JP2015193722A - インキ組成物及びセラミック基板の製造方法 - Google Patents

インキ組成物及びセラミック基板の製造方法 Download PDF

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直 義原
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健一 矢次
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嘉則 片山
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Abstract

【課題】シリコーンブランケット表面に画像形成してインキ塗膜を形成し、それをセラミック基板に転写して精密パターンを当該セラミック基板上に印刷する方法に適用した際に、焼成後により優れた導電性を有し、かつ、より薄膜で線幅50μm未満といった、より精細な導体パターンが得られるインキ組成物を提供する【解決手段】導電性金属粒子(A)、熱重量測定における温度700℃における加熱重量減少が少なくとも98%以上である熱可塑性のバインダー樹脂(B)、粘着付与剤(C)及び有機溶剤(D)を含有することを特徴とするインキ組成物、及び当該インキ組成物を用いたセラミック基板の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性皮膜を形成するためのインキ組成物及びそれ用いた導体パターンが形成されたセラミック基板の製造方法に関する。
昨今、セラミック基板上、或いは低温同時焼成セラミックス:LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics) グリーンシート基板上のセンサー、回路、放熱材料、積層セラミックコンデンサー:MLCC(Multi-Layered Ceramic Capacitor)等の電気電子部品は、部品自体の小型化や、高集積化のために、その導体パターンには、高度の薄膜化や精細化が求められている。
上記した電気電子部品の製造における導体パターンの形成に当たっては、単位時間当たりの生産性を高めたり、インクを無駄に用いないという観点から、最近では印刷により、必要な導体パターンのみをセラミック基板上に形成する方法が注目されてきている。
上記したLTCC、MLCC等では、セラミック基板の様な支持体上に、導体パターンを形成する必要があり、そのためのインクとしては、導電性金属粒子と、700℃以上での焼成において熱分解し、完全に消失する熱可塑性のバインダー樹脂とを含有するインク組成物が使用されている。具体的には、LTCCグリーンシート上に導体パターンを形成するためのインキとして、例えば、銀(Ag)、あるいは銀(Ag)と、パラジウム(Pd)及び白金(Pt)の一方もしくは両方の金属導電性の金属粉末と、後記有機溶剤に対して耐溶剤性を有する200〜700℃で熱分解する樹脂と、有機溶剤を含有するインキ組成物が知られている(特許文献1)。
しかしながら、上記インキ組成物はスクリーン印刷法にて、線幅200μmで導体パターンに対応するインキ塗膜を、LTCCグリーンシート上に形成し焼成して導体パターンを得ており、この様なインキ組成物では、部品自体の小型化や、高集積化が行なえないという欠点がある。スクリーン印刷法は、メッシュを通して必要な箇所に必要なインキ塗膜のパターンを形成する印刷方法であり、現在市販されているメッシュでは、せいぜい線幅50μmの導体パターンを形成するのが限度であり、更なる部品自体の小型化や、導体パターン等の高集積化には全く対応できない。
一方、上記したスクリーン印刷法よりもインク塗膜の薄膜化や、それに基づくパターン精細化が容易な印刷方法として、シリコーンブランケット表面に画像形成されたインキ塗膜を、支持体に転写して精密パターンを当該支持体上に印刷する様な、例えば、グラビアオフセット印刷法や凸版反転印刷法などが知られている。
この様なシリコーンブランケット表面に画像形成されたインキ塗膜を、支持体に転写して精密パターンを当該支持体上に印刷する方法に用いる、導体パターンの形成を目的としたインキとしては、例えば、インキ塗膜を焼成した際に、分解したり揮発したりしない、メラミン樹脂、エポキシ樹脂或いはブロック型ポリイソシアネート樹脂などを主成分とするバインダー樹脂を含有するインキ組成物も知られている(特許文献2)。
しかしながら、この様なインキ組成物から形成されるインキ塗膜は、前記した樹脂成分が硬化した状態にあることから、焼成しても焼失することなく、導体パターンに残存することになるため、電気抵抗が高くなってしまい、高度の導電性の導体パターンが得られないという欠点がある。
しかも、特許文献1に記載されたスクリーン印刷用インキ組成物を、特許文献2にある様な、シリコーンブランケット表面に画像形成されたインキ塗膜を、支持体に転写して精密パターンを当該支持体上に印刷する方法にそのまま適用して印刷を行おうとしても、インキ組成物がブランケット表面に適切に密着できずに、適切な転写が行われず、意図した導電パターンに対応するインキ塗膜の細線が形成できない。
特開2003−323816公報 特開2007−254635公報
