JP2008293904A - 凹版オフセット印刷用導電ペーストとそれを用いた電極基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】凹版オフセット印刷法を利用した電極パターンの形成工程のうち、1回目の転写工程での転写率を高めて、基板の表面に、十分な厚みを有し、三次元の形状精度と導電性に優れた電極パターンを形成することができる、新規な凹版オフセット印刷用導電ペーストと、それを用いた電極基板の製造方法とを提供する。
【解決手段】凹版オフセット印刷用導電ペーストは、バインダ樹脂を溶解し、導電性粉末とガラスフリットとを分散させる溶媒として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートAと、2−ブトキシエタノールBとを質量比A/B=70/30〜98/2の割合で含む混合溶媒を用いた。電極基板の製造方法は、前記凹版オフセット印刷用導電ペーストを、表面層がシリコーンゴムで形成されたブランケットと組み合わせて、凹版オフセット印刷法によって、基板上に電極パターンを形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、凹版オフセット印刷用として適した凹版オフセット印刷用導電ペーストと、前記凹版オフセット印刷用導電ペーストを使用して、フラットディスプレイパネルの画素電極基板、駆動回路基板等の電極基板を製造するための製造方法とに関するものである。
例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネッセンス(EL)素子、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等の、いわゆるフラットパネルディスプレイ(FPD)は、電極パターンを備えた画素電極基板や駆動回路基板等の電極基板上に、多数の画素を配列することで構成される。
前記電極基板上の電極パターンには、線幅や間隔が極めて小さく、かつ、三次元の形状精度(線幅、厚み、エッジ形状等)や位置精度が極めて高いことが要求されると共に、電極パターンの電気特性を向上させるために厚膜であることが求められるため、従来は、いわゆるフォトリソグラフ法を利用した形成方法で、前記電極パターンを形成するのが一般的であった。
しかし、近年、フラットディスプレイパネルの普及と、それに伴う低価格化の要求に応じて、電極パターンの三次元の形状精度や位置精度のレベルを維持しながら、電極基板の製造工程の簡易化と低コスト化とを図り、なおかつ、フラットディスプレイパネルの大画面化にも対応するため、前記電極パターンを、凹版オフセット印刷法によって形成することが検討されるようになってきた。
凹版オフセット印刷法では、バインダ樹脂、導電性粉末、ガラスフリット、および溶媒を含む凹版オフセット印刷用導電ペーストを、まず、形成する電極パターンの平面形状、および断面形状に対応した凹部を有する凹版上に、ドクターブレード等を用いて塗り拡げることで、前記凹部に充填する。次いで、前記凹版オフセット印刷用導電ペーストを、前記凹部からブランケットの表面に転写させ、ついで、前記表面から基板の表面に再転写させた後、焼成することで、電極パターンが形成される。すなわち、前記焼成によって、バインダ樹脂等の有機物が熱分解されて除去されると共に、多数の導電性粉末が、ガラスフリットをバインダとして焼結されて、電極パターンが形成される。
現状の、例えばプラズマディスプレイパネルの電極基板に要求される、電極パターンの線幅は50〜100μm程度、厚みは3〜4μm程度であり、凹版オフセット印刷法によれば、前記の寸法範囲内で、十分に形状精度や位置精度に優れた電極パターンを、1回の印刷と、その後の焼成によって形成することが可能である。そこで、例えば特許文献1においては、印刷して焼成した後の電極パターンの導電性や膜強度、あるいは、ガラス基板に対する密着性等を向上するために、凹版オフセット印刷用導電ペースト中に含まれるバインダ樹脂の分子量や軟化温度、各成分の配合割合等を調整することが検討されている。
特開2005−158295号公報
凹版オフセット印刷法によって電極パターンを形成する際には、2回の転写工程での、凹版オフセット印刷用導電ペーストの転写率を高めることが肝要である。すなわち、凹版オフセット印刷用導電ペーストを、凹版の凹部からブランケットの表面に転写させる1回目の転写工程での転写率、および前記ブランケットの表面から基板の表面に転写させる2回目の転写工程での転写率が、いずれも低い場合には、前記基板の表面に、十分な厚みを有し、三次元の形状精度が高い上、導電性にも優れた電極パターンを形成することができないのである。
