JP2004179568A - 積層セラミック部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】セラミックグリーンシートとセラミックパターンとの区別が明確になり、安定且つ簡単な製造が可能な積層セラミック部品の製造方法を提供する。
【解決手段】積層セラミック部品の製造方法は、積層された複数のセラミックグリーンシート3間に、矩形状の導体パターン7及びその周辺に形成されたセラミックパターン5を介在してなる大型積層体9を作製する工程と、大型積層体13を所定位置で切断して未焼成状態の積層体を作製する工程とを具備する積層セラミック部品の製造方法であって、セラミックパターン5は、セラミックグリーンシート3と実質的に同一のセラミック成分と、セラミックグリーンシート3と異なる色彩の高分子材料とを含有する。
【選択図】図2
【解決手段】積層セラミック部品の製造方法は、積層された複数のセラミックグリーンシート3間に、矩形状の導体パターン7及びその周辺に形成されたセラミックパターン5を介在してなる大型積層体9を作製する工程と、大型積層体13を所定位置で切断して未焼成状態の積層体を作製する工程とを具備する積層セラミック部品の製造方法であって、セラミックパターン5は、セラミックグリーンシート3と実質的に同一のセラミック成分と、セラミックグリーンシート3と異なる色彩の高分子材料とを含有する。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層セラミック部品の製造方法に関し、特に、配線基板や積層セラミックコンデンサのようにセラミックグリーンシート及び導体パターンが薄層多層化された積層セラミック部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、電子機器の小型化、高密度化に伴い、積層セラミック部品中に導体パターンが形成された配線基板や積層セラミックコンデンサは、小型薄型化及び高寸法精度が求められており、例えば、積層セラミックコンデンサでは小型高容量化が求められ、このためセラミックグリーンシートや導体パターンの薄層化及び多層化が進められている。
【0003】
このような積層セラミック部品では、セラミックグリーンシートの薄層化及び多層化に伴い、セラミックグリーンシート上に形成された導体パターンの厚みが大きく影響するようになり、導体パターンが形成されている部分と形成されていない部分との間で導体パターンの厚みによる段差が累積し、導体パターンの無い周囲のセラミックグリーンシート同士の密着が弱くなり、焼成時のデラミネーションやクラックが発生しやすくなる。このためセラミックグリーンシート上の段差を無くす工夫が図られている。
【0004】
このような積層セラミック部品の製造方法として、例えば、特開2000−311831号公報に開示されるようなものが知られている。この公報に開示された積層セラミック部品の製造方法では、図6に示すように、セラミックグリーンシート81の主面上に形成された導体パターン83と同じ高さのセラミックパターン85が形成され、これにより導体パターン83の厚みによる段差を実質的に無くすことができ、導体パターン83の厚みの影響を受けない状態で、セラミックグリーンシート81を積層することができる(特開2000−311831号公報参照)。
【0005】
尚、このような積層セラミック部品の製造方法では、セラミックグリーンシート81の主面上に、先ず、導体ペーストを印刷して導体パターン83を所定間隔をおいて複数形成し、次いで、この導体パターン83間に、セラミック粉末を含有するセラミックペーストを印刷してセラミックパターン85が形成される。
【特許文献1】
特開2000−311831号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の製造方法において、セラミックパターン85に印刷ずれが発生した場合、導体パターン83間に確実に充填されているかを確認する必要がある。この場合、セラミックパターン85に位置ずれが発生し、導体パターン83の周囲に下層のセラミックグリーンシート81が露出していても、セラミックパターン85との色彩が実質的に同一であると、セラミックパターン85のずれ量を確認することが困難となる。その結果、導体パターン83の周囲に、過度の空隙が存在した状態で積層、焼成処理を行うことにより、大型積層体の状態でデラミネーションが発生しやすくなる。即ち、セラミックパターン85のずれ量を未然に確認することができないため、無駄な工程、無駄な材料を費やすことになってしまう。
【0007】
また、上記積層セラミック部品の製造方法では、導体パターン83の薄層化を図るために、金属粉末の含有量を低減して調製した低粘度の導体ペーストが用いられるため、印刷時に導体ペーストのにじみが発生しやすくなり、導体パターン83の面積のばらつきが大きくなり、例えば、積層セラミックコンデンサを形成した場合には静電容量のばらつきが増大したり、短絡が生じやすくなるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、セラミックグリーンシートまたは導電性ペーストに対するとセラミックパターンの形成領域を明確化することにより、導体パターンの周囲の段差を解消できる積層セラミック部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層セラミック部品の製造方法は、積層された複数のセラミックグリーンシート間に、矩形状の導体パターン及びその周辺に形成されたセラミックパターンを介在してなる大型積層体を作製する工程と、該大型積層体を所定位置で切断して未焼成状態の積層体を作製する工程とを具備する積層セラミック部品の製造方法であって、前記セラミックパターンは、前記セラミックグリーンシートと実質的に同一のセラミック成分と、前記セラミックグリーンシートと異なる色彩の高分子材料とを含有する。
【0010】
【作用】
