JP2018107089A - 導電性ペースト、及び、導電性パターンを有する基板の製造方法 - Google Patents
導電性ペースト、及び、導電性パターンを有する基板の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】基板面上における導電性パターンの欠損構造やパターン潰れという問題を抑制することの可能な導電性ペースト、及び、導電性ペーストを用いた基板の製造方法を提供する。【解決手段】導電性ペーストに、導電性粒子と、バインダー樹脂と、250℃以上の沸点及び9.5以上のSP値を有する第一溶剤と、250℃未満の沸点を有する第二溶剤とが含まれる。【選択図】 なし
Description
本発明は、導電性ペースト、及び、導電性ペーストを用いて形成される導電性パターンを有する基板の製造方法に関する。
半導体デバイス、タッチパネル、電子ペーパー、太陽光発電パネル、積層セラミックコンデンサや積層インダクタ等といった様々な電子機器類や電子部品には、配線回路や電極回路などの回路パターンが形成されている。これらの電子機器類や電子部品には、製造コストを抑えつつ小型且つ高機能なものを製造することが求められており、小型化且つ高機能化が進んでいる。そして、これに伴って、回路パターンは微細化や高精度化が要請されている。
ところで、これらの電子機器類や電子部品に形成される回路パターンは、導電性粒子を含む導電性ペーストを用いて基板面上に形成される所定のパターン(導電性パターンと呼ぶ)から構成される。例えば、積層セラミックコンデンサの導電性パターンを例としてみた場合には、積層セラミックコンデンサの内部電極を有する回路パターンが形成される。
電子機器類や電子部品に形成される微細な導電性パターンを高精度に形成する方法としては、フォトリソグラフィーを用いた方法をあげることができるが、製造コストを抑えつつ導電性パターンを形成する要請に応えるべく印刷方法を用いた方法が検討された。具体的には、スクリーン印刷法によって導電性ペーストを基板上に塗布することで基板上に所定の導電性パターンを形成することが検討されてきた(例えば、特許文献1、2)。
しかしながら、電子部品にきわめて微細な導電性パターンを高精度に形成することが要請されるにともない、スクリーン印刷法により導電性パターンに対応する印刷パターンを形成しようとしても、良好な印刷パターンを基板上に形成することが困難となってきた。例えば、具体的に導電性パターンが線状パターンを有する場合には、その導電性パターンに対応する印刷パターンを形成する線状部分の線幅を細く形成することが要請されるが、導電性パターンをスクリーン印刷法で形成すると、予定されたパターンと得られた印刷パターンとを比較した場合に細幅の線状部分等のパターンの一部又は全部に欠けた構造(欠損構造)が形成されやすくなってしまっていた。
そこで、グラビアオフセット印刷法を、導電性パターンを形成するための印刷方法に用いることが検討された。
導電性パターンに対応する印刷パターンをグラビアオフセット印刷法で基板上に形成す方法は、次のように実施することができる。印刷パターンに対応したパターンで凹状の溝を形成した凹版の溝内に導電性ペーストを充填する充填工程と、凹版の溝に充填された導電性ペーストを凹版からブランケットに移す受理工程と、ブランケットから基板面上に導電性ペーストを転写する転写工程が実施され、導電性パターンが基板面上に印刷される。
グラビアオフセット印刷法を用いて導電性パターンに対応する印刷パターンを形成する場合には、凹版に形成される溝パターンの設計を調製することで、スクリーン印刷法を用いる場合よりも精細な導電性パターンを形成することが可能となる。
しかしながら、回路パターンをなす導電性パターンについては、より一層微細なパターンを高精度に形成することが要請されてきており、グラビアオフセット印刷法を用いて導電性パターンに対応する印刷パターンを基板上に印刷する工程を適用しても、高精度に導電性パターンを形成することが困難となってきており、基板面上における導電性パターンを形成する細幅の線状部分に欠損構造が形成されてしまう問題やパターンの潰れた部分が生じる(パターン潰れ)問題が生じていた。
本発明は、(1)導電性粒子と、
バインダー樹脂と、
250℃以上の沸点及び9.5以上のSP値を有する第一溶剤と、
250℃未満の沸点を有する第二溶剤と、を含むことを特徴とする導電性ペースト、
(2)導電性粒子はニッケルを含む、上記(1)に記載の導電性ペースト、
(3)流動性調整剤を含む、上記(1)または(2)に記載の導電性ペースト、
(4)焼結調整剤を含む、上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の導電性ペースト、
(5) 前記第一溶剤が、前記第一溶剤と前記第二溶剤の合計質量に対する質量比率で2質量%以上80質量%以下の範囲で含まれており、
前記第二溶剤が、前記第一溶剤と前記第二溶剤の合計質量に対する質量比率で20質量%以上98質量%以下の範囲で含まれている、上記(1)から(4)のいずれか1項に記載の導電性ペースト、
(6)前記第一溶剤が、下記化学式1から化学式4のいずれかで表される溶剤からなる溶剤群から選ばれる少なくとも1種類の溶剤を含む、上記(1)から(5)のいずれかに記載の導電性ペースト、を要旨とする。
バインダー樹脂と、
250℃以上の沸点及び9.5以上のSP値を有する第一溶剤と、
250℃未満の沸点を有する第二溶剤と、を含むことを特徴とする導電性ペースト、
(2)導電性粒子はニッケルを含む、上記(1)に記載の導電性ペースト、
(3)流動性調整剤を含む、上記(1)または(2)に記載の導電性ペースト、
(4)焼結調整剤を含む、上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の導電性ペースト、
(5) 前記第一溶剤が、前記第一溶剤と前記第二溶剤の合計質量に対する質量比率で2質量%以上80質量%以下の範囲で含まれており、
前記第二溶剤が、前記第一溶剤と前記第二溶剤の合計質量に対する質量比率で20質量%以上98質量%以下の範囲で含まれている、上記(1)から(4)のいずれか1項に記載の導電性ペースト、
(6)前記第一溶剤が、下記化学式1から化学式4のいずれかで表される溶剤からなる溶剤群から選ばれる少なくとも1種類の溶剤を含む、上記(1)から(5)のいずれかに記載の導電性ペースト、を要旨とする。
ただし、化学式1において、R1は、炭素数1以上8以下の炭化水素基、R2は、炭素数2又は3のアルキル基、R3は、水素又は炭素数1以上4以下の炭化水素基、nは1以上20以下の整数である。
ただし、化学式2において、R4、及びR6は、それぞれ独立に、水素又は炭素数1以上22以下の炭化水素基、R5は炭素数1以上22以下の炭化水素基、nは1以上20以下の整数である。
ただし、化学式3において、R7は、炭素数5以上10以下のアルキル基である。
ただし、化学式4において、R8は、炭素数2又は3のアルキル基、mは2以上20以下の整数である。
また、本発明は、
(7)前記第二溶剤が、テルペン型アルコール系溶剤、下記化学式5または化学式6で表される溶剤、及び炭素数3から11の飽和1価アルコール系溶剤からなる溶剤群から選ばれる少なくとも1種類の溶剤を含む、上記(1)から(6)のいずれかに記載の導電性ペースト、を要旨とする。
(7)前記第二溶剤が、テルペン型アルコール系溶剤、下記化学式5または化学式6で表される溶剤、及び炭素数3から11の飽和1価アルコール系溶剤からなる溶剤群から選ばれる少なくとも1種類の溶剤を含む、上記(1)から(6)のいずれかに記載の導電性ペースト、を要旨とする。
ただし、化学式5において、R9は、炭素数2又は3のアルキル基であり、R10は、炭素数1以上4以下の炭化水素基、nは1以上20以下の整数である。
ただし、化学式6において、R11は、炭素数1以上4以下のアルキル基である。
また、本発明は、
(8)前記第二溶剤は、9.6以下のSP値を有する、上記(1)から(7)のいずれか1項に記載の導電性ペースト、
(9)前記第二溶剤は、120℃以上の沸点を有する、上記(1)から(8)のいずれか1項に記載の導電性ペースト、
(10)積層セラミックコンデンサ内部電極形成用である、上記(1)から(9)のいずれか1項に記載の導電性ペースト、
(11)グラビアオフセット印刷用である、上記(1)から(10)のいずれか1項に記載の導電性ペースト、
(12)上記(1)から(10)のいずれか1項に記載の導電性ペーストを用い、
導電性パターンが凹状に形成された凹版を用いたグラビアオフセット印刷法により基板表面に導電性パターンを印刷形成することを特徴とする導電性パターンを有する基板の製造方法、を要旨とする。
(8)前記第二溶剤は、9.6以下のSP値を有する、上記(1)から(7)のいずれか1項に記載の導電性ペースト、
(9)前記第二溶剤は、120℃以上の沸点を有する、上記(1)から(8)のいずれか1項に記載の導電性ペースト、
(10)積層セラミックコンデンサ内部電極形成用である、上記(1)から(9)のいずれか1項に記載の導電性ペースト、
(11)グラビアオフセット印刷用である、上記(1)から(10)のいずれか1項に記載の導電性ペースト、
(12)上記(1)から(10)のいずれか1項に記載の導電性ペーストを用い、
導電性パターンが凹状に形成された凹版を用いたグラビアオフセット印刷法により基板表面に導電性パターンを印刷形成することを特徴とする導電性パターンを有する基板の製造方法、を要旨とする。
本発明によれば、基板面上における導電性パターンを形成する細幅の線状部分に欠損構造が形成されてしまう問題やパターン潰れが生じる問題を抑制することの可能な導電性ペーストを提供することができるようになる。また、本発明における基板の製造方法によれば、上記した問題の発生を抑制することのできる導電性ペーストを用いて形成される導電性パターンを有する基板の製造方法を提供することができるようになる。
本発明は、様々な電子部品を形成するための基板に形成される導電性パターンを形成するために適用することができるものであるが、以下では、電子部品が、積層型電子部品である場合を一例として説明する。また、積層型電子部品の中でも、電子部品が、図2に例示するように積層型セラミックコンデンサである場合、且つ、導電性ペーストを用いて形成される導電性パターンが積層型セラミックコンデンサの内部電極を形成するための回路パターンである場合を一例として挙げて説明する。
(導電性ペースト)
本発明の導電性ペーストは、導電性粒子とバインダー樹脂と溶剤とを含む。
本発明の導電性ペーストは、導電性粒子とバインダー樹脂と溶剤とを含む。
(導電性粒子)
導電性粒子は、導電性を有する粒子であれば、その種類を特に限定されず、例えば、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、スズ、鉛、アルミニウム、クロム、パラジウム、タングステン、モリブデン、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム等からなる導電性金属粒子の群および、導電性金属粒子の候補となりうる金属からなる導電性合金粒子の群から選ばれた1種類または2種類以上の組み合わせを挙げることができる。なお、導電性ペーストが積層セラミックコンデンサの内部電極形成用である場合には、導電性粒子は、ニッケルとニッケル合金の少なくともいずれか一方であることが好適である。また、導電性粒子は、ニッケルとニッケル合金の少なくともいずれか一方のほかに、さらにその他の導電性金属粒子や導電性合金粒子を選択されてもよい。この場合にあっては、導電性ペーストにおいて、導電性粒子の主成分としてニッケルとニッケル合金の少なくともいずれか一方を含むことになる。その他の導電性金属粒子には、例えば無機物又は有機物の粒子を金属の被膜で覆った粒子やカーボンブラック、チオフェン、アニリン等の有機導電性粒子なども含まれる。また、導電性粒子として、フレーク状の粉末と球状の粉末を併用して用いることもできる。導電性粒子としてフレーク状の粉末が用いられる場合、フレーク状(薄片状)の粉末では、粒子間の接触面積を大きくすることができること等から、導電性ペーストから形成された導電性パターンに高い導電性を付与することが期待できる。なお、導電性粒子の主成分とは、導電性ペーストに含まれる導電性粒子の成分のうち導電性粒子全体のうちに占める割合(%)が、最大である成分且つ50%以上である成分を示している。
