JP7251208B2 - 積層電子部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層電子部品の製造方法に関する。
電子機器には、情報処理用回路、信号変換用回路、電源回路等を構成するために、多数かつ種々の電子部品が搭載されている。このような電子部品として、当該電子部品の性能を発揮する機能層と、端子に電気的に接続される電極層とが積層された構成を有する積層電子部品が知られている。
積層電子部品を製造する方法としては、たとえば、印刷技術を利用して、樹脂フィルム上に機能層および電極層となる所定のパターンを形成し、これらのパターンを積層して素子を得る方法が挙げられる。
具体的には、樹脂フィルム上に、機能層を構成する材料を含むスラリーを用いてシートを形成し、その上に電極層を構成する導電体材料を含むペーストを用いて電極パターンを印刷する。続いて、電極パターンが形成されたシートを積層して、シートと電極パターンとが積層された成形体を得る。そして、得られた成形体を必要に応じて切断し、個片化する。その後、個片化したチップを熱処理することにより、機能層と電極層とが積層された積層電子部品が製造される。
電子機器の小型化に伴い、積層電子部品にも小型化が求められている。積層電子部品の小型化が進むと、積層電子部品のサイズに対して、シートと電極パターンとの積層時における電極パターンの位置ズレ量の比率が大きくなってしまう。したがって、積層電子部品の小型化が進むと、電極パターンの印刷精度を高める必要がある。また、性能を低下させることなく積層電子部品のサイズを小さくするには、機能層および電極層を薄くする必要がある。
たとえば、特許文献1は、グラビアオフセット印刷により、セラミックグリーンシート上に導電性ペースト膜を形成する方法を開示している。
特開2001-203123号公報
しかしながら、特許文献1では、セラミックグリーンシート上に導電性ペースト膜を形成しているため、導電性ペーストに含まれる溶剤がセラミックグリーンシートに含まれる樹脂成分を溶解または膨潤させる現象、いわゆるシートアタック現象が生じてしまう。特に、積層電子部品の小型化に伴い、セラミックグリーンシートが薄くなるほどシートアタックの影響が顕著に現れ、それが構造欠陥等を引き起こすという問題があった。
また、上述したように、積層電子部品の小型化に伴い、電極パターンの位置ズレを抑制する必要がある。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、機能部と導電体部との積層時に導電体部の位置ズレが生じにくく、かつ機能部へのシートアタックが生じにくい積層電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様は、
[1]機能部と導電体部とが積層された素子本体を有する積層電子部品の製造方法であって、
オフセット印刷またはフレキソ印刷により、少なくとも導電体粒子と溶剤とを含む第1のペーストを支持フィルム上に印刷して、グリーン導電体部を形成する工程と、
支持フィルムから、グリーン導電体部をグリーン機能部上に転写する工程と、を有し、
支持フィルムの表面付着エネルギーが2mJ/m以上8mJ/m以下である積層電子部品の製造方法である。
[2]第1のペーストが溶剤吸収性を有する弾性部に受理され、受理された第1のペーストが支持フィルム上に転写される[1]に記載の積層電子部品の製造方法である。
[3]受理前の第1のペーストの溶剤濃度を100%としたときに、受理された第1のペーストの溶剤濃度が5%以上95%以下である[2]に記載の積層電子部品の製造方法である。
[4]機能部と導電体部とが積層された素子本体を有する積層電子部品の製造方法であって、
オフセット印刷またはフレキソ印刷により、少なくとも導電体粒子と溶剤とを含む第1のペーストおよび少なくとも機能性粒子と溶剤とを含む第2のペーストを支持フィルム上に印刷して、グリーン導電体部およびグリーン余白部を形成する工程と、
支持フィルムから、グリーン導電体部およびグリーン余白部をグリーン機能部上に転写する工程と、を有する積層電子部品の製造方法である。
[5]支持フィルムの表面付着エネルギーが2mJ/m以上8mJ/m以下である[4]に記載の積層電子部品の製造方法である。
[6]第1のペーストが、溶剤吸収性を有する弾性部に受理され、受理された第1のペーストが前記支持フィルム上に転写され、第2のペーストが、溶剤吸収性を有する弾性部に受理され、受理された第2のペーストが支持フィルム上に転写される[4]または[5]に記載の積層電子部品の製造方法である。
[7]受理前の第1のペーストの溶剤濃度を100%としたときに、受理された第1のペーストの溶剤濃度が5%以上95%以下であり、受理前の第2のペーストの溶剤濃度を100%としたときに、受理された第2のペーストの溶剤濃度が5%以上95%以下である[6]に記載の積層電子部品の製造方法である。
[8]グリーン導電体部とグリーン余白部との隙間が、3μm以上20μm以下である[4]から[7]のいずれかに記載の積層電子部品の製造方法である。
[9]グリーン導電体部、または、グリーン導電体部およびグリーン余白部と、グリーン機能部と、を積層してグリーン積層体を形成する工程をさらに有する[1]から[8]のいずれかに記載の積層電子部品の製造方法である。
[10]グリーン導電体部、または、グリーン導電体部およびグリーン余白部上に、塗布工法によりグリーン機能部を形成する[1]から[9]のいずれかに記載の積層電子部品の製造方法である。
