JP2004079862A - セラミック積層体の製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】セラミックグリーンシートを薄層化して積層数を増加した場合にも、セラミック積層体の変形を抑えることができるとともに、導体パターンとセラミックグリーンシートの密着性を向上でき、且つ導体ペーストのにじみを抑制できる高品質かつ高信頼性のセラミック積層体の製法を提供する。
【解決手段】セラミック粉体を含有するセラミックグリーンシート3の主面上に、セラミック粉末を含有するセラミックペーストを印刷して、セラミックパターン5を所定間隔をおいて複数形成する工程と、該セラミックパターン5間に導体パターン7を形成する工程と、前記セラミックパターン5及び前記導体パターン7が形成されたセラミックグリーンシート3を複数積層して母体積層体13を形成する工程と、前記母体積層体13を切断して積層体成形体を形成する工程とを具備する。
【選択図】図1
【解決手段】セラミック粉体を含有するセラミックグリーンシート3の主面上に、セラミック粉末を含有するセラミックペーストを印刷して、セラミックパターン5を所定間隔をおいて複数形成する工程と、該セラミックパターン5間に導体パターン7を形成する工程と、前記セラミックパターン5及び前記導体パターン7が形成されたセラミックグリーンシート3を複数積層して母体積層体13を形成する工程と、前記母体積層体13を切断して積層体成形体を形成する工程とを具備する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック積層体の製法に関し、特に、配線基板や積層セラミックコンデンサのようにセラミックグリーンシートおよび導体パターンが薄層多層化されたセラミック積層体の製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、電子機器の小型化、高密度化に伴い、セラミック積層体中に導体パターンが形成された配線基板や積層セラミックコンデンサは、小型薄型化および高寸法精度が求められており、例えば、積層セラミックコンデンサでは小型高容量化が求められ、このためセラミックグリーンシートや導体パターンの薄層化および多層化が進められている。
【0003】
このようなセラミック積層体では、セラミックグリーンシートの薄層化および多層化に伴い、セラミックグリーンシート上に形成された導体パターンの厚みが大きく影響するようになり、導体パターンが形成されている部分と形成されていない部分との間で導体パターンの厚みによる段差が累積し、導体パターンの無い周囲のセラミックグリーンシート同士の密着が弱くなり、焼成時のデラミネーションやクラックが発生しやすくなる。このためセラミックグリーンシート上の段差を無くす工夫が図られている。
【0004】
このようなセラミック積層体の製法として、例えば、特開2000−311831号公報に開示されるようなものが知られている。この公報に開示されたセラミック積層体の製法では、図4に示すように、セラミックグリーンシート81の主面上に形成された導体パターン83と同じ高さのセラミックパターン85が形成され、これにより導体パターン83の厚みによる段差を実質的に無くすことができ、導体パターン83の厚みの影響を受けない状態で、セラミックグリーンシート81を積層することができる、と記載されている。
【0005】
尚、このようなセラミック積層体の製法では、セラミックグリーンシート81の主面上に、先ず、導体ペーストを印刷して導体パターン83を所定間隔をおいて複数形成し、次いで、この導体パターン83間に、セラミック粉末を含有するセラミックペーストを印刷してセラミックパターン85が形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示されたセラミック積層体の製法では、導体パターン83の薄層化を図るために、金属粉末の含有量を低減して調製した低粘度の導体ペーストが用いられるため、印刷時に導体ペーストのにじみが発生しやすくなり、導体パターン83の面積のばらつきが大きくなり、例えば、積層セラミックコンデンサを形成した場合には静電容量のばらつきが増大したり、短絡が生じやすくなるという問題点があった。
【0007】
従って、本発明は、セラミックグリーンシート上に形成された導体パターンによる段差を解消できるとともに、低粘度の導体ペーストを用いても導体パターンの面積のばらつきを抑えることのできるセラミック積層体の製法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミック積層体の製法は、セラミックグリーンシートの主面上における導体パターンが形成される領域を囲む部分にセラミックペーストを印刷して、セラミックパターンを形成する工程と、該セラミックパターンの内側に導体パターンを形成する工程と、前記セラミックパターン及び前記導体パターンが形成されたセラミックグリーンシートを複数積層して母体積層体を形成する工程と、前記母体積層体を切断して積層体成形体を形成する工程とを具備することを特徴とする。
【0009】
このような製法によれば、セラミックグリーンシート上に形成した導体パターンに隣接してセラミックパターンが形成されていることから、導体パターンによる段差を低減することができるとともに、セラミックパターンを形成した後に導体パターンを形成するため、低粘度の導体ペースト用いて印刷したとしても、導体パターンの周辺がセラミックパターンに囲まれた状態であるために、にじみを抑制でき、例えば、積層セラミックコンデンサの静電容量のばらつきや短絡を防止することができる。
【0010】
上記セラミック積層体の製法では、セラミックパターンの厚みをt1、前記導体パターンの厚みをt2としたときに、t1>t2の関係を満足することが望ましい。先に形成するセラミックパターンの厚みを厚くすることにより、印刷時の導体ペーストのにじみによる流出を確実に抑えることができるとともに、導体ペーストを印刷する際には、セラミックパターンがスペーサの役割を担うことから、印刷時のスクリーンの押圧によるメッシュ痕や導体パターンの変形を抑えることができる。