そこで、凹版オフセット印刷用導電ペーストの、特に2回目の転写工程において、ブランケットの表面から基板の表面への転写率を高めるために、表面層がシリコーンゴムで形成されたブランケットが開発され、実用化されている。しかし、表面層がシリコーンゴムで形成された前記ブランケットは、1回目の転写工程での、凹版の凹部からブランケットの表面への、凹版オフセット印刷用導電ペーストの転写率がおよそ26%程度と低いため、前記転写率を高めることが求められている。
本発明は、凹版オフセット印刷法を利用した電極パターンの形成工程のうち、1回目の転写工程での転写率を高めて、基板の表面に、十分な厚みを有し、三次元の形状精度と導電性に優れた電極パターンを形成することができる、新規な凹版オフセット印刷用導電ペーストと、それを用いた電極基板の製造方法とを提供することにある。
前記課題を解決するため、発明者は、前記1回目の転写工程での、凹版オフセット印刷用導電ペーストの挙動を仔細に検討した結果、前記凹版オフセット印刷用導電ペーストを構成する溶媒として、沸点の異なる2種の溶媒を併用すればよいことを見出した。すなわち、沸点の異なる2種の溶媒を併用した凹版オフセット印刷用導電ペーストを、凹版の凹部に充填するために、先に説明したように、ドクターブレード等を用いて凹版の表面に塗り拡げた際に、前記2種の溶媒のうち、沸点の低い溶媒が、選択的に、より多く揮発する結果、凹版オフセット印刷用導電ペースト中で、導電性粉末やガラスフリットの凝集が促進される。
そのため、前記沸点の低い溶媒の揮発によって、全体の粘度が僅かに上昇することと相まって、凹版の凹部に充填された凹版オフセット印刷用導電ペーストの凝集力が高まって、ブランケットの表面への転写時に、その一部が分離して凹部内に残る現象が生じるのを、これまでよりも抑制することができる。
その上、併用される沸点の高い溶媒が、凹版の凹部に充填された凹版オフセット印刷用導電ペーストの、ブランケットの表面に対する良好な濡れ性を維持するために機能するため、前記2種の溶媒を併用することによって、1回目の転写工程での、凹版の凹部からブランケットの表面への、凹版オフセット印刷用導電ペーストの転写率を向上して、基板の表面に、十分な厚みを有し、三次元の形状精度と導電性に優れた電極パターンを形成することが可能となるのである。
そこで、発明者は、種々の溶媒の中から、互いに相溶性に優れると共に、併用した際に、バインダ樹脂の良好な溶解や、導電性粉末、ガラスフリットの良好な分散を妨げるおそれがない上、通常の、凹版オフセット印刷法による電極パターンの形成工程において、前記の効果を最大限に発揮できる2種の溶媒の組み合わせと、その含有割合とについて、さらに検討した結果、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート(商品名ブチルカルビトールアセタート、沸点247℃)Aと、2−ブトキシエタノール(商品名ブチルセロソルブ、沸点171℃)Bとを、質量比A/B=70/30〜98/2の割合で併用すればよいことを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明は、バインダ樹脂、導電性粉末、ガラスフリット、および溶媒を含み、前記溶媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートAと、2−ブトキシエタノールBとを、質量比A/B=70/30〜98/2の割合で含む混合溶媒であることを特徴とする凹版オフセット印刷用導電ペーストである。なお、本発明において、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートAと、2−ブトキシエタノールBの含有割合が、前記質量比A/Bの範囲に限定されるのは、下記の理由による。
すなわち、前記範囲より、沸点の低い溶媒である2−ブトキシエタノールの含有割合が少ない場合には、先に説明した、沸点の低い溶媒の揮発によって、凹版オフセット印刷用導電ペーストの凝集力を高める効果が得られず、逆に、前記範囲より2−ブトキシエタノールの含有割合が多い場合には、ブランケットの表面に転写された凹版オフセット印刷用導電ペーストが乾燥しやすくなって、前記ブランケットの表面から基板の表面に転写されなくなる、いわゆるパイリングの不良を生じやすくなるためである。
