JPH08127855A - めっき鋼材の表面補修方法及び装置 - Google Patents
めっき鋼材の表面補修方法及び装置Info
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- JPH08127855A JPH08127855A JP6272912A JP27291294A JPH08127855A JP H08127855 A JPH08127855 A JP H08127855A JP 6272912 A JP6272912 A JP 6272912A JP 27291294 A JP27291294 A JP 27291294A JP H08127855 A JPH08127855 A JP H08127855A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 耐食性に優れ十分な厚みの溶射層でめっき鋼
材の表面を補修する。 【構成】 めっき鋼材に形成されているZn又はZn−
Al合金めっき層を補修する際、めっき層の被補修部に
Alを溶射し、次いでZn又はZn−Al合金を溶射す
る。めっき鋼板1から製造された溶接鋼管3の表面にあ
るビード7を切削した後、溶射ガン10でAl溶射層を
形成し、次いで溶射ガン11でZn又はZn−Al合金
補修層を形成する。 【効果】 耐食性の優れた補修層が形成されるため、ビ
ードカット,プレス成形等によってめっき層が損傷した
部分が腐食発生の起点になることがない。
材の表面を補修する。 【構成】 めっき鋼材に形成されているZn又はZn−
Al合金めっき層を補修する際、めっき層の被補修部に
Alを溶射し、次いでZn又はZn−Al合金を溶射す
る。めっき鋼板1から製造された溶接鋼管3の表面にあ
るビード7を切削した後、溶射ガン10でAl溶射層を
形成し、次いで溶射ガン11でZn又はZn−Al合金
補修層を形成する。 【効果】 耐食性の優れた補修層が形成されるため、ビ
ードカット,プレス成形等によってめっき層が損傷した
部分が腐食発生の起点になることがない。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶接,加工等の工程を
経た後のめっき層が薄層化又は除去されている表面部
分、或いは異物との接触によって部分的に損傷しためっ
き層を補修する方法及び装置に関する。
経た後のめっき層が薄層化又は除去されている表面部
分、或いは異物との接触によって部分的に損傷しためっ
き層を補修する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】Znめっき鋼帯やZn−Al合金めっき
鋼材は、耐食性に優れている特性を活用し、過酷な腐食
環境に曝される各種構造部材,配管,排ガス用管路等と
して使用されている。使用に際し、たとえばZn−Al
合金めっき鋼板は所定の形状に成形された後、必要箇所
に組み付けられる。また、電縫鋼管として使用する場合
には、溶接によって生じた外面ビードを切削して鋼管表
面を平滑に仕上げている。Znめっき層やZn−Al合
金めっき層は、優れた防食機能をもっているものの、各
種構造部材や配管等に製造する工程や施工等の際に損傷
される。また、Zn又はZn−Al合金が溶接部に浸透
することによって溶接部の靭性が低下することを回避す
るため、溶接に先立って溶接部近傍のめっき層を除去す
る場合もある。この場合、溶接部近傍では下地鋼が露出
し、耐食性に劣る表面になる。めっき層が薄くなった部
分や除去された部分は、耐食性の良好な金属又は合金で
被覆することによって補修されている。たとえば、特開
昭60−89559号公報では、溶接ビード部をビード
カッターで除去した後、溶接顕熱で溶融するSn−Zn
合金を溶着させている。特開平3−281768号公報
には、めっき金属と同材質の材料を溶射する補修方法が
紹介されている。
鋼材は、耐食性に優れている特性を活用し、過酷な腐食
環境に曝される各種構造部材,配管,排ガス用管路等と
して使用されている。使用に際し、たとえばZn−Al