導電性粒子は、導電性を有する粒子であれば、その種類を特に限定されず、例えば、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、スズ、鉛、アルミニウム、クロム、パラジウム、タングステン、モリブデン、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム等からなる導電性金属粒子の群および、導電性金属粒子の候補となりうる金属からなる導電性合金粒子の群から選ばれた1種類または2種類以上の組み合わせを挙げることができる。なお、導電性ペーストが積層セラミックコンデンサの内部電極形成用である場合には、導電性粒子は、ニッケルとニッケル合金の少なくともいずれか一方であることが好適である。また、導電性粒子は、ニッケルとニッケル合金の少なくともいずれか一方のほかに、さらにその他の導電性金属粒子や導電性合金粒子を選択されてもよい。この場合にあっては、導電性ペーストにおいて、導電性粒子の主成分としてニッケルとニッケル合金の少なくともいずれか一方を含むことになる。その他の導電性金属粒子には、例えば無機物又は有機物の粒子を金属の被膜で覆った粒子やカーボンブラック、チオフェン、アニリン等の有機導電性粒子なども含まれる。また、導電性粒子として、フレーク状の粉末と球状の粉末を併用して用いることもできる。導電性粒子としてフレーク状の粉末が用いられる場合、フレーク状(薄片状)の粉末では、粒子間の接触面積を大きくすることができること等から、導電性ペーストから形成された導電性パターンに高い導電性を付与することが期待できる。なお、導電性粒子の主成分とは、導電性ペーストに含まれる導電性粒子の成分のうち導電性粒子全体のうちに占める割合(%)が、最大である成分且つ50%以上である成分を示している。
(導電性粒子の平均粒子径)
導電性ペーストに含まれる導電性粒子の平均粒子径は、おおむね1nm以上6000nm以下であることが好ましい。導電性粒子がニッケルの場合にはおおむね1nm以上500nm以下であることが好ましい。なお、平均粒子径は、メジアン径(D50)を示すものとする。導電性粒子の平均粒子径が1nm以上であることで、単位重量あたりの導電性粒子の総表面積が大きくなりすぎる虞を抑制することができる。単位重量あたりの導電性粒子の総表面積が大きくなりすぎると、導電性ペーストに分散剤が添加されている場合において、基板上に導電性パターンを形成した後において加熱処理等の後処理工程を施して導電性ペーストに含まれる分散剤を分解しようとした場合にあっても、導電性パターンを構成する導電性ペースト内に、導電性粒子の表面を取り巻く分散剤が残ってしまう虞がある。導電性粒子の平均粒子径が6000nm以下であることで、導電性ペーストに含まれる導電性粒子の分散性が確保されやすくなる。
導電性ペーストに含まれる導電性粒子の平均粒子径は、おおむね1nm以上6000nm以下であることが好ましい。導電性粒子がニッケルの場合にはおおむね1nm以上500nm以下であることが好ましい。なお、平均粒子径は、メジアン径(D50)を示すものとする。導電性粒子の平均粒子径が1nm以上であることで、単位重量あたりの導電性粒子の総表面積が大きくなりすぎる虞を抑制することができる。単位重量あたりの導電性粒子の総表面積が大きくなりすぎると、導電性ペーストに分散剤が添加されている場合において、基板上に導電性パターンを形成した後において加熱処理等の後処理工程を施して導電性ペーストに含まれる分散剤を分解しようとした場合にあっても、導電性パターンを構成する導電性ペースト内に、導電性粒子の表面を取り巻く分散剤が残ってしまう虞がある。導電性粒子の平均粒子径が6000nm以下であることで、導電性ペーストに含まれる導電性粒子の分散性が確保されやすくなる。
(バインダー樹脂)
導電性ペーストにおいて、バインダー樹脂は、導電性ペーストに含まれる導電性粒子を基板に結着させる目的で添加される。バインダー樹脂の種類は、導電性ペーストの用途に応じて適宜選択可能である。具体的には、バインダー樹脂としては、エチルセルロース等のセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、(メタ)アクリル酸エステルの共重合体系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、ポリアミド系樹脂などを例示することができる。また、これらは単独又は2種以上を併用することができる。導電性ペーストを用いて積層型セラミックコンデンサの内部電極を形成するための回路パターンをグラビアオフセット印刷法などにて形成する場合、通常、基板上に導電性パターンを形成した後に加熱処理が施され(焼結工程)、その際にバインダー樹脂が熱分解される。そこで、導電性ペーストを用いて積層型セラミックコンデンサの内部電極を形成するための回路パターンを形成する場合、バインダー樹脂の種類は、グラビアオフセット印刷法などにて回路パターンを形成することを達成可能な樹脂であり、且つ、焼結工程で熱分解されることが可能な樹脂であればよい。
導電性ペーストにおいて、バインダー樹脂は、導電性ペーストに含まれる導電性粒子を基板に結着させる目的で添加される。バインダー樹脂の種類は、導電性ペーストの用途に応じて適宜選択可能である。具体的には、バインダー樹脂としては、エチルセルロース等のセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、(メタ)アクリル酸エステルの共重合体系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、ポリアミド系樹脂などを例示することができる。また、これらは単独又は2種以上を併用することができる。導電性ペーストを用いて積層型セラミックコンデンサの内部電極を形成するための回路パターンをグラビアオフセット印刷法などにて形成する場合、通常、基板上に導電性パターンを形成した後に加熱処理が施され(焼結工程)、その際にバインダー樹脂が熱分解される。そこで、導電性ペーストを用いて積層型セラミックコンデンサの内部電極を形成するための回路パターンを形成する場合、バインダー樹脂の種類は、グラビアオフセット印刷法などにて回路パターンを形成することを達成可能な樹脂であり、且つ、焼結工程で熱分解されることが可能な樹脂であればよい。
(溶剤)
溶剤は、第一溶剤と第二溶剤の組み合わせを含む混合溶剤である。溶剤は、バインダー樹脂を溶解して導電材ペーストのスラリーを形成する目的で添加される。したがって、第一溶剤と第二溶剤ともにバインダー樹脂を溶解させるものが採用され、具体的には、第一溶剤と第二溶剤ともに有機溶剤であることが好ましい。
溶剤は、第一溶剤と第二溶剤の組み合わせを含む混合溶剤である。溶剤は、バインダー樹脂を溶解して導電材ペーストのスラリーを形成する目的で添加される。したがって、第一溶剤と第二溶剤ともにバインダー樹脂を溶解させるものが採用され、具体的には、第一溶剤と第二溶剤ともに有機溶剤であることが好ましい。
(第一溶剤)
第一溶剤は、250℃以上の沸点及び9.5以上のSP値を有する。溶剤として第二溶剤の他に第二溶剤に比較して蒸発しにくい第一溶剤が導電性ペーストに含まれることから、第二溶剤だけを溶剤として利用した場合に比べて、例えばグラビアオフセット印刷法を用いて導電性パターンに対応する印刷パターンを形成する場合において凹版の溝に充填された導電性ペーストからブランケットに移される前に溝内の導電性ペーストに含まれていた溶剤が過剰に蒸発してしまう状況が生じる虞や、ブランケット上に移された導電性ペーストに含まれていた溶剤が過剰に蒸発してしまう状況が生じる虞を抑制することができるようになる。すなわち、受理工程において十分に凹版からブランケットに導電性ペーストが移らなくなる問題や転写工程において十分にブランケットから基板に導電性ペーストが十分に転写されなくなる問題を効果的に抑制することができるようになる。こうした効果をより高める観点からは、第一溶剤の沸点は、255℃以上であることが好ましく、270℃以上であることがより好ましく、290℃以上であることが更に好ましい。
第一溶剤は、250℃以上の沸点及び9.5以上のSP値を有する。溶剤として第二溶剤の他に第二溶剤に比較して蒸発しにくい第一溶剤が導電性ペーストに含まれることから、第二溶剤だけを溶剤として利用した場合に比べて、例えばグラビアオフセット印刷法を用いて導電性パターンに対応する印刷パターンを形成する場合において凹版の溝に充填された導電性ペーストからブランケットに移される前に溝内の導電性ペーストに含まれていた溶剤が過剰に蒸発してしまう状況が生じる虞や、ブランケット上に移された導電性ペーストに含まれていた溶剤が過剰に蒸発してしまう状況が生じる虞を抑制することができるようになる。すなわち、受理工程において十分に凹版からブランケットに導電性ペーストが移らなくなる問題や転写工程において十分にブランケットから基板に導電性ペーストが十分に転写されなくなる問題を効果的に抑制することができるようになる。こうした効果をより高める観点からは、第一溶剤の沸点は、255℃以上であることが好ましく、270℃以上であることがより好ましく、290℃以上であることが更に好ましい。
グラビアオフセット印刷法で利用されるブランケットは、通常、シリコンゴムで円柱状に形成されている。シリコンゴムのSP値は、第一溶剤のSP値の下限値となる9.5よりも小さい値であり、具体的には7程度であるとされている。溶剤に含まれる第一溶剤のSP値は、9.5以上であり、シリコンゴムのSP値よりも高い値を示す。したがって第一溶剤はブランケットとの親和性を抑制されたものとなっている。すなわち、転写工程において十分にブランケットから基板面上に導電性ペーストが移らなくなる問題を効果的に抑制することができるようになる。
(SP値)
SP値は、溶解度パラメータ(Solubility Parameter)を示している。SP値は、以下の数式1で示すFedorsの式で表される値をいう。
SP値は、溶解度パラメータ(Solubility Parameter)を示している。SP値は、以下の数式1で示すFedorsの式で表される値をいう。
ただし、上記数式1において、σは、SP値を示し、Evは、蒸発エネルギー(凝集エネルギー)、vはモル体積、Δeiは各原子または原子団の蒸発エネルギー(凝集エネルギー)、Δvi:各原子または原子団のモル体積を示す。
上記の数式1による計算に使用する各原子または原子団の蒸発エネルギー、モル体積は、R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.,14,147(1974)の文献や、「塗料の研究」,No.152,Oct.2010(発行者:関西ペイント株式会社)の文献等に開示された蒸発エネルギー及びモル体積の数値の記載に基づいて具体的に特定することができる。
第一溶剤は、下記化学式1から化学式4のいずれかで表される溶剤からなる溶剤群から選ばれる少なくとも1種類の溶剤を含むことが好ましい。すなわち、下記化学式1から化学式4からなる化合物の群を化合物群Aとすると、第一溶剤に含まれる溶剤として、化合物群Aから選ばれる少なくとも1種類の溶剤が含まれることが好ましい。第一溶剤が、化合物群Aから選ばれる場合には、凹版の溝に充填された導電性ペーストからブランケットに移される前に溝内の導電性ペーストに含まれていた溶剤が過剰に蒸発してしまう状況が生じる虞や、ブランケット上に移された導電性ペーストに含まれていた溶剤が過剰に蒸発してしまう状況が生じる虞より効果的に抑制することができるようになる。このような効果をより高める観点からは、第一溶剤は、化合物群Aから選ばれる少なくとも1種類の溶剤からなることがより好ましい。
ただし、化学式1において、R1は、炭素数1以上8以下の炭化水素基、R2は、炭素数2又は3のアルキル基、R3は、水素又は炭素数1以上4以下の炭化水素基、nは1以上20以下の整数である。なお、化学式1、後述する化学式2、5におけるnの値は、それぞれの化学式ごとに独立に定められる。
ただし、化学式2において、R4、及びR6は、それぞれ独立に、水素又は炭素数1以上22以下の炭化水素基、R5は炭素数1以上22以下の炭化水素基、nは1以上20以下の整数である。
ただし、化学式3において、R7は、炭素数5以上10以下のアルキル基である。
ただし、化学式4において、R8は、炭素数2又は3のアルキル基、mは2以上20以下の整数である。
上記化学式1は、グリコールエーテル系溶剤、上記化学式2は、グリセリン脂肪酸エステル系溶剤、上記化学式3は、ジアセテート系溶剤、上記化学式4は、グリコールジアセテート系溶剤に対応する。
上記化学式1の例としては、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(BTG)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル(BzDG)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(PM)などを例示することができる。
上記化学式2の例としては、酢酸モノグリセリド、酢酸トリグリセリド、オレイン酸トリグリセリド、リノール酸トリグリセリド、リノレン酸トリグリセリド、カプリル酸グリセリド等を例示することができる。
上記化学式3の例としては、ペンタンジオールジアセテート、2−メチル−2,4−ペンタンジオールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等を例示することができる。
上記化学式4の例としては、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、トリプロピレングリコールジアセテート等を例示することができる。
