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、1,1-ジメチ
ルエチレン基、2,2-ジメチルプロピレン基、3-メチルプロピレン基などの分岐鎖を
含むアルキレン基(ここで置換位置の数値は、上記環構造に結合した炭素からつけるもの
とする)が挙げられる。
また、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基における炭素数は、屈折率
を高くするという観点では、6以下であることが好ましく、3以下であることがより好ま
しい。一方で樹脂組成物に柔軟性を付与するとの観点からは、その炭素数は2以上である
ことが好ましい。
特に、工業的に安価に製造できるとの観点からは、R1及びR2は、メチレン基、エチレ
ン基、2-メチルエチレン基であることが好ましい。
当該アルキレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子
、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルコキシ基(例、メトキシ基
、エトキシ基等);炭素数1~10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭
素数1~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ
基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭
素数1~10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1~
10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1~10のアシル基(例
、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド
基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1~3個の置換基を
有していてもよい炭素数6~11のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙
げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置換基が2個
以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製
造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアルキレン基の具体例としては、シクロブチルメチレン基、シク
ロペンチルメチレン基、シクロヘキシルメチレン基、1-シクロヘキシルプロピレン基な
どのアルキル基置換アルキレン基;フェニルメチレン基、1-フェニルエチレン基、1-
フェニルプロピレン基などのアリール基置換アルキレン基;1,1,2,2-テトラフル
オロエチレン基、トリクロロメチルメチレン基、トリフルオロメチルメチレン基などのハ
ロゲン原子置換アルキレン基;2-メトキシメチル-2-メチルプロピレン基などのアル
コキシ基置換アルキレン基などが挙げられる。(R及びRにおいて置換位置の数値は
、アザフルオレン環側の炭素からつけるものとする)
及びRにおいて、「置換されていてもよい炭素数6~10のアリーレン基」の具
体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、1,2-フェニレン
基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基等のフェニレン基;1,5-ナフチレ
ン基、2,6-ナフチレン基等のナフチレン基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基における炭素数は、8以下である
ことが好ましく、6以下であることがより好ましい。
当該アリーレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子
、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルキル基(例、メチル基、エ
チル基、イソプロピル基等);炭素数1~10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキ
シ基等);炭素数1~10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1~
10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シア
ノ基等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置
換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的
に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアリーレン基の具体例としては、2-メチル-1,4-フェニレ
ン基、3-メチル-1,4-フェニレン基、3,5-ジメチル-1,4-フェニレン基、
3-メトキシ-1,4-フェニレン基、3-トリフルオロメチル-1,4-フェニレン基
、2,5-ジメトキシ-1,4-フェニレン基、2,3,5,6-テトラフルオロ-1,
4-フェニレン基、2,3,5,6-テトラクロロ-1,4-フェニレン基、3-ニトロ
-1,4-フェニレン基、3-シアノ-1,4-フェニレン基などが挙げられる。
及びRにおいて、「置換されていてもよい炭素数4~8のヘテロアリーレン基」
の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、2,5-ピリジ
レン基、2,6-ピリジレン基、2,4-チエニレン基、2,5-チエニレン基、2,4
-フリレン基、2,5-フリレン基などのヘテロアリーレン基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数4~8のヘテロアリーレン基における炭素数は、6以下で
あることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
当該ヘテロアリーレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ
素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルキル基(例、メチル
基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1~10のアルコキシ基(例、メトキシ基、
エトキシ基等);炭素数1~10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素
数1~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基
;シアノ基等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好まし
い。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、
工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいヘテロアリーレン基の具体例としては、3,5-ジメチル-2,
6-ピリジレン基、3,4-ジメチル-2,5-チエニレン基、3,4-ジメチル-2,
5-フリレン基などが挙げられる。
及びRにおいて、「置換されていてもよい炭素数8~12のアラルキレン基」の
具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、下記[C]群に示
されるようなアラルキレン基
Figure 0007200668000008
が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数8~12のアラルキレン基における炭素数は、10以下で
あることが好ましい。
当該アラルキレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルキル基(例、メチル基、
エチル基、イソプロピル基等);炭素数1~10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エト
キシ基等);炭素数1~10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1
~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シ
アノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1
~10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1~10の
アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1~10のアシル基(例、アセ
チル基、ベンゾイル基等)、炭素数1~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベ
ンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1~3個の置換基を有して
いてもよい炭素数6~11のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられ
る。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置換基が2個以上あ
る場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造でき
るとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアラルキレン基の具体例としては、2-メチル-1,4-キシリ
レン基、2,5-ジメチル-1,4-キシリレン基、2-メトキシ-1,4-キシリレン
基、2,5-ジメトキシ-1,4-キシリレン基、2,3,5,6-テトラフルオロ-1
,4-キシリレン基、α,α-ジメチル-1,4-キシリレン基、α,α,α’,α’-
テトラメチル-1,4-キシリレン基、などが挙げられる。
及びRにおいて、「置換されていてもよい炭素数6~10のヘテロアラルキレン
基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、下記[D]群
に示されるようなヘテロアラルキレン基
Figure 0007200668000009
が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数6~10のヘテロアラルキレン基における炭素数は、7以
下であることが好ましい。
当該ヘテロアラルキレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フ
ッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルキル基(例、メチ
ル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1~10のアルコキシ基(例、メトキシ基
、エトキシ基等);炭素数1~10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭
素数1~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ
基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭
素数1~10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1~
10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1~10のアシル基(例
、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド
基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1~3個の置換基を
有していてもよい炭素数6~11のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙
げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置換基が2個
以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製
造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいヘテロアラルキレン基の具体例としては、3,5-ジメチル-2
,6-ピリジレンジメチレン基、3,4-ジメチル-2,5-チエニレンジメチレン基、
3,4-ジメチル-2,5-フリレンジメチレン基などが挙げられる。
及びRにおいて、「置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換
されていてもよい炭素数6~10のアリーレン基、置換されていてもよい炭素数4~8の
ヘテロアリーレン基、置換されていてもよい炭素数8~12のアラルキレン基及び置換さ
れていてもよい炭素数6~10のヘテロアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上
の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてもよい窒素原子また
はカルボニル基で連結された基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定される
ものではないが、下記[E]群に示されるような2価の基
Figure 0007200668000010
が挙げられる。これらの中で好ましくは、樹脂組成物の透明性と安定性を保持したまま柔
軟性を付与することができる、アルキレン基、アリーレン基またはアラルキレン基から選
ばれる2つ以上の基が酸素原子で連結された基であり、より好ましくは、柔軟性を付与し
つつ樹脂組成物のガラス転移温度を高くできる、下記[F]群に示されるようなアルキレ
ン基が酸素原子で連結された基である。
Figure 0007200668000011
及びRについて、これらの中で好ましくは、直接結合、置換されていてもよい炭
素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数6~10のアリーレン基、又
は置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数6
~10のアリーレン基及び置換されていてもよい炭素数6~10のアラルキレン基からな
る群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換され
ていてもよい窒素原子若しくはカルボニル基で連結された基であり、より好ましくは直接
結合、直鎖状のアルキレン基、分岐鎖を含むアルキレン基、上記[A]群に示されるよう
な脂環構造の任意の2箇所に直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基の結合手を持つ脂環式
アルキレン基、フェニレン基、又は置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基
、置換されていてもよい炭素数6~10のアリーレン基及び置換されていてもよい炭素数
8~12のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子で連結され
た基であり、さらに好ましくは、芳香環を有さないことで光学材料に求められる低い光弾
性係数を達成できる傾向がある、直接結合、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基
、n-ブチレン基、メチルメチレン基、1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、
2,2-ジメチルプロピレン基、2-メトキシメチル-2-メチルプロピレン基又は下記
[G]群に示されるような脂環式アルキレン基
Figure 0007200668000012
(上記[G]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置については任意であ
り、同一炭素に2つの結合手が置換していてもよい。)、よりさらに好ましくは、直接結
合、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、メチルメチレン基、
1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、又は2,2-ジメチルプロピレン基であ
り、特に好ましくは、メチレン基、エチレン基、又はn-プロピレン基である。鎖長が長
いとガラス転移温度が低くなる傾向があるため、短い鎖状の基、例えば炭素数2以下の基
が好ましい。最も好ましくは、短段階かつ工業的に安価に導入できる優位性もあるメチレ
ン基及びエチレン基である。
一方、光学材料の機械強度や高温での信頼性を改善する目的で、樹脂組成物のガラス転
移温度を高くすることのできる、炭素数6~10のアリーレン基、又は置換されていても
よい炭素数1~10のアルキレン基及び置換されていてもよい炭素数6~10のアリーレ
ン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子で連結された基が好ましく、1,
4-フェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、2,6-ナフチレン
基、又は下記[H]群に示されるような2価の基がより好ましい。
Figure 0007200668000013
また、光学材料として使用する場合、R及びRを適切に選択することが重要である
。好ましくは直接結合、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換され
ていてもよい炭素数6~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数1~10
のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数6~10のアリーレン基及び置換されてい
てもよい炭素数8~12のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素
原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてもよい窒素原子若しくはカルボニ
ル基で連結された基である。
より好ましくは直接結合、直鎖状のアルキレン基、分岐鎖を含むアルキレン基、上記[
A]群に示されるような脂環構造の任意の2箇所に直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基
の結合手を持つ脂環式アルキレン基、フェニレン基、又は置換されていてもよい炭素数1
~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数6~10のアリーレン基及び置換さ
れていてもよい炭素数6~10のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が
、酸素原子で連結された基である。
さらに好ましくは、芳香環を有さないことで光学フィルムに求められる低い光弾性係数
を達成できる、直接結合、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基
、メチルメチレン基、1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、2,2-ジメチル
プロピレン基、2-メトキシメチル-2-メチルプロピレン基又は上記[G]群に示され
るような脂環式アルキレン基、或いは、樹脂組成物のガラス転移温度を高くできる、1,
4-フェニレン基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基及び置換されて
いてもよい炭素数6~10のアリーレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素
原子で連結された基である。
よりさらに好ましくは、直接結合、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-
ブチレン基、メチルメチレン基、1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、又は2
,2-ジメチルプロピレン基である。
特に好ましくは、メチレン基、エチレン基、又はn-プロピレン基である。鎖長が長い
とガラス転移温度が低くなる傾向があるため、短い鎖状の基、例えば炭素数3以下の基が
好ましい。さらに、分子構造が小さくなるので光学材料中のアザフルオレン環の割合を高
くすることができることから、所望とする光学物性を効率良く発現させることができる。
また、R及びRは同一であることが、製造を容易にするため好ましい。
~R10において「置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基」の具体的
な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メチル基、エチル基、n
-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル、n-デシルなどの直鎖状
のアルキル基;イソプロピル基、2-メチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、
2-エチルヘキシル基などの分岐鎖を含むアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの環状のアルキル基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基における炭素数は、4以下であるこ
とが好ましく、2以下であることがより好ましい。この範囲内であると、アザフルオレン
環同士の立体障害が生じにくく、アザフルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる
傾向がある。
当該アルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルコキシ基(例、メトキシ基、
エトキシ基等);炭素数1~10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素
数1~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基
;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素
数1~10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1~1
0のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1~10のアシル基(例、
アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基
、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1~3個の置換基を有
していてもよい炭素数6~11のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げ
られる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置換基が2個以
上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造
できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ベンジル
基、4-メトキシベンジル基、メトキシメチル基などが挙げられる。
~R10において「置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基」の具体的
な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、フェニル基、1-ナフチ
ル基、2-ナフチル基等のアリール基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基における炭素数は、8以下であるこ
とが好ましく、7以下であることがより好ましい。この範囲内であると、アザフルオレン
環同士の立体障害が生じにくく、アザフルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる
傾向がある。
当該アリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルコキシ基(例、メトキシ基、
エトキシ基等);炭素数1~10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素
数1~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基
;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素
数1~10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1~1
0のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1~10のアシル基(例、
アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基
、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1~3個の置換基を有
していてもよい炭素数6~11のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げ
られる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置換基が2個以
上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造
できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアリール基の具体例としては、2-メチルフェニル基、4-メチ
ルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、4-ベンゾイルフェニル基、4-メトキシ
フェニル基、4-ニトロフェニル基、4-シアノフェニル基、3-トリフルオロメチルフ
ェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、3,4-メチレンジオキシフェニル基、2,
3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
~R10において「置換されていてもよい炭素数4~10のヘテロアリール基」の
具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、2-ピリジル基、
2-チエニル基、2-フリル基などのヘテロアリール基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数4~10のヘテロアリール基における炭素数は、8以下で
あることが好ましく、6以下であることがより好ましい。この範囲内であると、アザフル
オレン環同士の立体障害が生じにくく、アザフルオレン環に由来する所望の光学特性が得
られる傾向がある。
当該ヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素
原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルコキシ基(例、メトキ
シ基、エトキシ基等);炭素数1~10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)
;炭素数1~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニ
トロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)
、炭素数1~10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数
1~10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1~10のアシル基
(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1~10のアシルアミノ基(例、アセトア
ミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1~3個の置換
基を有していてもよい炭素数6~11のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等
が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置換基が
2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価
に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいヘテロアリール基の具体例としては、5-メチルピリジル基、4
-メチルフリル基、4-メチルチエニル基などが挙げられる。
~R10において「置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基」の具体的な
構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、ホルミル基、アセチル基、
プロピオニル基、2-メチルプロピオニル基、2,2-ジメチルプロピオニル基、2-エ
チルヘキサノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、1-ナフチルカルボニル基、2
-ナフチルカルボニル基、2-フリルカルボニル基などの芳香族アシル基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基における炭素数は、4以下であること
が好ましく、2以下であることがより好ましい。この範囲内であると、アザフルオレン環
同士の立体障害が生じにくく、アザフルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾
向がある。
当該アシル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルキル基(例、メチル基、エチル
基、イソプロピル基等);炭素数1~10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基
等);炭素数1~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)
;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原
子)、炭素数1~10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭
素数1~10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1~10のアシ
ル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1~10のアシルアミノ基(例、アセ
トアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1~3個の
置換基を有していてもよい炭素数6~11のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等
)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置換
基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に
安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアシル基の具体例としては、クロロアセチル基、トリフルオロア
セチル基、メトキシアセチル基、フェノキシアセチル基、4-メトキシベンゾイル基、4
-ニトロベンゾイル基、4-シアノベンゾイル基、4-トリフルオロメチルベンソイル基
などが挙げられる。
~R10において「置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基」の具体
的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メトキシ基、エトキシ
基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基等のアルコキシ基;ア
セトキシ基等のアシルオキシ基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基における炭素数は、4以下である
ことが好ましく、2以下であることがより好ましい。この範囲内であると、アザフルオレ
ン環同士の立体障害が生じにくく、アザフルオレン環に由来する所望の光学特性が得られ
る傾向がある。
当該アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子
、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルコキシ基(例、メトキシ基
、エトキシ基等);炭素数1~10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭
素数1~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ
基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭
素数1~10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1~
10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1~10のアシル基(例
、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド
基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1~3個の置換基を
有していてもよい炭素数6~11のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙
げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置換基が2個
以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製
造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアルコキシ基の具体例としては、クロロメトキシ基、トリフルオ
ロメトキシ基、2-メトキシエトキシ基、2-フェノキシエトキシ基、ブロモメトキシ基
、ニトロメトキシ基などが挙げられる。
~R10において「置換されていてもよい炭素数6~11のアリールオキシ基」の
具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、フェノキシ基、1
-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基等が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数6~11のアリールオキシ基における炭素数は、8以下で
あることが好ましく、7以下であることがより好ましい。この範囲内であると、アザフル
オレン環同士の立体障害が生じにくく、アザフルオレン環に由来する所望の光学特性が得
られる傾向がある。
当該アリールオキシ基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素
原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルコキシ基(例、メトキ
シ基、エトキシ基等);炭素数1~10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)
;炭素数1~10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニ
トロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)
、炭素数1~10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数
1~10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1~10のアシル基
(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1~10のアシルアミノ基(例、アセトア
ミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1~3個の置換
基を有していてもよい炭素数6~11のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等
が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置換基が
2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価
に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアリールオキシ基の具体例としては、4-クロロフェノキシ基、
4-ブロモフェノキシ基、4-メトキシフェノキシ基、4-ニトロフェノキシ基、4-メ
チルフェノキシ基、3,4-ジメチルフェノキシ基、4-メチル-1-ナフトキシ基、4
-ブロモ-1-ナフトキシ基などが挙げられる。
~R10において「置換されていてもよいアミノ基」の具体的な構造は以下に挙げ
られ、これらに限定されるものではないが、アミノ基;N-メチルアミノ基、N,N-ジ
メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N,N-メチルエチ
ルアミノ基、N-プロピルアミノ基、N,N-ジプロピルアミノ基、N-イソプロピルア
ミノ基、N,N-ジイソプロピルアミノ基等の脂肪族アミノ基;N-フェニルアミノ基、
N,N-ジフェニルアミノ基等の芳香族アミノ基;ホルムアミド基、アセトアミド基、デ
カノイルアミド基、ベンゾイルアミド基、クロロアセトアミド基等のアシルアミノ基;ベ
ンジルオキシカルボニルアミノ基、tert-ブチルオキシカルボニルアミノ基等のアル
コキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
これらの中でも、酸性度の高いプロトンを持たず、分子量が小さく、光学材料中のアザ
フルオレン環の割合を高めることができる傾向があることから、N,N-ジメチルアミノ
基、N-エチルアミノ基、又はN,N-ジエチルアミノ基が好ましく、N,N-ジメチル
アミノ基であることがより好ましい。
~R10において「置換されていてもよい炭素数2~10のビニル基又はエチニル
基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、ビニル基、
2-メチルビニル基、2-エチルビニル基、2-プロピルビニル基、2,2-ジメチルビ
ニル基、2-フェニルビニル基、2-アセチルビニル基、エチニル基、メチルエチニル基
、tert-ブチルエチニル基、フェニルエチニル基、アセチルエチニル基、トリメチル
シリルエチニル基等が挙げられる。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一で
も異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であるこ
とが好ましい。
これらの中でも、分子量が小さく、光学材料中のアザフルオレン環の割合を高めること
ができる傾向があることから、ビニル基、2-メチルビニル基、エチニル基、2-メチル
エチニル基であることがより好ましい。
~R10において「置換基を有する硫黄原子」の具体的な構造は以下に挙げられ、
これらに限定されるものではないが、スルホ基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル
基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;フェ
ニルスルホニル基、p-トリルスルホニル基等のアリールスルホニル基;メチルスルフィ
ニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基
等のアルキルスルフィニル基;フェニルスルフィニル基、p-トリルスルフィニル基等の
アリールスルフィニル基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチ
オ基、p-トリルチオ基等のアリールチオ基;メトキシスルホニル基、エトキシスルホニ
ル基等のアルコキシスルホニル基;フェノキシスルホニル基等のアリールオキシスルホニ
ル基;アミノスルホニル基;N-メチルアミノスルホニル基、N-エチルアミノスルホニ
ル基、N-tert-ブチルアミノスルホニル基、N,N-ジメチルアミノスルホニル基
、N,N-ジエチルアミノスルホニル基等のアルキルスルホニル基;N-フェニルアミノ
スルホニル基、N,N-ジフェニルアミノスルホニル基等のアリールアミノスルホニル基
等が挙げられる。なお、スルホ基は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、
アンモニウム等と塩を形成していてもよい。
これらの中でも、酸性度の高いプロトンを持たず、分子量が小さく、光学材料中のアザ
フルオレン環の割合を高めることができる傾向があることから、メチルスルフィニル基、
エチルスルフィニル基、又はフェニルスルフィニル基が好ましく、メチルスルフィニル基
であることがより好ましい。
~R10において「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、
ヨウ素原子が挙げられる。
これらの中でも、比較的導入が容易で、電子求引性の置換基のため、アザフルオレンの
メチレン基の反応性を高める傾向があることから、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子
が好ましく、塩素原子又は臭素原子であることがより好ましい。
一般式(1)中のアザフルオレン環に含まれる窒素原子の数が多すぎるとポリエステルや
ポリエステルポリカーボネートにした際に、吸水率が高くなり、湿度の高い環境では、寸
法安定性が悪くなる傾向にあるため、窒素原子の数は、2以下が好ましく、1であること
がより好ましい。
一般式(1)中のアザフルオレン環の具体例としては、下記[I]群に示されるような
構造が挙げられる。
Figure 0007200668000014
これらの中で、好ましいアザフルオレン環は、下記「J」群に示される構造が挙げられ
る。
Figure 0007200668000015
これらの中で、特に好ましいアザフルオレン環は、下記「K」群に示される構造が挙げ
られる。
Figure 0007200668000016
11において、「置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基」、「置換され
ていてもよい炭素数4~10のヘテロアリール基」及び「置換されていてもよい炭素数1
~10のアルキル基」は、R~R10におけるそれらの置換基と同義である。
11について、これらの中で、メチル基、又はエチル基の場合、ジヒドロキシ化合物
とのエステル交換で生じる低沸点のアルコールを除去することでポリエステル及びポリエ
ステルカーボネートを効率的に合成できるため、特に好ましい。一方で、R11が置換さ
れていてもよい炭素数6~11のアリール基の場合、エステル交換反応が容易に進行する
ため、上記ジエステル化合物とジヒドロキシ化合物、炭酸ジエステルを一括添加で反応器
に仕込むことで、ポリエステルカーボネートを1段階で合成することができるため、好ま
しい。特に、分子量が小さく、ポリエステルカーボネート合成後、フェノールとして留去
できるフェニル基が特に好ましい。また、R11が置換されていてもよい炭素数6~11
のアリール基の場合、重合時の反応性の観点から、炭酸ジエステルとして後述のジアリー
ルカーボネート類を用いることが好ましく、副生物を容易に除去できるとの観点からは、
11の該アリール基と、ジアリールカーボネート類におけるアリール基とが同じである
ことがより好ましい。
前記一般式(1)で表されるオリゴアザフルオレンモノマーにおいて、nは1~5の整
数値を示す。nの値が大きくなると、溶解度が下がり精製が困難になるという観点から、
好ましいnの値は2以下であり、より好ましいnの値は1である。
<1-2.具体的な構造>
上記一般式(1)で表されるオリゴアザフルオレンモノマーの具体的な構造としては、
下記[L]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 0007200668000017
Figure 0007200668000018
Figure 0007200668000019
これらの中で、好ましいオリゴアザフルオレンモノマーは、下記「M」群に示される構
造が挙げられる。
Figure 0007200668000020
本発明のオリゴアザフルオレンモノマーにおいて、アザフルオレン環に含まれる5員環
に対して非対称な場合、アザフルオレン環の向きにより、異性体が存在する。これらの異
性体は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いてもよい。
<1-3. オリゴアザフルオレンモノマーの物性>
本発明のオリゴアザフルオレンモノマーの物性値は特に限定されないが、以下に例示す
る物性値を満足するものであることが好ましい。
本発明のオリゴアザフルオレンモノマー中の塩素含有割合は、Cl換算質量で100質
量ppm以下であることが好ましく、さらには10質量ppm以下であることが好ましい
。塩素成分の含有割合が多い場合、重合反応に用いる触媒を失活させてしまい、所望の分
子量まで重合が進行しなくなったり、反応が不安定化し、生産性が悪化する可能性がある
。また、得られたポリマー中にも塩素成分が残存し、ポリマーの熱安定性を低下させるお
それがある。
本発明のオリゴアザフルオレンモノマー中のオリゴアザフルオレンモノ化合物の含有割
合は、全オリゴアザフルオレンモノマーの質量の10質量%以下であることが好ましく、
さらには2質量%以下であることが好ましい。オリゴアザフルオレンモノ化合物は重合反
応でポリマーに取り込まれると、末端封鎖基となるため、オリゴアザフルオレンモノ化合
物が多くなると、所望の分子量まで重合が進行しなくなったり、ポリマー中のオリゴマー
などの低分子成分の残存量が多くなり、得られたポリマーの機械強度や耐熱性を低下させ
るおそれがある。また、成形体から低分子成分がブリードアウトするなどして、製品の品
質を低下させる可能性も考えられる。なお、オリゴアザフルオレンモノ化合物とは、オリ
ゴアザフルオレンモノマーの末端エステル基(もしくはカルボキシ基)のうちいずれか1
つが、重合反応性基以外の基となっているものを意味する。
本発明のオリゴアザフルオレンモノマー中には、塩基存在下、ホルムアルデヒド類を作
用させて、アザフルオレン環の架橋を行う工程由来のナトリウムやカリウムなどの長周期
型周期表第1族の金属やカルシウムなどの第2族の金属が含有する可能性があり、これら
の含有割合が500質量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは200質量p
pm以下、さらに好ましくは50質量ppm以下、特に好ましくは10質量ppm以下で
ある。金属成分が多いと、重合反応や樹脂を加工する際に、ポリマーが着色しやすくなる
懸念がある。また、含有している金属成分が触媒作用や触媒失活作用を示し、重合が不安
定化するおそれもある。
本発明のオリゴアザフルオレンモノマー、特に、オリゴアザフルオレンジアリールエス
テル中には、エステル交換反応触媒存在下、炭酸ジアリール類を作用させて、エステル交
換を行う工程に起因するチタン、銅、鉄などの遷移金属や、ナトリウム、カリウムなどの
長周期型周期表第1族や、マグネシウム、カルシウムなどの第2族の金属や、亜鉛やカド
ミウムなどの第12族の金属や、スズなどの第14族の金属が含有する可能性があり、こ
れらの含有割合が500質量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは200質
量ppm以下、さらに好ましくは50質量ppm以下、特に好ましくは10質量ppm以
下である。金属成分が多いと、重合反応や樹脂を加工する際に、ポリマーが着色しやすく
なる懸念がある。また、含有している金属成分が触媒作用や触媒失活作用を示し、重合が
不安定化するおそれもある。
本発明のオリゴアザフルオレンモノマーは、10質量%のテトラヒドロフラン溶液の色
調が50以下であることが好ましく、さらには10以下であることが好ましい。オリゴア
ザフルオレンモノマーは可視光に近い領域まで吸収端が伸びており、重合や樹脂の加工に
より高温にさらされた時に着色しやすい性質がある。色相の良好なポリマーを得るために
は、重合反応に用いるオリゴアザフルオレンモノマーは可能な限り着色が少ないことが好
ましい。色調は濃度に比例するので、異なる濃度で測定して、10質量%濃度に規格化し
た値であってもよい。ここで、オリゴアザフルオレンモノマーの色調(APHA値)は、
JIS-K0071-1(1998年)に準じ、キシダ化学社製色度標準液(1000度
)を希釈して作成した液とオリゴアザフルオレンモノマーを内径20mmの比色管に入れ
て比較することにより測定できる。
本発明のオリゴアザフルオレンモノマーは、熱重量測定における5%重量減少温度が2
30℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、さらには2
70℃以上であることが特に好ましい。重合反応に熱分解温度が低いオリゴアザフルオレ
ンモノマーを用いると、重合時に熱分解が起こり、所望の分子量まで重合が進行しなかっ
たり、得られるポリマーが着色するおそれがある。
また、本発明のオリゴアザフルオレンモノマーは、窒素雰囲気下で測定した分解温度が
、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましく、330
℃以上であることがさらに好ましく、通常380℃以下である。本発明のオリゴアザフル
オレンモノマーはアザフルオレン環の積層構造により、構造が剛直なため、分解温度が前
記範囲を満足する傾向がある。このように分解温度が前記範囲を満足することにより、オ
リゴアザフルオレンモノマーから得られるポリエステル、ポリエステルポリカーボネート
の熱安定性を向上できる傾向がある。分解温度は例えば、TG-DTAにより測定するこ
とができる。
さらに、本発明のオリゴアザフルオレンモノマーは、融点(m.p.)が、120℃以
上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましく、150℃以上である
ことがさらに好ましく、通常200℃以下である。本発明のオリゴアザフルオレンモノマ
ーは、アザフルオレン環の積層構造により、構造が剛直なため、融点が前記範囲を満足す
る傾向がある。このように融点が前記範囲を満足することにより、オリゴアザフルオレン
モノマーから得られるポリエステル、ポリエステルポリカーボネートのガラス転移温度を
向上できる傾向がある。融点は例えば、TG-DTAすることにより測定することができ
る。
<1-4. オリゴアザフルオレンモノマーの製造方法>
本発明のオリゴアザフルオレンモノマーの製造方法は何ら限定されないが、例えば、下
記式に示される製造法A又は、製造法B等の方法により製造することができる。
Figure 0007200668000021
ここで各構造式中、A~Aはそれぞれ独立に=CH-又は=N-を示す。ただし、
~Aの少なくとも一つは=N-を含む。R及びRは、それぞれ独立に、直接結
合、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数
6~10のアリーレン基、置換されていてもよい炭素数4~8のヘテロアリーレン基、置
換されていてもよい炭素数8~12のアラルキレン基、若しくは置換されていてもよい炭
素数6~10のヘテロアラルキレン基、又は置換されていてもよい炭素数1~10のアル
キレン基、置換されていてもよい炭素数6~10のアリーレン基、置換されていてもよい
炭素数4~8のヘテロアリーレン基、置換されていてもよい炭素数8~12のアラルキレ
ン基及び置換されていてもよい炭素数6~10のヘテロアラルキレン基からなる群から選
ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてよい
窒素原子若しくはカルボニル基で、連結された基であり、
~R10は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10の
アルキル基、置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基、置換されていてもよい
炭素数4~10のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、
置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数6~
11のアリールオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数
2~10のビニル基又はエチニル基、置換基を有するケイ素原子、置換基を有する硫黄原
子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基であり、
11は、水素原子、置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基、置換されて
いてもよい炭素数4~10のヘテロアリール基、又は置換されていてもよい炭素数1~1
0のアルキル基である。
ただし、R~R10のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成し
ていてもよい。nは1~5の整数値を示す。
<1-4-1. 製造法A>
製造法Aは、アザフルオレン類(I)を原料として、9―ヒドロキシメチルアザフルオ
レン類(III)へと変換した後に、脱水により合成したオレフィン体(IV)をアザフ
ルオレニルアニオンと反応させることで、アザオリゴフルオレン化合物(II)を製造す
る方法である。ここで得られるオリゴアザフルオレン化合物(II)から工程(ii)に
従い、オリゴアザフルオレンモノマー(1)とすることもできる。
例えば、9―ヒドロキシメチルフルオレンをジベンゾフルバンに変換した後、アニオン
重合によって、オリゴフルオレンの混合物を合成する方法が知られている(J.Am.C
hem.Soc.,123,2001,9182-9183.)。これらを参考に、フル
オレンをアザフルオレン類(I)に置き換えることで、オリゴアザフルオレン化合物(I
I)を製造できる。
なお原料のアザフルオレン類(I)の製造方法は何ら限定されないが、例えば、以下の
方法が知られている。11H-インデノ[1,2-b]キノリンは、2-ニトロベンズア
ルデヒドを還元して、2-アミノベンズアルデヒドに変換した後、塩基性条件下で、1-
インダノンと反応させて、合成する方法が知られている(RSC Adv.,2014,
4,19602-19612.)。同様の方法で、2-アミノベンズアルデヒドと2,3
-ジヒドロ-1H-ベンズ[e]インデン-1-オンを塩基性条件下で反応させて、7H
-ベンズ[6,7]インデノ[1,2-b]キノリンを合成することができる。11H-
インデノ[1,2-b]キノキサリンは、ベンゼン-1,2-ジアミンとインダン-1,
2-ジオンを反応させて、合成する方法が知られている(Synthesis 2015
,47,2680-2689.)。3,3’-メチレン-2,2-ビキノリンは、2-ア
ミノベンズアルデヒドと1,2-シクロペンタンジオンを塩基性条件下で反応させて、合
成する方法が知られている(J.Org.Chem.,1985,50,670-673
).