【0011】
上記セラミック積層体の製法では、セラミックパターン周辺部の傾斜面の角度がセラミックグリーンシートの主面に対して0.5°以上であることが望ましい。
セラミックパターン周辺部の傾斜面の角度を上記範囲にすることにより、印刷時の導体ペーストのにじみや乗り上げをさらに抑制でき、導体パターンの有効面積のばらつきをさらに小さくできる。
【0012】
また、上記セラミック積層体の製法では、セラミックグリーンシート中のセラミック成分と、セラミックペースト中のセラミック成分とが実質的に同一組成物からなることが望ましく、さらには、上記セラミック積層体の製法では、前記導体パターンが、焼成後に積層セラミックコンデンサの内部電極層となることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のセラミック積層体の製法は、例えば、電子部品の一つである積層セラミックコンデンサに好適に適用される。そこで、図1の積層セラミックコンデンサを例とするセラミック積層体の製法の工程図をもとに以下に説明する。
【0014】
図1(a)に示すように、まず、キャリアフィルム1上にセラミックスラリを塗布してセラミックグリーンシート3を形成する。
【0015】
本発明のセラミックグリーンシート3を形成するためのセラミックスラリは、例えば、セラミック粉体と、有機バインダと、この有機バインダを溶解する溶媒とを混合したものが用いられる。
【0016】
セラミック粉体としては、例えば、BaTiO3を主成分とするセラミック粉体が好適に用いられる。また、耐還元性を高めるための公知の添加剤や焼結助剤として、ガラス粉末を加えてもよい。
【0017】
有機バインダとしては、ポリビニルブチラール樹脂が、また、溶媒としてはトルエンとエチルアルコールとを混合したものが好適に用いられる。また、その他のバインダとしては、セラミック粉体や溶媒との分散性、セラミックグリーンシート3の強度、脱バインダ性の点でアクリル樹脂を用いることもできる。
【0018】
また、このセラミックグリーンシート3の厚みは、小型、大容量化という理由から、1.5〜4μmであることが望ましい。
【0019】
次に、図1(b)に示すように、このセラミックグリーンシート3の一方主面上にセラミックペーストを印刷してセラミックパターン5を形成する。
【0020】
次に、図1(c)に示すように、この2つのセラミックパターン5の内側に、導体ペーストを印刷して導体パターン7を形成する。つまり、本発明では、セラミックグリーンシート3上にセラミックパターン5を形成した後に導体パターン7を形成することが重要である。
【0021】
図2は、セラミックグリーンシート3上に形成されたセラミックパターン5および導体パターン7の配置を示す斜視図である。このように、矩形状の導体パターン7が所定間隔Lをおいて複数形成され、この導体パターン7間に、導体パターン7の厚みによる段差を実質的に無くすようにセラミックパターン5が形成されている。
【0022】
次に、図1(d1)、(d2)に示すように、セラミックパターン5および導体パターン7を形成したセラミックグリーンシート3を複数積層して母体積層体13を形成する。図1(d1)はサイドマージン側、図1(d2)はエンドマージン側の断面図である。
【0023】
この後、この母体積層体13を点線部Cで切断して積層体成形体を形成した後、さらに、この積層成形体を所定の雰囲気および温度条件下で焼成して、外部導体を形成してセラミック層と内部電極層を具備する積層セラミックコンデンサを形成する。
【0024】
本発明のセラミック積層体の製法では、低粘度の導体ペーストを用いても面積精度の高い導体パターン7を容易に形成できるものである。つまり、セラミックパターン5を形成した後に導体パターン7を印刷形成するため、導体パターン7が印刷後乾燥されるまでの間に、導体パターン7の周辺がセラミックパターン5に囲まれた状態となり印刷時のにじみを抑制でき、導体パターン7の有効面積に起因する、例えば、積層セラミックコンデンサの静電容量のばらつきを小さくすることができるとともに短絡を防止できる。
【0025】
さらにこの製法によれば、セラミックペーストを印刷、乾燥してセラミックパターン5を形成した後に、導体ペーストを印刷、乾燥して導体パターン7を形成するため、導体パターン7の乾燥工程は1回だけとなる。このため積層までの工程において導体パターン7中に含まれる溶剤の揮発を抑えることができることから、導体パターン7とセラミックグリーンシート3の密着性を高めることができ、このためこれらの層の焼結性をも高めることができることからデラミネーションを低減できる。
【0026】
図3はセラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターン5および導体パターン7の要部拡大図である。図3に示すように、セラミックパターン5と導体パターン7とは、セラミックパターン5の厚みをt1、導体パターン7の厚みをt2としたときに、t1>t2の関係を満足することが望ましく、特に、t1/t2比は1.05〜1.2の範囲であることがより望ましい。
【0027】
このようにセラミックパターン5の厚みを厚く形成することにより、導体パターン7形成時の導体ペーストのセラミックパターン5側へのにじみによる乗り上げを抑制するとともに、セラミックパターン5および導体パターン7が形成されたセラミックグリーンシート3を吸着する積層ヘッドによる導体パターン7の変形を抑制できる。ここで、導体パターン7厚みは、コンデンサの小型、高信頼性化という点から3μm以下、特には1μm以下であることが望ましい。
【0028】
