JP7254230B1 - 電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】パワー半導体素子を過熱からより適切に保護することができる電力変換装置を得る。【解決手段】電力変換装置10は、電力変換部20及び制御部40を備えている。電力変換部20は、第1半導体モジュール21を有している。第1半導体モジュール21は、複数のパワー半導体素子211~214を含んでいる。パワー半導体素子211及び213は、検出対象素子である。電力変換部20は、温度センサ21aと電圧センサ21cとをさらに有している。温度センサ21aは、検出対象素子の表面温度をセンサ位置温度Tsとして検出する。電圧センサ21cは、検出対象素子の端子間電圧Vceを検出する。制御部40は、センサ位置温度Tsと端子間電圧Vceとに基づいて、検出対象素子における損失を算出し、算出された損失に基づいて、最高温度を推定する。【選択図】図1
Description
本開示は、電力変換装置に関する。
従来の電力変換装置では、スイッチング素子の過電流状態を検出するために、スイッチング素子の温度及び端子間電圧が検出される。スイッチング素子の温度を検出するための温度センサは、スイッチング素子のチップ上に設けられている(例えば、特許文献1)。
通常、スイッチング素子の表面温度は均一でないため、温度センサにより検出される温度とスイッチング素子の表面における最高温度点の温度との間には差が生じる。また、スイッチング素子の発熱量に応じて表面温度の分布が変化する。上記のような従来の電力変換装置において、スイッチング素子を過熱から保護するためには、温度センサにより検出される温度と、スイッチング素子の表面における最高温度点の温度との差の最大値が温度マージンとして設定される必要がある。そのため、スイッチング素子の発熱状態によっては、スイッチング素子の出力が不必要に制限されることがあるという問題があった。
本開示は、上記のような課題を解決するために為されたものであり、パワー半導体素子を過熱からより適切に保護することができる電力変換装置を得ることを目的とする。
本開示に係る電力変換装置は、複数のパワー半導体素子を含むパワー半導体モジュールを有しており、外部電源からの直流電力を交流電力に変換し、交流電力を駆動装置に供給する電力変換部、及び複数のパワー半導体素子の動作を制御する制御部を備え、複数のパワー半導体素子のうちの少なくとも1つは、温度検出対象である検出対象素子であり、電力変換部は、検出対象素子の表面温度をセンサ位置温度として検出する温度センサと、検出対象素子の端子間電圧を検出する電圧センサとをさらに有しており、検出対象素子の表面において温度が最も高くなる位置を最高温度位置としたとき、制御部は、センサ位置温度と端子間電圧とに基づいて、検出対象素子における損失を算出し、算出された損失に基づいて、最高温度位置における温度である最高温度を推定する。
本開示に係る電力変換装置によれば、パワー半導体素子を過熱からより適切に保護することができる。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電力変換装置を一部ブロックで示す構成図である。電力変換装置10は、電力変換部20、相電流センサ30、及び制御部40を備えている。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電力変換装置を一部ブロックで示す構成図である。電力変換装置10は、電力変換部20、相電流センサ30、及び制御部40を備えている。
電力変換部20は、外部電源としての直流電源50と接続されている。また、電力変換部20は、駆動装置としてのモータ60と接続されている。電力変換部20は、直流電源50からの直流電力を3相の交流電力に変換し、変換された3相の交流電力をモータ60に供給する。
電力変換部20は、第1半導体モジュール21、第2半導体モジュール22、及び第3半導体モジュール23を有している。
第1半導体モジュール21は、上アーム21Uと下アーム21Lとを有している。第1半導体モジュール21は、複数のパワー半導体素子211、212、213、及び214を含んでいる。複数のパワー半導体素子211、212、213、及び214は、複数の上アーム素子と、複数の下アーム素子とからなる。複数の上アーム素子は、パワー半導体素子211及び212であり、複数の下アーム素子は、パワー半導体素子213及び214である。複数の上アーム素子は、上アーム21Uに含まれ、互いに並列に接続されている。複数の下アーム素子は、下アーム21Lに含まれ、互いに並列に接続されている。
複数のパワー半導体素子211、212、213、及び214のうち、パワー半導体素子211及び213は、検出対象素子である。検出対象素子は、温度検出対象であるパワー半導体素子のことである。つまり、複数の上アーム素子のうちの1つのみと、複数の下アーム素子のうちの1つのみとが、それぞれ検出対象素子である。
第2半導体モジュール22は、上アーム22Uと下アーム22Lとを有している。第2半導体モジュール22は、複数のパワー半導体素子221、222、223、及び224を含んでいる。複数のパワー半導体素子221、222、223、及び224は、複数の上アーム素子と、複数の下アーム素子とからなる。複数の上アーム素子は、パワー半導体素子221及び222であり、複数の下アーム素子は、パワー半導体素子223及び224である。複数の上アーム素子は、上アーム22Uに含まれ、互いに並列に接続されている。複数の下アーム素子は、下アーム22Lに含まれ、互いに並列に接続されている。
複数のパワー半導体素子221、222、223、及び224のうち、パワー半導体素子221及び223は、検出対象素子である。つまり、複数の上アーム素子のうちの1つのみと、複数の下アーム素子のうちの1つのみとが、それぞれ検出対象素子である。
第3半導体モジュール23は、上アーム23Uと下アーム23Lとを有している。第3半導体モジュール23は、複数のパワー半導体素子231、232、233、及び234を含んでいる。複数のパワー半導体素子231、232、233、及び234は、複数の上アーム素子と、複数の下アーム素子とからなる。複数の上アーム素子は、パワー半導体素子231及び232であり、複数の下アーム素子は、パワー半導体素子233及び234である。複数の上アーム素子は、上アーム23Uに含まれ、互いに並列に接続されている。複数の下アーム素子は、下アーム23Lに含まれ、互いに並列に接続されている。
複数のパワー半導体素子231、232、233、及び234のうち、パワー半導体素子231及び233は、検出対象素子である。つまり、複数の上アーム素子のうちの1つのみと、複数の下アーム素子のうちの1つのみとが、それぞれ検出対象素子である。
各パワー半導体素子は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)と還流ダイオードとにより構成されている。還流ダイオードは、IGBTのコレクタ-エミッタ間に逆並列に接続されている。
さらに、電力変換部20は、温度センサ21a、21b、22a、22b、23a、及び23bと、電圧センサ21c、21d、22c、22d、23c、及び23dとを有している。各温度センサは、検出対象素子の表面温度をセンサ位置温度Tsとして検出する。
温度センサ21aは、パワー半導体素子211の表面温度を検出し、温度センサ21bは、パワー半導体素子213の表面温度を検出する。温度センサ22aは、パワー半導体素子221の表面温度を検出し、温度センサ22bは、パワー半導体素子223の表面温度を検出する。温度センサ23aは、パワー半導体素子231の表面温度を検出し、温度センサ23bは、パワー半導体素子233の表面温度を検出する。各温度センサには、サーミスタが用いられる。