図1は、本実施形態に係る製造方法により製造される積層電子部品の一例の断面模式図である。 図2Aは、第1実施形態において、グラビアオフセット印刷により、支持フィルム上にグリーン導電体部を形成する工程を説明するための模式図である。 図2Bは、図2Aの続きの図である。 図2Cは、図2Bの続きの図である。 図3Aは、第1実施形態において、支持フィルム上に形成されたグリーン導電体部を、グリーン機能部上に転写する工程を説明するための模式図である。 図3Bは、図3Aの続きの図である。 図3Cは、図3Bの続きの図である。 図3Dは、図3Cの続きの図である。 図3Eは、図3Dの続きの図である。 図4は、第1実施形態において、グリーン導電体部とグリーン機能部とを積層して得られるグリーン積層体の断面模式図である。 図5Aは、支持フィルムの表面付着エネルギーを測定する方法を説明するための模式図である。 図5Bは、図5Aの続きの図である。 図5Cは、図5Bの続きの図である。 図6は、水の表面付着エネルギーを算出する方法を説明するための模式図である。 図7は、フレキソ印刷により、支持フィルム上にグリーン導電体部を形成する工程を説明するための模式図である。 図8は、第2実施形態に係る製造方法により製造される積層電子部品の一例の断面模式図である。 図9Aは、第2実施形態において、グラビアオフセット印刷により、支持フィルム上にグリーン導電体部およびグリーン余白部を形成する工程を説明するための模式図である。 図9Bは、図9Aの続きの図である。 図9Cは、図9Bの続きの図である。 図10Aは、支持フィルム上に転写されたグリーン導電体部とグリーン余白部との隙間を説明するための模式図である。 図10Bは、第2実施形態において、支持フィルム上に形成されたグリーン導電体部およびグリーン余白部を、グリーン機能部上に転写する工程を説明するための模式図である。 図10Cは、第2実施形態において、グリーン導電体部およびグリーン余白部とグリーン機能部とを積層して得られるグリーン積層体の断面模式図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1.積層電子部品
2.積層電子部品の製造方法
2.1 第1実施形態
2.1.1 充填工程
2.1.2 受理工程
2.1.3 ペースト転写工程
2.1.4 積層工程
2.1.5 素子本体を得る工程
2.2 第2実施形態
3.本実施形態における効果
4.変形例
(1.積層電子部品)
本実施形態に係る製造方法により製造される積層電子部品の一例を図1に示す。図1に示す積層電子部品100は、素子本体110を有しており、図1に示すように、素子本体110は、機能部120(機能層120)と、導電体部130(内部電極層130)と、が交互に積層されて構成されている。素子本体110の両端部には、素子本体110の内部で交互に配置された内部電極層130と各々導通する一対の端子電極140が形成してある。積層電子部品の形状および寸法は、目的および用途に応じて適宜決定すればよい。
機能層を構成する材料に応じて、種々の積層電子部品を例示することができる。具体的には、積層コンデンサ、積層バリスタ、積層サーミスタ、積層圧電素子、積層インダクタ等が例示される。積層コンデンサについては、機能層が誘電体セラミック層で構成され、積層バリスタまたは積層サーミスタについては、機能層は半導体セラミック層から構成されており、積層圧電素子については、機能層は圧電セラミックス層から構成されており、積層インダクタについては、機能層はフェライト層または軟磁性金属層から構成されている。また、導電体部を構成する材質は、導電性を有していればよく、機能部の材料に応じて決定される。
(2.積層電子部品の製造方法)
本実施形態に係る製造方法の一例を、第1実施形態と第2実施形態とに分けて説明する。第1実施形態と第2実施形態とでは、オフセット印刷またはフレキソ印刷により、支持フィルム上にグリーン導電体部を形成する工程が共通する。
(2.1 第1実施形態)
第1実施形態では、グリーン導電体部を所定の特性を有する支持フィルム上に形成する。
(2.1.1 充填工程)
まず、オフセット印刷を用いて支持フィルム上にグリーン導電体部を形成する工程について説明する。本実施形態では、オフセット印刷として、グラビアオフセット印刷を用いる。図2Aに示すように、グリーン導電体部のパターンに対応する凹溝11aが形成された凹版11に第1のペースト51を供給して凹溝11aに充填する。第1のペースト51を凹溝11aに充填する方法は、公知の方法であればよい。図2Aでは、ドクターユニット15を用いて凹版11上に供給された第1のペースト51をかき取ることにより、凹溝11aに第1のペースト51を充填しつつ、凹溝11a以外の凹版11上にある第1のペースト51を除去する。なお、凹溝へのペーストの充填と余分なペーストの除去とは別々に行ってもよい。
第1のペーストは、導電体粒子と溶剤と樹脂とを含んでいる。第1のペーストを調製する方法は特に制限されないが、たとえば、樹脂を溶剤に溶解して樹脂溶液を作製し、この樹脂溶液と導電体粒子とを混合すればよい。
導電体粒子としては、導電体部を構成する材料または当該材料となる化合物等の粒子であれば特に制限されない。本実施形態では、導電性を有する金属または合金から構成される粒子が例示される。
第1のペーストに含まれる樹脂は、特に制限されず、セルロース系樹脂、ブチラール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂が例示される。
