JP6318787B2 - オリゴフルオレンジアリールエステルの製造方法 - Google Patents

オリゴフルオレンジアリールエステルの製造方法 Download PDF

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本発明は、オリゴフルオレンジアリールエステルの製造方法に関する。
近年、フルオレン環を側鎖に有するモノマーから誘導されたポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂が報告されており、フルオレン環に由来する光学特性と耐熱性といった特徴を活かし、光学用途に有用な材料として提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献2、3では、ポリカーボネート樹脂中のフルオレン環を有する繰り返し単位の含有量を特定の範囲に制御することで、そのポリカーボネート樹脂からなる延伸フィルムが、短波長になるほど位相差が小さくなる逆波長分散性を示すことから、位相差フィルムとして優れた性能を有していることが開示されている。短波長になるほど位相差が小さくなる、いわゆる逆波長分散性を示す位相差フィルムは、可視領域の各波長において理想的な位相差特性を得ることができ、円偏光板として画像表示装置の外光反射防止や視野角補正などに有用である。
フルオレン環を側鎖に有するジヒドロキシ化合物としては、特許文献2や3に記載されている9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンや9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンがよく用いられている。
特許文献4には、同一分子内に2つのフルオレン環を有するジエステル化合物が開示されており、さらにそれを用いたポリエステル樹脂が記載されている。特許文献5では、同一分子内に2つのフルオレン環を有するジヒドロキシ化合物やジエステル化合物が開示されており、さらにそれを用いたポリエステル樹脂の延伸フィルムが記載されている。
特開平10−101786号公報 国際公開第2006/041190号パンフレット 国際公開第2011/149073号パンフレット 米国特許第3324084号明細書 米国特許出願公開第2012/0170118号明細書
FPDの分野の発展は目覚しく、種々の特性を兼ね備えることが求められるようになっている。例えば、逆波長分散フィルムや1/4λ板、フラット分散の位相差フィルムに用いられる材料としては、光弾性係数が低く、所望の光学特性を有しつつ、十分な耐熱性と溶融加工性、機械強度などの諸物性を兼ね備えた材料が求められている。
そこで、本発明者等が検討したところ、同一分子内に複数のフルオレン環を有する特定のジカルボン酸ジエステル類を用いて樹脂組成物を製造した場合、樹脂中の含有量が低くても、所望の逆波長分散性を発現し、光弾性係数が低いなど優れた光学物性を示し、その他諸物性にも優れていることを見出した。
一方で、ポリエステルカーボネート樹脂を製造する方法は種々あるが、その一般的な方法として、エステル交換法によりジオール類、炭酸ジアリールおよびジカルボン酸ジエステル類を溶融状態で重合する溶融重縮合法が知られている。この方法では、炭酸ジアリールと、ジカルボン酸ジエステル類としてジカルボン酸ジアルキルエステルを用いた場合、エステル交換反応とポリカーボネート重合の反応速度が大きく異なるため、ジカルボン酸エステルがポリエステルカーボネート樹脂中に取り込まれにくいという問題があり、ジカルボン酸ジエステルとして、ジカルボン酸ジアリールエステルを用いるのが好ましい。
しかしながら、同一分子内に複数のフルオレン環を有するジカルボン酸ジアリールエステル類を製造する方法として、一度中間体としてジカルボン酸ジアルキルエステルを製造してそれを単離・精製し、さらにエステル交換によりジカルボン酸ジアリールエステルに誘導してそれを単離・精製する方法が考えられるが、工程数が多く、操作が煩雑であるため、生産効率が悪く、生産コストも高いという問題があった。
そこで本発明は、優れた光学特性を示すポリエステルカーボネート樹脂の原料として用いることができる、同一分子内に複数のフルオレン環を有するジカルボン酸ジアリールエステルを、生産効率高く簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、特定の不飽和カルボン酸アリールエステルを用いることで、同一分子内に複数のフルオレン環を有するジカルボン酸ジアリールエステルを生産効率高く簡便に製造することができることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は以下を要旨とする。
[1] 下記一般式(I)で表されるオリゴフルオレン化合物を、塩基存在下、下記一般式(II)で表される不飽和カルボン酸アリールエステルと反応させて下記一般式(III)で表されるオリゴフルオレンジアリールエステルを得る工程Aを有する、オリゴフルオレンジアリールエステルの製造方法。
Figure 0006318787

Figure 0006318787

Figure 0006318787
(式中、R3は、直接結合、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基であり、
4〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアリールオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のビニル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のエチニル基、置換基を有するケイ素原子、置換基を有する硫黄原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。ただし、R4〜R9のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
iは水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基又は置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキル基であり、
Ar1は置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基である。
nは1〜5の整数値を示す。)
[2] 前記塩基が無機塩基であることを特徴とする[1]に記載のオリゴフルオレンジアリールエステルの製造方法。
[3] 前記無機塩基が水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであることを特徴とする[2]に記載のオリゴフルオレンジアリールエステルの製造方法。
[4] 前記工程Aにおいて、水と2層分離する有機溶媒を用いることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のオリゴフルオレンジアリールエステルの製造方法。
[5] Ar1がフェニル基であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のオリゴフルオレンジアリールエステルの製造方法。
本発明によれば、優れた光学特性を示すポリカーボネート樹脂の原料として用いることができる、同一分子内に複数のフルオレン環を有するジカルボン酸ジアリールエステルを生産効率高く簡便に製造することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。本発明において、「重量」は「質量」と同義である。
また本発明において、「置換基を有していてもよい」は「置換されていてもよい」と同義である。
<1. オリゴフルオレンジアリールエステルの製造方法>
本発明のオリゴフルオレンジアリールエステルの製造方法は、下記一般式(I)で表されるオリゴフルオレン化合物(以下、オリゴフルオレン化合物(I)と略記する場合がある)を、塩基存在下、下記一般式(II)で表される不飽和カルボン酸アリールエステル(以下、不飽和カルボン酸アリールエステル(II)と略記する場合がある)と反応させて下記式(III)で表されるオリゴフルオレンジアリールエステル(以下、オリゴフルオレンアリールエステル(III)と略記する場合がある)を得る工程(工程A)を有する。
Figure 0006318787
式中、R3は、直接結合、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基であり、
4〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアリールオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のビニル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のエチニル基、置換基を有するケイ素原子、置換基を有する硫黄原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。ただし、R4〜R9のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
iは水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基又は置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキル基であり、
Ar1は置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基である。
nは1〜5の整数値を示す。
<2. オリゴフルオレン化合物(I)>
本発明の製造方法において、出発原料となるオリゴフルオレン化合物は、前記工程Aにおいて前記一般式(I)で示したものである。
<2−1.置換基(R3〜R9)の具体例>
前記一般式(I)においてR3は、直接結合、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基である。
3において、「置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレンなどの直鎖状のアルキレン基;メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチルメチレン基、プロピルメチレン基、ブチルメチレン基、(1−メチルエチル)メチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基などの分岐鎖を含むアルキレン基;下記[A]群に示されるような脂環構造の任意の2箇所に直鎖状又は分岐状のアルキレン基の結合手を持つ脂環式アルキレン基
Figure 0006318787
上記[A]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置については任意であり、同一炭素に2つの結合手が置換していてもよい。;
下記[B]群に示されるような複素環構造の任意の2箇所に直鎖状又は分岐状のアルキレン基の結合手を持つ複素環式アルキレン基
Figure 0006318787
(上記[B]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置については任意であり、同一炭素に2つの結合手が置換していてもよい。)が挙げられる。
上記[A]群に示されるような脂環構造や、上記[B]群に示されるような複素環構造が、任意の2箇所に有している直鎖状又は分岐状のアルキレン基の結合手の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレンなどの直鎖状のアルキレン基;1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基などの分岐鎖を含むアルキレン基(ここで置換位置の数値は、上記環構造に結合した炭素からつけるものとする)が挙げられる。
また、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基における炭素数は、6以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
後述のフルオレン比率を高めるとの観点からは、R3を置換されていてもよいアルキレン基とする場合には、その炭素数を4以下とすることが好ましく、2以下とすることがより好ましい。
当該アルキレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアルキレン基の具体例としては、シクロブチルメチレン基、シクロペンチルメチレン基、シクロヘキシルメチレン基、1−シクロヘキシルプロピレン基などのアルキル基置換アルキレン基;フェニルメチレン基、1−フェニルエチレン基、1−フェニルプロピレン基などのアリール基置換アルキレン基;1,1,2,2−テトラフルオロエチレン基、トリクロロメチルメチレン基、トリフルオロメチルメチレン基などのハロゲン原子置換アルキレン基;2−メトキシメチル−2−メチルプロピレン基などのアルコキシ基置換アルキレン基などが挙げられる。
