JP4481635B2 - プラズマディスプレイパネル用電極基板の製造方法およびそれに用いる印刷用ブランケット - Google Patents

プラズマディスプレイパネル用電極基板の製造方法およびそれに用いる印刷用ブランケット Download PDF

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本発明は、プラズマディスプレイパネル用電極基板の製造方法と、それに用いる印刷用ブランケットに関する。
近年の表示デバイスには、ブラウン管に代えて、いわゆるフラットパネルディスプレイ(FPD)が採用されている。FPDには種々のタイプが知られており、なかでも構造がシンプルで大型化が容易なプラズマディスプレイパネル(PDP)は、家庭用大型テレビ等での需要が見込まれている。
PDPの制御部に用いられる電極基板は、微細な電極パターンが極めて高い精度で形成されている必要があることから、従来、その製造にフォトリソグラフィー技術が採用されている。しかしながら、フォトリソグラフィーによる電極パターンの製造には、製造プロセスが複雑であること、パターン形成材料の多くが露光や現像処理によって無駄になること、露光や現像に使用する設備が高価であること等の問題があり、これらは、PDPの製造コストが極めて高くなる原因となっている。また、フォトリソグラフィー法は現像処理時に有害な廃液を多量に発生させることから環境上好ましくなく、その処理にも多大なコストを要するという不利益もある。しかも、露光・現像装置の大型化はコスト的に極めて不利であることから、PDPの大型化への対応が困難という問題もある。
一方、フォトリソグラフィー法に代わる電極パターンの形成方法として、印刷法が注目されている。印刷法によれば、導電性材料を含有するインキパターンを必要な部分にのみ印刷形成した後、これを焼成することで電極パターンが得られることから、電極パターンの形成材料の無駄を省くことができ、パターン形成の精度を維持しつつ、製造コストを削減することができる。さらに、印刷法によってパターンを形成する場合は、電極基板の大型化への対応が容易である。
PDP用電極基板の電極パターンに求められる極めて微細なパターンを印刷法で形成するには、印刷方式として凹版オフセット印刷法が採用され、印刷用ブランケット(転写体)として表面にシリコーン系エラストマーを用いたもの(以下、「シリコーンブランケット」という。)が用いられる。これは、凹版オフセット印刷法によれば厚膜の微細パターンを1回の印刷処理で形成することができ、しかも、表面張力の小さいシリコーンエラストマーを用いてなるシリコーンブランケットによれば、印刷版から受理したインキパターンをその厚みや形状を保持したままで被転写体へと転写することができ、それゆえ、極めて微細なパターンを精密に印刷再現できるからである。
しかしながら、電極パターンの印刷形状、印刷品質は、シリコーンブランケットの形成材料によって左右されるだけではなく、シリコーンブランケットの表面形状にも左右される。例えば、シリコーンブランケットの表面粗さが大きいとブランケットとインキペーストとの密着性が高くなることから、ブランケットから被転写体へのインキペーストの転移性が不十分になって、印刷パターンのエッジ部分にひげが発生したり、パターン中にピンホールが発生したりする原因となる。
従って、電極パターンの印刷形状、なかでもパターン表面の平坦性を極めて優れたものとすることのできる印刷方法と、平坦性等に優れた電極パターンの印刷形成を実現し得る印刷用ブランケットを開発することが求められている。
特開平5−92678号公報 特開2002−245931号公報
本発明の目的は、プラズマディスプレイパネル(PDP)用の電極基板における電極パターンを極めて精密にかつ平坦に形成することのできる製造方法と、かかる電極パターンの印刷形成に適した印刷用ブランケットとを提供することである。
印刷用ブランケットから被転写体へと転写されたインキパターンにピンホールやエッジ部分のひげが発生するのを防止するために、特許文献1では、印刷用ブランケットのシリコーンゴム層における表面粗さを十点平均粗さ(Rz)で2μm以下、好ましくは0.1〜1.0μmとしている(同文献の段落〔0008〕参照)。また、特許文献2には、Rzが0.01〜3.0μmであるシリコーンブランケットを使用する旨が記載されている(同文献の段落〔0016〕、〔0039〕参照)。
しかしながら、PDP用の電極パターンでは、その表面に突起があるとその部分に放電が集中して、異常発光が生じるという問題があることから、電極パターン表面の平滑性が極めて重要であるところ、本発明者による検討によれば、単に十点平均粗さ(Rz)を0.01〜3.0μmといった範囲に設定するだけでは不十分であることがわかった。