また、第1のペーストに含まれる溶剤も特に制限されず、水または有機溶剤が例示される。具体的な有機溶剤としては、デカン、テトラデカン、オクタデカン等の脂肪族炭化水素類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、ブチルカルビトールアセテート等のエステル類、プロパノール、エチレングリコール、テルピネオール等のアルコール類、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等の極性溶媒等を単独、または複数混合して用いる等が例示される。
なお、第1のペーストは、必要に応じて、分散剤、可塑剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体、帯電除剤等を含んでもよい。
(2.1.2 受理工程)
続いて、図2Bに示すように、円筒状のブランケット20が凹版11上を所定の方向に進行することにより、ブランケット20と第1のペースト51とが接触し、第1のペースト51が凹溝11aから離れ、ブランケット20上に受理される。
本実施形態では、ブランケット20の少なくとも表面は弾性部21で構成される。弾性部21は弾性体であり、溶剤を吸収する性質を有している。このような性質を有する材質としては、ゴム組成物が好ましい。ゴム組成物としては、たとえば、シリコーンゴム、ニトリルゴム、フッ素樹脂系ゴム、ポリウレタン系ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、ポリサルファイド系ゴム、スチレン-ブタジエン系共重合体系ゴムが挙げられる。
ブランケット20の表面が溶剤吸収性を有しているので、第1のペースト51がブランケット20に受理されると、第1のペースト51に含まれる溶剤の一部がブランケット20に吸収される。したがって、受理された第1のペースト52の溶剤濃度は、受理前の第1のペースト51の溶剤濃度よりも低くなる。すなわち、受理前後で第1のペーストの溶剤濃度が変化する。
本実施形態では、受理前の第1のペーストの溶剤濃度を100%としたときに、受理された第1のペーストの溶剤濃度は5%以上95%以下であることが好ましい。第1のペーストがブランケットに受理されると、ブランケットと接触している面およびその近傍に含まれる溶剤が優先的にブランケットに吸収される。その結果、ブランケットと接触している面の接着性が、ブランケットと接触している面に対向する面の接着性よりも低下する。その結果、後述するように、受理された第1のペーストをブランケットから支持フィルム上に転写する際に、ブランケットから第1のペーストが剥離しやすいので、良好な転写性が得られる。
受理された第1のペーストの溶剤濃度は50%以上であることがより好ましい。また、受理された第1のペーストの溶剤濃度は90%以下であることがより好ましい。
(2.1.3. ペースト転写工程)
図2Cに示すように、第1のペースト52を受理したブランケット20が被印刷体である支持フィルム30上を所定の方向に進行することにより、第1のペースト52と支持フィルム30とが接触して、第1のペースト52がブランケット20から離れ、支持フィルム30上に転写される。その結果、支持フィルム30上にグリーン導電体部53が形成される。このとき、ブランケットの表面が弾性部21で構成されているので、グリーン導電体部53を変形させずに形成できる。
本実施形態では、オフセット印刷によりブランケット上に受理された第1のペーストは、支持フィルム上に形成される。支持フィルムは、少なくとも第1のペーストと接触する面が樹脂成分から構成されている。支持フィルムとしては、たとえば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム、PP(ポリプロピレン)フィルム、PE(ポリエチレン)フィルム等が挙げられる。または、これらのフィルムにおいて、第1のペーストと接触する面の剥離性が制御されたフィルムであってもよい。
(2.1.4 積層工程)
支持フィルム上に形成されたグリーン導電体部は乾燥してもよいし、乾燥しなくてもよい。続いて、図3A~図3Cに示すように、支持フィルム30上に形成されたグリーン導電体部53を、グリーン機能部73上に転写する。転写の際に、必要に応じて、圧力Pを加えてもよいし、熱を加えてもよい。図3Cに示すように、転写後、支持フィルム30をグリーン導電体部53から剥離する。
続いて、図3Dに示すように、図3Cに示すグリーン機能部上に転写されたグリーン導電体部80の上に、別のグリーン機能部73を積層する。さらに、図3Eに示すように、その上に上記と同様にしてグリーン導電体部53を積層する。この操作を所望の積層数のグリーン積層体が得られるまで繰り返す。その結果、図4に示すように、グリーン導電体部53とグリーン機能部73とが積層されたグリーン積層体91が得られる。
本実施形態では、グリーン導電体部の印刷位置ズレが小さいので、積層された導電体部の位置ズレを小さくすることができる。その結果、積層ズレの小さい積層電子部品を歩留まりよく生産することができる。
通常、積層電子部品を製造する場合、グリーン導電体部は、グリーン機能部上に直接印刷形成される。しかしながら、グリーン導電体部に含まれる溶剤が、グリーン機能部に含まれる樹脂を溶解または膨潤させる、すなわち、いわゆるシートアタックが生じることがある。シートアタックが生じると、グリーン機能部に凹凸が形成されてしまう。機能層であるグリーン機能部に凹凸が形成されてしまうと、ショート不良、耐電圧低下、電気特性(静電容量、インダクタンス等)の低下等を引き起こしてしまう。このような問題は、機能層および導電体層が薄くなるほど顕著になる。