<1-4-2. 製造法B>
製造法Bは、原料のアザフルオレン類(I)の架橋反応(工程(i))を行うことで、
オリゴアザフルオレン化合物(II)を合成し、その後、エステル基を導入(工程(ii
))することで、オリゴアザフルオレンモノマー(1)を製造する方法である。
Figure 0007200668000022
(式中、A~A、R~R11及びnは、式(1)中のA~A、R~R11
びnと同義。)
以下、製造法Bを、工程(i)オリゴアザフルオレン化合物(II)の製造法と、工程
(ii)オリゴアザフルオレンモノマー(1)の製造法に分けて記載する。
<1-4-2-1.工程(i):オリゴアザフルオレン化合物(II)の製造方法>
下記一般式(II)で表されるメチレン架橋を有するオリゴアザフルオレン化合物は、
アザフルオレン類(I)及びホルムアルデヒド類から、塩基存在下、下記式で表される反
応に従って製造することができる。
Figure 0007200668000023
(式中、A~A、R~R10及びnは式(1)中のA~A、R~R10及び
nと同義。)
<1-4-2-1-1.ホルムアルデヒド類>
工程(i)で用いられるホルムアルデヒド類とは、反応系中にホルムアルデヒドを供給
できる物質であれば特に限定されないが、ガス状のホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド
水溶液、ホルムアルデヒドが重合したパラホルムアルデヒド、トリオキサン等が挙げられ
る。これらの中で、ホルムアルデヒド水溶液、または、パラホルムアルデヒドを用いるこ
とが、工業的に安価かつ操作性が容易で正確に秤量することが可能であることから、特に
好ましい。
(理論量の定義)
目的とするn数のオリゴアザフルオレン化合物(II)を製造する場合、原料のアザフ
ルオレン類(I)に対するホルムアルデヒド類の理論量(モル比)とは、n/(n+1)
で表される。
(理論量を超えない方がよい理由)
アザフルオレン類(I)に対して、理論量超過のホルムアルデヒド類を用いた場合、目
的とするn数を超えるオリゴアザフルオレン化合物(IIa)が生成する傾向がある。n
数が増加するほど、溶解性が低下するために、目的物に目的とするn数を超えるオリゴア
ザフルオレン化合物(IIa)が存在する場合、精製負荷が大きくなる傾向がある。その
ため、通常、ホルムアルデヒド類の使用量は目的のn数に応じた理論量のn/(n+1)
倍モル以下であることが好ましい。
(理論量を大きく下回わらない方がよい理由)
また、ホルムアルデヒド類の使用量が理論量のn/(n+1)を大きく下回ると、目的
とするn数を満たさないオリゴアザフルオレン化合物(IIb)が主生成物となるか、あ
るいは、原料のアザフルオレン類(I)が未反応で残るため、収率が大きく低下する傾向
があることが解っている。
そのため、最適なホルムアルデヒド類の使用量は、具体的には、n=1の場合、通常ア
ザフルオレン類(I)に対して0.1倍モル以上、好ましくは0.3倍モル以上、さらに
好ましくは0.38倍モル以上、また、通常0.5倍モル以下、好ましくは0.46倍モ
ル以下、さらに好ましくは0.42倍モル以下である。
また、n=2の場合、通常0.5倍モル以上、好ましくは0.55倍モル以上、さらに
好ましくは0.6倍モル以上、また、通常0.66倍モル以下、好ましくは0.65倍モ
ル以下、さらに好ましくは0.63倍モル以下である。このように、ホルムアルデヒド類
の使用量に従って、主生成物の構造と生成物の比率が大きく変化することが解っており、
ホルムアルデヒド類の使用量を限られた条件で用いることで、目的とするn数のオリゴア
ザフルオレン化合物(II)を高収率で得ることができる。
<1-4-2-1-2.塩基>
工程(i)で用いられる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカ
リ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアル
カリ金属の炭酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩
、燐酸ナトリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸カリウムなどの燐酸のアルカリ金属塩、n
-ブチルリチウム、ターシャリブチルリチウムなどの有機リチウム塩、ナトリウムメトキ
シド、ナトリウムエトキシド、カリウムターシャリーブトキシド、などのアルカリ金属の
アルコキシド塩、水素化ナトリウムや水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属塩、トリ
エチルアミン、ジアザビシクロウンデセンなどの三級アミン、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの四級アンモニウムヒドロキ
シドなどが用いられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い
これらの中で好ましくは、本反応において十分な塩基性を有する、アルカリ金属のアル
コキシドであり、より好ましくは、工業的に安価なナトリウムメトキシド及びナトリウム
エトキシドである。ここでアルカリ金属のアルコキシドは、粉状のものを用いてもよく、
アルコール溶液等の液状のものを用いてもよい。また、アルカリ金属とアルコールを反応
させて調製してもよい。
塩基の使用量は原料であるアザフルオレン類(I)に対して、上限は特にないが、使用
量が多すぎると撹拌や反応後の精製負荷が大きくなるので、通常、アザフルオレン類(I
)の10倍モル以下、好ましくは5倍モル以下、さらに好ましくは1倍モル以下である。
一方、塩基の使用量が少なすぎると反応の進行が遅くなるので、下限としては、通常、原
料のアザフルオレン類(I)に対して0.01倍モル以上、好ましくは0.1倍モル以上
、さらに好ましくは0.2倍モル以上である。
<1-4-2-1-3.溶媒>
工程(i)は溶媒を用いて行うことが望ましい。使用可能な溶媒の具体例としては、ア
ルキルニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリルなど、エーテル系溶
媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、メチルシク
ロペンチルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテルなど、ハロゲン系溶媒としては
、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,2,2-テトラク
ロロエタンなど、ハロゲン系芳香族炭化水素としては、クロロベンゼン、1,2-ジクロ
ロベンゼンなど、アミド系溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメ
チルアセトアミド、N-メチルピロリドンなど、スルホキシド系溶媒としては、ジメチル
スルホキシド、スルホランなど、環状式脂肪族炭化水素としては、シクロペンタン、シク
ロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの単環状式脂肪族炭化水素;その誘導
体であるメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチル
シクロヘキサン、1,2-ジメチルシクロヘキサン、1,3-ジメチルシクロヘキサン、
1,4-ジメチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、n-プロピルシクロヘ
キサン、tert-ブチルシクロヘキサン、n-ブチルシクロヘキサン、イソブチルシク
ロヘキサン、1,2,4-トリメチルシクロヘキサン、1,3,5-トリメチルシクロヘ
キサンなど;デカリンなどの多環状式脂肪族炭化水素;n-ペンタン、n-ヘキサン、n
-ヘプタン、n-オクタン、イソオクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ドデカン、n
-テトラデカンなどの非環状式脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素としては、トルエン、p
-キシレン、o-キシレン、m-キシレンなど、アルコール系溶媒としては、メタノール
、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ターシャリーブタノール、ヘキサノ
ール、オクタノール、シクロヘキサノールなどが挙げられる。
中でもアザフルオレン類(I)から生じるアニオンの溶解性が高く、反応の進行が良好
である傾向があることから、極性溶媒のアミド系溶媒、又はスルホキシド系溶媒が好まし
い。その中で、n=1又は2のオリゴアザフルオレン化合物(II)を製造する場合、N
,N-ジメチルホルムアミドが特に好ましい。これは、N,N-ジメチルホルムアミドに
対するn=1又は2のオリゴアザフルオレン化合物(II)の溶解性が低く、目的物は生
成後、速やかに析出し、それ以上の反応の進行が抑制され、目的物の選択性が上がる傾向
があるためである。
これらの溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
工程(i)で製造されるオリゴアザフルオレン化合物(II)は、nの値が大きくなる
ほど溶媒への溶解性が減少することが解っており、生成した目的物が速やかに析出するこ
とで、それ以上の反応の進行を抑制していると考えられる。そのため、溶媒の使用量は、
nの値に応じて適切に調整することが好ましい。特にn=1又は2のオリゴアザフルオレ
ン化合物(II)を製造する場合、目的物の選択性をあげるために、溶媒を過剰に用いな
いほうが良い。例えば、最も好ましい溶媒であるN,N-ジメチルホルムアミドを用いた
場合の溶媒量の上限は、通常、原料のアザフルオレン類(I)の10倍体積量、好ましく
は7倍体積量、さらに好ましくは4倍体積量となるような量が使用される。一方、溶媒の
使用量が少なすぎると、攪拌が難しくなるとともに反応の進行が遅くなるので、下限とし
ては、通常、原料のアザフルオレン類(I)の1倍体積量、好ましくは2倍体積量、さら
に好ましくは3倍体積量となるような量が使用される。
<1-4-2-1-4.反応形式>
工程(i)を行う際、反応の形式はバッチ型反応でも流通型反応でもそれらを組み合わ
せたものでも特にその形式は制限なく採用できる。
<1-4-2-1-5.反応条件>
工程(i)は目的とするn値のオリゴアザフルオレン化合物(II)に応じて、適宜調
整すればよい。目的とするn値以上に反応が進行するのを抑制するためには、なるべく低
温で反応を行うことが好ましい。一方、温度が低すぎると十分な反応速度が得られない可
能性がある。
そのため、最適な溶媒であるN,N-ジメチルホルムアミドと最適な塩基であるナトリ
ウムエトキシドを用いた場合、n=1及び2の具体的な反応温度としては、通常上限が3
0℃、好ましくは20℃、より好ましくは10℃で実施される。一方、下限は-50℃、
好ましくは-20℃、より好ましくは0℃以上で実施される。
工程(i)における一般的な反応時間は、通常下限が30分、好ましくは60分、さら
に好ましくは2時間で、上限は特に限定はされないが通常20時間、好ましくは10時間
、更に好ましくは5時間である。
<1-4-2-1-6.目的物の分離・精製>
反応終了後、目的物であるオリゴアザフルオレン化合物(II)は、反応液を希塩酸な
どの酸性水に添加し、あるいは希塩酸などの酸性水を反応液に添加し、析出させることに
より単離することができる。
また、反応終了後、目的物であるオリゴアザフルオレン化合物(II)が可溶な溶媒と
水を反応液に添加して抽出してもよい。溶媒により抽出された目的物は、溶媒を濃縮する
方法、或いは貧溶媒を添加する方法などにより単離することができる。ただし、室温では
溶媒に対するオリゴアザフルオレン化合物(II)の溶解性が非常に低い傾向があるため
、通常は酸性水と接触させて析出させる方法が好ましい。
得られたオリゴアザフルオレン化合物(II)は、そのまま工程(ii)の原料として
使用することも可能であるが、精製を行った後に工程(ii)に用いても良い。精製法と
しては、通常の精製法、例えば、再結晶や、再沈法、抽出精製、カラムクロマトグラフィ
ーなど制限なく採用可能である。
<1-4-2-2.工程(ii):オリゴアザフルオレンモノマー(1)の製造方法>
以下、下記式で示される工程(ii)におけるオリゴアザフルオレンモノマー(1)の
製造方法を反応様式に分けて記載する。
Figure 0007200668000024
(式中、A~A、R~R11及びnは、式(1)中のA~A、R~R11
びnと同義。)
<1-4-2-2-1.工程(iia):マイケル付加による製造法>
下記一般式(1a)で表されるオリゴアザフルオレンモノマーは、オリゴアザフルオレ
ン化合物(II)及びエステル基置換オレフィン(V)から、塩基存在下、下記の工程(
iia)で表される反応に従って製造される。
Figure 0007200668000025
(式中、A~A、R~R11及びnは式(1)中のA~A、R~R11及び
nと同義。Ri、Rii及びRiiiは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~1
0のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリール基、又は置換されてい
てもよい炭素数6~10のアラルキル基を表す。)
<1-4-2-2-1-1.電子求引基置換オレフィン>
反応試剤としての電子求引基置換オレフィンは、工程(iia)における一般式(V)
で表されるものであり、一般式(V)中、R、Rii及びRiiiは、それぞれ独立に
、水素原子、又は、炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4~10
のアリール基、置換されていてもよい炭素数6~10のアラルキル基を表す。具体的には
、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基などの(直
鎖であっても分岐鎖であっても良い)アルキル基、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナ
フチル基、2-チエニル基などのアリール基、ベンジル基、2-フェニルエチル基、p-
メトキシベンジル基などのアラルキル基が挙げられる。
これらの置換基は、工程(iia)において反応を阻害しない範囲で更に任意の置換基で
置換されていても良い。
電子求引基置換オレフィン(V)として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸フェニル、アクリル酸アリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2-ヒドロキシ
エチル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノア
クリレート等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸フェニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2-ヒ
ドロキシエチル等のメタクリル酸エステル類、2-エチルアクリル酸メチル、2-フェニ
ルアクリル酸メチル等のα-置換不飽和エステル類、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、クロ
トン酸メチル、クロトン酸エチルなどのβ-置換不飽和エステル類、中でも、重合反応性
基を直接導入できる下記一般式(V-1)で表される不飽和カルボン酸エステル
Figure 0007200668000026
(式中、R11は式(1)中のR11と同義。Riiiは、水素原子、置換されていても
よい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリール基、
又は置換されていてもよい炭素数6~10のアラルキル基を表す。)が好ましく、それに
含まれる、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類又はα-置換不飽和エステル
類がより好ましく、Riiiが水素原子又はメチル基であるアクリル酸エステル類又はメ
タクリル酸エステル類が、反応速度と反応選択性の観点からさらに好ましい。R11は、
より小さいものが工業的に安価かつ蒸留精製も容易で、反応性も高いため、アクリル酸メ
チル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸フェニ
ル、又はメタクリル酸フェニルが特に好ましい。
一方で、エステル基の有機置換基は、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸4
-ヒドロキシブチル、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート基等のヒド
ロキシアルキル基を有するエステル類である場合、1段階でポリエステルカーボネート、
ポリエステルの原料を得ることができるため、特に好ましい。
異なる2種以上の電子求引基置換オレフィン(V)を用いてもよいが、精製の簡便性か
ら、1種類の電子求引基置換オレフィン(V)を用いることが好ましい。
電子求引基置換オレフィン(V)は、重合活性が高いため、高濃度で存在すると、光、
熱、酸・塩基などの外部刺激により、容易に重合する傾向がある。その際、大きな発熱を
伴うため、非常に危険となる場合がある。そのため、電子求引基置換オレフィン(V)の
使用量は、安全性の観点から、あまり過剰に用いない方がよい。通常、原料であるオリゴ
アザフルオレン化合物(II)に対して、10倍モル以下、好ましくは5倍モル以下、さ
らに好ましくは3倍モル以下である。下限は、原料に対して理論量で2倍モルであるので
通常は2倍モル以上である。反応の進行を速め、原料や中間体を残存させないために、電
子求引基置換オレフィン(V)の使用量は、原料のオリゴアザフルオレン化合物(II)
に対して2.2倍モル以上、さらに好ましくは2.5倍モル以上である。
<1-4-2-2-2.塩基>
塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金
属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、炭酸
マグネシウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩、燐酸ナトリウム、燐酸
水素ナトリウム、燐酸カリウムなどの燐酸のアルカリ金属塩、n-ブチルリチウム、ター
シャリブチルリチウムなどの有機リチウム塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキ
シド、カリウムターシャリーブトキシド、などのアルカリ金属のアルコキシド塩、水素化
ナトリウムや水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属塩、トリエチルアミン、ジアザビ
シクロウンデセンなどの三級アミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブ
チルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの四
級アンモニウムヒドロキシドが用いられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以
上を併用しても良い。
オリゴアザフルオレン化合物(II)の架橋基であるメチレン基は溶媒中、塩基存在下
で容易に分解反応が進行する。そのため、有機層と水層の2層系で反応を行った場合に、
分解反応などの副反応が抑制できることから、水溶性の無機塩基を用いることが好ましい
。中でもコスト、反応性の面からアルカリ金属の水酸化物が好ましく、特に水酸化ナトリ
ウム又は水酸化カリウムがより好ましい。
また、水溶液の濃度は、特に好ましい水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、濃度が薄
いと反応速度が著しく低下するため、通常は5wt/vol%以上、好ましくは10wt
/vol%以上、より好ましくは25wt/vol%以上の水溶液を用いるのが特に好ま
しい。
塩基の使用量は、原料であるオリゴアザフルオレン化合物(II)に対して、上限は特
に制限はないが、使用量が多すぎると攪拌や反応後の精製負荷が大きくなる場合があるの
で、特に好ましい塩基である25wt/vol%以上の水酸化ナトリウム水溶液を用いた
場合、通常、オリゴアザフルオレン化合物(II)に対して20倍体積量以下、好ましく
は10倍体積量以下、さらに好ましくは5倍体積量以下である。塩基量が少なすぎると反
応速度が著しく低下するため、通常、塩基は、原料のオリゴアザフルオレン化合物(II
)に対して、0.2倍体積量以上である。好ましくは、0.5倍体積量以上、より好まし
くは1倍体積量以上である。
<1-4-2-2-3.相間移動触媒>
工程(iia)において、有機層と水層の2層系での反応を行う場合、反応速度を上げ
るため、相間移動触媒を用いることが好ましい。
相間移動触媒としては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウ
ムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、メチルトリデシルアンモニウム
クロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウム
クロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、アセチルトリメチルアンモニウムブロミ
ド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどの四級アンモニウム塩のハライド(フ
ッ素は除く)、N,N-ジメチルピロリジニウムクロリド、N-エチル-N-メチルピロ
リジニウムヨージド、N-ブチル-N-メチルピロリジニウムブロミド、N-ベンジル-
N-メチルピロリジニウムクロリド、N-エチル-N-メチルピロリジニウムブロミドな
どの四級ピロリジニウム塩のハライド(フッ素は除く)、N-ブチル-N-メチルモルホ
リニウムブロミド、N-ブチル-N-メチルモルホリニウムヨージド、N-アリル-N-
メチルモルホリニウムブロミドなどの四級モルホリニウム塩のハライド(フッ素は除く)
、N-メチル-N-ベンジルピペリジニウムクロリド、N-メチル-N-ベンジルピペリ
ジニウムブロミド、N,N-ジメチルピペリジニウムヨージド、N-メチル-N-エチル
ピペリジニウムアセテート、N-メチル-N-エチルピペリジニウムヨージドなどの四級
ピペリジニウム塩のハライド(フッ素は除く)、クラウンエーテル類などが挙げられる。
好ましくは四級アンモニウム塩、更に好ましくはベンジルトリメチルアンモニウムクロ
