JP2006351820A - 積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型でも内部電極の有効面積比率が大きくショート不良の少ない積層セラミックコンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】後の工程において切断分離されて個々の内部電極となる帯状パターンの導体層とセラミック生シートとを積層して積層体8を形成し、この積層体8の積層セラミックコンデンサの側面に対応する部分に切断溝を形成し、この切断溝に粉体を含む洗浄液を吹き付けて洗浄した後、切断溝をセラミックペースト11で埋めた後、第2の切断溝12で個片に切断する。この個片を焼成して焼結体を得る。これにより、積層体8の側面に形成されたセラミックペースト11が積層セラミックコンデンサの側面のマージン部分の幅となるためマージン部分の幅を小さくでき、有効面積比率を大きくすることができるとともに、内部電極間の短絡の少ない積層セラミックコンデンサを生産性良く製造することができる。
【選択図】図5
【解決手段】後の工程において切断分離されて個々の内部電極となる帯状パターンの導体層とセラミック生シートとを積層して積層体8を形成し、この積層体8の積層セラミックコンデンサの側面に対応する部分に切断溝を形成し、この切断溝に粉体を含む洗浄液を吹き付けて洗浄した後、切断溝をセラミックペースト11で埋めた後、第2の切断溝12で個片に切断する。この個片を焼成して焼結体を得る。これにより、積層体8の側面に形成されたセラミックペースト11が積層セラミックコンデンサの側面のマージン部分の幅となるためマージン部分の幅を小さくでき、有効面積比率を大きくすることができるとともに、内部電極間の短絡の少ない積層セラミックコンデンサを生産性良く製造することができる。
【選択図】図5
Description
本発明は、各種電子機器に使用される積層セラミックコンデンサの製造方法に関するものである。
近年の携帯電話やパーソナルコンピュータなどの電子機器の小型化にともなってこれらの電子機器に多数使用される積層セラミックコンデンサにおいてはさらに小型化が求められている中で、形状に対する内部電極の重なり面積である有効面積比率は減少傾向にある。最先端の技術では、長さ0.4mmで幅0.2mmの大きさのものが出現してきている。従って、外形に対する内部電極の重なり面積の大きさである有効面積比率はさらに低下し30%以下になってきているため、静電容量の取得効率が低下することが避けられないという課題を有している。
一般に、外部電極を除いた積層セラミックコンデンサは、図6のような構造をしており、誘電体層101を挟んで内部電極102が形成された部分が有効面積部分103であり、内部電極のない部分がマージン部分104である。通常、積層セラミックコンデンサの製造においては、マージン部分104の幅は、積層のずれを考慮して確保する必要があり、積層セラミックコンデンサの大きさに関係なく一定以上の寸法に設計する。したがって、積層セラミックコンデンサが小さくなると外形に対するマージン部分104の幅の比率が大きくなり、有効面積部分103の比率が小さくなり、静電容量の取得効率が低下してしまうものである。
この問題点を解決する積層セラミックコンデンサの製造方法として提案され、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。特許文献1の積層セラミックコンデンサの製造方法は、内部電極となる内部電極用パターンを形成した未焼成のセラミック誘電体層を複数積み重ね、これに内部電極用パターンを切断する位置で少なくとも2本の平行な切込みを形成し、この切込み内にセラミックスラリを充填し、この充填されたセラミックスラリを2分割するように切断し、この分割されたセラミックスラリの部分をマージン部分として形成するものである。
特開昭62−111411号公報