本発明は、シリコーンブランケット表面に画像形成してインキ塗膜を形成し、それをセラミック前駆体基板又はセラミック基板に転写して精密パターンを当該セラミック基板上に印刷する方法に適用した際に、焼成後により優れた導電性を有し、かつ、より薄膜で線幅50μm未満といった、より精細な導体パターンが得られるインキ組成物を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記実情に鑑みて鋭意検討したところ、熱重量測定における温度700℃における加熱重量減少が少なくとも98%以上である熱可塑性のバインダー樹脂と粘着付与剤とを組み合わせて調製したインキを、シリコーンブランケット表面に画像形成してインキ塗膜を形成し、それをセラミック前駆体基板又はセラミック基板に転写して精密パターンを当該セラミック基板上に印刷する方法に適用することで、上記課題が解決されることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、シリコーンブランケット表面に画像形成されたインキ塗膜を、セラミック前駆体基板又はセラミック基板に転写して精密パターンを当該セラミック前駆体基板又はセラミック基板上に印刷することが可能であり、焼成することで当該セラミック基板上に当該精密パターンに対応した導体パターンを形成できる、導電性金属粒子(A)、熱重量測定における温度700℃における加熱重量減少が少なくとも98%以上である熱可塑性のバインダー樹脂(B)、粘着付与剤(C)及び有機溶剤(D)を含有することを特徴とするインキ組成物を提供する。
また本発明は、シリコーンブランケット表面に画像形成された、導電性金属粒子(A)、熱重量測定における温度700℃における加熱重量減少が少なくとも98%以上である熱可塑性のバインダー樹脂(B)、粘着付与剤(C)及び有機溶剤(D)を含有することを特徴とするインキ組成物に基づくインキ塗膜を、セラミック前駆体基板又はセラミック基板に転写して精密パターンを当該セラミック前駆体基板又はセラミック基板上に印刷し、温度700℃以上で焼成する、当該精密パターンに対応した導体パターンが形成されたセラミック基板の製造方法を提供する。
本発明では、導電性金属粒子(A)、熱重量測定において、温度700℃における加熱重量減少が少なくとも98%以上である熱可塑性のバインダー樹脂(B)、粘着付与剤(C)及び有機溶剤(D)を含有することを特徴とするインキ組成物を、シリコーンブランケット表面に画像形成されたインキ塗膜を、セラミック前駆体基板又はセラミック基板に転写して精密パターンを当該セラミック前駆体基板又はセラミック基板上に印刷して、焼成することで当該セラミック基板上に当該精密パターンに対応した導体パターンを形成するので、ブランケット表面に適切に密着できないとか、適切な転写が行われないといった欠点が無く、意図した導電パターンに対応するインキ塗膜の細線をセラミック前駆体基板又はセラミック基板上に適切に形成でき、焼成後により優れた導電性を有し、かつ、より薄膜で線幅50μm未満といった、より精細な導体パターンが形成されたセラミック基板が容易に得られるという格別顕著な効果を奏する。
本発明の、導電パターンが形成されたセラミック基板の製造方法にて用いたグラビアオフセット印刷機の一実施形態の主要な構成を示す斜視図である。
本発明は、シリコーンブランケット表面に画像形成されたインキ塗膜を、セラミック前駆体基板又はセラミック基板に転写して精密パターンを当該セラミック前駆体基板又はセラミック基板上に印刷することが可能であり、焼成することで当該セラミック基板上に当該精密パターンに対応した導体パターンを形成できる、導電性金属粒子(A)、熱重量測定において、温度700℃における加熱重量減量が少なくとも98%以上である熱可塑性のバインダー樹脂(B)、粘着付与剤(C)及び有機溶剤(D)を含有することを特徴とするインキ組成物に関する。
(導電性金属粒子)
本発明で使用する導電性金属粒子(A)としては、公知の物がいずれも使用できる。例えば、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛、クロム、プラチナ、パラジウム、タングステン、モリブデン等、およびこれら2種以上の合金、混合体、あるいはこれら金属の化合物で良好な導電性を有するもの等が挙げられる。特に、銀粉は、安定した導電性を実現し易く、また熱伝導特性も良好なため好ましい。
本発明における導電性金属粒子(A)としては、平均粒子径としてメジアン粒径(D50)が0.001〜50μmの金属粉を用いることが好ましく、0.010〜10μmであることがより好ましい。この範囲は、シリコーンブランケット表面に画像形成してインキ塗膜を形成し、それをセラミック基板に転写して精密パターンを当該セラミック基板上に印刷する方法において、印刷機上での連続的に印刷した場合においても、トラブルが起こり難く安定的に良好な導体パターンを得やすくなる。
この導電性金属粒子(A)は、金属面が露出したものであっても、予め、各種脂肪酸又はその塩、アミン化合物、硫黄原子含有化合物、リン酸化合物等や、アニオン性、カチオン性又は両性の各極性または無極性の界面活性剤等の表面処理剤にて表面被覆されたものであっても、或いは金属面の一部に金属酸化物が存在するものであっても良い。中でも上記表面処理剤で表面被覆されたものを使用する場合の表面処理剤は、該表面処理剤を構成する分子構造の一部が該導電性金属粒子(A)と親和性を有しており、且つ同表面処理剤を構成する分子構造の他の一部が、熱重量測定において、温度700℃における加熱重量減少が少なくとも98%以上である熱可塑性のバインダー樹脂(B)、或いは粘着付与剤(C)と親和性を有する性質であるものが、より分散安定性の優れた導電性金属粒子(A)として使用することが可能である。
