JP2828600B2 - 電縫鋼管の表面補修方法及び装置 - Google Patents
電縫鋼管の表面補修方法及び装置Info
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- JP2828600B2 JP2828600B2 JP6272912A JP27291294A JP2828600B2 JP 2828600 B2 JP2828600 B2 JP 2828600B2 JP 6272912 A JP6272912 A JP 6272912A JP 27291294 A JP27291294 A JP 27291294A JP 2828600 B2 JP2828600 B2 JP 2828600B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶接,加工等の工程を
経た後のめっき層が薄層化又は除去されている電縫鋼管
の溶接部やその周辺部にあるめっき層を補修する方法及
び装置に関する。
経た後のめっき層が薄層化又は除去されている電縫鋼管
の溶接部やその周辺部にあるめっき層を補修する方法及
び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】Znめっき鋼帯やZn−Al合金めっき
鋼材は、耐食性に優れている特性を活用し、過酷な腐食
環境に曝される各種構造部材,配管,排ガス用管路等と
して使用されている。使用に際し、たとえばZn−Al
合金めっき鋼板は所定の形状に成形された後、必要箇所
に組み付けられる。また、電縫鋼管として使用する場合
には、溶接によって生じた外面ビードを切削して鋼管表
面を平滑に仕上げている。Znめっき層やZn−Al合
金めっき層は、優れた防食機能をもっているものの、各
種構造部材や配管等に製造する工程や施工等の際に損傷
される。Znめっき鋼帯やZn−Al合金めっき鋼帯か
ら製造された電縫鋼管では、Zn又はZn−Al合金が
溶接部に浸透することによって溶接部の靭性が低下する
ことを回避するため、溶接に先立って溶接部近傍のめっ
き層を除去する場合もある。この場合、溶接部近傍では
下地鋼が露出し、耐食性に劣る表面になる。めっき層が
薄くなった部分や除去された部分は、耐食性の良好な金
属又は合金で被覆することによって補修されている。た
とえば、特開昭60−89559号公報では、溶接ビー
ド部をビードカッターで除去した後、溶接顕熱で溶融す
るSn−Zn合金を溶着させている。特開平3−281
768号公報には、めっき金属と同材質の材料を溶射す
る補修方法が紹介されている。
鋼材は、耐食性に優れている特性を活用し、過酷な腐食
環境に曝される各種構造部材,配管,排ガス用管路等と
して使用されている。使用に際し、たとえばZn−Al
合金めっき鋼板は所定の形状に成形された後、必要箇所
に組み付けられる。また、電縫鋼管として使用する場合
には、溶接によって生じた外面ビードを切削して鋼管表
面を平滑に仕上げている。Znめっき層やZn−Al合
金めっき層は、優れた防食機能をもっているものの、各
種構造部材や配管等に製造する工程や施工等の際に損傷
される。Znめっき鋼帯やZn−Al合金めっき鋼帯か
ら製造された電縫鋼管では、Zn又はZn−Al合金が
溶接部に浸透することによって溶接部の靭性が低下する
ことを回避するため、溶接に先立って溶接部近傍のめっ
き層を除去する場合もある。この場合、溶接部近傍では
下地鋼が露出し、耐食性に劣る表面になる。めっき層が
薄くなった部分や除去された部分は、耐食性の良好な金
属又は合金で被覆することによって補修されている。た
とえば、特開昭60−89559号公報では、溶接ビー
ド部をビードカッターで除去した後、溶接顕熱で溶融す
るSn−Zn合金を溶着させている。特開平3−281
768号公報には、めっき金属と同材質の材料を溶射す
る補修方法が紹介されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Zn,Al,Zn−A
l合金等を溶射する従来の方法では、補修部に盛られる
溶射量が少なく、母材に比較して耐食性が劣りがちであ
る。必要な溶射量を確保するため、従来から種々の方法
が提案されているが、特殊な溶射ガンや設備構成自体の