また、セラミックパターン5の周辺部9は導体パターン7の形状の精度を高め、かつ導体ペーストの印刷時の乗り上げを防止するという理由から、セラミックパターン5の角度θは0.5°以上の傾斜面11を形成していることが望ましく、特に、その角度は1〜40°であることが望ましい。
【0029】
また、セラミックパターン5と導体パターン7とは、周辺部9で接していることが望ましく、両パターン間の空隙を低減し変形を防止するという点で、導体パターン7がセラミックパターン5の周辺部9の傾斜面11に重なっていることがより望ましい。
【0030】
本発明のセラミックパターン5を形成するためのセラミックペーストは、セラミック粉末と、有機溶剤と、この有機溶剤に対して可溶性の有機粘結剤とを含有するものである。
【0031】
このセラミックペーストに用いるセラミック粉末の組成は、セラミックグリーンシート3の粉末組成もしくは異なる粉末組成の何れかを適用できるが、セラミックグリーンシート3とセラミックパターン5との焼成収縮率を合致させるという理由から、セラミックペーストはセラミックグリーンシート3を形成するセラミックスラリと実質的に同じセラミック粉末組成であることが望ましい。
【0032】
また、有機溶剤としては、脂肪族炭化水素と高級アルコールとの混合物からなるものが好適に用いられ、また、有機粘結剤としてはエチルセルロースが好適に用いられる。
【0033】
さらに、このセラミックペーストの粘度は、このセラミックペースト中のセラミック粉末、有機粘結剤、有機溶剤及び分散剤を適正化して制御でき、このことによりセラミックペーストにチクソトロピック性を付与することができる。
【0034】
そして、このセラミックペーストの粘度特性としては、250〜500Pa・sであることが望ましく、セラミックペーストをこのような粘度特性とすることにより、印刷時ににじみのないセラミックパターン5を形成できるとともに、このセラミックパターン5間に形成される導体パターン7のにじみによる流出や乗り上げを防止するための傾斜面11を容易に形成できる。
【0035】
また、例えば、積層セラミックコンデンサを形成したときに、導体パターン7の周辺部9の一部となるセラミックパターン5の焼成収縮率を高めるという点で、セラミックパターン5を構成するセラミック粉末の平均粒径D2はセラミックグリーンシート3を構成するセラミック粉体の平均粒径D1よりも小さいことが望ましく、特に、0.1<D2/D1<0.9の範囲であることがより望ましい。このようにセラミックパターン5を構成するセラミック粉末の平均粒径D2をセラミックグリーンシートを構成するセラミック粉体の平均粒径D1よりも小さい粉末を用いることによりセラミックパターン5の焼結性を高め、デラミネーションやクラックをさらに抑制できる。
【0036】
一方、導体パターン7を形成するための導体ペーストとしては、金属粒子と、有機溶剤と、この有機溶剤に対して可溶性の有機粘結剤とを含有するものが好適に用いられる。
【0037】
金属粒子としては、Ni、Co、Cuの群から選ばれる少なくとも1種の金属粒子が好ましいが、金属の焼成温度が一般の絶縁体の焼成温度と一致する点、及びコストが安いという点からNiが望ましい。また、固形分として、金属粒子以外に、導体パターン7の焼結性を抑えるために微細なセラミック粉末を混合して用いることが好ましい。
【0038】
さらには、導体ペーストの有機粘結剤および有機溶剤は、セラミックペーストの印刷と同じ条件を採用できること及びセラミックグリーンシート3の表面からの粘結剤の揮発速度を一致させるという理由から、導体ペーストはセラミックペーストと同じ組成であることが望ましい。そして、本発明では、このように形成される導体パターン7が電子部品の一つである積層セラミックコンデンサの内部電極層となることが好ましい。
【0039】
また、本発明の導体パターン7では、積層体成形体を構成する1層のセラミックグリーンシート3の主面の面積をA1、その主面に形成される導体パターン7の面積をA2としたときに、A2/A1>0.6の関係を満足することが望ましく、このように導体パターン7の有効面積が大きくなり、より高いパターン精度が要求される場合に、セラミックパターン5による導体パターン7の面積精度を高めるという本発明の製法がより好適であり、このように導体パターン7の有効面積を大きくすることにより積層セラミックコンデンサの静電容量をさらに高めることができる。
【0040】
【実施例】
セラミック積層体の1つである積層セラミックコンデンサを以下のように作製した。
【0041】
セラミックグリーンシートは、平均粒径D1が0.4μmのBaTiO3を主成分とするセラミック粉体にポリビニルブチラール樹脂とトルエンとエチルアルコールとを混合した有機溶剤を加えてセラミックスラリを調製し、ダイコータ法を用いてポリエステルより成る帯状のキャリアフィルム上に厚み4μmで成膜した。
【0042】
一方、上記のセラミックスラリに含まれる一部を粉砕して、BaTiO3の平均粒径D2を0.2μm(D2/D1=0.5)とし、これらのセラミック粉末と、エチルセルロース及び石油系アルコールからなるビヒクルとを3本ロールで混練してセラミックペーストを調製した。その粘度特性は、セラミックパターンの傾斜面の角度を0.3°以上とするために、250〜500Pa・sの範囲とした。
【0043】
導体ペーストは、平均粒径が0.2μmのNi粉末と、エチルセルロース及び石油系アルコールからなるビヒクルとをセラミックペーストと同様にペースト化して調製した。
【0044】
次に、得られたセラミックグリーンシートの主面状に、スクリーン印刷装置を用いて、この後印刷される矩形状の導体パターンのネガパターンに相当する部分、つまり、導体パターンに相当する部分が塗布されない形状の部分にセラミックペースト印刷し乾燥させた。
【0045】
