JP4483237B2 - 積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、たとえば積層セラミックコンデンサのような積層セラミック電子部品の製造方法に関するもので、特に、セラミック層の一層の薄層化を図り得るようにするための改良に関するものである。
この発明にとって興味ある従来技術として、次のような積層セラミックコンデンサの製造方法がある(たとえば、特許文献1参照)。
まず、誘電体セラミック粉末およびバインダを含むセラミックスラリーを用意し、このセラミックスラリーをシート状に成形することによって、セラミックグリーンシートを得る。次に、セラミックグリーンシート上に、バインダ含有溶液を塗布することによって、バインダ層を形成する。次に、バインダ層上に、導電性金属粉末を含むスラリーを用いて、所定のパターンを有する内部電極層を形成する。その後、上述のように内部電極層およびバインダ層が形成されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層することによって得られた積層体を、積層方向にプレスし、次いで、焼成する。そして、焼成後の積層体の外表面上に外部電極を形成する。
特開平11−176692号公報
上述した積層セラミックコンデンサの製造方法において、セラミックグリーンシートが薄くなると、バインダ含有溶液を塗布した際、セラミックグリーンシートに含まれるバインダの溶解・膨潤によるセラミックグリーンシートのダメージが無視できなくなり、得られた積層セラミックコンデンサにおいて、ショート不良の原因となることがある。
また、セラミックグリーンシートの厚みに対するバインダ層の厚みは、脱脂性などを考慮すると、薄くしなければならない。しかしながら、バインダ含有溶液の塗布方法を工夫することによってバインダ層を薄層化するには限界があり、バインダ層の薄層化のためには、バインダ含有溶液中の溶媒量を増やして、その濃度を低くせざるを得ない。その結果、バインダ含有溶液によって形成されたバインダ層の乾燥に長時間必要とすることになり、このことは、セラミックグリーンシートのダメージをより深刻にする原因となる。
これらのことから、セラミックグリーンシートを薄くすることには、限界がある。
また、前述したように、バインダ含有溶液の濃度を低くして、バインダ層の薄層化を図ったとしても、このバインダ層は、圧着後の積層体において、多かれ少なかれ残る。バインダ層は、その後に実施される脱脂および焼成工程において、熱分解され消失することになるが、このようなバインダ層の消失は、焼成後の積層体において、デラミネーションを招く原因となることがある。
上述した問題は、積層セラミックコンデンサを製造する場合に限らず、内部導体を介在させた状態で複数のセラミック層が積層された構造を有する、他の積層セラミック電子部品を製造する場合にも遭遇する。
そこで、この発明の目的は、上述のような問題を解決し得る、積層セラミック電子部品の製造方法を提供しようとすることである。
この発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法は、上述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
まず、セラミック粒子およびバインダ成分を含む、セラミックスラリーが用意される。ここで、セラミックスラリーとしては、乾燥後において、ピグメント・ボリューム・コンテント(PVC)が80%以上となるものが用意される。PVCは、一般的には、固形分中に占める粒子(ピグメント)の体積割合を表すものと定義されるが、ここでは、{セラミック粒子/(セラミック粒子+固形のバインダ成分)}×100[体積%]の式で求められる値である。
上述のセラミックスラリーは、基材上でシート状に成形され、それによって、セラミックグリーンシートが得られる。
次に、セラミックグリーンシート上に樹脂溶液を塗布することによって、樹脂層が形成される。
次に、樹脂層上に内部導体となる金属層が形成される。
次に、上述したセラミックグリーンシート、樹脂層および金属層からなる複数の複合シートが、基材から剥離されながら積層され、それによって、積層体が得られる。
次に、積層体は、積層方向に熱プレスされる。
次に、積層体は焼成される。
上述のような工程を経て、積層セラミック電子部品が製造される。
この発明は、上述したセラミックグリーンシートを得る工程において、セラミックグリーンシートの厚みが、焼成工程の後において1.5μm以下となるようにされるとき、特に大きな効果を得ることができる。