各電圧センサは、検出対象素子の端子間電圧Vceを検出する。端子間電圧Vceは、パワー半導体素子のコレクタ-エミッタ間電圧である。電圧センサ21cは、パワー半導体素子211の端子間電圧Vceを検出し、電圧センサ21dは、パワー半導体素子213の端子間電圧Vceを検出する。電圧センサ22cは、パワー半導体素子221の端子間電圧Vceを検出し、電圧センサ22dは、パワー半導体素子223の端子間電圧Vceを検出する。電圧センサ23cは、パワー半導体素子231の端子間電圧Vceを検出し、電圧センサ23dは、パワー半導体素子233の端子間電圧Vceを検出する。各電圧センサは、各パワー半導体素子のコレクタ及びエミッタにそれぞれ設けられている電極に相当している。
制御部40は、複数のパワー半導体素子の動作を制御する。検出対象素子の表面において温度が最も高くなる位置を最高温度位置としたとき、制御部40は、センサ位置温度Tsと端子間電圧Vceとに基づいて、検出対象素子における損失を算出する。
さらに、制御部40は、算出された損失に基づいて、最高温度Tjmaxを推定する。最高温度Tjmaxは、最高温度位置における温度である。
第1半導体モジュール21、第2半導体モジュール22、及び第3半導体モジュール23は、モータ60のU相、V相、及びW相にそれぞれ対応している。モータ60は、U相巻線61、V相巻線62、及びW相巻線63を有している。
相電流センサ30は、U相の相電流センサ31、V相の相電流センサ32、及びW相の相電流センサ33を有している。U相の相電流センサ31は、U相巻線61に流れる電流を検出する。V相の相電流センサ32は、V相巻線62に流れる電流を検出する。W相の相電流センサ33は、W相巻線63に流れる電流を検出する。
上アーム21Uと下アーム21Lとの間と、U相巻線61との間にはU相電力供給用の配線が接続されている。U相電力供給用の配線には、U相の相電流センサ31が設けられている。
上アーム22Uと下アーム22Lとの間と、V相巻線62との間にはV相電力供給用の配線が接続されている。V相電力供給用の配線には、V相の相電流センサ32が設けられている。
上アーム23Uと下アーム23Lとの間と、W相巻線63との間にはW相電力供給用の配線が接続されている。W相電力供給用の配線には、W相の相電流センサ33が設けられている。
制御部40は、各パワー半導体素子211~214,221~224,231~234の動作を制御する。制御部40は、各温度センサから、対応する検出対象素子のセンサ位置温度Tsを取得するとともに、各電圧センサから、対応する検出対象素子の端子間電圧Vceを取得する。
制御部40は、各温度センサにより検出された検出対象素子のセンサ位置温度Tsと、各電圧センサにより検出された検出対象素子の端子間電圧Vceとに基づいて、各検出対象素子における損失を算出する。
制御部40は、算出された各検出対象素子における損失に基づいて、各検出対象素子の最高温度位置における温度を推定する。最高温度位置は、各検出対象素子の表面において最も温度が高くなる位置である。
制御部40は、U相の相電流センサ31、V相の相電流センサ32、及びW相の相電流センサ33から、U相巻線61に流れる電流、V相巻線62に流れる電流、及びW相巻線63に流れる電流をそれぞれ取得する。
図2は、図1の制御部40の構成を示すブロック図である。制御部40は、機能ブロックとして、センサ位置温度取得部41、端子間電圧取得部42、相電流取得部43、損失算出部44、最高温度推定部45、及びパワー半導体素子制御部46を有している。
センサ位置温度取得部41は、温度センサ21a、21b、22a、22b、23a、及び23bから各検出対象素子のセンサ位置温度Tsを取得する。
端子間電圧取得部42は、電圧センサ21c、21d、22c、22d、23c、及び23dから各検出対象素子の端子間電圧Vceを取得する。
相電流取得部43は、U相の相電流センサ31、V相の相電流センサ32、及びW相の相電流センサ33から、U相の相電流、V相の相電流、及びW相の相電流をそれぞれ取得する。
損失算出部44には、センサ位置温度取得部41により取得された各検出対象素子のセンサ位置温度Tsと、端子間電圧取得部42によって取得された各検出対象素子の端子間電圧Vceとが入力される。損失算出部44は、各検出対象素子のセンサ位置温度Tsと各検出対象素子の端子間電圧Vceとに基づいて、各検出対象素子における損失を算出する。
検出対象素子として、パワー半導体素子211を例にして、以下に具体的に述べる。損失算出部44は、予めパワー半導体素子211のセンサ位置温度Tsとパワー半導体素子211のオン抵抗Ronとの関係を規定したマップである第1マップを記憶している。損失算出部44は、温度センサ21aから取得されたセンサ位置温度Tsを第1マップに適用することにより、パワー半導体素子211のオン抵抗Ronを算出する。
損失算出部44は、電圧センサ21cから取得された端子間電圧Vceを、算出されたオン抵抗Ronで除することにより、パワー半導体素子211のオン電流Ionを第1電流値として算出する。
さらに、損失算出部44は、予めパワー半導体素子211のオン電流Ion、パワー半導体素子211の力率、及びパワー半導体素子211の変調率と、パワー半導体素子211の損失との関係を規定したマップである第2マップを記憶している。パワー半導体素子211の損失には、パワー半導体素子211の導通損失及びパワー半導体素子211のスイッチング損失が含まれる。損失算出部44は、算出されたパワー半導体素子211のオン電流Ion、パワー半導体素子211の力率、及びパワー半導体素子211の変調率を第2マップに適用することにより、パワー半導体素子211の損失を算出する。
最高温度推定部45は、損失算出部44によって算出されたパワー半導体素子211の損失に基づいて、パワー半導体素子211の最高温度Tjmaxを推定する。
最高温度Tjmaxの推定方法を以下に具体的に述べる。最高温度推定部45は、予め熱抵抗差関数ΔZth(t)とパワー半導体素子211の温度上昇値ΔTとの関係を規定したマップである第3マップを記憶している。熱抵抗差関数ΔZth(t)は、第1熱抵抗Zth(t)j-refと第2熱抵抗Zth(t)s-refとの差についての関数である。
第1熱抵抗Zth(t)j-refは、最高温度位置P1と、第1半導体モジュール21の放熱経路中の基準位置Prefとの間の熱抵抗である。最高温度位置P1は、パワー半導体素子211に電力が供給された場合に、パワー半導体素子211の表面において最高温度Tjmaxを示す位置である。基準位置Prefは、第1半導体モジュール21の放熱経路において、任意に設定された位置である。
また、第2熱抵抗Zth(t)s-refは、センサ温度位置P2と基準位置Prefとの間の熱抵抗である。センサ温度位置P2は、パワー半導体素子211に電力が供給された場合に、温度センサ21aによってパワー半導体素子211の表面温度が検出される位置である。第1熱抵抗Zth(t)j-ref及び第2熱抵抗Zth(t)s-refは、電力供給時間tに対する関数である。
パワー半導体素子制御部46には、最高温度推定部45によって推定された最高温度Tjmaxが入力される。パワー半導体素子制御部46は、推定された最高温度Tjmaxが規定温度を超えたか否かを判定する。パワー半導体素子制御部46は、最高温度Tjmaxが規定温度を超えた場合、モータ60に供給される交流電力を電力変換部20によって制限させる。一方、最高温度Tjmaxが規定温度を超えていない場合、パワー半導体素子制御部46は、モータ60に供給される交流電力を電力変換部20によって維持させる。
図3は、図1の第1半導体モジュール21の構造を示す上面図である。第1半導体モジュール21は、複数のインナーリード215と、複数の電力リードとしてのPリード216、Nリード217、及びACリード218と、複数の信号リード219とを有している。
複数のインナーリード215は、導電性の金属部材によって構成されている。Pリード216、Nリード217、ACリード218、及び複数の信号リード219は、導電性の金属部材によって構成されている。Pリード216、Nリード217、ACリード218、及び複数の信号リード219は、一体的に成形されたリードフレームを切り離すことによって得られる。
