JP4462260B2 - 電子部品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スクリーン印刷法を用いた電子部品及びその製造方法に関するものである。
従来の電子部品の製造方法の例として、積層コンデンサの製造方法を以下に説明する。積層コンデンサを作製する際には、まず、キャリアシート上に誘電体ペーストをドクターブレード法等により塗布して、セラミックグリーンシートを形成する。そして、このセラミックグリーンシート上に、内部電極となるべき導電性ペーストを所定パターンで印刷する。さらに、導電性ペーストが印刷されたセラミックグリーンシートをキャリアシートから剥離したものを複数準備し、これらを積層して積層体を得る。その後、この積層体をチップ状に切断して複数個のグリーンチップとする。最後に、個々のグリーンチップを焼成した後、それらに外部電極を形成して、積層コンデンサの作製が完了する。
ここで、セラミックグリーンシートは、ドクターブレード法によってある程度均一な厚さで形成することができるものの、内部電極は、スクリーン印刷法によって形成するため、特開平8−69949号公報等において指摘されているスキージの膨潤により、印刷時に導電性ペーストの厚さが変化してしまう。すなわち、印刷時に、ゴム等で構成されるスキージが導電性ペーストに含まれる有機溶剤によって次第に膨潤し、印刷当初に設定したペースト厚さが次第に変化してしまう。
そのため、このようなペースト厚さの変化に対応するために、従来は、導電性ペーストを印刷する際の設定厚さを、そのバラツキ分だけ厚くすることで、電子部品のショート不良等の不具合を回避していた。
特開平8−69949号公報
以上で説明した積層コンデンサを含む多くの電子部品は、近年の電子機器の軽薄短小化の進行に伴ってより一層の小型化が要求されている。特に、積層コンデンサにおいては、高容量化の観点から、内部電極と誘電体層を双方ともに可能な限り薄くし(薄層化)、且つそれらを可能な限り多く積層する(多層化)ことが求められている。
しかしながら、上述した従来の電子部品の製造方法において、単に導電性ペーストの塗布厚さを薄くした場合には、上述した印刷時のペースト厚さの変化により、厚みばらつき、かすれ、にじみ等の不具合が生じてしまう。これらの不具合は、作製される電子部品の変形、ショート不良、耐電圧不良(IR劣化)、クラック、シート間のデラミネーション等の原因となり、歩留まりが低下してしまう。
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、印刷時におけるペースト厚さの変化が抑えられた電子部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る電子部品の製造方法は、スキージを用いてシート上にペーストをスクリーン印刷する印刷工程を有する電子部品の製造方法であって、印刷工程の前に、スキージを有機溶剤に浸漬して膨潤させる浸漬工程をさらに有する。
この電子部品の製造方法においては、浸漬工程においてスキージを有機溶剤で膨潤させた後、そのスキージを用いた印刷工程においてスクリーン印刷をおこなう。すなわち、印刷の開始時にはスキージがすでに膨潤しているため、印刷時にスキージがさらに膨潤してしまう事態が抑制されている。従って、この電子部品の製造方法によれば、スキージの膨潤が低減されて、印刷時におけるペースト厚さの変化が抑えられる。
また、浸漬工程の際、所定の容器に入った有機溶剤にスキージを浸漬して、スキージを膨潤させる態様でもよい。この場合、有機溶剤を入れる容器を適切に選択することで、所望の膨潤条件でスキージの膨潤をおこなうことができる。
また、スキージの製版と接触する部分が容器の底面と接触しない高さにスキージを保持した状態で、スキージを有機溶剤に浸漬する態様でもよい。この場合、スクリーン印刷の印刷精度に大きく影響するスキージの製版と接触する部分が変形したり欠損したりする事態が回避される。
また、浸漬工程の際、スキージを、印刷工程において使用される傾斜角と同じ角度だけ傾けて有機溶剤に浸漬する態様でもよい。この場合、印刷工程でペーストに浸る部分と同じ部分のスキージが浸漬されるため、印刷工程においても、浸漬工程と同様のスキージの膨潤状態が保たれる。
