JP5482484B2 - 電力変換機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電力変換機の制御装置に関する。
従来から、インバータ装置における半導体スイッチング素子(以後、「素子」と略する)を熱的破壊から保護する技術が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1では、出力電流1周期における平均損失から素子の平均温度を推定している。また、出力電流1周期の間に素子の温度がほとんど脈動しないモータ回転数が高い領域では平均温度を推定温度としている。そして、出力電流1周期の間に素子温度が大きく脈動するモータ回転数が低い領域では、上記の平均温度に対して、回転数に基づいた係数を乗じることで、脈動する温度のピーク値を推定温度としている。
特開2000−228882号公報
特許文献1に開示された技術では、モータ回転数が低い領域において、素子の温度変化の時定数に比べて十分長い時間、一定の損失が発生して平均温度が飽和している飽和状態では、素子を保護することができる。しかし、素子の温度変化の時定数に比べて短い時間で損失が変化して、素子の平均温度が飽和していない過渡状態では、脈動する温度の極大値が推定温度を超えてしまい、素子を保護することができない。
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、少なくとも平均温度の過渡状態において、脈動する温度の極大値を上回る温度を推定して、素子の熱的保護を効果的に行う電力変換機の制御装置を提供することである。
本発明の特徴に係わる電力変換機の制御装置は、半導体素子の温度の推定演算を行う周期において、半導体素子の平均損失を算出する平均損失算出部と、半導体素子を1つの熱抵抗と熱時定数の組を少なくとも1組有する熱回路網としてとらえて、半導体素子の損失及び熱抵抗と熱時定数の組から、当該組の部分温度の変化を推定する部分温度変化推定部と、を備える。部分温度変化推定部は、平均損失から損失の脈動周波数に応じて脈動する部分温度を推定するゲイン及び一次ローパスフィルタを有する。そして、一次ローパスフィルタの時定数は、脈動周波数が高いほど熱時定数に近く設定し、脈動周波数が低いほど熱時定数よりも小さく設定する。
本発明の電力変換機の制御装置によれば、少なくとも平均温度の過渡状態において、脈動する温度の極大値を上回る温度を推定して、半導体素子の熱的保護を効果的に行うことができる。
本発明の第1の実施の形態に係わる電力変換機及びその制御装置を含む電力変換システムの全体構成を示す概略図である。 図1の制御装置において、電力変換機や三相交流モータ105の運転条件に応じて、半導体素子の温度を推定する演算処理の概略を示すブロック図である。 図3(a)は、半導体モジュール104を構成する各半導体素子の具体的な構成例を示す断面図であり、図3(b)は、図3(a)の半導体素子の3次の熱回路網モデルの一例を示す回路図である。 平均損失は等しいが、通電位相が異なる2つの半導体素子A、Bの実際の瞬時温度RAT、RBT、半導体素子A、Bに共通の平均温度AVT、及び素子温度変化推定部208から出力される推定素子温度EDTを示すグラフであり、図4(a)は損失脈動周波数が低い場合を、図4(b)は損失脈動周波数が高い場合をそれぞれ示す。 第2の実施の形態に係わる電力変換機の制御装置により行われる、半導体素子の温度を推定する演算処理の概略を示すブロック図である。 第2の実施の形態における、瞬時温度RAT、RBT、平均温度AVT、及び推定素子温度EDTを示すグラフであり、図6(a)は損失脈動周波数が低い場合を、図6(b)は損失脈動周波数が高い場合をそれぞれ示す。 図7(a)及び図7(b)は、図6には異なる脈動パターンにおける、瞬時温度RAT、RBT、平均温度AVT、及び推定素子温度EDTを示すグラフである。 図8(a)及び図8(b)は、通電位相の異なる4つの半導体素子A〜Dの瞬時温度RAT、RBT、RCT、RDT、その平均温度AVT、及び推定素子温度EDTを示すグラフである。 図9は、第2の実施の形態に係わる損失脈動周波数と一次ローパスフィルタ207の時定数の関係を示すグラフである。 図10は、損失脈動周波数と一次ローパスフィルタ207の時定数の関係を示すグラフである。 分布定数回路で構成される熱回路網を、複数組の集中定数回路に近似した場合の温度上昇を示すグラフであり、図11(a)は、2組の熱抵抗と熱時定数を用いて近似した場合の温度上昇PED2を示し、図11(b)は、3組の熱抵抗と熱時定数を用いて近似した場合の温度上昇PED3を示す。 第1の比較例に係わる推定素子温度の一例を示すグラフであり、図12(a)は半導体素子A、Bに発生する損失の時間変化RAL、RBL及び平均値AVLを示し、図12(b)は推定素子温度edt、平均温度AVT、半導体素子A、Bの瞬時温度RDAT、RDBTを示す。
