JP4429689B2 - オフセット印刷方法 - Google Patents

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本発明は、オフセット印刷法による印刷方法に関し、より詳しくは、印刷用ブランケットに浸透する溶剤を含む印刷インキを用いて印刷するのに適したオフセット印刷方法に関する。
近年、カラーテレビやコンピュータのディスプレイといった表示デバイスには、ブラウン管(CRT)に代えて、液晶ディスプレイ(LCD)、電界発光(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PDP)等の、いわゆるフラットパネルディスプレイが用いられている。
このフラットパネルディスプレイには、例えばPDP用の前面基板(フロント基板)や背面基板(リア基板)、ELディスプレイ用の電極基板のように、主としてストライプ状の電極パターンをガラス等の透明基板上に形成してなる電極基板が用いられているが、かかる電極基板においては、導電性物質を含有するインキを用いて、線幅が10〜200μm程度の極めて微細なストライプパターンを、0.1〜10μm程度の厚みでもって形成することが要求されている。また、LCDにおいては、ガラス等の透明基板上にR(赤),G(緑),B(青)の3種のストライプパターンや黒色度の高い遮光パターンを形成してなるカラーフィルタと呼ばれる部材が用いられており、このカラーフィルタにおいても、電極基板と同様の微細かつ厚膜のパターンを形成することが要求されている。
従来、微細かつ厚膜のパターンを高い精度で形成する方法には、主としてフォトリソグラフィーが採用されているが、プロセスが複雑で、パターン形成に必要な材料や製造設備等が高価であることから、製造コストが極めて高くなるという問題がある。また、現像処理等によって生じる有害な廃液を処理するためのコストも高く、しかも、その廃液には環境上の問題もある。しかも、フォトリソグラフィーによって大型の電極基板を形成するには露光装置や現像エッチング装置を大型化する必要があり、コスト的に極めて不利であることから、近年のディスプレイの大型化に対応しにくいという問題もある。
そこで、低コストでかつ有害な廃液を生じることのなくパターンを形成する方法について研究がなされており、凹部の深さによって印刷形成されるインキパターンの厚みを自在に制御することができ、しかも数十から数百μm幅の細線パターンを形成することのできる凹版オフセット印刷法が、フォトリソグラフィーの代替法として注目されている。とりわけ、表面ゴムがシリコーンゴムからなるブランケット(シリコーンブランケット)を用いた凹版オフセット印刷法によれば、インキをブランケットから被転写体である基板へと略100%転移させることができることから、非常に微細なパターンを正確に印刷再現することが可能になる。
しかしながら、シリコーンブランケットを使用し、凹版オフセット印刷法によって電極パターン等の印刷形成を行った場合であっても、印刷処理を繰り返すことによってパターンの形状の劣化や、印刷精度の低下といった問題を生じることが指摘されている。
かかる問題を生じる原因の一つとしては、印刷インキの溶剤が徐々に浸透してシリコーンブランケットを膨潤させることが挙げられる。そこで、本発明者らは先に、凹版オフセット印刷法を採用したPDP用電極基板の製造方法として、印刷用ブランケット上のインキパターンを被転写体上へと転写する工程を行った後で、印刷用ブランケットの表面に温風を噴射する等の加熱・乾燥処理を施し、さらに冷風を噴射する等の冷却処理を施す方法を提案している。かかる印刷方法によれば、温風や冷風の噴射といった簡易な方法でもって、しかも凹版から印刷用ブランケットを介して被転写体へとインキを転移・転写させる一連の印刷工程の流れを遮ることなく、インキの溶剤によって印刷用ブランケットが膨潤するという問題を解消および防止することができる(特許文献1)。