合金めっき鋼板は所定の形状に成形された後、必要箇所
に組み付けられる。また、電縫鋼管として使用する場合
には、溶接によって生じた外面ビードを切削して鋼管表
面を平滑に仕上げている。Znめっき層やZn−Al合
金めっき層は、優れた防食機能をもっているものの、各
種構造部材や配管等に製造する工程や施工等の際に損傷
される。また、Zn又はZn−Al合金が溶接部に浸透
することによって溶接部の靭性が低下することを回避す
るため、溶接に先立って溶接部近傍のめっき層を除去す
る場合もある。この場合、溶接部近傍では下地鋼が露出
し、耐食性に劣る表面になる。めっき層が薄くなった部
分や除去された部分は、耐食性の良好な金属又は合金で
被覆することによって補修されている。たとえば、特開
昭60−89559号公報では、溶接ビード部をビード
カッターで除去した後、溶接顕熱で溶融するSn−Zn
合金を溶着させている。特開平3−281768号公報
には、めっき金属と同材質の材料を溶射する補修方法が
紹介されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Zn,Al,Zn−A
l合金等を溶射する従来の方法では、補修部に盛られる
溶射量が少なく、母材に比較して耐食性が劣りがちであ
る。必要な溶射量を確保するため、従来から種々の方法
が提案されているが、特殊な溶射ガンや設備構成自体の
変更等が必要とされ、広く実用化されるには至っていな
い。また、溶射条件によっては、補修部に盛られた溶射
層自体がポーラスになり、雰囲気中の腐食成分が溶射層
を介して下地鋼に達することもある。本発明は、このよ
うな問題を解消すべく案出されたものであり、溶射補修
をAl溶射及びZnまたはZn−Al合金溶射の2工程
とすることにより、下地鋼に対する密着性が優れ、しか
も耐食性が良好で十分な厚みをもつ溶射層によってめっ
き鋼材の表面を補修することを目的とする。
l合金等を溶射する従来の方法では、補修部に盛られる
溶射量が少なく、母材に比較して耐食性が劣りがちであ
る。必要な溶射量を確保するため、従来から種々の方法
が提案されているが、特殊な溶射ガンや設備構成自体の
変更等が必要とされ、広く実用化されるには至っていな
い。また、溶射条件によっては、補修部に盛られた溶射
層自体がポーラスになり、雰囲気中の腐食成分が溶射層
を介して下地鋼に達することもある。本発明は、このよ
うな問題を解消すべく案出されたものであり、溶射補修
をAl溶射及びZnまたはZn−Al合金溶射の2工程
とすることにより、下地鋼に対する密着性が優れ、しか
も耐食性が良好で十分な厚みをもつ溶射層によってめっ
き鋼材の表面を補修することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の補修方法は、そ
の目的を達成するため、めっき鋼材に形成されているZ
nめっき層又はZn−Al合金めっき層を補修する際、
前記めっき層の被補修部にAlを溶射し、次いでZn又
はZn−Al合金を溶射することを特徴とする。補修さ
れるめっき鋼材としては、たとえば外面ビードカットさ
れた電縫鋼管,プレス成形後のめっき鋼板等がある。Z
n−Al合金めっき層には、Zn−5%Al合金めっき
層,Zn−55%Al合金めっき層等がある。溶射顕熱
を利用し、被補修部へ密着性向上及び溶射金属の厚膜化
のため、第1溶射工程でAlを被補修部に溶射した後、
直ちにZn又はZn−Al合金を溶射することが好まし
い。
の目的を達成するため、めっき鋼材に形成されているZ
nめっき層又はZn−Al合金めっき層を補修する際、
前記めっき層の被補修部にAlを溶射し、次いでZn又
はZn−Al合金を溶射することを特徴とする。補修さ
れるめっき鋼材としては、たとえば外面ビードカットさ
れた電縫鋼管,プレス成形後のめっき鋼板等がある。Z
n−Al合金めっき層には、Zn−5%Al合金めっき
層,Zn−55%Al合金めっき層等がある。溶射顕熱
を利用し、被補修部へ密着性向上及び溶射金属の厚膜化
のため、第1溶射工程でAlを被補修部に溶射した後、
直ちにZn又はZn−Al合金を溶射することが好まし
い。