そこで、本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、凹版オフセット印刷用のブランケットとして表面がシリコーン系エラストマーからなるものを使用し、当該シリコーンブランケットの表面粗さを十点平均粗さRzが0.1nm以上、100nm未満となるように、かつ算術平均粗さRaが0.1nm以上、20nm未満となるように設定したときには、PDP用の微細な電極パターンを極めて精密に印刷形成することができるだけでなく、電極パターンの表面にひげやピンホール等が生じるのを防止することができ、平坦性が極めて優れたパターンとして印刷形成することができる、という全く新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記目的を達成するための本発明に係るプラズマディスプレイパネル用電極基板の製造方法は、表面がシリコーン系エラストマーからなり、かつ当該表面の算術平均粗さRaが0.1nm以上、20nm未満、十点平均粗さRzが0.1nm以上、100nm未満である印刷用ブランケットを用いて、凹版オフセット印刷法によって導電性ペーストからなるパターンを基板上に印刷形成することを特徴とする。
また、本発明に係る印刷用ブランケットは、プラズマディスプレイパネルにおける電極基板の製造用の印刷用ブランケットであって、表面がシリコーン系エラストマーからなり、当該表面の算術平均粗さRaが0.1nm以上、20nm未満、十点平均粗さRzが0.1nm以上、100nm未満であることを特徴とする。
本発明に係るPDP電極基板製造用の印刷用ブランケットを用いてPDPの電極基板を印刷形成した場合、ならびに、PDP用電極基板の製造に際して本発明に係るPDP用電極基板の製造方法を適用した場合には、前述のように、微細なPDP用電極パターンを極めて精密に印刷形成することができる。しかも、電極パターンの表面にひげやピンホール等が生じるのを防止して、平坦性が極めて優れたパターンとして印刷形成することができる。それゆえ、本発明によれば、PDPの異常発光を防止し、高画質のPDPに適用可能な電極基板を提供することができる。
また、本発明に係るPDP用電極基板の製造方法によれば、サイズの大きな印刷用ブランケット等の製造が容易であることから、PDPの大画面化にも容易に対応させることができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔PDPの電極基板製造用の印刷用ブランケッ
本発明に係るPDPの電極基板製造用の印刷用ブランケットにおいて、表面の算術平均粗さRaは、前述のように、0.1nm以上、20nm未満で設定される。この算術平均粗さRaは、主としてブランケットの表面全体における粗さの程度を示すものである。表面の算術平均粗さRaが20nm以上であるときは、シリコーンブランケットとインキペーストとの密着性が大きくなりすぎて、印刷パターンの膜厚、形状にばらつきが生じる原因となる。一方、表面の算術平均粗さRaは、その加工上、0.1nm未満とすることが困難である上、たとえRaを0.1nm未満とした場合であっても、シリコーンブランケットと印刷版、被印刷体とが接触する際の密着性が高くなりすぎて、かえってインキの転移性を低下させるおそれがある。
算術平均粗さRaは、上記範囲のなかでも特に0.5nm以上であるのが好ましく、1nm以上であるのがより好ましい。また、算術平均粗さRaは、上記範囲の中でも特に15nm以下であるのが好ましく、10nm以下であるのがより好ましい。
本発明に係るPDPの電極基板製造用の印刷用ブランケットにおいて、表面の十点平均粗さRzは、前述のように、0.1nm以上、100nm未満で設定される。この十点平均粗さRzは、主としてブランケットの表面における比較的大きな凹凸の程度を示すものである。十点平均粗さRzが100nm以上であるときは、局所的にインキペーストの転移に異常を生じさせて、かつ、電極パターンに異常突起やピンホールを生じさせる原因となる。この異常突起やピンホールは、前述のように、PDPの異常発光を招いて表示性能を著しく低下させる原因となるものである。一方、表面の十点平均粗さRzは、その加工上、0.1nm未満とすることが困難である上、たとえRzを0.1nm未満に設定したとしても、Raの場合と同様の問題を生じる。
十点平均粗さRzは、上記範囲のなかでも特に0.5nm以上であるのが好ましく、1nm以上であるのがより好ましい。また、十点平均粗さRzは、上記範囲の中でも特に50nm以下であるのが好ましく、20nm以下であるのがより好ましい。
印刷用ブランケットの表面粗さを小さくするには、従来、種々の方法が提案されている。本発明においては、セルフレベリング等の従来公知の種々の方法を採用することができるが、表面の算術平均粗さRaや十点平均粗さRzを上記範囲に設定する上で下記の方法を採用するのが好ましい。
すなわち、まずRaが20nm以下で、Rzが100nm以下である樹脂フィルムを作製する。次いで、上記樹脂フィルムの表面に液状のシリコーン系エラストマーを塗布し、シリコーンエラストマーを硬化させる。シリコーン系エラストマーが硬化したところで、その表面にブランケットの基材となるもの(フィルム)を貼り付ける。その後、上記樹脂フィルムをシリコーン系エラストマーからなる層より剥離することによって、樹脂フィルム自体の極めて平滑な表面を転写してなるシリコーンブランケット(PDP電極基板製造用の印刷用ブランケット)を得ることができる。