本実施形態では、支持フィルム上にグリーン導電体部を形成し、そのグリーン導電体部を半乾燥または乾燥された状態でグリーン機能部上に積層するため、グリーン導電体部をグリーン機能部上に積層した際にグリーン機能部にシートアタックが生じにくい。
ところで、このような支持フィルムは、グリーン導電体部をグリーン機能部上に確実に積層するために、グリーン導電体部が支持フィルムから剥離しやすい(剥離が軽い)ことが要求される。しかしながら、剥離が軽い支持フィルムは溶剤を含むペーストをはじきやすい。したがって、支持フィルム上に形成されるグリーン導電体部の形状が変形する等の問題が生じる。一方、ペーストをはじきにくい支持フィルム上にグリーン導電体部を形成してグリーン機能部上に積層する場合、グリーン導電体部から支持フィルムを剥離しにくい(剥離が重い)傾向にある。剥離が重い支持フィルムをグリーン導電体部から剥離する場合、支持フィルムにグリーン導電体部が残ってしまい、転写されたグリーン導電体部に欠損部が発生する等の剥離不良が生じてしまう。
そこで、本実施形態では、支持フィルムの剥離性を制御するために、剥離性が反映されたパラメータである支持フィルムの表面付着エネルギーに着目している。表面付着エネルギーが所定の範囲に制御された支持フィルムを用いることにより、上述した問題の発生を抑制することができる。
表面付着エネルギーは、水の表面付着エネルギーであり、水と支持フィルムの表面との相互作用の大きさを示している。水と支持フィルムの表面との相互作用は、水素結合の作用が支配的である。一方、支持フィルムにも、水素結合しやすい官能基(たとえば、カルボキシル基、クロル基、シアノ基)が含まれているので、グリーン導電体部と支持フィルムとの間に生じる相互作用も水素結合の作用を有している。すなわち、グリーン導電体部と支持フィルムとの間に生じる相互作用も水と表面との相互作用に類似している。したがって、グリーン導電体部と支持フィルムとの間に生じる相互作用を、上記の表面付着エネルギーにより評価することができる。
具体的には、支持フィルムの表面付着エネルギーが2mJ/m以上8mJ/m以下である。また、表面付着エネルギーは6mJ/m以下であることが好ましい。なお、表面付着エネルギーは、たとえば、支持フィルム表面において、水素結合しやすい官能基の含有割合を変化させることにより、制御可能である。具体的には支持フィルム表面に設けられる重合体層中のシリコーン重合体添加量によって、支持フィルム表面の表面付着エネルギーの制御が可能である。
本実施形態では、水の表面付着エネルギーは、たとえば以下に示す滑落法を用いて測定することができる。まず、水平状態の台に固定された試験サンプル(支持フィルム30)の表面に水滴を垂らして、図5Aに示すように、液滴500を支持フィルムの剥離面31にのせる。
続いて、図5Bに示すように、サンプルを水平状態から徐々に連続的に傾けていく。そして、サンプルの下端側30aの液滴の端部500aと、サンプルの上端側30bの液滴の端部500bと、を観察し、図5Cのように、液滴500の端部500a、500bが移動し始め、上端側30bから下端側30aに液滴500が明らかに滑り落ち始めたときの角度を滑落角αとする。
図6より、水の表面付着エネルギーをEとすると、Eは、この滑落角αを用いて、以下に示す式で表される。ここで、mは液滴の質量、gは重力加速度、Rは液滴の径である。
E=(mgsinα)/2πR
また、図3に示すグリーン導電体部上に、ダイコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等を用いる塗布工法によりグリーン機能部を形成し、形成したグリーン機能部上に、オフセット印刷またはフレキソ印刷により支持フィルム上に形成したグリーン導電体部を転写してもよい。この操作を繰り返すことにより、図4に示すように、グリーン導電体部とグリーン機能部とが積層されたグリーン積層体が得られる。
グリーン機能部を形成するためのペーストを、塗布工法によりグリーン導電体部上に塗布する場合、特性を担う機能層へのシートアタックが起こり得ないので、特性への悪影響の懸念がなくなる。
上記では、オフセット印刷を用いて、グリーン導電体部を形成したが、フレキソ印刷を用いて、グリーン導電体部を形成してもよい。以下に、フレキソ印刷によりグリーン導電体部を形成する方法について説明する。
図7において、円筒状のロール40の表面に弾性部が形成されている。弾性部は、グリーン導電体部のパターンに対応する凸版41(フレキソ版)である。まず、第1のペースト51がドクターユニット47によりアニロックスロール45に塗布される。
円筒状のロール40が所定の方向に回転することにより、凸版41とアニロックスロール45から繰り出された第1のペースト51とが接触し、第1のペーストが凸版41に受理される。
凸版41は、ブランケットの弾性部と同様に、弾性体から構成され、溶剤を吸収する性質を有している。このような性質を有する材質としては、ゴム組成物が好ましい。ゴム組成物としては、たとえば、シリコーンゴム、ニトリルゴム、フッ素樹脂系ゴム、ポリウレタン系ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、ポリサルファイド系ゴム、スチレン-ブタジエン系共重合体系ゴムが挙げられる。