Pリード216、Nリード217、及びACリード218は、実装面を有している。実装面は、複数のパワー半導体素子及び複数のインナーリード215の少なくともいずれか一方を実装するための面であり、図3において、Pリード216、Nリード217、ACリード218の上面である。
Pリード216には、その実装面において、パワー半導体素子211の下面及びパワー半導体素子212の下面が接続されている。Nリード217には、その実装面において、2つのインナーリード215の下面が接続されている。ACリード218には、その実装面において、パワー半導体素子213の下面、パワー半導体素子214の下面、及び2つのインナーリード215の下面が接続されている。
Pリード216は、第1半導体モジュール21の外部の配線部材を介して、直流電源50の正極端子に接続されている。Nリード217は、第1半導体モジュール21の外部の配線部材を介して、直流電源50の負極端子に接続されている。ACリード218は、第1半導体モジュール21の外部の配線部材を介して、U相巻線61に接続されている。
複数の信号リード219は、各パワー半導体素子の動作を制御するための信号であるゲート信号が入力されるリードを含んでいる。また、複数の信号リード219は、温度センサ21a用の一対のリード、温度センサ21b用の一対のリード、電圧センサ21c用の一対のリード、及び電圧センサ21d用の一対のリードを含んでいる。
電圧センサ21cは、パワー半導体素子211のコレクタに設けられた電極パッドと、パワー半導体素子211のエミッタに設けられた電極パッドとにより構成されている。これらの電極パッドは、それぞれワイヤボンド配線によって複数の信号リード219の中の一対のリードと接続されている。
複数の信号リード219は、第1半導体モジュール21の外部の配線部材を介して、制御部40に接続されている。これにより、制御部40は、検出対象素子のセンサ位置温度Ts及び端子間電圧Vceを取得することができるとともに、パワー半導体素子211~214の動作を制御することができる。
また、第1半導体モジュール21は、モールド樹脂21mを有している。モールド樹脂21mは、パワー半導体素子211~214と、温度センサ21a及び21bと、電圧センサ21c及び21dと、複数のインナーリード215との全体を覆っている。また、モールド樹脂21mは、Pリード216、Nリード217、ACリード218、及び複数の信号リード219の一端を除いた部分を覆っている。
なお、第2半導体モジュール22の構造及び第3半導体モジュール23の構造は、第1半導体モジュール21の構造と同様であるため、それらの説明は省略される。
図4は、図1の検出対象素子上に温度センサが配置されている位置を示す上面図である。ここでは、検出対象素子として、パワー半導体素子211を例に説明する。パワー半導体素子211の上面の中央には、インナーリード215との接合部21jが設けられている。インナーリード215との接合部21jは、導電性の金属部材によって構成されている。パワー半導体素子211の上面の周辺部には、温度センサ21aが設けられている。周辺部は、パワー半導体素子211の上面においてインナーリード215との接合部21jよりも外側の部分である。
ところで、パワー半導体素子211は、その表面において、多数の微細なスイッチがセル状又はストライプ状に形成された構造を有している。多数の微細なスイッチは、互いに並列に接続されている。パワー半導体素子211がオン状態にあるとき、パワー半導体素子211に供給された電力は、多数の微細なスイッチに分割して供給される。このときの電力分布の傾向は、パワー半導体素子211の中央に近付くほど高い電力が供給される傾向となる。
接合部21jの位置に形成されている微細なスイッチには、インナーリード215から素子表面に形成されている表面電極層を介して電力が供給される。これに対し、外周部に形成されている微細なスイッチには、インナーリード215から表面電極の表面を経由して電力が供給される。表面電極の表面の抵抗は、インナーリード215からの距離に応じて大きくなるため、インナーリード215から遠い微細なスイッチほど、供給される電力は低くなる。
また、微細なスイッチの並列数が多いほど、パワー半導体素子211の単位面積当たりのオン抵抗が小さくなるため、パワー半導体素子211の損失が低減される。従って、温度センサ21aをできるだけパワー半導体素子211の中央から離れた部分に配置し、且つ温度センサ21aの実装面積をできるだけ小さくすることにより、パワー半導体素子211の温度上昇が低減される。
なお、第1半導体モジュール21のもう1つの検出対象素子であるパワー半導体素子213は、パワー半導体素子211と同様の構成を有しているため、その説明は省略される。
また、温度センサ21aが配置されていないパワー半導体素子212は、そのチップ外形が検出対象素子であるパワー半導体素子211のチップ外形と同じであっても、検出対象素子に比べて、微細なスイッチの並列数を多くすることができる。従って、パワー半導体素子212は、パワー半導体素子211に比べて、より多くの電力を供給することができる。そのため、パワー半導体素子212は、さらなる導通損失の低減が可能である。
図5は、図1の検出対象素子の表面温度の面内分布及び平均温度を示す図である。ここでは、検出対象素子として、パワー半導体素子211を例に説明する。実線71は、パワー半導体素子211の表面温度の面内分布である。パワー半導体素子211の表面温度の面内分布は、パワー半導体素子211の電力分布の傾向と同様の傾向を示す。従って、パワー半導体素子211の中央に近付くほどパワー半導体素子211の表面温度は高くなる。このような表面温度の面内分布に対して、パワー半導体素子211の表面の平均温度は、実線72により示される。
破線73は、仮に、パワー半導体素子211への電力の供給が、インナーリード215ではなく、ワイヤボンド配線によって行われた場合におけるパワー半導体素子211の表面温度の面内分布である。また、破線74は、仮に、パワー半導体素子211への電力の供給が、ワイヤボンド配線によって行われた場合におけるパワー半導体素子211の表面の平均温度である。なお、仮に使用されるワイヤボンド配線の断面積及び表面積は、インナーリード215の断面積及び表面積よりも小さい。
図5から理解されるように、実線71の形状は、破線73の形状よりも平坦である。これは、インナーリード215がパワー半導体素子211の上面の中央の接合部21j全体に接続されており、接合部21jに接続される面積がワイヤボンド配線に対して大きく、且つ隙間なく配置されていることによる。また、パワー半導体素子211の温度が上昇している間においても、インナーリード215がヒートマスとして作用するため、パワー半導体素子211の表面温度の平坦な面内分布は維持される。
また、実線71と実線72との交点の面内位置は、破線73と破線74との交点の面内位置と比べて、パワー半導体素子211の中央から遠い。これは、パワー半導体素子211の表面温度の面内分布が平坦化したことによる。このように、温度センサ21aが、パワー半導体素子211の外周部に配置されても、パワー半導体素子211の平均温度により近い温度が温度センサ21aにより取得される。
即ち、配線部材としてインナーリード215を用いることにより、パワー半導体素子211のより外周側に温度センサ21aが配置されても、パワー半導体素子211の平均温度により近い値が温度センサ21aにより取得されるようになる。この結果、パワー半導体素子211の表面の中央に微細なスイッチをより多く配置することが可能となり、パワー半導体素子211のオン抵抗Ronが低減されるため、パワー半導体素子の性能を向上させることができる。
なお、第1半導体モジュール21のもう1つの検出対象素子であるパワー半導体素子213は、パワー半導体素子211と同様の構成を有しているため、その説明は省略される。