上記樹脂フィルムの形成材料には、シリコーン系エラストマーに硬化阻害を生じさせることがなく、硬化したシリコーン系エラストマーから容易に剥離させることができるものであればよく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド等の樹脂フィルム;樹脂フィルムの表面にアクリル樹脂、シリカゾル等をコーティングしたものなどが挙げられる。
上記樹脂フィルムの表面粗さを小さくするには、樹脂フィルムに延伸処理を施す、PETフィルに含有されている充填剤を減らす、樹脂フィルムの表面にアクリル樹脂やシリカゾルなどをコーティングする、樹脂フィルムの表面にアルミニウムを蒸着させる等の、従来公知の種々の方法を採用することができる。
本発明に係るPDPの電極基板製造用の印刷用ブランケットは、上記の方法によって製造するほかに、例えば液状のシリコーン系エラストマーを基材上で所定の厚みにコーティングした後、静置して平坦化させる方法によって製造してもよく、表面が平滑な金型に液状のシリコーン系エラストマーを注型する方法によって製造してもよい。
本発明の印刷用ブランケットを形成するのに用いられるシリコーン系エラストマーとしては特に限定されるものではなく、市販されている種々のシリコーンゴムやシリコーン樹脂を採用することができる。かかる従来公知のシリコーン系エラストマーの中では、特に液状のエラストマーを用いるのが好ましい。さらに、液状のシリコーン系エラストマーの中でも、いわゆる付加型の液状シリコーンゴムを用いるのが、シリコーンゴム層の深部での硬化性や、ブランケットの寸法安定性を優れたものとする上で好ましい。印刷用ブランケットの表面粗さを小さくするという観点からは、シリコーン系エラストマーがシリカ等の無機充填剤を含まないものであるか、その含有量が最小限に抑制されたものであるのが好ましい。
本発明の印刷用ブランケットの硬度はJIS A硬度(日本工業規格JIS K 6301に規定されたスプリング式硬さ)で20〜70であるのが好ましい。印刷用ブランケットの硬度が上記範囲を下回ると、印刷時にニップ部における変形が大きくなりすぎて、印刷精度が低下するおそれがある。逆に、印刷用ブランケットの硬度が上記範囲を超えると、ブランケットの変形性が小さくなりすぎて、版からブランケットへのインキの転移性が低下するおそれがある。印刷用ブランケットの硬度の下限は30であるのがより好ましく、上限は60であるのがより好ましい。
本発明の印刷用ブランケットの厚みは特に限定されるものではないが、シリコーン系エラストマーからなる層の厚みが0.2〜1mm程度であるのが好ましい。シリコーン系エラストマーからなる層の厚みが0.2mmを下回ると、インキ転移時の変形量が小さくなりすぎて、インキの転移性が低下するおそれがある。逆に、1mmを超えるとインキ転移時の変形量が大きくなりすぎて、印刷精度が低下するおそれがある。
本発明の印刷用ブランケットにおいて、シリコーン系エラストマーからなる層には、当該層の成形性や、硬度等を調整する目的でシリコーンオイルを配合してもよい。シリコーンオイルには、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、環状シリコーンオイル等の、従来公知の種々のものを使用することができる。配合するシリコーンオイルの分子量についても、本発明においては特に限定されるものではない。
本発明の印刷用ブランケットにおける基材には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリカーボネート等の樹脂からなるフィルム;ニッケル、アルミニウム等の金属からなるフィルム(薄板)などを用いることができる。この樹脂や金属のフィルムを基材としてシリコーン系エラストマーからなる層に接着することによって、本発明の印刷用ブランケットをブランケット胴に装着し易くなる。
〔PDPの電極パターンの製造方法〕
本発明に係るプラズマディスプレイパネルの電極基板の製造方法において、電極パターンの印刷形成には、凹版オフセット印刷法が採用される。オフセット印刷法には(水無し)平版オフセット印刷や凸版オフセット印刷等の種々の方式が知られているが、そのなかでも凹版オフセット印刷法はパターンの再現性が高く、1回の印刷処理で厚膜のパターンを形成することのできる印刷方式である。
(凹版)
電極パターンの印刷形成に使用する凹版については特に限定されるものではないが、表面の平滑性に優れたものであるのが好ましい。表面の平滑性が乏しいと、ドクターでインキを凹部に充填する際に凹版表面でインキのかき残りが生じ易く、非画線部の汚れ(地汚れ)を招く原因となるからである。凹版の表面に要求される平滑性は、十点平均粗さ(Rz)で1μm以下であるのが好ましく、0.5μm以下であるのがより好ましい。
凹版の形成材料には、例えばソーダライムガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス、低アルカリガラス、低膨張ガラス等のガラス;ステンレス、銅、ニッケル、低膨脹合金アンバー等の金属等を用いることができる。