3において、「置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等のフェニレン基;1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基等のナフチレン基;2,5−ピリジレン基、2,4−チエニレン基、2,4−フリレン基などのヘテロアリーレン基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基における炭素数は、8以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。
また、フルオレン比率を高めるとの観点からは、R3を置換されていてもよいアリーレン基とする場合には、その炭素数を8以下とすることが好ましく、6以下とすることがより好ましい。
当該アリーレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアリーレン基の具体例としては、2−メチル−1,4−フェニレン基、3−メチル−1,4−フェニレン基、3,5−ジメチル−1,4−フェニレン基、3−メトキシ−1,4−フェニレン基、3−トリフルオロメチル−1,4−フェニレン基、2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレン基、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−フェニレン基、3−ニトロ−1,4−フェニレン基、3−シアノ−1,4−フェニレン基などが挙げられる。
3において、「置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、下記[C]群に示されるようなアラルキレン基
Figure 0006318787
が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基における炭素数は、8以下であることが好ましい。
また、フルオレン比率を高めるとの観点からは、R3を置換されていてもよいアラルキレン基とする場合には、その炭素数を8以下とすることが好ましい。
当該アラルキレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアラルキレン基の具体例としては、2−メチル−1,4−キシリレン基、2,5−ジメチル−1,4−キシリレン基、2−メトキシ−1,4−キシリレン基、2,5−ジメトキシ−1,4−キシリレン基、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−キシリレン基、α,α−ジメチル−1,4−キシリレン基、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,4−キシリレン基、などが挙げられる。
3について、これらの中で好ましくは、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、又は置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基であり、より好ましくは直鎖状のアルキレン基、分岐鎖を含むアルキレン基、上記[A]群に示されるような脂環構造の任意の2箇所に直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基の結合手を持つ脂環式アルキレン基、又はフェニレン基であり、さらに好ましくは、本発明で目的とするオリゴフルオレンジアリールエステルをポリエステル、ポリエステルカーボネートなどの光学用途の樹脂原料として用いる際に、芳香環を有さないことで優れた光学特性を発現する傾向がある、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチルメチレン基、プロピルメチレン基、ブチルメチレン基、(1−メチルエチル)メチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、フェニルメチレン基、トリクロロメチルメチレン基、トリフルオロメチルメチレン基、下記[D]群に示されるような脂環式アルキレン基、又は複素環式アルキレン基
Figure 0006318787
(上記[D]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置については任意であり、同一炭素に2つの結合手が置換していてもよい。)、
或いは、樹脂組成物のガラス転移温度を高くできる、1,4−フェニレン基であり、特に好ましくは、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、又は2,2−ジメチルプロピレン基である。長い鎖状の基は本発明で目的とするオリゴフルオレンジアリールエステルをポリエステル、ポリエステルカーボネートなどの光学用途の樹脂原料として用いる際に、樹脂組成物のガラス転移温度を低下させてしまう傾向がある。
一方で、前記一般式(I)においてR4〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアリールオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のビニル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のエチニル基、置換基を有するケイ素原子、置換基を有する硫黄原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。ただし、R4〜R9のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
4〜R9において「置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル、n−デシルなどの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、2−メチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−エチルヘキシル基などの分岐鎖を含むアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの環状のアルキル基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基における炭素数は、4以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。この範囲内であると、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向がある。
当該アルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、メトキシメチル基などが挙げられる。
4〜R9において「置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;2−ピリジル基、2−チエニル基、2−フリル基などのヘテロアリール基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基における炭素数は、8以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。この範囲内であると、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向がある。
当該アリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアリール基の具体例としては、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−ベンゾイルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−シアノフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、4−メチルフリル基などが挙げられる。
4〜R9において「置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、2−メチルプロピオニル基、2,2−ジメチルプロピオニル基、2−エチルヘキサノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、1−ナフチルカルボニル基、2−ナフチルカルボニル基、2−フリルカルボニル基などの芳香族アシル基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基における炭素数は、4以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。この範囲内であると、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向がある。
当該アシル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
置換されていてもよいアシル基の具体例としては、クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、メトキシアセチル基、フェノキシアセチル基、4−メトキシベンゾイル基、4−ニトロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、4−トリフルオロメチルベンソイル基などが挙げられる。
4〜R9において「置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基またはアリールオキシ基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基またはアリールオキシ基における炭素数は、4以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。この範囲内であると、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向がある。
当該アルコキシ基またはアリールオキシ基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
4〜R9において「置換されていてもよいアミノ基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、アミノ基;N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−メチルエチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基等の脂肪族アミノ基;N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基等の芳香族アミノ基;ホルムアミド基、アセトアミド基、デカノイルアミド基、ベンゾイルアミド基、クロロアセトアミド基等のアシルアミノ基;ベンジルオキシカルボニルアミノ基、tert−ブチルオキシカルボニルアミノ基等のアルコキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
これらの中でも、酸性度の高いプロトンを持たず、分子量が小さく、後述のフルオレン比率を高めることができる傾向があることから、N,N−ジメチルアミノ基、N−エチルアミノ基、又はN,N−ジエチルアミノ基が好ましく、N,N−ジメチルアミノ基であることがより好ましい。
当該アミノ基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
4〜R9において「置換されていてもよい炭素数1〜10のビニル基」または「置換されていてもよい炭素数1〜10のエチニル基」の具体的な構造としては、ビニル基、2−メチルビニル基、2,2−ジメチルビニル基、2−フェニルビニル基、2−アセチルビニル基、エチニル基、メチルエチニル基、tert―ブチルエチニル基、フェニルエチニル基、アセチルエチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
置換されていてもよい炭素数1〜10のビニル基またはエチニル基における炭素数は、4以下であることが好ましい。この範囲内であると、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向がある。
当該ビニル基またはエチニル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。また、工業的に安価に製造できるとの観点からは無置換であることが好ましい。
4〜R9において「置換基を有するケイ素原子」の具体的な構造としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等のトリアルキルシリル基;トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基が挙げられる。これらの中でも安定に扱えるトリアルキルシリル基が好ましい。