また、この発明において、セラミックスラリーのピグメント・ボリューム・コンテントは90%以上であることが好ましい。
また、金属層を形成する工程が薄膜形成法によって実施されるとき、この発明による効果を特に顕著なものとすることができる。
また、セラミックスラリーに含まれるバインダ成分および樹脂溶液に含まれる樹脂成分は、ポリビニルブチラールを含むことが好ましい。
この発明は、特に、積層セラミックコンデンサを製造する場合において有利に適用される。この場合には、前述した積層体は、積層セラミックコンデンサのための積層体であり、この積層体の外表面上に、内部導体に電気的に接続される外部電極を形成する工程がさらに実施される。
この発明によれば、積層セラミック電子部品を製造するため、乾燥後において、PVCが80%以上となるセラミックスラリーが用意され、このセラミックスラリーをシート状に成形することによって得られたセラミックグリーンシートが用いられる。したがって、セラミックグリーンシートにおいて、バインダ成分が少なく、セラミック粒子が密に詰まった状態とすることができ、積層セラミック電子部品において、セラミック層の薄層化、ショート不良の低減、静電容量等の電気的特性のばらつきの低減および信頼性の向上を図ることができる。
また、この発明によれば、上述のセラミックグリーンシート上に樹脂溶液を塗布することによって、樹脂層が形成され、その上に内部導体となる金属層を形成することが行なわれる。したがって、金属層は、平滑な樹脂層上に形成されることになるので、金属層によって与えられる内部導体のカバレッジを高く維持しながら内部導体の薄層化を図ることができる。
また、上述のように、バインダ成分が比較的少ないセラミックグリーンシートでは、セラミック粒子同士が凝集力により結合しているため、その上に、樹脂溶液からなる樹脂層を形成しても、樹脂溶液に含まれる溶媒によりセラミックグリーンシートがダメージを受けにくくすることができる。したがって、得られた積層セラミック電子部品において、ショート不良を生じさせにくくすることができるとともに、信頼性を向上させることができる。このような効果は、用いられるセラミックスラリーのPVCが90%以上とされたとき、より確実にかつより顕著に達成されることができる。
また、この発明によれば、セラミックグリーンシートおよび樹脂層からなる複数の複合シートを積層することによって、積層体が作製され、この積層体は、次いで、積層方向に熱プレスされる。したがって、この熱プレスの結果、樹脂層を構成する樹脂が、セラミックグリーンシートにおけるセラミック粒子間に有利に吸収される。そのため、次の焼成工程において、樹脂層に由来する空隙が原因となるデラミネーションを生じさせにくくすることができる。
この発明において、セラミックグリーンシートの厚みが、焼成工程の後において1.5μm以下となるように薄層化されるとき、特に、この発明による効果がより顕著に発揮される。セラミックグリーンシートの厚みが、焼成工程の後において1.5μm以下となるように薄層化されるに従って、シートアタックによるショート不良が生じやすくなるためである。
また、この発明によれば、セラミックグリーンシート上に樹脂層が形成されることにより表面を平滑にすることができるので、金属層を形成するため、薄膜形成法を有利に適用することができる。このように、金属層が薄膜形成法によって形成されると、金属層によって与えられる内部導体の薄層化を図ることが容易になるとともに、このように薄層化が図られても、内部導体のカバレッジを高く維持することができる。
また、この発明において、セラミックスラリーに含まれるバインダ成分および樹脂溶液に含まれる樹脂成分が、ともに、ポリビニルブチラールを主成分とすると、積層体の熱プレス工程において、樹脂層を構成する樹脂を、セラミックグリーンシートにおけるセラミック粒子間に円滑に吸収させることができる。
以上のような効果は、セラミック層の薄層化および多層化が要求されている積層セラミックコンデンサを製造する場合において、特に顕著に発揮される。
図1は、この発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法の一実施形態を実施することによって得られた積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図である。