図6は、図1の検出対象素子の表面の平均温度とオン抵抗Ronとの関係を示す図である。ここでは、検出対象素子として、パワー半導体素子211を例に説明する。曲線75は、パワー半導体素子211の平均温度を素子温度としたときのオン抵抗Ronの温度特性である。図6に示したように、パワー半導体素子211のオン抵抗Ronは、パワー半導体素子211の表面温度の増加とともに上昇する性質を有している。そのため、パワー半導体素子211のオン抵抗Ronは、温度センサ21aにより検出された温度に基づいて計算される。
オン抵抗Ronが、パワー半導体素子211の表面の平均温度に基づいて計算されることにより、パワー半導体素子211のオン電流Ionの計算値の精度も向上する。これは、パワー半導体素子211の表面の平均温度を使用して換算されたオン電流Ionが、実態に最も近い値となるからである。
オン電流Ionは、オームの法則に従って、計算されたオン抵抗Ronと電圧センサ21cにより検出された端子間電圧Vceとから計算される。
なお、第1半導体モジュール21のもう1つの検出対象素子であるパワー半導体素子213は、パワー半導体素子211と同様の構成を有しているため、その説明は省略される。
検出対象素子ではないパワー半導体素子212及び214に流れる電流の値である第2電流値は、次のように求められる。損失算出部44は、U相の相電流センサ31からの信号に基づいて算出されたU相の相電流からパワー半導体素子211についての第1電流値を差し引くことにより、パワー半導体素子212についての第2電流値を算出する。
損失算出部44は、第2電流値、パワー半導体素子212の力率、及びパワー半導体素子212の変調率を、パワー半導体素子212についての第2マップに適用することにより、パワー半導体素子212の損失を算出する。最高温度推定部45は、損失算出部44によって算出されたパワー半導体素子212の損失に基づいて、パワー半導体素子212の最高温度Tjmaxを推定する。
図7は、図3の第1パワー半導体モジュールの構造を示すA-A断面図である。Pリード216のパワー半導体素子211を搭載する面とは反対側の面、及びACリード218のパワー半導体素子213を搭載する面とは反対側の面は、絶縁部材21iを介して、冷却器としてのヒートシンク21hに接続されている。ヒートシンク21hは、空冷式ヒートシンクであってもよいし、水冷式ヒートシンクであってもよい。パワー半導体素子213への制御信号は、信号リード219からワイヤボンド配線21wを介してパワー半導体素子213に与えられる。
最高温度位置P1と基準位置Prefとの間の熱抵抗は、第1熱抵抗Zth(t)j-refである。センサ温度位置P2と基準位置Prefとの間の熱抵抗は、第2熱抵抗Zth(t)s-refである。センサ温度位置P2と電力が供給されることにより、パワー半導体素子213の表面に生じた熱は、ACリード218及び絶縁部材21iを介してヒートシンク21hに放出される。また、電力が供給されることにより、パワー半導体素子211の表面に生じた熱は、Pリード216及び絶縁部材21iを介してヒートシンク21hに放出される。
図8は、電力供給時間tに対する熱抵抗の変化及び熱抵抗差関数ΔZth(t)の変化を示す図である。第1熱抵抗Zth(t)j-ref及び第2熱抵抗Zth(t)s-refは、電力変換装置10の設計段階において、代表的な特性を有するパワー半導体素子を搭載したパワー半導体モジュールを用いて、予め測定される。或いは、第1熱抵抗Zth(t)j-ref及び第2熱抵抗Zth(t)s-refは、電力変換装置10の生産ラインにおいて、パワー半導体素子毎に予め測定される。
より具体的に述べると、第1熱抵抗Zth(t)j-ref及び第2熱抵抗Zth(t)s-refは、次のように求められる。先ず、第1半導体モジュール21に組み込まれた状態のパワー半導体素子211~214に電力が供給される。次に、基準位置Prefに対するパワー半導体素子213の最高温度位置P1における温度と、温度センサ21bによるセンサ温度位置P2における温度とが同時に測定される。そして、それぞれ測定された温度が、第1半導体モジュール21に供給された電力に対する損失で割り算される。
第1熱抵抗Zth(t)j-refと第2熱抵抗Zth(t)s-refとの差である熱抵抗差関数ΔZth(t)は、第1熱抵抗Zth(t)j-refから第2熱抵抗Zth(t)s-refを差し引いて得られた熱抵抗の差を、一定時間毎に算出することにより得られる。
最高温度推定部45は、熱抵抗差関数ΔZth(t)を予め記憶している。最高温度推定部45は、熱抵抗差関数ΔZth(t)と、電力供給時間tと、算出されたリアルタイムの損失とに基づいて、熱抵抗差関数ΔZth(t)に対応した温度上昇値ΔTを算出する。温度上昇値ΔTは、熱抵抗差関数ΔZth(t)と積算された損失とが掛け合わされることにより求められる。
熱抵抗差関数ΔZth(t)は、基準位置Prefに対する最高温度位置P1と、温度センサ21bによるセンサ温度位置P2との差から計算されるため、温度上昇値ΔTは、最高温度位置P1と温度センサ21bによるセンサ温度位置P2との温度差になる。従って、温度センサ21bにより検出された温度に温度上昇値ΔTを加えることにより、パワー半導体素子213の最高温度Tjmaxを求めることができる。
パワー半導体素子制御部46は、最高温度Tjmaxが規定温度を超えないように、モータ60へ供給する電力を調整する。規定温度は、パワー半導体素子が発熱によって破壊しない上限の素子温度である。従って、パワー半導体素子制御部46は、最高温度Tjmaxが規定温度を超えた場合には、供給する電力を制限することにより、パワー半導体素子213の表面温度を規定温度以下に維持することができる。
例えば、車載用の電力変換装置では、短時間に大電力を供給する動作及び比較的長い時間で相対的に中程度の電力を供給する動作が要求される。実施の形態1に係る電力変換装置10では、パワー半導体素子の最高温度Tjmaxが熱抵抗差関数ΔZth(t)を用いて算出されるため、上記のような要求に対しても対応することが可能である。
図8において、曲線76は、第1熱抵抗Zth(t)j-ref、曲線77は、第2熱抵抗Zth(t)s-ref、曲線78は、熱抵抗差関数ΔZth(t)である。図8から理解されるように、第1熱抵抗Zth(t)j-ref、及び第2熱抵抗Zth(t)s-refは、電力供給時間tの経過とともに増加するが、電力供給時間tがある程度経過すると、徐々に飽和する。図8において、各曲線の右側部分は熱抵抗の飽和状態を表している。
仮に、飽和状態の熱抵抗のみが測定され、測定された飽和状態の熱抵抗を使用してパワー半導体素子の温度が推定された場合、電力供給の初期には熱抵抗が飽和していないため、熱抵抗の値が実際の値よりも高く見積もられることになる。この場合、パワー半導体素子の最高温度Tjmaxが実際の温度に対して過大に認識されるため、電力変換装置10の出力する電力が不必要に低下することになる。
これに対し、実施の形態1に係る電力変換装置10では、熱抵抗差関数ΔZth(t)が電力供給時間tの関数として定義されているため、電力供給の初期であっても、熱抵抗の値が実際の値となるように見積もられることになる。従って、短時間に大電力が供給される場合であっても、パワー半導体素子の最高温度Tjmaxが正しく推定される。
また、実施の形態1に係る電力変換装置10では、パワー半導体素子の最高温度Tjmaxは、任意の基準位置Prefに対する熱抵抗である第1熱抵抗Zth(t)j-ref及び第2熱抵抗Zth(t)s-refからではなく、熱抵抗差関数ΔZth(t)から求められる。
つまり、第1熱抵抗Zth(t)j-ref及び第2熱抵抗Zth(t)s-refを求める際に設定される基準位置Prefは、電力変換装置10が実際に動作するときに算出される温度上昇値ΔTには直接関与しない。このため、例えば、電力変換装置10が、車載用のエンジンの近くに設置されて、実際の放熱経路に、外乱としてエンジンからの受熱がある場合であっても、算出される最高温度Tjmaxは外乱の影響を受けることがない。