4〜R9において「置換基を有する硫黄原子」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、スルホ基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基、p−トリルスルホニル基等のアリールスルホニル基;メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;フェニルスルフィニル基、p−トリルスルフィニル基等のアリールスルフィニル基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ基、p−トリルチオ基等のアリールチオ基;メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基等のアルコキシスルホニル基;フェノキシスルホニル基等のアリールオキシスルホニル基;アミノスルホニル基;N−メチルアミノスルホニル基、N−エチルアミノスルホニル基、N−tert−ブチルアミノスルホニル基、N,N−ジメチルアミノスルホニル基、N,N−ジエチルアミノスルホニル基等のアルキルスルホニル基;N−フェニルアミノスルホニル基、N,N−ジフェニルアミノスルホニル基等のアリールアミノスルホニル基等が挙げられる。なお、スルホ基は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム等と塩を形成していてもよい。
これらの中でも、酸性度の高いプロトンを持たず、分子量が小さく、フルオレン比率を高めることができる傾向があることから、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、又はフェニルスルフィニル基が好ましく、メチルスルフィニル基であることがより好ましい。
4〜R9において「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
これらの中でも、比較的導入が容易で、電子吸引性の置換基のため、フルオレン9位の反応性を高める傾向があることから、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が好ましく、塩素原子又は臭素原子であることがより好ましい。
隣接するR4〜R9は、互いに結合して環を形成していてもよい。その具体例としては、下記[E]群に示されるような置換フルオレン構造が挙げられる。
Figure 0006318787
このように、R4〜R9を上述のような特定の原子又は置換基にすることで、主鎖とフルオレン環との間や、フルオレン環同士の間の立体障害が少なく、フルオレン環に由来する所望の光学特性を得ることができる傾向がある。
これらR4〜R9の中で好ましくは、全て水素原子、或いはR4及び/又はR9がハロゲン原子、アシル基、ニトロ基、シアノ基、及びスルホ基からなる群から選ばれるいずれかであり、かつ、R5〜R8が水素原子である。全て水素原子の場合、工業的にも安価なフルオレンから誘導できる。また、R4及び/又はR9がハロゲン原子、アシル基、ニトロ基、シアノ基、及びスルホ基からなる群から選ばれるいずれかで、かつ、R5〜R8が水素原子の場合、フルオレン9位の反応性が向上するため、様々な誘導反応が適応可能となる傾向がある。より好ましくは、全て水素原子、或いはR4及び/又はR9がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びニトロ基からなる群から選ばれるいずれかで、かつ、R5〜R8が水素原子であり、特に好ましくは全て水素原子の場合である。また、上記のものとすることで、フルオレン比率を高めることができ、かつ、フルオレン環同士の立体障害が生じにくく、フルオレン環に由来する所望の光学特性が得られる傾向もある。
また、前記一般式(I)においてnは1〜5の整数値を表わすが、合成上の容易さの観点からは4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
<2−2.具体的な構造>
上記一般式(I)で表されるオリゴフルオレン化合物の具体的な構造としては、下記[F]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 0006318787
これらの中で、工業的に安価に製造できるという観点から、好ましいオリゴフルオレン化合物(I)は、下記[G]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 0006318787
<3.不飽和カルボン酸アリールエステル(II)>
本発明のオリゴフルオレンジアリールエステルの製造方法の工程Aにおいて、反応試材として用いる不飽和カルボン酸アリールエステルは、一般式(II)で表されるものである。
Figure 0006318787
上記式中、Riは水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基又は置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキル基であり、Ar1は置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基である。
前記一般式(II)中のRiのアルキル基における炭素数は通常1以上10以下であり、4以下であることが好ましい。この範囲内であると、立体障害が小さく反応性を損なわない傾向がある。
具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基などの(直鎖であっても分岐鎖であっても良い)アルキル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−チエニル基などのアリール基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、p−メトキシベンジル基などのアラルキル基が挙げられる。これらの中でも、反応性に優れ、工業的に安価に入手できるとの観点からは水素原子、メチル基、又はエチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
前記一般式(II)中のAr1の炭素数は通常4以上であり、6以上であることが好ましく、また、通常10以下であり、8以下であることが好ましい。この範囲内であると、ポリカーボネートやポリエステルカーボネート製造時に副生するアリールアルコールを蒸留で留去することができる傾向があるため、製造するポリカーボネートやポリエステルカーボネートの重合度を上げることができる。また、該アリール基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、塩素原子、臭素原子、又はフェニル基などが挙げられる。
Ar1の具体例としては、フェニル基、トリル基、クロロフェニル基、ナフチル基、m−クレジル基、ビフェニル基などが挙げられ、中でも工業的に安価であり分子量が比較的小さいことから、フェニル基、トリル基、クロロフェニル基、又はm−クレジル基であることが好ましく、重合後にフェノールとして留去することが可能なフェニル基であることがより好ましい。
不飽和カルボン酸アリールエステル(II)の具体例としては、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸トリル、メタクリル酸トリル、アクリル酸m−クレジル、メタクリル酸m−クレジル、アクリル酸ナフチル、メタクリル酸ナフチル、アクリル酸ビフェニル、メタクリル酸ビフェニル、2−エチルアクリル酸フェニル、2−プロピルアクリルアン酸フェニル、2−フェニルアクリル酸フェニル、2−ベンジルアクリル酸フェニルが挙げられる。
中でも、安価で、工業的に入手可能なアクリル酸フェニル、又はメタクリル酸フェニルが好ましい。
これらの不飽和カルボン酸アリールエステル(II)は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いてもよい。
不飽和カルボン酸アリールエステル(II)は、重合活性が高いため、高濃度で存在すると、光、熱、酸・塩基などの外部刺激により、容易に重合する傾向がある。その際、大きな発熱を伴うため、非常に危険となる場合がある。そのため、不飽和カルボン酸アリールエステル(II)の使用量は、安全性の観点から、あまり過剰に用いない方がよい。通常、原料であるオリゴフルオレン(I)に対して、10倍モル以下、好ましくは5倍モル以下、さらに好ましくは3倍モル以下である。下限は、原料に対して理論量で2倍モルであるので通常は2倍モル以上である。反応の進行を速め、原料や中間体を残存させないために、不飽和カルボン酸アリールエステル(II)の使用量は、原料のオリゴフルオレン(II)に対して2.1倍モル以上、さらに好ましくは2.2倍モル以上である。
<4.塩基>
本発明のオリゴフルオレンジアリールエステルの製造方法の工程Aにおいて用いる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩、燐酸ナトリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸カリウムなどの燐酸のアルカリ金属塩、n−ブチルリチウム、ターシャリブチルリチウムなどの有機リチウム塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムターシャリーブトキシド、などのアルカリ金属のアルコキシド塩、水素化ナトリウムや水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属塩、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセンなどの三級アミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの四級アンモニウムヒドロキシドが用いられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
不飽和カルボン酸アリールエステル(II)は溶媒中、塩基存在下で容易に重合反応などの副反応が進行する傾向がある。そのため、有機層と水層の2層系で反応を行った場合に、重合反応などの副反応が抑制できることから、水溶性の無機塩基を用いることが好ましく、無機塩基の水溶液を用いることがより好ましい。中でもコスト、反応性の面から無機塩基がアルカリ金属の水酸化物であることが好ましく、特に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムより好ましい。
また、水溶液として用いる場合、該水溶液中の無機塩基の濃度は、特に好ましい水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、濃度が薄いと反応速度が著しく低下するため、通常は5wt/wt%以上、好ましくは10wt/wt%以上、より好ましくは25wt/wt%以上の水溶液を用いるのが特に好ましい。
水溶液として用いる場合、反応系中の無機塩基の水溶液の量は、原料であるオリゴフルオレン化合物(I)に対して、上限は特に制限はないが、使用量が多すぎると攪拌や反応後の精製負荷が大きくなる場合があるので、通常、オリゴフルオレン化合物(I)に対して10倍体積量以下、好ましくは5倍体積量以下、さらに好ましくは2倍体積量以下である。塩基量が少なすぎると反応速度が著しく低下するため、通常、塩基は、原料のオリゴフルオレン化合物(I)に対して、0.1倍体積量以上である。好ましくは、0.3倍体積量以上、より好ましくは0.4倍体積量以上である。
塩基の使用量は、原料であるオリゴフルオレン化合物(I)に対して、上限は特に制限はないが、使用量が多すぎると攪拌や反応後の精製負荷が大きくなる場合があるので、通常、オリゴフルオレン化合物(I)に対して20倍モル%以下、好ましくは10倍モル以下、さらに好ましくは5倍体積量以下である。塩基量が少なすぎると反応速度が著しく低下するため、通常、塩基は、原料のオリゴフルオレン化合物(I)に対して、0.1倍モル以上である。好ましくは、0.5倍モル以上、より好ましくは1倍モル以上である。
<5.相間移動触媒>
工程Aにおいて、有機層と水層の2層系での反応を行う場合、反応速度を上げるため、相間移動触媒を用いることが好ましい。
相間移動触媒としては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、メチルトリデシルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、アセチルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどの四級アンモニウム塩のハライド(フッ素は除く)、N,N−ジメチルピロリジニウムクロリド、N−エチル−N−メチルピロリジニウムヨージド、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムブロミド、N−ベンジル−N−メチルピロリジニウムクロリド、N−エチル−N−メチルピロリジニウムブロミドなどの四級ピロリジニウム塩のハライド(フッ素は除く)、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムブロミド、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムヨージド、N−アリル−N−メチルモルホリニウムブロミドなどの四級モルホリニウム塩のハライド(フッ素は除く)、N−メチル−N−ベンジルピペリジニウムクロリド、N−メチル−N−ベンジルピペリジニウムブロミド、N,N−ジメチルピペリジニウムヨージド、N−メチル−N−エチルピペリジニウムアセテート、N−メチル−N−エチルピペリジニウムヨージドなどの四級ピペリジニウム塩のハライド(フッ素は除く)、クラウンエーテル類などが挙げられる。好ましくは四級アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラブチルアンモニウムブロミド又はベンジルトリエチルアンモニウムクロリドである。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