次に、このセラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターンの内側部分に導体ペーストを印刷、乾燥させ、セラミックパターンとともに導体パターンが塗布形成されたセラミックグリーンシートを作製した。この場合、導体パターンの厚みは1μmとした。その際、セラミックパターンの厚みt1及び導体パターンの厚みt2はスクリーンのレジスト厚みとそれぞれのペーストの粘度により調整した。また、セラミックパターンの傾斜面はセラミックペーストの粘度とレジストの傾斜角により調整した。
【0046】
また、本実施例では、積層体成形体を構成する1層のセラミックグリーンシートの主面の面積A1とその主面上に形成した導体パターンの面積A2との比、A2/A1=0.7とした。
【0047】
次に、このセラミックグリーンシートを300層積層し、さらにその上下に、導体パターン、セラミックパターンが形成されていないセラミックグリーンシートを各10枚積層し、第1回目の加圧プレスを行い、仮積層体を形成した。
【0048】
この条件で作製した仮積層体は、セラミックグリーンシートが完全に密着されていない状態であり、導体パターン、セラミックパターン及びセラミックグリーンシートで囲まれる部分に、僅かな空間が形成されていた。
【0049】
次に、この仮積層体を温度80℃、圧力2MPaで第2回目の積層プレスを行い、導体パターンを塗布したセラミックグリーンシートを積層して完全に密着させて積層体を得た。
【0050】
次に、この積層体を格子状に切断して、積層体成形体を得た後、大気中250℃、または弱還元性雰囲気中で500℃に加熱し脱バイ処理を行った。
【0051】
さらに、脱バイ後の積層体成形体に対して、還元雰囲気中、1250℃で2時間焼成し、さらに、弱酸化性雰囲気中にて、900℃で4時間の再酸化処理を行いセラミック積層体本体を得た。焼成後、このセラミック積層体本体の端面にCuペーストを900℃で焼き付け、さらにNi/Snメッキを施し、内部電極層と交互に接続する外部導体を形成した。
【0052】
評価については、まず、印刷後のセラミックパターンの厚みt1、並びに導体パターンの厚みt2を非接触式表面粗さ計(レーザー変位計)を用いて測定し、厚み比t1/t2を求めた。
【0053】
また、セラミックパターンの傾斜面の角度は触針式表面粗さ計を用いて測定した。
【0054】
また、焼成前の積層成形体各100個について実体顕微鏡を用いて観察し密着不良を評価した。
【0055】
さらに、デラミネーションについては、焼成後および耐熱衝撃試験(280℃、2秒浸漬)後の積層セラミックコンデンサ各100個について、その端面および側面からそれぞれ研磨し、内部導体周辺部のデラミネーションの発生率を評価した。
【0056】
次に、静電容量のばらつきは、焼成後の積層セラミックコンデンサ100個の静電容量の測定値から算出した。また、同時に静電容量の測定から短絡(ショート)率を求めた。
【0057】
一方、比較例として、セラミックグリーンシート上に、先に導体パターンを形成し、次に、セラミックパターンを形成したものを調製し、本発明と同様の方法により積層、焼成した試料を作製し評価した。
【0058】
【表1】
【0059】
表1の結果から明らかなように、セラミックグリーンシートに、セラミックパターンを形成した後に導体パターンを形成する工程Aを用いて作製した試料No.1〜12では、デラミネーションが焼成後に最大で3個、および耐熱衝撃試験後に最大で5個見られたものの、密着不良が2個以下で、静電容量のばらつきが2.1%以下、短絡率が3%以下であった。
【0060】
特に、セラミックパターンの厚みを導体パターンの厚みよりも厚くした試料No.6〜12では、密着不良が1個以下、焼成後および耐熱衝撃試験後のデラミネーションが、それぞれ2個以下、および3個以下となりかつ静電容量のばらつきを1.4%以下、短絡率を2%以下に低減できた。
【0061】
さらには、セラミックパターンの厚みt1を導体パターンの厚みt2よりも厚くし、かつセラミックパターンの周辺部の傾斜面の角度を1〜40°とした試料No.8〜11では、焼成後のデラミネーションが無く、耐熱衝撃試験後のデラミネーションが1個以下、静電容量のばらつきを1.3%以下、短絡率を1%以下でできた。
【0062】
これに対し、導体パターンを形成後にセラミックパターンを形成した試料No.13では、焼成前の密着不良や、焼成後および耐熱衝撃試験後のデラミネーションが多発し、静電容量のばらつきが3.1%で短絡率も7%と高かった。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明によれば、セラミックグリーンシート上にセラミックパターンを形成した後に導体パターンを形成するという工程を採用することにより、導体ペーストが印刷後乾燥されるまでの間に、導体ペーストの周辺がセラミックパターンに囲まれた状態となり、印刷時のにじみを抑制でき、静電容量のばらつきや短絡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック積層体を製造するための工程図である。
【図2】セラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターンおよび導体パターンの配置を示す斜視図である。
【図3】セラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターンおよび導体パターンの要部拡大図である。
【図4】従来の、セラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターンおよび導体パターンの要部拡大図である。
【符号の説明】
1 キャリアフィルム
3 セラミックグリーンシート
5 セラミックパターン
7 導体パターン
13 母体積層体