凹版の凹部はフォトリソグラフ法、エッチング法もしくは電鋳法等により形成すればよい。凹部の深さは、目的とするインキパターンの厚みに応じて適宜設定すればよく、凹部内でインキが残存すること等を考慮すると、1〜50μm程度、特に3〜20μm程度とするのが適当である。
(PDP電極基板の基材)
PDP用電極基板の基材(基板)は、電極パターンを凹版オフセット印刷法によって形成する際の被印刷体となるものであって、例えばソーダライムガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、低膨張ガラス等のガラス基板を用いることができる。
この基材(基板)の素材や厚みは、耐熱性、耐薬品性、透過性等の特性に応じて適宜設定すればよい。なお、基材(基板)上に印刷形成されたインキパターンは高温で焼成されることから、歪み点(温度)の高いガラス、具体的には歪み点が500℃以上であるガラスを用いるのが好ましい。それゆえ、上記例示のガラスの中でも、低アルカリガラスや無アルカリガラスを用いるのが好ましい。高歪点ガラスの具体例としては、例えば旭硝子(株)製の品番「PD200」、日本電気硝子(株)製の品番「PP8C」等が挙げられる。また、基材(基板)の厚みは、通常、1〜10mmの範囲で適宜設定される。
(電極パターン形成用インキ)
電極パターンの印刷形成には、一般に、樹脂と溶剤との混合物に、導電性粉体、ガラスフリット等を配合してなるインキペーストが用いられる。
上記インキペースト用の樹脂は、インキの焼成によって除去可能なものであるほかは特に限定されるものではなく、電極電極パターン形成用インキに用いられている、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等の従来公知の種々の樹脂を採用することができる。熱硬化型の樹脂としては、例えばポリエステル−メラミン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化型アクリル樹脂等が挙げられる。紫外線硬化型の樹脂としては、例えばアクリル樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ブチラール樹脂〔ポリビニルブチラール(PVB)〕、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂はいずれも、1種を単独で使用するほか、2種以上を混合して使用することもできる。
電極パターン形成用のインキペーストに用いられる樹脂分は、その重量平均分子量<Mw>の下限を5万とし、上限を30万とするのが好ましい。樹脂分の重量平均分子量<Mw>が5万を下回ると、インキパターンに微細なひびが発生したり、印刷形状が劣化したりする不具合を生じるおそれがある。逆に、樹脂分の重量平均分子量<Mw>が30万を超えると、印刷形状が劣化する不具合を生じるおそれがある。樹脂分の重量平均分子量<Mw>の下限値は、特に7万であるのが好ましく、10万であるのがより好ましい。一方、樹脂分の重量平均分子量<Mw>の上限値は、特に27万であるのが好ましく、25万であるのがより好ましい。
電極パターン形成用インキペースト中での樹脂分の含有割合は、下限を2重量%とし、上限を10重量%とするのが好ましい。樹脂分の含有割合が2重量%を下回ると、インキの印刷適性が低下して、印刷形状の良好なパターンを形成できなくなるといった問題を生じるおそれがある。逆に、樹脂分の含有割合が10重量%を超えると、インキパターンの焼成に伴う膜厚の変化が大きくなりすぎて、印刷形状の良好なパターンを形成できなくなるといった問題を生じるおそれがある。樹脂分の含有割合の下限値は、特に3重量%であるのが好ましく、4重量%であるのがより好ましい。一方、樹脂分の含有割合の上限値は、特に9重量%であるのが好ましく、8重量%であるのがより好ましい。
上記インキペースト用の導電性粉体には、例えば銀、銅、金、白金、アルミニウム、ニッケル、鉄、パラジウム、クロム、モリブデン、タングステン等の金属の微粒子;Cr−Co−Mn−Fe、Cr−Cu、Cr−Cu−Mn、Mn−Fe−Cu、Cr−Co−Fe、Co−Mn−Fe、Co−Ni−Cr−Fe等の複合合金;銀メッキ銅等のメッキ複合体などを用いることができる。これらの導電性粉体は、1種を単独で使用するほか、2種以上を混合して使用することもできる。上記例示の導電性粉体の中では、導電性、コスト、耐酸化性(高絶縁性酸化物の生成し難さ)等の観点から、銀粉末を用いるのが最も好ましい。
導電性粉体の平均粒径の下限は0.05μmとするのが好ましく、0.1μmとするのがより好ましい。導電性粉体の平均粒径の上限は20μmとするのが好ましく、10μmとするのがより好ましい。導電性粉体の平均粒径をかかる下限および上限の範囲内で設定することによって、インキの印刷適性等を良好なものとすることができる。導電性粉体の形状は特に限定されるものではないが、導電性粉体同士の接触面積を大きくして、電極パターンをより一層低抵抗なものとするには、導電性粉体が球状であるよりも、鱗片状であるのが好ましい。導電性粉体の充填を最密化させるという観点からは、鱗片状のものと球状のものとを混合して用いることも有効である。