本発明によれば、セラミックパターンは、セラミックグリーンシートと実質的に同一のセラミック成分と、前記セラミックグリーンシートと異なる色彩の高分子材料とを含有している。例えばセラミックグリーンシート上、まず、セラミックパターンを形成し、次いで、導体パターンを形成する場合、セラミックグリーンシートと色彩が相違するセラミックパターンの位置を基準にして、導体パターンを形成することができることから、精度良くセラミックパターンの内側に導体パターンを形成することができる。また、このとき、導体パターンを低粘度の導体ペーストを用いることができるため、導体パターンの周辺がセラミックパターンに囲まれた状態であるため、にじみを抑制でき、例えば、積層セラミックコンデンサの静電容量のばらつきや短絡を防止することができる。
【0011】
また、例えばセラミックグリーンシート上、まず、導体パターンを形成し、次いで、セラミックパターンを形成する場合、セラミックグリーンシートと色彩が相違するセラミックパターンにより、セラミックパターンの印刷ずれを簡単に把握できるため、位置ずれの大きいグリーンシートを除外することができるため、その後の工程が不要となり、無駄な工程、無駄な材料を省くことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の積層セラミック部品の製造方法を図面に基づいて詳説する。尚、説明は、積層セラミック部品の一つである積層セラミックコンデンサを例に説明する。
【0013】
図1は、本発明の導電性ペーストを用いた積層セラミックコンデンサを示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は縦断面図である。
【0014】
図において、21は積層体であり、22は積層体21を構成する誘電体層、23は積層体21内に形成した内部電極層であり、24は外部電極である。尚、内部電極層の周囲の誘電体層21間に誘電体充填層が配置されているが、実際にこの誘電体充填層は図2に示すように誘電体層21と一体化するため、図では省略している。
【0015】
誘電体層22は、チタン酸バリウムを主成分とする非還元性誘電体材料、及びガラス粉末を含む誘電体材料からなり、その形状は、2.0mm×1.2mmなどであり、その厚みは高容量化のために1〜5μmとしている。この誘電体層2が図上、上方向に積層して積層体21が構成される。なお、誘電体層22の形状、厚み、積層数は容量値によって任意に変更することができる。
【0016】
内部電極層23、23は、Niを主成分とする材料から構成されている。そして、誘電体層22の積層方向に隣接しあう一対の内部電極層23、23は、互いに積層体1の異なる端面側に延出し、各々異なる外部電極24、24に接続されている。その厚みは1〜2μmとしている。
【0017】
外部電極24、24は、導電性ペーストを焼き付けることによって得られる下地導体膜と、表面メッキ層(図示せず)とから構成されている。外部電極24、24の下地導体膜は、銅を主成分とする導体及びガラス粉末によって構成されている。表面メッキ層は、Niメッキ、Snメッキ、半田メッキなどが例示できる。
【0018】
図2の積層セラミックコンデンサの積層体21が複数抽出できる未焼成状態の大型積層体を形成する工程を示すものである。
【0019】
図2(a)に示すように、まず、支持体(キャリアフィルム)1上にセラミックスラリを塗布して、誘電体層22となるセラミックグリーンシート3を形成する。
【0020】
本発明のセラミックグリーンシート3を形成するためのセラミックスラリは、例えば、セラミック粉体と、有機バインダと、この有機バインダを溶解する溶媒とを混合したものが用いられる。
【0021】
セラミック粉体としては、例えば、BaTiO3を主成分とするセラミック粉体が好適に用いられる。また、耐還元性を高めるための公知の添加剤や焼結助剤として、ガラス粉末を加えてもよい。
【0022】
有機バインダとしては、ポリビニルブチラール樹脂が、また、溶媒としてはトルエンとエチルアルコールとを混合したものが好適に用いられる。また、その他のバインダとしては、セラミック粉体や溶媒との分散性、セラミックグリーンシート3の強度、脱バインダ性の点でアクリル樹脂を用いることもできる。
【0023】
また、このセラミックグリーンシート3の厚みは、小型、大容量化という理由から、1.5〜4μmであることが望ましい。
【0024】
次に、図2(b)に示すように、このセラミックグリーンシート3の一方主面上にセラミックペーストを印刷して例えば平面視格子状態のセラミックパターン5を形成する。このとき、セラミックグリーンシートとは異なる色彩のセラミックパターン5を形成する。ここで、画像認識装置によりセラミックパターン5を認識させるためには、セラミックグリーンシート3とセラミックパターン5のコントラスト比が20%以上であることが望ましい。
【0025】
次に、図2(c)に示すように、この格子状のセラミックパターン5の内側に、導体ペーストを印刷して内部電極層23となる導体パターン7を形成する。このとき、画像認識装置により、セラミックパターン5の位置を基準にして、導体パターン7を形成することができることから、精度良くセラミックパターン5の内側に導体パターン7を形成することができる。
【0026】
図3は、セラミックグリーンシート3上に形成されたセラミックパターン5及び導体パターン7の配置を示す斜視図である。このように、矩形状の導体パターン7が所定間隔Lをおいて複数形成され、この導体パターン7間に、導体パターン7の厚みによる段差を実質的に無くすようにセラミックパターン5が形成されている。
【0027】
次に、図2(d)、(e)に示すように、セラミックパターン5及び導体パターン7を形成したセラミックグリーンシート3を複数積層して未焼成状態の大型積層体13を形成する。図2(d)はサイドマージン側、図2(e)はエンドマージン側の断面図である。
【0028】
この後、この大型積層体13を点線部Cで切断して積層体成形体を形成した後、さらに、この未焼成状態の積層体を所定の雰囲気及び温度条件下で焼成することにより、図1に示す積層体21が達成され、さらに、外部電極24を形成して、セラミック層と内部電極層を具備する積層セラミックコンデンサを形成する。
【0029】
上述の製造方法において、セラミックパターン5が、焼成後にセラミック層(誘電体層)21と略同一の色彩となるようにすれば、最終製品としての積層セラミックコンデンサの外観不良が問題になることがなく、また、セラミックパターン5部分の焼成物である誘電体充填層は図1において省略している。