しかしながら、近年は積層セラミックコンデンサの大容量化を図る目的で、セラミック誘電体層がますます薄層化しているため、上記のような製造方法の場合には、切込みを形成した際に、内部電極用パターンの重なり部分を切断することになり、対向する双方の内部電極用パターンが露出し極めて近接するため、内部電極用パターンの切断屑などにより対向する双方が短絡し、積層セラミックコンデンサとした時にショート不良が多く発生するという課題を有していた。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、形状に対する有効面積比率が大きく静電容量の取得効率が高く、ショート不良の少ない積層セラミックコンデンサの製造方法を提供することを目的とするものである。
この目的を達成するために本発明は、上面、下面、相対向する両側面および相対向する両端面を有し複数の誘電体層が積層されてなる直方体状のセラミック焼結体と、このセラミック焼結体の内部に前記誘電体層を挟んで対向するように形成された複数の内部電極と、この内部電極に接続し前記セラミック焼結体の両端面に形成された一対の外部電極を備えた積層セラミックコンデンサの製造方法であって、セラミック成分と有機バインダ成分を含むセラミック生シートを準備する第1の工程と、後の工程において切断分離されて個々の内部電極となる帯状パターンの導体層を形成して準備する第2の工程と、前記セラミック生シートと前記帯状パターンの導体層とを導体層がセラミック生シートを挟んで対向するように複数層積層して積層体を得る第3の工程と、前記積層体の前記セラミック焼結体の側面に対応する部分に切断溝を形成して前記帯状パターンの導体層を分離する第4の工程と、前記切断溝に粉体を含む洗浄液を吹き付けて洗浄する第5の工程と、洗浄した前記切断溝にセラミック成分と有機バインダ成分と溶媒とを含むセラミックペーストを埋め込み乾燥する第6の工程と、その後に前記積層体を所定の形状の個片に切断分離する第7の工程と、前記個片を脱脂、焼成してセラミック焼結体を得る第8の工程と、前記セラミック焼結体の両端面に一対の外部電極を形成する第9の工程とを備えた積層セラミックコンデンサの製造方法であり、これにより、粉体を含んだ洗浄液が対向する導体層の双方が露出した切断溝の側面に残存する切断屑に直接作用するため、切断屑を効率よく取り除くことができ、対向する双方の導体層が短絡し積層セラミックコンデンサとした時にショート不良が多く発生するという問題が解決できるとともに、形状に対する有効面積比率が大きく静電容量の取得効率が高い積層セラミックコンデンサを生産性良く製造することができる。
本発明は、積層体に切断溝を形成した工程の後に、切断溝に粉体を含む洗浄液を吹き付けて洗浄する工程を備えた積層セラミックコンデンサの製造方法であるので、焼結体の側面のマージン部分の幅が小さく、小型で内部電極の有効面積比率が大きく、かつ内部電極間の短絡の少ない積層セラミックコンデンサを生産性良く製造することができる。
以下、本発明の実施の形態における積層セラミックコンデンサの製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における積層方法を示す模式的断面図、図2は本発明の実施の形態1における帯状パターンの導体層の位置関係を示す模式的上面図、図3は本発明の実施の形態1における切断溝を形成した状態を示す模式的斜視図、図4は本発明の実施の形態1におけるセラミックペーストの埋め込み状態を示す模式的斜視図、図5は本発明の実施の形態1における第2の切断状態を示す模式的斜視図である。
図1は本発明の実施の形態1における積層方法を示す模式的断面図、図2は本発明の実施の形態1における帯状パターンの導体層の位置関係を示す模式的上面図、図3は本発明の実施の形態1における切断溝を形成した状態を示す模式的斜視図、図4は本発明の実施の形態1におけるセラミックペーストの埋め込み状態を示す模式的斜視図、図5は本発明の実施の形態1における第2の切断状態を示す模式的斜視図である。
まず、セラミック生シートのセラミック成分としてチタン酸バリウムを主成分とした誘電体粉末を準備した。次いで、この誘電体粉末とポリビニルブチラール樹脂からなる有機バインダ、n−酢酸ブチルからなる溶剤、フタル酸エステル類などの可塑剤の混合物を混合してセラミックスラリーを得た。その後、セラミックスラリーをリップコーター法により成形しセラミック生シート5を作成して準備した。このセラミック生シート5の厚みは2μmであった。
一方、離型処理を施したPETフィルム上に電子ビーム蒸着でニッケルを蒸着してニッケル薄膜を得た。このときのニッケル薄膜の厚みは0.5μmであった。