本発明は、前記本発明の凹版オフセット印刷用導電ペーストを、凹版の凹部に充填し、次いで、表面層がシリコーンゴムで形成されたブランケットの表面に転写させた後、前記ブランケットの表面から基板の表面に転写させる凹版オフセット印刷法によって、前記基板の表面に印刷すると共に、焼成することで、前記基板上に電極パターンを形成する工程を含むことを特徴とする電極基板の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、前記本発明の凹版オフセット印刷用導電ペーストを、表面層がシリコーンゴムで形成されたブランケットと組み合わせて、凹版オフセット印刷法に用いることによって、前記凹版オフセット印刷用導電ペーストの、2回目の転写工程での、ブランケットの表面から基板の表面への転写率を高めることができるため、先に説明した、本発明の凹版オフセット印刷用導電ペーストによる、1回目の転写工程での転写率を高めることができる効果と相まって、十分な厚みを有し、三次元の形状精度と導電性にさらに優れた電極パターンを備えた電極基板を製造することが可能となる。
本発明によれば、凹版オフセット印刷法を利用した電極パターンの形成工程のうち、1回目の転写工程での転写率を高めて、基板の表面に、十分な厚みを有し、三次元の形状精度と導電性に優れた電極パターンを形成することができる、新規な凹版オフセット印刷用導電ペーストと、それを用いた電極基板の製造方法とを提供することが可能となる。
本発明の凹版オフセット印刷用導電ペーストは、バインダ樹脂、導電性粉末、ガラスフリット、および溶媒を含み、前記溶媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートAと、2−ブトキシエタノールBとを、質量比A/B=70/30〜98/2の割合で含む混合溶媒であることを特徴とするものである。本発明において、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートAと、2−ブトキシエタノールBの含有割合が、前記質量比A/Bの範囲に限定されるのは、前記範囲より、沸点の低い溶媒である2−ブトキシエタノールの含有割合が少ない場合には、前記2−ブトキシエタノールの揮発によって、凹版オフセット印刷用導電ペーストの凝集力を高める効果が得られず、逆に、前記範囲より2−ブトキシエタノールの含有割合が多い場合には、ブランケットの表面に転写された凹版オフセット印刷用導電ペーストが乾燥しやすくなって、前記ブランケットの表面から基板の表面に転写されなくなる、いわゆるパイリングの不良を生じやすくなるためである。
なお、凹版オフセット印刷用導電ペーストが乾燥しやすくなりすぎるのを抑制しながら、2−ブトキシエタノールの揮発によって、凹版オフセット印刷用導電ペーストの凝集力を高める効果を、さらに向上することを考慮すると、前記ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートAと、2−ブトキシエタノールBとの質量比A/Bは、前記範囲内でも85/15〜98/2であるのが好ましい。
導電性粉末としては、例えば銀、銅、金、白金、ニッケル、アルミニウム、鉄、パラジウム、クロム、モリブデン、タングステン等の金属の粉末や、酸化銀、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ルテニウム等の金属酸化物の粉末、Cr−Co−Mn−Fe、Cr−Cu、Cr−Cu−Mn、Mn−Fe−Cu、Cr−Co−Fe、Co−Mn−Fe、Co−Ni−Cr−Fe等の複合合金の粉末、銀メッキ銅等のメッキ複合体の粉末等の1種または2種以上が挙げられる。中でも、耐酸化性に優れ、高絶縁性酸化物を生成しにくいことや、コスト安価に、焼成後の電極パターンの導電性を向上できることから、前記導電性粉末としては銀粉末が好ましい。
また、導電性粉末は、凹版オフセット印刷用導電ペーストの印刷適性を向上すると共に、電極パターン中での充填率を高めて、前記電極パターンの導電性を向上すること等を考慮すると、50%平均径D50が0.05〜20μm、特に0.1〜10μmであるのが好ましい。また、導電性粉末は、球状、粒状、鱗片状等の種々の形状とすることができ、中でも、導電性粉末同士の接触面積を大きくして、電極パターンの導電性を向上することを考慮すると、鱗片状が好ましい。