【0005】本発明で使用される補修装置は、補修され
るめっき鋼材の走行ラインに沿って、Al溶射用ガンを
上流側に配置し、その下流側にZn又はZn−Al合金
溶射用ガンを配置している。Al溶射用ガン及びZn又
はZn−Al合金溶射用ガンは、たとえば図1に示す造
管ラインに沿って配置される。以下の説明では、電縫鋼
管の製造に本発明を適用した例で説明する。造管ライン
では、円筒状に成形されためっき鋼板1の幅方向両端部
を突き合わせ、高周波コイル2で加熱し、スクイズロー
ル4で加圧溶接された鋼管3は下流側に送られ、溶接部
外周に突出しているビードをビードカッター5で切削す
る。場合によっては、第2のビードカッター6を使用
し、ビード切削を多段で行うこともある。
るめっき鋼材の走行ラインに沿って、Al溶射用ガンを
上流側に配置し、その下流側にZn又はZn−Al合金
溶射用ガンを配置している。Al溶射用ガン及びZn又
はZn−Al合金溶射用ガンは、たとえば図1に示す造
管ラインに沿って配置される。以下の説明では、電縫鋼
管の製造に本発明を適用した例で説明する。造管ライン
では、円筒状に成形されためっき鋼板1の幅方向両端部
を突き合わせ、高周波コイル2で加熱し、スクイズロー
ル4で加圧溶接された鋼管3は下流側に送られ、溶接部
外周に突出しているビードをビードカッター5で切削す
る。場合によっては、第2のビードカッター6を使用
し、ビード切削を多段で行うこともある。
【0006】外面ビード7が溶接鋼管3の溶接部8から
切削除去されるとき、溶接部8及びその近傍にあるめっ
き層9の一部又は全部がめっき鋼帯1の表面から除去さ
れる。その結果、外面ビード切削された溶接鋼管3の溶
接部8は、図2に示すようにめっき層9がなく下地鋼が
露出した表面になっている。そこで、ビードカッター
5,6の下流側にAl溶射用ガン10及びZn又はZn
−Al合金溶射用ガン11を配置し、溶接部8のめっき
層9を溶射補修する。Al溶射用ガン10は、図2に示
すように、乾燥空気12と共に送り込まれたAl芯線1
3を、溶接部8に向けて送り出す。Al芯線13は、C
2 H2 +O2のフレーム14で加熱され、ガン10から
溶融金属15となって送り出され、溶接部8の表面に被
着する。Zn又はZn−Al合金溶射用ガン11も、同
様な構成になっており、Zn又はZn−Al合金芯線1
6を溶融状態で溶接部8の表面に送り出す。これによ
り、同じ状態にある第1溶射補修層の上に第2溶射補修
層を盛ることができ、一定した品質をもつ補修層で溶接
部8が補修される。
切削除去されるとき、溶接部8及びその近傍にあるめっ
き層9の一部又は全部がめっき鋼帯1の表面から除去さ
れる。その結果、外面ビード切削された溶接鋼管3の溶
接部8は、図2に示すようにめっき層9がなく下地鋼が
露出した表面になっている。そこで、ビードカッター
5,6の下流側にAl溶射用ガン10及びZn又はZn
−Al合金溶射用ガン11を配置し、溶接部8のめっき
層9を溶射補修する。Al溶射用ガン10は、図2に示
すように、乾燥空気12と共に送り込まれたAl芯線1
3を、溶接部8に向けて送り出す。Al芯線13は、C
2 H2 +O2のフレーム14で加熱され、ガン10から
溶融金属15となって送り出され、溶接部8の表面に被
着する。Zn又はZn−Al合金溶射用ガン11も、同
様な構成になっており、Zn又はZn−Al合金芯線1
6を溶融状態で溶接部8の表面に送り出す。これによ
り、同じ状態にある第1溶射補修層の上に第2溶射補修
層を盛ることができ、一定した品質をもつ補修層で溶接
部8が補修される。
【0007】
【作用】このようにAlを先ず溶着し、その後にZn又
はZn−Al合金を溶着するとき、その理由は不明であ
るが、密着性に優れ且つ必要な厚みをもつ溶射補修層が
溶接部8の表面に形成される。形成された溶射補修層
は、灰白色の緻密な層となり、優れた防食作用を呈す
る。これに対し、単一工程でZn又はZn−Al合金を
溶射したものでは、芯線の送り速度を大きく設定して
も、送り速度の上昇に見合った補修層の厚み増加がな
い。Zn又はZn−Al合金を2工程で溶射する場合で