相間移動触媒の使用量は、原料であるオリゴフルオレン化合物(I)に対して、多すぎるとエステルの加水分解や逐次マイケル反応などの副反応の進行が顕著になる傾向があり、また、コストの観点からも、通常、オリゴフルオレン化合物(I)に対して5倍モル以下、好ましくは2倍モル以下、さらに好ましくは1倍モル以下である。相間移動触媒の使用量が少なすぎると反応速度が著しく低下する傾向があるため、通常、相間移動触媒の使用量は、原料のオリゴフルオレンに対して、0.01倍モル以上である。好ましくは、0.05倍モル以上、より好ましくは0.1倍モル以上である。
<6.溶媒>
オリゴフルオレン化合物(I)が固体であり、攪拌が困難であること、不飽和カルボン酸アリールエステル(II)が高濃度では重合しやすい傾向にあるとの観点から、工程Aは溶媒を用いて行うことが望ましい。
特に、重合反応などの副反応が抑制できる傾向があることから、工程Aは有機層と水層の2層系で反応を行うことが望ましく、そのために溶媒として水と有機溶媒を併用することが好ましい。なお、塩基として無機塩基の水溶液を用いた場合には、該水溶液中に含まれる水を、工程Aにおいて溶媒として用いてもよい。
具体的に使用可能な有機溶媒は、アルキルニトリル系溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリルなど、ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど、エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸フェニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸フェニル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル等の直鎖状のエステル類;γ―ブチロラクトン、カプロラクトン等の環状エステル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類など、エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルシクロペンチルエーテル、ターシャリーブチルメチルエーテルなど、ハロゲン系溶媒としては、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタンなど、ハロゲン系芳香族炭化水素としては、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼンなど、アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N,−ジメチルアセトアミドなど、スルホキシド系溶媒としては、ジメチルスルホキシド、スルホランなど、環状式脂肪族炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの単環状式脂肪族炭化水素;その誘導体であるメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、n−プロピルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、イソブチルシクロヘキサン、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルシクロヘキサンなど;デカリンなどの多環状式脂肪族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−テトラデカンなどの非環状式脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素としては、トルエン、p−キシレン、o−キシレン、m−キシレンなど、芳香族複素環としては、ピリジンなど、アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ターシャリーブタノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノールなどが挙げられる。
水と相分離する有機溶媒を用いることで、不飽和カルボン酸アリールエステル(I)が有機層中に分配し、重合反応などの副反応を抑制できる傾向がある。さらに、原料のオリゴフルオレン化合物(I)をよく溶解する有機溶媒を用いた場合に、反応の進行が良好である傾向があることから、原料のオリゴフルオレン化合物(I)の溶解度が0.5質量%以上の有機溶媒を用いることが好ましく、より好ましくは1.0質量%以上、特に好ましくは1.5質量%以上の溶媒を用いることである。具体的には、ハロゲン系脂肪族炭化水素、ハロゲン系芳香族炭化水素、芳香族炭化水素、又はエーテル系溶媒が好ましく、ジクロロメタン、クロロベンゼン、クロロホルム、1,2−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、又はメチルシクロペンチルエーテルが特に好ましい。
これらの溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
有機溶媒の使用量は、上限は特に制限はないが、反応器あたりの目的物の生成効率を考えると、通常、原料のオリゴフルオレン化合物(I)の20倍体積量、好ましくは15倍体積量、さらに好ましくは10倍体積量となるような量が使用される。一方、有機溶媒の使用量が少なすぎると試剤の溶解性が悪くなり攪拌が難しくなるとともに反応の進行が遅くなるので、下限としては、通常、原料のオリゴフルオレン化合物(I)の1倍体積量、好ましくは2倍体積量、さらに好ましくは4倍体積量となるような量が使用される。
有機層と水層の2層系で反応を行う場合、反応系中の水の量は、原料であるオリゴフルオレン化合物(I)に対して、上限は特に制限はないが、水の使用量が多すぎると生産効率が低下するので、通常、オリゴフルオレン化合物(I)に対して10倍体積量以下、好ましくは5倍体積量以下、さらに好ましくは2倍体積量以下である。水の量が少なすぎると有機層との接触面積が減少するため、見かけの反応速度が著しく低下するため、通常、反応系中の水の量は、原料のオリゴフルオレン化合物(I)に対して、0.1倍体積量以上である。好ましくは、0.3倍体積量以上、より好ましくは0.4倍体積量以上である。
<7.反応形式>
工程Aを行う際、反応の形式はバッチ型反応でも流通型反応でもそれらを組み合わせたものでも特にその形式は制限なく採用できる。
バッチ式の場合の反応試剤の反応器への投入方法は、不飽和カルボン酸アリールエステル(II)を反応開始時に一括添加で仕込んだ場合、不飽和カルボン酸アリールエステル(II)が高濃度で存在するため、副反応の重合反応が進行し易い。よって原料のオリゴフルオレン化合物(I)、相間移動触媒、溶媒及び塩基を加えた後に、少量ずつ不飽和カルボン酸アリールエステル(II)を逐次添加するのが好ましい。
<8.反応条件>
工程Aにおいて、温度が低すぎると十分な反応速度が得られず、逆に高すぎると不飽和カルボン酸アリールエステル(II)の重合反応などの副反応が進行しやすい傾向があるため、温度管理を行うことが望ましい。そのため、反応温度としては、具体的には、通常、下限は−20℃以上、好ましくは−10℃以上、より好ましくは0℃以上で実施される。一方通常、上限は、30℃以下、好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下で実施される。
工程Aにおける一般的な反応時間は、通常下限が10分以上、好ましくは30分以上、さらに好ましくは1時間以上で、反応時間が長すぎると、副反応として加水分解反応が進行するため、通常5時間以下、好ましくは3時間以下、さらに好ましくは2時間以下である。
<9.目的物の分離・精製>
反応終了後、目的物であるオリゴフルオレンジアリールエステル(III)は、副生した金属ハロゲン化物、及び残存した無機塩基を濾過して反応液から除去した後に、溶媒を濃縮する方法、或いは目的物の貧溶媒を添加する方法などを採用して、目的物であるオリゴフルオレンジアリールエステル(III)を析出させて単離する工程Bを経て得ることができる。
また、反応終了後、反応液に酸性水と目的物であるオリゴフルオレンジアリールエステル(III)が可溶な溶媒とを添加して抽出してもよい。溶媒により抽出された目的物は、溶媒を濃縮する方法、又は貧溶媒を添加する方法などにより単離することができる。
抽出の際に使用可能な溶媒としては、目的物であるオリゴフルオレンジアリールエステル(III)が溶解するものであれば良く、特に制限はないが、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物、ジクロロメタン、クロロホルムなどハロゲン系溶媒などの1種又は2種以上が好適に用いられる。
ここで得られるオリゴフルオレンジアリールエステル(III)は、そのままポリエステル、又は、ポリエステルカーボネート原料モノマーとして使用することなどが可能であるが、精製を行ってから使用しても良い。精製法としては、通常の精製法、例えば、再結晶や、再沈法、抽出精製、カラムクロマトグラフィーなど制限なく採用可能である。また、オリゴフルオレンジアリールエステル(III)を適当な溶媒に溶解して活性炭で処理することも可能である。その際に使用可能な溶媒は、抽出の際に使用可能な溶媒と同じである。
<10.その他のオリゴフルオレンジアリールエステル製造方法>
本発明の他の態様に係る製造方法では、下記一般式(I)で表されるオリゴフルオレン化合物を原料とし、下記式に示される工程Cによって、一般式(IV)で表されるオリゴフルオレンジアルキルエステル(以下、オリゴフルオレンジアルキルエステル(IV)と略記する場合がある)を製造した後に、工程Dを行うことにより、下記式(III)で表されるオリゴフルオレンジアリールエステルを製造することができる。
Figure 0006318787
式中、R3は、直接結合、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基であり、
4〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアリールオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数1〜10のビニル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のエチニル基、置換基を有するケイ素原子、置換基を有する硫黄原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。ただし、R4〜R9のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
iは水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基又は置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキル基であり、
10は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基であり、
Ar1は置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基である。
nは1〜5の整数値を示す。
オリゴフルオレンジアルキルエステル(IV)は、オリゴフルオレン化合物(I)を、塩基存在下、上記一般式(II−2)で表される不飽和カルボン酸アルキルエステル(以下、不飽和カルボン酸アルキルエステル(II−2)と略記する場合がある)と、工程Aと同様の条件で、工程Cに従って製造することができる。その後、工程Cに従って、オリゴフルオレンジアルキルエステル(IV)を、エステル交換反応触媒存在下、上記一般式(V)で表されるジアリールカーボネート(以下、ジアリールカーボネート(V)と略記する場合がある)と反応させることで、オリゴフルオレンジアリールエステル(III)を得ることが可能である。
工程Cの不飽和カルボン酸アルキルエステル(II−2)としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチルなどが挙げられ、続く工程Dのエステル交換反応で、副生したアルキルアルコールを減圧留去することで、平衡を生成物のオリゴフルオレンジアリールエステル(III)側に偏らせることができるため、低沸点のアルキルアルコールが留出するアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチルが好ましい。
工程Dのジアリールカーボネート(V)としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーネート、ビス(ビフェニル)カーボネートなどが挙げられる。中でも、安価で、工業的に入手可能なジフェニルカーボネートが好ましい。