電極パターン形成用のインキペースト中における導電性粉体の含有割合は特に限定されるものではないが、下限を75重量%とし、上限を95重量%とするのが好ましい。導電性粉体の含有割合が75重量%を下回ると、インキ中での樹脂分やフリット分の含有割合が相対的に増加することになって、焼成後の電極パターンに十分な導電性を付与できなくなるといった問題を生じるおそれがある。逆に、導電性粉体の含有割合が95重量%を超えると、インキ中での樹脂分やフリット分の含有割合が相対的に減少することになって、焼成後の電極パターンの機械的強度が低下する、PDP電極基板との接着性が低下する、といった問題を生じるおそれがある。導電性粉体の含有割合の下限値は、特に78重量%であるのが好ましく、80重量%であるのがより好ましい。一方、導電性粉体の含有割合の上限値は、特に93重量%であるのが好ましく、90重量%であるのがより好ましい。
電極パターン形成用インキペースト中での導電性粉体の充填密度は、当該インキからなるパターンを焼成して電極パターンとしたときの体積変化を極力少なくし、かつ、電極パターンにおける導電性粉体の含有割合をできる限り多くするという観点から、インキの印刷特性を損なうことのない範囲において、できるだけ高くすることが望まれる。
上記インキペースト用のガラスフリットとしては、インキペーストからなるパターンを焼成したときに、PDP電極基板用の基材と導電性粉体とを密着させ得るものであればよく、本発明においては従来公知の種々のガラスフリットを採用することができる。なお、焼成後の電極パターンと基材との密着性および電極パターンの導電性をより一層優れたものとする上で、種々のガラスフリットのなかでも特に、樹脂分の軟化温度で軟化・溶融せず、かつ上記導電性粉体の融点以下の温度で軟化・溶融するものを使用するのが好ましい。ガラスフリットの軟化・溶融温度が樹脂分の軟化温度よりも低いと、インキパターンの焼成時に樹脂成分が完全に分解、揮発して除去される前にガラスフリットが融着して、焼成後の電極パターンに空隙が生じ易くなるおそれがある。逆に、ガラスフリットの軟化・溶融温度が導電性粉体の融点よりも高いと、インキパターンの焼成温度を高くせざるを得なくなるおそれがあり、製造コスト上不利である。また、電極基板が熱変形するといった問題を招くおそれもある。一般に、ガラスフリットの軟化・溶融温度は400〜600℃程度に設定するのが適当である。インキパターンの焼成によって電極基板に悪影響を及ぼすことがないようにするためには、ガラスフリットとして酸化アルカリを含まないものを使用するのが好ましく、具体的にはZnO系ガラス、B−アルカリ土類金属酸化物系ガラス等を使用するのが好ましい。ガラスフリットの粒径は特に限定されるものではないが、例えば中心粒径(D50)で0.1〜5μmのものであるのが好ましく、0.2〜3μmのものであるのがより好ましい。
上記インキペースト中でのガラスフリットの含有割合は、下限を2重量%とし、上限を5重量%とするのが好ましい。ガラスフリットの含有割合が2重量%を下回ると、焼成後の電極パターンと電極基板との接着性が不十分になるおそれがある。逆に、ガラスフリットの含有割合が5重量%を超えると、インキ中での樹脂分や導電性粉体の含有割合が相対的に減少することになって、焼成後の電極パターンの機械的強度が低下する、電極パターンの導電性が低下する、といった問題を生じるおそれがある。ガラスフリットの含有割合の下限値は、特に2.5重量%であるのが好ましく、3重量%であるのがより好ましい。一方、ガラスフリットの含有割合の上限値は、特に4.5重量%であるのが好ましく、4重量%であるのがより好ましい。
(電極パターン)
上記インキペーストの印刷によって形成されるパターンの線幅や厚みは、PDPの画素のサイズ、前面電極(バス電極)と背面電極(データ電極)との相違等に応じて、かつ、焼成によって減少する分を考慮して、設定するものである。従って、本発明では特に限定されるものではないが、一般に、インキパターンの線幅は20〜200μmとなるように、好ましくは30〜150μmとなるように設定される。また、インキパターンの厚みは、通常、3〜30μmとなるように、好ましくは5〜20μmとなるように設定される。
なお、印刷形成の目的である電極パターンがPDPの前面電極のパターンである場合は、基板の裏面から見たときのコントラストを向上させることが必要となることから、インキパターンの形成部位にあらかじめ黒色のパターンを形成しておくのが好ましい。かかる黒色パターンの形成には、導電性粉体、黒色金属酸化物、ガラスフリットおよび焼成により除去可能な有機成分(樹脂分、溶剤等)を含むインキ(以下、「黒色インキ」という。)を用いればよい。