第一溶剤は、常温において、具体的には25℃において、液体であることが好ましい。これは、グラビアオフセット印刷法が常温下で実施されるのが一般的であることから、グラビアオフセット印刷法による印刷にて導電性パターンを形成する際に導電性ペーストを使用する場合においては、常温25℃で溶剤中に導電性粒子を分散させた状態が導電性ペーストに形成されていることが好ましいからである。
(第二溶剤)
第二溶剤は、250℃未満の沸点を有する。すなわち、導電性ペーストにおいては、溶剤として沸点の互いに異なる第一溶剤と第二溶剤を含む混合溶剤が使用され、且つ、第二溶剤は第一溶剤に比べて蒸発しやすい。このように溶剤として第一溶剤の他に第一溶剤に比較して蒸発しやすい第二溶剤が含まれることから、第一溶剤だけを溶剤として利用した場合に比べて、グラビアオフセット印刷法を用いて導電性パターンに対応する印刷パターンを形成する場合において凹版の溝に充填された導電性ペーストからブランケットに移される際に溝内の導電性ペーストに含まれていた溶剤が過剰に残ってしまう状況が生じる虞や、ブランケット上に移された導電性ペーストに含まれていた溶剤が過剰に残ってしまう状況が生じる虞を抑制することができるようになる。
第二溶剤は、250℃未満の沸点を有する。すなわち、導電性ペーストにおいては、溶剤として沸点の互いに異なる第一溶剤と第二溶剤を含む混合溶剤が使用され、且つ、第二溶剤は第一溶剤に比べて蒸発しやすい。このように溶剤として第一溶剤の他に第一溶剤に比較して蒸発しやすい第二溶剤が含まれることから、第一溶剤だけを溶剤として利用した場合に比べて、グラビアオフセット印刷法を用いて導電性パターンに対応する印刷パターンを形成する場合において凹版の溝に充填された導電性ペーストからブランケットに移される際に溝内の導電性ペーストに含まれていた溶剤が過剰に残ってしまう状況が生じる虞や、ブランケット上に移された導電性ペーストに含まれていた溶剤が過剰に残ってしまう状況が生じる虞を抑制することができるようになる。
第二溶剤は、120℃以上の沸点を有することが好ましい。第二溶剤の沸点が120℃以上であることで、第二溶剤の蒸発が過剰に速くなる虞を抑制することができて、グラビアオフセット印刷法を用いて導電性パターンに対応する印刷パターンを形成する場合において、第二溶剤の急激な蒸発を抑制して印刷パターンをより確実に形成することができる。こうした効果をより高める観点からは、第二溶剤の沸点は、140℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることが更に好ましい。
第二溶剤は、9.6以下のSP値を有するものであることがより好ましい。第二溶剤のSP値が9.6以下であると第一溶剤よりもシリコンゴムのSP値に近いものを溶剤の一部に含ませることができるようになる。ブランケットは一般的にシリコンゴムで形成されていることから、第二溶剤が9.6以下のSP値を有するものであることで、導電性ペーストを適切にブランケット表面に付着させることができるようになり、受理工程において凹版からブランケットに導電性ペーストをより確実に移らせることができるようになる。
第二溶剤は、テルペン型アルコール系溶剤、下記化学式5または化学式6で表される溶剤、及び炭素数3から11の飽和1価アルコール系溶剤からなる溶剤群から選ばれる少なくとも1種類の溶剤を含むことが好ましい。
ただし、化学式5において、R9は、炭素数2又は3のアルキル基であり、R10は、炭素数1以上4以下の炭化水素基、nは1以上20以下の整数である。
ただし、化学式6において、R11は、炭素数1以上4以下のアルキル基である。
上記化学式5と化学式6で表される溶剤は、いずれも非テルペン型非アルコール系溶剤である。上記化学式5は、グリコールエーテルアセテート系溶剤、上記化学式6は、ジアセテート系溶剤に対応する。
化学式5で表される溶剤については、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)(別名:ブチルジグリコールアセテート(BDGAc))、エチルジグリコールアセテート(EDGAc)(別名:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)等を挙げることができる。
化学式6で表される溶剤については、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−プロパンジオールジアセテート、1,4−ブタンジオールアセテート等を挙げることができる。
第二溶剤として選択されてよいテルペン型アルコール系溶剤の例としては、ターピネオール、メントール、ネロリドール等を例示することができる。テルペン型アルコール系溶剤とは、テルペン骨格を有するアルコール系溶剤を示すものする。
また、第二溶剤として選択されてよい炭素数3から11の飽和1価アルコールとしては、ブタノール、1−プロパノール(沸点97.2℃、蒸気圧26.6hPa(24.6℃))、イソプロピルアルコール(沸点82.3℃、蒸気圧79.8hPa(30℃))、3−ペンタノール(沸点115.6℃、蒸気圧13.3hPa(26℃))、n−ヘキサノール(沸点157.1℃、蒸気圧1.33hPa未満(20℃))、n−ヘプタノール(沸点176.3℃、蒸気圧13.3hPa(74℃))などをあげることができる。
第二溶剤が、テルペン型アルコール系溶剤、下記化学式5または化学式6で表される溶剤、及び炭素数3から11の飽和1価アルコール系溶剤からなる溶剤群から選ばれる少なくとも1種類の溶剤を含む場合には、凹版の溝に充填された導電性ペーストからブランケットに移される際にブランケット上に移された導電性ペーストに含まれていた溶剤が過剰に残った状況が生じる虞をより効果的に抑制することができるようになる。このような効果をより高める観点からは、第二溶剤は、テルペン型アルコール系溶剤、下記化学式5または化学式6で表される溶剤、及び炭素数3から11の飽和1価アルコール系溶剤からなる溶剤群から選ばれる少なくとも1種類の溶剤からなることがより好ましい。
第二溶剤は、常温において、具体的には25℃において、液体であることが好ましい。これは、第一溶剤について示したのと同様の理由である。すなわち、グラビアオフセット印刷法による印刷にて導電性パターンを形成する際に導電性ペーストを使用する場合においては、グラビアオフセット印刷法を実施する常温25℃雰囲気下で溶剤中に導電性粒子を分散させた状態が導電性ペーストに形成されていることが好ましいからである。
本発明においては、溶剤における第一溶剤のSP値が9.5以上の値となっていることで、導電性ペーストを形成する溶剤がブランケットに適度にしみこみにくい状態を形成することができ、且つ、第二溶剤の沸点が第一溶剤の沸点よりも低いことで、導電性ペーストを形成する溶剤が適度に蒸発しやすい状態を形成することができるようになる。このように、溶剤が特定の第一溶剤と第二溶剤の混合溶剤とされていることで、導電性ペーストで導電性パターンを基板に良好に印刷することができるようになる。
(第一溶剤と第二溶剤の含有量)
導電性ペーストにおいては、前記第一溶剤が、前記第一溶剤と前記第二溶剤の合計質量に対する質量比率(質量%)で2質量%以上80質量%以下の範囲で含まれており、前記第二溶剤が、前記第一溶剤と前記第二溶剤の合計質量に対する質量比率で20質量%以上98質量%以下の範囲で含まれていることが好ましい。第一溶剤と第二溶剤がこのような範囲内にて導電性ペーストに含有されていることで、導電性ペーストで導電性パターンを基板に印刷する際に、溶剤がより一層適切な速度で蒸発し適切な量の導電性ペーストがブランケットに移されるようになり、且つブランケットに移された導電性ペーストから基板面上に適切な量の導電性ペーストがより一層効果的に転写されるようになる。したがって、例えばこの導電性ペーストを用いて電子部品として積層セラミックコンデンサを製造する場合においても、基板に適切な内部電極等の導電構造部を形成することができるようになり、積層セラミックコンデンサに欠損構造などによる断線不良を生じる虞を抑制することができるようになる。こうした欠損構造の抑制等の点を考慮して、導電性ペーストにおいては、前記第一溶剤が、前記第一溶剤と前記第二溶剤の合計質量に対する質量比率(質量%)で10質量%以上70質量%以下の範囲で含まれており、前記第二溶剤が、前記第一溶剤と前記第二溶剤の合計質量に対する質量比率で30質量%以上90質量%以下の範囲で含まれていることが好ましい。
導電性ペーストにおいては、前記第一溶剤が、前記第一溶剤と前記第二溶剤の合計質量に対する質量比率(質量%)で2質量%以上80質量%以下の範囲で含まれており、前記第二溶剤が、前記第一溶剤と前記第二溶剤の合計質量に対する質量比率で20質量%以上98質量%以下の範囲で含まれていることが好ましい。第一溶剤と第二溶剤がこのような範囲内にて導電性ペーストに含有されていることで、導電性ペーストで導電性パターンを基板に印刷する際に、溶剤がより一層適切な速度で蒸発し適切な量の導電性ペーストがブランケットに移されるようになり、且つブランケットに移された導電性ペーストから基板面上に適切な量の導電性ペーストがより一層効果的に転写されるようになる。したがって、例えばこの導電性ペーストを用いて電子部品として積層セラミックコンデンサを製造する場合においても、基板に適切な内部電極等の導電構造部を形成することができるようになり、積層セラミックコンデンサに欠損構造などによる断線不良を生じる虞を抑制することができるようになる。こうした欠損構造の抑制等の点を考慮して、導電性ペーストにおいては、前記第一溶剤が、前記第一溶剤と前記第二溶剤の合計質量に対する質量比率(質量%)で10質量%以上70質量%以下の範囲で含まれており、前記第二溶剤が、前記第一溶剤と前記第二溶剤の合計質量に対する質量比率で30質量%以上90質量%以下の範囲で含まれていることが好ましい。
(その他の溶剤(第三溶剤))
導電性ペーストには、溶剤として、第一溶剤及び第二溶剤が含まれていれば、本願の目的を阻害しない程度の範囲において、これら第一溶剤及び第二溶剤と異なるその他の溶剤(第三溶剤と呼ぶことがある)がさらに含まれていてもよい。具体的には、導電性ペーストにその他の溶剤が含まれる場合においては、第三溶剤は、導電性ペーストに含まれる全溶剤の質量(第一溶剤、第二溶剤及び第三溶剤の合計質量)に対する質量比率で、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましく。その他の溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等を例示することができる。第三溶剤は、一種類の溶剤から形成されてもよいし、2種類以上の溶剤の組み合わせで形成されてもよい。第三溶剤は、その性質に応じて、導電性ペーストに含まれるバインダー樹脂をより確実に溶解させる点等の効果を発揮しうる。ただし、欠損構造やパターン潰れの発生をより効果的に抑制可能な導電性ペーストを得る観点からは、溶剤が、第一溶剤及び第二溶剤からなることが好ましい。
導電性ペーストには、溶剤として、第一溶剤及び第二溶剤が含まれていれば、本願の目的を阻害しない程度の範囲において、これら第一溶剤及び第二溶剤と異なるその他の溶剤(第三溶剤と呼ぶことがある)がさらに含まれていてもよい。具体的には、導電性ペーストにその他の溶剤が含まれる場合においては、第三溶剤は、導電性ペーストに含まれる全溶剤の質量(第一溶剤、第二溶剤及び第三溶剤の合計質量)に対する質量比率で、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましく。その他の溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等を例示することができる。第三溶剤は、一種類の溶剤から形成されてもよいし、2種類以上の溶剤の組み合わせで形成されてもよい。第三溶剤は、その性質に応じて、導電性ペーストに含まれるバインダー樹脂をより確実に溶解させる点等の効果を発揮しうる。ただし、欠損構造やパターン潰れの発生をより効果的に抑制可能な導電性ペーストを得る観点からは、溶剤が、第一溶剤及び第二溶剤からなることが好ましい。
(流動性調整剤)
導電性ペーストには、流動性調整剤が添加されていてもよい。流動性調整剤とは導電性ペーストの粘弾性を調整するための添加剤である。流動性調整剤は、常温25℃雰囲気下で液体のものでも固体のものでもいずれであってもよい。液体の流動性調整剤としては、ポリヒドロキシカルボン酸アミド、ウレアの誘導体やポリウレタン等が例示される。固体の流動性調整剤としては、シリカ等を挙げることができる。導電性ペーストに流動性調整剤が含まれることで、導電性ペーストにおける導電性粒子等の固形成分の流動性を向上させることができ、導電性粒子の分散性向上や沈殿を抑制することができる。このため、導電性粒子を導電性ペーストに適切に分散させた状態を安定的に維持することができるようになり、導電性ペーストで導電性パターンを基板面上に印刷した場合に、一部分に導電性粒子が寄り集まった状態が形成される虞を効果的に抑制することができる。したがって、基板に精度良く導電性パターンを形成することができるようになり、基板に形成された導電性パターンのパターン形状と予め設定されたパターンの形状との間に意図しないずれ(パターンの潰れ部分)を生じる虞を抑制することができる。例えば、予め直線状のパターンを設定した場合においては、本発明の導電性ペーストを用いて直線状に導電性パターンを形成するあたり、予定された寸法よりも大きも小さくもなく、その直線形状を反映した直線パターンで導電性パターンを形成することができる(直線性の向上)。なお、パターンの潰れ部分の概念には、予定された寸法よりも大きく形成された部分と予定された寸法よりも小さく形成された部分の両方が含まれる。