しかしながら、印刷処理回数の増加に伴ってシリコーンブランケットの表面形状や表面粗さが変化したり、あるいはシリコーンブランケットの低分子シロキサンの含有量が変化したりすることに対しては、前述の方法をもってしても解決することができない。シリコーンブランケットの表面形状や表面粗さに変化が生じたり、低分子シロキサンの含有量に変化が生じたりすることによって、印刷精度が低下する等の問題が生じた場合には、シリコーンブランケットを廃棄、交換する必要が生じるが、ブランケットの交換に要する時間や手間、さらにはブランケット自体のコストを考慮すれば、1枚のブランケットの寿命をできる限り延ばすことが極めて重要となる。
特開2002−245931号公報(段落〔0011〕,図2)
本発明の目的は、印刷精度を長期にわたって維持し、かつ印刷用ブランケットの長寿命化を図ることのできるオフセット印刷方法を提供することである。
上記目的を達成するための本発明に係るオフセット印刷方法は、
ブランケット胴に装着してなる印刷用ブランケットを印刷版の表面で転動させて当該印刷版から印刷用ブランケットの表面に印刷インキを転移する転移工程と、被転写体の表面で上記印刷用ブランケットを転動させて当該印刷用ブランケット上のインキパターンを被転写体の表面に転写する転写工程と、を含み、前記被転写体の表面に、最大線幅が200μm以下のストライプパターンまたはマトリックスパターンを印刷するオフセット印刷方法において、
上記転移工程および転写工程を所定回数実行する間は印刷用ブランケットをその軸方向に移動させず、
上記転移工程および転写工程を所定回数実行した後で一旦印刷を停止して、印刷用ブランケットをその軸方向に移動する工程を含むことを特徴とする。
上記のとおり、凹版等の印刷版からシリコーンブランケット等の印刷用ブランケットの表面に印刷インキを転移させる転移工程と、表面に、最大線幅が200μm以下のストライプパターンまたはマトリックスパターンを担持してなる印刷用ブランケットからガラス基板等の被転写体の表面に前記ストライプパターンまたはマトリックスパターンを転写させる転写工程とを含む一連の印刷工程を、所定の回数繰り返して実行した後、一旦印刷を停止して印刷用ブランケットをその軸方向に所定量移動させて、印刷版に対する印刷用ブランケットの位置をずらしたときには、その後、再度印刷工程を行った場合に、印刷用ブランケットの表面形状、表面粗さ、低分子シロキサンの含有量等に変化が生じるのを抑制することができ、その結果、印刷用ブランケットの寿命を延ばすことができる。
インキの溶剤によって印刷用ブランケットが膨潤するという現象は、主として、印刷用ブランケットの表面に転移したインキパターンを中心にして発生する。印刷パターンがストライプパターンである場合は、パターンの印刷精度(転写されるパターンの形状、印刷位置の精度等)の観点から、可能な限り当該パターンのラインに沿った方向を印刷用ブランケットの回転方向に合わせるのが一般的であるところ、このような場合には、印刷用ブランケットの表面の同じ位置に繰り返しストライプパターンが転移されることから、印刷用ブランケットの表面にて筋状に膨潤が生じることになる。その結果、筋状に膨潤を生じた部分に偏って早期に印刷用ブランケットが劣化するという問題が生じる。
これに対し、本発明の方法に従って印刷を行った場合には、印刷処理を所定回数繰り返した後に一旦印刷を停止して、印刷版と印刷用ブランケットの位置を当該ブランケットの軸方向にずらす工程が施されることから、かかる工程を実施する度に、印刷用ブランケット表面でのインキパターンの転移位置が異なることになる。それゆえ、インキ溶剤の浸透、膨潤に伴って印刷用ブランケットの表面形状、表面粗さ、低分子シロキサン含有量等に変化が生じるものの、かかる現象が印刷用ブランケットの一部に偏って生じることがなく、印刷用ブランケットの全体に分散されることになる。従って、本発明に係るオフセット印刷方法を採用することによって、印刷用ブランケット全体としての寿命を延ばすことができる。
(印刷パターンの形状)