リド、又はベンジルトリエチルアンモニウムクロリドである。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
相間移動触媒の使用量は、原料であるオリゴアザフルオレン化合物(II)に対して、
多すぎるとエステルの加水分解や逐次マイケル反応などの副反応の進行が顕著になる傾向
があり、また、コストの観点からも、通常、オリゴアザフルオレン化合物(II)に対し
て5倍モル以下、好ましくは2倍モル以下、さらに好ましくは1倍モル以下である。相間
移動触媒の使用量が少なすぎると反応速度が著しく低下する傾向があるため、通常、相間
移動触媒の使用量は、原料のオリゴアザフルオレン化合物に対して、0.01倍モル以上
であり、好ましくは、0.1倍モル以上、より好ましくは0.5倍モル以上である。
<1-4-2-2-4.溶媒>
工程(iib)は溶媒を用いて行うことが望ましい。
具体的に使用可能な溶媒は、アルキルニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、プロ
ピオニトリルなど、ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトンなど、エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、
酢酸フェニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロ
ピオン酸フェニル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸メチル
、乳酸メチル、乳酸エチル等の直鎖状のエステル類;γ―ブチロラクトン、カプロラクト
ン等の環状エステル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレング
リコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテ
ート、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコー
ル-1-モノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類など、エーテル系溶媒と
しては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、メチルシクロペ
ンチルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテルなど、ハロゲン系溶媒としては、1
,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,2,2-テトラクロロ
エタンなど、ハロゲン系芳香族炭化水素としては、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベ
ンゼンなど、アミド系溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N,-ジメチ
ルアセトアミドなど、スルホキシド系溶媒としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン
など、環状式脂肪族炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタ
ン、シクロオクタンなどの単環状式脂肪族炭化水素;その誘導体であるメチルシクロペン
タン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,2-
ジメチルシクロヘキサン、1,3-ジメチルシクロヘキサン、1,4-ジメチルシクロヘ
キサン、イソプロピルシクロヘキサン、n-プロピルシクロヘキサン、tert-ブチル
シクロヘキサン、n-ブチルシクロヘキサン、イソブチルシクロヘキサン、1,2,4-
トリメチルシクロヘキサン、1,3,5-トリメチルシクロヘキサンなど;デカリンなど
の多環状式脂肪族炭化水素;n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン
、イソオクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ドデカン、n-テトラデカンなどの非環
状式脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素としては、トルエン、p-キシレン、o-キシレン
、m-キシレンなど、芳香族複素環としては、ピリジンなど、アルコール系溶媒としては
、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、ターシャリーブタノー
ル、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノールなどが挙げられる。
水と相分離する溶媒を用いることで、オリゴアザフルオレン化合物(II)の架橋基で
あるメチレン基の分解反応などの副反応を抑制できる傾向があることが解っている。さら
に、原料のオリゴアザフルオレン化合物(II)をよく溶解する溶媒を用いた場合に、反
応の進行が良好である傾向があることから、原料のオリゴアザフルオレン化合物(II)
の溶解度が0.5質量%以上の溶媒を用いることが好ましく、より好ましくは1.0質量
%以上、特に好ましくは1.5質量%以上の溶媒を用いることである。具体的には、ハロ
ゲン系脂肪族炭化水素、ハロゲン系芳香族炭化水素、芳香族炭化水素、又はエーテル系溶
媒が好ましく、ジクロロメタン、クロロベンゼン、クロロホルム、1,2-ジクロロベン
ゼン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、又はメチルシクロペンチルエーテルが
特に好ましい。
これらの溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
溶媒の使用量は、上限は特に制限はないが、反応器あたりの目的物の生成効率を考える
と、通常、原料のオリゴアザフルオレン化合物(II)の20倍体積量、好ましくは15
倍体積量、さらに好ましくは10倍体積量となるような量が使用される。一方、溶媒の使
用量が少なすぎると試剤の溶解性が悪くなり攪拌が難しくなるとともに反応の進行が遅く
なるので、下限としては、通常、原料のオリゴアザフルオレン化合物(II)の1倍体積
量、好ましくは2倍体積量、さらに好ましくは4倍体積量となるような量が使用される。
<1-4-2-2-5.反応形式>
工程(iia)を行う際、反応の形式はバッチ型反応でも流通型反応でもそれらを組み
合わせたものでも特にその形式は制限なく採用できる。
バッチ式の場合の反応試剤の反応器への投入方法は、電子求引基置換オレフィン(V)
を反応開始時に一括添加で仕込んだ場合、電子求引基置換オレフィン(V)が高濃度で存
在するため、副反応の重合反応が進行し易い。よって原料のオリゴアザフルオレン化合物
(II)、相間移動触媒、溶媒及び塩基を加えた後に、少量ずつ電子求引基置換オレフィ
ン(V)を逐次添加するのが好ましい。
<1-4-2-2-6.反応条件>
工程(iia)において、温度が低すぎると十分な反応速度が得られず、逆に高すぎる
と電子求引基置換オレフィン(V)と生成物のオリゴアザフルオレンモノマー(1a)の
加水分解反応が進行しやすい傾向があるため、温度管理が極めて重要である。そのため、
反応温度としては、具体的には、通常、下限は-20℃、好ましくは-10℃、より好ま
しくは-5℃で実施される。一方通常、上限は、40℃、好ましくは30℃、より好まし
くは20℃、特に好ましくは5℃で実施される。
工程(iia)における一般的な反応時間は、通常下限が15分、好ましくは30分、
さらに好ましくは1時間で、上限は特に限定はされないが通常20時間、好ましくは10
時間、さらに好ましくは5時間である。
<1-4-2-2-7.目的物の分離・精製>
反応終了後、目的物であるオリゴアザフルオレンモノマー(1a)は、副生した金属ハ
ロゲン化物、及び残存した無機塩基を濾過して反応液から除去した後に、溶媒を濃縮する
方法、或いは目的物の貧溶媒を添加する方法などを採用して、目的物であるオリゴアザフ
ルオレンモノマー(1a)を析出させることにより単離することができる。
また、反応終了後、反応液に酸性水と目的物であるオリゴアザフルオレンモノマー(1
a)が可溶な溶媒とを添加して抽出してもよい。溶媒により抽出された目的物は、溶媒を
濃縮する方法、或いは貧溶媒を添加する方法などにより単離することができる。
抽出の際に使用可能な溶媒としては、目的物であるオリゴアザフルオレンモノマー(1
a)が溶解するものであれば良く、特に制限はないが、トルエン、キシレンなどの芳香族
炭化水素化合物、ジクロロメタン、クロロホルムなどハロゲン系溶媒などの1種又は2種
以上が好適に用いられる。
ここで得られるオリゴアザフルオレンモノマー(1a)は、そのままポリエステル、又
は、ポリエステルカーボネート原料モノマーとして、あるいはポリカーボネート原料モノ
マーの前駆体として使用することなどが可能であるが、精製を行ってから使用しても良い
。精製法としては、通常の精製法、例えば、再結晶や、再沈法、抽出精製、カラムクロマ
トグラフィーなど制限なく採用可能である。また、オリゴアザフルオレンモノマー(1a
)を適当な溶媒に溶解して活性炭で処理することも可能である。その際に使用可能な溶媒
は、抽出の際に使用可能な溶媒と同じである。
ここで得られるオリゴアザフルオレンモノマー(1a)がカルボキシル基である場合は
、そのままポリエステル、又は、ポリエステルカーボネート原料モノマーとして、あるい
はポリカーボネート原料モノマーの前駆体として使用することなどが可能である。
また、エステル化反応により、エステル基であるオリゴアザフルオレンモノマー(1a)
へと変換可能である。
<1-4-2-3.工程(iib):アルキル化反応によるオリゴアザフルオレンモノ
マー(1b)の製造法>
オリゴアザフルオレンモノマー(1b)は、塩基存在下、オリゴアザフルオレン化合物(
II)とアルキル化剤(VI-1)及びアルキル化剤(VI-2)のアルキル化反応を経
る方法により製造することができる。
Figure 0007200668000027
(式中、A~A、R~R11及びnは式(1)中のA~A、R~R11及び
nと同義。Xは、脱離基を表す。脱離基の例としては、ハロゲン原子(ただし、フッ素を
除く。)、メシル基、またはトシル基などが挙げられる。)
フルオレン類のアルキル化反応は広く知られており、例えば、9,9-ビス(ブロモへ
キシル)フルオレンや9,9-ビス(ヨードへキシル)フルオレンなどの9,9-ビス(
ハロアルキル)フルオレンが報告されている(J.Org.Chem.,2010,75
,2714.)。これらの知見から、オリゴアザフルオレン化合物(II)を原料とする
ことで、オリゴアザフルオレンモノマー(1b)の合成は可能である。
工程(iib)で用いられるアルキル化剤としては、クロロ酢酸メチル、ブロモ酢酸メ
チル、ヨード酢酸メチル、クロロ酢酸エチル、ブロモ酢酸エチル、ヨード酢酸エチル、ク
ロロ酢酸プロピル、クロロ酢酸n-ブチル、クロロ酢酸tert-ブチル、ブロモ酢酸t
ert-ブチル、ヨード酢酸tert-ブチル、2-クロロプロピオン酸メチル、ブロモ
2-プロピオン酸メチル、2-ヨードプロピオン酸メチル、2-クロロプロピオン酸エチ
ル、2-クロロプロピオン酸tert-ブチル、2-ブロモプロピオン酸tert-ブチ
ル、2-ブロモプロピオン酸エチル、2-ヨードプロピオン酸エチル、3-クロロ酪酸メ
チル、3-ブロモ酪酸メチル、3-ヨード酪酸メチル、3-クロロ酪酸エチル、3-クロ
ロ酪酸エチル、3-ヨード酪酸エチル、2-ヨードプロピオン酸tert-ブチルなどの
ハロアルカン酸アルキル、クロロ酢酸フェニル、ブロモ酢酸フェニル、ヨード酢酸フェニ
ルなどのハロアルカン酸アリール、4-クロロメチル安息香酸メチル、4-ブロモメチル
安息香酸メチル、4-クロロメチル安息香酸エチル、4-ブロモメチル安息香酸エチル、
3-クロロメチル安息香酸メチル、3-ブロモメチル安息香酸メチルなどハロアルキル安
息香酸アルキルなどが挙げられる。
<1-4-2-4.工程(iic):一般式(1)において、R11がヒドロキシエス
テル基を有する基の場合の製造方法(オリゴアザフルオレンモノマー(1)のエステル交
換反応によるオリゴアザフルオレンジヒドロキシエステル(1c)の製造法)>
下記一般式(1c)で表されるオリゴアザフルオレンジヒドロキシエステル化合物は、
オリゴアザフルオレンモノマー(1)及び、ジオール(VII)から、塩基存在下、下記
工程(iic)に従って製造される。
Figure 0007200668000028
(式中、A~A、R~R11及びnは式(1)中のA~A、R~R11及び
nと同義。Rivは、炭素数1~10の有機置換基を表す。)
<1-4-2-4-1.ジオール>
工程(iic)で用いられるジオール(VII)は、炭素数1~10のジオールを表す
。具体的には、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール
、1,6-ヘキサンジオールなどの鎖状(直鎖であっても分岐鎖であっても良い)のアル
キレンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの環状のアルキレンジオール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのオリゴエチ
レングリコール、イソソルビドなど二級のジオール、レゾルシノールなどの芳香族を含む
ジオールなどが挙げられる。これらのジオールは、本反応を阻害しない範囲で任意の置換
基で置換されていても良い。
中でも、アルキレングリコール又はオリゴエチレングリコールが反応速度とコストの観
点から好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。
工程(iic)において,異なる2種以上のジオール(VII)を用いることも可能で
あるが、精製の簡便性からは、通常は1種類のジオール(VII)が用いられる。
ジオール(VII)の使用量は、原料のオリゴアザフルオレンモノマー(1)のエステ
ル基の有機置換基から生じるアルコールと、加えたジオール(VII)の競争反応となる
傾向があるため、ジオール(VII)の使用量が多いほうが、反応の進行が早い。また、
ジオール(VII)の使用量が多い方が、下記一般式(VIII)に示すオリゴアザフル
オレンがジオールで架橋された副生成物の生成を抑えることができる。この自己エステル
交換生成物(VIII)は、それ自身がポリエステルカーボネートを含むポリカーボネー
ト原料、またはポリエステル原料として働くため、オリゴアザフルオレンジヒドロキシエ
ステル化合物(1c)中に含有していても、ポリカーボネート原料、ポリエステル原料、
ポリエステルカーボネート原料としては、大きな問題はないと考えられる。しかしながら
、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネートの品質の観点から、自己
エステル交換生成物(VIII)の含有割合は、生成物のオリゴアザフルオレンジヒドロ
キシエステル化合物(1c)に対して、通常、0.1倍モル以下、好ましくは0.05倍
モル以下、より好ましくは0.03倍モル以下である。
Figure 0007200668000029
(式中、A~A、R~R10及びnは前記式(1)中のA~A、R~R10
及びnと同義。Rivは、炭素数1~10の有機置換基を表す。)
そのため、ジオール(VII)の使用量は、通常、オリゴアザフルオレンモノマー(1
)に対して3倍モル以上、好ましくは10倍モル以上、さらに好ましくは50倍モル以上
である。
ジオール(VII)は、仕込み時に一括添加してもよく、反応の進行に従って分割添加
してもよい。前記一般式(VIII)に示す自己エステル交換生成物は、ジオール(VI
I)の添加によりオリゴアザフルオレンジヒドロキシエステル化合物(1c)への変換が
可能である。
<1-4-2-4-2.塩基>
工程(iic)で用いられる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアル
カリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのア
ルカリ金属の炭酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸
塩、燐酸ナトリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸カリウムなどの燐酸のアルカリ金属塩、
n-ブチルリチウム、ターシャリブチルリチウムなどの有機リチウム塩、ナトリウムメト
キシド、ナトリウムエトキシド、カリウムターシャリーブトキシド、などのアルカリ金属
のアルコキシド塩、水素化ナトリウムや水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属塩、テ
トラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの四
級アンモニウムヒドロキシドが用いられる。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
中でもコスト、反応性の面からアルカリ金属のアルコキシドが好ましく、特にナトリウ
ムメトキシド又はナトリウムエトキシドがより好ましい。
塩基の使用量は原料であるオリゴアザフルオレンモノマー(1c)に対して、上限は特
にないが、使用量が多すぎると撹拌や反応後の精製負荷が大きくなる傾向があるので、通
常、アザフルオレン(I)の10倍モル以下、好ましくは5倍モル以下、さらに好ましく
は1倍モル以下である。
一方、塩基の使用量が少なすぎると反応の進行が遅くなる傾向があるので、下限として
は、通常、原料のアザフルオレン(I)に対して0.01倍モル以上、好ましくは0.0
5倍モル以上、さらに好ましくは0.1倍モル以上である。
<1-4-2-4-3.溶媒>
工程(iic)は無溶媒で行っても良いが、原料のオリゴアザフルオレンモノマー(1
)が反応試剤のジオール(VII)に対する溶解性が低く、反応性が低い場合には、溶媒
を用いて行っても良い。
具体的に使用可能な溶媒は、アルキルニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、プロ
ピオニトリルなど、エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
1,4-ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル
など、ハロゲン系溶媒としては、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホル
ム、1,1,2,2-テトラクロロエタンなど、ハロゲン系芳香族炭化水素としては、ク
ロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼンなど、アミド系溶媒としては、N,N-ジメチ
ルホルムアミド、N,N,-ジメチルアセトアミドなど、スルホキシド系溶媒としては、
ジメチルスルホキシド、スルホランなど、環状式脂肪族炭化水素としては、シクロペンタ
ン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの単環状式脂肪族炭化水素;
その誘導体であるメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン
、エチルシクロヘキサン、1,2-ジメチルシクロヘキサン、1,3-ジメチルシクロヘ
キサン、1,4-ジメチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、n-プロピル
シクロヘキサン、tert-ブチルシクロヘキサン、n-ブチルシクロヘキサン、イソブ
チルシクロヘキサン、1,2,4-トリメチルシクロヘキサン、1,3,5-トリメチル
シクロヘキサンなど;デカリンなどの多環状式脂肪族炭化水素;n-ペンタン、n-ヘキ
サン、n-ヘプタン、n-オクタン、イソオクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ドデ
カン、n-テトラデカンなどの非環状式脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素としては、トル
エン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレンなどが挙げられる。
中でも、原料のオリゴザフルオレンモノマー(1)とジオール(VII)の両方の溶解
性が高い溶媒を用いた場合に、反応の進行が良好である傾向があることから、エーテル系
溶媒が好ましく、高温での反応が可能であることから、ジエチレングリコールジメチルエ
ーテル、又はトリエチレングリコールジメチルエーテルが特に好ましい。
これらの溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
溶媒の使用量は、上限は特に制限はないが、反応器あたりの目的物の生成効率を考える
と、通常、原料のオリゴアザフルオレンモノマー(1)の20倍体積量、好ましくは15
倍体積量、さらに好ましくは10倍体積量となるような量が使用される。一方、溶媒の使
用量が少なすぎると試剤の溶解性が悪くなり攪拌が難しくなるとともに反応の進行が遅く
なる傾向があるので、下限としては、通常、原料のオリゴアザフルオレンモノマー(1)
の1倍体積量、好ましくは2倍体積量、さらに好ましくは4倍体積量となるような量が使
用される。
<1-4-2-4-4.反応形式>
工程(iic)を行う際、反応の形式はバッチ型反応でも流通型反応でもそれらを組み
合わせたものでも特にその形式は制限なく採用できる。
<1-4-2-4-5.反応条件>
溶媒や反応試剤であるジオール(VII)に水分が含まれている場合、エステルの加水
分解が進行し、副生成物として、含有される水分量に応じて以下に示すようなジカルボン
酸(IX)やヒドロキシカルボン酸(X)が生成する傾向がある。
Figure 0007200668000030
(式中、A~A、R~R10及びnは前記式(1)中のA~A、R~R10
及びnと同義。Rivは、炭素数1~10の有機置換基を表す。)
そのため、溶媒や反応試剤であるジオール(VII)は無水のものを用いるか、反応前
にトルエン、キシレンなどの反応に関与せず、水と共沸する溶媒で、共沸脱水を行ってか
ら、反応を行うことが好ましい。
なお、ジカルボン酸(IX)やヒドロキシカルボン酸(X)は、ポリエステルカーボネ
ートを含むポリカーボネート原料、またはポリエステル原料として使用することもできる

工程(iic)は温度が低すぎると十分な反応速度が得られない傾向があるため、反応
温度としては、具体的には、通常、下限は20℃、好ましくは50℃、より好ましくは8
0℃で実施される。一方通常、上限は、150℃、好ましくは120℃、より好ましくは
100℃で実施される。
工程(iic)における一般的な反応時間は、通常下限が1時間、好ましくは2時間、