も、補修層の厚み上昇に限界がある。形成された溶射補
修層も、灰色でポーラスになっており、補修層を介して
下地鋼が雰囲気に露出する原因となる。その結果、耐食
性が十分な溶射補修層が得られない。
はZn−Al合金を溶着するとき、その理由は不明であ
るが、密着性に優れ且つ必要な厚みをもつ溶射補修層が
溶接部8の表面に形成される。形成された溶射補修層
は、灰白色の緻密な層となり、優れた防食作用を呈す
る。これに対し、単一工程でZn又はZn−Al合金を
溶射したものでは、芯線の送り速度を大きく設定して
も、送り速度の上昇に見合った補修層の厚み増加がな
い。Zn又はZn−Al合金を2工程で溶射する場合で
も、補修層の厚み上昇に限界がある。形成された溶射補
修層も、灰色でポーラスになっており、補修層を介して
下地鋼が雰囲気に露出する原因となる。その結果、耐食
性が十分な溶射補修層が得られない。
【0008】
実施例1:目付け量90g/m2 でZn−5%Al合金
を溶融めっきした板厚2.3mmのめっき鋼板を直径1
27mmの円筒状に成形し、板幅方向両端部の突合せ部
を電縫溶接した。得られた電縫鋼管の溶接部には、最高
で1.5mmだけ鋼管周面から突出した外面ビードが形
成されていた。このビードを切削した後、鋼管表面を観
察したところ、溶接線を中心として幅4.0mmの範囲
でめっき層が除去されており、その両側4.0mmの範
囲でめっき層が薄くなっていた。めっき層が除去された
溶接部を補修するため、表1に示す条件下で溶射によっ
て幅10mmの補修層を形成した。Zn−Al合金芯線
としては、直径が1.4mmで、5%のAlを含むもの
を使用した。Al芯線としては、直径が1.4mmで純
度99.9%のAl線材を使用した。比較例1では、単
一工程の溶射によって補修層を形成した。比較例2で
は、同じZn−5%Al合金芯線を使用した2工程の溶
射で補修層を形成した。
を溶融めっきした板厚2.3mmのめっき鋼板を直径1
27mmの円筒状に成形し、板幅方向両端部の突合せ部
を電縫溶接した。得られた電縫鋼管の溶接部には、最高
で1.5mmだけ鋼管周面から突出した外面ビードが形
成されていた。このビードを切削した後、鋼管表面を観
察したところ、溶接線を中心として幅4.0mmの範囲
でめっき層が除去されており、その両側4.0mmの範
囲でめっき層が薄くなっていた。めっき層が除去された
溶接部を補修するため、表1に示す条件下で溶射によっ
て幅10mmの補修層を形成した。Zn−Al合金芯線
としては、直径が1.4mmで、5%のAlを含むもの
を使用した。Al芯線としては、直径が1.4mmで純
度99.9%のAl線材を使用した。比較例1では、単
一工程の溶射によって補修層を形成した。比較例2で
は、同じZn−5%Al合金芯線を使用した2工程の溶
射で補修層を形成した。
【0009】
【表1】
【0010】溶接部に形成された補修層の厚みは、各溶
射条件に応じて表2に示すように異なっていた。なお、
表2における平均厚みは、溶接線を中心として幅4mm
に付着した溶射補修層の平均厚みで示す。また、付着効
率は、溶接芯線の供給量に対し実際に付着した補修層の
量の割合で表した。
射条件に応じて表2に示すように異なっていた。なお、
表2における平均厚みは、溶接線を中心として幅4mm
に付着した溶射補修層の平均厚みで示す。また、付着効
率は、溶接芯線の供給量に対し実際に付着した補修層の
量の割合で表した。
【0011】
【表2】
【0012】表2から明らかなように、第1段階でAl
を溶射した後、Zn−Al合金を溶射した本発明例で
は、平均厚み及び付着効率共に高い値を示している。こ
れに対し、単一工程で補修層を形成する比較例1では、
ラインスピードを落とし単位長さ当りの芯線供給量を上
げた場合でも、試験番号1,2にみられるように本発明
例の平均厚み及び付着効率の半分にも満たなかった。溶
射を2工程に分けて行う比較例2でも、Zn−Al合金
を同じ芯線として使用することから、平均厚み及び付着
効率に劣っていた。第1工程でAl芯線を、第2工程で
Zn−Al合金芯線を使用することによる平均厚みの増
