JP2005290153A - プラズマディスプレイパネルの電極形成用インキおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネルの電極基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 導電性粉体と、焼成により除去可能な樹脂分と、熱分解温度が200〜450℃であるチキソトロピー性付与剤と、を含み、かつ当該チキソトロピー性付与剤の含有割合が全体の0.1〜5重量%である、本発明に係るプラズマディスプレイパネルの電極形成用インキを用いて、当該インキからなる電極パターンをオフセット印刷によって基板上に形成し、次いでこの電極パターンを焼成する。
【選択図】 なし
Description
PDPの制御部に用いられる電極基板の製造には、微細な電極パターンを高い精度で形成する必要があることから、フォトリソグラフィー技術が採用されている。しかし、フォトリソグラフィーによる電極パターンの製造はプロセスが複雑であって、しかもパターンの形成材料の多くが露光や現像処理によって無駄になることや、露光や現像の設備が高価であること等の理由から、PDPの製造コストは極めて高い。また、現像処理によって有害な廃液が多量に生じることから環境上好ましくなく、その処理にも多大なコストを要する。さらに、露光・現像装置の大型化はコスト的に極めて不利であることから、PDPの大型化への対応が困難という問題もある。
ここで、印刷法によるPDP用電極パターンの形成に用いられるインキは、一般に、焼成によって除去可能な樹脂と、導電性粉体と、ガラスフリットとを有機溶剤中に分散、混合させたものであるところ(特許文献1〜3)、かかるインキには、電極パターンの導電性を高める目的で導電性粉体の含有量をできる限り多くすることが求められており、絶縁性の物質については、電極パターンと基板との接着性を高めるのに必要となるガラスフリットを除いて、できる限り含有させないように設計されている。
本発明に係るプラズマディスプレイパネルの電極形成用インキ(以下、「PDP電極形成用インキ」という。)においては、上記のとおり、熱分解温度が200〜450℃であるチキソトロピー性付与剤が配合されており、さらに当該チキソトロピー性付与剤の含有割合が、インキ全体の0.1〜10重量%となるように調整されている。このように、使用するチキソトロピー性付与剤の平均粒径および熱分解温度、ならびにその含有割合を上記の範囲に設定することによって、後述する実施例より明らかなように、インキパターンを焼成して得られる電極パターンの導電性を低下させることなく、インキパターンの印刷形状を良好なものとすることができる。
上記のインキにおいて、チキソトロピー性付与剤の含有割合が、PDP電極形成用インキ全体の0.1重量%を下回る場合には、当該インキに十分なチキソトロピー性を付与することができず、印刷形状の乱れを発生させる原因となる。一方、チキソトロピー性付与剤の含有割合が、PDP電極形成用インキ全体の10重量%を超える場合には、印刷パターンに断線やピンホール等が生じ易くなる。
本発明に係るPDP電極形成用インキは、23℃でせん断速度が1s-1であるときの粘度η1と、23℃でせん断速度が12s-1であるときの粘度η12との比(η1/η12)が5〜10であるのが好ましい。かかる比η1/η12は、PDP電極形成用インキのチキソトロピー性を示す指標であって、比η1/η12が上記範囲を満足するインキについては、後述する実施例より明らかなように、その印刷特性が優れており、印刷形状の極めて良好なパターンを形成することができる。
本発明に係るPDP電極形成用インキについての絶対粘度の範囲は特に限定されるものではないが、23℃でせん断速度が1s-1であるときの粘度η1は100〜5000P(ポアズ)であるのが好ましく、23℃でせん断速度が12s-1であるときの粘度η12は20〜500P(ポアズ)であるのが好ましい。すなわち、本発明に係るPDP電極形成用インキにおいては、絶対粘度が上記範囲を満たしつつ、かつ、粘度の比η1/η12が上記範囲を満たすことが望まれる。
23℃でせん断速度が12s-1であるときの粘度η12は、上記範囲の中でも特に、その下限が50Pであるのが好ましく、100Pであるのがより好ましい。一方、その上限は400Pであるのが好ましく、300Pであるのがより好ましい。
本発明に係るPDP電極形成用インキにおいては、上記チキソトロピー性付与剤が、脂肪酸アマイド、ひまし油、ならびに、酸化ポリエチレン系、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、セルロース系およびブチラール系からなる群より選ばれる少なくとも1の樹脂もしくはエラストマーの、少なくとも1種であるのが好ましい。