変更等が必要とされ、広く実用化されるには至っていな
い。また、溶射条件によっては、補修部に盛られた溶射
層自体がポーラスになり、雰囲気中の腐食成分が溶射層
を介して下地鋼に達することもある。本発明は、このよ
うな問題を解消すべく案出されたものであり、溶射補修
をAl溶射及びZn−Al合金溶射の2工程とすること
により、下地鋼に対する密着性が優れ、しかも耐食性が
良好で十分な厚みをもつ溶射層によってめっき鋼材の表
面を補修することを目的とする。
l合金等を溶射する従来の方法では、補修部に盛られる
溶射量が少なく、母材に比較して耐食性が劣りがちであ
る。必要な溶射量を確保するため、従来から種々の方法
が提案されているが、特殊な溶射ガンや設備構成自体の
変更等が必要とされ、広く実用化されるには至っていな
い。また、溶射条件によっては、補修部に盛られた溶射
層自体がポーラスになり、雰囲気中の腐食成分が溶射層
を介して下地鋼に達することもある。本発明は、このよ
うな問題を解消すべく案出されたものであり、溶射補修
をAl溶射及びZn−Al合金溶射の2工程とすること
により、下地鋼に対する密着性が優れ、しかも耐食性が
良好で十分な厚みをもつ溶射層によってめっき鋼材の表
面を補修することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の補修方法は、そ
の目的を達成するため、Znめっき鋼帯又はZn−Al
めっき鋼帯から造管された電縫鋼管におけるZnめっき
層又はZn−Alめっき層の一部又は全部が除去された
ビードカット部を補修する際、該ビードカット部にAl
を溶射し、次いでZn−Al合金を溶射することを特徴
とする。この方法に使用される装置は、Znめっき鋼帯
又はZn―Alめっき鋼帯から電縫鋼管を製造する造管
ラインにおいて、電縫溶接装置の下流側にビード研削装
置,Al溶射ガン,Zn−Al溶射ガンを順次配置して
いる。Zn−Al合金めっき層には、Zn−5%Al合
金めっき層,Zn−55%Al合金めっき層等がある。
溶射顕熱を利用し、被補修部へ密着性向上及び溶射金属
の厚膜化のため、第1溶射工程でAlを被補修部に溶射
した後、直ちにZn−Al合金を溶射することが好まし
い。
の目的を達成するため、Znめっき鋼帯又はZn−Al
めっき鋼帯から造管された電縫鋼管におけるZnめっき
層又はZn−Alめっき層の一部又は全部が除去された
ビードカット部を補修する際、該ビードカット部にAl
を溶射し、次いでZn−Al合金を溶射することを特徴
とする。この方法に使用される装置は、Znめっき鋼帯
又はZn―Alめっき鋼帯から電縫鋼管を製造する造管
ラインにおいて、電縫溶接装置の下流側にビード研削装
置,Al溶射ガン,Zn−Al溶射ガンを順次配置して
いる。Zn−Al合金めっき層には、Zn−5%Al合
金めっき層,Zn−55%Al合金めっき層等がある。
溶射顕熱を利用し、被補修部へ密着性向上及び溶射金属
の厚膜化のため、第1溶射工程でAlを被補修部に溶射
した後、直ちにZn−Al合金を溶射することが好まし
い。
【0005】本発明で使用される補修装置は、補修され
るめっき鋼材の走行ラインに沿って、Al溶射用ガンを
上流側に配置し、その下流側にZn−Al合金溶射用ガ
ンを配置している。Al溶射用ガン及びZn−Al合金
溶射用ガンは、たとえば図1に示す造管ラインに沿って
配置される。造管ラインでは、円筒状に成形されためっ
き鋼板1の幅方向両端部を突き合わせ、高周波コイル2
で加熱し、スクイズロール4で加圧溶接された鋼管3は
下流側に送られ、溶接部外周に突出しているビードをビ
ードカッター5で切削する。場合によっては、第2のビ
ードカッター6を使用し、ビード切削を多段で行うこと
もある。
るめっき鋼材の走行ラインに沿って、Al溶射用ガンを
上流側に配置し、その下流側にZn−Al合金溶射用ガ
ンを配置している。Al溶射用ガン及びZn−Al合金
溶射用ガンは、たとえば図1に示す造管ラインに沿って
配置される。造管ラインでは、円筒状に成形されためっ
き鋼板1の幅方向両端部を突き合わせ、高周波コイル2
で加熱し、スクイズロール4で加圧溶接された鋼管3は
下流側に送られ、溶接部外周に突出しているビードをビ
ードカッター5で切削する。場合によっては、第2のビ
ードカッター6を使用し、ビード切削を多段で行うこと
もある。