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック積層体の製法に関し、特に、配線基板や積層セラミックコンデンサのようにセラミックグリーンシートおよび導体パターンが薄層多層化されたセラミック積層体の製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、電子機器の小型化、高密度化に伴い、セラミック積層体中に導体パターンが形成された配線基板や積層セラミックコンデンサは、小型薄型化および高寸法精度が求められており、例えば、積層セラミックコンデンサでは小型高容量化が求められ、このためセラミックグリーンシートや導体パターンの薄層化および多層化が進められている。
【0003】
このようなセラミック積層体では、セラミックグリーンシートの薄層化および多層化に伴い、セラミックグリーンシート上に形成された導体パターンの厚みが大きく影響するようになり、導体パターンが形成されている部分と形成されていない部分との間で導体パターンの厚みによる段差が累積し、導体パターンの無い周囲のセラミックグリーンシート同士の密着が弱くなり、焼成時のデラミネーションやクラックが発生しやすくなる。このためセラミックグリーンシート上の段差を無くす工夫が図られている。
【0004】
このようなセラミック積層体の製法として、例えば、特開2000−311831号公報に開示されるようなものが知られている。この公報に開示されたセラミック積層体の製法では、図4に示すように、セラミックグリーンシート81の主面上に形成された導体パターン83と同じ高さのセラミックパターン85が形成され、これにより導体パターン83の厚みによる段差を実質的に無くすことができ、導体パターン83の厚みの影響を受けない状態で、セラミックグリーンシート81を積層することができる、と記載されている。
【0005】
尚、このようなセラミック積層体の製法では、セラミックグリーンシート81の主面上に、先ず、導体ペーストを印刷して導体パターン83を所定間隔をおいて複数形成し、次いで、この導体パターン83間に、セラミック粉末を含有するセラミックペーストを印刷してセラミックパターン85が形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示されたセラミック積層体の製法では、導体パターン83の薄層化を図るために、金属粉末の含有量を低減して調製した低粘度の導体ペーストが用いられるため、印刷時に導体ペーストのにじみが発生しやすくなり、導体パターン83の面積のばらつきが大きくなり、例えば、積層セラミックコンデンサを形成した場合には静電容量のばらつきが増大したり、短絡が生じやすくなるという問題点があった。
【0007】
従って、本発明は、セラミックグリーンシート上に形成された導体パターンによる段差を解消できるとともに、低粘度の導体ペーストを用いても導体パターンの面積のばらつきを抑えることのできるセラミック積層体の製法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミック積層体の製法は、セラミックグリーンシートの主面上における導体パターンが形成される領域を囲む部分にセラミックペーストを印刷して、セラミックパターンを形成する工程と、該セラミックパターンの内側に導体パターンを形成する工程と、前記セラミックパターン及び前記導体パターンが形成されたセラミックグリーンシートを複数積層して母体積層体を形成する工程と、前記母体積層体を切断して積層体成形体を形成する工程とを具備することを特徴とする。
【0009】
このような製法によれば、セラミックグリーンシート上に形成した導体パターンに隣接してセラミックパターンが形成されていることから、導体パターンによる段差を低減することができるとともに、セラミックパターンを形成した後に導体パターンを形成するため、低粘度の導体ペースト用いて印刷したとしても、導体パターンの周辺がセラミックパターンに囲まれた状態であるために、にじみを抑制でき、例えば、積層セラミックコンデンサの静電容量のばらつきや短絡を防止することができる。
【0010】
上記セラミック積層体の製法では、セラミックパターンの厚みをt1、前記導体パターンの厚みをt2としたときに、t1>t2の関係を満足することが望ましい。先に形成するセラミックパターンの厚みを厚くすることにより、印刷時の導体ペーストのにじみによる流出を確実に抑えることができるとともに、導体ペーストを印刷する際には、セラミックパターンがスペーサの役割を担うことから、印刷時のスクリーンの押圧によるメッシュ痕や導体パターンの変形を抑えることができる。
【0011】
上記セラミック積層体の製法では、セラミックパターン周辺部の傾斜面の角度がセラミックグリーンシートの主面に対して0.5°以上であることが望ましい。
セラミックパターン周辺部の傾斜面の角度を上記範囲にすることにより、印刷時の導体ペーストのにじみや乗り上げをさらに抑制でき、導体パターンの有効面積のばらつきをさらに小さくできる。
【0012】
また、上記セラミック積層体の製法では、セラミックグリーンシート中のセラミック成分と、セラミックペースト中のセラミック成分とが実質的に同一組成物からなることが望ましく、さらには、上記セラミック積層体の製法では、前記導体パターンが、焼成後に積層セラミックコンデンサの内部電極層となることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のセラミック積層体の製法は、例えば、電子部品の一つである積層セラミックコンデンサに好適に適用される。そこで、図1の積層セラミックコンデンサを例とするセラミック積層体の製法の工程図をもとに以下に説明する。
【0014】
図1(a)に示すように、まず、キャリアフィルム1上にセラミックスラリを塗布してセラミックグリーンシート3を形成する。
【0015】
本発明のセラミックグリーンシート3を形成するためのセラミックスラリは、例えば、セラミック粉体と、有機バインダと、この有機バインダを溶解する溶媒とを混合したものが用いられる。
【0016】