本発明のオフセット印刷方法は、最大線幅が200μm以下のストライプパターンまたはマトリックスパターン(格子状のパターン)を印刷形成する用途に使用される。前記ストライプパターンは、例えばパターンが規則正しく整列してなるストライプパターン、線幅が数種あるストライプパターン、線幅やパターンのピッチが不規則なストライプパターン等であってもよい。これらのパターンを印刷形成する場合であっても、印刷版と印刷用ブランケットとをずらす量等を適宜調節することによって、インキ溶剤の浸透、膨潤に伴って印刷用ブランケットの表面形状、表面粗さ、低分子シロキサン含有量等に変化が生じる部分を適宜分散させることができ、印刷用ブランケット全体としての寿命を延ばすという本発明の作用・効果を得ることができる。
前述のように、本発明のオフセット印刷方法は、パターンが規則正しく整列してなるストライプパターンの印刷形成に特に適しているが、かかるストライプパターンは、さらにそのパターンのピッチ(ストライプパターンの一端から、そのパターン自体を含んで、隣接するパターンの一端までの間隔)が、当該パターンの最大線幅よりも2倍以上大きいのが好ましい。この場合、印刷用ブランケットをその軸方向に移動させることによって、インキパターンの転移位置に重複個所を生じないように設定できることから、本発明の作用・効果をより一層確実に発揮させることができる。なお、ストライプパターンのピッチが当該パターンの最大線幅より2倍以上大きいものである場合には、印刷用ブランケットの移動量を、少なくとも当該パターンの最大線幅以上に設定することで、印刷用ブランケットの表面におけるインキパターンの転移箇所が重複しないように設定することができる。
(印刷用ブランケットの移動工程
本発明のオフセット印刷方法においては、上記の転移工程と転写工程とを含む一連の印刷工程を所定回数実行した後で一旦印刷を停止して、印刷用ブランケットをその軸方向に移動して、再度、一連の印刷工程を実行する。ここで、印刷用ブランケットを移動させる頻度は、印刷インキの溶剤によって印刷用ブランケットが膨潤する程度に応じて設定するものである。具体的には、印刷用ブランケットの表面ゴムの種類、使用する印刷インキの溶剤の種類等に応じて、印刷用ブランケットを移動させる頻度を適宜設定する。
従って、本発明において、印刷用ブランケットの移動の頻度は特に限定されるものではないが、一般に、印刷用ブランケットとしてシリコーンブランケットを使用し、印刷インキの溶剤として、比較的シリコーンブランケットを膨潤させにくいアルコール類〔式C2n+1OHで表される高級アルコール(nが6以上で、常温で液体のもの);例えばヘキサノール、ステアリルアルコール、テルピネオール等〕、アルキルエーテル類〔例えばエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等〕、およびこれらの混合物を使用した場合においては、印刷工程を50〜5000回程度繰り返す度に、好ましくは印刷工程を100〜2000回程度繰り返す度に、印刷用ブランケットの移動を行えばよい。
本発明において、印刷用ブランケットの移動量は、印刷するパターンの形状に応じて設定するものである。印刷形成するパターンが規則正しく整列してなるストライプパターンである場合については、前述のとおり、印刷用ブランケットの移動量を、少なくとも当該パターンの最大線幅に(より具体的には、当該パターンの最大線幅から最小ピッチまでの範囲に)設定すればよい。これ以外のパターンを印刷形成する場合については、印刷用ブランケット表面でのインキパターンの転移位置が同じ位置で偏ることがないように、ブランケットの移動量を適宜設定すればよい。
(印刷方法の方式)
本発明のオフセット印刷方法は、一回の印刷工程で転写、形成されるインキパターンの膜厚が大きい(インキ量が多い)印刷方法に適用するのが好ましい。一度に印刷用ブランケットに転移するインキの量が多いと、ブランケットの浸透するインキ溶剤の量も多いことから、ブランケットの膨潤に伴って表面形状等の変化が大きくなり易いところ、このような場合に本発明のオフセット印刷方法を適用することで、かかる表面形状等の変化に起因した印刷用ブランケットの劣化現象を抑制するという本発明に特有の効果をより一層顕著に発揮させることができるからである。