導電性ペーストには、流動性調整剤が添加されていてもよい。流動性調整剤とは導電性ペーストの粘弾性を調整するための添加剤である。流動性調整剤は、常温25℃雰囲気下で液体のものでも固体のものでもいずれであってもよい。液体の流動性調整剤としては、ポリヒドロキシカルボン酸アミド、ウレアの誘導体やポリウレタン等が例示される。固体の流動性調整剤としては、シリカ等を挙げることができる。導電性ペーストに流動性調整剤が含まれることで、導電性ペーストにおける導電性粒子等の固形成分の流動性を向上させることができ、導電性粒子の分散性向上や沈殿を抑制することができる。このため、導電性粒子を導電性ペーストに適切に分散させた状態を安定的に維持することができるようになり、導電性ペーストで導電性パターンを基板面上に印刷した場合に、一部分に導電性粒子が寄り集まった状態が形成される虞を効果的に抑制することができる。したがって、基板に精度良く導電性パターンを形成することができるようになり、基板に形成された導電性パターンのパターン形状と予め設定されたパターンの形状との間に意図しないずれ(パターンの潰れ部分)を生じる虞を抑制することができる。例えば、予め直線状のパターンを設定した場合においては、本発明の導電性ペーストを用いて直線状に導電性パターンを形成するあたり、予定された寸法よりも大きも小さくもなく、その直線形状を反映した直線パターンで導電性パターンを形成することができる(直線性の向上)。なお、パターンの潰れ部分の概念には、予定された寸法よりも大きく形成された部分と予定された寸法よりも小さく形成された部分の両方が含まれる。
なお、導電性ペーストを用いて製造される電子部品が積層セラミックコンデンサであるような場合においては、通常、導電性パターンを形成される基板はセラミックで形成されている。このように基板がセラミックである場合において、基板面上で導電性パターンを形成する導電性ペーストに含まれる導電性粒子の流動性を向上させるという効果を得る目的からは、流動性調整剤はシリカであることが好適である。流動性調整剤として使用されるシリカは、水酸基とアルキル基のうちの少なくとも一方の官能基を有している。シリカがアルキル基を有する場合、そのアルキル基の一部とシリカを構成する酸素からアルコキシ基が形成され、さらにアルコキシ基と空気中の水分から水酸基が形成され、水酸基を有するシリカとなる。したがって流動性調整剤としてシリカが採用される場合において、導電性ペーストに水酸基を有するシリカが含まれることとなる。水酸基を有するシリカは、互いに結合し、網目状のネットワーク構造を形成する。これによって導電性ペーストに流動性が付与され、導電性粒子の分散性向上や沈殿抑制がもたらされることとなる。
(流動性調整剤の添加量)
流動性調整剤の添加量は、導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で、0.1質量%〜5.0質量%であることが好ましく、0.15質量%〜4.5質量%であることがより好ましく、0.2質量%〜4.0質量%であることが更に好ましい。流動性調整剤の添加量が導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で0.1質量%以上であることで、導電性ペーストにおける導電性粒子等の固形成分の流動性を、グラビアオフセット印刷の各工程をスムーズに実施する上で適切な状態とする効果がより向上する。流動性調整剤の添加量が導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で5.0質量%以下であることで、流動性調整剤が導電構造部における導電性を低下させる虞を抑制する効果がもたらされる。例えば、導電性ペーストを用いて積層型セラミックコンデンサの内部電極を形成するための回路パターンを形成する場合、内部電極が、導電性パターンで形成される導電構造部を形成するが、上記したように流動性調整剤の添加量が導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で5.0質量%以下であることで、内部電極の導電性低下を抑制する効果がもたらされる。
流動性調整剤の添加量は、導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で、0.1質量%〜5.0質量%であることが好ましく、0.15質量%〜4.5質量%であることがより好ましく、0.2質量%〜4.0質量%であることが更に好ましい。流動性調整剤の添加量が導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で0.1質量%以上であることで、導電性ペーストにおける導電性粒子等の固形成分の流動性を、グラビアオフセット印刷の各工程をスムーズに実施する上で適切な状態とする効果がより向上する。流動性調整剤の添加量が導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で5.0質量%以下であることで、流動性調整剤が導電構造部における導電性を低下させる虞を抑制する効果がもたらされる。例えば、導電性ペーストを用いて積層型セラミックコンデンサの内部電極を形成するための回路パターンを形成する場合、内部電極が、導電性パターンで形成される導電構造部を形成するが、上記したように流動性調整剤の添加量が導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で5.0質量%以下であることで、内部電極の導電性低下を抑制する効果がもたらされる。
(焼結調整剤)
導電性ペーストを用いて積層型セラミックコンデンサの内部電極を形成するための回路パターンを形成する場合、通常、基板となるグリーンシート上に導電性パターンを形成し、さらにその後に加熱処理が施される(焼結工程)。すなわち、積層セラミックコンデンサを製造する工程においては、導電性ペーストで形成された印刷パターンを有するグリーンシートが焼結される工程(焼結工程)が実施される。焼結工程では、導電性ペーストに含まれるバインダー樹脂が熱分解し、その熱分解時に二酸化炭素などのガスが発生することがある。焼結工程が急激に進むと、ガスの発生が急激にすすんで導電性ペーストのパターンが崩れてしまう状況が生じる場合がある。また、セラミックを多く含んだグリーンシートと導電性ペーストを同時に焼結すると収縮率の違いによるクラック等が発生する状況が生じる場合がある。このような状況の発生を抑制する観点から、導電性ペーストには、焼結調整剤が添加されていてもよい。焼結調整剤とは焼結時に導電ペーストからのガス発生量を調整するための添加剤である。また、焼結調整剤は、焼結時に基板と導電パターンとの収縮率の違いを緩和するための添加剤でもある。焼結調整剤としては、セラミック粉末を好適に用いることができる。セラミック粉末としては、チタン酸バリウム(BaTiO3)が採用されることが好ましい。なお、グリーンシートとは、セラミックス板を焼結によって形成する前の基板(生の基板)である。
導電性ペーストを用いて積層型セラミックコンデンサの内部電極を形成するための回路パターンを形成する場合、通常、基板となるグリーンシート上に導電性パターンを形成し、さらにその後に加熱処理が施される(焼結工程)。すなわち、積層セラミックコンデンサを製造する工程においては、導電性ペーストで形成された印刷パターンを有するグリーンシートが焼結される工程(焼結工程)が実施される。焼結工程では、導電性ペーストに含まれるバインダー樹脂が熱分解し、その熱分解時に二酸化炭素などのガスが発生することがある。焼結工程が急激に進むと、ガスの発生が急激にすすんで導電性ペーストのパターンが崩れてしまう状況が生じる場合がある。また、セラミックを多く含んだグリーンシートと導電性ペーストを同時に焼結すると収縮率の違いによるクラック等が発生する状況が生じる場合がある。このような状況の発生を抑制する観点から、導電性ペーストには、焼結調整剤が添加されていてもよい。焼結調整剤とは焼結時に導電ペーストからのガス発生量を調整するための添加剤である。また、焼結調整剤は、焼結時に基板と導電パターンとの収縮率の違いを緩和するための添加剤でもある。焼結調整剤としては、セラミック粉末を好適に用いることができる。セラミック粉末としては、チタン酸バリウム(BaTiO3)が採用されることが好ましい。なお、グリーンシートとは、セラミックス板を焼結によって形成する前の基板(生の基板)である。
導電性ペーストに焼結調整剤が含まれていることで、焼結工程が急激に進む虞を効果的に抑制することができ、焼結工程を適切に実現することができるようになる。
(焼結調整剤の平均粒子径)
導電性ペーストに含まれる焼結調整剤の平均粒子径(メジアン径(D50))は、おおむね1nm以上500nm以下であることが好ましい。焼結調整剤の平均粒子径がこの範囲であることで、焼結工程時に導電性粒子同士の結合をより穏やかに進めることができるようになる。
導電性ペーストに含まれる焼結調整剤の平均粒子径(メジアン径(D50))は、おおむね1nm以上500nm以下であることが好ましい。焼結調整剤の平均粒子径がこの範囲であることで、焼結工程時に導電性粒子同士の結合をより穏やかに進めることができるようになる。
(焼結調整剤の添加量)
焼結調整剤の添加量は、導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で、1.0質量%〜20.0質量%であることが好ましく、1.5質量%〜18.0質量%であることがより好ましく、2.0質量%〜15.0質量%であることが更に好ましい。焼結調整剤の添加量は、導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で、1.0質量%以上であることで、焼結工程が急激に進む虞を抑制する効果がより向上する。焼結調整剤の添加量は、導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で、20.0質量%以下であることで、焼結調整剤が導電構造部における導電性を低下させる虞を抑制する効果がもたらされる。
焼結調整剤の添加量は、導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で、1.0質量%〜20.0質量%であることが好ましく、1.5質量%〜18.0質量%であることがより好ましく、2.0質量%〜15.0質量%であることが更に好ましい。焼結調整剤の添加量は、導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で、1.0質量%以上であることで、焼結工程が急激に進む虞を抑制する効果がより向上する。焼結調整剤の添加量は、導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で、20.0質量%以下であることで、焼結調整剤が導電構造部における導電性を低下させる虞を抑制する効果がもたらされる。
(分散剤)
導電性ペーストには、分散剤が添加されていてもよい。分散剤としては、市販の分散剤などを適宜用いることができる。導電性ペーストに分散剤が添加されていることで、導電性粒子を効果的に溶剤中に分散させることができる。
導電性ペーストには、分散剤が添加されていてもよい。分散剤としては、市販の分散剤などを適宜用いることができる。導電性ペーストに分散剤が添加されていることで、導電性粒子を効果的に溶剤中に分散させることができる。
(分散剤の添加量)
分散剤の添加量は、導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で、0.1質量%〜15.0質量%であることが好ましく、0.15質量%〜12.0質量%であることがより好ましく、0.2質量%〜10.0質量%であることが更に好ましい。焼結調整剤の添加量は、導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で、0.1質量%以上であることで、導電性粒子を溶剤中に分散させる効果をより向上させることができ、焼結調整剤の添加量は、導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で、15.0質量%以下であることで、分散剤が導電構造部における導電性を低下させる虞を抑制する効果がもたらされる。