工程Dのエステル交換反応触媒としては、テトラブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラメトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン、テトラフェノキシチタン、チタニウム(IV)アセチルアセトナート、チタニウム(IV)ジイソプロポキシドビス(アセチルアセトナト)などのチタン化合物;、炭酸リチウム、ジブチルアミノリチウム、リチウムアセチルアセトナート、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシドなどのアルカリ金属化合物;カドミウムアセチルアセトナート、炭酸カドミウムなどのカドミウム化合物;ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコノセンなどのジルコニウム化合物;硫化鉛、水酸化鉛、鉛酸塩、亜鉛酸塩、炭酸鉛、酢酸鉛、テトラブチル鉛、テトラフェニル鉛、トリフェニル鉛、ジメトキシ鉛、ジフェノキシ鉛などの鉛化合物;酢酸銅、銅ビスアセチルアセトナート、オレイン酸銅、ブチル銅、ジメトキシ銅、塩化銅などの銅化合物;水酸化鉄、炭酸鉄、トリアセトキシ鉄、トリメトキシ鉄、トリフェノキシ鉄などの鉄化合物;亜鉛ビスアセチルアセトナート、ジアセトキシ亜鉛、ジメトキシ亜鉛、ジエトキシ亜鉛、ジフェノキシ亜鉛などの亜鉛化合物;ジn−ブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジn−オクリルスズオキシド、ジn−ブチルスズジメトキシド、ジn−ブチルスズジアクリレート、ジn−ブチルスズジメタクリレート、ジn−ブチルスズジラウレート、テトラメトキシスズ、テトラフェノキシスズ、テトラブチル−1,3−ジアセトキシジスタノキサンなどの有機スズ化合物;酢酸アルミニウム、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムフェノキシドなどのアルミニウム化合物;二塩化バナジウム、三塩化バナジウム、四塩化バナジウム、硫酸バナジウムなどのバナジウム化合物;テトラフェニルホスホニウムフェノキシドなどのホスホニウム塩などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
これらの中で、工業的に安価であり、反応操作上の優位性があることから、ホスホニウム塩、リチウム化合物、ジルコニウム化合物、有機スズ化合物、又はチタン化合物等を用いることが好ましく、中でも有機スズ化合物又はチタン化合物が特に好ましい。
工程Cの反応終了後に、単離・精製操作を行ってから、中間体のオリゴフルオレンジアルキルエステル(IV)を工程Dに用いてもよいが、工程Cの反応終了後に、例えば、塩酸などの酸でクエンチ操作を行い、液性を中性付近にし、分液操作により水層を除去してから、トルエン、キシレンなどの溶媒で共沸脱水により、余分な水分を除いた溶液を用いて、そのまま、工程Dに用いてもよい。つまり、工程Cの有機層をそのまま工程Dに供してもよい。これにより、工程Cの後の精製・単離工程と、乾燥工程を省略することにより、大幅に生産効率を上げることができる。
<10.ポリエステルカーボネート樹脂組成物、ポリエステル樹脂組成物>
本発明の製造方法で得たオリゴフルオレンジアリールエステルをモノマーとして用い、これを重合することにより、ポリエステルカーボネート又はポリエステルを得ることができる。
本発明のポリエステルカーボネート樹脂組成物は、重合体としてポリエステルカーボネートを含有するものであってもよく、該重合体からなるものであってもよい。同様に、本発明のポリエステル樹脂組成物は、重合体としてポリエステルを含有するものであってもよく、該重合体からなるものであってもよい。ポリエステルカーボネート樹脂組成物又はポリエステル樹脂組成物は、その他の重合体を含んでいてもよく、また、添加剤等を含んでいてもよい。
<10.1 重合体の製造方法>
なお、ポリエステルカーボネートは後述する<10.2 ポリエステルカーボネートの重合方法>等の方法により製造することができる。また、ポリエステルについても同様の方法により製造することができ、具体的には後述する<10.3 ポリエステルの重合方法>等の方法により製造することができる。
<10.2 ポリエステルカーボネートの重合方法>
ポリエステルカーボネート樹脂組成物の製造方法としては、ジヒドロキシ化合物と、下記一般式(V)で表されるジアリールカーボネート及び、本発明の製造方法で得たオリゴフルオレンジアリールエステルの混合物を、溶融重縮合する方法(溶融重合法)を含むことが好ましい。もう一つの一般的なポリカーボネートの製造方法として知られる界面重合法は、毒性の強いホスゲンや塩化メチレン、クロロベンゼン等の含塩素溶媒を用いる必要もあり、環境負荷も高い傾向がある。
Figure 0006318787
上記一般式(V)中、Ar1は置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基である。
<10.2.1 ジアリールカーボネート>
この溶融重合法で用いられるジアリールカーボネートとしては、通常、前記一般式(V)で表されるものが挙げられる。前記式(V)で表されるジアリールカーボネートとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーネート、ビス(ビフェニル)カーボネートなどが挙げられる。なかでも、本発明のオリゴフルオレンジアリールカーボネートと同じアリール基を有するジアリールカーボネートを用いることで、ポリエステルカーボネート製造時に反応性が近く、均一なポリエステルカーボネートを得ることができる上に、1種類のアリールアルコールが副生するため、アリールアルコールの回収が容易であることから、好ましい。特に工業的にも安価で、副生するアリールアルコールがフェノールであるジフェニルカーボネートが好ましく用いられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いてもよい。
<10.2.2 重合触媒>
溶融重合における重合触媒としては、例えば長周期型周期表第1族及び/又は、第2族の金属化合物が使用される。重合触媒は、反応速度または重縮合して得られるポリエステルカーボネート樹脂組成物の品質に非常に大きな影響を与え得る。
用いられる触媒としては、製造されたポリエステルカーボネート樹脂組成物の透明性、色相、耐熱性、耐候性、及び機械的強度を満足させ得るものであれば限定されない。例えば、長周期型周期表における1族及び/又は2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属化合物が挙げられる。
前記の1族金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩および2セシウム塩等が挙げられる。中でも重合活性と得られるポリエステルカーボネート樹脂組成物の色相の観点から、リチウム化合物が好ましい。
前記の2族金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。中でもマグネシウム化合物、カルシウム化合物またはバリウム化合物が好ましく、重合活性と得られるポリエステルカーボネート樹脂組成物の色相の観点から、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物が更に好ましく、最も好ましくはカルシウム化合物である。
長周期型周期表第1族と第2族の金属化合物と共に補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、長周期型周期表第1族及び/又は、第2族の金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
前記の塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンおよび四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
前記の塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシドおよびブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
前記のアミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリンおよびグアニジン等が挙げられる。
上記重合触媒の使用量は、長周期型周期表第1族と第2族の金属化合物を用いる場合、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物1モルに対して、金属換算量として、通常、0.1μmol〜100μmolの範囲内で用い、好ましくは0.5μmol〜50μmolの範囲内であり、さらに好ましくは1μmol〜25μmolの範囲内である。重合触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリエステルカーボネートを製造するのに必要な重合活性が得られない場合があり、一方、重合触媒の使用量が多すぎると、得られるポリマーの色相が悪化し、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、目標とする品質のポリエステルカーボネートの製造が困難になる場合がある。
中でも長周期型周期表における2族からなる群及びリチウムより選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、特にはマグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物を用いる場合は、金属換算量として、前記全ジヒドロキシ化合物1モル当たり、0.1μmol以上が好ましく、より好ましくは0.3μmol以上、特に好ましくは0.5μmol以上とする。また上限としては、20μmol以下が好ましく、より好ましくは10μmol以下であり、さらに好ましくは5μmol以下で、特に好ましくは3μmol以下である。
触媒量が少なすぎると、重合速度が遅くなるため、所望の分子量のポリエステルカーボネート樹脂組成物を得ようとするにはその分だけ重合温度を高くせざるを得なくなる傾向がある。そのために、得られたポリエステルカーボネート樹脂組成物の色相が悪化する可能性が高くなり、また、未反応の原料が重合途中で揮発してジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネート及びオリゴフルオレンジアリールエステルのモル比率が崩れ、所望の分子量に到達しない可能性がある。一方、重合触媒の使用量が多すぎると、好ましくない副反応を併発し、得られるポリエステルカーボネート樹脂組成物の色相の悪化または成形加工時の樹脂の着色を招く可能性がある。
ただし、1族金属の中でもナトリウム、カリウム又はセシウムは、ポリカーボネート樹脂組成物中に多く含まれると色相に悪影響を及ぼす可能性がある。そして、これらの金属は使用する触媒からのみではなく、原料または反応装置から混入する場合がある。出所にかかわらず、ポリエステルカーボネート樹脂組成物中のこれらの金属の化合物の合計量は、金属量として、1質量ppm以下であることが好ましく、さらには0.5質量ppm以下であることがより好ましい。
また、上記塩基性化合物と併用して、または併用せずに、チタン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、ジルコニウム化合物、鉛化合物、オスミウム化合物等の<10.その他のオリゴフルオレンジアリールエステル製造方法>中の工程Dで用いられるエステル交換反応触媒を用いてもよい。これらのエステル交換反応触媒の使用量は、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物1molに対して、金属換算量として、通常、10μmol以上、好ましくは20μmol以上、より好ましくは50μmol以上、また、通常1mmol以下、好ましくは800μmol以下、より好ましくは500μmol以下である。
<10.2.3 ジヒドロキシ化合物>
この溶融重合法で用いられるジヒドロキシ化合物は光学特性、機械物性、耐熱性などの観点から、イソソルビド(ISB)、イソマンニド、イソイデットなどの複素環式ジオールが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、入手及び重合反応性の観点からISBを用いるのが最も好ましい。
上記複素環式ジオールは、樹脂組成物中に5質量%以上、90質量%以下含有することが好ましく、10質量%以上、80質量%以下含有することがさらに好ましく、20質量%以上、70質量%以下含有することが特に好ましい。含有量が少なすぎると、十分な耐熱性が得られず、含有量が多すぎると耐熱性が過度に高くなり、機械物性や溶融加工性が悪化する。上記の構造は吸湿性の高い構造であるために、樹脂組成物の吸水率が高くなり、高湿度の環境下において寸法変形が起こる懸念がある。
上記複素環式ジオールと組み合わせて、または上記複素環式ジオールの構造は用いずに、別のジヒドロキシ化合物を含んでいてもよく、特に芳香族成分を含有しない下記ジヒドロキシ化合物を有することが好ましい。(以下、複素環式ジオール以外のジヒドロキシ化合物を「その他のジヒドロキシ化合物」と称することがある。)