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
(第1の実施の形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係わる電力変換機及びその制御装置を含む電力変換システムの全体構成を説明する。電力変換システムは、例えば、電池101の直流電力を、例えば三相交流モータ105等の三相誘導電動機を駆動するための交流電力に変換するインバータ装置を構成する半導体モジュール104と、その電力の大きさを制御する制御装置106とを備える。
半導体モジュール104は、半導体スイッチング素子(以後、「半導体素子」と略する)を6個用いたインバータ装置(三相出力インバータ)を構成している。具体的には、電池101の両端子間に、直列に接続された2つの半導体素子を3組、並列に接続されている。直列に接続された2つの半導体素子の間の電位が、それぞれ三相交流モータ105の3つの入力端子に印加されている。各半導体素子の制御電極は制御装置106に接続され、制御装置106は、各半導体素子に対して、PWM方式による電圧・周波数可変制御を行う。
例えば、制御装置106は、車両がドライバーの意図に従った走行をするために、ドライバーの加減速要求に応じて、駆動用モータから発生すべきトルクを演算する。そして、演算されたトルクの大きさに基づいて、半導体モジュール104を構成する各半導体素子のスイッチング制御を行うことにより、電池101から駆動用モータである三相交流モータ105に供給する電力量を制御する。
また、一般的に、半導体モジュール104のスイッチング周波数は、三相交流モータ105の相電流周波数よりおよそ5倍以上高い、1kHz〜100kHz程度に設定されている。そして、半導体モジュールの入力電流107には、スイッチング周波数に近い周波数のリプルが多く含まれている。このため、入力電流107を総てバッテリなどの電池101からまかなうとすると、電力ケーブルを含む電池101側のインピーダンス102が大きくなり、電力変換システムの構成部品の耐電圧を超えるような電圧脈動が発生する。そこで、半導体モジュール104の直近に、電池101よりもインピーダンスが低い平滑コンデンサ103を並列に接続して、上記した電圧脈動を抑制する。
半導体モジュール104を構成する各半導体素子は、その駆動時において流れる電流の大きさに応じた損失を発生する。そして、その損失によって半導体素子は発熱し、半導体素子の温度が上昇する。半導体素子の温度が過度に上昇すると故障に到ることが知られている。よって、図1の制御装置106は、半導体素子の過度の温度上昇を抑制するための制御を行う。
半導体素子の過度の温度上昇を抑制するため、例えば、半導体素子の近傍に測温素子を取付けた場合、測温素子と制御装置との間に絶縁処理が必要となり、回路構成が複雑なる。そこで、本発明の第1の実施の形態に係わる制御装置106は、電力変換機や三相交流モータ105の運転条件に応じて、半導体素子の温度を推定し、推定された半導体素子の温度に基づいて、半導体素子の電流量を制御する。
図2を参照して、制御装置106が、電力変換機や三相交流モータ105の運転条件に応じて、半導体素子の温度を推定する演算処理の概略を説明する。制御装置106は、以下に示す平均損失算出部202、損失脈動周波数算出部203、部分温度変化推定部204、及び素子温度変化推定部208としての演算機能を備える。
平均損失算出部202は、三相交流モータ105及び電力変換機の運転条件201に基づいて、半導体素子の温度の推定演算を行う周期において、半導体素子の平均損失を算出する。半導体素子の平均損失に主に寄与する運転条件としては、例えば、スイッチング周波数、相電流実効値、変調率、力率が挙げられる。
損失脈動周波数算出部203は、三相交流モータ105及び電力変換機の運転条件201に基づいて、半導体素子の損失の脈動周波数を算出する。半導体素子の損失の脈動周波数に主に寄与する運転条件としては、例えば、モータ回転数及び極対数が挙げられる。