また、導電性粉末として、球状ないし粒状の導電性粉末と、鱗片状の導電性粉末とを併用する等して、前記導電性粉末の、凹版オフセット印刷用導電ペースト中での充填密度を、できるだけ高くするのが好ましい。すなわち、充填密度を高くすると、基板上に印刷後の凹版オフセット印刷用導電ペーストを焼成する際の体積変化を極力少なくして、基板の表面に、十分な厚みを有し、三次元の形状精度と導電性に優れた電極パターンを形成する効果を、さらに向上できる上、焼成後の電極パターン中での、導電性粉末の充填を細密化させて、前記電極パターンの導電性を、より一層、向上することもできる。
導電性粉末の含有割合は、バインダ樹脂100質量部に対して500〜2000質量部、特に1000〜1600質量部であるのが好ましい。前記範囲より導電性粉末が少ない場合には、形成される電極パターンの導電性が低下するおそれがあり、逆に多い場合には、相対的に、バインダ樹脂やガラスフリットの含有割合が少なくなるため、前記電極パターンの機械的強度が低下したり、基板に対する接着強度が低下したりするおそれがある。
ガラスフリットとしては、例えばホウケイ酸ガラスや、あるいは、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化ビスマス等の金属酸化物を含有するガラス等の1種または2種以上等の、種々のガラスからなり、凹版オフセット印刷用導電ペーストの焼成時に溶融して、多数の導電性粉末を焼結させると共に、焼結によって形成された電極パターンを基板と密着させるためのバインダとして機能しうる、粉末状、鱗片状等の粒子が挙げられる。
特に、電極パターンの、基板に対する密着性や導電性を、より一層、優れたものとするためには、バインダ樹脂の熱分解温度で溶融せず、かつ、導電性粉末の融点以下の温度で溶融するように、溶融温度が設定されたガラスフリットが好ましい。ガラスフリットの溶融温度が、バインダ樹脂の熱分解温度よりも低いときには、焼成によって、バインダ樹脂が完全に熱分解して除去される前に、ガラスフリットの溶融が始まる、焼成後の電極パターン中に、その後の熱分解によってバインダ樹脂が除去された跡が、空隙として残って、電極パターンの導電性が低下したり、前記電極パターンの機械的強度が低下したりするおそれがある。
また、ガラスフリットの溶融温度が、導電性粉末の融点よりも高いときには、焼成温度を高くする必要が生じるため、電極パターンの形成に要する熱エネルギーが増加したり、基板の熱変形などの不具合を招いたりするおそれがある。ガラスフリットの溶融温度の、具体的な範囲は、組み合わせるバインダ樹脂や導電性粉末の種類に応じて、適宜、調整することができるが、通常は400〜600℃程度であるのが好ましい。また、ガラスフリットは、凹版オフセット印刷用導電ペーストの印刷適性を向上すると共に、電極パターンの、基板に対する密着性を向上することを考慮すると50%平均径D50が0.1〜5μm、特に0.2〜3μmであるのが好ましい。
ガラスフリットの含有割合は、バインダ樹脂100質量部に対して10〜50質量部、特に20〜40質量部であるのが好ましい。前記範囲よりガラスフリットが少ない場合には、電極パターンの機械的強度が低下したり、基板に対する接着強度が低下したりするおそれがあり、逆に多い場合には、形成される電極パターンの導電性が低下するおそれがある。
バインダ樹脂としては、先に説明した、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートAと、2−ブトキシエタノールBとを、質量比A/B=70/30〜98/2の割合で含む混合溶媒に対して、良好に溶解することができる、種々の樹脂が使用可能である。前記樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリエステル−メラミン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ−メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
特に、焼成によって熱分解させて除去する際に、樹脂分またはその残渣が残存せずに、完全に除去される樹脂が好ましく、そのような樹脂としては、前記の中でもポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エチルセルロースが挙げられ、とりわけ、ポリエステル系樹脂が好ましい。また、バインダ樹脂の分子量は、導電性粉末の分散性、凹版オフセット印刷用導電ペーストの印刷特性等に合わせて、適宜設定すればよいが、通常は、質量平均分子量Mwが1000〜30000、特に2000〜20000であるのが好ましい。バインダ樹脂の含有割合は、特に限定されず、導電性粉末やガラスフリットの分散性、凹版オフセット印刷用導電ペーストの印刷特性等に合わせて、適宜設定すればよい。