セラミック粉体としては、例えば、BaTiO3を主成分とするセラミック粉体が好適に用いられる。また、耐還元性を高めるための公知の添加剤や焼結助剤として、ガラス粉末を加えてもよい。
【0017】
有機バインダとしては、ポリビニルブチラール樹脂が、また、溶媒としてはトルエンとエチルアルコールとを混合したものが好適に用いられる。また、その他のバインダとしては、セラミック粉体や溶媒との分散性、セラミックグリーンシート3の強度、脱バインダ性の点でアクリル樹脂を用いることもできる。
【0018】
また、このセラミックグリーンシート3の厚みは、小型、大容量化という理由から、1.5〜4μmであることが望ましい。
【0019】
次に、図1(b)に示すように、このセラミックグリーンシート3の一方主面上にセラミックペーストを印刷してセラミックパターン5を形成する。
【0020】
次に、図1(c)に示すように、この2つのセラミックパターン5の内側に、導体ペーストを印刷して導体パターン7を形成する。つまり、本発明では、セラミックグリーンシート3上にセラミックパターン5を形成した後に導体パターン7を形成することが重要である。
【0021】
図2は、セラミックグリーンシート3上に形成されたセラミックパターン5および導体パターン7の配置を示す斜視図である。このように、矩形状の導体パターン7が所定間隔Lをおいて複数形成され、この導体パターン7間に、導体パターン7の厚みによる段差を実質的に無くすようにセラミックパターン5が形成されている。
【0022】
次に、図1(d1)、(d2)に示すように、セラミックパターン5および導体パターン7を形成したセラミックグリーンシート3を複数積層して母体積層体13を形成する。図1(d1)はサイドマージン側、図1(d2)はエンドマージン側の断面図である。
【0023】
この後、この母体積層体13を点線部Cで切断して積層体成形体を形成した後、さらに、この積層成形体を所定の雰囲気および温度条件下で焼成して、外部導体を形成してセラミック層と内部電極層を具備する積層セラミックコンデンサを形成する。
【0024】
本発明のセラミック積層体の製法では、低粘度の導体ペーストを用いても面積精度の高い導体パターン7を容易に形成できるものである。つまり、セラミックパターン5を形成した後に導体パターン7を印刷形成するため、導体パターン7が印刷後乾燥されるまでの間に、導体パターン7の周辺がセラミックパターン5に囲まれた状態となり印刷時のにじみを抑制でき、導体パターン7の有効面積に起因する、例えば、積層セラミックコンデンサの静電容量のばらつきを小さくすることができるとともに短絡を防止できる。
【0025】
さらにこの製法によれば、セラミックペーストを印刷、乾燥してセラミックパターン5を形成した後に、導体ペーストを印刷、乾燥して導体パターン7を形成するため、導体パターン7の乾燥工程は1回だけとなる。このため積層までの工程において導体パターン7中に含まれる溶剤の揮発を抑えることができることから、導体パターン7とセラミックグリーンシート3の密着性を高めることができ、このためこれらの層の焼結性をも高めることができることからデラミネーションを低減できる。
【0026】
図3はセラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターン5および導体パターン7の要部拡大図である。図3に示すように、セラミックパターン5と導体パターン7とは、セラミックパターン5の厚みをt1、導体パターン7の厚みをt2としたときに、t1>t2の関係を満足することが望ましく、特に、t1/t2比は1.05〜1.2の範囲であることがより望ましい。
【0027】
このようにセラミックパターン5の厚みを厚く形成することにより、導体パターン7形成時の導体ペーストのセラミックパターン5側へのにじみによる乗り上げを抑制するとともに、セラミックパターン5および導体パターン7が形成されたセラミックグリーンシート3を吸着する積層ヘッドによる導体パターン7の変形を抑制できる。ここで、導体パターン7厚みは、コンデンサの小型、高信頼性化という点から3μm以下、特には1μm以下であることが望ましい。
【0028】
また、セラミックパターン5の周辺部9は導体パターン7の形状の精度を高め、かつ導体ペーストの印刷時の乗り上げを防止するという理由から、セラミックパターン5の角度θは0.5°以上の傾斜面11を形成していることが望ましく、特に、その角度は1〜40°であることが望ましい。
【0029】
また、セラミックパターン5と導体パターン7とは、周辺部9で接していることが望ましく、両パターン間の空隙を低減し変形を防止するという点で、導体パターン7がセラミックパターン5の周辺部9の傾斜面11に重なっていることがより望ましい。
【0030】
本発明のセラミックパターン5を形成するためのセラミックペーストは、セラミック粉末と、有機溶剤と、この有機溶剤に対して可溶性の有機粘結剤とを含有するものである。
【0031】
このセラミックペーストに用いるセラミック粉末の組成は、セラミックグリーンシート3の粉末組成もしくは異なる粉末組成の何れかを適用できるが、セラミックグリーンシート3とセラミックパターン5との焼成収縮率を合致させるという理由から、セラミックペーストはセラミックグリーンシート3を形成するセラミックスラリと実質的に同じセラミック粉末組成であることが望ましい。
【0032】
また、有機溶剤としては、脂肪族炭化水素と高級アルコールとの混合物からなるものが好適に用いられ、また、有機粘結剤としてはエチルセルロースが好適に用いられる。
【0033】
さらに、このセラミックペーストの粘度は、このセラミックペースト中のセラミック粉末、有機粘結剤、有機溶剤及び分散剤を適正化して制御でき、このことによりセラミックペーストにチクソトロピック性を付与することができる。
【0034】
そして、このセラミックペーストの粘度特性としては、250〜500Pa・sであることが望ましく、セラミックペーストをこのような粘度特性とすることにより、印刷時ににじみのないセラミックパターン5を形成できるとともに、このセラミックパターン5間に形成される導体パターン7のにじみによる流出や乗り上げを防止するための傾斜面11を容易に形成できる。