さらに好ましくは4時間で、上限は特に限定はされないが通常30時間、好ましくは20
時間、さらに好ましくは10時間である。
<1-4-2-4-6.目的物の分離・精製>
反応終了後、目的物であるオリゴアザフルオレンジヒドロキシエステル化合物(1c)
は、副生した金属ハロゲン化物、及び残存した無機塩基などの不溶物を濾過して反応液か
ら除去した後に、溶媒を濃縮する方法、或いは目的物の貧溶媒を添加する方法などを採用
して、目的物であるオリゴアザフルオレンジヒドロキシエステル化合物(1c)を析出さ
せることにより単離することができる。
また、反応終了後、反応液に酸性水と目的物であるオリゴアザフルオレンジヒドロキシ
エステル化合物(1c)が可溶な溶媒を添加して抽出してもよい。溶媒により抽出された
目的物は、溶媒を濃縮する方法、或いは貧溶媒を添加する方法などにより単離することが
できる。
また、溶媒により抽出された目的物を、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの水溶液で
洗浄することにより、副生成物であるカルボン酸を除去することができる。
抽出の際に使用可能な溶媒としては、目的物であるオリゴアザフルオレンジヒドロキシ
エステル化合物(1c)が溶解するものであれば良く、特に制限はないが、酢酸エチルな
どのエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物、ジクロロメタン
、クロロホルムなどハロゲン系溶媒などの1種又は2種以上が好適に用いられる。
オリゴアザフルオレンジヒドロキシエステル化合物(1c)は、ポリエステルカーボネ
ートを含むポリカーボネート原料、またはポリエステル原料として、そのまま重合に使用
することも可能であるし、精製を行った後に次工程へ用いても良い。精製法としては、通
常の精製法、例えば、再結晶や、再沈法、抽出精製など制限なく採用可能である。また、
オリゴアザフルオレンジヒドロキシエステル化合物(1c)を適当な溶媒に溶解して活性
炭で処理することも可能である。その際に使用可能な溶媒は、抽出の際に使用可能な溶媒
と同じである。
<1-4-2-5.一般式(1d)のオリゴアザフルオレンジアリールエステル化合物
の製造方法
(オリゴアザフルオレンジエステル化合物(1)の合成後、エステル交換反応によるオリ
ゴアザフルオレンジアリールエステル化合物(1d)の製造法)>
オリゴアザフルオレンジアリールエステル化合物(1d)は、オリゴアザフルオレンジ
エステル化合物(1)を合成する工程(工程(iia)、工程(iib)と、続くジアリ
ールカーボネート類(XI)とのエステル交換反応(工程(iid))を経る方法により
製造することができる。
Figure 0007200668000031
(式中、A~A、R~R11及びnは式(1)中のA~A、R~R1及び
nと同義。Arは、炭素数6~11のアリール基を表す。)
<1-4-2-5-1.ジアリールカーボネート類(XI)>
反応試剤としてのジアリールカーボネート類(XI)は、ジフェニルカーボネート、ジ
トリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート
、ジナフチルカーネート、ビス(ビフェニル)カーボネートなどが挙げられる。中でも、
安価で、工業的に入手可能なジフェニルカーボネートが好ましい。これらのジアリールカ
ーボネートは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いてもよい。
ジアリールカーボネート類(XI)の使用量は原料であるオリゴアザフルオレンモノマ
ー(1)に対して、上限は特にないが、使用量が多すぎると反応後の精製負荷が大きくな
る傾向があるので、通常、オリゴアザフルオレンモノマーの20倍モル以下、好ましくは
10倍モル以下、さらに好ましくは5倍モル以下である。
一方、塩基の使用量が少なすぎると原料のオリゴアザフルオレンモノマー(1)や中間
体として、以下に示すようなオリゴアザフルオレンモノアリールエステル化合物(1e)
が残ってしまう場合があるので、下限としては、通常、原料のオリゴアザフルオレンモノ
マー(1)に対して1倍モル以上、好ましくは1.5倍モル以上、さらに好ましくは2倍
モル以上である。
Figure 0007200668000032
(式中、A~A、R~R11及びnは前記式(1)中のA~A、R~R1
及びnと同義。Arは、炭素数6~11のアリール基を表す。)
<1-4-2-5-2.エステル交換反応触媒>
エステル交換反応触媒としては、テトラブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、
テトラメトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラキ
ス(2-エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン、テトラフェノ
キシチタン、チタニウム(IV)アセチルアセトナート、チタニウム(IV)ジイソプロ
ポキシドビス(アセチルアセトナト)などのチタン化合物;、炭酸リチウム、ジブチルア
ミノリチウム、リチウムアセチルアセトナート、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェ
ノキシドなどのアルカリ金属化合物;カドミウムアセチルアセトナート、炭酸カドミウム
などのカドミウム化合物;ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコノセンなどのジル
コニウム化合物;硫化鉛、水酸化鉛、鉛酸塩、亜鉛酸塩、炭酸鉛、酢酸鉛、テトラブチル
鉛、テトラフェニル鉛、トリフェニル鉛、ジメトキシ鉛、ジフェノキシ鉛などの鉛化合物
;酢酸銅、銅ビスアセチルアセトナート、オレイン酸銅、ブチル銅、ジメトキシ銅、塩化
銅などの銅化合物;水酸化鉄、炭酸鉄、トリアセトキシ鉄、トリメトキシ鉄、トリフェノ
キシ鉄などの鉄化合物;亜鉛ビスアセチルアセトナート、ジアセトキシ亜鉛、ジメトキシ
亜鉛、ジエトキシ亜鉛、ジフェノキシ亜鉛などの亜鉛化合物;ジn-ブチルスズオキシド
、ジフェニルスズオキシド、ジn-オクリルスズオキシド、ジn-ブチルスズジメトキシ
ド、ジn-ブチルスズジアクリレート、ジn-ブチルスズジメタクリレート、ジn-ブチ
ルスズジラウレート、テトラメトキシスズ、テトラフェノキシスズ、テトラブチル-1,
3-ジアセトキシジスタノキサンなどの有機スズ化合物;酢酸アルミニウム、アルミニウ
ムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムフェノキシドなどのアルミニウム
化合物;二塩化バナジウム、三塩化バナジウム、四塩化バナジウム、硫酸バナジウムなど
のバナジウム化合物;テトラフェニルホスホニウムフェノキシドなどのホスホニウム塩な
どが挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
これらの中で、工業的に安価であり、反応操作上の優位性があることから、ホスホニウ
ム塩、リチウム化合物、ジルコニウム化合物、有機スズ化合物、又はチタン化合物等を用
いることが好ましく、中でも有機スズ化合物又はチタン化合物が特に好ましい。
エステル交換反応触媒の使用量は原料であるオリゴアザフルオレンモノマー(1)に対
して、上限は特にないが、使用量が多すぎると反応後の精製負荷が大きくなるので、通常
、フルオレンの20モル%以下、好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%
以下である。
一方、エステル交換反応触媒の使用量が少なすぎると反応時間が長くなりすぎてしまう
場合があるため、下限としては、通常、原料のオリゴアザフルオレンモノマーに対して0
.1モル%以上、好ましくは0.5モル%以上、さらに好ましくは1モル%以上である。
<1-4-2-5-3.溶媒>
工程(iid)では、反応溶媒を用いてもよいが、反応溶媒を用いずに、原料のオリゴ
アザフルオレンモノマー(1)、ジアリールカーボネート類(XI)、及びエステル交換
反応触媒だけで反応を行うことが好ましい。しかしながら、原料のオリゴアザフルオレン
モノマー(1)、ジアリールカーボネート類(XI)が常温で固体で、攪拌が困難な場合
においては、反応溶媒を使用してもよい。反応溶媒を使用する場合、上述の原料のオリゴ
アザフルオレンモノマー(1)、ジアリールカーボネート類(XI)、及びエステル交換
反応触媒を好適に溶解及び/又は分散させることが可能な溶媒であれば、その種類は任意
である。
具体的に使用可能な溶媒は、アルキルニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、プロ
ピオニトリルなど、ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトンなど、エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、
1,4-ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテ
ルなど、ハロゲン系溶媒としては、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホ
ルム、1,1,2,2-テトラクロロエタンなど、ハロゲン系芳香族炭化水素としては、
クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼンなど、アミド系溶媒としては、N,N-ジメ
チルホルムアミド、N,N,-ジメチルアセトアミドなど、スルホキシド系溶媒としては
、ジメチルスルホキシド、スルホランなど、環状式脂肪族炭化水素としては、シクロペン
タン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの単環状式脂肪族炭化水素
;その誘導体であるメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサ
ン、エチルシクロヘキサン、1,2-ジメチルシクロヘキサン、1,3-ジメチルシクロ
ヘキサン、1,4-ジメチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、n-プロピ
ルシクロヘキサン、tert-ブチルシクロヘキサン、n-ブチルシクロヘキサン、イソ
ブチルシクロヘキサン、1,2,4-トリメチルシクロヘキサン、1,3,5-トリメチ
ルシクロヘキサンなど;デカリンなどの多環状式脂肪族炭化水素;n-ペンタン、n-ヘ
キサン、n-ヘプタン、n-オクタン、イソオクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ド
デカン、n-テトラデカンなどの非環状式脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素としては、ト
ルエン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1,3,5-トリメチルベンゼン
、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンなど、芳
香族複素環としては、ピリジンなどが挙げられる。
本反応は通常100℃以上の高温で行うことが好ましいため、上記の溶媒の中でも沸点
が100℃以上の溶媒であるクロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、トリクロロベ
ンゼン、トルエン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1,3,5-トリメチ
ルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレ
ン、デカヒドロナフタレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトア
ミド、ジメチルスルホキシド、又はスルホランが好ましく、原料のオリゴアザフルオレン
ジエステル化合物(1)を好適に溶解させることができ、沸点が130℃以上で、より高
温での反応が可能になることから、1,2-ジクロロベンゼン、キシレン、1,3,5-
トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、又は1,2,3,4-テトラヒ
ドロナフタレン、デカヒドロナフタレンが特に好ましい。
これらの溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
溶媒の使用量は、上限は特に制限はないが、反応器あたりの目的物の生成効率を考える
と、通常、原料のオリゴアザフルオレンモノマー(1)の15倍体積量、好ましくは10
倍体積量、さらに好ましくは5倍体積量となるような量が使用される。一方、溶媒の使用
量が少なすぎると試剤の溶解性が悪くなり攪拌が難しくなるとともに反応の進行が遅くな
るので、下限としては、通常、原料のオリゴアザフルオレンモノマー(1)の濃度として
0.5倍体積量、好ましくは1倍体積量、さらに好ましくは2倍体積量となるような量が
使用される。
<1-4-2-5-4.反応形式>
工程(iid)を行う際、反応の形式はバッチ型反応でも流通型反応でもそれらを組み
合わせたものでも特にその形式は制限なく採用できる。
<1-4-2-5-5.反応条件>
工程(iid)において、温度が低すぎると十分な反応速度が得られない傾向があるた
め、通常、下限は50℃、好ましくは70℃、より好ましくは100℃で実施される。一
方、上限は、通常、250℃、好ましくは200℃、より好ましくは180℃で実施され
る。
工程(iid)における一般的な反応時間は、通常下限が1時間、好ましくは2時間、
さらに好ましくは3時間で、上限は特に限定はされないが通常30時間、好ましくは20
時間、さらに好ましくは10時間である。
工程(iid)において、平衡を生成物側に偏らせるために、減圧下で副生物を留去し
ながら反応を行ってもよい。減圧にする場合の圧力は、通常、20kPa以下、好ましく
は10kPa以下、より好ましくは、5kPa以下で実施される。一方、減圧度が高すぎ
ると、試薬として用いたジアリールカーボネート類まで昇華する可能性があるため、通常
、0.1kPa以上、好ましくは、0.5kPa以上、より好ましくは、1.0kPa以
上で実施される。
<1-4-2-5-6.目的物の分離・精製>
反応終了後、目的物であるオリゴアザフルオレンジアリールエステルモノマー(1d)
は、反応液に貧溶媒を添加し、析出させることにより単離することができる。
また、反応終了後、目的物であるオリゴアザフルオレンジアリールエステルモノマー(
1d)が可溶な溶媒と水を反応液に添加して抽出してもよい。溶媒により抽出された目的
物は、溶媒を濃縮する方法、或いは貧溶媒を添加する方法などにより単離することができ
る。
得られたオリゴアザフルオレンジアリールエステルモノマー(1d)は、ポリエステル
カーボネートを含むポリカーボネート原料、またはポリエステル原料として、そのまま重
合に使用することも可能である。精製法としては、通常の精製法、例えば、再結晶や、再
沈法、抽出精製、カラムクロマトグラフィーなど制限なく採用可能である。
<2.オリゴアザフルオレンモノマー組成物>
オリゴアザフルオレンモノマーは、化合物単品で使用してもよいが、オリゴアザフルオレ
ンモノマー組成物として、前述のオリゴアザフルオレンモノマーと、アザフルオレンモノ
マーを含む混合物として、使用してもよい。オリゴアザフルオレンモノマーだけでなくア
ザフルオレンモノマーを含むことで、光学特性及び溶解度を所望のものに簡便に調整する
ことが可能となる傾向がある。
<2-1.アザフルオレンモノマー>
本発明のオリゴアザフルオレンモノマー組成物に含まれるアザフルオレンモノマーは、
下記一般式(2)で表される。
Figure 0007200668000033
(式中、A~Aはそれぞれ独立に=CH-又は=N-を示す。ただし、A~A
少なくとも一つは=N-を含む。R及びRは、それぞれ独立に、直接結合、置換され
ていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数6~10のア
リーレン基、置換されていてもよい炭素数4~8のヘテロアリーレン基、置換されていて
もよい炭素数8~12のアラルキレン基、若しくは置換されていてもよい炭素数6~10
のヘテロアラルキレン基、又は置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置
換されていてもよい炭素数6~10のアリーレン基、置換されていてもよい炭素数4~8
のヘテロアリーレン基、置換されていてもよい炭素数8~12のアラルキレン基及び置換
されていてもよい炭素数6~10のヘテロアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以
上の基が、酸素原子、置換されていてもよい硫黄原子、置換されていてよい窒素原子若し
くはカルボニル基で、連結された基であり、
~R10は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10の
アルキル基、置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基、置換されていてもよい
炭素数4~10のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、
置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数6~
11のアリールオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数
2~10のビニル基又はエチニル基、置換基を有するケイ素原子、置換基を有する硫黄原
子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基であり、
11は、水素原子、置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基、置換されて
いてもよい炭素数4~10のヘテロアリール基、又は置換されていてもよい炭素数1~1
0のアルキル基である。
ただし、R~R10のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成し
ていてもよい。)
なお、前記式(2)におけるA~A及びR~R11としては、前記式(1)にお
けるA~A及びR~R11として例示したものと同義。
前記式(2)で表されるアザフルオレンモノマーの中でも、R11がアリール基で、ア
ザフルオレンジアリールエステルモノマーであることが、ポリエステルカーボネート製造
時に前期一般式(4)で表されるジアリールカーボネート類と反応性が近く、均一なポリ
エステルカーボネートを得ることができる上に、1種類のアリールアルコールが副生する
ため、アリールアルコールの回収が容易であることから、好ましい。
<2-1-1.アザフルオレンジアリールエステルモノマー>
オリゴアザフルオレンジアリールエステルモノマーは、下記一般式(3)で表される。
Figure 0007200668000034
前記式(3)におけるA~A及びR~R10としては、前記式(1)におけるA
~A及びR~R10として例示したものと同義。前記式(3)におけるArは、置
換されていてもよい炭素数6~11のアリール基である。
Arにおいて、「置換されていてもよい炭素数6~11のアリール基」の具体的な構造
は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、フェニル基、トリル基、クロロ
フェニル基、m-クレジル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる。特に工業的
にも安価に製造でき、副生するアリールアルコールがフェノールであるフェニル基がより
好ましく用いられる。
<2-2. アザフルオレンモノマーの具体例>
オリゴアザフルオレンモノマー組成物に含まれるアザフルオレンモノマーの具体例とし
ては、下記[N]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 0007200668000035
Figure 0007200668000036
これらの中で、好ましいアザフルオレンジアリールエステルモノマーは、下記「O」群
に示される構造が挙げられる。
Figure 0007200668000037
<2-3.アザフルオレンモノマーの物性>
オリゴアザフルオレンモノマー組成物に含まれるアザフルオレンモノマーの物性値は特
に限定されないが、以下に例示する物性値を満足するものであることが好ましい。
アザフルオレンモノマー中の塩素含有割合は、Cl換算質量で100質量ppm以下で
あることが好ましく、さらには10質量ppm以下であることが好ましい。塩素成分の含
有割合が多い場合、重合反応に用いる触媒を失活させてしまい、所望の分子量まで重合が
進行しなくなったり、反応が不安定化し、生産性が悪化する可能性がある。また、得られ
たポリマー中にも塩素成分が残存し、ポリマーの熱安定性を低下させるおそれがある。
アザフルオレンモノマー中のアザフルオレンモノ化合物の含有割合は、全アザフルオレ
ンモノマーの質量の10質量%以下であることが好ましい。さらには2質量%以下である
ことが好ましい。アザフルオレンモノ化合物は重合反応でポリマーに取り込まれると、末
端封鎖基となるため、アザフルオレンモノ化合物が多くなると、所望の分子量まで重合が
進行しなくなったり、ポリマー中のオリゴマーなどの低分子成分の残存量が多くなり、得
られたポリマーの機械強度や耐熱性を低下させたりするおそれがある。また、成形体から
低分子成分がブリードアウトするなどして、製品の品質を低下させる可能性も考えられる
。なお、アザフルオレンモノ化合物とは、アザフルオレンモノマーの末端エステル基のう
ちいずれか1つが、重合反応性基以外の基となっているものを意味する。
アザフルオレンモノマー中には、塩基存在下、ホルムアルデヒド類を作用させて、アザ
フルオレン環の架橋を行う工程由来のナトリウムやカリウムなどの長周期型周期表第1族
の金属やカルシウムなどの第2族の金属が含有する可能性があり、これらの含有割合が5
00質量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは200質量ppm以下、更に
好ましくは50質量ppm以下、特に好ましくは10質量ppm以下である。金属成分が
多いと、重合反応や樹脂を加工する際に、ポリマーが着色しやすくなる懸念がある。また
、含有している金属成分が触媒作用や触媒失活作用を示し、重合が不安定化するおそれも
ある。
アザフルオレンモノマー、特に、アザフルオレンジアリールエステルモノマー中には、
エステル交換反応触媒存在下、炭酸ジアリール類を作用させて、エステル交換を行う工程
に起因するチタン、銅、鉄などの遷移金属や、ナトリウム、カリウムなどの長周期型周期
表第1族や、マグネシウム、カルシウムなどの第2族の金属や、亜鉛やカドミウムなどの