【0030】
本発明の積層セラミック部品の製造方法では、まず、グリーンシート3上に格子状のセラミックパターン5を形成し、この格子状のセラミックパターン5から露出するグリーンシートの領域に低粘度の導体ペーストを用いても導体パターン7を形成している。即ち、導体パターン7を形成するにあたりセラミックグリーンシート3と色彩の相違するセラミックパターン5を基準に導体ペーストの印刷が可能となるため、面積精度の高い導体パターン7となる。また、導体パターン形成領域が特定されることから、低粘度の導体ペーストであっても導体パターン7を安定して形成できる。導体パターン7が印刷後乾燥されるまでの間に、導体パターン7の周辺がセラミックパターン5に囲まれた状態となり印刷時のにじみを抑制でき、導体パターン7の有効面積に起因する、例えば、積層セラミックコンデンサの静電容量のばらつきを小さくすることができるとともに短絡を防止できる。
【0031】
また、この製造方法によれば、セラミックペーストを印刷、乾燥してセラミックパターン5を形成した後に、導体ペーストを印刷、乾燥して導体パターン7を形成するため、導体パターン7の乾燥工程は1回だけとなる。このため積層までの工程において導体パターン7中に含まれる溶剤の揮発を抑えることができることから、導体パターン7とセラミックグリーンシート3の密着性を高めることができ、このためこれらの層の焼結性をも高めることができることからデラミネーションを低減できる。
【0032】
さらに、この製造方法によれば、平坦なセラミックグリーンシート3の主面上に導体パターン7を形成できることから、導体パターン7の形成精度が良好になり、容量ばらつきを低減できるとともに、積層数を増大しても導体パターン7の形成精度には影響しないことから、積層セラミック部品の高積層化や大型化を実現できる。
【0033】
図5はセラミックグリーンシート3上に形成されたセラミックパターン5及び導体パターン7の要部拡大図である。図5に示すように、セラミックパターン5と導体パターン7とは、セラミックパターン5の厚みをt1、導体パターン7の厚みをt2としたときに、t1>t2の関係を満足することが望ましく、特に、t1/t2比は1.05〜1.2の範囲であることがより望ましい。
【0034】
このようにセラミックパターン5の厚みを厚く形成することにより、導体パターン7形成時の導体ペーストのセラミックパターン5側へのにじみによる乗り上げを抑制するとともに、セラミックパターン5及び導体パターン7が形成されたセラミックグリーンシート3を吸着する積層ヘッドによる導体パターン7の変形を抑制できる。さらに、仮積層体を加圧加熱して大型積層体13を形成する際にも、まずセラミックパターン5が圧力を受け、導体パターン7は徐々に圧力を受けることから、ショートや絶縁不良を抑制できる。ここで、導体パターン7厚みは、積層セラミックコンデンサの小型、高信頼性化という点から3μm以下、特には1μm以下であることが望ましい。
【0035】
また、セラミックパターン5の周辺部9は導体パターン7の形状の精度を高め、かつ導体ペーストの印刷時の乗り上げを防止するという理由から、セラミックパターン5の角度θは0.5°以上の傾斜面11を形成していることが望ましく、特に、その角度は1〜40°であることが望ましい。
【0036】
また、セラミックパターン5と導体パターン7とは、周辺部9で接していることが望ましく、両パターン間の空隙を低減し変形を防止するという点で、導体パターン7がセラミックパターン5の周辺部9の傾斜面11に重なっていることがより望ましい。
【0037】
本発明のセラミックパターン5を形成するためのセラミックペーストは、セラミック粉末と、有機溶剤と、この有機溶剤に対して可溶性の有機粘結剤及び着色剤とを含有するものである。
【0038】
このセラミックペーストに用いるセラミック粉末の組成は、セラミックグリーンシート3の粉末組成もしくは異なる粉末組成の何れかを適用できるが、セラミックグリーンシート3とセラミックパターン5との焼成収縮率を合致させるという理由から、セラミックペーストはセラミックグリーンシート3を形成するセラミックスラリと実質的に同じセラミック粉末組成であることが望ましい。
【0039】
また、有機溶剤としては、脂肪族炭化水素と高級アルコールとの混合物からなるものが好適に用いられ、さらに、有機粘結剤としてはエチルセルロースが好適に用いられる。
【0040】
さらに、セラミックパターン5がセラミックグリーンシート3及び導体パターン7と異なる色彩を有するように、セラミックペースト中に高分子材料の着色剤が添加される。着色剤は、セラミックペースト中の有機溶剤に溶解し、均一なペーストとなることが求められる。また、セラミックパターンが、焼成後にセラミック層と略同一の色彩となるように、着色剤はC、O、N、H原子など、脱バインダ時に燃焼分解する原子から構成される有機化合物が望ましい。具体的には、有機化合物の構造中に、−CH=CH−、−N=N−などの不飽和結合を持つ基(発色団)が存在すると、その有機化合物が特定の波長の光(スペクトル色)を吸収して、吸収されない部分の光(余色)が肉眼あるいは画像処理により検出されることを利用する。あるいは、有機化合物の構造中に、−NH2、−OHなどの遊離電子対を持つ基(助色団)を入れると、その吸収波長が長波長側あるいは短波長側に移動することを利用しても良い。また、有機EL材料、フォトクロミック有機材料等、光照射により着色する材料を用いても良い。
【0041】
また、このセラミックペーストの粘度は、このセラミックペースト中のセラミック粉末、有機粘結剤、有機溶剤及び分散剤を適正化して制御でき、このことによりセラミックペーストにチクソトロピック性を付与することができる。
【0042】
そして、このセラミックペーストの粘度特性としては、250〜500Pa・sであることが望ましく、セラミックペーストをこのような粘度特性とすることにより、印刷時ににじみのないセラミックパターン5を形成できるとともに、このセラミックパターン5間に形成される導体パターン7のにじみによる流出や乗り上げを防止するための傾斜面11を容易に形成できる。
【0043】
一方、導体パターン7を形成するための導体ペーストとしては、金属粒子と、有機溶剤と、この有機溶剤に対して可溶性の有機粘結剤とを含有するものが好適に用いられる。