分散剤の添加量は、導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で、0.1質量%〜15.0質量%であることが好ましく、0.15質量%〜12.0質量%であることがより好ましく、0.2質量%〜10.0質量%であることが更に好ましい。焼結調整剤の添加量は、導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で、0.1質量%以上であることで、導電性粒子を溶剤中に分散させる効果をより向上させることができ、焼結調整剤の添加量は、導電性ペーストの全質量に対する質量比率(%)で、15.0質量%以下であることで、分散剤が導電構造部における導電性を低下させる虞を抑制する効果がもたらされる。
(導電性ペーストの利用)
導電性ペーストは、様々な電子部品を構成する基板に形成される導電性パターンの形成用の用途で使用することが可能である。また、導電性ペーストは、様々な印刷用の用途で利用することが可能であるが、グラビアオフセット印刷用として好適に使用することができる。なお、基板には、樹脂板、ガラス板、セラミックス板等の素材が用いられる。また、基板としては、焼結工程によってセラミックス板を形成する前の生の基板(グリーンシート)が採用されてもよい。
導電性ペーストは、様々な電子部品を構成する基板に形成される導電性パターンの形成用の用途で使用することが可能である。また、導電性ペーストは、様々な印刷用の用途で利用することが可能であるが、グラビアオフセット印刷用として好適に使用することができる。なお、基板には、樹脂板、ガラス板、セラミックス板等の素材が用いられる。また、基板としては、焼結工程によってセラミックス板を形成する前の生の基板(グリーンシート)が採用されてもよい。
(グラビアオフセット印刷法にて基板に導電性パターンを形成する方法)
導電性パターンに対応する印刷パターンをグラビアオフセット印刷法で基板上に形成する工程は、次のような工程を経由して実施される。すなわち、図1Aに例示するように、印刷パターンに対応したパターンで凹状の溝2を形成した凹版1の溝2内に導電性ペースト3を充填する充填工程と、図1Bに例示するように、凹版1の溝2に充填された導電性ペースト3を凹版1からブランケット5に移す受理工程と、図1Cに例示するように、ブランケット5から基板6面上に導電性ペースト3を転写する転写工程が実施され、導電性パターンが基板6面上に印刷される。充填工程においては、図1Aに例示するように、凹版1面上を矢印G方向にドクターブレード4を滑らせることなどによって凹版1の溝2内に導電性ペースト3を充填することができる。受理工程では、ブランケット5を矢印R方向に回転させながら凹版1上を移動させることで溝2の導電性ペースト3をブランケット5側に移すことができる。転写工程では、ブランケット5を矢印R方向に回転させながら基板6面上を移動させることでブランケット5面上の導電性ペースト3を基板6面側に移すことができる。こうして基板6面上に導電性ペースト3によって導電性パターンに対応する印刷パターンを形成した基板6が得られる。
導電性パターンに対応する印刷パターンをグラビアオフセット印刷法で基板上に形成する工程は、次のような工程を経由して実施される。すなわち、図1Aに例示するように、印刷パターンに対応したパターンで凹状の溝2を形成した凹版1の溝2内に導電性ペースト3を充填する充填工程と、図1Bに例示するように、凹版1の溝2に充填された導電性ペースト3を凹版1からブランケット5に移す受理工程と、図1Cに例示するように、ブランケット5から基板6面上に導電性ペースト3を転写する転写工程が実施され、導電性パターンが基板6面上に印刷される。充填工程においては、図1Aに例示するように、凹版1面上を矢印G方向にドクターブレード4を滑らせることなどによって凹版1の溝2内に導電性ペースト3を充填することができる。受理工程では、ブランケット5を矢印R方向に回転させながら凹版1上を移動させることで溝2の導電性ペースト3をブランケット5側に移すことができる。転写工程では、ブランケット5を矢印R方向に回転させながら基板6面上を移動させることでブランケット5面上の導電性ペースト3を基板6面側に移すことができる。こうして基板6面上に導電性ペースト3によって導電性パターンに対応する印刷パターンを形成した基板6が得られる。
導電性パターンを有する基板は、具体的に、図2Dに例示するような積層セラミックコンデンサ13の内部電極を形成するために利用することができる。したがって、導電性ペーストは、積層セラミックコンデンサ13の内部電極14を形成するための基板を形成するために、すなわち積層セラミックコンデンサ内部電極形成用として使用することができることとなる。つまり、具体的に、導電性ペーストは、積層セラミックコンデンサ内部電極を形成した基板をグラビアオフセット印刷で形成する場合に使用することができる。
(積層セラミックコンデンサ内部電極を形成した基板を製造する方法)
導電性ペーストを用いて積層セラミックコンデンサ内部電極を形成した基板をグラビアオフセット印刷で形成する方法については、例えば、次のように実現できる。すなわち、導電性粒子と、バインダー樹脂と、250℃以上の沸点及び9.5以上のSP値を有する第一溶剤と、250℃未満の沸点を有する第二溶剤とを混合して導電性ペーストが形成される。
導電性ペーストを用いて積層セラミックコンデンサ内部電極を形成した基板をグラビアオフセット印刷で形成する方法については、例えば、次のように実現できる。すなわち、導電性粒子と、バインダー樹脂と、250℃以上の沸点及び9.5以上のSP値を有する第一溶剤と、250℃未満の沸点を有する第二溶剤とを混合して導電性ペーストが形成される。
また、基板を形成するスラリーをキャリアシート上に伸ばすことで、キャリアシート面上にグリーンシート(焼結前の生の基板7)が調製される。
そして、図1Aから図1Cに例示するようなグラビアオフセット印刷法によって導電性ペーストで導電性パターンを形成する場合と同様に、グリーンシート(生の基板7)面上にグラビアオフセット印刷法によって導電性ペーストが導電性パターンに対応する印刷パターンで塗布される。このとき、図2Aの例に示すように導電性ペーストで形成される単位パターン8の組み合わせがグリーンシート7上に印刷されており、これら単位パターン8の組み合わせで形成される印刷パターンが導電性パターンを形成している。導電性パターンを形成する印刷パターンは、例えば単位パターン8を直線状に形成するとともに直線ののびる方向を直交する方向に間隔をあけて複数の単位パターン8を配置したパターンや、単位パターン8を矩形状に形成するとともに複数の単位パターンを互いに間隔をあけて格子状に配置した格子状パターンや、単位パターン8をC字型やU字型に形成して適宜配列させたパターン等を例示することができる。そして、導電性パターンが積層セラミックコンデンサ内部電極のパターンとされていることで、積層セラミックコンデンサ用の内部電極を形成した基板を得ることができることとなる。こうした基板を用いることで、例えば図2Dの例に示すような積層セラミックコンデンサを、次のように製造することができる。
図2Dの例に示すような積層セラミックコンデンサを製造するにあたっては、図2A(グリーンシート上に印刷された導電性パターンをグリーンシート垂直方向の上部から見た平面図)に示すように単位パターン8を有するグリーンシート7が基板として多数形成される。印刷パターンを有する複数のグリーンシート7は、例えば、図2Bに示すように単位パターン8の形成面の向きが一方向を向くように揃えて重ねあわされる。図2Bは、図2Aのグリーンシートを複数枚重ねあわせ積層構造物を矢印Y方向に対応する方向を視線方向として眺めた状態を説明する図である。このとき、積層構造物においては、一番底位置に配置された単位パターン8を有するグリーンシート7を1枚目とし、それに直接重なるグリーンシート7を2枚目とし、グリーンシート7の重なる順に、3枚目のグリーンシート、4枚目のグリーンシートと順番を定め、且つ、グリーンシート7の積層方向(上下方向)を視線方向とした場合に、奇数枚目のグリーンシートに形成された単位パターン8が重なりあい、且つ、偶数枚目のグリーンシートに形成された単位パターン8が重なりあうように、複数のグリーンシート7が重ねあわされている。また、積層構造物においては、グリーンシート7の積層方向を視線方向とした場合に、奇数枚目のグリーンシートに形成された単位パターン8と偶数枚目のグリーンシートに形成された単位パターン8とが互いにずれた位置に配置されるように、複数のグリーンシート7が互いに重ねあわされている。
積層構造物に対しては、積層方向に力を加えることで加圧プレスを施して図2Cに示すような一体化物となして、そして、図2Aの領域Xに対応する寸法などの所定寸法で、この積層構造物の一体化物が適宜に裁断され裁断物が形成される。このとき、積層構造物の一体化物の裁断方向は、グリーンシート7の積層方向となっており、裁断物は単位パターン8の積層構造を有する積層体(積層裁断物)となっている。積層裁断物に対しては、更に焼結工程が実施される。焼結工程においては、導電性パターンを形成する導電性ペーストに含まれる樹脂が分解され且つ単位パターン8に含まれる導電性粒子が焼結される。また、積層裁断物が焼結されることで焼結体(焼結積層構造物11)が形成される。なお、領域Xの境界線に沿って積層構造部の厚み方向に裁断された積層裁断物には、図2Aの矢印Y方向に対応する方向を視線方向としてみた場合に、図2Dに認められる内部電極形成体10の多層構造体に対応する構造が形成されている。
積層裁断物の焼結積層構造物11においては、図2Dに示すように裁断された単位パターン8が内部電極形成体10を形成する。また、この焼結積層構造物11においては、複数のグリーンシート7の積層構造が焼結工程で固化されて一体化したセラミック構造体15が形成されている。そして、焼結積層構造物11では、セラミック構造体15内(積層方向に沿って内外方向を定義した場合における内部)において複数の内部電極形成体10が間接的に重なるように配置されて内部電極形成体10の多層構造体を形成している。この内部電極形成体10の多層構造体が内部電極14を構成する。この焼結積層構造物11の外表面には内部電極形成体10に電気的に接続するように外部電極12が形成される。こうして積層セラミックコンデンサ13が形成されることとなる。
なお、ここに示す製造方法は一例であり、導電性ペーストを利用した積層セラミックコンデンサの製造方法は、上記に説明する方法に限定されるものではない。また、積層セラミックコンデンサの構造も一例であり、導電性ペーストの利用対象は、この構造を有するものに限定されるものでない。
本発明の導電性ペーストによれば、上記したような第一溶剤と第二溶剤を含むことから、グラビアオフセット印刷法を用いて微細な導電性パターンに対応する印刷パターンを基板上に印刷する工程を実施した際に、導電性パターンに欠損構造やパターン潰れを生じる虞を低減することができるようになる。
すなわち、グラビアオフセット印刷法を用いて導電性パターンに対応する印刷パターンを基板上に印刷する工程を適用して、微細な導電性パターンを高精度に形成するためには、凹版上の溝パターンを形成する溝を更に一層細かく形成することが要請される。このため、溝に充填されることの可能な導電性ペーストの量の最大値が小さくなる。そして、溝に充填された導電性ペーストに含まれる溶剤が導電性ペーストの表面部から少し蒸発しただけでも溝に充填された導電性ペーストの表面が乾いた状態となりやすくなってタック性(べたつき性)が低下し、受理工程で導電性ペーストの表面のべたつき性を利用して導電性ペーストを凹版側からブランケット側に適切に移すということが、十分にできなくなる問題(版詰り現象)が生じていた。また、溝内に残った導電性ペーストが表面から溝の奥方に向かって徐々に乾燥して溝内の導電性ペースト全体の固化が進行してしまい、グラビアオフセット印刷を繰り返して実施していくにつれて十分に凹版からブランケットに導電性ペーストが移らなくなってしまう問題も生じていた。さらに、受理工程において十分に凹版からブランケットに導電性ペーストが移らなければ、十分な量の導電性ペーストが基板上に転写されなくなることから、例えば基板上における導電性パターンを形成する細幅の線状部分等に欠損構造が形成されてしまう問題が生じていた。また、グラビアオフセット印刷法を用いて導電性パターンに対応する印刷パターンを形成する場合においては、凹版からブランケット上に受けとられた後の工程についてみても、導電性ペーストが基板に転写される前に導電性ペーストの表面側から溶剤の蒸発が進んでしてしまうことで、導電性ペーストの表面がブランケット上で乾いてしまい、導電性ペーストの表面のべたつき性が減少して基板への導電性ペーストを十分に転写することが困難になり、基板面上に印刷パターンが不完全に形成されてしまう虞があった。このような場合においても、基板上における導電性パターンを形成する細幅の線状部分等に欠損構造が形成されてしまう問題が生じていた。