第12族の金属や、スズなどの第14族の金属が含有する可能性があり、これらの含有割
合が500質量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは200質量ppm以下
、更に好ましくは50質量ppm以下、特に好ましくは10質量ppm以下である。金属
成分が多いと、重合反応や樹脂を加工する際に、ポリマーが着色しやすくなる懸念がある
。また、含有している金属成分が触媒作用や触媒失活作用を示し、重合が不安定化するお
それもある。
アザフルオレンモノマーは、10質量%のテトラヒドロフラン溶液の色調が50以下で
あることが好ましい。さらには10以下であることが好ましい。アザフルオレンモノマー
は可視光に近い領域まで吸収端が伸びており、重合や樹脂の加工により高温にさらされた
時に着色しやすい性質がある。色相の良好なポリマーを得るためには、重合反応に用いる
アザフルオレンモノマーは可能な限り着色が少ないことが好ましい。色調は濃度に比例す
るので、異なる濃度で測定して、10質量%濃度に規格化した値であってもよい。ここで
、オリゴアザフルオレンモノマーの色調(APHA値)は、JIS-K0071-1(1
998年)に準じ、キシダ化学社製色度標準液(1000度)を希釈して作成した液とア
ザフルオレンモノマーを内径20mmの比色管に入れて比較することにより測定できる。
アザフルオレンモノマーは、熱重量測定における5%重量減少温度が230℃以上であ
ることが好ましく、250℃以上であることがより好ましい。さらには270℃以上であ
ることが特に好ましい。重合反応に熱分解温度が低いアザフルオレンモノマーを用いると
、重合時に熱分解が起こり、所望の分子量まで重合が進行しなかったり、得られるポリマ
ーが着色したりするおそれがある。
アザフルオレンモノマーは、窒素雰囲気下で測定した分解温度が、250℃以上である
ことが好ましく、270℃以上であることがより好ましく、290℃以上であることがさ
らに好ましく、通常300℃以下である。本発明のアザフルオレンモノマーはアザフルオ
レン環の積層構造により、構造が剛直なため、分解温度が前記範囲を満足する傾向がある
。このように分解温度が前記範囲を満足することにより、アザフルオレンモノマーから得
られるポリエステル、ポリエステルポリカーボネートの熱安定性を向上できる傾向がある
。分解温度は例えば、TG-DTAにより測定することができる。
さらに、アザフルオレンモノマーは、融点(m.p.)が、100℃以上であることが
好ましく、120℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることがさらに好
ましく、通常150℃以下である。アザフルオレンモノマーはアザフルオレン環の積層構
造により、構造が剛直なため、融点が前記範囲を満足する傾向がある。このように融点が
前記範囲を満足することにより、アザフルオレンモノマーから得られるポリエステル、ポ
リエステルポリカーボネートの熱安定性を向上できる傾向がある。融点は例えば、TG-
DTAにより測定することができる。
<2-4.オリゴアザフルオレンモノマー組成物の組成>
本発明のオリゴアザフルオレンモノマー組成物に含まれる、オリゴアザフルオレンモノ
マーの含有割合については特に限定されないが、所望の光学特性を得るとの観点からは、
組成物の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上である
ことがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であ
ることがよりさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、また、通常9
9.9質量%以下である。
一方で、オリゴフルオレンモノマー組成物に含まれる、アザフルオレンモノマーの含有
割合については特に限定されないが、溶解度を向上させるとの観点からは、組成物の全質
量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがよ
り好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましく、5質量%以上であることがより
さらに好ましく、10質量%以上であることが特に好ましく、また、所望の光学特性を得
るとの観点からは、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることが
より好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。
また、オリゴアザフルオレンモノマー組成物に含まれる、オリゴアザフルオレンモノマ
ー及びアザフルオレンモノマーの含有割合については特に限定されないが、溶解度を向上
させるとの観点からは、組成物中に含まれるオリゴアザフルオレンモノマーとアザフルオ
レンモノマーのモル比(アザフルオレンモノマーのモル数/オリゴアザフルオレンモノマ
ーのモル数)が、0.001以上であることが好ましく、0.005以上であることがよ
り好ましく、0.02以上であることがさらに好ましく、0.05以上であることがより
さらに好ましく、0.1以上であることが特に好ましく、また、所望の光学特性を得ると
の観点からは、0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましく
、0.3以下であることがさらに好ましい。
オリゴアザフルオレンモノマー組成物中に含まれるオリゴアザフルオレンモノマーや、
アザフルオレンモノマーのモル数は、例えば、HPLC分析の面積%から、検量線を用い
て見積もることができる。
<3.ポリエステルカーボネート樹脂組成物、ポリエステル樹脂組成物>
本発明のオリゴアザフルオレンモノマーをモノマーとして用い、これを重合することに
より、ポリエステルカーボネート又はポリエステルを得ることができる。
本発明のオリゴアザフルオレンモノマーから得られるポリエステルカーボネート樹脂組
成物は、重合体としてポリエステルカーボネートを含有するものであってもよく、該重合
体からなるものであってもよい。同様に、本発明のオリゴアザフルオレンモノマーから得
られるポリエステル樹脂組成物は、重合体としてポリエステルを含有するものであっても
よく、該重合体からなるものであってもよい。ポリエステルカーボネート樹脂組成物又は
ポリエステル樹脂組成物は、その他の重合体を含んでいてもよく、また、添加剤等を含ん
でいてもよい。
<3-1.重合体の製造方法>
なお、ポリエステルカーボネートは後述する<3-2.ポリエステルカーボネートの重
合方法>等の方法により製造することができる。また、ポリエステルについても同様の方
法により製造することができ、具体的には後述する<3-3.ポリエステルの重合方法>
等の方法により製造することができる。
<3-2.ポリエステルカーボネートの重合方法>
ポリエステルカーボネート樹脂組成物の製造方法としては、ジヒドロキシ化合物と、前
期一般式(XI)で表されるジアリールカーボネート類及び、本発明のオリゴアザフルオ
レンモノマーを、溶融重縮合する方法(溶融重合法)を含むことが好ましい。もう一つの
一般的なポリカーボネートの製造方法として知られる界面重合法は、毒性の強いホスゲン
や塩化メチレン、クロロベンゼン等の含塩素溶媒を用いる必要もあり、環境負荷も高い傾
向がある。
<3-2-1.ジアリールカーボネート類>
この溶融重合法で用いられるジアリールカーボネート類としては、<1-4-2-5-
1.ジアリールカーボネート類>に記載のジアリールカーボネート類が好ましく用いられ
る。ジアリールカーボネート類のアリール基が、前記一般式(1d)で表される本発明の
オリゴアザフルオレンジアリールエステルモノマーのアリール基と同一であることが、ポ
リエステルカーボネート製造時に反応性が近く、均一なポリエステルカーボネートを得る
ことができる上に、1種類のアリールアルコールが副生するため、アリールアルコールの
回収が容易であることから、好ましい。特に工業的にも安価で、副生するアリールアルコ
ールがフェノールであるジフェニルカーボネートが好ましく用いられる。これらの炭酸ジ
エステルは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いてもよい。
<3-2-2.重合触媒>
溶融重合における重合触媒としては、例えば長周期型周期表第1族及び/又は、第2族
の金属化合物が使用される。重合触媒は、反応速度または重縮合して得られるポリエステ
ルカーボネート樹脂組成物の品質に非常に大きな影響を与え得る。
用いられる触媒としては、製造されたポリエステルカーボネート樹脂組成物の透明性、
色相、耐熱性、耐候性、及び機械的強度を満足させ得るものであれば限定されない。例え
ば、長周期型周期表における1族及び/又は2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記
する。)の金属化合物が挙げられる。
前記の1族金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム
、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢
酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、
ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナ
トリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェ
ニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェ
ニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安
息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウ
ム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、
フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウ
ム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カ
リウム塩、2リチウム塩および2セシウム塩等が挙げられる。中でも重合活性と得られる
ポリエステルカーボネート樹脂組成物の色相の観点から、リチウム化合物が好ましい。
前記の2族金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化
マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水
素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネ
シウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸
ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネ
シウムおよびステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。中でもマグネシウム化合物、
カルシウム化合物またはバリウム化合物が好ましく、重合活性と得られるポリエステルカ
ーボネート樹脂組成物の色相の観点から、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合
物が更に好ましく、最も好ましくはカルシウム化合物である。
長周期型周期表第1族と第2族の金属化合物と共に補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩
基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用す
ることも可能であるが、長周期型周期表第1族及び/又は、第2族の金属化合物のみを使
用することが特に好ましい。
前記の塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ-n-プロピ
ルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン、トリフェニ
ルホスフィン、トリブチルホスフィンおよび四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
前記の塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロ
キシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキ
シド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキ
シド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウム
ヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモ
ニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジ
ルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフ
ェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メ
チルトリフェニルアンモニウムヒドロキシドおよびブチルトリフェニルアンモニウムヒド
ロキシド等が挙げられる。
前記のアミン系化合物としては、例えば、4-アミノピリジン、2-アミノピリジン、
N,N-ジメチル-4-アミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン、2-ヒドロキシ
ピリジン、2-メトキシピリジン、4-メトキシピリジン、2-ジメチルアミノイミダゾ
ール、2-メトキシイミダゾール、イミダゾール、2-メルカプトイミダゾール、2-メ
チルイミダゾール、アミノキノリンおよびグアニジン等が挙げられる。
上記重合触媒の使用量は、長周期型周期表第1族と第2族の金属化合物を用いる場合、
反応に用いる全ジヒドロキシ化合物1モルに対して、金属換算量として、通常、0.1μ
mol~100μmolの範囲内で用い、好ましくは0.5μmol~50μmolの範
囲内であり、さらに好ましくは1μmol~25μmolの範囲内である。重合触媒の使
用量が少なすぎると、所望の分子量のポリエステルカーボネートを製造するのに必要な重
合活性が得られない場合があり、一方、重合触媒の使用量が多すぎると、得られるポリマ
ーの色相が悪化し、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、目
標とする品質のポリエステルカーボネートの製造が困難になる場合がある。
中でも長周期型周期表における2族からなる群及びリチウムより選ばれた少なくとも1
種の金属を含む化合物を用いる場合、特にはマグネシウム化合物及び/又はカルシウム化
合物を用いる場合は、金属換算量として、前記全ジヒドロキシ化合物1モル当たり、0.
1μmol以上が好ましく、より好ましくは0.3μmol以上、特に好ましくは0.5
μmol以上とする。また上限としては、20μmol以下が好ましく、より好ましくは
10μmol以下であり、さらに好ましくは5μmol以下で、特に好ましくは3μmo
l以下である。
触媒量が少なすぎると、重合速度が遅くなるため、所望の分子量のポリエステルカーボ
ネート樹脂組成物を得ようとするにはその分だけ重合温度を高くせざるを得なくなる傾向
がある。そのために、得られたポリエステルカーボネート樹脂組成物の色相が悪化する可
能性が高くなり、また、未反応の原料が重合途中で揮発してジヒドロキシ化合物とジアリ
ールカーボネート及びオリゴフルオレンジアリールエステルのモル比率が崩れ、所望の分
子量に到達しない可能性がある。一方、重合触媒の使用量が多すぎると、好ましくない副
反応を併発し、得られるポリエステルカーボネート樹脂組成物の色相の悪化または成形加
工時の樹脂の着色を招く可能性がある。
ただし、1族金属の中でもナトリウム、カリウム又はセシウムは、ポリカーボネート樹
脂組成物中に多く含まれると色相に悪影響を及ぼす可能性がある。そして、これらの金属
は使用する触媒からのみではなく、原料または反応装置から混入する場合がある。出所に
かかわらず、ポリエステルカーボネート樹脂組成物中のこれらの金属の化合物の合計量は
、金属量として、1質量ppm以下であることが好ましく、さらには0.5質量ppm以
下であることがより好ましい。
また、上記塩基性化合物と併用して、または併用せずに、チタン化合物、スズ化合物、
ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、ジルコニウム化合物、鉛化合物、オスミウム化
合物等のエステル交換反応触媒を用いてもよい。これらのエステル交換反応触媒の使用量
は、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物1molに対して、金属換算量として、通常、1
0μmol以上、好ましくは20μmol以上、より好ましくは50μmol以上、また
、通常1mmol以下、好ましくは800μmol以下、より好ましくは500μmol
以下である。
<3-2-3.ジヒドロキシ化合物>
この溶融重合法で用いられるジヒドロキシ化合物は光学特性、機械物性、耐熱性などの
観点から、イソソルビド(ISB)、イソマンニド、イソイデットなどの複素環式ジオー
ルが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。これらの中でも、入手及び重合反応性の観点からISBを用いるのが最も好ましい。
上記複素環式ジオールは、耐熱性を維持しつつ適度な柔軟性を与えるという観点では、
樹脂組成物中に5質量%以上含有することが好ましく、10質量%以上、含有することが
さらに好ましく、20質量%以上含有することが特に好ましい。一方で、含有量が多すぎ
ると、上記の構造は吸湿性の高い構造であるために、樹脂組成物の吸水率が高くなり、高
湿度の環境下において寸法変形が起こる懸念があることから、樹脂組成物中に90質量%
以下含有することが好ましく、80質量%以下含有することがさらに好ましく、70質量
%以下含有することが特に好ましい。
上記複素環式ジオールと組み合わせて、または上記複素環式ジオールの構造は用いずに
、別のジヒドロキシ化合物を含んでいてもよく、高い屈折率を得るという観点では、芳香
族成分を含有する時ヒドロキシ化合物を有することが好ましい。一方で、柔軟性を付与し
、機械物性や溶融加工性を向上させるという観点では、芳香族成分を含有しないジヒドロ
キシ化合物を有することが好ましい。(以下、複素環式ジオール以外のジヒドロキシ化合
物を「その他のジヒドロキシ化合物」と称することがある。)
上記複素環式ジオール以外のジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,
3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-
ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,5-ヘプタンジオール、1,6-ヘキサ
ンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカン
ジオール等の直鎖脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物;ネオペンチルグリコール、ヘキ
シレングリコール等の分岐脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物;1,2-シクロヘキサ
ンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-アダマンタンジオール、水添ビ
スフェノールA、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール等の脂
環式炭化水素で2級や3級アルコールのジヒドロキシ化合物;1,2-シクロヘキサンジ
メタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノー
ル、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6-
デカリンジメタノール、1,5-デカリンジメタノール、2,3-デカリンジメタノール
、2,3-ノルボルナンジメタノール、2,5-ノルボルナンジメタノール、1,3-ア
ダマンタンジメタノール、リモネン等のテルペン化合物から誘導されるジヒドロキシ化合
物等の脂環式炭化水素で1級アルコールのジヒドロキシ化合物;ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール等のオキシアルキレングリコール類;
下記式(A)や(B)で表されるスピログリコールやジオキサングリコール等が挙げら
れる。
Figure 0007200668000038
Figure 0007200668000039
以上に挙げたジヒドロキシ化合物以外にも、芳香族成分を含有するジヒドロキシ化合物
を用いてもよい。具体的には、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロ
キシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-
ジエチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-(3-フェニル)フェニ
ル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-(3,5-ジフェニル)フェニル)プロ
パン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4
-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,
2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)
ペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、ビス(4-
ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2
-エチルヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、ビス(4-ヒドロ
キシ-3-ニトロフェニル)メタン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン
、1,3-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、1,3-
ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン、2,2-ビス(4-
ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル
)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’-ジヒドロキシ
ジフェニルスルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキ
シ-3-メチルフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィド、
4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジク
ロロジフェニルエーテル等の芳香族ビスフェノール化合物;2,2-ビス(4-(2-ヒ
ドロキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシプロポキ
シ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4’
-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)
フェニル)スルホン等の芳香族基に結合したエーテル基を有するジヒドロキシ化合物;9
,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4
-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニ
ル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フルオレ
ン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)フルオレン
、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシプロポキシ)-3-メチルフェニル)フルオレン
、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソプロピルフェニル)フルオ
レン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソブチルフェニル)フル
オレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-tert-ブチルフェニ
ル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-シクロヘキシル
フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニル
フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジメ
チルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-te
rt-ブチル-6-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(3-ヒドロキシ
-2,2-ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等のフルオレン環を有するジヒド
ロキシ化合物等が挙げられる。
上記に挙げた芳香族成分を含まないその他のジヒドロキシ化合物としては、1,4-シ
クロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、スピログリコールが光学物
性や耐熱性、機械物性などのバランスに優れており、特に好ましい。
上記に挙げた芳香族成分を含むその他のジヒドロキシ化合物としては、2,2-ビス(
4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシプロポキシ)
フェニル)プロパン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオ
レン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレンが工業的に入手
可能で、屈折率、アッベ数などの光学物性や耐熱性、機械物性などのバランスに優れてお
り、特に好ましい。
その他のジヒドロキシ化合物は、得られる樹脂組成物の要求性能に応じて、単独又は2
種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂組成物中のその他のジヒドロキシ化合物の含有
量は、1質量%以上、60質量%以下が好ましく、5質量%以上、55質量%以下がさら
に好ましく、10質量%以上、50質量%以下が特に好ましい。その他のジヒドロキシ化
合物は特に樹脂組成物の耐熱性の調整や、柔軟性や靱性の付与の役割を担うため、含有量
が少なすぎると、樹脂の機械物性や溶融加工性が悪くなり、含有量が多すぎると、耐熱性
や光学特性が悪化するおそれがある。
<3-2-4.重合法>
ポリエステルカーボネートを溶融重合法で製造する方法としては、ジヒドロキシ化合物
と、重合触媒の存在下で炭酸ジエステルとその一部をオリゴフルオレンジアリールエステ
ル置換し、反応させる。重合は、通常、2段階以上の多段工程で実施され、重合反応器は
1つで条件を変えて2段階以上の工程で実施してもよいし、2つ以上の反応器を用いて、
それぞれの条件を変えて2段階以上の工程で実施してもよいが、生産効率の観点からは、
2つ以上、好ましくは3つ以上、更に好ましくは3~5つ、特に好ましくは、4つの反応
器を用いて実施する。重合反応はバッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合
わせの何れでも構わないが、生産効率と品質の安定性の観点から、連続式が好ましい。
<3-3.ポリエステルの重合方法>
重合に用いる炭酸ジエステルを全て、本発明の製造方法で得たオリゴアザフルオレンジ
アリールエステルモノマーで置換する等の方法により、ポリエステルが得られる。好まし
い重合触媒、重合条件等は<3-2.ポリエステルカーボネートの重合方法>記載の方法
と同じである。
<3-4.添加剤>
本発明のオリゴアザフルオレンモノマーから得られるポリエステルカーボネート又はポ
リエステル樹脂組成物には、熱安定剤、酸化防止剤、核剤、難燃剤、無機充填剤、衝撃改
良剤、発泡剤、染顔料等の任意の添加剤を含有させてもよい。同様に、本発明のオリゴア
ザフルオレンジエステル化合物から得られる樹脂組成物に含有される重合体にも、任意の
添加剤を含有させてもよい。
上記の添加剤は、本発明のオリゴアザフルオレンジエステル化合物から得られる樹脂組
成物又はポリカーボネート樹脂組成物に上記成分を同時に、または任意の順序でタンブラ
ー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の
混合機により混合して製造することができるが、中でも押出機、特には二軸押出機により
混練することが、分散性向上の観点から好ましい。
<3-5.用途>
本発明のオリゴアザフルオレンモノマーから得られるポリエステルカーボネート又はポ
リエステル樹脂組成物は高屈折率、低アッベ数で、耐熱性および成形性にも優れ、さらに
着色が少なく高い透明性を兼ね備えている傾向があるため、それらを成形して得られる成
形体はフィルムやレンズ、プリズムといった光学部材に好適である。例えば、本発明にか
かるフィルムは、各種ディスプレイ(液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマ表示装
置、FED電界放出表示装置、SED表面電界表示装置)の視野角補償用、外光の反射防
止用、色補償用、直線偏光の円偏光への変換用などの位相差フィルムとして用いることが
できる。また、本発明にかかるレンズ、プリズムは、フレネルレンズ、ピックアップレン
ズ等の光学レンズや光学プリズムにも用いることもできる。
<3-6.屈折率>
ポリエステルカーボネート又はポリエステル樹脂組成物の原料となる本発明のオリゴア
ザフルオレンモノマーの屈折率は、光学レンズなどの光学材料を想定した場合には、58
7nmにおける屈折率が1.61以上であることが好ましい。本発明のオリゴアザフルオ
レンモノマーから得られるポリエステルカーボネート又はポリエステル樹脂組成物を用い
て光学レンズを設計するためには、レンズを薄くするためにも、モノマーとして使用する
オリゴアザフルオレンモノマーの屈折率が高い方が好ましい。従って、587nmにおけ
るモノマーの屈折率は、1.62以上であることが更に好ましく、1.63以上がより更
に好ましく、1.64以上が特に好ましく、通常1.75以下である。
<3-7.アッベ数>
ポリエステルカーボネート又はポリエステル樹脂組成物の原料となる本発明のオリゴア
ザフルオレンモノマーのアッベ数は、撮像系光学レンズなどの光学材料を想定した場合に
は、アッベ数が20以下であることが好ましい。本発明のオリゴアザフルオレンモノマー
から得られるポリエステルカーボネート又はポリエステル樹脂組成物を用いて撮像系光学
レンズを設計するためには、アッベ数が低い方が好ましい。従って、モノマーのアッベ数
は、19以下であることが更に好ましく、18以下であることがより更に好ましく、17
以下が特に好ましく、通常13以上である。
また、光学材料を小型化、薄肉化していくためには、色収差の影響を回避するため、好ま
しい屈折率である1.60以上と、好ましいアッベ数20以下を同時に満たすモノマーを
原料としたポリエステルカーボネート又はポリエステル樹脂組成物などを光学材料に用い
ることが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超
えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。本発明のオリゴアザフルオレ
ンモノマーの品質評価、および特性評価は次の方法により行った。なお、特性評価手法は
以下の方法に限定されるものではなく、当業者が適宜選択することができる。
(1)モノマーの屈折率、アッベ数測定
溶媒に1-メチル-2-ピロリドン(NMP)を用い、試料濃度5重量%から20重量
%までの試料溶液を調製し、測定試料とした。
株式会社島津デバイス製造製カルニュー精密屈折計KPR-2000を用いて、波長6
56nm(C線)、587nm(d線)、486nm(F線)の各波長の屈折率、nC、
nd、nFを測定した。測定は、23℃で行った。
各濃度と屈折率を一次関数的にプロットし、100%濃度を外挿して、該屈折率とした
アッベ数νdは次の式で計算した。
νd=(1-nd)/(nC-nF)
アッベ数が大きいほど、屈折率の波長依存性が小さいことを表す。
(2)モノマーの溶解性評価
各種有機溶媒0.2mLに試料を20mgまたは、10mgを必要に応じて加温して溶
解させ、室温に戻して30分後に、目視で完全に溶解しているかどうかの確認を行った。
30分後の時点で析出が見られず20mg完全に溶解しているものを◎、20mgでは完
全に溶解せず、10mgでは完全に溶解しているものを○、10mgも溶解しなかったも
のを×として溶媒に対する溶解性を評価した。
[モノマーの合成例]
<合成例1>11H-インダノ[1,2-b]キノリン(化合物1)の合成
Figure 0007200668000040
窒素雰囲気下、1L 4口フラスコに鉄粉 73.9g(1324mmol)、エタノ
ール 276g、1N塩酸 16.9g(16.5mmol)、脱塩水 300gを添加
して、内温70-75℃に加熱して撹拌した。2-ニトロベンズアルデヒド 50.0g
(331mmol)をエタノール 197gに溶かした液を先のフラスコに1時間かけて
滴下し、30分熟成した後、内温50℃以下に冷却して、52重量%炭酸カリウム水溶液
5.2gを添加した。桐山漏斗を用いて鉄粉を濾過し、濾別した鉄粉残渣をエタノール
233gで洗浄した。得られた濾液をHPLCで分析した結果、2-アミノベンズアル
デヒドが32.6g(269mmol、収率82%)含まれていた。
この溶液を減圧濃縮して、エタノール 233gを留去した溶液に1-インダノン 3
9.4g(298mmol)、19重量%水酸化カリウムーエタノール溶液101.2g
を添加して、還流条件下1時間撹拌した。内温50℃以下に冷却して、1N塩酸 344
gを添加し、pH7-8に調整した。析出した固体を桐山漏斗で濾過し、80℃で恒量に
なるまで減圧乾燥し、乳白色固体として、11H-インダノ[1,2-b]キノリン(化合
物1)を 60.8g(収率79%)取得した。
H-NMR ( 400MHz, CHLOROFORM-D) δ 8.36-8.28(m
,1H),8.25-8.18(m,2H),7.84(dd,J=1.2,8.0Hz
,1H),7.77-7.67(m,1H),7.66-7.58(m,1H),7.5
6-7.46(m,3H),4.06(s,2H)
<合成例2>ビス(11H-インデノ[1,2-b]キノリン-11-イル)メタン(化
合物2)の合成
Figure 0007200668000041
窒素雰囲気下、2Lのフラスコにジメチルホルムアミド 1.2L、化合物1 100
g(460mmol)、50重量%水酸化カリウム水溶液 1.84g(23.01mm
ol)、37%ホルマリン水溶液 18.7g(230mmol)を添加し、内温25℃
で2時間撹拌した。反応液を脱塩水1Lに注ぎ、析出している固体を濾別し、40℃で恒
量になるまで減圧乾燥し、薄茶色固体として、ビス(11H-インデノ[1,2-b]キノ
リン-11-イル)メタン(化合物2)を45g(101mmol、収率44%)取得し
た。
H-NMR ( 400MHz, CHLOROFORM-D) δ8.35(d,J=7.
6Hz,2H),8.23(d,J=8.2Hz,2H),8.06(s,2H),7.
76-7.69(m,2H),7.63(t,J=7.2Hz,4H),7.57-7.
45(m,6H),4.54(t,J=7.2Hz,2H)),2.45(t,J=7.
2Hz,2H)
13C-NMR(101MHz,CHLOROFORM-D)δ160.94,148.
94,148.24,139.57,138.34,131.54,130.36,12
9.25,129.03,128.17,127.95,127.16,125.95,
124.97,122.29,43.17,39.47
<合成例3> ジエチル=3,3'-(11H-インデノ[1,2-b]キノリン-11,
11-ジイル)ジプロピオナート(化合物3)、ジエチル=3,3′-[メチレンビス(
11H-インデノ[1,2-b]キノリン-11,11-ジイル)]ジプロピオナート(化合
物4と化合物5)、ジエチル=3,3′-{[(11H-インデノ[1,2-b]キノリン-
11,11-ジイル)ビス(メチレン)]ビス(11H-インデノ[1,2-b]キノリン-
11,11-ジイル)}ジプロピオナート(化合物6)の合成例
Figure 0007200668000042
500mL 4口フラスコに、合成例2で得られたビス(11H-インデノ[1,2-
b]キノリン-11-イル)メタン(化合物2) 10g(22mmol)、N-ベンジ
ルーN,N,N-トリエチルアンモニウムクロリド 1g(4.4mmol)、テトラヒ
ドロフラン 100mLを入れ、窒素置換後、内温を15~18℃に制御し、48重量%
水酸化ナトリウム水溶液 6.0gを加えた後、アクリル酸エチル 4.9g(49mm
ol)を30分かけて滴下して、室温で3時間熟成した。トルエン 200mL、飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液を添加して、抽出分液した後、有機層を減圧濃縮し、残渣をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、ジエチル=3,3′-(11H-イ
ンデノ[1,2-b]キノリン-11,11-ジイル)ジプロピオナート(化合物3)を
0.5g、ジエチル=3,3′-[メチレンビス(11H-インデノ[1,2-b]キノ
リン-11,11-ジイル)]ジプロピオナート(化合物4と化合物5の混合物)を5.
0g、ジエチル=3,3′-{[(11H-インデノ[1,2-b]キノリン-11,1
1-ジイル)ビス(メチレン)]ビス(11H-インデノ[1,2-b]キノリン-11
,11-ジイル)}ジプロピオナート(化合物6)を1.0g取得した。なお、化合物5
と6は、流出するフラクションの一部をNMR解析することでジアステレオマーレオマー
であることを確認した。
(化合物3)
H-NMR(400MHz,CHLOROFORM-D)δ8.23-8.25(m,
1H),8.19(d,J=8.2Hz,1H),8.06(s,1H),7.85(d
d,J=8.2,1.4Hz,1H),7.70-7.74(m,1H),7.47-7
.55(m,4H),3.80-3.91(m,4H),2.46-2.59(m,4H
),1.55-1.70(m,4H),1.03(t,J=7.3Hz,6H)
13C-NMR(101MHz,CHLOROFORM-D)δ173.05,161.
08,149.44,148.60,139.99,139.33,130.90,12
9.81,129.27,129.12,128.38,127.99,127.38,
126.05,123.09,122.09,60.24,51.31,34.95,2
9.11,13.89
(化合物4)
H-NMR ( 400MHz, CHLOROFORM-D) δ7.70(d,J=8.
7Hz,2H),7.48-7.54(m,4H),7.38(s,2H),7.08-
7.23(m,7H),7.00-7.05(m,4H),6.92(d,J=7.3H
z,2H),3.71-3.79(m,4H),3.32(dd,J=21.3,14.
4Hz,2H),2.35-2.45(m,4H),1.11-1.26(m,4H),
0.92(t,J=7.1Hz,6H)
13C-NMR(101MHz,CHLOROFORM-D)δ173.17,160.
05,148.38,147.90,139.24,138.56,129.93,12
9.53,128.88,128.57,127.38,126.98,126.40,
125.74,125.41,123.26,121.46,60.14,50.28,
49.77,36.78,27.95,13.82
(化合物5)
H-NMR ( 400MHz, CHLOROFORM-D) δ7.97(d,J=8.
2Hz,2H),7.59-7.63(m,2H),7.30-7.45(m,8H),
7.01(d,J=6.9Hz,2H),6.82(ddt,J=18.5,7.3,1
.1Hz,4H),3.75(dq,J=7.2,3.2Hz,4H),3.27(s,
2H),2.39(t,J=8.2Hz,4H),1.14-1.22(m,4H),0
.93(t,J=7.1Hz,6H)
13C-NMR(101MHz,CHLOROFORM-D)δ173.18,159.
84,148.92,147.98,139.42,137.81,130.22,12
9.17,128.96,128.79,127.94,127.62,126.75,
125.27,123.32,121.30,60.17,50.40,49.36,3
6.75,27.92,13.84
(化合物6)
H-NMR(400MHz,CHLOROFORM-D)δ6.22-7.97(m,
27H),3.66-3.76(m,4H),3.07-3.28(m,4H),2.2
1-2.41(m,4H),0.85-1.29(m,10H)
13C-NMR(101MHz,CHLOROFORM-D)δ172.73,172.
71,159.44,159.37,159.07,159.00,158.47,14
9.01,148.68,148.54,148.14,147.42,147.32,
147.12,147.08,147.03,146.71,138.63,138.6
0,138.53,138.05,137.53,136.99,136.94,136
.81,136.49,130.85,130.31,130.17,130.07,1
29.83,129.16,129.12,128.94,128.82,128.65
,128.46,128.38,128.21,128.16,128.07,127.
79,127.72,127.64,127.60,127.50,127.27,12
7.20,127.14,126.93,126.75,126.62,126.49,
126.11,125.79,125.64,125.57,125.20,125.0
5,124.98,124.91,124.84,124.48,123.68,122
.72,122.62,121.27,121.14,121.07,120.94,1
20.87,120.56,77.32,77.00,76.68,59.86,59.
79,50.69,50.23,50.13,50.02,49.85,49.82,4
9.72,49.59,36.53,36.40,36.31,31.54,28.68
,27.59,27.45,27.41,22.37,13.86,13.51
<合成例4>
ジフェニル=3,3′-[メチレンビス(11H-インデノ[1,2-b]キノリン-11
,11-ジイル)]ジプロピオナート(化合物7と化合物8)の合成例
Figure 0007200668000043
500mLのセパラブルフラスコに、合成例3で得られたジエチル=3,3′-[メチ
レンビス(11H-インデノ[1,2-b]キノリン-11,11-ジイル)]ジプロピ
オナート(化合物4と化合物5の混合物)41g(63.4mmol)、ジフェニルカー
ボネート 67.9g(317mmol)、オルトチタン酸テトライソブロピル 0.4
5g(1.6mmol)を入れ、減圧度を3.0kPaに調整し、副生物を留去しながら
、内温が185℃に到達するまで、5時間撹拌した。窒素で常圧に腹圧した後、90℃に
冷却し、オルトキシレン 203gを加えた。得られた溶液をシリカゲルカラムクロマト
グラフィーで精製することで、白色固体として、ジフェニル=3,3′-[メチレンビス
(11H-インダノ[1,2-b]キノリン-11,11-ジイル)]ジプロピオナート
(化合物7と化合物8の混合物)を14.8g(収率31%)で取得した。出始めのフラ
クションと出終わりのフラクションのNMRを測定した結果、ジアステレオマーレオマー
(化合物7、8)であることを確認した。
化合物7のケミカルシフトを以下に示す。
H-NMR(400MHz,CHLOROFORM-D)δ7.75(d,J=8.2
Hz,2H),7.62(d,J=7.3Hz,2H),7.52-7.56(m,2H
),7.45(s,2H),7.18-7.26(m,8H),7.04-7.13(m
,6H),6.99(d,J=7.3Hz,2H),6.69(d,J=7.8Hz,4
H),3.39(dd,J=14.2,7.2Hz,2H),2.47-2.60(m,
4H),1.37-1.56(m,4H)
13C-NMR(101MHz,CHLOROFORM-D)δ171.65,159.