【0044】
金属粒子としては、Ni、Co、Cuの群から選ばれる少なくとも1種の金属粒子が好ましいが、金属の焼成温度が一般の絶縁体の焼成温度と一致する点、及びコストが安いという点からNiが望ましい。また、固形分として、金属粒子以外に、導体パターン7の焼結性を抑えるために微細なセラミック粉末を混合して用いることが好ましい。
【0045】
さらには、導体ペーストの有機粘結剤及び有機溶剤は、セラミックペーストの印刷と同じ条件を採用できること及びセラミックグリーンシート3の表面からの粘結剤の揮発速度を一致させるという理由から、導体ペーストはセラミックペーストと同じ組成であることが望ましい。そして、本発明では、このように形成される導体パターン7が電子部品の一つである積層セラミックコンデンサの内部電極層となることが好ましい。
【0046】
また、本発明の導体パターン7では、積層体成形体を構成する1層のセラミックグリーンシート3の主面の面積をA1、その主面に形成される導体パターン7の面積をA2としたときに、A2/A1>0.6の関係を満足することが望ましく、このように導体パターン7の有効面積が大きくなり、より高いパターン精度が要求される場合に、セラミックパターン5による導体パターン7の面積精度を高めるという本発明の製造方法がより好適であり、このように導体パターン7の有効面積を大きくすることにより積層セラミックコンデンサの静電容量をさらに高めることができる。
【0047】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更・改良を加えることは何ら差し支えない。
【0048】
図4は本発明の他の実施形態の積層セラミック部品の製造方法の工程図である。図4(a)に示すように、支持体(台板)1上にセラミックグリーンシート3aを搭載する工程と、(b)に示すようにセラミックグリーンシート3aの主面上における導体パターン7が形成される領域を囲む部分にセラミックペーストを印刷して、セラミックグリーンシート3aとは異なる色彩のセラミックパターン5を形成する工程と、(c)に示すようにセラミックパターン5の内側に導体パターン7を形成する工程と、(d)に示すようにセラミックパターン5及び導体パターン7が形成されたセラミックグリーンシート3a上に、別のセラミックグリーンシート3bを搭載する工程と、(e)に示すようにセラミックグリーンシート3bの主面上に、セラミックパターン5及び導体パターンを形成する工程とを繰り返すことにより、(f)に示す大型積層体13が作製される。この製造方法によれば、積層精度が良好になり、容量ばらつきを低減できるとともに、サイドマージンやエンドマージンを小さくできることから、積層セラミック部品の小型化に対応できる。さらに、(d)に示す工程において、セラミックパターン5及び導体パターン7が形成されたセラミックグリーンシート3a上に、フィルムによって裏打ちされた別のセラミックグリーンシート3bを載置し、フィルム側から加圧加熱することにより、セラミックグリーンシート3bをセラミックグリーンシート3a上に積層するようにしても良い。このことにより、セラミックグリーンシート3bを吸着する工程を設ける必要がないため、セラミックグリーンシート3bの欠陥を防止することができる。
【0049】
また、上記実施の形態では、セラミックパターン5が着色するようにしたが、セラミックグリーンシート3が着色するようにしても良い。
【0050】
さらに、セラミックパターン5が焼成後にセラミック層と異なる色彩となるようにしても良い。このことにより、外観から積層セラミック部品の積層方向を容易に判別することができる。
【0051】
上述の実施例では、セラミックグリーンシート上、まず、セラミックパターンを形成し、次いで、導体パターンを形成する製造方法で説明したが、例えばセラミックグリーンシート上、まず、導体パターンを形成し、次いで、セラミックパターンを形成する場合、セラミックグリーンシートと色彩が相違するセラミックパターンにより、セラミックパターンの印刷ずれを簡単に把握できるため、位置ずれの大きいグリーンシートを除外することができるため、その後の工程が不要となり、無駄な工程、無駄な材料を省くことができる。
【0052】
上記実施の形態では、本発明を積層セラミックコンデンサに適用した例を用いて説明したが、本発明は、その他の電子部品や、半導体部品などにも適用できる。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明によれば、セラミックパターンは、セラミックグリーンシートと実質的に同一のセラミック成分と、前記セラミックグリーンシートと異なる色彩の高分子材料とを含有するため、セラミックグリーンシートとセラミックパターンとのコントラスト差が明確となり、セラミックパターンの形成位置を確認できる。このため、導体パターンの印刷時の位置決めが容易になり、その結果、例えば、積層セラミックコンデンサの静電容量のばらつきや短絡を防止することができる。また、導体パターンに対するセラミックパターンの位置ずれが明確になるため、不量なセラミックグリーンシートを後工程に回すことなく、廃棄できるため、無駄な工程、無駄な材料の発生を有効に抑えることかできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層セラミック部品である積層セラミックコンデンサを示し、(a)は、外観斜視図であり、(b)は断面図である。
【図2】(a)〜(d)は本発明の積層セラミック部品を製造するための主要工程の各断面であり、(e)は図2の(d)に相当する断面図のエンドマージン側の断面図である。
【図3】セラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターン及び導体パターンの配置を示す斜視図である。
【図4】(a)〜(f)本発明の他の実施の形態の積層セラミック部品を製造するための工程図である。
【図5】セラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターン及び導体パターンの要部拡大図である。
【図6】従来のセラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターン及び導体パターンの要部拡大図である。