導電性金属粒子(A)は、導体パターンの導電性をより高める点で、表面被覆が全くされていない導電性金属粒子を用いることが好ましい。導電性金属粒子は、表面酸化防止のため、その製造工程においてしばしば脂肪酸やその塩が併用される。しかしながら、この工程により、表面酸化が防止される代わりに、導電性金属粒子表面は脂肪酸等で被覆されてしまうことになる。この様な場合、例えば、脂肪酸で表面被覆された導電性金属粒子は、上記した様なアミン化合物にて表面処理をすることで、表面被覆されていない、活性な表面を有する導電性金属粒子、又は、表面被覆されているが、容易にその被覆が剥離して活性な表面が発現しやすい導電性金属粒子とすることが出来る。
(熱重量測定において、温度700℃における加熱重量減少が少なくとも98%以上である熱可塑性のバインダー樹脂)
本発明のインキ組成物は、熱重量測定において、温度700℃における加熱重量減少が少なくとも98%以上である熱可塑性のバインダー樹脂を含有する。シリコーンブランケット表面に画像形成された、前記バインダー樹脂(B)を含むインキ塗膜を、セラミック基板に転写することで、上記導電性金属粒子(A)とバインダー樹脂(B)とが一体となって精密パターンを形成する。
すなわち、このバインダー樹脂(B)は、焼成前においては、セラミック基板上に、導電性金属粒子(A)を固着する機能を有している。しかしながら、導体パターンがより優れた導電性を発現するためには、導電性を阻害する化学成分を含有していない、実質的に導電性金属粒子のみの連続皮膜となっていることが好ましい。
例えば、上記した様なLTCCでは、その言葉の由来の通り、セラミック前駆体の基板上に、導電性金属粒子(A)とバインダー樹脂(B)を含有するインキ塗膜を形成させて、前駆体を加熱によりセラミックに変換すると共に、インキ塗膜を焼成させて導電性金属粒子のみの導体パターンを形成させて、前記加熱と焼成を一度に行うことで、導体パターンが形成されたセラミック基板が製造される。上記した一度に行う加熱と焼成は、省エネルギーの観点から低いほど好ましいが、700〜1500℃で行うことが出来る。
この様な観点から、バインダー樹脂(B)としては、温度700℃においては、実質的に焼失(消失)する熱可塑性のバインダー樹脂を用いることが好ましい。熱硬化性樹脂は、それが硬化した後に完全に焼失(消失)させるための加熱温度をかなり高くする必要があったり、低い加熱温度では、焼失しきれなかった有機物残渣が導体パターンに残存しやすく、導電性低下の原因となるため、好ましくない。
よって、バインダー樹脂(B)としては、温度700℃における加熱重量減少が少なくとも98%以上であることが好ましい。さらに好ましくは温度700℃以下の加熱重量減少量挙動がより低温で、且つ多いことが加熱焼成後の塗膜物性を保持する為には重要である。このためには、特に、温度400℃以下での加熱重量減少量がより多いことが好ましい。さらに具体的な条件を述べると、熱重量測定において、温度400℃における加熱重量減少が少なくとも90%以上であり、且つ温度700℃における加熱重量減少が少なくとも98%以上である熱可塑性のバインダー樹脂(B)であることが最も好ましい。
本発明における熱重量測定における温度400℃、及び700℃における加熱重量減少の測定は、公知慣例の方法に従って行なうことが出来る。測定装置の仕様や、測定するサンプルの形態や量等によって、その測定条件等を適宜調整すれば良い。例えば、次の通りに測定できる。
加熱重量減少値(%)は、示唆熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)や熱重量測定装置(TG)等を用いて、加熱前のサンプル重量と、該サンプルを空気存在下、所定温度で180分加熱した後のサンプルの重量を測定し、加熱前の測定サンプル重量を100%とした場合に対する加熱後の重量の割合を算出した値である。尚、400℃における加熱重量減少は、上記した熱重量測定において、700℃における加熱重量減少を測定する昇温途中の400℃時点での加熱重量減少の値として求めることが出来る。
熱重量測定における加熱重量減少を測定するにあたり、必要であれば、空気の流速、昇温速度を調整することが出来る。空気の流速は装置に合った一般的な流量であればよく、限定されるものではないが、例えば、10〜500ml/分とすることが好ましい。昇温速度も装置の仕様に合った一般的な速度であれば良いが、昇温速度が遅いと所定温度での測定までに時間がかかりすぎ、速すぎると実測温度が昇温条件に追従し難くなるため、例えば、1〜30℃/分とすることが好ましい。
熱重量測定において、温度700℃における加熱重量減少が少なくとも98%以上である熱可塑性のバインダー樹脂(B)としては、例えば、オレフィンポリマー、アクリルポリマー、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリルアミド、セルロース、セルロース誘導体等や、これらを組み合わせたコポリマー等が挙げられる。
さらにより好ましい具体例である、熱重量測定において、温度400℃における加熱重量減量が少なくとも90%以上であり、且つ温度700℃における加熱重量減少が少なくとも98%以上である熱可塑性のバインダー樹脂(B)としては、例えば、セルロース樹脂、高Tg(メタ)アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の熱可塑性のバインダー樹脂を用いることが出来る。