さらに、ブランケットが通常シリコンなどの有機材料を利用されることが多いことから、導電性ペーストの溶剤のSP値がブランケットのSP値に近くなる場合がある。そのような場合には導電性ペーストとブランケットの接触部分で導電性ペーストの溶剤がブランケットに吸収されすぎてしまう事態が生じやすくなっていた。そして、導電性ペーストの溶剤がブランケットに吸収されすぎてしまうと、導電性ペーストの乾燥が進みすぎて導電性ペーストの全表面のべたつき性が減少して基板への導電性ペーストを十分に転写することが困難になり、基板面上に印刷パターンが不完全に形成されてしまう虞があった。
こうした問題を解決するためには、導電性ペーストに含まれる溶剤として蒸発性の低いものやSP値が高いものを利用することが検討される。しかしながら、導電性ペーストに含まれる溶剤として蒸発性の低いものやSP値が高いものが利用された場合、ブランケット面上に移された導電性ペースト表面のべたつき性が維持されやすくなり導電性ペーストを基板面により一層付着させやすくなるものの、導電性ペースト中に多くの溶剤が蒸発せず、あるいはブランケットへ吸収されずに残りすぎて導電性ペースト自体の柔軟性が過剰になり、更に、ブランケットと導電ペーストとの界面とのべたつき性が過剰に高くなりやすくなる。導電性ペーストの柔軟性とべたつき性が過剰になると、転写工程時においてブランケットの表面から基板に十分な量の導電性ペーストが転写されず、導電性ペーストがその厚み方向に分かれてブランケット表面に残る部分と基板に転写される部分が形成される現象(泣き別れ現象)が生じやすくなり、ブランケットの表面に導電性ペーストが過剰に残った状態が形成されやすくなるという問題が生じていた。さらに、そのような問題が生じた場合には、転写工程において基板面上に十分な量の導電性ペーストが転写されなくなることから、基板上における導電性パターンを形成する細幅の線状部分等に欠損構造が形成されてしまう問題が生じていた。また、仮に転写工程においてブランケットの表面から基板に転写されたとしても、導電性ペーストの粘性が低いために導電性ペーストで形成された導電性パターンが基板上で安定せず、予定された導電性パターンの線幅から外れて広がる部分や狭まった部分が生じやすくなり、導電性パターンに対応する細幅の線状部分等に潰れ部分(パターン潰れ)が生じてしまうという問題が生じていた。
また、導電性ペーストに含まれる溶剤として蒸発性の高いものが利用された場合、転写工程においてブランケットの表面から基板に十分に転写されずにブランケットの表面に残ってしまうという問題が生じていた。さらに、転写工程において基板面上に十分な量の導電性ペーストが転写されなくなることから、基板上における導電性パターンを形成する細幅の線状部分に欠損構造が形成されてしまう問題が生じていた。
こうした問題に対して、本発明の導電性ペーストによれば、上記したような第一溶剤と第二溶剤を含むことから、グラビアオフセット印刷法を用いて導電性パターンに対応する印刷パターンを形成する場合において受理工程や転写工程において導電性ペーストの乾燥が進みすぎて導電性ペーストが凹版からブランケット、さらにブランケットから基板へと十分に移行できなくなる問題や、導電性ペースト中に多くの溶剤が蒸発せずに残りすぎて転写工程においてブランケットの表面から基板上に十分に転写されずにブランケットの表面に残ってしまうという問題の発生を抑制することができるようになる。そして、本発明によれば、基板上における導電性パターンを形成する細幅の線状部分等といった細かな構造部に欠損構造が形成されてしまう問題が抑制されることとなる。
(溶剤の準備)
表1に示すような溶剤Aから溶剤Cを準備した。溶剤Aとしては、溶剤A−1から溶剤A−6の6種類、溶剤Bとしては溶剤B−1から溶剤B−4の4種類が準備された。なお、溶剤Aから溶剤Cに該当する各溶剤の沸点、SP値は表1に示すとおりである。溶剤Aに該当する各溶剤が第一溶剤の候補となるものに対応し、溶剤B、溶剤Cに該当する各溶剤が第二溶剤の候補となるものに対応している。
表1に示すような溶剤Aから溶剤Cを準備した。溶剤Aとしては、溶剤A−1から溶剤A−6の6種類、溶剤Bとしては溶剤B−1から溶剤B−4の4種類が準備された。なお、溶剤Aから溶剤Cに該当する各溶剤の沸点、SP値は表1に示すとおりである。溶剤Aに該当する各溶剤が第一溶剤の候補となるものに対応し、溶剤B、溶剤Cに該当する各溶剤が第二溶剤の候補となるものに対応している。
(溶剤以外の各成分の準備)
導電性粒子としてニッケル微粒子(平均粒子径200nm)、バインダー樹脂としてメタクリル系樹脂(日油株式会社製、マープルーフMH(商標))、焼結調整剤としてセラミック粉末(チタン酸バリウム(BaTiO3)、平均粒子径100nm)、及び、分散剤としてポリオキシアルキレン基を有する機能性高分子(日油株式会社製、エスリーム(商標)221P)が、準備された。
導電性粒子としてニッケル微粒子(平均粒子径200nm)、バインダー樹脂としてメタクリル系樹脂(日油株式会社製、マープルーフMH(商標))、焼結調整剤としてセラミック粉末(チタン酸バリウム(BaTiO3)、平均粒子径100nm)、及び、分散剤としてポリオキシアルキレン基を有する機能性高分子(日油株式会社製、エスリーム(商標)221P)が、準備された。
実施例1
導電性ペーストを形成するために溶剤Kとして、表1に示す溶剤Aから溶剤Cのなかから選択された各溶剤を表2に示すような質量比率にて混合することで形成された溶剤Kを作成した。溶剤Aから溶剤Cに関する表2の数字は、溶剤A、溶剤B及び溶剤Cの各溶剤成分の合計質量に対する質量比率(質量%)を示す。したがって、実施例1の場合は、溶剤A−1が、溶剤A、溶剤B及び溶剤Cの各溶剤成分の合計質量に対する質量比率で10質量%、溶剤B−1が、溶剤A、溶剤B及び溶剤Cの各溶剤成分の合計質量に対する質量比率で90質量%となるように溶剤Kに含まれている。また、この実施例1については、溶剤A−1、溶剤B−1がそれぞれ第一溶剤、第二溶剤として含まれていることから、実施例1の溶剤Kは、第一溶剤及び第二溶剤の組み合わせで形成され、その他の溶剤を不添加とする状態にて形成されていることとなる。
導電性ペーストを形成するために溶剤Kとして、表1に示す溶剤Aから溶剤Cのなかから選択された各溶剤を表2に示すような質量比率にて混合することで形成された溶剤Kを作成した。溶剤Aから溶剤Cに関する表2の数字は、溶剤A、溶剤B及び溶剤Cの各溶剤成分の合計質量に対する質量比率(質量%)を示す。したがって、実施例1の場合は、溶剤A−1が、溶剤A、溶剤B及び溶剤Cの各溶剤成分の合計質量に対する質量比率で10質量%、溶剤B−1が、溶剤A、溶剤B及び溶剤Cの各溶剤成分の合計質量に対する質量比率で90質量%となるように溶剤Kに含まれている。また、この実施例1については、溶剤A−1、溶剤B−1がそれぞれ第一溶剤、第二溶剤として含まれていることから、実施例1の溶剤Kは、第一溶剤及び第二溶剤の組み合わせで形成され、その他の溶剤を不添加とする状態にて形成されていることとなる。
導電性粒子を38質量部、バインダー樹脂を9質量部、分散剤を0.6質量部、焼結調整剤を8質量部、溶剤Kを45質量部とする量にて、これらが混合された。このとき、バインダー樹脂が溶剤に溶かされ、導電性粒子等の固形成分(溶剤K中での固形成分)が溶剤K中に分散した状態が形成された。これにより、導電性ペーストが形成された。
(導電性パターンを有する基板の製造)
形成された導電性ペーストを用いて、次のようにグラビアオフセット印刷法が適用されて、基板に導電性パターンに対応する印刷パターンが形成された。
形成された導電性ペーストを用いて、次のようにグラビアオフセット印刷法が適用されて、基板に導電性パターンに対応する印刷パターンが形成された。
印刷パターンに対応したパターンで凹状の溝を形成した凹版が準備され、ドクターブレードを用いて溝内に導電性ペーストが充填された(充填工程)。充填工程を実施した後、凹版の溝に充填された導電性ペーストが凹版からブランケットの表面に移された(受理工程)。受理工程で使用されたブランケットとしては、表面に厚さ0.85mmのシリコーンゴムシート(シリコーンゴム/ポリエステルフィルム層構成、ゴム硬度(JIS A)45度、表面平均粗さRa:0.1μm、表面張力21mN/m)が取り付けられたブランケットロールが採用された。受理工程の後、予め準備されたセラミック製の基板に対して、ブランケットから基板の一方表面上に導電性ペーストが転写された(転写工程)。これにより、導電性パターンが基板面上に印刷された。こうして基板表面に導電性パターン印刷された基板が形成された。
なお、導電性パターンとしては、次に示す2種類の導電性パターン(第1の導電性パターン、第2の導電性パターン)が選択され、それぞれの導電性パターンを形成した基板が製造された。
(第1の導電性パターン)
第1の導電性パターンは、導電性ペーストからなる単位パターンを複数形成してなる群からなる。導電性ペーストからなる単位パターンとしては、縦0.5mm×横1.0mmの矩形状のパターンが選択された。第1の導電性パターンとして、これら単位パターンを互いに間隔をあけて格子状に配置した格子状パターンが選択された。具体的には、この格子状パターンは、縦方向に40個の単位パターン、横方向に25個の単位パターンを配置してなり、すなわち総計1000個の細かな単位パターンを配置してなる。また、格子状パターンにおいては、縦方向に隣り合ってならぶ単位パターン間の離間距離(間隔(ピッチ))が、2.5mm、且つ、横方向に隣り合ってならぶ単位パターン間のピッチが4.0mmに設定された。格子状パターンの全体のサイズは、縦100mm×横100mmに設定され、この領域内に全ての単位パターンが配置された。得られた基板表面に導電性パターン印刷された基板を用い、次のように確認試験1から4が行われた。結果を表2に示す。
第1の導電性パターンは、導電性ペーストからなる単位パターンを複数形成してなる群からなる。導電性ペーストからなる単位パターンとしては、縦0.5mm×横1.0mmの矩形状のパターンが選択された。第1の導電性パターンとして、これら単位パターンを互いに間隔をあけて格子状に配置した格子状パターンが選択された。具体的には、この格子状パターンは、縦方向に40個の単位パターン、横方向に25個の単位パターンを配置してなり、すなわち総計1000個の細かな単位パターンを配置してなる。また、格子状パターンにおいては、縦方向に隣り合ってならぶ単位パターン間の離間距離(間隔(ピッチ))が、2.5mm、且つ、横方向に隣り合ってならぶ単位パターン間のピッチが4.0mmに設定された。格子状パターンの全体のサイズは、縦100mm×横100mmに設定され、この領域内に全ての単位パターンが配置された。得られた基板表面に導電性パターン印刷された基板を用い、次のように確認試験1から4が行われた。結果を表2に示す。
(第2の導電性パターン)
第2の導電性パターンは、導電性ペーストからなる単位パターンを複数形成してなる群からなる。第2の導電性パターンにおいては、導電性ペーストからなる単位パターンとして、線幅20μmの直線状のパターンが選択された。これら単位パターンを、直線の幅方向に沿って互いに間隔をあけて8本配置したストライプ模様としてパターンが、第2の導電性パターンを形成する。なお、第2の導電性パターンをなすストライプ模様のパターンにおいては、隣り合ってならぶ単位パターンの離間距離(間隔(ピッチ))が、20μmで単位パターンの長手方向に沿った長さがそれぞれ30mmに設定された。
第2の導電性パターンは、導電性ペーストからなる単位パターンを複数形成してなる群からなる。第2の導電性パターンにおいては、導電性ペーストからなる単位パターンとして、線幅20μmの直線状のパターンが選択された。これら単位パターンを、直線の幅方向に沿って互いに間隔をあけて8本配置したストライプ模様としてパターンが、第2の導電性パターンを形成する。なお、第2の導電性パターンをなすストライプ模様のパターンにおいては、隣り合ってならぶ単位パターンの離間距離(間隔(ピッチ))が、20μmで単位パターンの長手方向に沿った長さがそれぞれ30mmに設定された。
上記したような導電性パターンを形成した基板が用いられて、次に示す確認試験1から4が実施された。
確認試験1については、第1の導電性パターンを形成した基板が用いられ、確認試験2から4については、第2の導電性パターンを形成した基板が用いられた。
(ブランケットによる導電性ペーストの受理性の確認試験(確認試験1))
受理工程において十分に凹版からブランケットに導電性ペーストが良好に移っているか否かということが、受理性の確認試験(確認試験1)の実施によって、確認された。確認試験1は、導電性パターンを有する基板の製造を10枚連続して実施し、10枚目の導電性パターンを有する基板を製造する際に受理工程を実施した直後のブランケット面を目視することで実施された。確認試験1の結果は次のように評価された。
受理工程において十分に凹版からブランケットに導電性ペーストが良好に移っているか否かということが、受理性の確認試験(確認試験1)の実施によって、確認された。確認試験1は、導電性パターンを有する基板の製造を10枚連続して実施し、10枚目の導電性パターンを有する基板を製造する際に受理工程を実施した直後のブランケット面を目視することで実施された。確認試験1の結果は次のように評価された。