この点が、単に事前に測定された熱抵抗を用いて、パワー半導体素子の最高温度を算出する従来の方法と大きく相違する点である。従って、周囲に高温の熱源がある場合であっても、パワー半導体素子の最高温度を規定温度以下に抑えるために、過剰な温度マージンを設定する必要がない。
図9は、図1の制御部40が実行する最高温度推定ルーチンを示すフローチャートである。図9のルーチンは、例えば、一定の時間が経過する毎に実行されるようになっている。図9のルーチンが開始されると、制御部40は、ステップS101において、検出対象素子に設けられている温度センサからセンサ位置温度Tsを取得する。
次いで、制御部40は、ステップS102において、検出対象素子に設けられている電圧センサから端子間電圧Vceを取得する。
次いで、制御部40は、ステップS103において、取得したセンサ位置温度Ts及び取得した端子間電圧Vceに基づいて、検出対象素子の損失を算出する。
次いで、制御部40は、ステップS104において、算出された損失に基づいて、検出対象素子の最高温度を推定する。
次いで、制御部40は、ステップS105において、推定された最高温度が規定温度を超えたか否かを判定する。推定された最高温度が規定温度を超えた場合、制御部40は、ステップS106において、モータ60に供給される交流電力を電力変換部20によって制限させ、本ルーチンを一旦終了する。
一方、推定された最高温度が規定温度を超えていない場合、制御部40は、ステップS107において、モータ60に供給される交流電力を電力変換部20によって維持させ、本ルーチンを一旦終了する。
図10は、冷却器上に搭載された図1の電力変換装置を示す模式図である。第1半導体モジュール21、第2半導体モジュール22、及び第3半導体モジュール23の構成は、すべて同一のパワー半導体モジュールである。冷却器11には、冷媒が流れる冷却経路12を有している。矢印13は、冷媒の流れ方向を示している。つまり、冷媒は冷却経路12内を紙面の右から左に向かって流れている。第1半導体モジュール21、第2半導体モジュール22、及び第3半導体モジュール23は、冷媒の流れ方向に沿って、冷却器11の上面に並べられて配置されている。
このように、同一のパワー半導体モジュールを使用することにより、異なる種類のパワー半導体モジュールを組み合わせるよりも製造コストを抑制できることがある。これは、パワー半導体モジュールの製造に必要な金型の種類及び部品の種類を削減することができるためである。また、同一のパワー半導体モジュールを並べて配置することにより、パワー半導体モジュール間の配線のインダクタンス成分を小さくすることができる。これにより、パワー半導体素子に発生するサージ電圧を低減させ、スイッチング損失を減少させることができる。
パワー半導体モジュールを並べて配置することにより、冷却器の冷却経路を1つのみ設定すればよく、冷却器の大型化及び冷却器の加工難易度が上がることによる歩留まりの低下を抑制することができる。
ところで、複数個のパワー半導体モジュールを冷媒の流れ方向に沿って並べたとき、冷媒の流れ方向の下流側に配置されたパワー半導体モジュールの冷却能力は、冷媒の流れ方向の上流側に配置されたパワー半導体モジュールの冷却能力よりも低くなる。これは、冷却経路の上流側において、パワー半導体モジュールの熱が冷媒に放出されるため、冷媒の温度が上昇し、下流側における冷却器と冷媒との温度差が減少し、冷却器から冷媒へ伝達される熱量が減少するためである。
ここで、熱抵抗差関数ΔZth(t)を用いるのではなく、仮に、冷却器に設定された基準位置における基準温度を用いてパワー半導体素子の最高温度を算出する場合を考える。この場合、基準位置に近い位置にあるパワー半導体素子の温度は、正しく測定することができたとしても、基準位置から離れた位置にあるパワー半導体素子の温度については、測定誤差が大きくなってしまう。
このため、基準温度を用いる方法では、パワー半導体素子の温度を正確に測定するために、パワー半導体素子毎に基準位置を設定し、その基準位置の温度を測定する温度センサを配置することが必要となる。
しかし、パワー半導体素子と冷却器とは、放熱性の確保及び熱抵抗の低減のために、熱伝導率が高い部材により隙間なく接続されている。従って、パワー半導体素子の直下に基準位置を設定することは困難であり、パワー半導体素子と基準位置とが離れることは不可避である。
これに対し、実施の形態1に係る電力変換装置10では、最高温度Tjmaxを算出するときに、なんらかの固定された基準位置から算出された熱抵抗ではなく、センサ温度位置と最高温度位置との熱抵抗差関数ΔZth(t)を用いる。そのため、実施の形態1に係る電力変換装置10によれば、基準位置の温度変化及び基準位置までの放熱経路に外乱の影響があっても、最高温度Tjmaxを精度良く算出することができる。
ところで、引用文献1には、パワー半導体素子の過渡的な温度変化を見積もる方法についての記載も、パワー半導体素子の最高温度を見積もる方法についての記載もない。また、パワー半導体素子の最高温度から離れた位置に温度センサを配置し、温度センサの検出値をパワー半導体素子の温度と見做して使用している。このため、温度センサによる検出値とパワー半導体素子の最高温度とに差が生じる。パワー半導体素子の最高温度が許容温度を超えないようにするためには、不必要な温度マージンを確保する必要がある。
また、主端子間の電圧を測定しているため、複数のパワー半導体素子を並列に接続する構成において、各パワー半導体素子に流れる電流の分配割合まで考慮することができない。従って、複数のパワー半導体素子を並列に接続した場合、並列に接続された複数のパワー半導体素子の発熱量が同じであるとして扱われることになるため、パワー半導体素子の最高温度の検出精度が低下する。そのため、さらに不必要な温度マージンを確保する必要が生じる。
さらに、実際にモータ60に流れる電流値は、モータ60に要求される駆動トルク及び発電出力の要求値により決定されることが多く、実質的には、駆動電圧値の変化に基づいて温度を推定することになる。しかし、一般的に、パワー半導体素子のオン抵抗Ronの温度特性は、ダイオード及びサーミスタを含む温度検出素子の温度特性よりも劣っている。
これに対し、実施の形態1に係る電力変換装置10では、装置の小型化及び高出力化に対応するために、パワー半導体モジュールの内部において並列に接続されたパワー半導体素子毎に、リアルタイムの損失を算出する。これにより、電力供給時間に対応したパワー半導体素子の最高温度Tjmaxを精度良く算出することができる。この場合、電流センサを設ける必要がないため、電力変換装置10の大型化及び部品コストの増加が抑制される。
また、電力変換装置10は、第1電流値を算出する手段、第2電流値を算出する手段、及び相電流センサ30の3つの電流値算出手段を備える。従って、万が一、相電流センサ30に不具合が生じた場合には、第1電流値算出手段による第1電流値の2倍の値を算出することで相電流を算出し、相電流センサの出力の代替値として使用することができる。これにより、相電流の検出に冗長性を持たせることができる。
このように、実施の形態1に係る電力変換装置10は、第1半導体モジュール21、第2半導体モジュール22、及び第3半導体モジュールを有している。第1半導体モジュール21、第2半導体モジュール22、及び第3半導体モジュール23は、それぞれ複数のパワー半導体素子211~214,221~224,231~234を含んでいる。
また、電力変換装置10は、電力変換部20及び制御部40を備えている。パワー半導体素子211、213、221、223、231、及び233は、温度検出対象である検出対象素子である。電力変換部20は、温度センサ21a、21b、22a、22b、23a、及び23bと電圧センサ21c、21d、22c、22d、23c、及び23dとをさらに有している。温度センサ21a、21b、22a、22b、23a、及び23bは、検出対象素子の表面温度をセンサ位置温度Tsとして検出する。電圧センサ21c、21d、22c、22d、23c、及び23dは、検出対象素子の端子間電圧Vceを検出する。