加は、ラインスピードを上げた場合に顕著となる。すな
わち、図3にみられるようにラインスピードを上げた場
合、同じ芯線を2工程で使用する比較例2に比較し、平
均厚みが大幅に上昇している。
を溶射した後、Zn−Al合金を溶射した本発明例で
は、平均厚み及び付着効率共に高い値を示している。こ
れに対し、単一工程で補修層を形成する比較例1では、
ラインスピードを落とし単位長さ当りの芯線供給量を上
げた場合でも、試験番号1,2にみられるように本発明
例の平均厚み及び付着効率の半分にも満たなかった。溶
射を2工程に分けて行う比較例2でも、Zn−Al合金
を同じ芯線として使用することから、平均厚み及び付着
効率に劣っていた。第1工程でAl芯線を、第2工程で
Zn−Al合金芯線を使用することによる平均厚みの増
加は、ラインスピードを上げた場合に顕著となる。すな
わち、図3にみられるようにラインスピードを上げた場
合、同じ芯線を2工程で使用する比較例2に比較し、平
均厚みが大幅に上昇している。
【0013】形成された溶射補修層を溶接部の幅方向4
mmにわたって測定すると、図4に示すように測定範囲
全域で厚い層となっていた。これに対し、比較例2で得
られた溶射補修層は、5μm以下の厚みになっている部
分が随所に観察された。このことからも、本発明例の溶
射補修層は、下地鋼を防食するのに十分な厚みをもって
形成されていることが判る。次いで、溶射補修された電
縫鋼管の耐食性を、硫酸銅浸漬試験及びSSTによって
調査した。硫酸銅浸漬試験では、0秒から20秒間隔
で、温度18℃の3%CuSO4 溶液に試験片を最長1
20秒間浸漬した。浸漬後の試験片表面に発生した腐食
状況を観察し、溶射補修部に析出したCuの有無によっ
て耐食性を調査した。120秒間の浸漬でCuの析出が
みられないものを耐食性優,80〜100秒間の浸漬で
Cuが析出したものを耐食性良好,40〜60秒間の浸
漬でCuが析出したものを耐食性やや不良,20〜40
秒間の浸漬でCuが析出したものを耐食性不良として4
段階評価した。SST試験では、NaCl濃度5%及び
液温35℃の塩水を72〜960時間噴霧し、所定時間
経過後に試験片に発生する赤錆の有無を調査した。96
0時間経過しても赤錆の発生していないものを耐食性
優,480時間経過後に赤錆の発生が検出されなかった
ものを耐食性良好,480時間後に一部赤錆が発生した
ものを耐食性やや不良,240時間後に一部赤錆が発生
したものを耐食性不良として4段階評価した。
mmにわたって測定すると、図4に示すように測定範囲
全域で厚い層となっていた。これに対し、比較例2で得
られた溶射補修層は、5μm以下の厚みになっている部
分が随所に観察された。このことからも、本発明例の溶
射補修層は、下地鋼を防食するのに十分な厚みをもって
形成されていることが判る。次いで、溶射補修された電
縫鋼管の耐食性を、硫酸銅浸漬試験及びSSTによって
調査した。硫酸銅浸漬試験では、0秒から20秒間隔
で、温度18℃の3%CuSO4 溶液に試験片を最長1
20秒間浸漬した。浸漬後の試験片表面に発生した腐食
状況を観察し、溶射補修部に析出したCuの有無によっ
て耐食性を調査した。120秒間の浸漬でCuの析出が
みられないものを耐食性優,80〜100秒間の浸漬で
Cuが析出したものを耐食性良好,40〜60秒間の浸
漬でCuが析出したものを耐食性やや不良,20〜40
秒間の浸漬でCuが析出したものを耐食性不良として4
段階評価した。SST試験では、NaCl濃度5%及び
液温35℃の塩水を72〜960時間噴霧し、所定時間
経過後に試験片に発生する赤錆の有無を調査した。96
0時間経過しても赤錆の発生していないものを耐食性
優,480時間経過後に赤錆の発生が検出されなかった
ものを耐食性良好,480時間後に一部赤錆が発生した
ものを耐食性やや不良,240時間後に一部赤錆が発生
したものを耐食性不良として4段階評価した。
【0014】
【表3】
【0015】試験結果を示す表3から明らかなように、
本発明に従って溶射補修層が形成されたものでは、硫酸
銅浸漬試験及びSST試験の何れにおいても優れた耐食
性が示された。これに対し、比較例1及び2で得られた