【符号の説明】
1 支持体
3 セラミックグリーンシート
5 セラミックパターン
7 導体パターン
13 大型積層体
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層セラミック部品の製造方法に関し、特に、配線基板や積層セラミックコンデンサのようにセラミックグリーンシート及び導体パターンが薄層多層化された積層セラミック部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、電子機器の小型化、高密度化に伴い、積層セラミック部品中に導体パターンが形成された配線基板や積層セラミックコンデンサは、小型薄型化及び高寸法精度が求められており、例えば、積層セラミックコンデンサでは小型高容量化が求められ、このためセラミックグリーンシートや導体パターンの薄層化及び多層化が進められている。
【0003】
このような積層セラミック部品では、セラミックグリーンシートの薄層化及び多層化に伴い、セラミックグリーンシート上に形成された導体パターンの厚みが大きく影響するようになり、導体パターンが形成されている部分と形成されていない部分との間で導体パターンの厚みによる段差が累積し、導体パターンの無い周囲のセラミックグリーンシート同士の密着が弱くなり、焼成時のデラミネーションやクラックが発生しやすくなる。このためセラミックグリーンシート上の段差を無くす工夫が図られている。
【0004】
このような積層セラミック部品の製造方法として、例えば、特開2000−311831号公報に開示されるようなものが知られている。この公報に開示された積層セラミック部品の製造方法では、図6に示すように、セラミックグリーンシート81の主面上に形成された導体パターン83と同じ高さのセラミックパターン85が形成され、これにより導体パターン83の厚みによる段差を実質的に無くすことができ、導体パターン83の厚みの影響を受けない状態で、セラミックグリーンシート81を積層することができる(特開2000−311831号公報参照)。
【0005】
尚、このような積層セラミック部品の製造方法では、セラミックグリーンシート81の主面上に、先ず、導体ペーストを印刷して導体パターン83を所定間隔をおいて複数形成し、次いで、この導体パターン83間に、セラミック粉末を含有するセラミックペーストを印刷してセラミックパターン85が形成される。
【特許文献1】
特開2000−311831号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の製造方法において、セラミックパターン85に印刷ずれが発生した場合、導体パターン83間に確実に充填されているかを確認する必要がある。この場合、セラミックパターン85に位置ずれが発生し、導体パターン83の周囲に下層のセラミックグリーンシート81が露出していても、セラミックパターン85との色彩が実質的に同一であると、セラミックパターン85のずれ量を確認することが困難となる。その結果、導体パターン83の周囲に、過度の空隙が存在した状態で積層、焼成処理を行うことにより、大型積層体の状態でデラミネーションが発生しやすくなる。即ち、セラミックパターン85のずれ量を未然に確認することができないため、無駄な工程、無駄な材料を費やすことになってしまう。
【0007】
また、上記積層セラミック部品の製造方法では、導体パターン83の薄層化を図るために、金属粉末の含有量を低減して調製した低粘度の導体ペーストが用いられるため、印刷時に導体ペーストのにじみが発生しやすくなり、導体パターン83の面積のばらつきが大きくなり、例えば、積層セラミックコンデンサを形成した場合には静電容量のばらつきが増大したり、短絡が生じやすくなるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、セラミックグリーンシートまたは導電性ペーストに対するとセラミックパターンの形成領域を明確化することにより、導体パターンの周囲の段差を解消できる積層セラミック部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層セラミック部品の製造方法は、積層された複数のセラミックグリーンシート間に、矩形状の導体パターン及びその周辺に形成されたセラミックパターンを介在してなる大型積層体を作製する工程と、該大型積層体を所定位置で切断して未焼成状態の積層体を作製する工程とを具備する積層セラミック部品の製造方法であって、前記セラミックパターンは、前記セラミックグリーンシートと実質的に同一のセラミック成分と、前記セラミックグリーンシートと異なる色彩の高分子材料とを含有する。
【0010】
【作用】
本発明によれば、セラミックパターンは、セラミックグリーンシートと実質的に同一のセラミック成分と、前記セラミックグリーンシートと異なる色彩の高分子材料とを含有している。例えばセラミックグリーンシート上、まず、セラミックパターンを形成し、次いで、導体パターンを形成する場合、セラミックグリーンシートと色彩が相違するセラミックパターンの位置を基準にして、導体パターンを形成することができることから、精度良くセラミックパターンの内側に導体パターンを形成することができる。また、このとき、導体パターンを低粘度の導体ペーストを用いることができるため、導体パターンの周辺がセラミックパターンに囲まれた状態であるため、にじみを抑制でき、例えば、積層セラミックコンデンサの静電容量のばらつきや短絡を防止することができる。
【0011】
また、例えばセラミックグリーンシート上、まず、導体パターンを形成し、次いで、セラミックパターンを形成する場合、セラミックグリーンシートと色彩が相違するセラミックパターンにより、セラミックパターンの印刷ずれを簡単に把握できるため、位置ずれの大きいグリーンシートを除外することができるため、その後の工程が不要となり、無駄な工程、無駄な材料を省くことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の積層セラミック部品の製造方法を図面に基づいて詳説する。尚、説明は、積層セラミック部品の一つである積層セラミックコンデンサを例に説明する。
【0013】