積層セラミックコンデンサ1は、積層体2を備え、積層体2は、積層された複数のセラミック層3ならびにセラミック層3間の特定の界面に沿って形成される内部導体としての内部電極4および5を備えている。
積層体2の外表面上であって、その相対向する端面上には、それぞれ、外部電極6および7が形成されている。上述の内部電極4は外部電極6に電気的に接続され、内部電極5は外部電極7に電気的に接続され、これら内部電極4と内部電極5とは、積層体2の積層方向に関して交互に配置されている。
このような積層セラミックコンデンサ1を製造するため、次のような工程が実施される。
まず、セラミック層3となる誘電体セラミックの原料粉末としてのセラミック粒子およびバインダ成分を含む、セラミックスラリーが用意される。このセラミックスラリーとしては、乾燥後において、ピグメント・ボリューム・コンテント(以下、「PVC」と言う。)が80%以上となるものが用意される。
次に、上述のセラミックスラリーは、図2に示すように、たとえばポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材11上でシート状に成形され、それによって、セラミックグリーンシート12が作製される。図2において、前述のセラミックスラリーに含まれていた、すなわち、セラミックグリーンシート12に含まれているセラミック粒子13が図解的に図示されている。
上述のように、PVCが高い、すなわちバインダ成分の少ないセラミックスラリーからセラミックグリーンシート12を成形することによって、セラミックグリーンシート12において、セラミック粒子13が密に詰まった状態とすることができ、セラミック層3の薄層化、ショート不良の低減、容量ばらつきの低減および信頼性の向上が可能になる。
セラミックグリーンシート12の厚みは、これが薄いほど、この発明による効果が大きく、そのため、後述する焼成工程の後の状態において、すなわち図1に示したセラミック層3の状態において、厚みは、好ましくは、1.5μm以下となるようにされ、より好ましくは、1μm以下となるようにされる。
次に、同じく図2に示すように、セラミックグリーンシート12上に樹脂溶液14を塗布し乾燥させることによって、樹脂層15が形成され、これらセラミックグリーンシート12および樹脂層15からなる複合シート16が得られる。樹脂溶液14の塗布には、たとえば、図2に示すようなアプリケータ17が用いられ、このアプリケータ17とセラミックグリーンシート12とを、セラミックグリーンシート12の主面方向に相対的に移動させることによって、樹脂層15が形成される。樹脂層15の厚みは、たとえば0.2〜0.3μm程度とされる。
上述のように、セラミックグリーンシート12の表面に樹脂層15を形成することにより、セラミック粒子13の粒子径や粒子形状に起因するセラミックグリーンシート12の表面の細かな凹凸をなくすことができ、これによって、ショート不良の低減、図1に示した内部電極4および5のカバレッジの向上および信頼性の向上が可能になる。
なお、従来のように、バインダ成分を比較的多く含むセラミックグリーンシート上に樹脂溶液を塗布した場合、シートアタックなどによるセラミックグリーンシートのダメージが、焼成後の厚みで1.5μm以下と薄層化されるに従ってより顕著となり、ショート不良が多発することになる。これに対して、この発明のように、バインダ成分が比較的少ないセラミックグリーンシート12では、セラミック粒子13同士が凝集力により結合しているため、樹脂溶液14に含まれる溶媒によりダメージを受けにくくすることができ、したがって、ショート不良を効果的に低減することができる。この点において、セラミックグリーンシート12の前述したPVCはより高い方が好ましく、このPVCは、より好ましくは、90%以上となるようにされる。
樹脂溶液14に含まれる樹脂成分は、セラミックグリーンシート12すなわちセラミックスラリーに含まれるバインダ成分と同種のものであることが好ましい。セラミックスラリーに含まれるバインダ成分としては、通常、ポリビニルブチラールが用いられるので、樹脂溶液14に含まれる樹脂成分としても、ポリビニルブチラールが用いられることが好ましい。
次に、図3に示すように、樹脂層15上に内部電極4および5となる金属層18が所望のパターンをもって形成される。金属層18の形成方法としては、導電性ペーストの印刷や、たとえば真空成膜(蒸着、スパッタリング等)またはめっきのような薄膜形成法による金属膜の成膜などを適用することができるが、薄膜形成法を適用すれば、この発明による効果を特に顕著なものとすることができる。