凸版41の表面が溶剤吸収性を有しているので、第1のペースト51が凸版41に受理されると、第1のペースト51に含まれる溶剤の一部が凸版41に吸収される。したがって、オフセット印刷と同様に、受理された第1のペースト52の溶剤濃度は、受理前の第1のペースト51の溶剤濃度よりも低くなる。すなわち、受理前後で第1のペーストの溶剤濃度が変化する。
フレキソ印刷を用いる場合においても、受理された第1のペーストの溶剤濃度の範囲は、上述した範囲であることが好ましい。その結果、オフセット印刷と同様に、凸版から第1のペーストが剥離しやすいので、良好な転写性が得られる。
図7に示すように、第1のペースト52を受理した凸版41が回転しつつ、被印刷体である支持フィルム30が所定の方向に進行することにより、第1のペースト52と支持フィルム30とが接触して、第1のペースト52が凸版41から離れ、支持フィルム30上に転写される。その結果、支持フィルム30上にグリーン導電体部53が形成される。このとき、凸版41は弾性体で構成されているので、グリーン導電体部53を変形させずに形成できる。
(2.1.5 素子本体を得る工程)
得られたグリーン積層体は、素子本体を得るために処理される。具体的には、グリーン積層体を切断、個片化して、複数のグリーンチップを得る加工処理、グリーンチップの熱処理が例示される。熱処理としては、脱バインダ処理、焼成処理、アニール処理等が例示される。熱処理終了後には、グリーン機能部に含まれる機能性粒子は一体化され機能部となり、グリーン導電体部に含まれる導電体粒子は一体化され導電体部となる。
このようにして、機能部と導電体部とが積層された構成を有する素子本体を得ることができる。得られた素子本体に対して、必要に応じて、端子電極等を形成して、積層電子部品を得ることができる。
(2.2 第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と共通する説明は省略する。第2実施形態では、支持フィルム上に、グリーン導電体部に加えて、グリーン余白部も形成する。
グリーン導電体部は、通常、グリーン機能部よりも小さく形成される。したがって、グリーン導電体部をグリーン機能部上に積層する場合、図3Cに示すように、グリーン機能部上にグリーン導電体部が形成されていない領域(余白領域60)が存在する。
グリーン機能部の厚みが薄い場合、グリーン機能部に対するグリーン導電体部の厚みが相対的に大きくなる。したがって、グリーン導電体部と余白領域との段差の影響がグリーン積層体に生じる。特に、図8に示すような積層数の多い積層電子部品200において、その影響が顕著になる。その結果、グリーン積層体の熱処理時等において構造欠陥(クラックやデラミネーション等)が発生しやすい傾向にある。積層数が多く、機能層220および内部電極層230が薄い積層電子部品200としては、積層コンデンサが挙げられる。
そこで、本実施形態では、支持フィルム上に、グリーン導電体部に加えて、余白領域を埋めるためのグリーン余白部を形成する。グリーン余白部は、グリーン導電体部を形成する前後に形成してもよい。このようにすることにより、グリーン導電体部と余白領域との段差が解消されるので、当該段差に起因する構造欠陥の発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、余白領域に形成されるグリーン余白部は第2のペーストを用いて形成する。
第2のペーストは、機能性粒子と溶剤と樹脂とを含んでいる。第2のペーストを調製する方法は特に制限されないが、たとえば、第1のペーストと同様にすればよい。
機能性粒子としては、機能部を構成する材料または当該材料となる化合物等の粒子であれば、特に制限されず、用途等に応じて適宜選択される。たとえば、機能部を構成する材料がセラミックである場合には、当該セラミックから構成される粒子、または、熱処理等により当該セラミックとなる炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等の粒子が例示される。また、たとえば、機能部を構成する材料が金属または合金である場合には、当該金属または合金から構成される粒子が例示される。
第2のペーストに含まれる樹脂は、特に制限されず、セルロース系樹脂、ブチラール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂が例示される。
また、第2のペーストに含まれる溶剤も特に制限されず、水または有機溶剤が例示される。具体的な有機溶剤としては、デカン、テトラデカン、オクタデカン等の脂肪族炭化水素類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、ブチルカルビトールアセテート等のエステル類、プロパノール、エチレングリコール、テルピネオール等のアルコール類、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等の極性溶媒等を単独、または複数混合して用いる等が例示される。
なお、第2のペーストは、必要に応じて、分散剤、可塑剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体、帯電除剤等を含んでもよい。
図9A~Cに、オフセット印刷を用いてグリーン余白部を形成する工程を示す。なお、フレキソ印刷を用いてグリーン余白部を形成してもよい。