検出対象素子の表面において温度が最も高くなる位置を最高温度位置としたとき、制御部40は、センサ位置温度Tsと端子間電圧Vceとに基づいて、検出対象素子における損失を算出し、算出された損失に基づいて、最高温度を推定する。最高温度は、最高温度位置における温度である。
これによれば、検出されたセンサ位置温度Tsと検出された端子間電圧Vceとに基づいて検出対象素子の損失が即時に算出されるため、検出対象素子の最高温度も即時に推定される。そのため、例えば、電力変換装置10の動作が、比較的短時間の間に大電力をモータに供給するような動作であったとしても、パワー半導体素子の温度が実態よりも高く推定されることが抑制される。その結果、パワー半導体素子の出力が不必要に制限されることを抑制できる。即ち、パワー半導体素子を過熱からより適切に保護することができる。
また、第1半導体モジュール21は、上アーム21Uと下アーム21Lとを有している。複数のパワー半導体素子211、212、213、及び214は、複数の上アーム素子と、複数の下アーム素子とからなっている。複数の上アーム素子は、上アーム21Uに含まれ、互いに並列に接続されている。複数の下アーム素子は、下アーム21Lに含まれ、互いに並列に接続されている。
複数の上アーム素子のうちの1つであるパワー半導体素子211のみと、複数の下アーム素子のうちの1つであるパワー半導体素子213のみとが、それぞれ検出対象素子である。
これによれば、複数のパワー半導体素子が互いに並列に接続されているため、パワー半導体素子1素子当たりの電力を低減し、1素子当たりの発熱量を低減させることができる。従って、パワー半導体素子を過熱からより適切に保護することができる。また、検出対象素子を、上アーム及び下アームにそれぞれ1つずつだけ設けた場合であっても、パワー半導体素子の最高温度を高精度に推定することができる。
また、制御部40には、センサ位置温度Tsと、検出対象素子のオン抵抗Ronとの関係が記憶されている。制御部40は、センサ位置温度Tsに基づいてオン抵抗Ronを算出し、算出されたオン抵抗Ronと端子間電圧Vceとに基づいて第1電流値を算出する。第1電流値は、検出対象素子に流れる電流の値である。
これによれば、オン抵抗Ronがセンサ位置温度Tsに基づいて算出され、算出されたオン抵抗Ronと端子間電圧Vceとに基づいて第1電流値が算出されることから、第1電流値をより高精度且つ即時に算出することができる。
また、電力変換装置10は、相電流センサ30をさらに備えている。相電流センサ30は、モータ60の各相に流れる電流である相電流を検出する。上アーム素子の数は2つであり、下アーム素子の数は2つである。制御部40は、第2電流値を、相電流から第1電流値を差し引くことにより算出する。第2電流値は、複数のパワー半導体素子のうち、検出対象素子以外のパワー半導体素子に流れる電流の値である。
これによれば、検出対象素子以外のパワー半導体素子に流れるオン電流を正確に算出することができるため、パワー半導体素子の最高温度をより高精度に推定することができる。
また、上アーム素子の数は2つであり、下アーム素子の数は2つである。制御部40は、第1電流値の2倍の値を相電流として求める。
これによれば、検出対象素子以外のパワー半導体素子に流れるオン電流を容易に求めることができる。
また、制御部40は、第1電流値、検出対象素子の力率、及び検出対象素子の変調率と、検出対象素子の損失との関係を予め記憶している。
これによれば、算出された第1オン電流及び第2オン電流から、パワー半導体素子に生じている損失をパワー半導体素子素子毎に即時に算出することができる。その結果、パワー半導体素子の最高温度をより高精度に推定することができる。
また、制御部40には、熱抵抗差関数ΔZth(t)が記憶されている。熱抵抗差関数ΔZth(t)は、交流電力をモータ60に供給している時間に対する第1熱抵抗Zth(t)j-refと第2熱抵抗Zth(t)s-refとの差の関数である。第1熱抵抗Zth(t)j-refは、最高温度位置と第1半導体モジュールの放熱経路中の基準位置との間の熱抵抗である。第2熱抵抗Zth(t)s-refは、センサ位置と基準位置との間の熱抵抗である。
センサ位置は、センサ位置温度Tsが検出される位置である。制御部40は、検出されたセンサ位置温度Ts、算出された損失、及び記憶されている熱抵抗差関数ΔZth(t)に基づいて、最高温度を推定し、推定された最高温度が規定温度を超えた場合、交流電力を電力変換部20によって制限させる。
これによれば、第1熱抵抗Zth(t)j-ref及び第2熱抵抗Zth(t)s-refを予め測定する際に設定される基準位置は、温度上昇値ΔTに直接関与しない。従って、電力変換装置10が、例えば、エンジン、モータ、又は排気部に近接して配置されていて、放熱経路に外乱が生じる場合であっても、最高温度Tjmaxの値は外乱の影響を受けない。そのため、電力変換装置10の周囲に高温の熱源が存在する場合であっても、パワー半導体素子の最高温度を規定温度以下に抑えるために不必要な温度マージンを設定する必要がない。その結果、パワー半導体素子の最高温度をより高精度に推定することができる。
また、制御部40は、すべての検出対象素子についての熱抵抗差関数ΔZth(t)を予め記憶している。
これによれば、パワー半導体素子の最高温度をより高精度に推定することができる。
また、第1半導体モジュール21は、Pリード216、Nリード217、ACリード218及び複数のインナーリード215を有している。Pリード216、Nリード217、及びACリード218は、導電性の金属部材によって構成されている。Pリード216、Nリード217、及びACリード218は、複数のパワー半導体素子及び複数のインナーリード215の少なくともいずれか一方を実装するための実装面を有している。Pリード216、Nリード217、及びACリード218のうち、第1電力リードには、実装面において、複数のパワー半導体素子の下面が接続されている。
複数のインナーリード215は、導電性の金属部材によって構成されており、下面とは反対側の面である上面と、Pリード216、Nリード217、及びACリード218のうち、第1電力リードとは別の電力リードである第2電力リードの実装面とを接続している。複数のパワー半導体素子と複数のインナーリード215との接合部21jは、上面の中央に設けられている。温度センサ21aは、上面において接合部21jよりも外側の周辺部に設けられている。
これによれば、パワー半導体モジュールにおけるパワー半導体素子の搭載密度が向上するため、パワー半導体素子の搭載個数を増加させた場合でも、パワー半導体モジュールのサイズの増大を抑制することができる。また、配線部材としてインナーリードを用いることにより、パワー半導体素子の表面温度の上昇を抑制することができる。
また、電力変換装置10は、パワー半導体モジュールを冷媒によって冷却するための冷却器11をさらに備えている。冷却器11には、冷媒が流れる方向に沿って複数のパワー半導体モジュールが配置されている。
これによれば、冷却経路を1つだけ設ければよい。そのため、複数の冷却経路を設ける場合に比べて、冷却器を小型化できるとともに、冷却器の加工が容易となる。
なお、図3において、2つの上アーム素子のうち、検出対象素子であるパワー半導体素子211は、検出対象素子ではないパワー半導体素子212よりも第1半導体モジュール21の外側に配置されているが、2つの上アーム素子の配置は、この配置に限定されない。同様に、2つの下アーム素子のうち、検出対象素子であるパワー半導体素子213は、検出対象素子ではないパワー半導体素子214よりも第1半導体モジュール21の外側に配置されているが、2つの下アーム素子の配置は、この配置に限定されない。このことは、第2半導体モジュール22及び第3半導体モジュール23においても同様である。