部分温度変化推定部204は、半導体素子を1つの熱抵抗と熱時定数の組を2組以上(図2ではm組)有する熱回路網としてとらえて、半導体素子の損失及び熱抵抗と熱時定数の組205から、組毎の部分温度の変化を推定する。具体的に、部分温度変化推定部204は、半導体素子の平均損失及び損失の脈動周波数に基づいて、1つの熱抵抗と熱時定数の組毎に部分温度を算出する。ここで、1つの熱抵抗と熱時定数の組毎の部分温度は、半導体素子の損失の脈動周波数に応じて脈動する。
部分温度変化推定部204は、上記した熱回路網における熱抵抗と熱時定数の組の数(
m)に応じて、第1組部分温度変化推定部2041、第2組部分温度変化推定部2042、第3組部分温度変化推定部2043、・・・、及び第m組部分温度変化推定部204mから構成される。
第1組部分温度変化推定部2041は、半導体素子の平均損失から部分温度を推定するゲイン206及び一次ローパスフィルタ207を有する。具体的に、第1組部分温度変化推定部2041は、半導体素子の平均損失を入力とし、組毎の熱抵抗205により定まるゲイン206と、損失脈動周波数により定まる時定数を持つ1次のローパスフィルタ207とを伝達特性として、部分温度を出力する。なお、図2には示さないが、部分温度変化推定部204に含まれる他の第2組〜第m組部分温度変化推定部2042〜204mも、同様にして、半導体素子の平均損失から部分温度を推定するゲイン206及び一次ローパスフィルタ207を有する。第1組〜第m組部分温度変化推定部2041〜204mは、それぞれ、半導体素子の平均損失から、組毎の部分温度を算出する。
素子温度変化推定部208は、組毎に推定された部分温度の変化を合成して、半導体素子の温度変化を推定する。
図3を参照して、熱抵抗と熱時定数の組を3組有する熱回路網としてとらえた半導体素子について説明する。図3(a)は1つの半導体素子の断面構成を示す。図1の半導体素子は、当該半導体素子が形成された半導体チップ11が、複数の基板13、15、16及び複数の接続層12、14が介して、ヒートシンク17に接続された積層構造を有する。半導体チップ11の損失により発生する熱は、この積層構造を経てヒートシンク17内の冷却液18へ伝達される。そこで、半導体チップ11から冷却液18までの間に、複数の点j、c、f、wを設定し、j−c間の熱抵抗rjc及び熱時定数rjc、c−f間の熱抵抗rcf及び熱時定数rcf、f−w間の熱抵抗rfw及び熱時定数rfwを規定する。これにより、図3(a)の半導体素子を、図3(b)に示すように、熱抵抗rと熱時定数(τ=r・c)の組を3組有する熱回路網としてとらえることができる。
図2に示した部分温度変化推定部204では、図3の熱回路網モデルに基づいて、半導体素子を熱抵抗と熱時定数の組をm組有する熱回路網としてとらえた場合を示している。すなわち、部分温度変化推定部204は、図3(a)の半導体チップ11から冷却液18までの間に、m+1個の点を設定した場合を示している。
図4を参照して、図2の演算処理により算出される各要素の波形例を示す。図4の横軸は時間を示し、縦軸は素子温度を示す。図4(a)は、平均損失は等しいが、通電位相が異なる2つの半導体素子A、Bの実際の瞬時温度RAT1、RBT1、半導体素子A、Bに共通の平均温度AVT1、及び素子温度変化推定部208から出力される推定素子温度EDT1を示す。推定素子温度EDT1は、少なくとも平均温度AVT1の過渡状態において、脈動する瞬時温度RAT1、RBT1の極大値を上回っている。即ち、図2に示す制御装置106は、少なくとも平均温度AVT1の過渡状態において、脈動する瞬時温度RAT1、RBT1の極大値を上回る温度を推定して、半導体素子の熱的保護を効果的に行うことができる。
詳細には、平均温度AVT1の過渡状態において、推定素子温度EDT1は、脈動する瞬時温度RAT1、RBT1の極大値を包絡するように推移している。更に詳細には、推定素子温度EDT1の曲線は、平均温度AVT1の過渡状態において、脈動する瞬時温度RAT1、RBT1の曲線の包絡線に対して所定温度だけ上方に移動させた曲線を成している。
図4(b)は、図4(a)に比べて、実際の瞬時温度RAT2、RBT2の脈動周波数
、即ち損失脈動周波数が高い場合を示している。損失脈動周波数が高い場合、一次ローパスフィルタ207の時定数を熱時定数205に近く設定することにより、脈動する瞬時温度RAT2、RBT2の極大値を包絡するように推移する推定素子温度EDT2を算出することができる。