【0006】外面ビード7が溶接鋼管3の溶接部8から
切削除去されるとき、溶接部8及びその近傍にあるめっ
き層9の一部又は全部がめっき鋼帯1の表面から除去さ
れる。その結果、外面ビード切削された溶接鋼管3の溶
接部8は、図2に示すようにめっき層9がなく下地鋼が
露出した表面になっている。そこで、ビードカッター
5,6の下流側にAl溶射用ガン10及びZn−Al合
金溶射用ガン11を配置し、溶接部8のめっき層9を溶
射補修する。Al溶射用ガン10は、図2に示すよう
に、乾燥空気12と共に送り込まれたAl芯線13を、
溶接部8に向けて送り出す。Al芯線13は、C2 H2
+O2のフレーム14で加熱され、ガン10から溶融金
属15となって送り出され、溶接部8の表面に被着す
る。Zn−Al合金溶射用ガン11も、同様な構成にな
っており、Zn−Al合金芯線16を溶融状態で溶接部
8の表面に送り出す。これにより、同じ状態にある第1
溶射補修層の上に第2溶射補修層を盛ることができ、一
定した品質をもつ補修層で溶接部8が補修される。
切削除去されるとき、溶接部8及びその近傍にあるめっ
き層9の一部又は全部がめっき鋼帯1の表面から除去さ
れる。その結果、外面ビード切削された溶接鋼管3の溶
接部8は、図2に示すようにめっき層9がなく下地鋼が
露出した表面になっている。そこで、ビードカッター
5,6の下流側にAl溶射用ガン10及びZn−Al合
金溶射用ガン11を配置し、溶接部8のめっき層9を溶
射補修する。Al溶射用ガン10は、図2に示すよう
に、乾燥空気12と共に送り込まれたAl芯線13を、
溶接部8に向けて送り出す。Al芯線13は、C2 H2
+O2のフレーム14で加熱され、ガン10から溶融金
属15となって送り出され、溶接部8の表面に被着す
る。Zn−Al合金溶射用ガン11も、同様な構成にな
っており、Zn−Al合金芯線16を溶融状態で溶接部
8の表面に送り出す。これにより、同じ状態にある第1
溶射補修層の上に第2溶射補修層を盛ることができ、一
定した品質をもつ補修層で溶接部8が補修される。
【0007】
【作用】このようにAlを先ず溶着し、その後にZn−
Al合金を溶着するとき、その理由は不明であるが、密
着性に優れ且つ必要な厚みをもつ溶射補修層が溶接部8
の表面に形成される。形成された溶射補修層は、灰白色
の緻密な層となり、優れた防食作用を呈する。これに対
し、単一工程でZn又はZn−Al合金を溶射したもの
では、芯線の送り速度を大きく設定しても、送り速度の
上昇に見合った補修層の厚み増加がない。Zn又はZn
−Al合金を2工程で溶射する場合でも、補修層の厚み
上昇に限界がある。形成された溶射補修層も、灰色でポ
ーラスになっており、補修層を介して下地鋼が雰囲気に
露出する原因となる。その結果、耐食性が十分な溶射補
修層が得られない。
Al合金を溶着するとき、その理由は不明であるが、密
着性に優れ且つ必要な厚みをもつ溶射補修層が溶接部8
の表面に形成される。形成された溶射補修層は、灰白色
の緻密な層となり、優れた防食作用を呈する。これに対
し、単一工程でZn又はZn−Al合金を溶射したもの
では、芯線の送り速度を大きく設定しても、送り速度の
上昇に見合った補修層の厚み増加がない。Zn又はZn
−Al合金を2工程で溶射する場合でも、補修層の厚み
上昇に限界がある。形成された溶射補修層も、灰色でポ
ーラスになっており、補修層を介して下地鋼が雰囲気に
露出する原因となる。その結果、耐食性が十分な溶射補
修層が得られない。
【0008】
【実施例】実施例1: 目付け量90g/m2 でZn−5%Al合金を溶融めっ
きした板厚2.3mmのめっき鋼板を直径127mmの
円筒状に成形し、板幅方向両端部の突合せ部を電縫溶接
した。得られた電縫鋼管の溶接部には、最高で1.5m
mだけ鋼管周面から突出した外面ビードが形成されてい
た。このビードを切削した後、鋼管表面を観察したとこ
ろ、溶接線を中心として幅4.0mmの範囲でめっき層
が除去されており、その両側4.0mmの範囲でめっき
層が薄くなっていた。めっき層が除去された溶接部を補
修するため、表1に示す条件下で溶射によって幅10m
mの補修層を形成した。Zn−Al合金芯線としては、
直径が1.4mmで、5%のAlを含むものを使用し
た。Al芯線としては、直径が1.4mmで純度99.