次に、PETフィルムの表面に、所定のパターンでポリビニルブチラール樹脂及びフタル酸エステル類の可塑剤及びn−酢酸ブチルからなる溶剤の混合物を印刷して樹脂層を形成して準備し、上記ニッケル薄膜と樹脂層が合わさるように60℃10MPaで熱圧着した後、樹脂層を形成したPETフィルムを剥がす事によって樹脂層を形成した部分に貼り合わされたニッケル薄膜を除去して、所定のパターンにニッケル薄膜をパターニングした。このときのニッケル薄膜のパターンは、後の工程において切断分離されて個々の積層セラミックコンデンサの内部電極となる帯状パターンの導体層4であり、一つの帯状パターンの導体層4は、切断分離されて側面方向に100個、端面方向には2個の積層セラミックコンデンサの内部電極となるもので、この帯状パターンの導体層4を端面方向に50個並べて形成して準備した。
次に、図1に示すように、支持体1の上に150℃加熱により発泡して粘着力が無くなる粘着シート2を貼り付け、発泡粘着層の上に70mm角に切断した上記セラミック生シート5を25層重ね下部の無効層3を形成した。さらにその上に上記で準備したニッケル薄膜からなる帯状パターンの導体層4とセラミック生シート5を交互に200層重ねた。さらに、この上にセラミック生シート5を25層重ね上部の無効層7を形成し、積層体8を完成させた。このときニッケル薄膜からなる帯状パターンの導体層4は、図2に示すように、積層セラミックコンデンサの端面方向に1層ごとに交互にずれるように積層し、内部電極となるニッケル薄膜からなる帯状パターンの導体層4が1層おきに積層セラミックコンデンサの端面部分で表面に出るようにした。このとき、セラミック生シート5とニッケル薄膜からなる帯状パターンの導体層4の接着性をあげるために導体層の表裏にポリビニルブチラール樹脂及びフタル酸エステル類などの可塑剤とチタン酸バリウムの微粉末を混合物からなる接着層6を転写して設けた。
次に、上記積層体8の上に厚み50μmの弱粘着性ポリエチレンフィルム9を貼り合わせた。
次に、0.1mm厚みのダイヤモンド回転ブレードを用いて冷却水をかけながら積層体8を帯状パターンの導体層の短辺と平行な方向にポリエチレンフィルム9の上から切断を行って切断溝10を形成し、50℃の乾燥空気流中で乾燥させ、図3に示す状態を得た。このとき、切断ピッチは0.65mmであり、また、ダイヤモンド回転ブレードの先はテーパー加工されており、切断溝10の側面は厚み方向に対して2°傾き、切断溝10の断面は支持体側に比べてポリエチレンフィルム側の方が広い形をしている。一方、精度は悪いがダイヤモンド回転ブレードを若干ぶれさせて切断しても同様の形状の切断溝が得られ、同じ効果が得られる。また、切断溝10の深さは積層体8を支持体1に固定している粘着シート2の発泡粘着層表面で止めている。これは次工程で切断溝10を埋めるセラミックペーストを粘着シート2からはずれやすくするためで、このことを考慮すると発泡粘着層表面の切り込み量は10μm以下であることが望ましい。また、切断溝10の側面の傾き角度は大きい方が次工程で粉体を含んだ洗浄液が直接当たりやすくなるため、切断屑を除去しやすくなるが、大きすぎると有効面積比率が小さくなるため1〜3°程度が望ましい。また、ダイヤモンド回転ブレードにスリットを設けており、切断屑を除去しやすくして切断溝10を形成した。
次に、積層体8にレーザー回折法で測定した平均粒径(D50)が10μmのチタン酸バリウムを水に50wt%分散させた洗浄液を圧力0.15Paで吹き付けた。この時、洗浄液を吹き付ける方向は切断溝10に沿う方向であり、走査方向に垂直から30°後方に傾けた方向から吹き付け、切断溝10に沿った形で走査させた。その後、0.15Paの水流を同じように吹き付け洗浄し、50℃の乾燥空気流中で乾燥させた。
また一方で、セラミック生シートに用いた誘電体粉末とポリビニルブチラール樹脂からなる有機バインダ、α−テルピネオールからなる溶剤、フタル酸エステル類などの可塑剤を混合してセラミックペーストを準備した。このセラミックペーストの粘度は15Pa・sであった。
次に、上記セラミックペースト11を積層体8に形成された切断溝10にゴムスキージを用いて印刷、埋め込みを行い、図4に示す状態を得た。そののち、0.1Paの減圧雰囲気中に5分間放置した後、積層体8表面のポリエチレンフィルム9を除去して、80℃、15分の乾燥を行った。