従って、本発明のオフセット印刷方法は、一回の印刷工程で膜厚の大きなインキパターンを転写、形成することのできる、印刷版として凹版を用いた印刷方法(凹版オフセット印刷方法)に適用するのが特に好ましい。
(印刷版)
本発明を凹版オフセット印刷方法に適用する場合において、使用する印刷版の種類等については特に限定されるものではなく、従来公知の種々の凹版を採用することができる。なお、安価に凹版を作製するには、金属やガラスを凹版の基板として使用し、エッチングによって凹部のパターンを形成するのが好ましい。
凹版の基板としてのガラスには、ソーダライムガラス、アルカリガラス、ノンアルカリガラスが使用可能である。これらのガラスのうち、ノンアルカリガラスは極めて高度な寸法精度を実現することができるものの、非常に高価である。従って、要求される印刷精度の程度如何によっては、ソーダライムガラスやアルカリガラスで十分である。
凹版のコスト、版表面の耐久性(傷の付きにくさ、耐磨耗性等)の観点からは、金属製の凹版を使用するのが好ましい。具体的な材質としては、42アロイ、ステンレス等が挙げられる。表面に硬質クロムメッキを施した金属製の凹版は、耐久性の点で極めて優れている。
(印刷用ブランケット)
本発明のオフセット印刷方法において、使用する印刷用ブランケットは特に限定されるものではないが、パターンの印刷精度(パターンの形状や印刷位置の精度)を良好なものとするには、インキパターンの離型性を向上させるべく、表面エネルギーの低いゴムを用いたブランケットを使用するのが好ましい。かかる観点から、印刷用ブランケットには表面ゴムとしてシリコーンゴムを用いたもの(シリコーンブランケット)を採用するのが好適である。
印刷用ブランケットの表面ゴムについてのゴム硬度が高すぎると、印刷版からのインキの転移および被転写体へのインキパターンの転写の際にブランケットの表面が十分に変形しなくなるおそれがあり、インキ転移性の低下を招く原因となる。逆に、表面のゴム硬度が低すぎると、転移および転写時のブランケット表面の変形が大きくなるおそれがあり、印刷精度の低下を招く原因となる。印刷用ブランケットのゴム硬度はJIS A硬度で20〜70であるのが好ましく、30〜60であるのがより好ましい。
印刷用ブランケットの表面形状は、印刷パターンが微細になるにつれて、印刷精度(特にパターンの形状)に大きな影響を及ぼすことになる。一般に、印刷用ブランケットの表面粗さは小さいほど好ましく、例えばライン幅20μm程度の微細パターンを形成する場合には、表面粗さ(10点平均粗さ)が1.0μm以下であるのが好ましく、0.5μm以下であるのがより好ましい。
印刷用ブランケットの表面ゴムの厚みについては特に限定されるものではないが、一般に、表面ゴムが1.5mmを超えて厚くなると、ゴムの変形が大きくなって印刷精度が低下するおそれがある。
(印刷インキ)
本発明のオフセット印刷方法において、使用する印刷インキは特に限定されるものではなく、印刷適性等の特性を考慮した上で、従来公知の種々の印刷インキから適宜選択すればよい。印刷インキは、樹脂と溶剤のほか、必要に応じて導電性粉末、顔料等を適量配合し、3本ロール等によって混合攪拌することによって作製される。
なお、印刷インキの溶剤は、オフセット印刷の印刷適性を支配する重要な因子であることから、印刷用ブランケットに対する膨潤の程度、ブランケット表面の濡れ特性に及ぼす影響等を考慮して選択する必要がある。一般的には、印刷用ブランケットに対する膨潤の少ない溶剤を用いることで、当該ブランケットの表面の濡れ特性の変化を小さくすることができ、安定した印刷を実現することができる。一方、印刷用ブランケットのインキの受理性を考慮するならば、ブランケットを若干膨潤させる溶剤を選択するのが好ましい。なお、連続印刷を行う場合には、特に膨潤の少ない溶剤を用いることが好ましい。連続印刷では、印刷用ブランケットの膨潤に伴って表面濡れ特性の変化が大きくなり易いからである。表面濡れ特性の変化が大きくなると、印刷パターンの線幅が拡がったり、印刷版表面の微小な汚れをブランケットの表面に転移させたり、被転写体への転写性が低下したりする等の問題が生じて、安定した印刷が困難になる。