本発明の凹版オフセット印刷用導電ペーストには、前記各成分に加えて、例えばレベリング剤、分散剤、揺変性付与剤(チキソトロピック粘性付与剤)、消泡剤、充填剤、硬化触媒等の、種々の配合剤を、任意の割合で添加することもできる。このうち、充填剤としては、例えば乾式シリカ(アエロジル)、炭酸カルシウム(CaCO3)、ハードクレー、炭酸マグネシウム等の1種または2種以上が挙げられる。また、硬化触媒は、バインダ樹脂の種類にあわせて適宜選択されるものであって、例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、安息香酸、マロン酸、コハク酸、トリメリト酸等の、酸性官能基を有する触媒の1種または2種以上が挙げられる。
本発明の凹版オフセット印刷用導電ペーストは、前記各成分を、所定の割合で配合後、3本ロール、ボールミル、アトライター、サンドミル等を用いて攪拌し、混合することで調製される。処理条件は特に限定されず、常法に従って処理すればよい。また、本発明の凹版オフセット印刷用導電ペーストは、25℃での粘度が5〜30Pa・s、特に10〜20Pa・sであるのが好ましい。粘度が前記範囲未満では、凹版オフセット印刷法による、1回目の転写工程で、凹版の凹部からブランケットの表面へ転写されたパターンや、2回目の転写工程で、ブランケットの表面から基板の表面へ転写された凹版オフセット印刷用導電ペーストが垂れたり、流動したりしやすくなる等して、その形状を保持することが困難になるため、焼成後の電極パターンの、三次元形状の精度が低下するといった不具合を生じるおそれがある。
また、逆に、粘度が前記範囲を超える場合には、凹版オフセット印刷用導電ペーストを、凹版上に、ドクターブレード等を用いて塗り拡げて、前記凹版の凹部に充填する際に、前記凹部の隅々まで十分に充填されない、いわゆるドクタリング性の低下が発生して、焼成後の電極パターンの、三次元形状の精度が低下したり、前記電極パターンに、断線やピンホールの不良が発生したりするといった不具合を生じるおそれがある。凹版オフセット印刷用導電ペーストの粘度を、前記範囲内に調整するためには、バインダ樹脂の種類や分子量、含有割合等を調整したり、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートと、2−ブトキシエタノールの、合計の含有割合等を調整したりすればよい。このうち、前記2種の溶媒の、合計の含有割合は、特に、バインダ樹脂の種類や分子量、含有割合等に応じて、適宜、設定することができるが、通常は、バインダ樹脂100質量部に対して65〜80質量部、特に70〜75質量部であるのが好ましい。
前記本発明の凹版オフセット印刷用導電ペーストによれば、先に説明したように、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートと、2−ブトキシエタノールという、沸点の異なる2種の溶媒を、所定の質量比で併用することによって、凹版オフセット印刷法を利用した電極パターンの形成工程のうち、1回目の転写工程での転写率を高めて、基板の表面に、十分な厚みを有し、三次元の形状精度と導電性に優れた電極パターンを形成することが可能となる。それゆえ、本発明の凹版オフセット印刷用導電ペーストは、例えばLCD、EL素子、PDP、FED等のフラットディスプレイパネルにおける、画素電極基板、駆動回路基板等の電極基板の、凹版オフセット印刷法を利用した製造に、好適に使用することができる。
本発明の電極基板の製造方法は、凹版オフセット印刷用導電ペーストを、凹版の凹部に充填し、次いで、表面層がシリコーンゴムで形成されたブランケットの表面に転写させた後、前記ブランケットの表面から基板の表面に転写させる凹版オフセット印刷法によって、前記基板の表面に印刷すると共に、焼成することで、前記基板上に電極パターンを形成する工程を含むことを特徴とするものである。前記ブランケットの表面層を形成するためのシリコーンゴムとしては、例えば、未硬化時に液状ないしはペースト状を呈するシリコーンゴムが好ましい。
前記液状ないしはペースト状を呈するシリコーンゴムを下地上に塗布し、硬化させて表面層を形成することにより、前記表面層の表面を、硬化時に、液またはペーストのセルフレベリング効果によって平滑化させることができるため、高精度の電極パターンの形成に好適な、表面粗さが極めて小さいシリコーンブランケットを得ることができる。