本発明に係るPDP電極形成用インキにおいては、上記樹脂分が、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂の少なくとも1種であるのが好ましい。
本発明に係るPDP電極形成用インキにおいては、導電性粉体が銀粉末であるのが好ましい。銀粉末は、電極パターンの導電性を向上させる上で、その他の導電性粉体を用いるよりも効果的である。
凹版オフセット印刷は、凹版の凹部の深さを調節することで印刷されるインキパターンの膜厚を自在に制御することができ、1回の印刷でPDP電極基板の電極パターンに要求される膜厚のインキパターンを印刷形成することができる。また、印刷用ブランケットとして表面ゴムがシリコーンゴム等のインキ離型性に優れたゴムからなるものを使用して、凹版オフセット印刷によりパターンを印刷形成したときには、印刷用ブランケットから基板へとインキを略100%転移させ得ることから、非常に微細なPDP電極基板の電極パターンを極めて正確に印刷再現することができる。なお、凹版オフセット印刷法によってPDP電極基板の電極パターンを印刷し、これを焼成するのに要するコストを1とすると、フォトリソグラフィーによって同様の電極パターンを形成するのに要するコストは、通常3〜10である。従って、凹版オフセット印刷法を採用することで、微細かつ高精度の電極パターンを極めて低いコストで形成することが可能となる。
〔PDP電極形成用インキ〕
(チキソトロピー性付与剤)
本発明に係るPDP電極形成用インキに用いられるチキソトロピー性付与剤について、その熱分解温度および平均粒径、インキ中での含有割合の好適範囲および当該範囲を外れた場合の問題点等、ならびにチキソトロピー性付与剤の具体的好適例については前述のとおりである。
本発明に係るPDP電極形成用インキに用いられる導電性粉体としては、例えば銀、銅、金、白金、アルミニウム、ニッケル、鉄、パラジウム、クロム、モリブデン、タングステン等の金属の微粒子;Cr−Co−Mn−Fe、Cr−Cu、Cr−Cu−Mn、Mn−Fe−Cu、Cr−Co−Fe、Co−Mn−Fe、Co−Ni−Cr−Fe等の複合合金;銀メッキ銅等のメッキ複合体などが挙げられる。これらの導電性粉体は、1種を単独で使用するほか、2種以上を混合して使用することもできる。上記例示の導電性粉体の中では、導電性、コスト、耐酸化性(高絶縁性酸化物の生成し難さ)等の観点から、銀粉末を用いるのが最も好ましい。
導電性粉体の形状は特に限定されるものではないが、導電性粉体同士の接触面積を大きくして、電極パターンをより一層低抵抗なものとするには、導電性粉体が球状であるよりも、鱗片状であるのが好ましい。導電性粉体の充填を最密化させるという観点からは、鱗片状のものと球状のものとを混合して用いることも有効である。
(樹脂分)
本発明に係るPDP電極形成用インキに用いられる樹脂分としては、当該インキからなるパターンの焼成によって除去可能なものであるほかは特に限定されるものではなく、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等の種々の樹脂から適宜選択することが可能である。熱硬化型の樹脂としては、例えばポリエステル−メラミン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル−メラミン樹脂等が挙げられる。紫外線硬化型の樹脂としては、例えばアクリル樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ブチラール樹脂〔ポリビニルブチラール(PVB)〕、エチルセルロース(EC)等のセルロース樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂はいずれも、1種を単独で使用するほか、2種以上を混合して使用することもできる。
本発明において、PDP電極形成用インキ中での樹脂分の含有割合は特に限定されるものではないが、2〜10重量%の範囲で設定するのが好ましい。樹脂分の含有割合が2重量%を下回ると、インキの印刷適性が低下して、印刷形状の良好なパターンを形成できなくなるおそれがある。逆に、樹脂分の含有割合が10重量%を超えると、インキパターンの焼成に伴う膜厚の変化が大きくなりすぎて、印刷形状の良好なパターンを形成できなくなるおそれがある。樹脂分の含有割合の下限値は、さらに3重量%であるのが好ましく、4重量%であるのがより好ましい。一方、樹脂分の含有割合の上限値は、さらに9重量%であるのが好ましく、8重量%であるのがより好ましい。