9%のAl線材を使用した。比較例1では、単一工程の
溶射によって補修層を形成した。比較例2では、同じZ
n−5%Al合金芯線を使用した2工程の溶射で補修層
を形成した。
きした板厚2.3mmのめっき鋼板を直径127mmの
円筒状に成形し、板幅方向両端部の突合せ部を電縫溶接
した。得られた電縫鋼管の溶接部には、最高で1.5m
mだけ鋼管周面から突出した外面ビードが形成されてい
た。このビードを切削した後、鋼管表面を観察したとこ
ろ、溶接線を中心として幅4.0mmの範囲でめっき層
が除去されており、その両側4.0mmの範囲でめっき
層が薄くなっていた。めっき層が除去された溶接部を補
修するため、表1に示す条件下で溶射によって幅10m
mの補修層を形成した。Zn−Al合金芯線としては、
直径が1.4mmで、5%のAlを含むものを使用し
た。Al芯線としては、直径が1.4mmで純度99.
9%のAl線材を使用した。比較例1では、単一工程の
溶射によって補修層を形成した。比較例2では、同じZ
n−5%Al合金芯線を使用した2工程の溶射で補修層
を形成した。
【0009】
【0010】溶接部に形成された補修層の厚みは、各溶
射条件に応じて表2に示すように異なっていた。なお、
表2における平均厚みは、溶接線を中心として幅4mm
に付着した溶射補修層の平均厚みで示す。また、付着効
率は、溶接芯線の供給量に対し実際に付着した補修層の
量の割合で表した。
射条件に応じて表2に示すように異なっていた。なお、
表2における平均厚みは、溶接線を中心として幅4mm
に付着した溶射補修層の平均厚みで示す。また、付着効
率は、溶接芯線の供給量に対し実際に付着した補修層の
量の割合で表した。
【0011】
【0012】表2から明らかなように、第1段階でAl
を溶射した後、Zn−Al合金を溶射した本発明例で
は、平均厚み及び付着効率共に高い値を示している。こ
れに対し、単一工程で補修層を形成する比較例1では、
ラインスピードを落とし単位長さ当りの芯線供給量を上
げた場合でも、試験番号1,2にみられるように本発明
例の平均厚み及び付着効率の半分にも満たなかった。溶
射を2工程に分けて行う比較例2でも、Zn−Al合金
を同じ芯線として使用することから、平均厚み及び付着
効率に劣っていた。第1工程でAl芯線を、第2工程で
Zn−Al合金芯線を使用することによる平均厚みの増
加は、ラインスピードを上げた場合に顕著となる。すな
わち、図3にみられるようにラインスピードを上げた場
合、同じ芯線を2工程で使用する比較例2に比較し、平
均厚みが大幅に上昇している。
を溶射した後、Zn−Al合金を溶射した本発明例で
は、平均厚み及び付着効率共に高い値を示している。こ
れに対し、単一工程で補修層を形成する比較例1では、
ラインスピードを落とし単位長さ当りの芯線供給量を上
げた場合でも、試験番号1,2にみられるように本発明
例の平均厚み及び付着効率の半分にも満たなかった。溶
射を2工程に分けて行う比較例2でも、Zn−Al合金
を同じ芯線として使用することから、平均厚み及び付着
効率に劣っていた。第1工程でAl芯線を、第2工程で
Zn−Al合金芯線を使用することによる平均厚みの増
加は、ラインスピードを上げた場合に顕著となる。すな
わち、図3にみられるようにラインスピードを上げた場
合、同じ芯線を2工程で使用する比較例2に比較し、平
均厚みが大幅に上昇している。
【0013】形成された溶射補修層を溶接部の幅方向4
mmにわたって測定すると、図4に示すように測定範囲
全域で厚い層となっていた。これに対し、比較例2で得
られた溶射補修層は、5μm以下の厚みになっている部
分が随所に観察された。このことからも、本発明例の溶
射補修層は、下地鋼を防食するのに十分な厚みをもって
形成されていることが判る。次いで、溶射補修された電
縫鋼管の耐食性を、硫酸銅浸漬試験及びSSTによって
調査した。硫酸銅浸漬試験では、0秒から20秒間隔
で、温度18℃の3%CuSO4溶液に試験片を最長1
20秒間浸漬した。浸漬後の試験片表面に発生した腐食
状況を観察し、溶射補修部に析出したCuの有無によっ