オフセット印刷法に使用する凹版としては、その表面に、所望の電極パターンの平面形状、および高さに対応する平面形状と深さとを有する凹部を形成することができる、例えば42アロイ、ステンレス鋼等の金属や、ソーダライムガラス、ノンアルカリガラス等のガラス等の、種々の材料からなるものを用いることができる。中でも、凹版に、優れた耐久性が要求される場合には、金属製の凹版が好適であり、凹部について、極めて高度な寸法精度を要求される場合には、加工性が良好なソーダライムガラス、ノンアルカリガラス等のガラス性の凹版が好ましい。また、特に優れた耐久性を求められる場合には、金属製の凹版の表面に、さらに、硬質クロムメッキ等によって金属被膜を施してもよい。
凹版オフセット印刷法の、具体的な印刷条件は、特に限定されず、常法に従って、適宜設定することができる。例えば、凹版の凹部への、凹版オフセット印刷用導電ペーストの充填は、例えばドクターブレードやスキージ等を用いたドクタリング等の、常法に従って行えばよい。また、1回目の転写工程での、凹版の凹部からブランケットの表面への転写速度や、2回目の転写工程での、ブランケットの表面から基板の表面への転写速度は、例えば凹版の凹部の幅および深さ、凹版や基板の種類、凹版オフセット印刷用導電ペーストの物性、電極パターンに要求される線幅や三次元形状の精度等の諸条件を考慮しつつ、常法に従って、適宜設定することができる。
印刷後の焼成温度は、バインダ樹脂を、速やかに熱分解させて除去すると共に、多数の導電性粉末を、ガラスフリットをバインダとして焼結させることができる、任意の温度に設定することができるが、一般的には450〜650℃、特に500〜600℃であるのが好ましい。また、焼成により得られる電極パターンの厚みは、電極パターンの用途に応じて、適宜、設定することができるが、通常は3〜15μm、特に5〜10μmであるのが好ましい。電極パターンの厚みが前記範囲未満では断線が発生しやすく、また、導電性も十分でなくなるおそれがある。逆に、厚みが前記範囲を超える場合には、電極パターン表面の平坦性が低下するおそれがある。
前記本発明の製造方法によれば、先に説明した本発明の凹版オフセット印刷用導電ペーストを、表面層がシリコーンゴムで形成されたブランケットと組み合わせて、凹版オフセット印刷法に用いることによって、前記凹版オフセット印刷用導電ペーストの、2回目の転写工程での、ブランケットの表面から基板の表面への転写率を高めることができる。そのため、本発明の凹版オフセット印刷用導電ペーストによる、1回目の転写工程での転写率を高めることができる効果と相まって、十分な厚みを有し、三次元の形状精度と導電性にさらに優れた電極パターンを備えた電極基板を製造することが可能となる。
下記の各実施例、比較例で使用した各種成分は、次のとおりである。
(バインダ樹脂)
ポリエステル樹脂、質量平均分子量Mw:20000。
(導電性粉末)
銀粉末、不定形粒状、50%平均径D50:0.5μm、三井金属鉱業(株)製。
(ガラスフリット)
50%平均径D50:1.8μm、東罐マテリアル・テクノロジー(株)製。
(溶媒A)
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、沸点:247℃。
(溶媒B)
2−ブトキシエタノール、沸点:171℃。
〈実施例1〉
ポリエステル樹脂:100質量部に対し、導電性粉末:900質量部、ガラスフリット:25質量部、溶媒A:51質量部、および溶媒B:21質量部を配合し、3本ロールで混合して凹版オフセット印刷用導電ペーストを調製した。溶媒A、Bの質量比A/B=71/29であった。前記凹版オフセット印刷用導電ペーストを、精密印刷用の凹版オフセット印刷機を用いた凹版オフセット印刷法によって基板上に印刷し、焼成して、電極パターンを有する導電基板を製造した。
凹版としては、ソーダライムガラスの片面に、ストライプパターン状の主電極ラインに対応した、線幅:100μm、深さ:30μm、線間隔:300μmの凹部と、各主電極ラインの一方の端縁から連続する引き込みラインに対応した、線幅:300μm、深さ:32μm、線間隔:100μmの凹部とが形成されたものを用いた。また、ブランケットとしては、液状の常温硬化型(付加型)シリコーンゴムを硬化させて形成した、厚み:550μm、硬さ:35°、表面粗さ:0.1μmの表面層を有するシリコーンブランケットを用いた。また、基板としては、厚み:2.8mm、対角寸法:42インチのガラス基板〔旭硝子(株)製の商品名「PD200」〕を用いた。さらに、1回目の転写工程における、凹版の凹部からブランケットの表面への転写速度は50mm/s、2回目の転写工程における、ブランケットの表面から基板の表面への転写速度は100mm/sとした。