◎(きわめて良好)ブランケット面には、導電性パターンを形成する1000個の単位パターンに対応する1000か所全ての位置に導電性ペーストが凹版から移っていると認められた。
○(良好)ブランケット面に、導電性パターンを形成する1000個の単位パターンに対応する1000か所のうち、800以上999か所以下で、凹版から導電性ペーストが移っていたことが認められた。
×(不良)ブランケット面に、導電性パターンを形成する1000個の単位パターンに対応する1000か所のうち、凹版から導電性ペーストが移っていたと認められたのは、799か所以下であった。
○(良好)ブランケット面に、導電性パターンを形成する1000個の単位パターンに対応する1000か所のうち、800以上999か所以下で、凹版から導電性ペーストが移っていたことが認められた。
×(不良)ブランケット面に、導電性パターンを形成する1000個の単位パターンに対応する1000か所のうち、凹版から導電性ペーストが移っていたと認められたのは、799か所以下であった。
(ブランケット表面から基板への導電性ペーストの転写性の確認試験(確認試験2))
転写工程においてブランケットの表面から基板面上に十分に導電性ペーストが転写されているか否かということが、転写性の確認試験(確認試験2)の実施によって、確認された。確認試験2は、導電性パターンを有する基板を製造する際に転写工程を実施した直後のブランケット面を光学顕微鏡(ピーク社製ポケットマイクロスコープ75倍)で観察する観察試験を10回繰り返すことで実施された。この10回の観察試験は次のように実施された。導電性パターンを有する基板の製造を10枚連続して実施し、1枚目の導電性パターンを有する基板を製造する際に転写工程を実施した直後のブランケット面を光学顕微鏡で観察することで第1回目の観察試験を実施し、順次10枚目の導電性パターンを有する基板を製造する際に転写工程を実施した直後のブランケットト面を光学顕微鏡で観察することで第10回目の観察試験を実施するまで、それぞれのブランケット面についての観察試験が行われた。確認試験2の結果は次のように評価された。
転写工程においてブランケットの表面から基板面上に十分に導電性ペーストが転写されているか否かということが、転写性の確認試験(確認試験2)の実施によって、確認された。確認試験2は、導電性パターンを有する基板を製造する際に転写工程を実施した直後のブランケット面を光学顕微鏡(ピーク社製ポケットマイクロスコープ75倍)で観察する観察試験を10回繰り返すことで実施された。この10回の観察試験は次のように実施された。導電性パターンを有する基板の製造を10枚連続して実施し、1枚目の導電性パターンを有する基板を製造する際に転写工程を実施した直後のブランケット面を光学顕微鏡で観察することで第1回目の観察試験を実施し、順次10枚目の導電性パターンを有する基板を製造する際に転写工程を実施した直後のブランケットト面を光学顕微鏡で観察することで第10回目の観察試験を実施するまで、それぞれのブランケット面についての観察試験が行われた。確認試験2の結果は次のように評価された。
◎(きわめて良好)第1回目の観察試験から第10回目の観察試験まで、全て、ブランケットの表面に導電性ペーストが認められないと判定された。
○(良好)第1回目の観察試験から第10回目の観察試験までの10回のうち、ブランケット面に導電ペーストを認められない状態であったと判断された場合が、7回以上9枚回であった。
×(不良) 第1回目の観察試験から第10回目の観察試験までの10回のうち、ブランケット面に導電ペーストを認められない状態であったと判断された場合が、7回未満であった。
○(良好)第1回目の観察試験から第10回目の観察試験までの10回のうち、ブランケット面に導電ペーストを認められない状態であったと判断された場合が、7回以上9枚回であった。
×(不良) 第1回目の観察試験から第10回目の観察試験までの10回のうち、ブランケット面に導電ペーストを認められない状態であったと判断された場合が、7回未満であった。
(基板上における導電性パターンの適切性の確認試験(確認試験3,4))
基板上における導電性パターンを形成する細幅の線状構造に欠損構造が形成されているか否か(確認試験3)、及び、導電性パターンを形成する細幅の線状構造が予定された寸法から大きく外れてパターン潰れを生じた部分を形成されているか否か(確認試験4)について、導電性パターンの適切性の確認試験を行うことで確認された。導電性パターンの適切性の確認試験(確認試験3,4)は、導電性パターンを有する基板の製造を10枚連続して実施し、得られた10枚の導電性パターンを有する基板のそれぞれの面を光学顕微鏡で観察する観察試験を10回繰り返すことで実施された。光学顕微鏡には、確認試験2と同様に、ピーク社製ポケットマイクロスコープ75倍が用いられた。導電性パターンの適切性の確認試験の結果は、欠損構造、パターン潰れに関してそれぞれ、次のように評価された。
基板上における導電性パターンを形成する細幅の線状構造に欠損構造が形成されているか否か(確認試験3)、及び、導電性パターンを形成する細幅の線状構造が予定された寸法から大きく外れてパターン潰れを生じた部分を形成されているか否か(確認試験4)について、導電性パターンの適切性の確認試験を行うことで確認された。導電性パターンの適切性の確認試験(確認試験3,4)は、導電性パターンを有する基板の製造を10枚連続して実施し、得られた10枚の導電性パターンを有する基板のそれぞれの面を光学顕微鏡で観察する観察試験を10回繰り返すことで実施された。光学顕微鏡には、確認試験2と同様に、ピーク社製ポケットマイクロスコープ75倍が用いられた。導電性パターンの適切性の確認試験の結果は、欠損構造、パターン潰れに関してそれぞれ、次のように評価された。
(欠損構造)
◎(きわめて良好) 10枚の導電性パターンを有する基板のうち、いずれの基板上における導電性パターンにも欠損構造が認められない。
○(良好) 10枚の導電性パターンを有する基板のうち、導電性パターンの欠損構造が認められない基板は、7枚以上9枚以下である。
×(不良) 10枚の導電性パターンを有する基板のうち、導電性パターンの欠損構造が認められない基板は、7枚未満である。
◎(きわめて良好) 10枚の導電性パターンを有する基板のうち、いずれの基板上における導電性パターンにも欠損構造が認められない。
○(良好) 10枚の導電性パターンを有する基板のうち、導電性パターンの欠損構造が認められない基板は、7枚以上9枚以下である。
×(不良) 10枚の導電性パターンを有する基板のうち、導電性パターンの欠損構造が認められない基板は、7枚未満である。
(パターン潰れ)
◎(きわめて良好) 10枚の導電性パターンを有する基板のうち、いずれの基板上における導電性パターンにも、予定された寸法から外れた導電性パターンの潰れ部分が認められない。
○(良好) 10枚の導電性パターンを有する基板のうち、予定された寸法から外れた導電性パターンの潰れ部分が認められない基板は、7枚以上9枚以下である。
×(不良) 10枚の導電性パターンを有する基板のうち、予定された寸法から外れた導電性パターンの潰れ部分が認められない基板は、7枚未満である。
◎(きわめて良好) 10枚の導電性パターンを有する基板のうち、いずれの基板上における導電性パターンにも、予定された寸法から外れた導電性パターンの潰れ部分が認められない。
○(良好) 10枚の導電性パターンを有する基板のうち、予定された寸法から外れた導電性パターンの潰れ部分が認められない基板は、7枚以上9枚以下である。
×(不良) 10枚の導電性パターンを有する基板のうち、予定された寸法から外れた導電性パターンの潰れ部分が認められない基板は、7枚未満である。
実施例2から13、比較例1から3
導電性ペーストを形成するために溶剤Kとして、表1に示す溶剤A,B,Cを表2の実施例2から13、比較例1から3に示すような含有率で混合することで形成された溶剤Kが、それぞれの実施例や比較例で使用されたほかは、実施例1と同様にして導電性ペーストが形成された。さらに、実施例2から13、比較例1から3について実施例1と同様に確認試験1から4が実施された。結果を表2に示す。また、比較例3については、基板上における導電性パターンの適切性の確認試験の結果について写真撮影を行った。結果を図3Bに示す。なお、図3Bにおいては、300μmの幅を表示することにてスケールが表示されている。比較例3の導電性ペーストを用いた基板においては、図3Bにも示すように、欠損構造(図3B中、符号Aで示す部分)、パターン潰れ部分(図3B中、符号Bで示す部分)が形成されていることが認められた。図3Bに示される一例に関しては、欠損構造は、符号Aで特定される部分のように、予め基板上に形成しようとして設定されたパターンと当該導電性パターンとを比較した場合に導電性パターンが切断された状態として確認された。また、パターン潰れ部分は、符号Bで特定される部分のように、ストライプ状の導電性パターンとして形成しようとして設定された線状の部分からはみ出た状態や、その線状の部分からみ出るだけでなく隣り合う線状の部分同士が接触した状態等として確認された。
導電性ペーストを形成するために溶剤Kとして、表1に示す溶剤A,B,Cを表2の実施例2から13、比較例1から3に示すような含有率で混合することで形成された溶剤Kが、それぞれの実施例や比較例で使用されたほかは、実施例1と同様にして導電性ペーストが形成された。さらに、実施例2から13、比較例1から3について実施例1と同様に確認試験1から4が実施された。結果を表2に示す。また、比較例3については、基板上における導電性パターンの適切性の確認試験の結果について写真撮影を行った。結果を図3Bに示す。なお、図3Bにおいては、300μmの幅を表示することにてスケールが表示されている。比較例3の導電性ペーストを用いた基板においては、図3Bにも示すように、欠損構造(図3B中、符号Aで示す部分)、パターン潰れ部分(図3B中、符号Bで示す部分)が形成されていることが認められた。図3Bに示される一例に関しては、欠損構造は、符号Aで特定される部分のように、予め基板上に形成しようとして設定されたパターンと当該導電性パターンとを比較した場合に導電性パターンが切断された状態として確認された。また、パターン潰れ部分は、符号Bで特定される部分のように、ストライプ状の導電性パターンとして形成しようとして設定された線状の部分からはみ出た状態や、その線状の部分からみ出るだけでなく隣り合う線状の部分同士が接触した状態等として確認された。
実施例14
流動性調整剤としてシリカ(日本アエロジル株式会社、AEROSIL(商標)200)を準備して、導電性ペーストを構成する成分として、流動性調整剤0.35質量部を更に添加した他は、実施例1と同様にして導電性ペーストを作成した。更に添加した他は、また、得られた導電性ペーストを用いて、実施例1と同様にして各確認試験を行った。結果を表2に示す。また、実施例14については、基板上における導電性パターンの適切性の確認試験の結果について写真撮影を行った。結果を図3Aに示す。なお、図3Aにおいては、300μmの幅を表示することにてスケールが表示されている。実施例14の導電性ペーストを用いた基板においては、図3Aにも示すように、欠損構造、パターン潰れ部分のいずれも認められなかった。
流動性調整剤としてシリカ(日本アエロジル株式会社、AEROSIL(商標)200)を準備して、導電性ペーストを構成する成分として、流動性調整剤0.35質量部を更に添加した他は、実施例1と同様にして導電性ペーストを作成した。更に添加した他は、また、得られた導電性ペーストを用いて、実施例1と同様にして各確認試験を行った。結果を表2に示す。また、実施例14については、基板上における導電性パターンの適切性の確認試験の結果について写真撮影を行った。結果を図3Aに示す。なお、図3Aにおいては、300μmの幅を表示することにてスケールが表示されている。実施例14の導電性ペーストを用いた基板においては、図3Aにも示すように、欠損構造、パターン潰れ部分のいずれも認められなかった。
実施例15から29、比較例4から13
導電性ペーストを形成するために溶剤Kとして、表1に示す溶剤A,B,Cの中から各溶剤を選択して表3の実施例15から29、表4の比較例4から13に示すような質量比率で混合することで形成された溶剤Kを作成して導電性ペーストを形成した他は、実施例1と同様にして導電性ペーストを作成した。溶剤A,B,Cの質量比率に関する表3の数字は、溶剤A、溶剤B及び溶剤Cの各溶剤成分の合計質量に対する質量比率(質量%)を示す。また、得られた導電性ペーストを用いて、実施例1と同様にして各確認試験を行った。結果を表3、表4に示す。
導電性ペーストを形成するために溶剤Kとして、表1に示す溶剤A,B,Cの中から各溶剤を選択して表3の実施例15から29、表4の比較例4から13に示すような質量比率で混合することで形成された溶剤Kを作成して導電性ペーストを形成した他は、実施例1と同様にして導電性ペーストを作成した。溶剤A,B,Cの質量比率に関する表3の数字は、溶剤A、溶剤B及び溶剤Cの各溶剤成分の合計質量に対する質量比率(質量%)を示す。また、得られた導電性ペーストを用いて、実施例1と同様にして各確認試験を行った。結果を表3、表4に示す。