この様なバインダー樹脂(B)としては、例えば、メトキシセルロース、エトキシセルロース等のアルコキシセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のアルキルエステルセルロースの様なセルロース樹脂、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリル酸アルキルエステルのホモポリマー又はコポリマーの様なガラス転移温度Tgが50℃以上の高Tgの(メタ)アクリル樹脂を挙げることが出来る。
セラミック基板の前駆体及びそれを焼成したセラミック基板への密着性が良好であることから、セルロース樹脂が好適に使用される。
本発明では、シリコーンブランケット表面に画像形成された、請求項1記載のインキ組成物に基づくインキ塗膜を、セラミック前駆体基板又はセラミック基板に転写して精密パターンを当該セラミック前駆体基板又はセラミック基板上に印刷するが、上記バインダー樹脂(B)を用いただけだと、インキ塗膜がブランケット表面に適切に密着しないとか、適切な転写が行われないといった欠点が発生する場合があるため、これを防止するために、バインダー樹脂(B)に粘着付与剤(C)を併用する。
この様な粘着付与剤(C)としては、例えば、ヒマシ油、ヒマシ硬化油、ヒマシ油脂肪酸、低Tg(メタ)アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の粘着付与剤を用いることが出来る。尚、低Tg(メタ)アクリル樹脂とは、ガラス転移温度Tgが50℃未満の(メタ)アクリル樹脂であり、粘着性に優れる点で、Tgが0℃以下の(メタ)アクリル樹脂であることが好ましい。
尚、バインダー樹脂(B)と粘着付与剤(C)とは、両者が相溶する様に組み合わせて用いることが好ましい。化学構造が類似するバインダー樹脂(B)と粘着付与剤(C)同士は相溶しやすい傾向があることから、バインダー樹脂(B)と粘着付与剤(C)との好適な組み合わせとしては、水酸基を多く有する共通点の観点から、セルロース樹脂とヒマシ油との組み合わせ、アルキルエステル鎖を有する共通点の観点から、高Tgの(メタ)アクリル樹脂と低Tgの(メタ)アクリル樹脂との組み合わせは好ましい。
バインダー樹脂(B)と粘着付与剤(C)との割合は、適切な転写が行われる様なブランケットへの密着性が達成できれば、特に制限されるものではないが、両者の質量換算の割合で、バインダー樹脂(B)/粘着付与剤(C)=5/95〜50/50とすることが好ましい。
バインダー樹脂(B)と粘着付与剤(C)の合計成分は、前記(A)〜(D)の各成分合計に対し、質量換算で2〜20%、中でも3〜15%とすることが好ましい。形成すべき導体パターンが、直線からなる凹部のみが設けられた版を用いて印刷する場合には、上記不揮発分は比較的自由度が大きいが、略L字状や略逆L字状の様な二つの直線が交わった形状や、それらが一対に組み合わさった形状に代表されるパターンの印刷では、上記より狭い不揮発分範囲にて、ブランケット上でより良好なパターンのインキ塗膜を形成することが容易になり、当該インキ塗膜がブランケットからセラミック前駆体基板又はセラミック基板被印刷物への完全転写することが容易になる。また、上記より狭い不揮発分範囲にて、インキ組成物の粘度がより適正になり、導体パターンを有する版にインキ組成物を供給する工程が容易になる。
本発明のインキ組成物において、導電性金属粒子(A)とバインダー樹脂(B)と粘着付与剤(C)との割合は特に制限されるものではないが、不揮発分の質量換算で、前記バインダー樹脂(B)と粘着付与剤(C)の合計使用量をR、前記導電性金属粒子(A)の使用量をPとした際の両者の質量比R/Pを、0.01〜0.20となる様に調製することが、精密パターンの焼成後の導電性金属粒子(A)の連続皮膜からなる導体パターン中に有機物を残さず、その導体パターンの導電性を高められる点から好ましい。
導電性金属粒子(A)とバインダー樹脂(B)と粘着付与剤(C)は、有機溶剤(D)と混合することで、インキ組成物とすることが出来る。この際に用いる有機溶剤(D)としては、バインダー樹脂(B)と粘着付与剤(C)とをいずれも溶解するものを用いることが好ましい。
本発明のインキ組成物は、公知慣用の方法によりインキ塗膜を製膜し、それを焼成することで導体パターンを形成することが出来る。上記した製膜方法は、インキ組成物の性状に合った方法であれば、公知慣用の方法のいずれも採用しうるが、例えば、スピンコータ、バーコータ、アプリケータ、ディッピング等によるコーティング法、或いは凸版反転印刷法や、グラビアオフセット印刷法等による版を用いた印刷方法が挙げられる。
シリコーンブランケット表面に画像形成してインキ塗膜を形成し、それをセラミック前駆体基板又はセラミック基板に転写して精密パターンを当該セラミック前駆体基板又はセラミック基板上に印刷する方法としては、例えば、グラビアオフセット印刷法や凸版反転印刷法を挙げることが出来る。これら各印刷方法に関しては、後に詳述する。
グラビアオフセット印刷法に適した本発明のインキ組成物を調製するに当たっては、有機溶剤(D)として、例えば、プロピレングリコールジアセテート(PDGA)、3−メトキシ−3−メチルブタノール(ソルフィット)等を挙げることが出来るが、中でも、導体パターンの最初の印刷時と、より多数の印刷時とにおいて、いずれも、直線性に優れ断線等が起こり難い印刷パターンが得られる点で、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BDGAC)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(EDGAC)の様な、エーテルアセテート系溶剤が特に好ましい。