また、浸漬工程で用いる有機溶剤が、印刷工程で用いるペーストに含まれる有機溶剤と同一である態様でもよい。この場合、浸漬工程で膨潤させたスキージに含まれる有機溶剤が、印刷工程で用いるペーストに混じった場合でも、印刷に悪影響を与えない。
また、浸漬工程として、有機溶剤を含むペーストにスキージを浸漬して、スキージを膨潤させる態様でもよい。この場合、浸漬工程のための有機溶剤を別途準備する必要がなくなる。
また、浸漬工程においてスキージを有機溶剤に12時間以上浸漬する態様でもよい。この場合、スキージが十分に膨潤され、印刷時におけるペースト厚さの変化が高いレベルで抑えられる。
本発明に係る電子部品は、内部電極層と誘電体層とが交互に積層された電子部品であって、有機溶剤に浸漬して膨潤させたスキージを用いて、誘電体層となるべきシート上に、内部電極層となるべきペーストをスクリーン印刷して作製したものである。
この電子部品においては、有機溶剤に浸漬して膨潤させたスキージを用いて、シート上にペーストをスクリーン印刷して作製されているため、印刷時におけるペースト厚さの変化が有意に抑えられており、内部電極層の厚さの均一化が図られている。従って、この電子部品では、内部電極層の厚さのさらなる薄型化を実現することが可能となっている。
本発明によれば、印刷時におけるペースト厚さの変化が抑えられた電子部品及びその製造方法が提供される。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するにあたり最良と思われる形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。本発明の実施形態に係る電子部品として、積層コンデンサを例に説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る積層コンデンサ10の概略断面図を示す。図1に示すように、積層コンデンサ10は、最外層である2層の表層11と、表層11に挟まれた複数層の誘電体層12と、誘電体層12のそれぞれの間に介在する内部電極層14とを有する六面体形状のコンデンサ素体16を備えている。すなわち、コンデンサ素体16は、積層構造を有しており、誘電体層12と内部電極層14とが交互に積層されている。
ここで、表層11及び誘電体層12は、ともにBaTiOを主成分とする層であり、例えば、各表層11の厚さはおよそ50μm、各誘電体層12の厚さはおよそ1〜10μmに設計されている。これら表層11及び誘電体層12は、後述するグリーンシートを焼成して形成される。内部電極層14は、Niを主成分として含有する金属層であり、例えば、その厚さはおよそ1μmである。
コンデンサ素体16の端面のうち、コンデンサ素体16の厚さ方向に延在し、互いに対向する一対の端面16a,16bそれぞれには、その端面16a,16bの全領域を覆うように一対の外部電極18A,18Bが設けられている。各外部電極18A,18Bは、例えば、金属の中でも高い導電性を有するCuを主成分とする多孔質体である。
そして、複数層の内部電極層14は、その積層方向に関し、一方の外部電極18Aと他方の外部電極18Bとに交互に接続されている。つまり、一方の外部電極18Aに接続される内部電極層14を第1の内部電極層14Aとし、他方の外部電極18Bに接続される内部電極層14を第2の内部電極層14Bとすると、コンデンサ素体16は、第1の内部電極層14Aと第2の内部電極層14Bとが誘電体層12を介して交互に積層された構造となっている。そのため、一対の外部電極18A,18B間に所定の電圧を印加した場合には、上下で対向する第1の内部電極層14Aと第2の内部電極層14Bとの間には電荷が蓄えられる。
次に、上述した積層コンデンサ10を作製する方法について説明する。ここで、図2は積層コンデンサ10を作製する手順を示したフロー図である。
積層コンデンサ10を作製するにあたり、まずBaTiO系のグリーンシート20を、以下の手順により準備する。まず、図2のステップ11として、BaTiO粉末と有機バインダ・有機溶剤等とを混合してスラリー化する。そのスラリー化により得られたペーストを、ステップ12として、例えばPETフィルム等のキャリアフィルム上にドクターブレード法を用いてシート成形し、厚さ2μmのグリーンシート20を複数枚作製する。併せて、グリーンシート20よりも厚さの厚い、表層11となるべきグリーンシート21も準備する。