上記複素環式ジオール以外のジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の直鎖脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物;ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール等の分岐脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物;1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−アダマンタンジオール、水添ビスフェノールA、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環式炭化水素で2級や3級アルコールのジヒドロキシ化合物;1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノール、リモネン等のテルペン化合物から誘導されるジヒドロキシ化合物等の脂環式炭化水素で1級アルコールのジヒドロキシ化合物;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシアルキレングリコール類;
下記式(A)や(B)で表されるスピログリコールやジオキサングリコール等が挙げられる。
Figure 0006318787
Figure 0006318787
以上に挙げたジヒドロキシ化合物以外にも、芳香族成分を含有するジヒドロキシ化合物を用いてもよい。具体的には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3−フェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、ビス(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)メタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,3−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル等の芳香族ビスフェノール化合物;2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホン等の芳香族基に結合したエーテル基を有するジヒドロキシ化合物;9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等のフルオレン環を有するジヒドロキシ化合物等が挙げられる。
上記に挙げたその他のジヒドロキシ化合物としては、芳香族成分を含有しないものを用いるのが好ましい。芳香族成分を含有すると、フルオレン環の逆波長分散性がキャンセルされ、オリゴフルオレンジアリールエステルの含有量を増やさなければならなくなり、また、光弾性係数も悪化する懸念がある。
上記に挙げたその他のジヒドロキシ化合物としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、スピログリコールが光学物性や耐熱性、機械物性などのバランスに優れており、特に好ましい。
その他のジヒドロキシ化合物は、得られる樹脂組成物の要求性能に応じて、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂組成物中のその他のジヒドロキシ化合物の含有量は、1質量%以上、60質量%以下が好ましく、5質量%以上、55質量%以下がさらに好ましく、10質量%以上、50質量%以下が特に好ましい。その他のジヒドロキシ化合物は特に樹脂組成物の耐熱性の調整や、柔軟性や靱性の付与の役割を担うため、含有量が少なすぎると、樹脂の機械物性や溶融加工性が悪くなり、含有量が多すぎると、耐熱性や光学特性が悪化するおそれがある。
<10.2.4 重合法>
ポリエステルカーボネートを溶融重合法で製造する方法としては、ジヒドロキシ化合物と、重合触媒の存在下で炭酸ジエステルとその一部をオリゴフルオレンジアリールエステル置換し、反応させる。重合は、通常、2段階以上の多段工程で実施され、重合反応器は1つで条件を変えて2段階以上の工程で実施してもよいし、2つ以上の反応器を用いて、それぞれの条件を変えて2段階以上の工程で実施してもよいが、生産効率の観点からは、2つ以上、好ましくは3つ以上、更に好ましくは3〜5つ、特に好ましくは、4つの反応器を用いて実施する。重合反応はバッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせの何れでも構わないが、生産効率と品質の安定性の観点から、連続式が好ましい。
<10.3 ポリエステルの重合方法>
重合に用いる炭酸ジエステルを全て、本発明の製造方法で得たオリゴフルオレンジアリールエステルで置換する等の方法により、ポリエステルが得られる。
好ましい重合触媒、重合条件等は<10.2 ポリエステルカーボネートの重合方法>記載の方法と同じである。
<10.4 添加剤>
本発明のポリエステルカーボネート又はポリエステル樹脂組成物には、熱安定剤、酸化防止剤、核剤、難燃剤、無機充填剤、衝撃改良剤、発泡剤、染顔料等の任意の添加剤を含有させてもよい。同様に、本発明の樹脂組成物に含有される重合体にも、任意の添加剤を含有させてもよい。
<10.5 用途>
本発明にかかるポリエステルカーボネート又はポリエステル樹脂組成物は光弾性係数が小さく、耐熱性および成形性にも優れ、さらに着色が少なく高い透明性を兼ね備えている傾向があるため、それらを成形して得られる成形体はフィルムやレンズ、プリズムといった光学部材に好適である。例えば、本発明にかかるフィルムは、各種ディスプレイ(液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマ表示装置、FED電界放出表示装置、SED表面電界表示装置)の視野角補償用、外光の反射防止用、色補償用、直線偏光の円偏光への変換用などの位相差フィルムとして用いることができる。また、本発明にかかるレンズ、プリズムは、フレネルレンズ、ピックアップレンズ等の光学レンズや光学プリズムにも用いることもできる。
<11.フルオレン比率>
本発明の製造方法で得たオリゴフルオレンジアリールエステル(III)をポリエステル、ポリエステルカーボネートなどの光学用途の樹脂原料として用いる際に、樹脂組成物中に含有するフルオレン環が主鎖に配向することで所望の光学特性を発現する傾向がある。そのため、所望の光学物性を効率よく発現するためには、オリゴフルオレンジアリールエステル(III)のフルオレン環の割合を高めることが望ましい。これを本明細書中では、フルオレン比率と呼び、下記式(1)にて定義することとする。ここで、フルオレン環の分子量は炭素原子13個分の原子量の総和とし、水素原子は該分子量には含まず、また、置換基を有する場合であっても置換基は該分子量には含まれない。また、フルオレン環の分子量の総和とは、フルオレンを有するオリゴフルオレンジアリールエステル(III)に含まれる、全てのフルオレン環の分子量の合計値を意味し、例えば、2つフルオレン環を有する場合にはフルオレン環2つ分の分子量となり、同様に3つ有する場合にはフルオレン環3つ分の分子量となる。一方で、フルオレンを有するオリゴフルオレンジアリールエステル(III)の分子量とは、オリゴフルオレンジアリールエステル(III)そのものの分子量を意味する。
フルオレン比率(%) = フルオレン環の分子量の総和/フルオレンを有するオリゴフルオレンジアリールエステル(III)の分子量 × 100 (1)
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
また、以下の製造例および実施例で用いた化合物等は以下の通りである。
フェニルメタクリレート(三菱レーヨン(株)製)
フェニルアクリレート(国際公開第1995/007879号の実施例3にて合成)
ビス(フルオレン−9−イル)メタン(国際公開第1998/43931号の実施例6にて合成)
BHEPF:9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)
ISB;イソソルビド(ロケットフルーレ社製、商品名:POLYSORB(登録商標))
DPC;ジフェニルカーボネート(三菱化学(株)製)
CHDM;1,4−シクロヘキサンジメタノール(シス、トランス混合物、SKケミカル社製)
また、樹脂組成物と透明フィルムの特性評価は次の方法により行った。なお、特性評価手法は以下の方法に限定されるものではなく、当業者が適宜選択することができる。
(1)樹脂組成物の光弾性係数
He−Neレーザー、偏光子、補償板、検光子、及び光検出器からなる複屈折測定装置と振動型粘弾性測定装置(レオロジー社製「DVE−3」)を組み合わせた装置を用いて測定した。(詳細は、日本レオロジー学会誌Vol.19,p93−97(1991)を参照。)
80℃で5時間、真空乾燥をした樹脂組成物試料約4gを、幅8cm、長さ8cm、厚さ0.5mmのスペーサーを用いて、熱プレスにて熱プレス温度200〜250℃で、予熱1〜3分、圧力20MPaの条件で1分間加圧後、スペーサーごと取り出し、水管冷却式プレスにて圧力20MPaで3分間加圧冷却してシートを作製した。このフィルムから幅5mm、長さ20mmにサンプルを切り出した。
切り出したサンプルを粘弾性測定装置に固定し、25℃の室温で貯蔵弾性率E’を周波数96Hzにて測定した。同時に、出射されたレーザー光を偏光子、試料、補償板、検光子の順に通し、光検出器(フォトダイオード)で拾い、ロックインアンプを通して角周波数ω又は2ωの波形について、その振幅とひずみに対する位相差を求め、ひずみ光学係数O’を求めた。このとき、偏光子と検光子の方向は直交し、またそれぞれ、試料の伸長方向に対してπ/4の角度をなすように調整した。光弾性係数Cは、貯蔵弾性率E’とひずみ光学係数O’を用いて次式より求めた。
C=O’/E’
(2)樹脂組成物の屈折率異方性、及び位相差の波長分散性
前述の熱プレスによる方法で厚み100〜200μmのフィルムを成形し、このフィルムから幅6cm、長さ6cmの試料を切り出した。この試料をバッチ式二軸延伸装置(アイランド工業社製二軸延伸装置BIX−277−AL)を用いて、延伸温度を樹脂組成物試料のガラス転移温度+15℃、延伸速度1000%/分、延伸倍率2倍で、自由端一軸延伸を行い、延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムから幅4cm、長さ4cmに切り出したサンプルを位相差測定装置(王子計測機器社製KOBRA−WPR)により測定波長450nmの位相差(Re450)及び550nmの位相差(Re550)を測定した。両測定値の比(Re450/Re550)を位相差の波長分散性の指標とした。また、この位相差の測定において、延伸方向の位相差の測定値に正の値が出た場合、この樹脂の屈折率異方性は正である。
[オリゴフルオレンジアリールエステルの合成]
<実施例1> ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物2)の合成
Figure 0006318787
50mL三口フラスコにビス(フルオレン−9−イル)メタン(化合物1)1.00g(2.9mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド93mg(0.29mmol)、THF5mLを添加して窒素雰囲気下、室温にて撹拌した。50wt/wt%水酸化ナトリウム水溶液0.40mLを添加して15分撹拌後、氷浴にて3℃に冷却した。ここにフェニルアクリレート0.945g(6.38mmol)を3分かけて滴下後、引き続き2時間熟成した。この反応液を3N塩酸にて中和して目的物を酢酸エチル20mLにて抽出後、水相と有機相を分離した。HPLCにて有機相中のビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物2)を定量した(収率44%)。
<実施例2> ビス[9−(2−フェノキシカルボニルプロピル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物3)の合成
Figure 0006318787
50mL三口フラスコにビス(フルオレン−9−イル)メタン(化合物1)1.00g(2.9mmol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド132mg(0.58mmol)、THF5mLを添加して窒素雰囲気下、室温にて15℃にて撹拌した。50wt/wt%水酸化ナトリウム水溶液0.78gを添加して15分撹拌した。ここにフェニルメタクリレート470mg(2.90mmol)を5℃にて30分かけて滴下後、引き続きフェニルメタクリレート564mg(3.48mmol)を90分かけて滴下した。5−12℃にて2時間熟成した。この反応液を3N塩酸にて中和して目的物をトルエン10mLにて抽出後、有機相を水にて3回洗浄した。トルエンをエバポレーターにて留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した(化合物3の異性体混合物、0.37g、収率19%、白色固体)。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.15−7.23(m,4H),6.96−7.10(m,10H),6.70−6.92(m,8H),6.53−6.56(m,4H),3.05−3.12(m,2H),2.78−2.84(m,2H),1.90−1.95(m,2H),1.27−1.31(m,2H),1.15−1.05(m,4H),0.77(d,J=7.3Hz,6H).