黒色金属酸化物は、常温で黒色であり、焼成により変色、分解、昇華等を生じることのない金属類(黒色金属酸化物、黒色金属合金、これらの混合物など)であればよい。黒色金属酸化物としては、例えば酸化ルテニウム(RuO)、酸化マンガン(MnO)、酸化モリブデン(MnO)、酸化クロム(Cr)、酸化銅(CuO)、酸化チタン(TiO)、酸化パラジウム(PdO)、酸化鉄(Fe)等が挙げられる。黒色金属合金としては、例えばCr−Co−Mn−Fe、Cr−Cu、Cr−Cu−Mn、Mn−Fe−Cu、Cr−Co−Fe、Co−Mn−Fe、Co−Ni−Cr−Fe、Cu−Fe−Cr等が挙げられる。また、これらのほかに、例えばCo−Cr−Fe酸化物(CoO、CrおよびFeの複合酸化物;ピグメントブラック27等)、Cu−Cr酸化物(ピグメントブラック28等)などを用いることもできる。上記例示の金属類は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらは、粒径が0.05〜20μm程度の粉末として黒色インキに添加される。
(インキパターンの焼成)
PDP電極基板の基材上に印刷形成されたインキパターンは、450〜650℃で、好ましくは500〜600℃に加熱されて、焼成される。この焼成処理によって、導電性インキ組成物中の溶剤が蒸発し、バインダ樹脂が熱分解により消失する。
焼成後のパターン、すなわち電極パターンの線幅は、前面基板の場合、20〜150μm、好ましくは30〜100μmとなるように設定される。一方、背面電極の場合、40〜180μm、好ましくは50〜120μmとなるように設定される。電極パターンの線幅が前記範囲を下回る場合は断線が発生し易く、電極パターンの導電性も十分でなくなるおそれがある。線幅が前記範囲を超える場合は、PDPの微細な画素パターンに電極のパターンを適合させることができなくなるおそれがある。
焼成後のパターン、すなわち電極パターンの厚みは、通常3〜15μm、好ましくは5〜10μmとなるように設定される。パターンの厚みが前記範囲を下回ると断線が発生し易く、電極パターンの導電性も十分でなくなるおそれがある。逆に、パターンの厚みが前記範囲を超えると、電極材料が無駄となって材料コストの上昇を招くことになり、さらには、電極パターン表面の平坦性が低下するという問題を招くおそれもある。
(印刷用ブランケットの加熱乾燥処理)
印刷用ブランケットのインキ転移性は、その表面のシリコーン系エラストマーからなる層が印刷インキの溶剤で膨潤する程度に応じて大きく変化する。一般に、膨潤の少ない溶剤であれば、印刷用ブランケットの表面濡れ性に変化が少ないことから安定した印刷が可能となるが、凹版からブランケットへのインキの転移性を考慮すれば、表面ゴム層を若干膨潤させ得る溶剤を用いるのが好ましい。ここで、表面ゴム層が膨潤し得る溶剤を用いて繰り返し印刷を行うと、印刷用ブランケットの表面濡れ性に大きな変化が生じることから、経時的に、パターンの線幅が拡がる、版表面の微小な汚れまでも転写してしまう、被印刷体へのインキの転移性が低下する、といった問題が発生する。
そこで、本発明においては、繰り返し印刷を行った場合に、シリコーン系エラストマーからなる層に浸透したインキペーストの溶剤(分散媒)を蒸発・乾燥させるべく、印刷用ブランケットの表面を加熱・乾燥させる処理を施すのが好ましい。加熱・乾燥の程度は、シリコーン系エラストマーの種類、当該エラストマーからなる層の厚み、溶剤の種類(特に、沸点等の性状)等に応じて設定するものであるが、通常、40〜200℃に加熱すればよい。
シリコーン系エラストマーからなる層の加熱・乾燥は、印刷用ブランケット胴に取り付けられた印刷用ブランケットを直接に加熱するのが最も効果的であるが、かかる方法に限定されるものではなく、例えば印刷用ブランケットの外部から熱風を吹き付けたり、ヒータで加熱したりする方法を採用することができる。また、かかる処理は、印刷処理中に常時行ってもよく、印刷処理の工程後に定期的にもしくは不定期に行ってもよい。
なお、シリコーン系エラストマーからなる層を加熱すると、加熱処理後のブランケット表面と凹版表面との間に温度差が生じることから、ブランケットとの接触によって凹版が膨張して、印刷精度に悪影響が生じるおそれがある。そこで、加熱処理後には、印刷用ブランケットの表面を冷却するのが好ましい。かかる冷却処理は、印刷用ブランケット胴に取り付けられた印刷用ブランケットを直接に冷却するのが最も効果的であるが、これに限定されるものではなく、例えば印刷用ブランケットの外部から冷風を吹き吹き付けたり、冷却ローラ(熱容量の大きな金属ローラ等)を当接させたり、印刷用ブランケットを金属定盤上に当接して転動させたりする方法を採用することができる。
印刷用ブランケットの冷却の程度は、凹版表面の温度変化を±1℃に収める必要があることに鑑みて、凹版表面の温度に対して印刷用ブランケット表面の温度が+5℃以内となるように調節するのが好ましい。
次に、シリコーンブランケット(印刷用ブランケット)の製造と、それを用いたPDP用電極基板の製造方法に関する実施例および比較例を挙げて、本発明を説明する。
〔シリコーンブランケットの製造〕
(実施例1)