また、温度センサとしてサーミスタが用いられていたが、温度センサは、サーミスタに限定されることはなく、例えば、測温抵抗体、熱電対、IC温度センサ、及び感温フェライトのいずれかが用いられてもよい。
また、オン電流Ionの算出をより高速に行うために、制御部40は、第1マップ及び第2マップに代えて、予めセンサ位置温度Ts及び端子間電圧Vceと、オン電流Ionとの関係を規定した第4マップを有していてもよい。この場合、制御部40は、取得したセンサ位置温度Ts及び取得した端子間電圧Vceを第4マップに適用することにより、直接オン電流Ionを算出する。
また、検出対象素子は、上アーム又21Uは下アーム21Lに、それぞれ2つ設けられてもよい。この場合、上アーム21Uの2つの検出対象素子のうちのいずれか1つの検出対象素子について、オン電流が計算されればよい。
図10では、説明の都合上、水冷式の冷却器を示したが、電力変換装置10の冷却器は水以外の冷媒を使用した冷却器であっても、空冷式の冷却器であってもよい。
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る電力変換装置について説明する。図11は、実施の形態2に係る電力変換装置を一部ブロックで示す構成図である。電力変換装置10は、電力変換部20、相電流センサ30、及び制御部40を備えている。
次に、実施の形態2に係る電力変換装置について説明する。図11は、実施の形態2に係る電力変換装置を一部ブロックで示す構成図である。電力変換装置10は、電力変換部20、相電流センサ30、及び制御部40を備えている。
実施の形態2の電力変換装置10には、各相の下アームのパワー半導体素子のいずれか1つに温度センサ及び電圧センサが設けられている。実施の形態2の電力変換装置10の構成は、各相の上アームに、温度センサ及び電圧センサが設けられていない点において、実施の形態1の電力変換装置10の構成と相違している。その他の点については、実施の形態1の電力変換装置10の構成と同一である。
電力変換装置のさらなる小型化、高出力化が望まれる場合に、温度センサを複数のパワー半導体モジュールの内部に複数のパワー半導体素子を互いに並列に接続しても、温度センサをパワー半導体モジュールの1箇所にのみ設ければよい。そのため、温度センサの配線部材及び温度を算出するための回路を増やす必要がない。
図12は、図11の検出対象素子の表面の平均温度とオン抵抗Ronとの関係を示す図である。曲線75は、パワー半導体素子の平均温度を素子温度としたときのオン抵抗Ronの温度特性である。曲線79は、温度センサにより検出された温度をパワー半導体素子の温度としたときのオン抵抗Ronの温度特性である。
温度センサにより検出された温度が、実際のパワー半導体素子の平均温度よりも低い値を示すように、温度センサをパワー半導体素子表面のさらに外周部に設ける。これにより、温度センサにより検出される温度が、意図的にパワー半導体素子の平均温度よりも低い温度とされる。
図12に示したように、パワー半導体素子の温度とオン抵抗Ronとの間には、正の相関がある。そのため、温度センサ21aにより検出される温度が、パワー半導体素子の平均温度よりも低い場合、オン抵抗Ronは、実際のオン抵抗Ronよりも低い値として計算される。
また、オン電圧Vonは、温度センサの位置には直接影響を受けないので、実施の形態1における構成と比べて、オン電圧Vonは変化しない。従って、オン電圧Vonに対してオン抵抗Ronは、相対的に低い値となる。その結果、オン電流Ionは、実際の電流値よりも高い値として計算される。
実際の電流値よりも高いオン電流Ionを用いて、パワー半導体素子の損失が計算されると、計算により得られる損失は、実際の損失よりも大きくなる。計算により得られた損失と実際の損失との差が、損失マージンとして設定される。そして、パワー半導体モジュールの中の複数のパワー半導体素子として、同一の特性のパワー半導体素子が用いられる。これにより、互いに並列に接続されたパワー半導体素子に流れ込む電流値のばらつき及びパワー半導体素子間の特性のばらつきに起因する損失のばらつきが、設定された損失マージン以下に抑えられる。
実施の形態2の電力変換装置10の構成によれば、算出されたオン電流Ionから、リアルタイムにパワー半導体素子の損失が求められる。実施の形態1の電力変換装置10と同様に、熱抵抗差関数ΔZth(t)と、温度センサ21bにより検出される温度とに基づいて、パワー半導体素子の最高温度Tjmaxを求めることができる。
そして、この方法により算出された最高温度Tjmaxが、パワー半導体素子の実際の最高温度よりも損失マージン分だけ高い値となることにより、パワー半導体素子の温度が規定温度を超えることを防止する。また、電力供給時間tに対する熱抵抗の変化を考慮することにより、精度のよい過熱保護が可能となる。
これにより、温度センサ数を大きく増加させることなく、パワー半導体素子の並列接続数を増加させることができる。従って、回路規模を大きく増加させることなく、電力変換装置を高出力化させることができる。
このように、実施の形態2に係る電力変換装置10によれば、第1半導体モジュール21は、上アーム21Uと下アーム21Lとを有している。複数のパワー半導体素子は、複数の上アーム素子と、複数の下アーム素子とからなっている。複数の上アーム素子は、上アーム21Uに含まれ互いに並列に接続されている。複数の下アーム素子は、下アーム21Lに含まれ互いに並列に接続されている。複数の下アーム素子の1つのみが、検出対象素子である。
これによれば、パワー半導体モジュールの中には、検出対象素子が1つだけとなり、検出対象のセンサ位置温度Ts及び端子間電圧Vceの組合せも1組だけとなるため、センサ位置温度Ts及び端子間電圧Vceを検出するための回路の規模を縮小させることができる。その結果、電力変換装置10をさらに小型化することができる。
また、周辺部の位置は、温度センサ21bにより検出される表面温度が検出対象素子の表面における面内の平均温度よりも低くなる位置である。
これによれば、温度センサにより検出される温度が、意図的にパワー半導体素子の平均温度よりも低い温度とされると、パワー半導体素子の温度とオン抵抗Ronとの間に正の相関により、オン抵抗Ronは、実際のオン抵抗Ronよりも低い値として計算される。従って、計算により得られた損失は、実際の損失よりも大きくなり、計算により得られた損失と実際の損失との差を損失マージンとして設定することができる。その結果、パワー半導体素子を過熱からより適切に保護することができる。
なお、実施の形態2では、複数の下アーム素子の1つのみが検出対象素子であったが、複数の上アーム素子の1つのみが検出対象素子であってもよい。即ち、複数の上アーム素子及び複数の下アーム素子のうちのいずれか1つのみが、検出対象素子であればよい。
また、実施の形態1及び2では、検出対象素子は複数のパワー半導体素子のうちの一部であったが、複数のパワー半導体素子のすべてが検出対象素子であってもよい。
また、実施の形態1及び2では、温度センサ及び電圧センサは、検出対象素子に配置されていたが、温度センサ及び電圧センサは、検出対象素子以外のパワー半導体素子に配置されていてもよい。この場合、制御部40は、検出対象素子以外のパワー半導体素子に配置されている温度センサ及び電圧センサからの信号を取得しないように構成されていればよい。これによれば、1つの電力変換装置10において、異なる種類のパワー半導体素子を実装する必要がないため、電力変換装置10の製造がより容易になる。
また、実施の形態1及び2において、第1半導体モジュール21の構成、第2半導体モジュール22の構成、及び第3半導体モジュール23の構成は、いずれも同様の構成である。従って、第1半導体モジュール21についての説明は、特に断りがない限り、第2半導体モジュール22及び第3半導体モジュール23にも適用される。
また、各パワー半導体素子には、IGBTに代えて、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)又はトランジスタが用いられてもよい。