次に、離型処理を施した厚み35μmのPETフィルムを積層体8の上に載せ、平板油圧プレスにて室温で40MPa、90秒の加圧を行った後、PETフィルムを除去した。
次に、厚み0.05mmのダイヤモンド回転ブレードを用いて冷却水をかけながら積層体8を個片に切断する第2の切断を行い、50℃の乾燥空気流中で乾燥させた。このときの切断位置はセラミックペーストを埋め込んだ切断溝中央部と積層セラミックコンデンサの端面となる位置である。図5に第2の切断における第2の切断溝12の位置を示す。また、積層体8と同時に積層体8を支持体1に固定している粘着シート2の発泡粘着層を20μm切り込んで個片に分離しやすくした。
次に、切断した積層体8を150℃、3分の加熱を行い、粘着シート2の発泡粘着層の接着力をなくして支持体から個片の積層体を分離した。
さらに、上記の個片の積層体を窒素ガス雰囲気中で、最高温度350℃で10時間熱処理して、有機バインダ成分を除去した。次いで、窒素及び水素ガス中で導体層のニッケル薄膜が酸化しないよう酸素濃度を制御しながら、最高温度1200℃で2時間熱処理して焼成し、焼結体を得た。
次に、上記焼結体をバレル研磨して焼結体の両端に内部電極を完全に露出させ、続いて焼結体の両端及び両端側面に銅を主成分とする電極ペーストを塗布した後、800℃の窒素雰囲気中で焼き付けを行って電極を形成し、この上にニッケル及びはんだメッキを施して、本発明の実施の形態1における積層セラミックコンデンサの完成品を作成した。
一方、本発明の効果を確認するため比較として、上記本実施の形態1において行った切断溝10にチタン酸バリウム粉を含んだ洗浄液を吹き付けて洗浄する工程を省き、その他の工程は上記本実施の形態1と全く同様な方法で比較例の積層セラミックコンデンサを作成した。
そして、本実施の形態1における積層セラミックコンデンサと比較例の積層セラミックコンデンサの特性を評価し比較した。その結果を(表1)に示す。なお、(表1)においてショート率は100個測定した中で発生した割合を、静電容量は100個測定した中でショート以外のサンプルの20℃での測定値の平均値を示している。
(表1)に示すように本発明の実施の形態1による積層セラミックコンデンサのショート率に比べて、比較例の積層セラミックコンデンサのショート率は著しく悪いことがわかる。これは、第1の切断の際に切断する導体層の切断屑が切断溝側面に残留し、対向する導体層間を短絡させるためである。すなわち、第1の切断の後、切断溝10にチタン酸バリウム粉を含んだ洗浄液を吹き付ける事により切断溝側面に残留する導体層の切削屑を効果的に除去できたことを示している。
なお、本発明の実施の形態1では洗浄液に含まれる粉体は積層体に残留付着しても焼成時の拡散などによって積層セラミックコンデンサの特性に影響を与えにくいチタン酸バリウムを用いた。同じように積層体に残留付着しても焼成時の拡散などによって積層セラミックコンデンサの特性に影響を与えにくいセラミック粉や樹脂粉を用いても同様の効果が期待できるが、セラミック生シートに用いたセラミック粉と同じ組成のセラミックス粉を用いることが最適である。
また、本発明の実施の形態1では洗浄液に含まれる粉体は平均粒径が10μmのチタン酸バリウム粉を用いたが、粉体の大きさは切断溝側面に付着した切削屑の大きさより大きい方が効果的に除去するエネルギーを与えられるため切削屑の大きさより大きい方が望ましく、少なくとも導体層の厚みより大きいことが望ましい。
また、本発明の実施の形態1では洗浄液を吹き付ける方向は走査方向に垂直から30°後方に傾けた方向から吹き付け、切断溝に沿った形で走査させた。これは洗浄液を切断溝に沿った方向に吹き付け走査することにより切断溝側面に付着する切削屑を効果的に切断溝から排出させることができる。さらに、洗浄液を走査する方向に後方から吹き付けることにより切削屑をより効果的に切断溝から排出させることができる。この吹き付ける傾きは大きい方が切削屑をより効果的に切断溝から排出させることができるが、切削屑に与えるエネルギーは小さくなるため傾ける角度は10〜45°位が望ましい。