透明のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの表面にアクリル樹脂をコーティングした。こうして得られた積層フィルムにおいて、アクリル樹脂側の表面粗さは、算術平均粗さRaが0.7nm、十点平均粗さRzが4.5nmであった。
上記積層フィルムを平台上に載置した後、そのアクリル樹脂側の表面に、2液型かつ付加型のRTV(室温硬化型)液状シリコーンゴム〔信越化学工業(株)製の品名「KE1603」〕をバーコーターでコーティングした。コーティングの際にシリコーンゴム層の厚みが0.6mmとなるように調整し、コーティング後、室温で20時間静置した。
シリコーンゴムを硬化させた後、その表面に接着剤を塗布して、厚さ0.3mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを貼り付けた。次いで、シリコーンゴム層から上記積層フィルムを剥がして、厚み0.6mmのシリコーンゴム層と、厚み0.3mmのPETフィルム(基材)との積層体であるシリコーンブランケットを得た。こうして得られたシリコーンブランケットの表面粗さは、算術平均粗さRaが0.9nm、十点平均粗さRzが5.1nmであった。
(実施例2)
透明のPETフィルムとアクリル樹脂とからなる積層フィルムに代えて、表面の算術平均粗さRaが1.2nm、十点平均粗さRzが10.6nmであるイミドフィルムを使用した。このイミドフィルムを平台上に載置し、実施例1と同様にして2液型・付加型のRTVシリコーンゴム〔前出の品名「KE1603」〕をコーティングし、室温で20時間静置した。
シリコーンゴムの硬化後、実施例1と同様にして接着剤の塗布と、PETフィルムの貼り付けとを行い、シリコーンゴム層から上記イミドフィルムを剥がして、厚み0.6mmのシリコーンゴム層と、厚み0.3mmのPETフィルム(基材)との積層体であるシリコーンブランケットを得た。こうして得られたシリコーンブランケットの表面粗さは、算術平均粗さRaが1.4nm、十点平均粗さRzが11.2nmであった。
(実施例3)
透明のPETフィルムとアクリル樹脂とからなる積層フィルムに代えて、透明のPETフィルムの表面にアルミニウムを蒸着してなるフィルムを使用した。このフィルムの表面粗さは、算術平均粗さRaが6.8nm、十点平均粗さRzが36.5nmであった。
このアルミニウム蒸着フィルムを平台上に載置し、実施例1と同様にして2液型・付加型のRTVシリコーンゴム〔前出の品名「KE1603」〕をコーティングし、室温で20時間静置した。
シリコーンゴムの硬化後、実施例1と同様にして接着剤の塗布と、PETフィルムの貼り付けとを行い、シリコーンゴム層から上記アルミニウム蒸着フィルムを剥がして、厚み0.6mmのシリコーンゴム層と、厚み0.3mmのPETフィルム(基材)との積層体であるシリコーンブランケットを得た。こうして得られたシリコーンブランケットの表面粗さは、算術平均粗さRaが7.1nm、十点平均粗さRzが48.2nmであった。
(実施例4)
透明のPETフィルムとアクリル樹脂とからなる積層フィルムに代えて、表面の算術平均粗さRaが15.1nm、十点平均粗さRzが72.1nmである透明のPETフィルムを使用した。この透明PETフィルムを平台上に載置し、実施例1と同様にして2液型・付加型のRTVシリコーンゴム〔前出の品名「KE1603」〕をコーティングし、室温で20時間静置した。
シリコーンゴムの硬化後、実施例1と同様にして接着剤の塗布と、PETフィルム(基材)の貼り付けとを行い、シリコーンゴム層から上記透明PETフィルムを剥がして、厚み0.6mmのシリコーンゴム層と、厚み0.3mmのPETフィルム(基材)との積層体であるシリコーンブランケットを得た。こうして得られたシリコーンブランケットの表面粗さは、算術平均粗さRaが18.2nm、十点平均粗さRzが90.1nmであった。
(比較例1)
透明のPETフィルムとアクリル樹脂とからなる積層フィルムに代えて、表面の算術平均粗さRaが21.1nm、十点平均粗さRzが100.8nmである半透明のPETフィルムを使用した。この半透明PETフィルムを平台上に載置し、実施例1と同様にして2液型・付加型のRTVシリコーンゴム〔前出の品名「KE1603」〕をコーティングし、室温で20時間静置した。
シリコーンゴムの硬化後、実施例1と同様にして、接着剤の塗布と、PETフィルム(基材)の貼り付けとを行い、シリコーンゴム層から上記半透明PETフィルムを剥がして、厚み0.6mmのシリコーンゴム層と、厚み0.3mmのPETフィルム(基材)との積層体であるシリコーンブランケットを得た。こうして得られたシリコーンブランケットの表面粗さは、算術平均粗さRaが25.2nm、十点平均粗さRzが121.0nmであった。
(比較例2)
透明のPETフィルムとアクリル樹脂とからなる積層フィルムに代えて、表面の算術平均粗さRaが28.2nm、十点平均粗さRzが481.0nmである不透明のPETフィルムを使用した。この不透明PETフィルムを平台上に載置し、実施例1と同様にして2液型・付加型のRTVシリコーンゴム〔前出の品名「KE1603」〕をコーティングし、室温で20時間静置した。