凸版反転印刷法に適した本発明のインキ組成物を調製するに当たっては、有機溶剤(D)として、例えば、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、炭化水素系溶剤等を挙げることが出来る。凸版反転印刷法としては、ブランケット上のインキ塗膜の粘着性を印刷速度に対応して適切に保持するため、低沸点溶剤と高沸点溶剤とを併用することが好ましい。
低沸点溶剤としては、エステル系溶剤として、酢酸エチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルブチル、酢酸イソブチル、アルコール系溶剤として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、炭化水素系溶剤として、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどが挙げられる。これらは、単独で使用しても及び複数を併用してもよい。中でも、酢酸イソプロピルや、エタノール及び2―プロパノールが、その蒸発速度や表面張力から見て好ましい。
高沸点溶剤としては、エステル系溶剤として、乳酸エチル、ソルフィットアセテート、プロピレングリコールモノメチルアセテート(PGMAc)、プロピレングリコールモノエチルアセテート( PGMEA)、エトキシエチルプロピオネート(EEP)、ソルフィットAC(商品名: 3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート、株式会社クラレ製)、アルコール系溶剤として、ダイヤドール135(三菱レイヨン株式会社製)、1−ヘキサノール、エーテル系溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルアセテート、ソルフィット(商品名:3−メトキシ−3−メチル−ブチルアルコール、株式会社クラレ製)、炭化水素系溶剤として、ソルベッソ100、ソルベッソ1 5 0(商品名、エクソン化学株式会社製)が挙げられる。これらは、単独で使用しても及び複数を併用してもよい。中でも、PGMAc 、PGM及びダイヤドール135(三菱レイヨン株式会社製) が、その蒸発速度や表面張力から見て好ましい。
この低沸点溶剤と高沸点溶剤との併用割合(低沸点溶剤/高沸点溶剤)は、特に制限されないが、10/90 〜90/10、好ましくは20/80〜80/20、さらに好ましくは30/70〜70/30とすることが出来る。
本発明のインキ組成物中における有機溶剤(D)の含有率は、上記した効果が得られる範囲であれば特に制限は無いが、3〜30質量%であるが好ましく、中でも5〜20質量%であることがさらに好ましい。この範囲であると、インキ粘度がより適正になり、特に、グラビアオフセット印刷法や凸版反転印刷法において、セラミック前駆体基板又はセラミック基板に転写して精密パターンを印刷した際に、画線のコーナー部分やマトリックスの交差点にピンホール欠陥を起こすことなく、より高精細な精密パターンを形成することができる。
シリコーンブランケット表面に画像形成してインキ塗膜を形成し、それをセラミック前駆体基板又はセラミック基板に転写して精密パターンを当該セラミック前駆体基板又はセラミック基板上に印刷する工程自体は、グラビアオフセット印刷法も凸版反転印刷法も、両者共通である。両者印刷方法が異なるのは、その前工程である。
グラビアオフセット印刷法では、凹版(グラビア版)に本発明のインキ組成物を塗布し、凹部に充填されたインキ組成物を、上記ブランケット表面に転写して精密パターンに対応するインキ塗膜を形成する。一方、凸版反転印刷法では、シリコーンブランケット表面全面にインキ組成物を塗布し、そこに凸版(抜き型)を押圧して、不要なインキ塗膜を除去して、シリコーンブランケット表面に精密パターンに相当するインキ塗膜を形成する。
本発明で適用するグラビアオフセット印刷法では、所望の印刷パターンに対応する凹部が形成されたグラビア版と、インキ組成物を凹版の凹部に充填するドクターブレードと、表面が、例えばシリコーンゴムからなるブランケットとが用いられる。この凹版には、インキ組成物が充填される精密パターンに対応した凹部を有する溝が設けられる。この凹版の溝である凹部からインキ組成物のインキ塗膜がブランケットに受け渡される。このブランケットに対向させる様に、被印刷物であるセラミック前駆体基板又はセラミック基板を供給して、両者を圧接させて、ブランケット上の精密パターンに対応するパターンを被印刷物たる前記基板に印刷することで、印刷パターンが形成される。この印刷パターンは、焼成することで導体パターンとなる。
図1に示すように、グラビアオフセット印刷機1は、凹版(グラビア版)11が載置される第1のステージ(第1の移動機構)2と、被印刷物であるセラミック前駆体基板又はセラミック基板12が載置される第2のステージ(第2の移動機構)3と、第1のステージ2及び第2のステージ3を所定の方向に直線状に往復動させる搬送部(第1の移動機構、第2の移動機構)4と、凹版11に圧接可能に設けられたドクターブレード5と、凹版11及び基板12に圧接可能に設けられたブランケット6と、を含んで構成されている。