本発明に係るPDP電極形成用インキには、従来公知のPDP電極形成用インキと同じく、ガラスフリットを添加するのが好ましい。ガラスフリットは、PDP電極形成用インキからなるパターンを焼成した後でガラス基板と導電性粉体とを密着させ得るものであればよく、本発明においては従来公知の種々のガラスフリットを採用することができる。
ガラスフリットの粒径は特に限定されるものではないが、例えば中心粒径(D50)は、0.1〜5μmであるのが好ましく、0.2〜3μmであるのがより好ましい。
本発明に係るPDP電極形成用インキに用いられる分散媒としては、導電性粉体、樹脂分およびガラスフリットを均一に溶解または分散させることができるものであり、かつ、インキの粘度をその印刷適性が良好なものとなるように調整し得るものであればよい。
具体的に分散媒として使用することのできる溶剤としては、例えば、アルコール類〔好ましくは、式:CnH2n+1OHで表される高級アルコール(nが6以上で、常温で液体のもの。);より具体的には、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ステアリルアルコール、セリルアルコール、シクロヘキサノール、テルピネオール等〕や、アルキルエーテル類〔より具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)等〕が挙げられる。
本発明においては、印刷用ブランケットを膨潤させにくいという観点から、上記アルコール類または上記アルキルエーテル類を分散媒として用いるのが好ましい。
本発明に係るPDP電極形成用インキは、前述の導電性粉体、樹脂分、ガラスフリットおよびこれらの分散媒を混合し、3本ロール、ボールミル、アトライター、サンドミル等で攪拌、混合することによって調製される。インキを形成する各成分を攪拌、混合する際の処理条件については特に限定されるものではなく、常法に従って処理すればよい。
本発明に係るプラズマディスプレイパネルの電極基板(以下、「PDP電極基板」という。)の製造方法において、電極パターンの形成には、オフセット印刷法が採用される。オフセット印刷法には(水無し)平版オフセット印刷や凸版オフセット印刷等の、種々の方式が知られており、本発明に適用可能な方式は特に限定されるものではないが、前述のとおり、パターンの再現性が高く、1回の印刷処理で厚膜のパターンを形成することのできる凹版オフセット印刷を採用するのが最も好ましい。
電極パターンの印刷形成に使用する凹版については特に限定されるものではないが、表面の平滑性に優れたものであるのが好ましい。表面の平滑性が乏しいと、ドクターでインキを凹部に充填する際に凹版表面でインキのかき残りが生じ易く、非画線部の汚れ(地汚れ)を招く原因となるからである。凹版の表面に要求される平滑性は、十点平均粗さ(Rz)で1μm以下であるのが好ましく、0.5μm以下であるのがより好ましい。
凹版の凹部はフォトリソグラフ法、エッチング法もしくは電鋳法等により形成すればよい。凹部の深さは、目的とするインキパターンの厚みに応じて適宜設定すればよく、凹部内でインキが残存すること等を考慮すると、1〜50μm程度、特に3〜20μm程度とするのが適当である。
電極パターンの印刷形成に使用される印刷用ブランケット(転写体)としては、シリコーンゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはこれらの2種以上を混合したものを表面ゴム層として使用したものが挙げられる。印刷用ブランケットには凹版から受け取ったインキを100%基板上に転写できることが望まれることから、上記例示のなかでも特に、シリコーンゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴム、またはこれらの混合物を表面ゴム層に用いるのが好ましい。これらの表面ゴム層を備える印刷用ブランケットはインキ離型性が極めて優れていることから、本発明に好適である。
印刷用ブランケットの厚みは特に限定されるものではないが、1.5mmを超えるとゴムの変形が大きくなり、パターンの印刷精度に悪影響を及ぼすおそれがあるため、好ましくない。
(基板)
PDP電極基板の基板としては、例えばソーダライムガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、低膨張ガラス等が挙げられる。基板は、耐熱性、耐薬品性、透過性等の特性に応じて、適宜設定すればよい。基板の厚みは、その耐熱性、機械的強度等に応じて適宜設定されるものであって、特に限定されるものではないが、通常、1〜10mmの範囲で適宜設定される。
