JP7248891B2 - 表面処理金属部材の製造方法 - Google Patents
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具体的には、表面にめっき金属が被覆された表面処理鋼板を素材とし、この素材から本発明の製造方法によりL型の軽山形鋼,C型の軽溝形鋼や溶接軽量H形鋼といった形鋼を製造することによって、形鋼の端面には、その板厚の70%以上にわたってめっき金属が回り込んだ形鋼が得られ、その形鋼は端面に吹き付け塗装等の工程を行わなくても、腐食による赤錆が発生しない形鋼となる。
また、以下においては、表面処理金属板の一例として表面にめっき金属が被覆された表面処理鋼板を取り上げ、また表面処理金属部材の一例として形鋼を取り上げて説明する。
このZn‐Al‐Mg系めっき鋼板の素地鋼板は、特に限定されず、例えば低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼及び合金鋼等を素地鋼板として使用することが可能である。また、Zn‐Al‐Mg系めっき鋼板をプレス成形して使用する場合には、低炭素Ti添加鋼、低炭素Nb添加鋼等の絞り加工性に優れる素地鋼板を用いることが好ましい。
本発明の対象となる表面処理金属板は、素地が鋼板でありめっき金属にZnを含む場合にはZnの鋼板に対する犠牲防食作用が働き、めっき金属により表面処理鋼板の切断端面に対して防錆性や耐食性が発揮される。
まず、第1工程について、図1~図3を参照して説明する。ここでは、説明を簡単にするため、一対の回転刃について説明するが、実際には、1つの回転軸に複数対の回転刃が配置されて行われる。
図1(a)のX-Xの位置における鋼板100は、回転刃1で押圧されていない切断前の状態である。X-X断面を図1(b)に示す。
勾配の角度θは、3度以上20度以下の場合、即ち、勾配が5%以上36%以下の場合に、めっき金属の回り込み量の増加が得られる。角度θが20度を超えてもめっき金属の回り込み量の増加が得られるが、切断された鋼板100の表裏で幅の寸法差が大きくなる。また、角度θが大きくなると、切断に要する設備の負荷が大きくなるだけでなく、回転刃と接触する箇所が板厚方向に潰されながら切断されるため、切断箇所が長手方向に大きく伸びる。その結果、ねじれや反りが発生してしまう。また、角度θが3度未満の場合、めっき金属の回り込み量が少ないだけでなく、回り込んだめっきの厚みも薄くなる。よって、めっき金属の回り込み量を増加させ、かつ鋼板100の端面の形状が良好であるためには、角度θが3度以上20度以下(勾配が5%以上36%以下)である場合が好ましく、さらに、切断された鋼板100の表裏で幅の寸法差を小さくするためには角度θが5度以上10度以下(勾配が9%以上18%以下)である場合がより好ましい。
第2工程を経た後に製品を使用するときに問題となるような大きなカエリを存在させない観点から、回転刃1の角部30の曲率半径は、0.7mm以下であることが好ましく、従来の製品と同等以下のカエリに抑える観点からは0.5mm以下であることがより好ましい。
第2工程は、第1工程において切断された表面処理金属板を、さらに加工して形鋼に成形する場合において、第1工程と成形工程との間に行うことができる。
第2工程は、例えば、図8に示すように、第1工程により切断された表面処理鋼板100の幅方向の端部を、回転する一対のガイドロール3により板厚方向に挟み込みつつ搬送する搬送工程として行える。
一対の搬送ロール4は、それぞれ、表面処理鋼板100の2つの板面(上面及び仮面)に対向するように所定の隙間をあけて配置され、第1工程で切断された表面処理鋼板100を板厚方向に挟み込む。この状態で搬送ロール4が回転することで、表面処理鋼板100は、板厚方向に押圧された状態で搬送される。これにより、第1工程において切断された部分にカエリが形成されたとしても、このカエリは潰されて小さくなる。
(表面処理鋼板および第1工程)
表面処理鋼板100として板厚が2.3mm、3.2mm、4.5mmで、表面処理鋼板の切断面側のめっき付着量が90g/m2、190g/m2、350g/m2であるZn-6質量%Al-3質量%Mg合金めっき鋼板を用いた。回転刃1として、直径が最も大きい箇所でφ160mmである上下の回転刃を用い、幅250mm長さ3000mmの表面処理鋼板を、幅190mmへ切断加工した。
端面に回り込んだめっき金属評価は、断面観察により、せん断面にめっき金属が回り込んだ領域とダレの領域を測定し、切断された鋼板の厚みに対するめっき金属の回り込み長さとダレの長さを合計した比率を、めっき金属の回り込み率(%)=(ダレの領域の長さ+せん断面にめっき金属が回りこんだ領域の長さ)/板厚×100として評価した。
(端面のカエリの評価)
また、端面のカエリは、切断した表面処理鋼板の一部を切り出してエポキシ樹脂に埋め込み、埋め込んだ表面処理鋼板の断面を観察してカエリの長さを求めた。
(暴露試験の評価)
暴露は海岸から500mほど離れた3階建ての建物の屋上で1ヶ月間実施し、評価は試験体より3m離れて目視にて行った。評価は赤錆が明確に判断できれば×、赤錆が判断できない場合は○とした。