図1は、本発明の導電性ペーストを用いた積層セラミックコンデンサを示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は縦断面図である。
【0014】
図において、21は積層体であり、22は積層体21を構成する誘電体層、23は積層体21内に形成した内部電極層であり、24は外部電極である。尚、内部電極層の周囲の誘電体層21間に誘電体充填層が配置されているが、実際にこの誘電体充填層は図2に示すように誘電体層21と一体化するため、図では省略している。
【0015】
誘電体層22は、チタン酸バリウムを主成分とする非還元性誘電体材料、及びガラス粉末を含む誘電体材料からなり、その形状は、2.0mm×1.2mmなどであり、その厚みは高容量化のために1〜5μmとしている。この誘電体層2が図上、上方向に積層して積層体21が構成される。なお、誘電体層22の形状、厚み、積層数は容量値によって任意に変更することができる。
【0016】
内部電極層23、23は、Niを主成分とする材料から構成されている。そして、誘電体層22の積層方向に隣接しあう一対の内部電極層23、23は、互いに積層体1の異なる端面側に延出し、各々異なる外部電極24、24に接続されている。その厚みは1〜2μmとしている。
【0017】
外部電極24、24は、導電性ペーストを焼き付けることによって得られる下地導体膜と、表面メッキ層(図示せず)とから構成されている。外部電極24、24の下地導体膜は、銅を主成分とする導体及びガラス粉末によって構成されている。表面メッキ層は、Niメッキ、Snメッキ、半田メッキなどが例示できる。
【0018】
図2の積層セラミックコンデンサの積層体21が複数抽出できる未焼成状態の大型積層体を形成する工程を示すものである。
【0019】
図2(a)に示すように、まず、支持体(キャリアフィルム)1上にセラミックスラリを塗布して、誘電体層22となるセラミックグリーンシート3を形成する。
【0020】
本発明のセラミックグリーンシート3を形成するためのセラミックスラリは、例えば、セラミック粉体と、有機バインダと、この有機バインダを溶解する溶媒とを混合したものが用いられる。
【0021】
セラミック粉体としては、例えば、BaTiO3を主成分とするセラミック粉体が好適に用いられる。また、耐還元性を高めるための公知の添加剤や焼結助剤として、ガラス粉末を加えてもよい。
【0022】
有機バインダとしては、ポリビニルブチラール樹脂が、また、溶媒としてはトルエンとエチルアルコールとを混合したものが好適に用いられる。また、その他のバインダとしては、セラミック粉体や溶媒との分散性、セラミックグリーンシート3の強度、脱バインダ性の点でアクリル樹脂を用いることもできる。
【0023】
また、このセラミックグリーンシート3の厚みは、小型、大容量化という理由から、1.5〜4μmであることが望ましい。
【0024】
次に、図2(b)に示すように、このセラミックグリーンシート3の一方主面上にセラミックペーストを印刷して例えば平面視格子状態のセラミックパターン5を形成する。このとき、セラミックグリーンシートとは異なる色彩のセラミックパターン5を形成する。ここで、画像認識装置によりセラミックパターン5を認識させるためには、セラミックグリーンシート3とセラミックパターン5のコントラスト比が20%以上であることが望ましい。
【0025】
次に、図2(c)に示すように、この格子状のセラミックパターン5の内側に、導体ペーストを印刷して内部電極層23となる導体パターン7を形成する。このとき、画像認識装置により、セラミックパターン5の位置を基準にして、導体パターン7を形成することができることから、精度良くセラミックパターン5の内側に導体パターン7を形成することができる。
【0026】
図3は、セラミックグリーンシート3上に形成されたセラミックパターン5及び導体パターン7の配置を示す斜視図である。このように、矩形状の導体パターン7が所定間隔Lをおいて複数形成され、この導体パターン7間に、導体パターン7の厚みによる段差を実質的に無くすようにセラミックパターン5が形成されている。
【0027】
次に、図2(d)、(e)に示すように、セラミックパターン5及び導体パターン7を形成したセラミックグリーンシート3を複数積層して未焼成状態の大型積層体13を形成する。図2(d)はサイドマージン側、図2(e)はエンドマージン側の断面図である。
【0028】
この後、この大型積層体13を点線部Cで切断して積層体成形体を形成した後、さらに、この未焼成状態の積層体を所定の雰囲気及び温度条件下で焼成することにより、図1に示す積層体21が達成され、さらに、外部電極24を形成して、セラミック層と内部電極層を具備する積層セラミックコンデンサを形成する。
【0029】
上述の製造方法において、セラミックパターン5が、焼成後にセラミック層(誘電体層)21と略同一の色彩となるようにすれば、最終製品としての積層セラミックコンデンサの外観不良が問題になることがなく、また、セラミックパターン5部分の焼成物である誘電体充填層は図1において省略している。
【0030】
本発明の積層セラミック部品の製造方法では、まず、グリーンシート3上に格子状のセラミックパターン5を形成し、この格子状のセラミックパターン5から露出するグリーンシートの領域に低粘度の導体ペーストを用いても導体パターン7を形成している。即ち、導体パターン7を形成するにあたりセラミックグリーンシート3と色彩の相違するセラミックパターン5を基準に導体ペーストの印刷が可能となるため、面積精度の高い導体パターン7となる。また、導体パターン形成領域が特定されることから、低粘度の導体ペーストであっても導体パターン7を安定して形成できる。導体パターン7が印刷後乾燥されるまでの間に、導体パターン7の周辺がセラミックパターン5に囲まれた状態となり印刷時のにじみを抑制でき、導体パターン7の有効面積に起因する、例えば、積層セラミックコンデンサの静電容量のばらつきを小さくすることができるとともに短絡を防止できる。
【0031】