【0035】
また、例えば、積層セラミックコンデンサを形成したときに、導体パターン7の周辺部9の一部となるセラミックパターン5の焼成収縮率を高めるという点で、セラミックパターン5を構成するセラミック粉末の平均粒径D2はセラミックグリーンシート3を構成するセラミック粉体の平均粒径D1よりも小さいことが望ましく、特に、0.1<D2/D1<0.9の範囲であることがより望ましい。このようにセラミックパターン5を構成するセラミック粉末の平均粒径D2をセラミックグリーンシートを構成するセラミック粉体の平均粒径D1よりも小さい粉末を用いることによりセラミックパターン5の焼結性を高め、デラミネーションやクラックをさらに抑制できる。
【0036】
一方、導体パターン7を形成するための導体ペーストとしては、金属粒子と、有機溶剤と、この有機溶剤に対して可溶性の有機粘結剤とを含有するものが好適に用いられる。
【0037】
金属粒子としては、Ni、Co、Cuの群から選ばれる少なくとも1種の金属粒子が好ましいが、金属の焼成温度が一般の絶縁体の焼成温度と一致する点、及びコストが安いという点からNiが望ましい。また、固形分として、金属粒子以外に、導体パターン7の焼結性を抑えるために微細なセラミック粉末を混合して用いることが好ましい。
【0038】
さらには、導体ペーストの有機粘結剤および有機溶剤は、セラミックペーストの印刷と同じ条件を採用できること及びセラミックグリーンシート3の表面からの粘結剤の揮発速度を一致させるという理由から、導体ペーストはセラミックペーストと同じ組成であることが望ましい。そして、本発明では、このように形成される導体パターン7が電子部品の一つである積層セラミックコンデンサの内部電極層となることが好ましい。
【0039】
また、本発明の導体パターン7では、積層体成形体を構成する1層のセラミックグリーンシート3の主面の面積をA1、その主面に形成される導体パターン7の面積をA2としたときに、A2/A1>0.6の関係を満足することが望ましく、このように導体パターン7の有効面積が大きくなり、より高いパターン精度が要求される場合に、セラミックパターン5による導体パターン7の面積精度を高めるという本発明の製法がより好適であり、このように導体パターン7の有効面積を大きくすることにより積層セラミックコンデンサの静電容量をさらに高めることができる。
【0040】
【実施例】
セラミック積層体の1つである積層セラミックコンデンサを以下のように作製した。
【0041】
セラミックグリーンシートは、平均粒径D1が0.4μmのBaTiO3を主成分とするセラミック粉体にポリビニルブチラール樹脂とトルエンとエチルアルコールとを混合した有機溶剤を加えてセラミックスラリを調製し、ダイコータ法を用いてポリエステルより成る帯状のキャリアフィルム上に厚み4μmで成膜した。
【0042】
一方、上記のセラミックスラリに含まれる一部を粉砕して、BaTiO3の平均粒径D2を0.2μm(D2/D1=0.5)とし、これらのセラミック粉末と、エチルセルロース及び石油系アルコールからなるビヒクルとを3本ロールで混練してセラミックペーストを調製した。その粘度特性は、セラミックパターンの傾斜面の角度を0.3°以上とするために、250〜500Pa・sの範囲とした。
【0043】
導体ペーストは、平均粒径が0.2μmのNi粉末と、エチルセルロース及び石油系アルコールからなるビヒクルとをセラミックペーストと同様にペースト化して調製した。
【0044】
次に、得られたセラミックグリーンシートの主面状に、スクリーン印刷装置を用いて、この後印刷される矩形状の導体パターンのネガパターンに相当する部分、つまり、導体パターンに相当する部分が塗布されない形状の部分にセラミックペースト印刷し乾燥させた。
【0045】
次に、このセラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターンの内側部分に導体ペーストを印刷、乾燥させ、セラミックパターンとともに導体パターンが塗布形成されたセラミックグリーンシートを作製した。この場合、導体パターンの厚みは1μmとした。その際、セラミックパターンの厚みt1及び導体パターンの厚みt2はスクリーンのレジスト厚みとそれぞれのペーストの粘度により調整した。また、セラミックパターンの傾斜面はセラミックペーストの粘度とレジストの傾斜角により調整した。
【0046】
また、本実施例では、積層体成形体を構成する1層のセラミックグリーンシートの主面の面積A1とその主面上に形成した導体パターンの面積A2との比、A2/A1=0.7とした。
【0047】
次に、このセラミックグリーンシートを300層積層し、さらにその上下に、導体パターン、セラミックパターンが形成されていないセラミックグリーンシートを各10枚積層し、第1回目の加圧プレスを行い、仮積層体を形成した。
【0048】
この条件で作製した仮積層体は、セラミックグリーンシートが完全に密着されていない状態であり、導体パターン、セラミックパターン及びセラミックグリーンシートで囲まれる部分に、僅かな空間が形成されていた。
【0049】
次に、この仮積層体を温度80℃、圧力2MPaで第2回目の積層プレスを行い、導体パターンを塗布したセラミックグリーンシートを積層して完全に密着させて積層体を得た。
【0050】
次に、この積層体を格子状に切断して、積層体成形体を得た後、大気中250℃、または弱還元性雰囲気中で500℃に加熱し脱バイ処理を行った。
【0051】
さらに、脱バイ後の積層体成形体に対して、還元雰囲気中、1250℃で2時間焼成し、さらに、弱酸化性雰囲気中にて、900℃で4時間の再酸化処理を行いセラミック積層体本体を得た。焼成後、このセラミック積層体本体の端面にCuペーストを900℃で焼き付け、さらにNi/Snメッキを施し、内部電極層と交互に接続する外部導体を形成した。