実施例1~11における切断端面のめっき金属の回り込み率は、回転刃1の勾配の角度θが5度、クリアランスCが1.6%または5.0%において、いずれも70%以上となることが確認できた。
また、屋外暴露試験の結果は、めっき金属の回り込み率に応じた結果となった。めっき金属の回り込み率が32~65%の比較例1~4は、切断加工された端面に赤錆が確認された。しかし、実施例1~11では、いずれも切断加工された端面には赤錆は確認されなかった。
次に、表1に示した実施例5~8の表面処理鋼板について、第2工程を行った。
第1加工工程により切断加工された表面処理鋼板を、直径がφ100mm、高さが50mmの円筒の円周面に、高さ方向で25mmの位置を中心とした60度のV型で肩幅が6mm同一断面の溝を設けた一対のガイドロール(図8参照)で挟み、表面処理鋼板の幅方向の端部を板厚方向に押圧した。一対のガイドロール間の距離(ガイドロールの溝における表面処理鋼板の端部の角部と接触する部分における一対のガイドロール間の距離)は、表面処理鋼板の幅190mmよりも若干短い189.8mmとし、一対のガイドロールの間に表面処理鋼板を通過させた。結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例5~8におけるめっき金属の回り込み率は76%以上となることが確認できた。また、屋外暴露試験の結果についても、実施例5~8では、切断加工された端面には赤錆は確認されなかった。
角部の曲率半径が0.3mmと0.5mmの実施例5~7では、切断加工された端面は、第2工程によって比較例である従来技術と同等の高さまで、カエリが潰されていることが確認できた。一方、曲率半径が0.7mmの実施例8では、切断加工された端面は、第2工程によっても、比較例である従来技術に比べて、若干大きなカエリが残存することが確認された。
次に、表1に示した実施例1~11と比較例1~4の表面処理鋼板を素材として、全20段のロール成形機により断面がC型である軽溝形鋼を製造した。具体的には、図10(A)に示す、高さH1が50mm、幅W1が100mmのC型の軽溝形鋼とした。
軽溝形鋼の端面の錆の発生を評価した結果は表1に合わせて示しており、めっき金属の回り込み率に応じた結果となった。めっき金属の回り込み率が約65%以下の比較例1~4では、赤錆が確認された。しかし、めっき金属の回り込み率が約70%以上の実施例1~11では、赤錆は確認されなかった。
素材として用いた表面処理鋼板は、表1の実施例5の表面処理鋼板と同じものを用いた。すなわち、板厚が3.2mm、表面処理鋼板の切断面側のめっき付着量が190g/m2であるZn-6質量%Al-3質量%Mg合金めっき鋼板である。
具体的には、一般的な角部が直角の、つまり、勾配を有さない回転刃により切断加工を行ったものである。
2 回転軸
3 ガイドロール
4 搬送ロール
10 勾配面
20 外周面
30 角部
100 表面処理鋼板
102 フランジ
103 ウェブ
Claims (5)
- 表面及び裏面がめっき金属で被覆された表面処理金属板を素材とする表面処理金属部材を製造する方法であって、
前記表面処理金属板を一対の円盤状の回転刃の間に通してせん断力により切断する第1工程と、
前記第1工程で切断した前記表面処理金属板における少なくとも切断部分を板厚方向に挟み込む第2工程と、を備え、
前記一対の回転刃は、回転軸方向について互いに対向する側の面及び外周面を備え、
前記対向する側の面は、前記表面処理金属板を切断する切断面側の面であって、前記外周面に向かって下記式(1)で定義される勾配を有する勾配面を備え、
勾配(%)=tanθ×100=(a-b)/L×100 式(1)
(ここで、前記式(1)におけるθ、a、b及びLの各符号は、以下を意味する。
θ:前記回転刃の前記勾配面が形成されていない面と前記勾配面とのなす角度、a:前記回転刃の前記勾配面が形成されていない部分の板厚、b:先端部の板厚、L:前記勾配面が設けられた径方向の長さ)
前記勾配は、5%以上36%以下であり、
前記外周面は、前記式(1)の前記bの板厚を持つ断面形状を有する、
表面処理金属部材の製造方法。 - 前記一対の回転刃は、回転軸方向について、前記勾配面と前記外周面により構成される角部間の距離が、前記表面処理金属板の板厚の0%以上10%以下となるように配置される請求項1に記載の表面処理金属部材の製造方法。
- 前記勾配面と前記外周面により構成される角部の曲率半径が0.7mm以下である請求項1または2に記載の表面処理金属部材の製造方法。
- 前記第2工程は、前記第1工程により切断された前記表面処理金属板の幅方向の端部を板厚方向に挟み込みつつ回転するガイドロールにより搬送する工程を含む請求項1~3のいずれかに記載の表面処理金属部材の製造方法。
- 前記第2工程は、前記第1工程により切断された前記表面処理金属板を板厚方向に押圧しつつ回転する少なくとも一対の搬送ロールにより搬送する工程を含む請求項1~4のいずれかに記載の表面処理金属部材の製造方法。
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