図10に示すように、損失脈動周波数が高いほど一次ローパスフィルタ207の時定数を熱時定数205に近く設定し、損失脈動周波数が低いほど一次ローパスフィルタ207の時定数を熱時定数205よりも小さく設定する。これにより、脈動する瞬時温度RAT1、RBT1の極大値を包絡するように推移する推定素子温度EDT1を、算出することができる。
(第1の比較例)
図12(a)及び図12(b)は、第1の比較例に係わる推定素子温度の一例を示すグラフである。第1の比較例は、特許文献1に開示された技術である。横軸に時間をとり、図12(a)の縦軸に半導体素子に発生している損失を示し、図12(b)の縦軸に半導体素子の温度を示す。図12(a)は、半導体素子A、Bに発生する損失の時間変化RAL、RBL及びその平均値AVLを示し、図12(b)は推定素子温度edt、半導体素子A、Bの平均温度AVT、半導体素子A、Bの瞬時温度RDAT、RDBTを示す。
時刻t0以前は半導体素子A及びB共に損失が0で、温度も飽和している。時刻t0以降にモータへの通電を開始し、一定の平均損失を発生し、素子温度が上昇して飽和状態に向かっている。
半導体素子A及びBは、電流一周期の平均損失は同等であるものの、通電位相が異なる関係にあるため、モータ回転角に応じた瞬時損失の推移は異なっている。また、半導体素子A及びBの温度は、電流一周期の平均損失から計算される平均温度AVTは、半導体素子A、Bで共通しているが、瞬時温度は脈動している。
図12(a)及び図12(b)に示すように、例えば、三相交流モータ105のモータ回転数が低い領域において、半導体素子の温度変化の時定数に比べて十分長い時間、一定の損失が発生している場合、半導体素子の平均温度が飽和する飽和状態となる。特許文献1に開示された技術では、脈動する温度の極大値を上回る温度を推定することができるので、半導体素子を保護することができる。しかし、半導体素子の温度変化の時定数に比べて短い時間で損失が変化して、半導体素子の平均温度が飽和していない過渡状態では、脈動する温度の極大値が推定温度を超えてしまい、半導体素子を保護することができない。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係わる電力変換機の制御装置106は、少なくとも平均温度の過渡状態において、脈動する温度の極大値を上回る温度を推定して、半導体素子の熱的保護を効果的に行うことができる。
更に、本発明の第1の実施の形態では、半導体素子を熱抵抗と熱時定数の組を2組以上有する熱回路網としてとらえて、組毎の部分温度の変化を推定し、組毎に推定された部分温度の変化を合成して、半導体素子の温度変化を推定している。これにより、半導体素子の温度の推定精度を向上させることができる。
(第2の比較例)
第2の比較例は、特開平9−233832号公報に開示された技術である。第2の比較例では、インバータの出力電流の変化を検出できるほど十分に短い周期において、半導体素子の損失から半導体素子の温度を逐次演算している。モータの回転数が高いほど出力電流の変化率が大きくなり、演算周期を短くする必要がある。また、半導体素子の通電電流
パターン及びスイッチングパターンが異なる数だけ、個別に温度を推定する必要がある。即ち、相数に比例して演算量が増加する。よって、制御装置内のCPUの演算負荷が増大してしまう。
これに対して、本発明の第1の実施の形態では、半導体素子の平均損失を用いているため、モータトルクの変化を検出できる演算周期(2ms以上)で損失を計算すればよい。よって、演算負荷を軽減することができる。
なお、本発明は、半導体素子を熱抵抗と熱時定数の組を2組以上有する熱回路網としてとらえる場合のみに限定されない。半導体素子を熱抵抗と熱時定数の組を1組有する熱回路網としてとらえても構わない。この場合、組毎に推定された複数の部分温度の変化を合成する処理は不要となり、上記した1組の部分温度の変化を、そのまま、半導体素子の温度変化として推定することになる。これにより、制御装置106の演算負荷を軽減することができる。
(第2の実施の形態)
図5を参照して、第2の実施の形態に係わる電力変換機の制御装置により行われる、半導体素子の温度を推定する演算処理について説明する。図2に示した演算処理と異なる点は、ゲイン506は、組毎の熱抵抗205ではなく、損失脈動周波数により定まる点であり、その他の構成は、図2に示した演算処理と同じであり、説明を省略する。