また、実施の形態1及び2の電力変換装置10の機能は、処理回路によって実現される。図13は、実施の形態1及び2の電力変換装置10の機能を実現する処理回路の第1の例を示す構成図である。第1の例の処理回路100は、専用のハードウェアである。
また、処理回路100は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
また、図14は、実施の形態1及び2の電力変換装置10の機能を実現する処理回路の第2の例を示す構成図である。第2の例の処理回路200は、プロセッサ201及びメモリ202を備えている。
処理回路200では、電力変換装置10の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ202に格納される。プロセッサ201は、メモリ202に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、機能を実現する。
メモリ202に格納されたプログラムは、上述した各部の手順又は方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。ここで、メモリ202とは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。また、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等も、メモリ202に該当する。
なお、上述した電力変換装置10の機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、上述した電力変換装置10の機能を実現することができる。
10 電力変換装置、11 冷却器、20 電力変換部、21 第1半導体モジュール(パワー半導体モジュール)、211 パワー半導体素子(検出対象素子)、215 インナーリード、216 Pリード(電力リード)、217 Nリード(電力リード)、218 ACリード(電力リード)、21a,21b 温度センサ、21c,21d 電圧センサ、21j 接合部、21L,22L,23L 下アーム、21U,22U,23U 上アーム、30 相電流センサ、40 制御部、50 直流電源(外部電源)、60 モータ(駆動装置)。
Claims (12)
- 複数のパワー半導体素子を含むパワー半導体モジュールを有しており、外部電源からの直流電力を交流電力に変換し、前記交流電力を駆動装置に供給する電力変換部、及び
前記複数のパワー半導体素子の動作を制御する制御部
を備え、
前記複数のパワー半導体素子のうちの少なくとも1つは、温度検出対象である検出対象素子であり、
前記電力変換部は、
前記検出対象素子の表面温度をセンサ位置温度として検出する温度センサと、
前記検出対象素子の端子間電圧を検出する電圧センサと
をさらに有しており、
前記検出対象素子の表面において温度が最も高くなる位置を最高温度位置としたとき、
前記制御部は、前記センサ位置温度と前記端子間電圧とに基づいて、前記検出対象素子における損失を算出し、算出された前記損失に基づいて、前記最高温度位置における温度である最高温度を推定する
電力変換装置。 - 前記パワー半導体モジュールは、上アームと下アームとを有しており、
前記複数のパワー半導体素子は、前記上アームに含まれ互いに並列に接続されている複数の上アーム素子と、前記下アームに含まれ互いに並列に接続されている複数の下アーム素子とからなり、
前記複数の上アーム素子のうちの1つのみと、前記複数の下アーム素子のうちの1つのみとが、それぞれ前記検出対象素子である
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記パワー半導体モジュールは、上アームと下アームとを有しており、
前記複数のパワー半導体素子は、前記上アームに含まれ互いに並列に接続されている複数の上アーム素子と、前記下アームに含まれ互いに並列に接続されている複数の下アーム素子とからなり、
前記複数の上アーム素子及び前記複数の下アーム素子のうちのいずれか1つのみが、前記検出対象素子である
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記制御部には、前記センサ位置温度と、前記検出対象素子のオン抵抗との関係が記憶されており、
前記制御部は、前記センサ位置温度に基づいて前記オン抵抗を算出し、算出された前記オン抵抗と前記端子間電圧とに基づいて前記検出対象素子に流れる電流の値である第1電流値を算出する
請求項2又は請求項3に記載の電力変換装置。 - 前記駆動装置の各相に流れる電流である相電流を検出する相電流センサをさらに備え、
前記上アーム素子の数は2つであり、
前記下アーム素子の数は2つであり、
前記制御部は、前記複数のパワー半導体素子のうち、前記検出対象素子以外のパワー半導体素子に流れる電流の値である第2電流値を、前記相電流センサにより検出された前記相電流から前記第1電流値を差し引くことにより算出する
請求項4に記載の電力変換装置。 - 前記上アーム素子の数は2つであり、
前記下アーム素子の数は2つであり、
前記制御部は、前記第1電流値の2倍の値を相電流として求める
請求項4に記載の電力変換装置。 - 前記制御部は、前記第1電流値、前記検出対象素子の力率、及び前記検出対象素子の変調率と、前記検出対象素子の前記損失との関係を予め記憶している
請求項4に記載の電力変換装置。 - 前記制御部には、前記交流電力を前記駆動装置に供給している時間に対する第1熱抵抗と第2熱抵抗との差の関数である熱抵抗差関数が記憶されており、
前記第1熱抵抗は、前記最高温度位置と前記パワー半導体モジュールの放熱経路中の基準位置との間の熱抵抗であり、
前記第2熱抵抗は、前記センサ位置温度が検出される位置であるセンサ位置と前記基準位置との間の熱抵抗であり、
前記制御部は、検出された前記センサ位置温度、算出された前記損失、及び記憶されている前記熱抵抗差関数に基づいて、前記最高温度を推定し、推定された前記最高温度が規定温度を超えた場合、前記交流電力を前記電力変換部に制限させる
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記制御部は、すべての前記検出対象素子についての前記熱抵抗差関数を予め記憶している
請求項8に記載の電力変換装置。 - 前記パワー半導体モジュールは、複数の電力リード及び複数のインナーリードを有しており、
前記複数の電力リードは、導電性の金属部材によって構成されており、前記複数のパワー半導体素子及び前記複数のインナーリードの少なくともいずれか一方を実装するための実装面を有しており、
前記複数の電力リードのうち、第1電力リードには、前記実装面において、前記複数のパワー半導体素子の下面が接続されており、
前記複数のインナーリードは、導電性の金属部材によって構成されており、前記下面とは反対側の面である上面と、前記複数の電力リードのうち、前記第1電力リードとは別の電力リードである第2電力リードの前記実装面とを接続しており、
前記複数のパワー半導体素子と前記複数のインナーリードとの接合部は、前記上面の中央に設けられており、
前記温度センサは、前記上面において前記接合部よりも外側の周辺部に設けられている
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記周辺部の位置は、前記温度センサにより検出される前記表面温度が前記検出対象素子の前記表面における面内の平均温度よりも低くなる位置である
請求項10に記載の電力変換装置。 - 前記パワー半導体モジュールを冷媒によって冷却するための冷却器をさらに備え、
前記冷却器には、前記冷媒が流れる方向に沿って複数の前記パワー半導体モジュールが配置されている
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の電力変換装置。
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