印刷インキを形成する樹脂には、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の、各種の樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、ポリエステル−メラミン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。紫外線硬化型樹脂としては、アクリル樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂等が挙げられえる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、所望の印刷適性に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
印刷用ブランケットとしてシリコーンブランケットを用いる場合には、印刷インキ中にシリコーンオイルを添加するのが好ましい。シリコーンゴムブランケット中に含まれる低分子のシリコーンオイル成分は、印刷インキと接触することによって抽出されて、経時的にその含有量が減少するところ、印刷インキ中にシリコーンオイルを含有させることで、ブランケットからシリコーンオイル成分が抽出されるのを抑制、防止したり、ブランケットの内部へシリコーンオイル成分を供給したりできるからである。シリコーンブランケット中のシリコーンオイル成分の含有量が減少すると、印刷パターンの線幅がばらつく等の問題が生じるところ、シリコーンオイル成分を添加してなる印刷インキを用いることで、かかる問題が生じるのを抑制、防止することができる。
この場合において、印刷インキ中に添加するシリコーンオイルの量は、インキの樹脂分100重量部に対して3〜50重量部、好ましくは5〜30重量部である。シリコーンオイルの配合量が上記範囲を下回ると十分な効果を得ることができない。逆に、上記範囲を超えてシリコーンオイルを配合してもその効果に変化はなく、コスト上不利である。
印刷インキ中に添加されるシリコーンオイルについては特に限定されるものではなく、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等や、種々の変性シリコーンオイルを採用することができる。
(被転写体)
本発明に用いられる被転写体としては、製造の目的となる製品に応じて、当該製品に用いられる基材の中から適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。本発明のオフセット印刷方法を用いて、プラズマディスプレイパネル(PDP)用の電極基板を形成する場合においては、被転写体として、ソーダライムガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラスを用いればよい。また、その他の用途のパターンを形成する場合においては、上記例示のガラスのほか、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、イミドフィルム、ポリカーボネートフィルム等の樹脂フィルム;金属フィルム;セラミック等も適用可能である。
(本発明の具体的実施形態)
次に、本発明に係るオフセット印刷方法を、図1および図2を参照しつつ説明する。
本発明に係るオフセット印刷方法では、まず、ブランケット胴12に装着してなる印刷用ブランケット13を回転させつつ、印刷版(例えば凹版)10の表面にて転動させることにより、印刷版のインキ担持部(凹版の場合、凹部)11に充填されたインキを印刷用ブランケット13の表面に転移させる(転移工程)。次いで、表面にインキパターン(図示せず)を担持してなる印刷用ブランケット13を被転写体14上へと移動し、回転させつつ当該被転写体14の表面にて転動させることによって、印刷用ブランケット13から被転写体14上へとインキパターンを転写させる(転写工程)。上記転移工程および転写工程を所定回数繰り返したときには一旦印刷を停止して、印刷用ブランケット13をその軸方向(図中に白抜き矢印で示す方向x)に所定量移動した上で、新たな転移工程および転写工程に移行する。図1中、点線で示したブランケット胴12’および印刷用ブランケット13’は、いずれも軸方向xに移動した後の状態を示すものである。