また、この製造方法によれば、セラミックペーストを印刷、乾燥してセラミックパターン5を形成した後に、導体ペーストを印刷、乾燥して導体パターン7を形成するため、導体パターン7の乾燥工程は1回だけとなる。このため積層までの工程において導体パターン7中に含まれる溶剤の揮発を抑えることができることから、導体パターン7とセラミックグリーンシート3の密着性を高めることができ、このためこれらの層の焼結性をも高めることができることからデラミネーションを低減できる。
【0032】
さらに、この製造方法によれば、平坦なセラミックグリーンシート3の主面上に導体パターン7を形成できることから、導体パターン7の形成精度が良好になり、容量ばらつきを低減できるとともに、積層数を増大しても導体パターン7の形成精度には影響しないことから、積層セラミック部品の高積層化や大型化を実現できる。
【0033】
図5はセラミックグリーンシート3上に形成されたセラミックパターン5及び導体パターン7の要部拡大図である。図5に示すように、セラミックパターン5と導体パターン7とは、セラミックパターン5の厚みをt1、導体パターン7の厚みをt2としたときに、t1>t2の関係を満足することが望ましく、特に、t1/t2比は1.05〜1.2の範囲であることがより望ましい。
【0034】
このようにセラミックパターン5の厚みを厚く形成することにより、導体パターン7形成時の導体ペーストのセラミックパターン5側へのにじみによる乗り上げを抑制するとともに、セラミックパターン5及び導体パターン7が形成されたセラミックグリーンシート3を吸着する積層ヘッドによる導体パターン7の変形を抑制できる。さらに、仮積層体を加圧加熱して大型積層体13を形成する際にも、まずセラミックパターン5が圧力を受け、導体パターン7は徐々に圧力を受けることから、ショートや絶縁不良を抑制できる。ここで、導体パターン7厚みは、積層セラミックコンデンサの小型、高信頼性化という点から3μm以下、特には1μm以下であることが望ましい。
【0035】
また、セラミックパターン5の周辺部9は導体パターン7の形状の精度を高め、かつ導体ペーストの印刷時の乗り上げを防止するという理由から、セラミックパターン5の角度θは0.5°以上の傾斜面11を形成していることが望ましく、特に、その角度は1〜40°であることが望ましい。
【0036】
また、セラミックパターン5と導体パターン7とは、周辺部9で接していることが望ましく、両パターン間の空隙を低減し変形を防止するという点で、導体パターン7がセラミックパターン5の周辺部9の傾斜面11に重なっていることがより望ましい。
【0037】
本発明のセラミックパターン5を形成するためのセラミックペーストは、セラミック粉末と、有機溶剤と、この有機溶剤に対して可溶性の有機粘結剤及び着色剤とを含有するものである。
【0038】
このセラミックペーストに用いるセラミック粉末の組成は、セラミックグリーンシート3の粉末組成もしくは異なる粉末組成の何れかを適用できるが、セラミックグリーンシート3とセラミックパターン5との焼成収縮率を合致させるという理由から、セラミックペーストはセラミックグリーンシート3を形成するセラミックスラリと実質的に同じセラミック粉末組成であることが望ましい。
【0039】
また、有機溶剤としては、脂肪族炭化水素と高級アルコールとの混合物からなるものが好適に用いられ、さらに、有機粘結剤としてはエチルセルロースが好適に用いられる。
【0040】
さらに、セラミックパターン5がセラミックグリーンシート3及び導体パターン7と異なる色彩を有するように、セラミックペースト中に高分子材料の着色剤が添加される。着色剤は、セラミックペースト中の有機溶剤に溶解し、均一なペーストとなることが求められる。また、セラミックパターンが、焼成後にセラミック層と略同一の色彩となるように、着色剤はC、O、N、H原子など、脱バインダ時に燃焼分解する原子から構成される有機化合物が望ましい。具体的には、有機化合物の構造中に、−CH=CH−、−N=N−などの不飽和結合を持つ基(発色団)が存在すると、その有機化合物が特定の波長の光(スペクトル色)を吸収して、吸収されない部分の光(余色)が肉眼あるいは画像処理により検出されることを利用する。あるいは、有機化合物の構造中に、−NH2、−OHなどの遊離電子対を持つ基(助色団)を入れると、その吸収波長が長波長側あるいは短波長側に移動することを利用しても良い。また、有機EL材料、フォトクロミック有機材料等、光照射により着色する材料を用いても良い。
【0041】
また、このセラミックペーストの粘度は、このセラミックペースト中のセラミック粉末、有機粘結剤、有機溶剤及び分散剤を適正化して制御でき、このことによりセラミックペーストにチクソトロピック性を付与することができる。
【0042】
そして、このセラミックペーストの粘度特性としては、250〜500Pa・sであることが望ましく、セラミックペーストをこのような粘度特性とすることにより、印刷時ににじみのないセラミックパターン5を形成できるとともに、このセラミックパターン5間に形成される導体パターン7のにじみによる流出や乗り上げを防止するための傾斜面11を容易に形成できる。
【0043】
一方、導体パターン7を形成するための導体ペーストとしては、金属粒子と、有機溶剤と、この有機溶剤に対して可溶性の有機粘結剤とを含有するものが好適に用いられる。
【0044】
金属粒子としては、Ni、Co、Cuの群から選ばれる少なくとも1種の金属粒子が好ましいが、金属の焼成温度が一般の絶縁体の焼成温度と一致する点、及びコストが安いという点からNiが望ましい。また、固形分として、金属粒子以外に、導体パターン7の焼結性を抑えるために微細なセラミック粉末を混合して用いることが好ましい。
【0045】
さらには、導体ペーストの有機粘結剤及び有機溶剤は、セラミックペーストの印刷と同じ条件を採用できること及びセラミックグリーンシート3の表面からの粘結剤の揮発速度を一致させるという理由から、導体ペーストはセラミックペーストと同じ組成であることが望ましい。そして、本発明では、このように形成される導体パターン7が電子部品の一つである積層セラミックコンデンサの内部電極層となることが好ましい。
【0046】
また、本発明の導体パターン7では、積層体成形体を構成する1層のセラミックグリーンシート3の主面の面積をA1、その主面に形成される導体パターン7の面積をA2としたときに、A2/A1>0.6の関係を満足することが望ましく、このように導体パターン7の有効面積が大きくなり、より高いパターン精度が要求される場合に、セラミックパターン5による導体パターン7の面積精度を高めるという本発明の製造方法がより好適であり、このように導体パターン7の有効面積を大きくすることにより積層セラミックコンデンサの静電容量をさらに高めることができる。