また、本発明の実施の形態1では洗浄液を吹き付けた後の水洗浄を洗浄液と同様に走査方向に垂直から30°後方に傾けた方向から吹き付け、切断溝に沿った形で走査させた。これは水を切断溝に沿った方向に吹き付け走査することにより切断溝側面に付着する洗浄液に含まれるセラミック粉を効果的に切断溝から排出させることができる。さらに、水を走査する方向に後方から吹き付けることにより洗浄液に含まれるセラミック粉をより効果的に切断溝から排出させることができる。この吹き付ける傾きは大きい方が切削屑をより効果的に切断溝から排出させることができるが、切削屑に与えるエネルギーは小さくなるため傾ける角度は10〜45°位が望ましい。
なお、上記実施の形態1では、帯状パターンの導体層4としてニッケル薄膜を用いて形成したが、ニッケルペーストを印刷して形成したニッケルペースト膜でも良い。ニッケルペースト膜で形成する場合は、例えば、ニッケル粉末とポリビニルブチラール樹脂からなる有機バインダ、α−テルピネオールからなる溶剤、フタル酸エステル類などの可塑剤を混合して作成したニッケルペーストを離型処理したPETフィルム上に所定のパターンにグラビア印刷機で印刷して、導体層4を形成する。しかしながら、ニッケルペースト膜はニッケル薄膜に比べ粘着性が高くニッケル粉末で形成されているため、導体層4の切削屑が切断溝表面に残りやすく、ニッケル薄膜に比べ対向する導体層間の短絡を招きやすく、脆いニッケル薄膜を用いる方が切削屑が切断溝表面に残りにくく、対向する導体層間の短絡を防ぐことができるので、導体層4としては、ニッケル薄膜を用いることがより好ましい。
また、上記実施の形態1では、テーパー加工した回転ブレードを用い切断溝10の断面を上に開いた台形の形状としている。これは、テーパを付けていないものを用いて切断溝の断面を長方形としたものに比較して、切断溝10の断面を上に開いた台形の形状にすることにより、洗浄液が切削屑に直接働き、導体層の切削屑が切断溝表面に残りにくくし、対向する導体層間の短絡を防ぐことができるようにするためである。
また、上記実施の形態1では、切断溝10を埋めるセラミックペーストは粘度が15MPa・sのものを用いている。これは、セラミックペーストの粘度が小さすぎると切断溝10から流れ出やすくなるため、十分に切断溝10を埋めることができなくなり、逆にセラミックペーストの粘度が大きすぎると切断溝10に入れ込みにくくなるため、切断溝10の下部に隙間ができ十分に切断溝10を埋めることができなくなるためである。そのため、切断溝10を十分に埋めるにはセラミックペーストの粘度は10〜20MPa・s程度が望ましい。
また、上記実施の形態1では、第2の切断溝12の幅を第1の切断の切断溝10の最小幅よりも狭く形成している。すなわち、第2の切断溝12の幅を第1の切断の切断溝10の最小幅よりも狭くすることで、マージンを残すことができ、新たに導体層4の切削屑を発生させないためショートの少ない積層セラミックコンデンサを得ることができる。また、溝の幅の差が積層セラミックコンデンサの側面のマージン部分の幅となるためマージン部分の幅を精度良く小さくでき、有効面積比率の大きい積層セラミックコンデンサを得ることができる。
また、上記実施の形態1では、切断溝10をセラミックペースト11で埋めた後、減圧雰囲気放置し乾燥を経た後、積層体8を積層方向に加圧を行った。加圧することにより、マージンを形成しているセラミックペースト11とセラミック生シート5からなる有効層の接着性が向上すると同時にセラミックペースト11の密度が向上するため、内部欠陥のない積層セラミックコンデンサを得ることができる。
また、上記実施の形態1では、積層体8の上に弱粘着性ポリエチレンフィルム9を貼り合わせて設けている。積層体8にポリエチレンフィルム9を設けることにより、切断溝10の形成時や洗浄液を吹き付けて洗浄する時に積層体8上面が保護され外部欠陥のない積層セラミックコンデンサを得ることができる。なお、上記ではポリエチレンフィルムを用いたが他の樹脂フィルムを用いても効果は同じである。
また、上記実施の形態1では、セラミック生シート5のセラミック成分と切断溝10を埋めるセラミックペースト11のセラミック成分とを同じ組成としている。これにより、焼結の際、セラミックペースト11のセラミック成分が拡散しても有効層を形成しているセラミック生シート5のセラミック成分を劣化させる事がないため安定した特性の積層セラミックコンデンサを得ることができる。