図1に示すようにして印刷を行うことにより、インキ溶剤の浸透、膨潤に伴って印刷用ブランケット13の表面形状、表面粗さ、低分子シロキサン含有量等が変化するという現象が、印刷用ブランケット13の一部の領域で偏って生じるのを抑制、防止することができる。従って、印刷用ブランケット13の劣化を抑制して、その寿命を延ばすことができる。
本発明のオフセット印刷方法においては、上記転移工程および転写工程を終えた後で、印刷用ブランケットの表面を乾燥させる処理を行うのが好ましい。
印刷用ブランケットの乾燥は加熱によるものが好ましく、例えば温風の噴射、赤外線の照射、印刷用ブランケットの内部または裏面に配置されたヒータによる加熱等の、種々の方法を採用することができる。なかでも、温風の噴射と赤外線の照射とを併せて行うのが、加熱・乾燥の効率や、加熱設備の取扱性の観点から好ましい。加熱は1回の印刷工程を終える毎に行うのが望ましい。
印刷用ブランケットを加熱して乾燥させた後には、印刷用ブランケットの表面を冷却する処理を施すのが好ましい。印刷用ブランケットの冷却は、例えば冷風を噴射したり、低温のローラまたは金属等の熱伝導性に優れた材質からなるローラを当接させたりする等の、種々の方法を採用することができる。
ブランケットの乾燥、冷却処理は、印刷用ブランケットを印刷版と被転写体との間で移動させている際に実行するのが、印刷工程の作業効率の観点から好ましい。
次に、本発明のオフセット印刷方法を採用して、プラズマディスプレイパネル(PDP)の背面電極のパターンを形成した実施例および比較例を挙げて、本発明を説明する。
〔背面電極パターンの印刷形成〕
背面電極パターンの印刷形成は、凹版オフセット印刷法によって行った。
印刷インキには、アクリル樹脂100重量部に対して、銀粉末2000重量部と、ガラスフリット10重量部と、溶剤としてのブチルカルビトール100重量部を攪拌混合したものを使用した。
印刷版には、エッチング処理によって形成されたストライプパターン状の凹部(総数1000本)を備える凹版を使用した。凹部(パターン)は、開口幅180μm、深さ30μm、ピッチ540μm、および全長400mmとなるように設定した。
印刷用ブランケットには、表面ゴム層に厚さ0.6mmのシリコーン(JIS A硬さ40)を用いたものを使用した。このシリコーンブランケットの表面ゴム層は、2液型RTVシリコーンゴムを厚さ0.35mmのPETフィルム(支持体)上に塗布した後、セルフレベリングによって平滑化させつつ硬化させることによって作製した。
被転写体には、厚さ1.5mm、長さおよび幅が各500mmのソーダライムガラス板を使用した。
印刷は、室温23℃、湿度55%RHの環境で行い、印刷版からシリコーンブランケットの転移工程時には、インキの転移速度を15mm/sに設定し、シリコーンブランケットのニップ幅を12mmに調節した。シリコーンブランケットから被転写体への転写工程時には、インキパターンの転写速度を200mm/sに設定し、シリコーンブランケットのニップ幅を12mmに調節した。
実施例1では、上記の条件で被転写体(ソーダライムガラス)250枚分の印刷処理を終えた後、一旦印刷を停止してシリコーンブランケット(印刷用ブランケット)の位置をその軸方向に180μmずらした上で、再度、被転写体250枚分の印刷処理を行った。
一方、比較例1では、上記の条件で被転写体(ソーダライムガラス)500枚分を連続して印刷した。すなわち、シリコーンブランケット(印刷用ブランケット)と凹版(印刷版)との位置をずらす処理は行わなかった。
上記の印刷条件で、被転写体(ソーダライムガラス)計500枚に対して、背面電極パターンの印刷処理を行い、印刷形成された背面電極パターンを100℃で30分間加熱することにより、乾燥させた。
〔性能評価〕
(1)線幅変化の許容枚数