<参考例1> ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物2)の合成
Figure 0006318787
<参考例1A> ビス[9−(2−メトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物4)の合成
300mL三口フラスコにビス(フルオレン−9−イル)メタン(化合物1、10.0g、(29.0mmol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(1.32g、5.8mmol)、テトラヒドロフラン(50mL)を入れ、窒素置換後、水浴で15℃〜20℃に制御し、50wt/vol%水酸化ナトリウム水溶液(8mL)を加えたところ、溶液の色は薄赤色に変化した。その後、アクリル酸メチル(7.81mL、87.1mmol)を3時間かけて滴下した。反応の進行をHPLCで追跡しながら、3時間撹拌した。HPLCでモノ付加体が10%以下になったのを確認後、氷浴で冷却し、3N塩酸(21mL)を温度見合いで滴下し、クエンチした。水層を廃棄した後、トルエン(20mL)を添加し、脱塩水で有機層を洗浄した。溶媒を減圧留去し、固体が析出し始めた時点で減圧を解除し、メタノール(40mL)を添加し、30分間攪拌した。その後吸引ろ過し、100℃で恒量になるまで減圧乾燥することで、白色固体としてビス[9−(2−メトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物4)を7.05g(収率:47%、HPLC純度:80%)得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.03(d,J=7.3Hz,4H),6.97(dt,J1=6.8,J2=1.3Hz,4H),6.75−6.83(m,8H),3.38(s,6H),3.12(s,2H),2.24(t,J=8.1Hz,4H),1.14(t,J=8.1Hz,4H).
<参考例1B> ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物2)の合成
300mL四口フラスコに参考例1Aの方法で得られたビス[9−(2−メトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物4、6.0g、11.61mmol)、ジフェニルカーボネート(12.1g、56.6mmol)、オルトチタン酸テトライソプロピル(0.49mL、1.66mmol)を入れ、145℃まで昇温して、3時間撹拌した。HPLCで反応の終了を確認後、トルエン(15mL)を加え、1時間加熱還流した。50℃へ冷却後、メタノール(18mL)を加えた。室温(20℃)へ冷却後、吸引ろ過を行った。得られた白色固体をトルエン(12mL)に分散させ、1時間加熱還流した。50℃へ冷却後、メタノール(18mL)を加えた。室温(20℃)へ冷却後、吸引ろ過を行い、100℃で恒量になるまで減圧乾燥することで、白色固体としてビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物2)を5.39g(収率:64%、HPLC純度:98.1%)得た。
化合物1からの全工程収率:30%
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.23−7.28(m,4H),7.07−7.16(m,6H),7.03(dt,J1=6.9Hz,J2=2.0,4H),6.78−6.90(m,12H),3.20(s,2H),2.37(t,J=8.3Hz,4H),1.40(t,J=8.3Hz,4H).
Figure 0006318787
表1に記載の通り、本発明の製造方法に対応する実施例1の製法と、参考例1の製法とを比較すると、実施例1の製法の方が化合物2を得るための収率が高い上に、参考例1のように中間体を単離・精製する必要がないため、生産効率の観点からも優れていることが分かる。
また、実施例2のフェニルメタクリレートのような不飽和カルボン酸アリールエステルに置換基を有する場合においても、反応が問題なく進行することが分かる。
[樹脂組成物の評価]
(モノマー合成)
<モノマー合成例1> ビス[9−(2−エトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物5)の合成
Figure 0006318787
1Lセパラブルフラスコにビス(フルオレン−9−イル)メタン(化合物1)35.0(102mmol)、THF175mLを添加し、窒素雰囲気下15℃にて攪拌した。50wt%水酸化ナトリウム水溶液 28.68g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド4.61g(20.2mL)を添加後、15分攪拌した。エチルアクリレート22.4mL(224mmol)を60分かけて添加後、16℃にて2時間熟成した。反応終了時点のHPLC分析を行ったところ、化合物5(13.5min)は、75.3面積%であった。3N塩酸にて中和した後、分液して水層を除いた。ここにトルエン70mLを添加して、水105mLで5回有機層を洗浄した。有機層へトルエン35mL、THF35mLを加えた後、内温60℃以上を保ちながら70mLまで加熱・減圧濃縮した。トルエン35mLを加えた後、45℃まで放冷して、メタノール210mLを加えて、ビス[9−(2−エトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物5)の晶析を行った。
白色粉末、収量:37.47g(68.7mmol,収率:67.6%、HPLC純度:91.7面積%)
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ7.03(d,J=7.6Hz,4H),6.97(dt,J1=7.6Hz,J2=1.5Hz,4H),6.82(dt,J1=7.6Hz,J2=1.3Hz,4H),6.77(d,J=7.6Hz,4H),3.88(q,J=7.1Hz,4H),3.12(s,2H),2.23(m,4H),1.13(m,4H),1.02(t,J=7.1Hz,6H).
(ポリマー合成)
<ポリマー合成例1>
ビス[9−(2−フェノキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物2)26.63質量部(0.042モル)、CHDM10.78質量部(0.075モル)、ISB33.58質量部(0.230モル)、DPC56.33質量部(0.263モル)および触媒として酢酸カルシウム1水和物5.36×10-4質量部(3.04×10-6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃にし必要に応じ攪拌しながら、原料を溶解させた(約10分間)。溶解後、反応1段目の工程として220℃まで30分かけて昇温し、60分間常圧にて反応した。次いで圧力を常圧から13.3kPaまで90分かけて減圧し、13.3kPaで30分間保持し発生するフェノールを反応容器外へ抜出した。
次いで反応2段目の工程として加熱槽の温度を15分かけて240℃まで昇温しながら、圧力を0.10kPa以下まで15分かけて減圧し、発生するフェノールを反応容器外へ抜出した。所定のトルクに到達後、反応を終了し、生成したポリマーを水中に押し出して、ポリエステルカーボネートのペレットを得た。
得られた樹脂組成物をフィルム成形して延伸した際の延伸フィルムの屈折率異方性、位相差比(Re450/Re550)等の測定結果を表1に示す。
<ポリマー合成例2>
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(BHEPF)62.40質量部(0.142モル)、ISB28.78質量部(0.197モル)、DPC73.40質量部(0.343モル)、および触媒として酢酸マグネシウム4水和物7.28×10-4質量部(3.39×10-6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃にし必要に応じ攪拌しながら、原料を溶解させた(約10分間)。溶解後、反応1段目の工程として220℃まで30分かけて昇温し、60分間常圧にて反応した。次いで圧力を常圧から13.3kPaまで90分かけて減圧し、13.3kPaで30分間保持し発生するフェノールを反応容器外へ抜出した。
次いで反応2段目の工程として加熱槽の温度を15分かけて240℃まで昇温しながら、圧力を0.10kPa以下まで15分かけて減圧し、発生するフェノールを反応容器外へ抜出した。所定のトルクに到達後、反応を終了し、生成したポリマーを水中に押し出して、ポリカーボネートのペレットを得た。
得られた樹脂組成物をフィルム成形して延伸した際の延伸フィルムの屈折率異方性、位相差比(Re450/Re550)等の測定結果を表1に示す。
<ポリマー合成例3>
ビス[9−(2−エトキシカルボニルエチル)フルオレン−9−イル]メタン(化合物5)22.65質量部(0.042モル)、CHDM10.77質量部(0.075モル)および触媒としてテトラ―n―ブチルチタネート15.54×10-3質量部(4.57×10-5モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、220℃にて120分間常圧にて反応した。次いで、圧力を13.3kPaまで30分かけて減圧し、13.3kPaで30分保持し発生するエタノールを反応容器外へ抜出した。その後、反応液を一旦室温まで冷却し、ISB33.58質量部(0.230モル)、DPC56.96質量部(0.266モル)を同じ反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃にし必要に応じ攪拌しながら、原料を溶解させた(約10分間)。溶解後、反応1段目の工程として220℃まで30分かけて昇温し、60分間常圧にて反応した。次いで圧力を常圧から13.3kPaまで90分かけて減圧し、13.3kPaで30分間保持し発生するフェノールを反応容器外へ抜出した。
次いで反応2段目の工程として加熱槽の温度を15分かけて240℃まで昇温しながら、圧力を0.10kPa以下まで15分かけて減圧し、発生するフェノールを反応容器外へ抜出した。所定のトルクに到達後、反応を終了し、生成したポリマーを水中に押し出して、ポリエステルカーボネート樹脂のペレットを得た。
得られた樹脂組成物をフィルム成形して延伸した際の延伸フィルムの屈折率異方性、位相差比(Re450/Re550)等の測定結果を表1に示す。
Figure 0006318787
表1より、ポリマー合成例1の化合物2を用いたポリエステルカーボネートとポリマー合成例2のBHEPFを用いたポリカーボネートを比較すると、ポリマー合成例1の方が少ないモノマー量で、位相差比(Re450/Re550)が小さく、強い逆波長分散性を示すことが分かる。さらに、光弾性係数も半分以下の値である。このことから、本発明の製造方法の目的物であるオリゴフルオレンジアリールエステルは、光学特性に優れたモノマーであると言える。また、ポリマー合成例1とポリマー合成例3を比較すると、光学特性は同等であるが、ポリマー合成例1の化合物2は、ISBやCHDMなどのジヒドロキシ化合物とDPCと一括に仕込んで、重合を行い、ポリエステルカーボネートを製造することができる。それに対して、ポリマー合成例3の化合物3は、CHDMとエステル交換反応を行ってから、ISB、DPCを添加して重合を行っており、2段階の反応でポリエステルカーボネートを製造する必要がある。これは、化合物2はジアリールエステルであるためにDPCと同等の反応性であるのに対し、化合物5はジエチルエステルであるためにDPCよりも反応性が低いことが原因である。
以上のことより、本発明の製造方法の目的物であるオリゴフルオレンジエステルは非常に優れたモノマーであると言える。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で表されるオリゴフルオレン化合物を、塩基存在下、下記一般式(I