98,150.18,148.20,147.84,139.14,138.38,13
0.17,129.75,129.16,128.80,128.78,127.62,
127.07,126.41,125.59,123.32,121.68,121.1
9,50.34,49.77,36.48,28.04
化合物8のケミカルシフトを以下に示す。
H-NMR(400MHz, CHLOROFORM-D)δ8.03(d,J=8.2H
z,2H),7.64-7.68(m,2H),7.40-7.47(m,6H),7.
36(d,J=7.8Hz,2H),7.07-7.22(m,7H),6.95(td
,J=7.4,1.1Hz,2H),6.78-6.82(m,2H),6.67-6.
71(m,4H),3.34(s,2H),2.52(q,J=8.5Hz,5H),1
.38-1.55(m,4H)
13C-NMR(101MHz,CHLOROFORM-D)δ171.63,159.
72,150.19,148.86,147.93,139.29,137.38,13
0.51,129.41,129.16,129.01,128.91,128.01,
127.77,125.59,125.41,123.24,121.43,121.1
9,50.44,49.46,36.38,27.99
<合成例5>ジフェニル=3,3′-(11H-インデノ[1,2-b]キノリン-1
1,11-ジイル)ジプロピオナート(化合物9)とジフェニル=3,3′-{[(11
H-インデノ[1,2-b]キノリン-11,11-ジイル)ビス(メチレン)]ビス(
11H-インデノ[1,2-b]キノリン-11,11-ジイル)}ジプロピオナート(
化合物10)の合成例
Figure 0007200668000044
500mLのセパラブルフラスコに、合成例3と同様の方法で得られた化合物3, 4,
5,6の混合物をカラムクロマトグラフィーで精製することなく原料とする以外は、合成
例3と同様の方法で合成を行い、カラムクロマトグラフィーで精製することで、ジフェニ
ル=3,3'-(11H-インデノ[1,2-b]キノリン-11,11-ジイル)ジプロピ
オナート(化合物9)、化合物7、化合物8、ジフェニル=3,3′-{[(11H-イン
デノ[1,2-b]キノリン-11,11-ジイル)ビス(メチレン)]ビス(11H-イン
デノ[1,2-b]キノリン-11,11-ジイル)}ジプロピオナート(化合物10)を
得た。
化合物9のNMRケミカルシフトを以下に示す。
H-NMR(400MHz,CHLOROFORM-D)δ8.29-8.32(m,
1H),8.23(d,J=8.7Hz,1H),8.16(s,1H),7.88(d
d,J=8.0,1.1Hz,1H),7.74-7.79(m,1H),7.55-7
.60(m,4H),7.23-7.27(m,5H),7.14(tt,J=7.5,
1.4Hz,2H),6.78-6.81(m,4H),2.61-2.75(m,4H
),1.83-1.99(m,4H)
13C-NMR(101MHz,CHLOROFORM-D)δ171.58,161.
09,150.32,149.16,148.83,140.16,139.01,13
1.21,130.14,129.54,129.25,128.73,128.19,
127.47,126.27,125.70,123.25,122.34,121.2
8,51.40,34.83,29.26
化合物10のNMRケミカルシフトを以下に示す。
H-NMR(400MHz,CHLOROFORM-D)δ7.78-7.85(m,
1H),7.63(d,J=8.2Hz,1H),7.38-7.56(m,4H),6
.74-7.29(m,23H),6.23-6.67(m,8H),3.16-3.2
5(m,4H),2.32-2.39(m,4H),1.23-1.37(m,4H)
13C-NMR(101MHz,CHLOROFORM-D)δ171.50,159.
66,159.58,159.30,159.21,158.72,150.05,14
9.02,148.61,148.17,147.47,147.39,147.05,
138.98,138.85,138.40,137.51,137.13,136.9
3,136.52,130.95,130.39,130.29,130.05,129
.41,129.22,129.04,128.75,128.50,128.38,1
28.32,128.09,127.87,127.62,127.54,127.23
,127.15,126.86,126.76,126.33,126.22,126.
00,125.85,125.79,125.49,125.25,125.11,12
4.89,124.72,123.99,123.88,122.84,121.42,
121.34,121.21,121.06,120.78,50.95,50.47,
50.39,50.07,49.94,49.81,36.51,36.39,27.7

<合成例6>7H-ベンズ[6,7]インデノ[1,2-b]キノリン(化合物13)
の合成
Figure 0007200668000045
<合成例6-1>2,3-ジヒドロ-1H-ベンズ[e]インデン-1-オン(化合物
12)の合成
窒素下、1Lの4口フラスコに、塩化アルミニウム 33g(244mmol)、無水
ジクロロメタン 300mLを添加して、室温で撹拌した。この溶液に、別途調整した3
-クロロプロパノイルクロリド 25g(195mmol)、ナフタレン 25g(19
5mmol)、無水ジクロロメタン 200mLの混合溶液を1時間かけて滴下した後、
室温で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮してジクロロメタンを留去し、茶色固体として
化合物12を80g取得した。この化合物11に塩化ナトリウム 28g(483mmo
l)を添加し、140℃で2時間撹拌した後、室温まで冷却した。得られた反応液を30
0mLの氷水に注ぎ、30分撹拌した後、水 300mL、ジクロロメタン 300mL
を添加して、分液抽出した。分液した水層は、ジクロロメタン300mLで2回抽出した
。合わせた有機層を飽和食塩水 300mLで洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。硫酸ナトリウムを濾別した後、濾液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーで精製することで、黄色固体として化合物12を24g(132mmol、収率68
%)で取得した。
化合物12のNMRケミカルシフトを以下に示す。
H-NMR(400MHz, CHLOROFORM-D)δ9.17(d,J=8.4H
z,1H),8.04(d,J=8.4Hz,1H),7.89(d,J=8.0Hz,
1H),7.63-7.71(m,1H),7.50-7.60(m,2H),3.19
-3.27(m,2H),2.77-2.85(m,2H)
<合成例6-2>7H-ベンズ[6,7]インデノ[1,2-b]キノリン(化合物1
3)の合成
合成例1と同様の方法で合成した2-アミノベンズアルデヒド 64g(527mmo
l)を含むエタノール溶液 1.5Lに、酢酸アンモニウム 305g(3.95mol
)、合成例5-1で得た2,3-ジヒドロ-1H-ベンズ[e]インデン-1-オン 4
8g(263mmol)を添加し、85℃で16時間撹拌した。2-アミノベンズアルデ
ヒド 32gを含むエタノール溶液 750mLを添加して、85℃で24時間撹拌した
。反応液を減圧濃縮し、残渣に水 2L、ジクロロメタン 1.5Lを添加し、分液抽出
した。水層は、ジクロロメタン 1.5Lで2回抽出した。得られた有機層を飽和食塩水
2Lで洗浄した。得られた有機層をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化
合物13を85g(318mmol、収率40%)で取得した。
化合物13のケミカルシフトを以下に示す。
H-NMR(400MHz, CHLOROFORM-D)δ10.14(d,J=8.4
Hz,1H),8.33(d,J=8.4Hz,1H),8.19(s,1H),7.9
2-8.03(m,2H),7.77-7.87(m,2H),7.74(td,J=7
.6,1.6Hz,1H),7.69(d,J=8.4Hz,1H),7.59-7.6
5(m,1H),7.50-7.57(m、1H),4.10(s,2H)
13C-NMR(400MHz, CHLOROFORM-D)δ163.61,148.1
7,144.97,135.12,134.57,133.18,130.63,130
.06,129.95,129.65,128.50,128.23,127.62,1
27.47,126.48,126.03,125.73,125.52,123.17
,34.48
<合成例7>ジエチル=3,3′-[メチレンビス(7H-ベンズ[6,7]インデノ[1
,2-b]キノロン-7,7-ジイル)]ジプロピオナート(化合物14、15) の合成
Figure 0007200668000046
合成例6で得られた化合物13を原料として用いる事以外は、合成例2、3と同様の方
法でジエチル=3,3′-[メチレンビス(7H-ベンズ[6,7]インデノ[1,2-
b]キノロン-7,7-ジイル)]ジプロピオナート(化合物14、15の混合物)を得
た。
ジエチル=3,3′-[メチレンビス(7H-ベンズ[6,7]インデノ[1,2-b
]キノロン-7,7-ジイル)]ジプロピオナートのNMRケミカルシフトを以下に示す

H-NMR(400MHz,CHLOROFORM-D)δ8.94-9.05(m,
2H),7.73(m,2H),7.48-7.54(m,2H),7.30-7.43
(m,8H),7.08-7.23(m,5H),6.96-7.04(m,2H),3
.68-3.75(m,4H),3.25-3.39(m,2H),2.42-2.55
(m,4H),1.08-1.23(m,4H),0.86(td,J=7.1,1.2
Hz,6H)
13C-NMR(101MHz,CHLOROFORM-D)δ171.66,161.
70,161.57,150.18,148.06,147.77,147.65,14
7.21,138.79,137.95,134.21,133.74,133.00,
132.93,130.16,129.89,129.50,129.09,129.0
3,128.75,128.70,128.26,128.20,127.52,127
.34,127.19,127.12,126.76,125.99,125.79,1
25.54,125.50,125.33,125.27,125.08,121.17
,120.41,119.65,50.19,47.72,35.47,35.17,2
7.88
<合成例8>ジフェニル=3,3′-[メチレンビス(7H-ベンズ[6,7]インデ
ノ[1,2-b]キノリン-7,7-ジイル)]ジプロピオナート(化合物16、17)の
合成例
Figure 0007200668000047
化合物13を原料として用いる事以外は、合成例3、4、5と同様の方法で化合物16
と化合物17の混合物 を取得した。
化合物16と化合物17の混合物のNMRケミカルシフトを以下に示す。
H-NMR(400MHz,CHLOROFORM-D)δ8.99-9.11(m,
2H),7.78(dd,J=30.0,8.5Hz,2H),7.30-7.58(m
,12H),7.03-7.23(m,13H),6.61-6.64(m,4H),3
.36-3.47(m,2H),2.55-2.69(m,4H),1.36-1.50
(m,4H)
13C-NMR(101MHz,CHLOROFORM-D)δ171.86,161.
90,161.77,150.39,148.26,147.97,147.86,14
7.42,138.99,138.15,134.41,133.94,133.20,
133.14,130.36,130.09,129.71,129.29,129.2
4,128.95,128.90,128.46,128.40,127.72,127
.54,127.40,127.32,126.97,126.19,125.99,1
25.74,125.70,125.53,125.47,125.28,121.37
,120.61,119.86,50.39,47.92,35.67,35.37,2
8.08
<合成例9>9H-フルオレン-9,9-ジプロピオン酸ジエチルエステル(化合物1
8)の合成
Organic Preparations and Procedures Inte
rnational,1993,25,241-243.に記載の方法で合成した。
<合成例10>ビス[9-(2-エトキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル]
メタン(化合物19)の合成
米国特許出願公開第2012/0170118号明細書に記載の方法で合成した。
<合成例11>ビス[9-(2-フェノキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル
]メタン(化合物20)の合成
国際公開第2014/061677号パンフレットに記載の方法で合成した。
<合成例12>9H-フルオレン-9,9-ジプロピオン酸ジフェニルエステル(化合
物21)の合成
合成例11に記載の方法で合成を行い、副生する9H-フルオレン-9,9-ジプロピ
オン酸ジフェニルエステル(化合物21)をカラムクロマトグラフィーで精製することで
目的物を取得した。
化合物21のケミカルシフトを以下に示す。
H-NMR(400MHz,CHLOROFORM-D)δ7.80(dd,J=6.
4,0.9Hz,2H),7.39-7.50(m,6H),7.29-7.33(m,
4H),7.18(dd,J=8.5,6.6Hz,2H),6.89-6.92(m,
4H),2.57-2.61(m,4H),1.83-1.88(m,4H)
13C-NMR(101MHz,CHLOROFORM-D)δ171.81,150.
43,147.25,141.25,129.23,127.88,127.84,12
5.61,123.08,121.37,120.20,53.57,34.42,29
.08
得られたモノマーの屈折率、アッベ数及び溶解度の測定結果を表1に示す。
Figure 0007200668000048
表1より、本発明のモノマーは、高屈折率で、低アッベ数を有し、溶媒に対する溶解性
も良好であり、レンズ等の光学部材用途に有用であると言える。
実験例に示した本発明の全てのモノマーは、好ましい屈折率である1.61以上、かつ
、好ましいアッベ数である20以下であり、良好な光学特性を示した。特に、アザフルオ
レン環を1枚持つアザフルオレンジアリールエステルモノマーを用いた実験例7よりも、
アザフルオレン環を複数枚持つオリゴアザフルオレンモノマーを用いた実験例1~6の方
が、屈折率1.63以上かつ、アッベ数19以下であるため、より光学特性に優れている
と言える。
一方で、比較実験例1~5においては、好ましい屈折率である1.61以上と好ましい
屈折率であるアッベ数20以下の両方を満足するものはなく、光学特性としては不十分と
いう結果であった。
溶媒に対する溶解性においては、一般的に芳香環が拡張されるほど溶解性が低下するこ
とが知られている。しかしながら、実験例1、3~5はインデノキノリン環、実験例2、
6は、ベンズインデノキノリン環といった大きく拡張された芳香環を複数持つモノマーを
用いているにもかかわらず、比較実験例1、2のような比較的小さな芳香環であるフルオ
レン環を持つモノマーを持つものと比較しても溶媒に対する溶解性は同等以上であり、優
れた溶解性を示す。特に実験例1、3~6においては、比較実験例1、2では溶解しない
ベンジルアルコールのようなプロトン性溶媒にも優れた溶解性を示した。これは(ベンズ
)インデノキノリン環上の窒素原子がプロトンのアクセプターとして働くため、溶解性を
高めているためと考えられる。
Figure 0007200668000049
表2にオリゴアザフルオレンモノマー(化合物5)にアザフルオレンモノマー(化合物
9、化合物3)を混合した場合のベンジルアルコールに対する溶解性を示す。実験例5で
示すようにオリゴアザフルオレンモノマーである化合物5単独では、0.2mlのベンジ
ルアルコールに対し、10mgしか溶解しなかった。一方で、実験例8に示すようにアザ
フルオレンモノマーである化合物9とオリゴアザフルオレンモノマーである化合物5を質
量比で10対90の割合で混合し、20mg溶解させたところ、30分後目視では化合物
9及び化合物5の析出は見られなかった。同様に、実験例9に示すようにアザフルオレン
モノマーである化合物3をオリゴアザフルオレンモノマーである化合物5に質量比で10
対90の割合で混合し、20mg溶解させたところ、30分後目視では化合物3及び化合
物5の析出は見られなかった。この結果は、化合物9、及び化合物3が化合物5と類似の
構造を持つため、少量の添加で化合物5の溶解度を向上させた、もしくは、結晶析出速度
を低下させたことによるものと考えられる。以上のことから、溶解性が問題になる場合に
は、本発明のオリゴアザフルオレンモノマーに本発明のアザフルオレンモノマーを添加す
ることにより、溶解性を高めることができると言える。
また、本発明のオリゴアザフルオレンモノマーを用いてポリエステルカーボネート樹脂
組成物として用いる場合には、ジアリールエステルモノマーである化合物7とジアルキル
エステルモノマーである化合物4はどちらも使用してもエステルカーボネートの末端構造
に違いはあるものの、ほぼ同等の樹脂組成物が得られると考えられる。しかしながら、化
合物4は、反応性の低いジアルキルエステルを持つため、エステル化と重合の2段階で製
造されることが予想されるのに対して、化合物7は、反応性に優れたジフェニルエステル
を持つため、1段階でポリエステルカーボネートの製造が可能であり、製造工程を短縮化
できると考えられる。同様に、化合物8と化合物5、化合物16と化合物14、化合物1
7と化合物15、および化合物9と化合物3では、ジアリールエステルモノマーである化
合物8、化合物16、化合物17、および化合物9の方が反応性に優れており、1段階で
の製造が可能であると考えられる。

Claims (2)

  1. 下記[M]群に示されるいずれかの構造であるオリゴアザフルオレンモノマー。
    Figure 0007200668000050
  2. 下記[M]群に示されるいずれかの構造であるオリゴアザフルオレンモノマーと、下記
    [N]群に示されるいずれかの構造であるアザフルオレンモノマーとを含むオリゴアザフ
    ルオレンモノマー組成物。
    Figure 0007200668000051
    Figure 0007200668000052
    Figure 0007200668000053
    Figure 0007200668000054
    Figure 0007200668000055
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