シリコーンゴムの硬化後、実施例1と同様にして、接着剤の塗布と、PETフィルム(基材)の貼り付けとを行い、シリコーンゴム層から上記不透明PETフィルムを剥がして、厚み0.6mmのシリコーンゴム層と、厚み0.3mmのPETフィルム(基材)との積層体であるシリコーンブランケットを得た。こうして得られたシリコーンブランケットの表面粗さは、算術平均粗さRaが28.1nm、十点平均粗さRzが507.0nmであった。
〔PDP電極パターンの印刷形成〕
上記実施例および比較例で得られたシリコーンブランケットを用いて、プラズマディスプレイパネルの前面板(縦、横各500mmの低アルカリガラス板)上に前面電極のパターンを印刷形成した。
電極パターンの印刷形成には凹版オフセット印刷法を採用し、凹版には金属製(42アロイ)のものを使用した。導電性インキペーストには、アクリル樹脂100重量部に対し、銀粉末2000重量部と、ガラスフリット100重量部とを酢酸ブチルカルビトール(溶剤)150重量部に分散させて、3本ロールで混練したものを使用した。
前面電極用の印刷パターンは、線幅50μm、線間隔360μmのストライプパターンとした。パターンの印刷形成時には、前面板1枚を印刷する毎にシリコーンブランケットの表面に80℃の熱風を1分間当てて乾燥処理を行い、乾燥処理後には強制的に冷風を当てて1分間冷却処理を行った。なお、冷却後のシリコーンブランケットの表面温度は、面内で室温〜室温+3℃に収まっていた。
印刷処理によって得られたインキパターンは、線幅が約50μm、膜厚(未焼成時)が約5μmであった。印刷後、インキパターンを500℃で1時間加熱、焼成して、全面電極のパターンを得た。焼成後の膜厚は約3μmであった。
〔物性評価〕
(ブランケットの表面状態)
上記実施例および比較例において、ブランケットからPDPの前面基板上へインキを転移した直後のシリコーンブランケットの表面状態を目視で観察して、インキペーストの残存状況を確認した。シリコーンブランケットの表面にインキペーストが残存していると、印刷形成されるインキパターンの膜厚にばらつきを生じさせる原因となる。インキペーストの残存状況の評価基準は次のとおりである。
A:シリコーンブランケット上にインキペーストが全く残存していないか、わずかに観察されたものの、インキパターンの膜厚に影響を及ぼしえない程度であった。
B:シリコーンブランケット上で、実用上問題となる程度のインキペーストが残存していた。
C:シリコーンブランケット上でインキペーストの残存が顕著に観察された。
(印刷パターンの形状)
上記実施例および比較例において、PDPの前面基板上に印刷形成されたインキパターンの形状を光学顕微鏡で観察して、表面の平坦性や印刷精度の評価を行った。評価基準は次のとおりである。
A:インキパターンには、形状の乱れ、凹凸、ピンホール等が全く観察されなかった。
:インキパターンの端部の乱れがわずかに観察されたが、実用上問題のない程度であった。
B:インキパターンの端部の乱れ、凹凸、ピンホール等が、実用上問題となる程度に観察された。
C:インキパターンの端部の乱れ、凹凸、ピンホール等が顕著に観察された。
ブランケットの表面状態の評価結果を表1の「ブランケット」の欄に示す。また、印刷パターンの形状の評価結果を表1の「印刷パターン」の欄に示す。
Figure 0004481635
表1より明らかなように、シリコーンブランケットを用いた凹版オフセット印刷法によって電極パターンを印刷形成するのに際して、シリコーンブランケットの表面粗さを、算術平均粗さRaで0.1nm以上、20nm未満となるように設定し、かつ、十点平均粗さRzで0.1nm以上、100nm未満となるように設定したときは、シリコーンブランケット上でのインキの残存を防止することができ、平坦性等に優れたインキパターンを形成できることが分かった。それゆえ、本発明の印刷用ブランケットおよび電極基板の製造方法は、PDP用電極基板の製造に好適である。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。

Claims (2)

  1. 表面がシリコーン系エラストマーからなり、かつ当該表面の算術平均粗さRaが0.1nm以上、20nm未満、十点平均粗さRzが0.1nm以上、100nm未満である印刷用ブランケットを用いて、凹版オフセット印刷法によって導電性ペーストからなるパターンを基板上に印刷形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用電極基板の製造方法。
  2. 表面がシリコーン系エラストマーからなり、当該表面の算術平均粗さRaが0.1nm以上、20nm未満、十点平均粗さRzが0.1nm以上、100nm未満であることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの電極基板製造用の印刷用ブランケット。
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