溶射補修層では、硫酸銅浸漬試験及びSST試験で短時
間のうちに発銹するものがみられた。このように耐食性
に相違があることは、本発明によるとき介在物がなく灰
白色で緻密な溶射補修層が形成されることに由来するも
のと推察される。
本発明に従って溶射補修層が形成されたものでは、硫酸
銅浸漬試験及びSST試験の何れにおいても優れた耐食
性が示された。これに対し、比較例1及び2で得られた
溶射補修層では、硫酸銅浸漬試験及びSST試験で短時
間のうちに発銹するものがみられた。このように耐食性
に相違があることは、本発明によるとき介在物がなく灰
白色で緻密な溶射補修層が形成されることに由来するも
のと推察される。
【0016】実施例2:溶融Znめっき鋼材についても
実施例1と同様な試験を実施した。目付け量90g/m
2 で溶融Znめっきした板厚2.3mmのめっき鋼板を
直径127mmの円筒状に成形し、板幅方向両端部の突
合せ部を電縫溶接した。実施例1と同様に外面ビード部
を切削し、表4に示す条件下で溶射によって溶接部を補
修した。なお、Zn芯線として直径1.4mmで純度9
9.9%のZn線材を使用した。Al芯線は実施例1と
同一のものを使用した。
実施例1と同様な試験を実施した。目付け量90g/m
2 で溶融Znめっきした板厚2.3mmのめっき鋼板を
直径127mmの円筒状に成形し、板幅方向両端部の突
合せ部を電縫溶接した。実施例1と同様に外面ビード部
を切削し、表4に示す条件下で溶射によって溶接部を補
修した。なお、Zn芯線として直径1.4mmで純度9
9.9%のZn線材を使用した。Al芯線は実施例1と
同一のものを使用した。
【0017】
【表4】
【0018】溶接部に形成された補修層の厚みは、各溶
接条件に応じて表5及び図5に示すように異なってい
た。なお、表5における平均厚みと付着効率は、実施例
1で規定したものと同一である。実施例2でも、同じ芯
線を2工程で使用した比較例に比べ、平均厚みが大幅に
上昇している。
接条件に応じて表5及び図5に示すように異なってい
た。なお、表5における平均厚みと付着効率は、実施例
1で規定したものと同一である。実施例2でも、同じ芯
線を2工程で使用した比較例に比べ、平均厚みが大幅に
上昇している。
【0019】
【表5】
【0020】表5から明らかなように、第1段階でAl
を溶射した後、第2段階でZnを溶射した本発明例で
は、平均厚み及び付着効率共に高い値を示している。母
材と同一の金属を二回に分けて行う比較例では、本発明
例と比較して平均厚み及び付着効率共に劣っている。な
お、溶接部の耐食性を重視するときは、第2段階の補修
芯線としてZnに代えて耐食性の良いZn−Al合金を
使用してもよい。
を溶射した後、第2段階でZnを溶射した本発明例で
は、平均厚み及び付着効率共に高い値を示している。母
材と同一の金属を二回に分けて行う比較例では、本発明
例と比較して平均厚み及び付着効率共に劣っている。な
お、溶接部の耐食性を重視するときは、第2段階の補修
芯線としてZnに代えて耐食性の良いZn−Al合金を
使用してもよい。
【0021】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、溶接,プレス成形等によって損傷しためっき層を補
修する際、Al芯線を使用して溶射及びZn又はZn−
Al合金芯線を使用した溶射の2工程で溶射補修層を形
成している。このように2工程で溶射すると、膜厚が大
きく耐食性に優れた補修層が短時間で形成され、たとえ
ば外面ビードカットした溶接部が腐食の起点になること
がなく、めっき層本来の耐食性を活用した耐久性のある
構造部材,配管,排ガス用管路等として好適な材料が得
られる。また、補修層自体の耐食性も優れていることか
ら、高信頼性の製品として広範な分野で使用される。
は、溶接,プレス成形等によって損傷しためっき層を補
修する際、Al芯線を使用して溶射及びZn又はZn−
Al合金芯線を使用した溶射の2工程で溶射補修層を形
成している。このように2工程で溶射すると、膜厚が大
きく耐食性に優れた補修層が短時間で形成され、たとえ