て耐食性を調査した。120秒間の浸漬でCuの析出が
みられないものを耐食性優,80〜100秒間の浸漬で
Cuが析出したものを耐食性良好,40〜60秒間の浸
漬でCuが析出したものを耐食性やや不良,20〜40
秒間の浸漬でCuが析出したものを耐食性不良として4
段階評価した。SST試験では、NaCl濃度5%及び
液温35℃の塩水を72〜960時間噴霧し、所定時間
経過後に試験片に発生する赤錆の有無を調査した。96
0時間経過しても赤錆の発生していないものを耐食性
優,480時間経過後に赤錆の発生が検出されなかった
ものを耐食性良好,480時間後に一部赤錆が発生した
ものを耐食性やや不良,240時間後に一部赤錆が発生
したものを耐食性不良として4段階評価した。
mmにわたって測定すると、図4に示すように測定範囲
全域で厚い層となっていた。これに対し、比較例2で得
られた溶射補修層は、5μm以下の厚みになっている部
分が随所に観察された。このことからも、本発明例の溶
射補修層は、下地鋼を防食するのに十分な厚みをもって
形成されていることが判る。次いで、溶射補修された電
縫鋼管の耐食性を、硫酸銅浸漬試験及びSSTによって
調査した。硫酸銅浸漬試験では、0秒から20秒間隔
で、温度18℃の3%CuSO4溶液に試験片を最長1
20秒間浸漬した。浸漬後の試験片表面に発生した腐食
状況を観察し、溶射補修部に析出したCuの有無によっ
て耐食性を調査した。120秒間の浸漬でCuの析出が
みられないものを耐食性優,80〜100秒間の浸漬で
Cuが析出したものを耐食性良好,40〜60秒間の浸
漬でCuが析出したものを耐食性やや不良,20〜40
秒間の浸漬でCuが析出したものを耐食性不良として4
段階評価した。SST試験では、NaCl濃度5%及び
液温35℃の塩水を72〜960時間噴霧し、所定時間
経過後に試験片に発生する赤錆の有無を調査した。96
0時間経過しても赤錆の発生していないものを耐食性
優,480時間経過後に赤錆の発生が検出されなかった
ものを耐食性良好,480時間後に一部赤錆が発生した
ものを耐食性やや不良,240時間後に一部赤錆が発生
したものを耐食性不良として4段階評価した。
【0014】
【0015】試験結果を示す表3から明らかなように、
本発明に従って溶射補修層が形成されたものでは、硫酸
銅浸漬試験及びSST試験の何れにおいても優れた耐食
性が示された。これに対し、比較例1及び2で得られた
溶射補修層では、硫酸銅浸漬試験及びSST試験で短時
間のうちに発銹するものがみられた。このように耐食性
に相違があることは、本発明によるとき介在物がなく灰
白色で緻密な溶射補修層が形成されることに由来するも
のと推察される。
本発明に従って溶射補修層が形成されたものでは、硫酸
銅浸漬試験及びSST試験の何れにおいても優れた耐食
性が示された。これに対し、比較例1及び2で得られた
溶射補修層では、硫酸銅浸漬試験及びSST試験で短時
間のうちに発銹するものがみられた。このように耐食性
に相違があることは、本発明によるとき介在物がなく灰
白色で緻密な溶射補修層が形成されることに由来するも
のと推察される。
【0016】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、溶接によって損傷した電縫鋼管のめっき層を補修す
る際、Al芯線を使用した溶射及びZn−Al合金芯線
を使用した溶射の2工程で溶射補修層を形成している。
このように2工程で溶射すると、膜厚が大きく耐食性に
優れた補修層が短時間で形成され、たとえば外面ビード
カットした溶接部が腐食の起点になることがなく、めっ
き層本来の耐食性を活用した耐久性のある構造部材,配
管,排ガス用管路等として好適な材料が得られる。ま
た、補修層自体の耐食性も優れていることから、高信頼
性の製品として広範な分野で使用される。
は、溶接によって損傷した電縫鋼管のめっき層を補修す
る際、Al芯線を使用した溶射及びZn−Al合金芯線
を使用した溶射の2工程で溶射補修層を形成している。
このように2工程で溶射すると、膜厚が大きく耐食性に