また、上記実施の形態1では、セラミック生シート5の有機バインダ成分と切断溝10を埋めるセラミックペースト11の有機バインダ成分を同じ組成としている。これにより、マージン部分を形成しているセラミックペースト11と有効層を形成しているセラミック生シート5の接着性が向上するため、内部欠陥のない積層セラミックコンデンサを得ることができる。
以上のように本発明の実施の形態1によれば、形状に対する有効面積比率が大きく静電容量の取得効率が高く、ショート不良の少ない積層セラミックコンデンサを生産性良く得ることができる。
本発明にかかる積層セラミックコンデンサの製造方法は、小型にしても有効面積比率の大きい積層体が得られ、焼結体にショートや構造欠陥の発生が無く品質の良い完成品が得られ、生産性の良い製造方法であるので、積層セラミックコンデンサの製造に特に有用である。
1 支持板
2 粘着シート
3 無効層
4 導体層
5 セラミック生シート
6 接着層
7 無効層
8 積層体
9 ポリエチレンフィルム
10 切断溝
11 セラミックペースト
12 第2の切断溝
2 粘着シート
3 無効層
4 導体層
5 セラミック生シート
6 接着層
7 無効層
8 積層体
9 ポリエチレンフィルム
10 切断溝
11 セラミックペースト
12 第2の切断溝
Claims (8)
- 上面、下面、相対向する両側面および相対向する両端面を有し複数の誘電体層が積層されてなる直方体状のセラミック焼結体と、このセラミック焼結体の内部に前記誘電体層を挟んで対向するように形成された複数の内部電極と、この内部電極に接続し前記セラミック焼結体の両端面に形成された一対の外部電極を備えた積層セラミックコンデンサの製造方法であって、セラミック成分と有機バインダ成分を含むセラミック生シートを準備する第1の工程と、後の工程において切断分離されて個々の内部電極となる帯状パターンの導体層を形成して準備する第2の工程と、前記セラミック生シートと前記帯状パターンの導体層とを導体層がセラミック生シートを挟んで対向するように複数層積層して積層体を得る第3の工程と、前記積層体の前記セラミック焼結体の側面に対応する部分に切断溝を形成して前記帯状パターンの導体層を分離する第4の工程と、前記切断溝に粉体を含む洗浄液を吹き付けて洗浄する第5の工程と、洗浄した前記切断溝にセラミック成分と有機バインダ成分と溶媒とを含むセラミックペーストを埋め込み乾燥する第6の工程と、その後に前記積層体を所定の形状の個片に切断分離する第7の工程と、前記個片を脱脂、焼成してセラミック焼結体を得る第8の工程と、前記セラミック焼結体の両端面に一対の外部電極を形成する第9の工程とを備えた積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 第5の工程で用いる洗浄液の粉体は、セラミック生シートのセラミック成分と同じ組成のセラミックス粉を用いる請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 第2の工程で形成する導体層は、金属薄膜を用いて形成する請求項1に記載のセ積層ラミックコンデンサの製造方法。
- 第4の工程で形成する切断溝は、積層体表面の溝の幅が積層体の下面の溝の幅より広くその断面形状を台形とした請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 第6の工程の後に積層体を積層方向に加圧する工程を備えた請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 第3の工程の後に積層体表面に樹脂フィルムを設ける工程を備えた請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 第6の工程で用いるセラミックペーストのセラミック成分は、セラミック生シートのセラミック成分と同じ組成である請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 第6の工程で用いるセラミックペーストの有機バインダ成分は、セラミック生シートの有機バインダ成分と同じ組成である請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
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