一方、本発明で適用する凸版反転印刷法では、例えば、所望の印刷パターンとは反転したパターンに対応する凸部が形成された、抜き型に相当する凸版と、インキ組成物をシリコーンゴムからなるブランケットの全面に塗布するドクターブレードと、例えば前記ブランケットとが用いられる。凸版は、ブランケット上の非画線部に相当するインキ塗膜をブランケットから除くための凸部を有する凸条が設けられる。一旦、ブランケットの全面に塗布されたインキ組成物のインキ塗膜は、凸版で非画線部に相当するブランケット上のインキ組成物が除去されるが、この残ったインキ塗膜は、導体パターンに対応した精密パターンに相当している。このブランケット上の精密パターンに相当するインキ組成物のインキ塗膜がブランケットに受け渡される。このブランケットに対向させる様に、被印刷物であるセラミック前駆体基板又はセラミック基板を供給して、両者を圧接させて、ブランケット上の精密パターンに対応するパターンを被印刷物に印刷することで、印刷パターンが形成される。この印刷パターンは、焼成することで導体パターンとなる。
これらの印刷法によれば、抜き型である凸版の凸条、又は凹版の溝の形状によって印刷パターンの形状を自在に設定でき、また、ブランケットから被印刷物へのインキ組成物のインキ塗膜の転写率も高いため、導体パターンに対応する印刷パターンを精度良く形成することが可能である。
これら印刷法では、公知慣用の凸版や凹版、ガラス板上の感光性樹脂を露光、現像、洗浄により形成した凸版や凹版、ガラス板、金属板、金属ロールをケミカルエッチングおよびレーザーエッチングにより形成した凸版や凹版がそれぞれ使用できる。
また、これら印刷法では、ブランケットが用いられる。ブランケットとしては、例えば、シリコーンゴム層、PET層、スポンジ層の様な層構造を有するシートが挙げられる。通常、ブランケット胴と称される剛性のある円筒に巻きつけた状態で使用される。
本発明のインキ組成物には、上述の成分以外にも、必要に応じて、分散剤、消泡剤、剥離剤、レベリング剤、可塑剤などの各種添加剤を適宜適量配合することができる。
本発明のインキ組成物は、任意の方法で、例えば、被印刷物である、セラミック前駆体基板又はセラミック基板に上に、塗布または印刷することで印刷パターンを形成することができる。
セラミック基板としては、公知慣用のセラミック基板を用いることが出来る。この際のセラミック素材としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、ジルコン、フェライト、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化ビスマス、フォルステライト、ムライト、ステアタイト、コーディエライト、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化珪素等を挙げることが出来る。セラミック基板としては、上記した様な素材から得られたものをいずれも用いることが可能である。勿論、本発明においては、表面粗度が小さく平滑なセラミック基板を用いることが好ましい。この様なものとしては、研磨処理を行ったグレーズ加工をしていないセラミック基板も、非結晶ガラスなどでグレーズ加工をしたセラミック基板も、いずれも用いることが出来る。
セラミック前駆体基板は、シート状材料であり、所謂、LTCC基板分野におけるセラミックグリーンシートと呼ばれるものであり、例えば、以下の様に製造出来る。
1.上記した様なセラミックス素材の粉末とガラスを一定比率で配合し混合する。
2.上記で得られた原料混合物にバインダー樹脂と溶剤を加え、均一になるまで分散させ、スラリーを得る。
3.上記スラリーを、製膜装置で支持体上に一定の厚さで塗布し(焼成時より低温にて)乾燥させる。
上記した通り、セラミック基板上に本発明のインキ組成物で精密パターンを印刷して焼成して導体パターンを形成しても良いが、セラミック前駆体基板上に本発明のインキ組成物で精密パターンを印刷して、セラミック前駆体の焼成と、インキ組成物の有機成分の焼成除去(消失)と、支持体の焼成除去(消失)を、それぞれ同時に行って導体パターンが形成されたセラミック基板を得ることも出来る。後者の方が、焼成に要するエネルギー消費を抑制できたり、インキ組成物のバインダー樹脂及び粘着付与剤と、スラリー中のバインダー樹脂との間の優れた相互作用により、焼成前の精密パターンのスラリー塗布面に対する初期密着性や位置決め精度をより高度にすることが可能であり、焼成後に得られる導体パターンが形成されたセラミック基板の性能も、セラミック基板に直接インキ組成物で精密パターンを形成して焼成後に得られる同様の導体パターンが形成されたセラミック基板より、より優れたものと出来るので好ましい。
本発明のインキ組成物を調製するに当たっては、本発明では印刷すべき被印刷物がセラミック前駆体基板又はセラミック基板であり、耐熱性に優れることから、焼成により焼失してしまう熱可塑性のバインダー樹脂(B)や粘着付与剤(C)等だけで、上記被印刷物への密着性が不充分である場合には、焼成後に求められる導体パターンの導電性を損なわない限りにおいて、必要に応じて、例えば、ホウケイ酸ガラスやリンケイ酸ガラスの様なガラスから得られた、ガラスフリットの様な無機結着剤を含有させることも出来る。
上記した被印刷物上に形成された、精密パターンに対応する印刷パターンを焼成することで、導体パターンを得ることが出来る。この焼成に当たっては、インキ組成物に含有されている有機溶剤(D)の除去と、精密パターンの焼成とをこの順に行っても良いし、これらを同時に行っても良い。