なお、グリーンシート20,21の作製と並行して、内部電極層14となるべき電極ペースト22も準備しておく。この電極ペースト22は、Ni粉(導体粉)を有機バインダ及び有機溶剤に分散させてペースト状にしたものである。有機バインダには、公知のものを利用可能であり、例えばセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、アリール樹脂、アクリル樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アルキド樹脂、ロジンエステル等のバインダを用いることができる。また有機溶剤も、公知のものを利用可能であり、スクリーン印刷による印刷適正を考慮して、例えば、トルエン、ターピネオール、エチルセルロース、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テレピン油、α−テレビネオール、エチルセロソルブ、ブチルフタレート等の溶剤を用いることができる。この電極ペースト22には、共材としてBaTiO粉末が添加されている。BaTiO粉末は、誘電体層12(及びグリーンシート20)の主成分であるBaTiOが同じであるため、電極ペースト22へのBaTiO粉末の添加により、電極ペースト22とグリーンシート20との間における収縮率及び焼結開始温度の相違が有意に緩和される。
そして、図2のステップ13の浸漬工程として、グリーンシート20上に電極ペースト22をスクリーン印刷する印刷工程(ステップ14)の前に、スクリーン印刷に用いるスキージ50の膨潤をおこなう。この浸漬工程では、スキージ50を、印刷工程で用いる上記電極ペースト22に含まれる有機溶剤と同じ有機溶剤58(例えば、ターピネオール)に浸漬して膨潤させる。
スキージ50は、図3に示すように断面長方形のヘラ状ゴム板であり、このスキージ50と金属製の取り付け治具52とでスクリーン印刷機のスキージユニット54が構成されている。そして、浸漬工程は、より具体的には、スキージ50を、容器56の中に高さ20〜30mmの位置まで入れた有機溶剤58に浸漬して、12時間以上膨潤させる。このとき、スキージ50を、後述の印刷工程において使用される傾斜角と同じ角度θ(例えば、15度)だけ鉛直方向から傾けて有機溶剤58に浸漬する。また、印刷工程において製版と接触するスキージ先端ののエッジ部分50aが、容器56の底面56aと接触しないように距離d(例えば、5mm〜10mm)だけ離間させた状態にスキージ50を保持し、その状態でスキージ50を有機溶剤58に浸漬してスキージ50を膨潤させる。すなわち、スキージ50のうち、有機溶剤58に浸漬された部分のスキージ50が部分的に膨潤される。
続いて、図2のステップ14の印刷工程として、グリーンシート20の表面20aに、スクリーン印刷法により所定パターンの電極ペースト22を印刷塗布する。図4は、グリーンシート20の印刷パターンを示した図である。より詳しく説明すると、準備したグリーンシート20のうち、半分のシート(以下、第1のグリーンシートと称す。)20Aには図4(a)に示す第1のペーストパターンPAで電極ペースト22を印刷し、残りの半分のシート(以下、第2のグリーンシートと称す。)20Bには図4(b)に示す第2のペーストパターンPBで電極ペースト22を印刷する。すなわち、第1のペーストパターンPA及び第2のペーストパターンPBはいずれも、同一形状を有する複数の矩形状パターンP(例えば、2.3mm×0.5mm)で構成されており、また、その矩形状パターンPの長手方向及び短手方向のそれぞれの方向に整列配置されたマトリクス状配置パターンとなっている。ただし、第1のペーストパターンPAと第2のペーストパターンPBとは、グリーンシート20A,20Bの対応位置に設けられたマークMを基準に、矩形状パターンPの長手方向に半ピッチだけずれている。なお、図5に示す一点鎖線は、グリーンシート20を、個々の積層コンデンサに対応する矩形片(例えば、1.25mm×0.6mm)に分割切断する際の切断線を示している。
以上で説明したスクリーン印刷について、図5を用いてより詳しく説明する。スクリーン印刷をおこなう際には、図5(a)に示すように、まず、内部電極層のペーストパターンPA,PBと同一パターンの版膜(レジスト)を有するスクリーンメッシュ(製版)60を準備し、これをグリーンシート20と平行になるように所定の間隔を空けて配置する。そして、スクリーンメッシュ60の上方に、上述したスキージユニット54をスキージ50が傾斜角θとなるようにセットし、併せて、電極ペースト22を引き延ばす用ヘラ62をセットする。