すなわち、薄膜形成法によって金属層18を形成する場合、金属層18を形成すべき表面の凹凸の影響を大きく受けることになるが、この発明では、セラミックグリーンシート12上に樹脂層15が形成されることにより表面が平滑になり、この平滑な面上に薄膜形成法を適用して金属層18を形成することができるからである。このことから、金属層18をもって与えられる図1に示した内部電極4および5の薄層化を図ることが可能となるとともに、内部電極4および5のカバレッジを高く維持することが可能となる。
次に、図4(1)に示すように、セラミックグリーンシート12および樹脂層15からなる複数の複合シート16を、基材11から剥離しながら積層することによって、生の状態の積層体19が作製される。
次に、生の積層体19は、その積層方向に熱プレスされる。この熱プレス後の状態が図4(2)に示されている。図4(2)に示すように、熱プレス工程の結果、樹脂層15を構成する樹脂20が、セラミックグリーンシート12におけるセラミック粒子13間に有利に吸収される。このことは、後述する焼成工程の結果生じ得るデラミネーションの低減に寄与する。
前述したように、セラミックスラリーすなわちセラミックグリーンシート12に含まれるバインダ成分および樹脂溶液14に含まれる樹脂成分が、ともに、ポリビニルブチラールを含んでいると、上述の熱プレス工程において、樹脂層15を構成する樹脂20を、セラミックグリーンシート12におけるセラミック粒子間に円滑に吸収させることができる。
なお、セラミックグリーンシートのPVCが80%未満というように、セラミックグリーンシートがバインダ成分を比較的多く含む場合には、セラミックグリーンシートが薄層化されると、上述した樹脂を十分に吸収しきれず、そのため、熱プレス工程の後においても、樹脂層として残り、焼成工程の結果、樹脂層に由来する空隙が形成され、デラミネーションを生じさせる原因となることがある。
次に、生の積層体19は、必要に応じて、カットされ、脱脂工程を経た後、焼成される。それによって、図4(3)に示すような焼結後の積層体2が得られる。この積層体2は、図1に示した積層体2に相当する。図4(3)には図示されないが、前述した金属層18は、焼結後の積層体2において、内部電極4および5を形成するように存在している。
次に、図1に示すように、積層体2の外表面上に、内部電極4および5にそれぞれ電気的に接続される外部電極6および7が形成され、それによって、積層セラミックコンデンサ1が完成される。
次に、この発明による効果を確認するために実施した実験例について説明する。
この実験例では、積層セラミックコンデンサを作製し、特に断らない限り、上述した製造方法を基本的に適用した。
1.セラミックグリーンシートの作製
セラミック粒子としての粒径200nmのCa変性BaTiO3 粉末とトルエンとエタノールとバインダ成分としてのポリビニルブチラールとを混合し、セラミックスラリーを得た。ここで、セラミックスラリーとして、その乾燥後のPVCが、表1の「PVC」の欄に示す値となるものをそれぞれ作製した。
次に、各試料に係るセラミックスラリーをシート状に成形し、表1の「シート厚み」の欄に示すような厚みとなるセラミックグリーンシートを作製した。これら「シート厚み」は、焼成後において、表1の「焼成後厚み」の欄に示す厚みとなるものである。
2.樹脂層の形成
次に、セラミックグリーンシート上に、樹脂溶液としてのポリビニルブチラールのトルエン溶液(2重量%)を塗布し、樹脂層を形成した。この樹脂層は、表1の「樹脂層厚み」の欄に示す厚みとした。なお、試料7については、樹脂層を形成しなかった。
3.金属層の形成
次に、試料1〜6については、樹脂層上に金属層を形成し、試料7については、セラミックグリーンシート上に金属層を形成した。ここで、表1の「金属層」の欄に示すように、試料1、2および4については、蒸着により金属層を0.3μmの厚みをもって形成した。他方、試料3および5〜7については、導電性ペーストをスクリーン印刷することによって、金属層を形成した。
4.積層セラミックコンデンサの完成
次に、金属層が形成された、セラミックグリーンシートおよび樹脂層からなる複数の複合シート、または複数のセラミックグリーンシートを積層し、得られた積層体を積層方向に熱プレスし、積層体をカットした後、脱脂工程を経て、1100℃の温度で焼成工程を実施した。そして、焼結後の積層体の外表面上に外部電極を形成し、各試料に係る積層セラミックコンデンサを得た。