本発明のインキ組成物には、有機溶剤(D)が含まれているが、ブランケット上に形成された所望の精密パターンに対応するインキ塗膜が薄膜化され、その表面からは沸点未満であっても揮発が進行するし、セット工程で、ブランケットから被印刷物上に転写された印刷パターン中の有機溶剤(D)は、前工程のインキ組成物中に比べて、その含有率が大幅に低減されている。従って、実際に用いたインキ組成物に含有された有機溶剤(D)の沸点以上まで加熱を行わなくても、当該有機溶剤(D)を除去することは可能である。
こうして、本発明において被印刷物上に設けられた印刷パターンは、例えば、温度700℃以上で30秒〜5時間、中でも好ましくは、700〜1500℃で15分〜3時間加熱することで焼成が行われ、インキ塗膜中に含有されていた有機成分を実質的に含まない導体パターンに変換され、導電性を発現する。
本発明のインキ組成物からは、各種の形状の精密パターンを形成することが出来、例えば、略L字状、略逆L字状、これらの組み合わせ或いは略ロ字状といった様な、二つ以上の直線状凹部が繋がって形成されたベゼルパターンだけでなく、従来の直線パターンを得るのにも適用できる。よって本発明のインキ組成物は、例えば、LTCC、センサー、回路、MLCC、サーマルプリントヘッド等に使用できる。
使用用途によって、その用途に固有な要求性能が、上記とは別に必要とされる場合が考えられる。その場合には、インキ組成物自体またはそれから得られるインキ塗膜や導体パターンが上記した特性のみならず、目的の用途として使用可能であることを公知慣用の方法を用いて測定し確認することが好ましい。具体的には、例えば、本発明のインキ組成物を温度センサー用途に適用する様な場合は、上記以外に、抵抗温度係数(以下、TCRという。)が重要な特性値となる。
白金センサーの場合は、白金の0℃〜100℃のときのTCR 3850ppm、ニッケルセンサーの場合は、ニッケルの0℃〜25℃のときのTCR 6000ppm、チタンセンサーの場合は、チタンの0℃〜100℃のときのTCR 5460ppmに、それぞれ近い値であることが好ましく、サンプル間のばらつきが小さいことを確認し、目的の用途として使用できるインキ組成物及び当該インキ組成物で印刷したセラミック基板であることを確認してから、当該用途に適用することが好ましい。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。ここで「%」は、特に断らない限り「質量%」である。
(実施例1)
エトセルcp20(バインダー樹脂。米国ダウケミカル社製エトキシセルロース。熱重量測定において、温度400℃で180分における加熱重量減少量が94.3%、且つ温度700℃で180分における加熱重量減少が99.6%)を、予めブチセノール20アセテート(有機溶剤。KHネオケム株式会社製ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)で希釈溶解し、不揮発分28.5%に調製したエトセル溶液を得た。
白金粉末AY−1050(導電性金属粒子。田中貴金属株式会社製、粒度分布計による50%平均粒子径0.4〜0.8μm)2.55gと、上記エトセル溶液0.17g、精製ヒマシ油LAV(粘着付与剤。伊藤製油株式会社製低酸価低水分グレード、酸価156〜165mgKOH/g、水分0.08%以下)0.14g、ブチセノール20アセテート0.14gとをフーバーマーラーで混練し、白金粉末が有機溶剤に分散したインキ組成物を得た。
当該インキ組成物を、図1に示したグラビアオフセット印刷機を用いて、セラミック基板である、非結晶ガラスでグレーズしたアルミナ基板上に、印刷により線幅25μm、膜厚2μmの精密パターンを形成した。これを電気炉を用いて、室温から約3時間で1400℃まで昇温し、30分間保持した後、自然冷却した。この焼成により、セラミック基板上に、白金を含む導体パターンを形成した。この導体パターンには、有機成分が実質的に全く含有されていなかった。
セラミック基板上の焼成後の白金からなる導体パターンの線幅は25μmであり、膜厚は1.2μmであり、体積抵抗率 15μΩ・cmであった。常温におけるTCRは、3800〜3900ppmの範囲内にあった。断線、フィラメントと呼ばれる画線両脇からの突起状の形状、その他版のパターンにない形状がないこと、さらに印刷後のブランケット上に転写しなかった残存インクがないことが確認できた。
(加熱重量減少の測定方法)
バインダー樹脂のみを用い、ヤマト科学株式会社製示差熱熱重量同時測定装置 EXSTAR TG/DTA6300を用いて、加熱前のサンプル重量を測定後、空気流量200ml/分、昇温速度10℃/分、400℃で180分保持後の重量と、700℃で180分保持後の重量とをそれぞれ測定した。
(導体パターン中の有機成分量の測定方法)
インク組成物をセラミック基板上に、アプリケータを用いて塗膜を作成し、所定の条件(700〜1500℃で30分保持)で焼成する。焼成後の塗膜をセラミック基板からはがし、TG/DTAにて加熱減少量を測定する。測定条件は、昇温10℃/分、最高温度1000℃で15分保持とした。この際、重量減少量が、装置内蔵の天秤の測定誤差範囲以下であれば有機成分が実質的に全く含有されていないものと判断した。
(印刷適性の評価方法)