即ち、第1組部分温度変化推定部2041は、半導体素子の平均損失を入力とし、損失脈動周波数により定まるゲイン506と、損失脈動周波数により定まる時定数を持つ1次のローパスフィルタ207とを伝達特性として、部分温度を出力する。
なお、図5には示さないが、部分温度変化推定部204に含まれる他の第2組〜第m組部分温度変化推定部2042〜204mも、同様にして、ゲイン506及び一次ローパスフィルタ207を有する。第1組〜第m組部分温度変化推定部2041〜204mは、それぞれ、半導体素子の平均損失から、組毎の部分温度を算出する。そして、素子温度変化推定部208は、組毎に推定された部分温度の変化を合成して、半導体素子の温度変化を推定する。
ゲイン506は、損失脈動周波数が高いほど熱抵抗205に近く設定し、損失脈動周波数が低いほど熱抵抗205より大きく設定する。そして、図9に示すように、一次ローパスフィルタ207の時定数は、損失脈動周波数と組毎に定めた所定の周波数faとの差が大きいほど熱時定数に近く設定し、当該差が小さいほど熱時定数よりも小さく設定する。換言すれば、一次ローパスフィルタ207の時定数は、損失脈動周波数が組毎に定めた所定の周波数faにおいて極小値をとり、所定値から離れるほど熱時定数に近づける。これにより、平均温度の過渡状態のみならず、平均温度の飽和状態においても、脈動する温度の極大値を上回る温度を推定することができる。
図6を参照して、図5の演算処理により算出される各要素の波形例を示す。図6の横軸は時間を示し、縦軸は素子温度を示す。図6(a)は、平均損失は等しいが、通電位相が異なる2つの半導体素子A、Bの実際の瞬時温度RAT3、RBT3、半導体素子A、Bに共通の平均温度AVT3、及び素子温度変化推定部208から出力される推定素子温度EDT3を示す。推定素子温度EDT3は、平均温度AVT3の過渡状態のみならず、平均温度AVT1の飽和状態においても、脈動する瞬時温度RAT3、RBT3の極大値を上回っている。即ち、図5に示す制御装置は、平均温度AVT3の過渡状態のみならず、平均温度AVT3の飽和状態においても、脈動する瞬時温度RAT3、RBT3の極大値を上回る温度を推定して、半導体素子の熱的保護を効果的に行うことができる。
図6(b)は、図6(a)に比べて、実際の瞬時温度RAT4、RBT4の脈動周波数、即ち損失脈動周波数が高い場合を示している。図7(a)及び図7(b)は、図6には異なる脈動パターンにおける、瞬時温度RAT、RBT、平均温度AVT、及び推定素子温度EDTを示すグラフである。図8(a)及び図8(b)は、通電位相の異なる4つの半導体素子A〜Dの瞬時温度RAT、RBT、RCT、RDT、その平均温度AVT、及び推定素子温度EDTを示すグラフである。図6〜図8に示すように、ゲイン506及び一次ローパスフィルタ207の時定数を損失脈動周波数に応じて適切に設定する。これにより、脈動する瞬時温度を包絡するような素子温度を推定することができる。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は、6つの実施形態及びその変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、部分温度変化推定部204は、半導体素子を1つの熱抵抗と熱時定数の組を4組以上有する熱回路網としてとらえた場合、そのうちの3組を抽出して、当該組毎の部分温度の変化を推定し、素子温度変化推定部208は、組毎に推定された3つの部分温度の変化を合成して、半導体素子の温度変化を推定してもよい。
図11は、分布定数回路で構成される熱回路網を、4組の集中定数回路で表現した場合の温度上昇PED4を示す。図11(a)は、4組の集中定数回路で表現した熱回路網を、2組の熱抵抗と熱時定数を用いて近似した場合の温度上昇PED2をPED4に重ね合わせて示す。図11(b)は、4組の集中定数回路で表現した熱回路網を、3組の熱抵抗と熱時定数を用いて近似した場合の温度上昇PED3をPED4に重ね合わせて示す。3組の熱抵抗と熱時定数を用いることで十分な近似精度が得られることが分る。
また、図1に示した複数の半導体素子を備える半導体モジュール104からなるインバータ装置において、総ての半導体素子について、図3(b)の熱回路網及び平均損失が共通しているとみなせる場合がある。この場合、任意に選択した1つの半導体素子について推定した温度を、複数の半導体素子のうちの最も高温な半導体素子の温度としてもよい。総ての半導体素子について温度推定を行う必要がなくなり、推定演算の負荷を軽減することができる。