図9では、支持フィルム30上にグリーン導電体部53を形成した後に、グリーン余白部63を形成する。グリーン導電体部53を形成する工程については説明を省略する。グリーン余白部を形成するためのペーストとして、上述した第2のペーストを用いる以外は、グリーン導電体部を形成する方法と同様の方法により、グリーン余白部を形成することができる。すなわち、図9A~Cに示すように、グリーン余白部のパターンに対応する凹溝12aが形成された凹版12に第2のペースト61を充填し、ブランケット20が第2のペースト61を受理し、受理された第2のペースト62が支持フィルム上に転写されてグリーン余白部63が形成される。
本実施形態では、図10Aに示すように、支持フィルム上に形成されたグリーン導電体部とグリーン余白部との隙間Cは3μm以上20μm以下であることが好ましい。このような隙間が形成されることにより、グリーン導電体部およびグリーン余白部のいずれか一方の形成位置がずれて、一方の端部が他方の端部に乗り上げることを抑制することができる。したがって、端部の乗り上げに起因する積層ズレ、構造欠陥等を抑制することができる。なお、隙間Cは10μm以下であることがより好ましい。
図10Bに示すように、支持フィルム30上に形成されたグリーン導電体部53およびグリーン余白部63は、第1実施形態と同様に、グリーン機能部73上に積層される。続いて、グリーン機能部73と、グリーン導電体部53およびグリーン余白部63と、を順次積層することにより、図10Cに示すグリーン積層体92が形成される。第1実施形態と同様にして、得られるグリーン積層体を熱処理することにより、図8に示す機能層220と内部電極層230とが積層されている素子本体210が得られる。得られる素子本体においては、機能層と内部電極層との段差が解消されているので、積層数が多い場合、または、機能層および内部電極層が薄い場合であっても、構造欠陥等が生じにくい。
(3.本実施形態における効果)
本実施形態では、グリーン導電体部、または、グリーン導電体部およびグリーン余白部を、オフセット印刷またはフレキソ印刷により形成している。したがって、グリーン導電体部等を位置ズレなく高精度に形成することができる。
また、グリーン導電体部等は、グリーン機能部上ではなく、支持フィルム上に形成されるため、シートアタックを効果的に抑制することができる。その結果、ショート不良、耐電圧低下、電気特性(静電容量、インダクタンス等)の低下等の問題が生じなくなる。
グリーン導電体部等を適切な状態で支持フィルム上に形成するために、本実施形態では、支持フィルムの表面付着エネルギーを上記の範囲内に制御している。表面付着エネルギーを制御することにより、支持フィルム上に対するグリーン導電体部等の転写性と、支持フィルムの剥離性とを両立することができる。
さらに、ブランケットが適度な溶剤吸収性を有しているので、ブランケットに受理されたペーストの溶剤濃度を上記の範囲内に制御することにより、グリーン導電体部等の転写性を良好にすることができる。
また、支持フィルム上にグリーン導電体部およびグリーン余白部を形成する場合、グリーン導電体部とグリーン余白部との間に隙間を設け、隙間の距離を所定の範囲とすることにより、一方の端部が他方の端部に乗り上げることを抑制できる。その結果、積層時のグリーン導電体部の位置ズレを抑制することができる。
(4.変形例)
上述した実施形態では、グラビアオフセット印刷において、凹版として平面状の版を用いていたが、曲面を有する凹版であってもよいし、ロール形状を有する凹版であってもよい。
また、上述した実施形態では、オフセット印刷として、グラビアオフセット印刷を用いているが、凹溝が形成されていない平版を用いる平版オフセット印刷を用いてもよい。
また、上述した実施形態では、オフセット印刷またはフレキソ印刷により、支持フィルム上にグリーン導電体部を形成し、形成したグリーン導電体部をグリーン機能部上に積層する態様と、支持フィルム上にグリーン導電体部およびグリーン余白部を形成し、形成したグリーン導電体部およびグリーン余白部をグリーン機能部上に積層する態様とについて説明した。
しかしながら、グリーン積層体を別の態様により形成してもよい。たとえば、まず、図3A~図3Cに示すように、オフセット印刷またはフレキソ印刷により、支持フィルム30上に形成されたグリーン導電体部53を、グリーン機能部73上に転写する。転写の際に、必要に応じて、圧力Pを加えてもよいし、熱を加えてもよい。図3Cに示すように、転写後、支持フィルム30をグリーン導電体部53から剥離して、グリーン機能部上に転写されたグリーン導電体部80を得る。このグリーン機能部上に転写されたグリーン導電体部80を所望の数だけ作製し、これを積層して、図4に示すグリーン積層体91を形成する。また、支持フィルム上に、グリーン導電体部およびグリーン余白部を形成する場合についても、同様に、グリーン積層体を形成してもよい。
すなわち、オフセット印刷またはフレキソ印刷により、支持フィルム上にグリーン導電体部、または、グリーン導電体部およびグリーン余白部を形成し、異なる支持フィルム上に形成された、グリーン機能部上に転写したものを所望の数、作製してからこれを積層してもよい。また、オフセット印刷またはフレキソ印刷により、支持フィルム上にグリーン導電体部を形成し、異なる支持フィルム上にグリーン余白部を形成し、異なる支持フィルム上にグリーン機能部を形成して、これらを積層してもよい。
さらに、転写されたグリーン導電体部上、または、グリーン導電体部およびグリーン余白部上に、ドクターブレード法、ダイコーター等の塗布工法によりグリーン機能部を形成してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の態様で改変しても良い。
以下、実施例を用いて、発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実験1)