〈実施例2〜5、比較例1〜4〉
溶媒A、Bを、表1に示す割合で配合したこと以外は実施例1と同様にして、凹版オフセット印刷用導電ペーストを調製し、導電基板を製造した。なお、溶媒A、Bの合計の含有割合は、凹版オフセット印刷用導電ペーストの、25℃での粘度が10〜20Pa・sとなるように設定した。
〈転写率の測定〉
前記製造工程のうち、第1の転写工程において、凹版の凹部からブランケットの表面に転写された凹版オフセット印刷用導電ペーストからなる、主電極ラインとなるパターンの、長さ方向と交差する方向の断面積S1を、(株)キーエンス製のレーザー顕微鏡を用いて測定して、前記測定値S1と、凹版の、前記主電極ラインに対応する凹部の、線幅と深さとから計算される断面積S0とから、式(1):
1(%)=S1/S0×100 (1)
により、前記第1の転写工程における、凹版オフセット印刷用導電ペーストの転写率T1(%)を求めた。
〈断面積の測定〉
焼成後の電極パターンのうち、主電極ラインの、長さ方向と交差する方向の断面積S2を、(株)キーエンス製のレーザー顕微鏡を用いて測定した。
〈抵抗値の測定〉
焼成後の電極パターンのうち、主電極ラインの、長さ方向の10cm分の抵抗値(Ω)を、テスターを用いて測定した。
〈パイリングの観察〉
第2の転写工程において、凹版オフセット印刷用導電ペーストを、ブランケットの表面から基板の表面に転写させる操作を行った後、前記ブランケットの表面を観察して、下記の基準で、パイリングが発生したか否かを評価した。
×:主電極ラインとなるパターン、および引き込みラインとなるパターンを形成する凹版オフセット印刷用導電ペーストの全てが、ブランケットの表面に残留していた。パイリングが発生した。
△:引き込みラインとなるパターンを形成する凹版オフセット印刷用導電ペーストの一部が、ブランケットの表面に残留していた。パイリングが僅かに発生した。
○:凹版オフセット印刷用導電ペーストは、ブランケットの表面には残留していなかった。パイリング発生せず。
◎:凹版オフセット印刷用導電ペーストが、ブランケットの表面には残留していなかった上、基板の表面に転写された凹版オフセット印刷用導電ペーストからなるパターンは、エッジ形状も良好であった。
以上の結果を表1に示す。
表の比較例4の結果より、溶媒として、沸点の高い溶媒Aのみを用いた場合には、先に説明した、沸点の低い溶媒Bの揮発によって、凹版オフセット印刷用導電ペーストの凝集力を高める効果が得られないため、転写率T1が低下すると共に、形成される電極パターンの断面積が小さくなって、抵抗値が上昇することが判った。また比較例1〜3の結果より、溶媒Bの割合が多すぎる場合には、ブランケットの表面に転写された凹版オフセット印刷用導電ペーストが乾燥しやすくなって、パイリングの不良を生じやすくなること、それに伴って、形成される電極パターンの断面積が小さくなって、抵抗値が上昇することが判った。
これに対し、実施例1〜5の結果より、溶媒A、Bを、質量比A/B=70/30〜98/2の割合で併用した場合には、凹版オフセット印刷法を利用した電極パターンの形成工程のうち、1回目の転写工程での転写率を高めて、基板の表面に、十分な厚みを有し、三次元の形状精度と導電性に優れた電極パターンを形成できることが判った。また、各実施例を比較すると、溶媒A、Bの質量比は、前記範囲内でも85/15〜98/2であるのが好ましいことが判った。

Claims (2)

  1. バインダ樹脂、導電性粉末、ガラスフリット、および溶媒を含み、前記溶媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートAと、2−ブトキシエタノールBとを、質量比A/B=70/30〜98/2の割合で含む混合溶媒であることを特徴とする凹版オフセット印刷用導電ペースト。
  2. 請求項1に記載の凹版オフセット印刷用導電ペーストを、凹版の凹部に充填し、次いで、表面層がシリコーンゴムで形成されたブランケットの表面に転写させた後、前記ブランケットの表面から基板の表面に転写させる凹版オフセット印刷法によって、前記基板の表面に印刷すると共に、焼成することで、前記基板上に電極パターンを形成する工程を含むことを特徴とする電極基板の製造方法。
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