図1に示した複数の半導体素子を備えるインバータ装置において、熱回路網及び平均損失が共通している半導体素子の中から、任意に選択した1つの半導体素子について推定した温度を、熱回路網及び平均損失が共通している半導体素子の温度としてもよい。そして、熱回路網又は平均損失の少なくとも一方が異なる半導体素子の数だけ推定演算を行い、インバータ装置が備える複数の半導体素子のうちの最も高温な半導体素子の温度を求めてもよい。これにより、推定演算の負荷を軽減することができる。
106 制御装置
202 平均損失算出部
204 部分温度変化推定部
2041〜204m 第1組〜第m組部分温度変化推定部
205 熱抵抗と熱時定数の組
206、506 ゲイン
207 ローパスフィルタ
208 素子温度変化推定部

Claims (6)

  1. 半導体素子の温度の推定演算を行う周期において、前記半導体素子の平均損失を算出する平均損失算出部と、
    前記半導体素子を1つの熱抵抗と熱時定数の組を少なくとも1組有する熱回路網としてとらえて、前記半導体素子の損失及び前記熱抵抗と熱時定数の組から、当該組の部分温度の変化を推定する部分温度変化推定部と、を備え、
    前記部分温度変化推定部は、前記平均損失から前記損失の脈動周波数に応じて脈動する部分温度を推定するゲイン及び一次ローパスフィルタを有し、
    前記一次ローパスフィルタの時定数は、前記脈動周波数が高いほど前記熱時定数に近く設定し、前記脈動周波数が低いほど前記熱時定数よりも小さく設定する
    ことを特徴とする電力変換機の制御装置。
  2. 前記部分温度変化推定部は、前記半導体素子を1つの熱抵抗と熱時定数の組を2組以上有する熱回路網としてとらえて、前記損失及び前記熱抵抗と熱時定数の組から、当該組毎の部分温度の変化を推定し、
    前記組毎に推定された部分温度の変化を合成して、前記半導体素子の温度変化を推定する素子温度変化推定部を更に有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換機の制御装置。
  3. 前記ゲインは、前記脈動周波数が高いほど熱抵抗に近く設定し、前記脈動周波数が低いほど熱抵抗より大きく設定し、
    前記一次ローパスフィルタの時定数は、前記脈動周波数と前記組毎に定めた所定の周波数との差が大きいほど前記熱時定数に近く設定し、前記差が小さいほど前記熱時定数よりも小さく設定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の電力変換機の制御装置。
  4. 前記部分温度変化推定部は、前記半導体素子を1つの熱抵抗と熱時定数の組を4組以上有する熱回路網としてとらえた場合、そのうちの3組を抽出して、当該組毎の部分温度の変化を推定し、
    素子温度変化推定部は、前記組毎に推定された3つの部分温度の変化を合成して、前記半導体素子の温度変化を推定する
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の電力変換機の制御装置。
  5. 複数の半導体素子を備えるインバータ装置において、総ての半導体素子について熱回路網及び平均損失が共通しているとみなせる場合、任意に選択した1つの半導体素子について推定した温度を、複数の半導体素子のうちの最も高温な半導体素子の温度とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電力変換機の制御装置。
  6. 複数の半導体素子を備えるインバータ装置において、熱回路網及び平均損失が共通している半導体素子の中から、任意に選択した1つの半導体素子について推定した温度を、熱回路網及び平均損失が共通している半導体素子の温度とし、
    熱回路網又は平均損失の少なくとも一方が異なる半導体素子の数だけ推定演算を行い、前記インバータ装置が備える複数の半導体素子のうちの最も高温な半導体素子の温度を求める
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電力変換機の制御装置。
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