まず、支持フィルムを準備した。PETフィルム上に剥離層を形成することにより、支持フィルムを作製した。剥離層を構成する重合体において、シリコーン重合体の添加量を変化させることにより、表面付着エネルギーが表1に示す値を示す支持フィルムを準備した。
表面付着エネルギーは、以下のようにして評価した。支持フィルムの剥離層側の面における水の表面付着エネルギーを協和界面科学のDropMasterを用いて測定した。測定条件は、温度20℃、湿度60%とし、剥離層の表面に純水を16μl滴下して測定した。
続いて、第1のペーストを準備した。第1のペーストは、導電体粒子としてのNi粒子を40質量部と、バインダ樹脂としてのポリビニルブチラール樹脂を4質量部と、溶剤としてのジヒドロターピネオールを56質量部と、を混合して作製した。
グラビアオフセット印刷により、準備した支持フィルム上に、作製した第1のペーストを印刷してグリーン導電体部を形成した。まず、グリーン導電体部に対応するパターンが凹溝として形成されている凹版に対して、第1のペーストを供給して、ドクターユニットにより、凹溝に第1のペーストを充填した。
表面にシリコーンゴムを有するブランケットを凹版上で進行させることにより、充填された第1のペーストがブランケット上に受理された。
続いて、第1のペーストが受理されたブランケットを支持フィルム上で進行させることにより、受理された第1のペーストを支持フィルム上に転写して、グリーン導電体部を形成し、乾燥した。なお、グリーン導電体部の寸法は、短手方向の長さが100μm、長手方向の長さが300μmであった。
第1のペーストの転写可否を以下のようにして評価した。第1のペーストが、欠損せずに(ブランケット上に残らずに)支持フィルム上に転写されていれば「OK」と評価し、欠損して転写されている、または、転写できなければ「NG」と評価した。結果を表1に示す。
ダイコーターにより形成されたグリーン機能部上に、支持フィルム上に形成されたグリーン導電体部を100℃、10MPaの条件でプレスしながら転写して、支持フィルムを剥離した。続いて、転写されたグリーン導電体部上に、別のグリーン機能部を積層した。
これらの操作を繰り返して、グリーン導電体部とグリーン機能部とを積層して、グリーン導電体部が200層であるグリーン積層体を形成した。グリーン導電体部の厚みは0.5μmであり、グリーン機能部の厚みは0.5μmであった。
積層時のグリーン導電体部の転写可否を以下のようにして評価した。全ての層を積層した後のグリーン積層体において、グリーン積層体全体の面積に対する、支持フィルムの剥離不良が発生した面積の比率を転写不良面積比率として評価した。本実施例では、転写不良面積比率が10%未満である試料を良好であると判断した。なお、第1のペーストの転写可否が「NG」である試料については、積層時のグリーン導電体部の転写可否を評価しなかった。結果を表1に示す。
Figure 0007251208000001
表1より、支持フィルムの表面付着エネルギーが低すぎると、第1のペーストが支持フィルム上に適切に転写できないことが確認できた。また、支持フィルムの表面付着エネルギーが高すぎると、グリーン導電体部がグリーン機能部上に適切に転写できないことが確認できた。
(実験2)
第1のペーストを受理してから支持フィルムに転写するまでの待機時間を変更することにより、第1のペーストの溶剤濃度が表2に示す値となるようにした以外は実験1と同じ方法により、グリーン導電体部を支持フィルム上に形成し、第1のペーストを転写できた割合を評価した。支持フィルムの表面付着エネルギーは2.0mJ/mであった。結果を表2に示す。
なお、受理前の第1のペーストの溶剤濃度に対する受理後の第1のペーストの溶剤濃度は以下のようにして算出した。転写および乾燥後のグリーン導電体部の重量を精密秤で測定し、その値から受理時のペースト量を算出して、受理前の第1のペーストの溶剤濃度に対する受理された第1のペーストの溶剤濃度を算出した。
また、第1のペーストを転写できた割合は、形成されるべきグリーン導電体部全体の面積に対して、第1のペーストが支持フィルム上に転写された面積の割合を算出した。
Figure 0007251208000002
表2より、受理前の第1のペーストの溶剤濃度に対する受理された第1のペーストの溶剤濃度が上述した範囲内である場合には、第1のペーストを転写できた割合が良好であることが確認できた。
(実験3)
以下に示す第2のペーストを用いて以下の条件でグリーン余白部を形成し、グリーン機能部の厚みを0.5μmとした以外は、実験1と同じ方法により、グリーン積層体を形成した。
まず、第2のペーストを調製した。第2のペーストは、機能性粒子としてのチタン酸バリウム粒子を40質量部と、バインダ樹脂としてのポリビニルブチラール樹脂を4質量部と、溶剤としてのジヒドロターピネオールを56質量部と、を混合して作製した。実験1と同じ方法により、支持フィルム上にグリーン導電体部を形成した後、グラビアオフセット印刷により、支持フィルム上のグリーン導電体部が形成されていない領域に、作製した第2のペーストを印刷してグリーン余白部を形成した。まず、グリーン余白部に対応するパターンが凹溝として形成されている凹版に対して、第2のペーストを供給して、ドクターユニットにより、凹溝に第2のペーストを充填した。
表面にシリコーンゴムを有するブランケットを凹版上で進行させることにより、充填された第2のペーストが、ブランケット上に受理され第2のペーストを形成した。