優れた補修層が短時間で形成され、たとえば外面ビード
カットした溶接部が腐食の起点になることがなく、めっ
き層本来の耐食性を活用した耐久性のある構造部材,配
管,排ガス用管路等として好適な材料が得られる。ま
た、補修層自体の耐食性も優れていることから、高信頼
性の製品として広範な分野で使用される。
【図1】 電縫鋼管を製造する造管ラインに組み込んだ
補修装置
補修装置
【図2】 損傷しためっき層を補修する溶射ガン
【図3】 溶射芯線の供給量と補修層の付着量との関係
をラインスピードで整理したグラフ
をラインスピードで整理したグラフ
【図4】 第1溶射工程及び第2溶射工程で使用する芯
線の材質が補修層の厚み変動に及ぼす影響を表したグラ
フ
線の材質が補修層の厚み変動に及ぼす影響を表したグラ
フ
1:めっき鋼板 2:高周波コイル 3:溶接鋼管
4:スクイズロール5,6:ビードカッター
7:切削された外面ビード 8:溶接部9:めっき層
10:Al溶射用ガン 11:Zn−Al合金溶
射用ガン12:乾燥空気 13:Al芯線 14:
C2 H2 +O2 のフレーム15:溶融金属 16:Z
n−Al合金芯線 17:溶射ガンを連結するアーム
4:スクイズロール5,6:ビードカッター
7:切削された外面ビード 8:溶接部9:めっき層
10:Al溶射用ガン 11:Zn−Al合金溶
射用ガン12:乾燥空気 13:Al芯線 14:
C2 H2 +O2 のフレーム15:溶融金属 16:Z
n−Al合金芯線 17:溶射ガンを連結するアーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 正信 茨城県下妻市大字大木1000番7号 日新 鋼管株式会社 下妻工場内 (72)発明者 喜代永 明 東京都千代田区丸の内3丁目4番1号 日新製鋼株式会社内 (72)発明者 北本 順一 茨城県下妻市大字大木1000番7号 日新 鋼管株式会社 下妻工場内 (56)参考文献 特開 昭62−30867(JP,A) 特開 平3−281768(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 4/00 - 6/00 B05D 7/14 B21C 37/30 B23K 9/025 B23K 13/00 B23K 31/00 B23K 37/08
Claims (2)
- 【請求項1】 Znめっき鋼帯又はZn−Alめっき鋼
帯から造管された電縫鋼管におけるZnめっき層又はZ
n−Alめっき層の一部又は全部が除去されたビードカ
ット部を補修する際、該ビードカット部にAlを溶射
し、次いでZn−Al合金を溶射することを特徴とする
電縫鋼管の表面補修方法。 - 【請求項2】 Znめっき鋼帯又はZn―Alめっき鋼
帯から電縫鋼管を製造する造管ラインにおいて、電縫溶
接装置の下流側にビード研削装置,Al溶射ガン,Zn
−Al溶射ガンが順次配置されている電縫鋼管の表面補
修装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6272912A JP2828600B2 (ja) | 1994-09-09 | 1994-10-12 | 電縫鋼管の表面補修方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24204194 | 1994-09-09 | ||
JP6-242041 | 1994-09-09 | ||
JP6272912A JP2828600B2 (ja) | 1994-09-09 | 1994-10-12 | 電縫鋼管の表面補修方法及び装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08127855A JPH08127855A (ja) | 1996-05-21 |
JP2828600B2 true JP2828600B2 (ja) | 1998-11-25 |
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