Figure 0004483237
上述のように得られた各試料に係る積層セラミックコンデンサについて、「ショート不良」および「デラミネーション」を、その発生率によって評価するとともに、試料1〜4および7については、さらに、「電極厚み」および「カバレッジ」を評価した。
表1において、試料1〜4がこの発明の範囲内のものであり、試料5〜7がこの発明の範囲外のものである。
表1からわかるように、この発明の範囲内にある試料1〜4によれば、「ショート不良」が低減されている。
これは、セラミックグリーンシート中のバインダが少なく、セラミック粒子の間隔が狭いため、セラミック粒子同士が凝集により結合した構造となっており、樹脂溶液により(なお、試料3では、樹脂溶液および金属層を構成する導電性ペーストにより)、セラミックグリーンシート中のバインダが膨潤または溶解しても、セラミック粒子が移動するなど、セラミックグリーンシートがダメージを受けることがないためである。
また、試料1〜4では、バインダ成分の少ないセラミックスラリーからセラミックグリーンシートを成形しているため、緻密で平滑なセラミックグリーンシートが得られ、脱脂後のセラミックグリーンシートの厚みのばらつきやセラミック粒子の欠落部が少ないことも作用している。特に試料3にあっては、セラミックグリーンシートの表面に、導電性ペーストまたはそこに含まれる溶媒のしみ込む空隙がほとんどないため、このような導電性ペーストによるセラミックグリーンシートのダメージが生じにくい。
また、この発明の範囲内にある試料1〜4によれば、「デラミネーション」が低減されている。
これは、セラミックグリーンシート中のバインダ成分が少ないために、セラミック粒子間がバインダによって満たされておらず、隙間があり、したがって、樹脂層を構成する樹脂が、熱プレス工程において、セラミックグリーンシートのセラミック粒子間に浸透するからである。その結果、熱プレス工程を終えたとき、隣り合うセラミックグリーンシート相互間およびセラミックグリーンシートと金属層との間には樹脂層が実質的に存在せず、隣り合うセラミックグリーンシート間の界面を確認できない程度にまで一体化させることができ、脱脂後においては、樹脂層に起因する層状の空隙が形成されず、デラミネーションを生じさせにくくしているのである。
なお、この発明の範囲内にある試料1および4では、「シート厚み」が0.8μm(「焼成後厚み」が0.7μm)というように薄層化されている。この場合、試料4では、「ショート不良」が増える傾向にあるが、試料1のように、「PVC」を90%と高くすることにより、薄層化されても、「ショート不良」を生じさせにくくすることができる。
これらに対して、この発明の範囲外にある試料5および6では、セラミックグリーンシート中のバインダ成分が多いため、樹脂層を形成すると、「ショート不良」や「デラミネーション」が生じやすいことがわかる。特に、セラミックグリーンシートの厚みが薄い試料6では、「ショート不良」が多発している。
また、この発明の範囲内にある試料1〜4によれば、「電極厚み」を薄くかつ「カバレッジ」を向上させることができる。これは、平滑な樹脂層上に金属層を形成しているため、セラミックグリーンシートの表面の凹凸に起因する厚みのばらつきを低減できるからである。
特に、試料1、2および4では、蒸着により金属層を形成しているため、導電性ペーストを用いた場合に見られる焼成収縮も生じない。そのため、焼成後において、「電極厚み」を0.4μmと薄くすることができ、また、このように「電極厚み」が薄くなっても、79%以上の「カバレッジ」を達成することができる。
他方、金属層の形成のために導電性ペーストを用いた試料3であっても、平滑な樹脂層上に金属層を形成しているため、セラミックグリーンシートの表面の凹凸に起因する厚みのばらつきやうねりを低減することができる。その結果、樹脂層を形成していないセラミックグリーンシートを用いかつ同じ「電極厚み」を与える試料7に比べて、「カバレッジ」を59%から72%にまで向上させることができる。
なお、上述のように、試料7では、樹脂層を設けていないため、「カバレッジ」が劣るが、試料5および6のように、「PVC」が80%未満の66%であれば、樹脂層を設けたとしても、「ショート不良」や「デラミネーション」が多発することは前述したとおりである。
以上、この発明を積層セラミックコンデンサを製造する実施形態に関連して説明したが、積層セラミックコンデンサに限らず、内部電極のような内部導体を介在させた状態で複数のセラミック層が積層された構造を有する、他の積層セラミック電子部品を製造する場合にも、この発明を適用することができる。