そして、図5(b)に示すように、ヘラ62によってスクリーンメッシュ60上の電極ペースト22の塊が略均一に引き延ばされるように、ヘラ62とスキージユニット54とをスクリーンメッシュ60に沿って同方向に移動させる。このとき、スキージユニット54のスキージ50は、印刷時の高さよりも高い位置に保持されており電極ペースト22には触れない。
次に、図5(c)に示すように、スキージユニット54を印刷時の高さまで下げると共に、ヘラ62を電極ペースト22に触れない高さまで上げる。そして、図5(d)に示すように、スキージユニット54のスキージ50によって、スクリーンメッシュ60が上方から加圧されるように、スキージユニット54とヘラ62とをスクリーンメッシュ60に沿って上述した方向とは反対の方向に移動させる。このとき、スキージ50により加圧される部分のスクリーンメッシュ60は、スキージ50の移動に連動して下向きに凸となるように湾曲し、グリーンシート20に接触すると共に、スクリーンメッシュ60上に載った電極ペースト22がスクリーンメッシュ60の版膜のない部分から押し出される。その結果、図5(e)に示すように、所定パターンの電極ペースト22がグリーンシート表面20aに形成される。
次に、図2のステップ15として、第1のグリーンシート20A及び第2のグリーンシート20Bの両方のグリーンシート20に塗布された電極ペースト22を所定条件により乾燥する。電極ペースト22の乾燥条件としては、例えば、乾燥温度60℃〜120℃、乾燥時間10分程度が好適である。
そして、図2のステップ16として、電極ペースト22が乾燥したグリーンシート20を複数枚重ねて、積層体26を形成する。ここで、図6は、積層コンデンサ10を作製する手順を示した工程図である。上記積層体26を形成するには、まず電極ペースト22が上になるようにしてグリーンシート21上に積層し(図6(a)参照)、その後、同様の方法を用いて作製した複数枚のグリーンシート20を、第1のグリーンシート20Aと第2のグリーンシート20Bとが交互に重なるように順次積層する(図6(b)参照)。最後に、積層されたグリーンシート20上に何も塗布されていないグリーンシート21を被せると共に、積層方向からプレスして、隣り合うグリーンシート21、グリーンシート20及び電極ペースト22を互いに圧着させる。以上の手順により、グリーンシート20と電極ペースト22とが交互に積層された積層体26が作製される。
さらに、この積層体26に対して所定の脱バインダ処理をおこなうと共に、1個のコンデンサに対応する矩形片対応領域24(図4の一点鎖線参照)ごとに切断してチップ化する(図6(c)参照)。
その後、図2のステップ17として、チップ化した積層体26を密閉匣鉢(さや)中で例えば、1200℃程度で2時間焼成することにより、グリーンシート21、グリーンシート20及び電極ペースト22はそれぞれ上述した表層11、誘電体層12及び内部電極層14になり、積層体26は誘電体層12と内部電極層14とが交互に積層されたコンデンサ素体16になる。さらに、コンデンサ素体16を水及び研磨媒体を含むバレル内で処理することにより表面研磨をおこなう。なお、この表面研磨は、積層体26の段階でおこなってもよい。
最後に、図2のステップ18として、コンデンサ素体16の端面のうち、積層方向に延在し互いに対向する一対の端面16a,16bを覆うように、外部電極18A,18Bを形成して、積層コンデンサ10が完成する(図6(d)参照)。
以上で説明したとおり、上述した積層コンデンサ10の製造方法においては、内部電極層14となるべき電極ペースト22をスクリーン印刷する際には、その印刷工程(図2のステップ14)に先立ち、スキージ50を有機溶剤58に浸漬して膨潤させる浸漬工程(図2のステップ13)を有する。この浸漬工程において、スキージ50は十分に膨潤した状態となり、その後の印刷工程において膨潤しにくくなる。