【0052】
評価については、まず、印刷後のセラミックパターンの厚みt1、並びに導体パターンの厚みt2を非接触式表面粗さ計(レーザー変位計)を用いて測定し、厚み比t1/t2を求めた。
【0053】
また、セラミックパターンの傾斜面の角度は触針式表面粗さ計を用いて測定した。
【0054】
また、焼成前の積層成形体各100個について実体顕微鏡を用いて観察し密着不良を評価した。
【0055】
さらに、デラミネーションについては、焼成後および耐熱衝撃試験(280℃、2秒浸漬)後の積層セラミックコンデンサ各100個について、その端面および側面からそれぞれ研磨し、内部導体周辺部のデラミネーションの発生率を評価した。
【0056】
次に、静電容量のばらつきは、焼成後の積層セラミックコンデンサ100個の静電容量の測定値から算出した。また、同時に静電容量の測定から短絡(ショート)率を求めた。
【0057】
一方、比較例として、セラミックグリーンシート上に、先に導体パターンを形成し、次に、セラミックパターンを形成したものを調製し、本発明と同様の方法により積層、焼成した試料を作製し評価した。
【0058】
【表1】
【0059】
表1の結果から明らかなように、セラミックグリーンシートに、セラミックパターンを形成した後に導体パターンを形成する工程Aを用いて作製した試料No.1〜12では、デラミネーションが焼成後に最大で3個、および耐熱衝撃試験後に最大で5個見られたものの、密着不良が2個以下で、静電容量のばらつきが2.1%以下、短絡率が3%以下であった。
【0060】
特に、セラミックパターンの厚みを導体パターンの厚みよりも厚くした試料No.6〜12では、密着不良が1個以下、焼成後および耐熱衝撃試験後のデラミネーションが、それぞれ2個以下、および3個以下となりかつ静電容量のばらつきを1.4%以下、短絡率を2%以下に低減できた。
【0061】
さらには、セラミックパターンの厚みt1を導体パターンの厚みt2よりも厚くし、かつセラミックパターンの周辺部の傾斜面の角度を1〜40°とした試料No.8〜11では、焼成後のデラミネーションが無く、耐熱衝撃試験後のデラミネーションが1個以下、静電容量のばらつきを1.3%以下、短絡率を1%以下でできた。
【0062】
これに対し、導体パターンを形成後にセラミックパターンを形成した試料No.13では、焼成前の密着不良や、焼成後および耐熱衝撃試験後のデラミネーションが多発し、静電容量のばらつきが3.1%で短絡率も7%と高かった。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明によれば、セラミックグリーンシート上にセラミックパターンを形成した後に導体パターンを形成するという工程を採用することにより、導体ペーストが印刷後乾燥されるまでの間に、導体ペーストの周辺がセラミックパターンに囲まれた状態となり、印刷時のにじみを抑制でき、静電容量のばらつきや短絡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック積層体を製造するための工程図である。
【図2】セラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターンおよび導体パターンの配置を示す斜視図である。
【図3】セラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターンおよび導体パターンの要部拡大図である。
【図4】従来の、セラミックグリーンシート上に形成されたセラミックパターンおよび導体パターンの要部拡大図である。
【符号の説明】
1 キャリアフィルム
3 セラミックグリーンシート
5 セラミックパターン
7 導体パターン
13 母体積層体
Claims (5)
- セラミックグリーンシートの主面上における導体パターンが形成される領域を囲む部分にセラミックペーストを印刷して、セラミックパターンを形成する工程と、
該セラミックパターンの内側に導体パターンを形成する工程と、
前記セラミックパターン及び前記導体パターンが形成されたセラミックグリーンシートを複数積層して母体積層体を形成する工程と、
前記母体積層体を切断して積層体成形体を形成する工程と
を具備することを特徴とするセラミック積層体の製法。 - 前記セラミックパターンの厚みをt1、前記導体パターンの厚みをt2としたときに、t1>t2の関係を満足することを特徴とする請求項1に記載のセラミック積層体の製法。
- 前記セラミックパターン周辺部の傾斜面の角度がセラミックグリーンシートの主面に対して0.5°以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミック積層体の製法。
- セラミックグリーンシート中のセラミック成分と、セラミックペースト中のセラミック成分とが実質的に同一組成物からなることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか記載のセラミック積層体の製法。
- 前記導体パターンが、焼成後に積層セラミックコンデンサの内部電極層となることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか記載のセラミック積層体の製法。
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JP2006222355A (ja) * | 2005-02-14 | 2006-08-24 | Neomax Co Ltd | 積層部品の製造方法、積層部品用グリーンシート及び積層部品 |
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-
2002
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