    I)で表される不飽和カルボン酸アリールエステルと反応させて下記一般式(III)で
    表されるオリゴフルオレンジアリールエステルを得る工程Aを有する、オリゴフルオレン
    ジアリールエステルの製造方法。
    Figure 0006318787
    (式中、R3は、直接結合、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン
    基、n−ペンチレン基、およびn−ヘキシレンからなる群から選ばれる直鎖上のアルキレ
    ン基;メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチルメチレン基、プロピルメチレン基
    、ブチルメチレン基、(1−メチルエチル)メチレン基、1−メチルエチレン基、2−メ
    チルエチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1−メチルプロピレン
    基、2−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルプロピレ
    ン基、および3−メチルプロピレン基からなる群から選ばれる分枝鎖を含むアルキレン基

    下記[A]群から選ばれる脂環式アルキレン基
    Figure 0006318787
    (ただし、上記[A]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置については
    任意であり、同一炭素に2つの結合手が置換していてもよい。);
    下記[B]群から選ばれる複素環式アルキレン基
    Figure 0006318787
    (上記[B]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置については任意であ
    り、同一炭素に2つの結合手が置換していてもよい。)
    シクロブチルメチレン基、シクロペンチルメチレン基、シクロヘキシルメチレン基、およ
    び1−シクロヘキシルプロピレン基からなる群から選ばれるアルキル基置換アルキレン基
    ;フェニルメチレン基、1−フェニルエチレン基、および1−フェニルプロピレン基から
    なる群から選ばれるアリール基置換アルキレン基;1,1,2,2−テトラフルオロエチ
    レン基、トリクロロメチルメチレン基、およびトリフルオロメチルメチレン基からなる群
    から選ばれるハロゲン原子置換アルキレン基;2−メトキシメチル−2−メチルプロピレ
    ン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、および1,4−フェニレン基から
    なる群
    から選ばれるフェニレン基;1,5−ナフチレン基、または2,6−ナフチレン基である
    ナフチレン基;2,5−ピリジレン基、2,4−チエニレン基、および2,4−フリレン
    基からなる群から選ばれるヘテロアリーレン基;
    下記[C]群から選ばれるアラルキレン基
    Figure 0006318787
    あるいは、2−メチル−1,4−キシリレン基、2,5−ジメチル−1,4−キシリレン
    基、2−メトキシ−1,4−キシリレン基、2,5−ジメトキシ−1,4−キシリレン基
    、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−キシリレン基、α,α−ジメチル−1,4
    −キシリレン基、およびα,α,α’,α’−テトラメチル−1,4−キシリレン基から
    なる群から選ばれる置換されていてもよいアラルキレン基;である。
    4〜R9は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−
    ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル、およびn−デシルからなる群から選ばれる直
    鎖状のアルキル基;イソプロピル基、2−メチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル
    基、および2−エチルヘキシル基からなる群から選ばれる分岐鎖を含むアルキル基;シク
    ロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基からなる
    群から選ばれる環状のアルキル基;トリフルオロメチル基、ベンジル基、4−メトキシベ
    ンジル基、およびメトキシメチル基からなる群から選ばれる置換されていてもよいアルキ
    ル基;
    フェニル基、1−ナフチル基、および2−ナフチル基からなる群から選ばれるアリール基
    ;2−ピリジル基、2−チエニル基、および2−フリル基からなる群から選ばれるヘテロ
    アリール基;
    2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−ベン
    ゾイルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−シアノフェニ
    ル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4−メ
    チレンジオキシフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、および4
    −メチルフリル基からなる群から選ばれる置換されていてもよいアリール基;
    ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、2−メチルプロピオニル基、2,2−ジメチ
    ルプロピオニル基、および2−エチルヘキサノイル基からなる群から選ばれる脂肪族アシ
    ル基;ベンゾイル基、1−ナフチルカルボニル基、2−ナフチルカルボニル基、および2
    −フリルカルボニル基からなる群から選ばれる芳香族アシル基;クロロアセチル基、トリ
    フルオロアセチル基、メトキシアセチル基、フェノキシアセチル基、4−メトキシベンゾ
    イル基、4−ニトロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、および4−トリフルオロメ
    チルベンソイル基からなる群から選ばれる置換されていてもよいアシル基;
    メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基
    、およびフェノキシ基からなる群から選ばれるアルコキシ基;アセトキシ基、およびベン
    ゾイルオキシ基からなる群から選ばれるアシルオキシ基;
    アミノ基;N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,
    N−ジエチルアミノ基、N,N−メチルエチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N,N
    −ジプロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、およびN,N−ジイソプロピルアミ
    ノ基からなる群から選ばれる脂肪族アミノ基;
    N−フェニルアミノ基、またはN,N−ジフェニルアミノ基である芳香族アミノ基;ホル
    ムアミド
    基、アセトアミド基、デカノイルアミド基、ベンゾイルアミド基、およびクロロアセトア
    ミド基
    からなる群から選ばれるアシルアミノ基;ベンジルオキシカルボニルアミノ基、または
    tert−ブチルオキシカルボニルアミノ基であるアルコキシカルボニルアミノ基;
    ニル基、2−メチルビニル基、2,2−ジメチルビニル基、2−フェニルビニル基、2
    −アセチルビニル基、エチニル基、メチルエチニル基、tert―ブチルエチニル基、フ
    ェニルエチニル基、アセチルエチニル基、およびトリメチルシリルエチニル基からなる群
    から選ばれる、置換されていてもよいビニル基またはエチニル基;
    トリメチルシリル基、またはトリエチルシリル基であるトリアルキルシリル基;トリメト
    キシシリル基、またはトリエトキシシリル基であるトリアルコキシシリル基;
    スルホ基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、およびイ
    ソプロピルスルホニル基からなる群から選ばれるアルキルスルホニル基;フェニルスルホ
    ニル基、またはp−トリルスルホニル基であるアリールスルホニル基;メチルスルフィニ
    ル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、およびイソプロピルスルフィニ
    ル基からなる群から選ばれるアルキルスルフィニル基;フェニルスルフィニル基、または
    p−トリルスルフィニル基であるアリールスルフィニル基;メチルチオ基、またはエチル

    オ基であるアルキルチオ基;フェニルチオ基、またはp−トリルチオ基であるアリールチ
    オ基;メトキシスルホニル基、またはエトキシスルホニル基であるアルコキシスルホニル
    基;フェノキシスルホニル基、アミノスルホニル基、N−メチルアミノスルホニル基、N
    −エチルアミノスルホニル基、N−tert−ブチルアミノスルホニル基、N,N−ジメ
    チルアミノスルホニル基、およびN,N−ジエチルアミノスルホニルからなる群から選ば
    れるア
    ルキルスルホニル基;N−フェニルアミノスルホニル基、またはN,N−ジフェニルアミ
    ノスルホニル基であるアリールアミノスルホニル基;
    フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子からなる群から選ばれる
    ハロゲン原子;ニトロ基;あるいはシアノ基である。ただし、R4〜R9のうち隣接する少
    なく
    とも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
    Riは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、およびシク

    ヘキシル基からなる群から選ばれるアルキル基;フェニル基、1−ナフチル基、
    2−ナフチル基、および2−チエニル基からなる群から選ばれるアリール基;
    あるいは、ベンジル基、2−フェニルエチル基
    、およびp−メトキシベンジル基からなる群から選ばれるアラルキル基である。
    Ar1フェニル基、トリル基、クロロフェニル基、ナフチル基、m−クレジル基、ま
    たはビフェニル基である。
    nは1〜5の整数値を示す。)
  2. 前記塩基が無機塩基であることを特徴とする請求項に記載のオリゴフルオレンジアリ
    ールエステルの製造方法。
  3. 前記無機塩基が水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであることを特徴とする請求項
    に記載のオリゴフルオレンジアリールエステルの製造方法。
  4. 前記工程Aにおいて、水と2層分離する有機溶媒を用いることを特徴とする請求項1〜
    のいずれか1項に記載のオリゴフルオレンジアリールエステルの製造方法。
  5. Ar1がフェニル基であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のオリ
    ゴフルオレンジアリールエステルの製造方法。
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