所定の印刷機により線幅40μm、25μmのパターンを印刷できる版を用いて印刷したときの画線を目視、及び顕微鏡で観察し、断線、フィラメントと呼ばれる画線両脇からの突起状の形状、その他版のパターンにない形状がないことを確認、さらに印刷後のブランケット上に転写しなかった残存インクがないことを確認することにより印刷適性の有無を判断した。
(導電性の測定方法)
焼成後の導体パターンの一部に、セラミック基板が傷つけないように傷を入れ、菱化システム株式会社製非接触表面・層断面形状計測システム R5500Gを用いて、導体パターンの膜厚を測定し、三菱化学株式会社製抵抗率計 ロレスタ−EPを用いて、測定条件に膜厚を入力した上で、導体パターンの体積抵抗率を測定した。
(実施例2)
ファーミンO(花王株式会社製オレイルアミン)と試薬一級トルエンとを用いて、不揮発分10%のファーミン溶液を得た。
次に、金粉末G−200(導電性金属粒子。大研化学工業株式会社製、粒度分布計による50%平均粒子径0.5μm)3.0gと試薬一級酢酸エチル5.0gと、上で得たファーミン溶液0.9gとを混合し、これを攪拌しながら超音波ホモジナイザで1分間処理後、エバポレータを用いて酢酸エチルとトルエンとがトータルで0.5%未満になるまで加熱留去し、長鎖脂肪族アミンで表面処理された金粉末を得た。
上記実施例1と同様にして、不揮発分28.5%に調製したエトセル溶液を得た。上記で得た表面処理した金粉末2.63gと、エトセル溶液0.17g、精製ヒマシ油LAV0.14g、ブチセノール20アセテート0.14gとをフーバーマーラーで混練し、表面処理された金粉末が有機溶剤に分散したインキ組成物を得た。
当該インキ組成物を、図1に示したグラビアオフセット印刷機を用いて、セラミック基板である、非結晶ガラスでグレーズしたアルミナ基板上に、印刷により線幅25μm、膜厚2μmの精密パターンを形成した。これを電気炉を用いて、室温から約35分で810℃まで昇温し、10分間保持した後、自然冷却した。この焼成により、金を含むセラミック基板上に導体パターンを形成した。この導体パターンには、有機成分が実質的に全く含有されていなかった。
セラミック基板上の焼成後の金からなる導体パターンの線幅は25μmであり、膜厚は1.2μmであり、体積抵抗率 5μΩ・cmであった。断線、フィラメントと呼ばれる画線両脇からの突起状の形状、その他版のパターンにない形状がないこと、さらに印刷後のブランケット上に転写しなかった残存インクがないことが確認できた。
(比較例1)
白金粉末AY−1050 2.55gと、上記実施例で用いたのと同様のエトセル溶液0.37g、をフーバーマーラーで混練し、白金粉末が有機溶剤に分散したインキ組成物を得た。
当該インキ組成物を、実施例1〜2と同様にして、図1に示したグラビアオフセット印刷機を用いて線幅25μmの印刷パターン形成を試みたが、シリコーンブランケットからの転写が不十分であり、明らかに断線しており、実施例1〜2で得られた様な直線性に優れた精密パターンが得られず、両端部間での優れた導電性は期待できないため、焼成は行わなかった。
本発明のインキ組成物は、各種の電気部品・電子部品の導電性パターン形成用として利用することができる。より具体的には、LTCC、センサー、回路、MLCC、サーマルプリントヘッド等に使用できる。
1…グラビアオフセット印刷装置、2…第1のステージ(第1の移動機構)、3…第2のステージ(第2の移動機構)、4…搬送部(第1の移動機構、第2の移動機構)、6…ブランケット、11…グラビア版、12…セラミック前駆体基板又はセラミック基板。

Claims (6)

  1. シリコーンブランケット表面に画像形成されたインキ塗膜を、セラミック前駆体基板又はセラミック基板に転写して精密パターンを当該セラミック前駆体基板又はセラミック基板上に印刷することが可能であり、焼成することで当該セラミック基板上に当該精密パターンに対応した導体パターンを形成できる、導電性金属粒子(A)、熱重量測定における温度700℃における加熱重量減少が少なくとも98%以上である熱可塑性のバインダー樹脂(B)、粘着付与剤(C)及び有機溶剤(D)を含有することを特徴とするインキ組成物。
  2. 熱重量測定における温度700℃における加熱重量減少が少なくとも98%以上である熱可塑性のバインダー樹脂(B)が、セルロース樹脂または高Tg(メタ)アクリル樹脂のいずれかの熱可塑性のバインダー樹脂である請求項1記載のインキ組成物。
  3. 粘着付与剤(C)が、ヒマシ油、ヒマシ硬化油、ヒマシ油脂肪酸、低Tg(メタ)アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の粘着付与剤である請求項1記載のインキ組成物。
  4. 有機溶剤(D)が、エーテルアセテート系溶剤である請求項1記載のインキ組成物。
  5. シリコーンブランケット表面に画像形成された、請求項1記載のインキ組成物に基づくインキ塗膜を、セラミック前駆体基板又はセラミック基板に転写して精密パターンを当該セラミック前駆体基板又はセラミック基板上に印刷し、温度700℃以上で焼成する、当該精密パターンに対応した導体パターンが形成されたセラミック基板の製造方法。
  6. シリコーンブランケット表面に画像形成してインキ塗膜を形成し、それをセラミック前駆体基板又はセラミック基板に転写して精密パターンを当該セラミック前駆体基板又はセラミック基板上に印刷する方法が、グラビアオフセット印刷法または凸版反転印刷法のいずれかである請求項5記載のセラミック基板の製造方法。
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