ば外面ビードカットした溶接部が腐食の起点になること
がなく、めっき層本来の耐食性を活用した耐久性のある
構造部材,配管,排ガス用管路等として好適な材料が得
られる。また、補修層自体の耐食性も優れていることか
ら、高信頼性の製品として広範な分野で使用される。
【図1】 電縫鋼管を製造する造管ラインに組み込んだ
補修装置
補修装置
【図2】 損傷しためっき層を補修する溶射ガン
【図3】 溶射芯線の供給量と補修層の付着量との関係
をラインスピードで整理したグラフ
をラインスピードで整理したグラフ
【図4】 第1溶射工程及び第2溶射工程で使用する芯
線の材質が補修層の厚み変動に及ぼす影響を表したグラ
フ
線の材質が補修層の厚み変動に及ぼす影響を表したグラ
フ
【図5】 溶射芯線の供給量と補修層の付着量との関係
をラインスピードで整理したグラフ
をラインスピードで整理したグラフ
1:めっき鋼板 2:高周波コイル 3:溶接鋼管
4:スクイズロール 5,6:ビードカッター 7:切削された外面ビード
8:溶接部 9:めっき層 10:Al溶射用ガン 11:Zn
又はZn−Al合金溶射用ガン 12:乾燥空気
13:Al芯線 14:C2 H2 +O2 のフレーム
15:溶融金属 16:Zn又はZn−Al合金芯
線 17:溶射ガンを連結するアーム
4:スクイズロール 5,6:ビードカッター 7:切削された外面ビード
8:溶接部 9:めっき層 10:Al溶射用ガン 11:Zn
又はZn−Al合金溶射用ガン 12:乾燥空気
13:Al芯線 14:C2 H2 +O2 のフレーム
15:溶融金属 16:Zn又はZn−Al合金芯
線 17:溶射ガンを連結するアーム
フロントページの続き (72)発明者 藤井 正信 茨城県下妻市大字大木1000番7号 日新鋼 管株式会社下妻工場内 (72)発明者 喜代永 明 東京都千代田区丸の内3丁目4番1号 日 新製鋼株式会社内 (72)発明者 北本 順一 茨城県下妻市大字大木1000番7号 日新鋼 管株式会社下妻工場内
Claims (4)
- 【請求項1】 めっき鋼材に形成されているZnめっき
層又はZn−Al合金めっき層を補修する際、前記めっ
き層の被補修部にAlを溶射し、次いでZn又はZn−
Al合金を溶射することを特徴とするめっき鋼材の表面
補修方法。 - 【請求項2】 めっき鋼材がZnめっき鋼帯又はZn−
Al合金めっき鋼帯から製造した電縫鋼管であり、Zn
めっき層又はZn−Al合金めっき層の一部又は全部が
除去されたビードカット部を補修する請求項1記載のめ
っき鋼材の表面補修方法。 - 【請求項3】 補修されるめっき鋼材の走行ラインに沿
って、Al溶射用ガンを上流側に配置し、その下流側に
Zn又はZn−Al合金溶射用ガンを配置しためっき鋼
材の表面補修装置。 - 【請求項4】 Al溶射用ガン及びZn又はZn−Al
合金溶射用ガンが電縫溶接装置及びビード研削装置の下
流側に配置されているめっき鋼材の表面補修装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6272912A JP2828600B2 (ja) | 1994-09-09 | 1994-10-12 | 電縫鋼管の表面補修方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6-242041 | 1994-09-09 | ||
JP24204194 | 1994-09-09 | ||
JP6272912A JP2828600B2 (ja) | 1994-09-09 | 1994-10-12 | 電縫鋼管の表面補修方法及び装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08127855A true JPH08127855A (ja) | 1996-05-21 |
JP2828600B2 JP2828600B2 (ja) | 1998-11-25 |
Family
ID=26535576
Family Applications (1)