このようにスキージ50を予め膨潤させておくことで、スキージ50が乾燥している場合に比べて膨潤しにくい状態になることは、発明者らがおこなった以下のような実験により明らかである。すなわち、発明者らは、浸漬時間に対するスキージ厚さの変化を調べる実験をおこない、図7のグラフに示すような実験結果を得た。図7のグラフの横軸は浸漬時間(hr)であり、縦軸はスキージ50の厚さの変化率ΔT(%)である。なお、本実験のペーストにはNP−9920S2(溶剤:メンタノールプロピオネート90%、ジヒドロターピネオール10%)を用い、スキージにはポリウレタンゴム系スキージ(サイズ:幅40mm×長さ200mm×厚さ9mm)を用いた。
このグラフから明らかなように、スキージ50を有機溶剤に浸漬すると、浸漬時間の経過と共にスキージ50が次第に膨潤していき、浸漬時間が12時間を過ぎたところでスキージ50の膨潤が飽和状態となり、ほとんど膨潤しなくなる。
そのため、印刷工程前の浸漬工程においてスキージ50を予め膨潤させておくことで、印刷工程におけるスキージ50の著しい膨潤が避けられる。その結果、印刷時におけるスキージ50の経時的形状変化が抑えられ、それに伴ってペースト厚さの変化も抑えられる。特に、浸漬工程においてスキージ50を有機溶剤58に12時間以上浸漬しておくことで、スキージ50の膨潤が飽和状態となり、印刷工程におけるスキージ50の膨潤をより効果的に抑制することが可能となる。従って、この場合には、印刷時におけるペースト厚さの変化が高いレベルで抑えられ、印刷工程においてより均一なペースト厚さを実現することができる。
以上で詳細に説明したように、上述した積層コンデンサ10の製造方法においては、浸漬工程(図2のステップ13)においてスキージ50を有機溶剤58で膨潤させた後、そのスキージ50を用いた印刷工程(図2のステップ14)においてスクリーン印刷をおこなう。そのため、印刷の開始時にはスキージ50がすでに膨潤しており、印刷時にスキージ50がさらに膨潤してしまう事態が抑えられている。従って、この積層コンデンサ10の製造方法によれば、スキージ50の膨潤が低減されて印刷時におけるペースト厚さの均一化が図られており、その厚さ変化が抑えられている。なお、このようにして得られた積層コンデンサ10は、印刷時におけるペースト厚さの変化が有意に抑えられており、内部電極層14の厚さの均一化が実現されるため、内部電極層14の厚さのさらなる薄型化を図ることができる。
スクリーン印刷の印刷対象が、上述したグリーンシート20のように厚さ2μm程度の極薄のものの場合、印刷時にスキージ50が次第に膨潤していくと、初期設定の印刷圧力よりも大きな圧力が印刷対象に負荷されるようになる。その結果、印刷対象が破損してしまう事態等が発生することが考えられる。そこで、上述した製造方法により、印刷時におけるスキージ50の膨潤を有意に低減することで、そのような印刷圧力の増加が抑制され、印刷対象へのダメージが効果的に抑えられる。
また、浸漬工程の際、容器56に入った有機溶剤58にスキージ50を浸漬して、スキージ50を膨潤させるため、有機溶剤58を入れる容器56を適切に選択することで、所望の膨潤条件(例えば、浸漬深さやスキージ傾き等)でスキージ50の膨潤をおこなうことができる。
特に、上述した実施形態においては、浸漬工程の際に、スキージ50を、印刷工程において使用される傾斜角と同じ角度θだけ傾けて有機溶剤に浸漬しているため、印刷工程で電極ペースト22に浸る部分と同じ部分のスキージ50が浸漬され、印刷工程においても、浸漬工程と同様のスキージ50の膨潤状態が保たれる。
電極ペースト22が揮発性を有するものである場合、スキージ50の浸漬工程で膨潤させる部分と印刷工程で電極ペースト22に浸る部分とを同じにしておくことが好ましい。スクリーン印刷に用いるペーストが揮発性を有する場合、ペーストの有機溶剤成分の揮発により、予め膨潤させた部分のスキージ50が収縮してしまうことがある。ところが、浸漬工程で膨潤させる部分と印刷工程で電極ペーストに浸る部分とが同じ場合には、そのような揮発によるスキージ50の経時的形状変化についても効果的に抑制され、ペーストの厚さ変化が抑えられる。
さらに、浸漬工程の際、スキージのスクリーンメッシュ60と接触する部分50aが容器56の底面56aと接触しない高さ(エッジ部分50aが底面56aから距離dだけ離れた高さ)にスキージを保持した状態で、スキージを有機溶剤に浸漬するため、スクリーン印刷の印刷精度に大きく影響するエッジ部分(スキージの製版と接触する部分)50aが変形したり欠損したりする事態が有意に回避されている。