実施例30
流動性調整剤としてシリカ(日本アエロジル株式会社、AEROSIL(商標)200)を準備して、導電性ペーストを構成する成分として、流動性調整剤0.35質量部を更に添加した他は、実施例21と同様にして導電性ペーストを作成した。また、得られた導電性ペーストを用いて、実施例1と同様にして各確認試験を行った。結果を表3に示す。
流動性調整剤としてシリカ(日本アエロジル株式会社、AEROSIL(商標)200)を準備して、導電性ペーストを構成する成分として、流動性調整剤0.35質量部を更に添加した他は、実施例21と同様にして導電性ペーストを作成した。また、得られた導電性ペーストを用いて、実施例1と同様にして各確認試験を行った。結果を表3に示す。
実施例31
流動性調整剤としてシリカ(日本アエロジル株式会社、AEROSIL(商標)200)を準備して、導電性ペーストを構成する成分として、流動性調整剤0.35質量部を更に添加し、B溶剤をB−3溶剤とした他は、実施例21と同様にして導電性ペーストを作成した。また、得られた導電性ペーストを用いて、実施例1と同様にして各確認試験を行った。結果を表3に示す。
流動性調整剤としてシリカ(日本アエロジル株式会社、AEROSIL(商標)200)を準備して、導電性ペーストを構成する成分として、流動性調整剤0.35質量部を更に添加し、B溶剤をB−3溶剤とした他は、実施例21と同様にして導電性ペーストを作成した。また、得られた導電性ペーストを用いて、実施例1と同様にして各確認試験を行った。結果を表3に示す。
実施例32
導電性ペーストを構成する成分として、焼結調整剤の添加を実施しなかった他は、実施例1と同様にして導電性ペーストを作成した。また、得られた導電性ペーストを用いて、実施例1と同様にして確認試験1から4を行った。結果は、確認試験1から3が◎(極めて良好)であり、確認試験4は○(良好)であった。
導電性ペーストを構成する成分として、焼結調整剤の添加を実施しなかった他は、実施例1と同様にして導電性ペーストを作成した。また、得られた導電性ペーストを用いて、実施例1と同様にして確認試験1から4を行った。結果は、確認試験1から3が◎(極めて良好)であり、確認試験4は○(良好)であった。
実施例33
導電性ペーストを構成する成分の導電性粒子としてニッケル微粒子に変えて銀の微粒子(平均粒子径500nm)を用いた他は、実施例1と同様にして導電性ペーストを作成した。また、得られた導電性ペーストを用いて、実施例1と同様にして確認試験を行った。確認試験1から4を行った。結果は、結果は、確認試験1から3が◎(極めて良好)であり、試験結果4は○(良好)であった。なお、銀は、導電性と導電性パターンを形成する観点からはニッケルと同等以上となっているが、耐錆性(錆難さ)の点からは、一般的に、銀よりもニッケルが好ましく、錆が生じやすい環境で使用される可能性がある電子部品を形成するための導電性ペーストの用途では、ニッケルが好適に使用されてよい。
導電性ペーストを構成する成分の導電性粒子としてニッケル微粒子に変えて銀の微粒子(平均粒子径500nm)を用いた他は、実施例1と同様にして導電性ペーストを作成した。また、得られた導電性ペーストを用いて、実施例1と同様にして確認試験を行った。確認試験1から4を行った。結果は、結果は、確認試験1から3が◎(極めて良好)であり、試験結果4は○(良好)であった。なお、銀は、導電性と導電性パターンを形成する観点からはニッケルと同等以上となっているが、耐錆性(錆難さ)の点からは、一般的に、銀よりもニッケルが好ましく、錆が生じやすい環境で使用される可能性がある電子部品を形成するための導電性ペーストの用途では、ニッケルが好適に使用されてよい。
なお、実施例1と実施例14については、確認試験3、4のいずれについても欠損構造や導電性パターンの潰れ部分が認められなかった基板を用いて、導電性パターンの形状安定性試験が次に示すように実施された。
(導電性パターンの形状安定性試験)
確認試験3、4を実施した際に、確認試験3,4のいずれにおいても欠損構造や導電性パターンの潰れ部分が認められなかった基板を1枚選択して、更に加熱処理が施された(焼結工程)。焼結工程は、1000℃の炉内に、基板を120分置くことで実施された。焼結工程においては、導電性パターンを形成する導電性ペーストに含まれる樹脂が分解され且つ導電性ペーストに含まれる導電性粒子が焼結された。燒結工程後の基板について、基板面上の導電性パターンを光学顕微鏡にて確認したところ、欠損構造や導電性パターンの潰れ部分が認められなかった。光学顕微鏡には、確認試験2から4と同様に、ピーク社製ポケットマイクロスコープ75倍が用いられた。
確認試験3、4を実施した際に、確認試験3,4のいずれにおいても欠損構造や導電性パターンの潰れ部分が認められなかった基板を1枚選択して、更に加熱処理が施された(焼結工程)。焼結工程は、1000℃の炉内に、基板を120分置くことで実施された。焼結工程においては、導電性パターンを形成する導電性ペーストに含まれる樹脂が分解され且つ導電性ペーストに含まれる導電性粒子が焼結された。燒結工程後の基板について、基板面上の導電性パターンを光学顕微鏡にて確認したところ、欠損構造や導電性パターンの潰れ部分が認められなかった。光学顕微鏡には、確認試験2から4と同様に、ピーク社製ポケットマイクロスコープ75倍が用いられた。
さらに、実施例1と実施例32について、確認試験3,4で欠損構造や導電性パターンの潰れ部分が認められなかった基板を1枚用いて、「導電性パターンの形状安定性試験」に示す焼結工程と同様の方法で、それぞれ焼結工程が施された。さらに焼結工程後の基板について、次に示す保形性試験が実施された。
(保形性試験)
保形性試験は、外部から基板に作用させた力に対する導電性パターンの破壊されにくさを、次のように2段階の試験で確認することで実施された。
保形性試験は、外部から基板に作用させた力に対する導電性パターンの破壊されにくさを、次のように2段階の試験で確認することで実施された。
実施例32の基板について、導電性ペーストで形成された導電性パターンに対してJIS H 8504 (1999)「めっきの密着性試験方法」のテープ試験に準じた試験を実施した。試験では、導電性パターンが基板から剥がれたか否か(剥がれ発生の有無)が確認された(第1段階の試験)。剥がれの発生の有無の確認は、テープ粘着面に導電性パターンの付着物が確認できるか否かを観察することで実施された。観察には、光学顕微鏡(ピーク社製ポケットマイクロスコープ75倍)が用いられた。この観察によって剥がれの発生が確認されない場合には、導電性パターンを有する基板として良好であると認められる。そして、導電性パターンを有する基板として良好であると認められる場合には、第2段階の試験を実施した。第2段階の試験では、実施例32の基板の表面に形成された導電性パターンをナイフで切断し、切断箇所を覆うようにテープを貼付する他は、第1段階の試験と同様にして、剥がれ発生の有無が確認された。第2段階の試験において剥がれの発生が確認されない場合には、導電性パターンを有する基板としてきわめて良好であると認められる。
実施例32の基板についての保形性試験の結果、第1段階の試験では、剥がれ発生が確認されず、導電性パターンを有する基板として良好であると認められたものの、第2段階の試験では、剥がれ発生が確認された。
実施例1の基板について、実施例32と同様の方法にて保形性試験が実施された。結果は、第1段階の試験、第2段階の試験のいずれにおいても、剥がれ発生が確認されず、実施例1の基板は、導電性パターンを有する基板としてきわめて良好であると認められた。
1 凹版
2 溝
3 導電性ペースト
4 ドクターブレード
5 ブランケット
6 基板
7 グリーンシート
8 単位パターン
10 内部電極形成体
11 焼結積層構造物
12 外部電極
13 積層セラミックコンデンサ
14 内部電極
15 セラミック構造体
2 溝
3 導電性ペースト
4 ドクターブレード
5 ブランケット
6 基板
7 グリーンシート
8 単位パターン
10 内部電極形成体
11 焼結積層構造物
12 外部電極
13 積層セラミックコンデンサ
14 内部電極
15 セラミック構造体
Claims (12)
- 導電性粒子と、
バインダー樹脂と、
250℃以上の沸点及び9.5以上のSP値を有する第一溶剤と、
250℃未満の沸点を有する第二溶剤と、を含むことを特徴とする導電性ペースト。 - 導電性粒子はニッケルを含む、請求項1に記載の導電性ペースト。
- 流動性調整剤を含む、請求項1または2に記載の導電性ペースト。
- 焼結調整剤を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
- 前記第一溶剤が、前記第一溶剤と前記第二溶剤の合計質量に対する質量比率で2質量%以上80質量%以下の範囲で含まれており、
前記第二溶剤が、前記第一溶剤と前記第二溶剤の合計質量に対する質量比率で20質量%以上98質量%以下の範囲で含まれている、請求項1から4のいずれか1項に記載の導電性ペースト。 - 前記第一溶剤が、下記化学式1から化学式4のいずれかで表される溶剤からなる溶剤群から選ばれる少なくとも1種類の溶剤を含む、請求項1から5のいずれかに記載の導電性ペースト。
- 前記第二溶剤が、テルペン型アルコール系溶剤、下記化学式5または化学式6で表される溶剤、及び炭素数3から11の飽和1価アルコール系溶剤からなる溶剤群から選ばれる少なくとも1種類の溶剤を含む、請求項1から6のいずれかに記載の導電性ペースト。
- 前記第二溶剤は、9.6以下のSP値を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
- 前記第二溶剤は、120℃以上の沸点を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
- 積層セラミックコンデンサ内部電極形成用である、請求項1から9のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
- グラビアオフセット印刷用である、請求項1から10のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
- 請求項1から10のいずれか1項に記載の導電性ペーストを用い、
導電性パターンが凹状に形成された凹版を用いたグラビアオフセット印刷法により基板表面に導電性パターンを印刷形成することを特徴とする導電性パターンを有する基板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016255790A JP2018107089A (ja) | 2016-12-28 | 2016-12-28 | 導電性ペースト、及び、導電性パターンを有する基板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016255790A JP2018107089A (ja) | 2016-12-28 | 2016-12-28 | 導電性ペースト、及び、導電性パターンを有する基板の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2018107089A true JP2018107089A (ja) | 2018-07-05 |
Family
ID=62788020
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2016255790A Pending JP2018107089A (ja) | 2016-12-28 | 2016-12-28 | 導電性ペースト、及び、導電性パターンを有する基板の製造方法 |
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JP (1) | JP2018107089A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020136604A (ja) * | 2019-02-25 | 2020-08-31 | Tdk株式会社 | 積層電子部品の製造方法 |
-
2016
- 2016-12-28 JP JP2016255790A patent/JP2018107089A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020136604A (ja) * | 2019-02-25 | 2020-08-31 | Tdk株式会社 | 積層電子部品の製造方法 |
JP7251208B2 (ja) | 2019-02-25 | 2023-04-04 | Tdk株式会社 | 積層電子部品の製造方法 |
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