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JP6272912A Expired - Lifetime JP2828600B2 (ja) | 1994-09-09 | 1994-10-12 | 電縫鋼管の表面補修方法及び装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2828600B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002363767A (ja) * | 2001-06-06 | 2002-12-18 | Nisshin Steel Co Ltd | 耐食性に優れた溶接鋼管 |
JP2003013196A (ja) * | 2001-06-29 | 2003-01-15 | Otis:Kk | 金属製パイプ |
KR100406384B1 (ko) * | 1995-09-25 | 2004-06-04 | 주식회사 포스코 | 용융아연도금강관의용접부용용사재료 |
JP2007002328A (ja) * | 2005-06-27 | 2007-01-11 | Nisshin Steel Co Ltd | 溶接部耐食性に優れた溶接めっき鋼管及びその製造方法 |
JP2007191800A (ja) * | 2007-04-04 | 2007-08-02 | Nisshin Steel Co Ltd | 溶接部耐食性に優れた溶接めっき鋼管 |
JP2014208880A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-11-06 | 新日鐵住金株式会社 | 溶接軽量h形鋼およびその製造方法 |
JP2021123781A (ja) * | 2020-02-07 | 2021-08-30 | 日鉄めっき鋼管株式会社 | 電縫鋼管の溶接ビード切削部の補修方法、及び電縫鋼管の製造方法 |
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JP5727346B2 (ja) * | 2010-10-22 | 2015-06-03 | Jfe鋼板株式会社 | 溶融亜鉛−アルミニウム系合金めっき鋼材の溶接部補修方法および溶接構造体 |
-
1994
- 1994-10-12 JP JP6272912A patent/JP2828600B2/ja not_active Expired - Lifetime
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KR100406384B1 (ko) * | 1995-09-25 | 2004-06-04 | 주식회사 포스코 | 용융아연도금강관의용접부용용사재료 |
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JP4634650B2 (ja) * | 2001-06-06 | 2011-02-16 | 日新製鋼株式会社 | 耐食性に優れた溶接鋼管 |
JP2003013196A (ja) * | 2001-06-29 | 2003-01-15 | Otis:Kk | 金属製パイプ |
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JP2014208880A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-11-06 | 新日鐵住金株式会社 | 溶接軽量h形鋼およびその製造方法 |
JP2021123781A (ja) * | 2020-02-07 | 2021-08-30 | 日鉄めっき鋼管株式会社 | 電縫鋼管の溶接ビード切削部の補修方法、及び電縫鋼管の製造方法 |
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JP2828600B2 (ja) | 1998-11-25 |
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