また、上述した実施形態では、積層セラミック電子部品のための積層体を構成するすべてのセラミックグリーンシートについて、PVCが80%以上となるものを用い、すべてのセラミックグリーンシートに樹脂層を形成したが、金属層を形成しないセラミックグリーンシートについては、樹脂層を形成せず、また、PVCが80%未満であってもよく、このような実施態様もこの発明の範囲内のものである。しかしながら、すべてのセラミックグリーンシートについて、PVCが80%以上となるものを用い、すべてのセラミックグリーンシートに樹脂層を形成する方が、セラミックグリーンシートの取扱いが容易になり、かつ焼成時の挙動を一致させることができるという利点を期待することができる。
この発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法の一実施形態を実施することによって得られた積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図である。 図1に示した積層セラミックコンデンサ1を製造するために実施される、セラミックグリーンシート12上に樹脂溶液14を塗布することによって、樹脂層15を形成する工程を図解的に示す断面図である。 図2に示した工程の後に実施される、樹脂層15上に内部電極4および5となる金属層18を形成する工程を図解的に示す断面図である。 図3に示した工程の後に実施される、生の状態の積層体19を得る工程、熱プレスする工程および焼成する工程を順次図解的に示す断面図である。
符号の説明
1 積層セラミックコンデンサ
2 積層体
3 セラミック層
4,5 内部電極
6,7 外部電極
11 基材
12 セラミックグリーンシート
13 セラミック粒子
14 樹脂溶液
15 樹脂層
16 複合シート
18 金属層
19 生の積層体
20 樹脂

Claims (6)

  1. セラミック粒子およびバインダ成分を含み、乾燥後において、{セラミック粒子/(セラミック粒子+固形のバインダ成分)}×100[体積%]の式で求められるピグメント・ボリューム・コンテント(PVC)が80%以上となる、セラミックスラリーを用意する工程と、
    前記セラミックスラリーを基材上でシート状に成形することによって、セラミックグリーンシートを得る工程と、
    前記セラミックグリーンシート上に樹脂溶液を塗布することによって、樹脂層を形成する工程と、
    前記樹脂層上に内部導体となる金属層を形成する工程と、
    前記セラミックグリーンシート、前記樹脂層および前記金属層からなる複数の複合シートを、前記基材から剥離しながら積層することによって、積層体を得る工程と、
    前記積層体を積層方向に熱プレスする工程と、
    次いで、前記積層体を焼成する工程と
    を備える、積層セラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記セラミックグリーンシートを得る工程において、前記セラミックグリーンシートの厚みは、前記焼成工程の後において1.5μm以下となるようにされる、請求項1に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記セラミックスラリーの前記ピグメント・ボリューム・コンテントは90%以上である、請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  4. 前記金属層を形成する工程は、薄膜形成法によって実施される、請求項1ないし3のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  5. 前記セラミックスラリーに含まれる前記バインダ成分および前記樹脂溶液に含まれる樹脂成分は、ポリビニルブチラールを含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  6. 前記積層体は、積層セラミックコンデンサのための積層体であり、前記積層体の外表面上に、前記内部導体に電気的に接続される外部電極を形成する工程をさらに備える、請求項1ないし5のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
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