【0047】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更・改良を加えることは何ら差し支えない。
【0048】
図4は本発明の他の実施形態の積層セラミック部品の製造方法の工程図である。図4(a)に示すように、支持体(台板)1上にセラミックグリーンシート3aを搭載する工程と、(b)に示すようにセラミックグリーンシート3aの主面上における導体パターン7が形成される領域を囲む部分にセラミックペーストを印刷して、セラミックグリーンシート3aとは異なる色彩のセラミックパターン5を形成する工程と、(c)に示すようにセラミックパターン5の内側に導体パターン7を形成する工程と、(d)に示すようにセラミックパターン5及び導体パターン7が形成されたセラミックグリーンシート3a上に、別のセラミックグリーンシート3bを搭載する工程と、(e)に示すようにセラミックグリーンシート3bの主面上に、セラミックパターン5及び導体パターンを形成する工程とを繰り返すことにより、(f)に示す大型積層体13が作製される。この製造方法によれば、積層精度が良好になり、容量ばらつきを低減できるとともに、サイドマージンやエンドマージンを小さくできることから、積層セラミック部品の小型化に対応できる。さらに、(d)に示す工程において、セラミックパターン5及び導体パターン7が形成されたセラミックグリーンシート3a上に、フィルムによって裏打ちされた別のセラミックグリーンシート3bを載置し、フィルム側から加圧加熱することにより、セラミックグリーンシート3bをセラミックグリーンシート3a上に積層するようにしても良い。このことにより、セラミックグリーンシート3bを吸着する工程を設ける必要がないため、セラミックグリーンシート3bの欠陥を防止することができる。
【0049】
また、上記実施の形態では、セラミックパターン5が着色するようにしたが、セラミックグリーンシート3が着色するようにしても良い。
【0050】
さらに、セラミックパターン5が焼成後にセラミック層と異なる色彩となるようにしても良い。このことにより、外観から積層セラミック部品の積層方向を容易に判別することができる。
【0051】
上述の実施例では、セラミックグリーンシート上、まず、セラミックパターンを形成し、次いで、導体パターンを形成する製造方法で説明したが、例えばセラミックグリーンシート上、まず、導体パターンを形成し、次いで、セラミックパターンを形成する場合、セラミックグリーンシートと色彩が相違するセラミックパターンにより、セラミックパターンの印刷ずれを簡単に把握できるため、位置ずれの大きいグリーンシートを除外することができるため、その後の工程が不要となり、無駄な工程、無駄な材料を省くことができる。
【0052】
上記実施の形態では、本発明を積層セラミックコンデンサに適用した例を用いて説明したが、本発明は、その他の電子部品や、半導体部品などにも適用できる。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明によれば、セラミックパターンは、セラミックグリーンシートと実質的に同一のセラミック成分と、前記セラミックグリーンシートと異なる色彩の高分子材料とを含有するため、セラミックグリーンシートとセラミックパターンとのコントラスト差が明確となり、セラミックパターンの形成位置を確認できる。このため、導体パターンの印刷時の位置決めが容易になり、その結果、例えば、積層セラミックコンデンサの静電容量のばらつきや短絡を防止することができる。また、導体パターンに対するセラミックパターンの位置ずれが明確になるため、不量なセラミックグリーンシートを後工程に回すことなく、廃棄できるため、無駄な工程、無駄な材料の発生を有効に抑えることかできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層セラミック部品である積層セラミックコンデンサを示し、(a)は、外観斜視図であり、(b)は断面図である。
【図2】(a)〜(d)は本発明の積層セラミック部品を製造するための主要工程の各断面であり、(e)は図2の(d)に相当する断面図のエンドマージン側の断面図である。
【図3】セラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターン及び導体パターンの配置を示す斜視図である。
【図4】(a)〜(f)本発明の他の実施の形態の積層セラミック部品を製造するための工程図である。
【図5】セラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターン及び導体パターンの要部拡大図である。
【図6】従来のセラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターン及び導体パターンの要部拡大図である。
【符号の説明】
1 支持体
3 セラミックグリーンシート
5 セラミックパターン
7 導体パターン
13 大型積層体
Claims (1)
- 積層された複数のセラミックグリーンシート間に、矩形状の導体パターン及び該導体パターンの周辺に形成されたセラミックパターンを介在してなる未焼成状態の大型積層体を作製する工程と、
該大型積層体を所定位置で切断して積層体を作製し、該積層体を焼成処理する工程とを含む積層セラミック部品の製造方法であって、
前記セラミックパターンは、前記セラミックグリーンシートと実質的に同一のセラミック材料と、前記セラミックグリーンシートと異なる色彩の高分子材料とを含有することを特徴とする積層セラミック部品の製造方法。
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-
2002
- 2002-11-29 JP JP2002346646A patent/JP2004179568A/ja active Pending
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