PDP電極形成用インキを印刷してなるインキパターンの線幅や厚みは、PDPの画素のサイズ、前面電極(バス電極)と背面電極(データ電極)との相違等に応じて、かつ、焼成によって減少する分を考慮して、設定するものである。従って、本発明では特に限定されるものではないが、一般に、インキパターンの線幅は20〜70μmとなるように、好ましくは30〜50μmとなるように設定される。また、インキパターンの厚みは、通常、3〜30μmとなるように、好ましくは5〜20μmとなるように設定される。
PDP電極基板上に印刷形成されたインキパターンは、450〜650℃で、好ましくは500〜600℃に加熱され、焼成される。この焼成処理によって、導電性インキ組成物中の溶剤が蒸発し、さらにバインダ樹脂が熱分解により消失する。
焼成後のパターン、すなわち電極パターンの線幅は、前面基板の場合、20〜70μm、好ましくは30〜50μmとなるように設定される。一方、背面電極の場合、40〜100μm、好ましくは50〜70μmとなるように設定される。電極パターンの線幅が前記範囲を下回る場合は断線が発生し易く、電極パターンの導電性も十分でなくなるおそれがある。線幅が前記範囲を超える場合は、PDPの微細な画素パターンに電極のパターンを適合させることができなくなるおそれがある。
〔PDP電極基板の製造〕
(実施例1)
(i)PDP電極形成用インキの調製
PDP電極形成用インキの調製に際して、導電性粉体には、平均粒径が2μmである球状の銀粉末を使用した。インキの樹脂分(バインダ樹脂)には、重量平均分子量<Mw>が5万で、軟化温度が100℃であるアクリル樹脂を使用し、ガラスフリットには、平均粒径が0.5μmで、溶融温度が350℃である酸化ビスマス系フリットを使用した。チキソトロピー性付与剤には、熱分解温度が250℃である脂肪酸アマイド系のものを使用した。また、これらの成分の分散媒(溶剤)には、酢酸ブチルカルビトールを使用した。
こうして得られたインキは、23℃でせん断速度が1s-1であるときの粘度η1が1330P(ポアズ)であり、23℃でせん断速度が12s-1であるときの粘度η12が175Pであって、両者の比(η1/η12)は7.6であった。
上記(i)で得られたPDP電極形成用インキを凹版オフセット印刷によって基板上に印刷し、これを焼成することによって電極パターンを得た。
PDP電極形成用インキを用いた印刷において、凹版には、ガラス製の基材上に線幅70μm、ピッチ360μmの凹部(ストライプパターン;深さ20μm)が形成されたものを使用した。印刷用ブランケットには、厚さが300μm、硬さが40(JIS A)のシリコーンゴム〔常温硬化型シリコーンゴム(付加型)〕を表面ゴム層として備えるものを使用した。電極基板(前面板)の基材には、厚さ2.8mm、対角42インチのガラス基板〔旭ガラス(株)製の「PD200」〕を使用した。
実施例1で得られたPDP電極基板は、電極パターンの形状が極めて良好で、線幅および膜厚が安定しており、電気特性(導電性)も良好であった。また、電極パターンを印刷によって形成したことから、製造コストを低く抑えることができた。
PDP電極形成用インキの全体における、チキソトロピー性付与剤(脂肪酸アマイド系)の配合量を、1.6重量部(0.08重量%)としたほかは、実施例1の「(i)PDP電極形成用インキの調製」と同様にして、PDP電極形成用インキを得た。こうして得られたインキは、23℃でせん断速度が1s-1であるときの粘度η1が300Pであり、23℃でせん断速度が12s-1であるときの粘度η12が100Pであって、両者の比(η1/η12)は3であった。
(実施例2)
脂肪酸アマイド系のチキソトロピー性付与剤に代えて、熱分解温度が250℃である酸化ポリエチレン系のもの50重量部(2.5重量%)を用いたほかは、実施例1の「(i)PDP電極形成用インキの調製」と同様にして、PDP電極形成用インキを得た。こうして得られたインキは、23℃でせん断速度が1s-1であるときの粘度η1が1600P(ポアズ)であり、23℃でせん断速度が12s-1であるときの粘度η12が200Pであって、両者の比(η1/η12)は8であった。
(比較例2および3)
PDP電極形成用インキのチキソトロピー性付与剤として、熱分解温度が150℃であるものを使用し、インキ全体におけるチキソトロピー性付与剤の含有割合を、比較例2で2.5重量%、比較例3で11重量%となるように調整したほかは、実施例2と同様にして、PDP電極形成用インキを得た。こうして得られたインキの粘度η1,η12と、両者の比(η1/η12)は、下記の表1に示すとおりである。
PDP電極形成用インキのチキソトロピー性付与剤として、熱分解温度が500℃であるものを使用し、インキ全体におけるチキソトロピー性付与剤の含有割合を、比較例4で2.5重量%、比較例5で11重量%となるように調整したほかは、実施例2と同様にして、PDP電極形成用インキを得た。こうして得られたインキの粘度η1,η12と、両者の比(η1/η12)は、下記の表1に示すとおりである。