続いて、第2のペーストが受理されたブランケットを支持フィルム上で進行させることにより、第2のペーストを支持フィルム上に転写して、グリーン余白部を形成した。この結果、支持フィルム上にはグリーン導電体部およびグリーン余白部が形成された。グリーン余白部は、グリーン導電体部とグリーン余白部との隙間が表3に示す値となるように形成した。
ドクターブレードにより形成されたグリーン機能部上に、形成されたグリーン導電体部およびグリーン余白部を100℃、10MPaの条件でプレスし支持フィルムを剥離して、転写した。受理前の第1のペーストの溶剤濃度に対する受理された第1のペーストの溶剤濃度は50%であり、受理前の第2のペーストの溶剤濃度に対する受理された第2のペーストの溶剤濃度は50%であった。
これらの操作を繰り返して、グリーン導電体部およびグリーン余白部とグリーン機能部とを積層して、グリーン導電体部が200層であるグリーン積層体を形成した。グリーン導電体部の厚みは0.5μmであり、グリーン機能部の厚みは0.5μmであった。
形成されたグリーン積層体について余白部の乗り上げ比率、および、積層ズレを評価した。結果を表3に示す。
なお、余白部の乗り上げ比率は、形成されるべきグリーン導電体部およびグリーン余白部の合計面積に対して、グリーン導電体部上に重複してグリーン余白部が形成された面積の割合として算出した。また、積層ズレは、グリーン積層体における各グリーン導電体部のズレ量の最大値とした。
Figure 0007251208000003
表3より、グリーン導電体部とグリーン余白部との隙間が上述した範囲内である場合には、余白部の乗り上げおよび積層ズレが少ないグリーン積層体が得られることが確認できた。
11、12… 凹版
11a、12a… 凹溝
20… ブランケット
21… 弾性部
30… 支持フィルム
40… ロール
41… 凸版
51… 第1のペースト
52… 受理された第1のペースト
53… グリーン導電体部
61… 第2のペースト
62… 受理された第2のペースト
63… グリーン余白部
73… グリーン機能部
91、92… グリーン積層体
100、200… 積層電子部品
110、210… 素子本体
120、220… 機能層
130、230… 内部電極層
140、240… 端子電極

Claims (9)

  1. 機能部と導電体部とが積層された素子本体を有する積層電子部品の製造方法であって、
    オフセット印刷またはフレキソ印刷により、少なくとも導電体粒子と溶剤とを含む第1のペーストを支持フィルム上に印刷して、グリーン導電体部を形成する工程と、
    前記支持フィルムから、前記グリーン導電体部をグリーン機能部上に直接に転写する工程と、を有し、
    前記支持フィルムの表面付着エネルギーが2mJ/m2以上8mJ/m2以下である積層電子部品の製造方法であって、
    前記第1のペーストが溶剤吸収性を有する弾性部に受理され、受理された第1のペーストが前記支持フィルム上に直接に転写される積層電子部品の製造方法。
  2. 受理前の第1のペーストの溶剤濃度を100%としたときに、前記受理された第1のペーストの溶剤濃度が5%以上95%以下である請求項1に記載の積層電子部品の製造方法。
  3. 機能部と導電体部とが積層された素子本体を有する積層電子部品の製造方法であって、
    オフセット印刷またはフレキソ印刷により、少なくとも導電体粒子と溶剤とを含む第1のペーストおよび少なくとも機能性粒子と溶剤とを含む第2のペーストを支持フィルム上に印刷して、グリーン導電体部およびグリーン余白部を形成する工程と、
    前記支持フィルムから、前記グリーン導電体部および前記グリーン余白部をグリーン機能部上に直接に転写する工程と、を有する積層電子部品の製造方法であって、
    前記支持フィルムの表面付着エネルギーが2mJ/m 2 以上8mJ/m 2 以下であり、
    前記第1のペーストが、溶剤吸収性を有する弾性部に受理され、受理された第1のペーストが前記支持フィルム上に直接に転写され、前記第2のペーストが、溶剤吸収性を有する弾性部に受理され、受理された第2のペーストが前記支持フィルム上に直接に転写される積層電子部品の製造方法。
  4. 受理前の第1のペーストの溶剤濃度を100%としたときに、前記受理された第1のペーストの溶剤濃度が5%以上95%以下であり、受理前の第2のペーストの溶剤濃度を100%としたときに、前記受理された第2のペーストの溶剤濃度が5%以上95%以下である請求項3に記載の積層電子部品の製造方法。
  5. 前記グリーン導電体部と前記グリーン余白部との隙間が、3μm以上20μm以下である請求項3または4に記載の積層電子部品の製造方法。
  6. 前記グリーン導電体部と、前記グリーン機能部と、を積層してグリーン積層体を形成する工程をさらに有する請求項1または2に記載の積層電子部品の製造方法。
  7. 前記グリーン導電体部上に、塗布工法により前記グリーン機能部を形成する請求項1または2または6に記載の積層電子部品の製造方法。
  8. 前記グリーン導電体部および前記グリーン余白部と、前記グリーン機能部と、を積層してグリーン積層体を形成する工程をさらに有する請求項3から5のいずれかに記載の積層電子部品の製造方法。
  9. 前記グリーン導電体部および前記グリーン余白部上に、塗布工法により前記グリーン機能部を形成する請求項3から5または8のいずれかに記載の積層電子部品の製造方法。
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