なお、浸漬工程で用いる有機溶剤58が、印刷工程で用いる電極ペースト22に含まれる有機溶剤と同一であるため、浸漬工程で膨潤させたスキージ50に含まれる有機溶剤が、印刷工程で用いる電極ペースト22に混じった場合でも、印刷に悪影響を与えない。また、スクリーンメッシュ60からの版離れ性も改善されるため、その結果、製品チップの歩留まりが向上する。
なお、浸漬工程として、有機溶剤58を含む電極ペースト22にスキージ50を浸漬して、スキージ50を膨潤させることも可能である。この場合、電極ペースト22の有機溶剤成分のみがスキージ50に含浸されるため、上述した効果と同様の効果を得ることができる上、印刷工程で用いる電極ペースト22を流用することができるため浸漬工程のための有機溶剤58を別途準備する必要がなくなる点で好適である。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記製造方法を適用する電子部品は、積層コンデンサに限らず、スクリーン印刷を用いるものであれば、例えば、積層型の圧電チップ部品やチップバリスタ部品などの電子部品であってもよい。また、スクリーン印刷の例として、内部電極を形成するための導電性ペーストを印刷する場合についてのみ説明したが、内部電極の余白を埋めるための絶縁性ペーストを印刷する場合にも適用することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る積層コンデンサの概略断面図である。 図2は、図1に示した積層コンデンサを作製する手順を示したフロー図である。 図3は、図2の浸漬工程におけるスキージの状態を示した図である。 図4は、図1に示した積層コンデンサの作製に用いるグリーンシートの印刷パターンを示した図であり、(a)は第1のグリーンシートの印刷パターンを、(b)は第2のグリーンシートの印刷パターンを示した図である。 図5の(a)〜(e)は、図2の印刷工程におけるスクリーン印刷の手順を示した工程図である。 図6の(a)〜(d)は、図1に示した積層コンデンサを作製する手順を示した工程図である。 図7は、浸漬時間に対するスキージ厚さの変化を調べる実験の実験結果を示したグラフである。
符号の説明
10…積層コンデンサ、12…誘電体層、14,14A,14B…内部電極層、18…外部電極、20,20A,20B…グリーンシート、22…電極ペースト、26…積層体、50…スキージ、56…容器、58…有機溶剤、60…スクリーンメッシュ。

Claims (8)

  1. スキージを用いてシート上にペーストをスクリーン印刷する印刷工程を有する電子部品の製造方法であって、前記印刷工程の前に、前記スキージを有機溶剤に浸漬して膨潤させる浸漬工程をさらに有する、電子部品の製造方法。
  2. 前記浸漬工程の際、所定の容器に入った前記有機溶剤に前記スキージを浸漬して、前記スキージを膨潤させる、請求項1に記載の電子部品の製造方法。
  3. 前記スキージの製版と接触する部分が前記容器の底面と接触しない高さに前記スキージを保持した状態で、前記スキージを前記有機溶剤に浸漬する、請求項2に記載の電子部品の製造方法。
  4. 前記浸漬工程の際、前記スキージを、前記印刷工程において使用される傾斜角と同じ角度だけ傾けて前記有機溶剤に浸漬する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
  5. 前記浸漬工程で用いる前記有機溶剤が、前記印刷工程で用いる前記ペーストに含まれる有機溶剤と同一である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
  6. 前記浸漬工程として、前記有機溶剤を含む前記ペーストに前記スキージを浸漬して、前記スキージを膨潤させる、請求項5に記載の電子部品の製造方法。
  7. 前記浸漬工程において前記スキージを前記有機溶剤に12時間以上浸漬する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
  8. 内部電極層と誘電体層とが交互に積層された電子部品であって、
    有機溶剤に浸漬して膨潤させたスキージを用いて、前記誘電体層となるべきシート上に、前記内部電極層となるべきペーストをスクリーン印刷して作製した、電子部品。
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