実施例1と比較例1のそれぞれについて、背面電極を形成した被転写体を、印刷処理の回数が10回経過する毎にサンプリングした。
採取したサンプルについて、その印刷パターンをレーザ顕微鏡で観察し、印刷面内の計15の測定箇所でパターンの線幅を測定した。得られた生データの平均値を線幅データとし、線幅変化量が20μmを超えた時の印刷枚数を求めた。
(2)印刷形状の評価
500枚目のサンプルについて、その印刷パターンを顕微鏡で観察して、印刷パターンの直線性の良否を総合的に判断した。
(3)印刷位置精度の評価
500枚目のサンプルについて、その印刷パターンを精密2次元座標測定機で観察して、印刷パターンの位置とアライメント位置とのズレに基づいて、印刷精度の良否を判断した。PDP用背面電極パターンの形成に際して、印刷精度は±20μm以内であることが求められる。
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 0004429689
表1に示したように、凹版(印刷版)からシリコーンブランケット(印刷用ブランケット)へのインキの転移工程と、シリコーンブランケットから被転写体へのインキパターンの転写工程との、一連の印刷工程を繰り返し実行した後、シリコーンブランケットをその軸方向に移動して再び印刷工程に供した実施例1では、シリコーンブランケットの軸方向への移動を行わなかった比較例1に比べて、線幅変化量で顕著な差異が生じた。
上記性能評価(1)の測定結果より、比較例1では、印刷工程を270回繰り返すことで(270枚の印刷を終えた時点で)、PDP用の背面電極パターンとして実用に適さない程度の線幅変化を生じた(すなわち、線幅変化量が20μmを超えた)ことがわかった。また、シリコーンブランケットの同じ部位300回程度繰り返してインキパターンが転移されると、シリコーンブランケットの膨潤およびそれに伴う劣化の程度が顕著になることがわかった。
これに対し、実施例1では、印刷工程を250回繰り返した時に(250枚の印刷を終えた時に)シリコーンブランケットの位置をその軸方向にずらしていることから、ブランケットの膨潤に起因する印刷精度の低下といった問題は観察されなかった。また、シリコーンブランケットの位置をその軸方向にずらす処理を施すことで、ブランケットの寿命を1.5〜2倍程度に延ばすことができた。
なお、実施例1で印刷形成したパターンは線幅が180μmで、ピッチが540μmであることから、シリコーンブランケット上でのインキパターンの転写位置に重複を生じないように設定するのであれば、ブランケットの位置を軸方向にずらす処理は2回行うことが可能となる。従って、ブランケットの寿命は、最終的に2〜3.5倍程度にまで延ばすことができると推定される。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。
本発明に係るオフセット印刷方法の一実施形態を示す説明図である。
符号の説明
10 印刷版
12 ブランケット胴
13 印刷用ブランケット
14 被転写体

Claims (2)

  1. ブランケット胴に装着してなる印刷用ブランケットを印刷版の表面で転動させて当該印刷版から印刷用ブランケットの表面に印刷インキを転移する転移工程と、被転写体の表面で上記印刷用ブランケットを転動させて当該印刷用ブランケット上のインキパターンを被転写体の表面に転写する転写工程と、を含み、前記被転写体の表面に、最大線幅が200μm以下のストライプパターンまたはマトリックスパターンを印刷するオフセット印刷方法において、
    上記転移工程および転写工程を所定回数実行する間は印刷用ブランケットをその軸方向に移動させず、
    上記転移工程および転写工程を所定回数実行した後で一旦印刷を停止して、印刷用ブランケットをその軸方向に移動する工程を含むことを特徴とするオフセット印刷方法。
  2. 前記ストライプパターンは、そのピッチが前記最大線幅よりも2倍以上大きい請求項1に記載のオフセット印刷方法。
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