また、表1中、「印刷形状」、「ピンホール」および「電気抵抗」の欄の評価基準は、それぞれ、次のとおりである。
○ 非常に良好であって、フォトリソ法で作製したのと同程度の電極パターンを得ることができた。
△ 一部に印刷形状の乱れが発生したが、実用上問題がない程度であった。
× 形状の乱れが多く、実用上(パネル表示への影響の観点から)、問題があった。
◎ 全く観察されず、フォトリソ法で作製した電極パターンと同程度であった。
○ ほとんど観察されなかった。
△ 一部にピンホールが観察されたが、修正処理を施すことで、実用上、支障が生じない程度であった。
× ピンホールの発生が顕著であって、実用化が困難であった。
◎ 2×10-6Ω・cm以下であって、導電性が極めて良好であった。
○ 5×10-6Ω・cm以下(>2×10-6Ω・cm)であって、導電性は良好であった。
△ 1×10-5Ω・cm以下(>5×10-6Ω・cm)であって、導電性がやや低かったものの、実用上問題がない程度であった。
× 1×10-5Ω・cmを超える値であって、実用上、導電性が不十分であった。
実施例1で使用したのと同じPDP電極基板(前面板)用の基材(対角42インチの低アルカリガラス板)の全面に、黒色の感光性ペースト〔デュポン社製の商品名「フォーデル」〕を均一に塗布して乾燥させた後、当該感光性ペーストからなる層の表面に、感光性銀ペーストインキ〔デュポン社の商品名「フォーデル」〕を膜厚が10μmとなるように均一に塗布した。上記感光性ペーストと感光性銀ペーストの塗布にはスクリーン印刷機を用いた。
この例(対照1)では、電極パターンをフォトリソグラフィーによって形成したことから、パターンの精度は極めて良好であって、面内で±3μm以内に収まっていた。また、電極としての性能(導電性等)は上記実施例で得られた電極と同等であった。
(対照2)
実施例1で使用したのと同じPDP電極基板(前面板)用の基材(対角42インチの低アルカリガラス板)に、対照1で使用した感光性銀ペーストインキ〔デュポン社製の商品名「フォーデル」〕をスクリーン印刷法によって印刷して、線幅80μm、ピッチ360μmのインキパターンを形成した。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。
Claims (7)
- 導電性粉体と、焼成により除去可能な樹脂分と、熱分解温度が200〜450℃であるチキソトロピー性付与剤と、を含み、当該チキソトロピー性付与剤の含有割合が全体の0.1〜10重量%であることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの電極形成用インキ。
- 23℃でせん断速度が1s-1であるときの粘度η1と、23℃でせん断速度が12s-1であるときの粘度η12との比(η1/η12)が5〜10である請求項1記載のプラズマディスプレイパネルの電極形成用インキ。
- 上記チキソトロピー性付与剤が、脂肪酸アマイド、ひまし油、ならびに、酸化ポリエチレン系、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、セルロース系およびブチラール系からなる群より選ばれる少なくとも1の樹脂もしくはエラストマーの、少なくとも1種である請求項1または2記載にプラズマディスプレイパネルの電極形成用インキ。
- 上記樹脂分が、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂の少なくとも1種である請求項1または2記載のプラズマディスプレイパネルの電極形成用インキ。
- 上記導電性粉体が銀粉末である請求項1または2記載のプラズマディスプレイパネルの電極形成用インキ。
- 導電性粉体と、焼成により除去可能な樹脂分と、熱分解温度が200〜450℃であるチキソトロピー性付与剤と、を含み、かつ当該チキソトロピー性付与剤の含有割合が全体の0.1〜10重量%であるプラズマディスプレイパネルの電極形成用インキを用いて、当該インキからなる電極パターンをオフセット印刷によって基板上に形成し、次いでこの電極パターンを焼成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの電極基板の製造方法。
- 上記オフセット印刷が凹版オフセット印刷である請求項6記載のプラズマディスプレイパネルの電極基板の製造方法。
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