JP7155784B2 - 表面処理鋼板の切断方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、表面処理された帯鋼や切板を所望の形状に加工すべく、切断加工を施すと、その切断端面で鉄地が露出するため、赤錆が発生し、製品の外観を低下させる。更に、赤錆の侵食が進むと、部材としての強度の低下を招く可能性もある。
例えば、帯状の表面処理鋼板を切断する場合に、特許文献1では、予め切断箇所を押圧ロールにより押圧してめっき金属で被覆された溝を形成し、その溝に沿って、上下対の回転刃(せん断丸刃)により切断する加工方法が提案されている。また、特許文献2では、回転刃の切断端面側の先端部(コーナー部)を所定の曲率半径Rの曲率を有するように形成することにより、切断加工時のめっき金属の切断端面への回り込み率を向上させる加工方法が提案されている。
特許文献2で提案されている切断方法は、上述したように、切断工程のみでめっき金属を切断端面に塑性流動により容易に回り込ませることができる一方、曲率半径Rの2分の1以上の大きさのカエリが発生してしまう。このカエリの大きさは、一般的な先端部(コーナー部)が直角の回転刃を用いた場合に生じるカエリの大きさに比べて大きいため、安全性を向上させるためには、カエリの除去が必要となる。
勾配(%)=tanθ×100 (1)
ここで、θには、前記回転刃の前記勾配面が形成されていない面と前記勾配面とのなす角度が代入される。
さらに、本発明は、一対の円盤状の回転刃の間に、表面及び裏面がめっき金属で被覆された表面処理鋼板を通して、せん断力により前記表面処理鋼板を切断する工程を有する、表面処理鋼板で形成された部材の製造方法であって、前記回転刃は、前記表面処理鋼板の切断面側の一面の外周近傍に、下記式(1)で定義される勾配を有する勾配面を備えており、前記回転刃の先端部は、前記切断面側に、前記勾配面と前記回転刃の外周面により構成される曲率半径が略0mmの角部を備えている、表面処理鋼板で形成される部材の製造方法。
勾配(%)=tanθ×100 (1)
ここで、θには、前記回転刃の前記勾配面が形成されていない面と前記勾配面とのなす角度が代入される。
このZn‐Al‐Mg系めっき鋼板の素地鋼板は、特に限定されず、例えば低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼及び合金鋼等を素地鋼板として使用することが可能である。また、Zn‐Al‐Mg系めっき鋼板をプレス成形して使用する場合には、低炭素Ti添加鋼、低炭素Nb添加鋼等の絞り加工性に優れる素地鋼板を用いることが好ましい。
図1(a)のX-Xの位置における鋼板100は、回転刃1で押圧されていない切断前の状態である。X-X断面を図1(b)に示す。
勾配の角度θは、3度以上30度以下の場合、即ち、勾配が5%以上58%以下の場合に、めっき金属110の回り込み量の増加が得られる。角度θが30度を超えてもめっき金属110の回り込み量の増加が得られるが、切断された鋼板100の表裏でずれが生じて、幅の寸法差が大きくなる。また、角度θが大きくなると、切断に要する設備の負荷が大きくなるだけでなく、回転刃と接触する箇所が板厚方向に潰されながら切断されるため、切断箇所が長手方向に大きく伸びる。その結果、ねじれや反りが発生してしまう。また、角度θが5度未満の場合、めっき金属110の回り込み量が少ないだけでなく、回り込んだめっきの厚みも薄くなる。よって、めっき金属110の回り込み量を増加させ、かつ鋼板100の切断端面の形状が良好であるためには、角度θが5度以上20度以下(勾配が9%以上36%以下)である場合が好ましく、角度θが5度以上10度以下(勾配が9%以上18%以下)である場合がより好ましい。
また、切断端面の略全面をめっき金属で被覆するため、略全面がせん断面となるように曲率半径Rを大きくする(曲率を更に小さくする)と、図7Cに示すように、鋼板100は、切断端面にクラックが生じないまま、引きちぎられるように切断され、更に、カエリが引き伸ばされるので、カエリの大きさは、曲率半径Rの2分の1以上の大きさとなる。
表面処理鋼板100として板厚が2.3mm、3.2mm、4.5mmで、めっき付着量90g/m2、190g/m2、350g/m2、であるZn-6%Al-3%Mg(質量比)合金めっき鋼板を用いた。回転刃1としては、直径が最も大きい箇所でφ160mmの上下の回転刃を用いて、40mmから30mmの幅へ切断加工した。
比較例1~6は、一般的な角部が直角の、つまり、勾配を有さない回転刃により切断加工を行ったものであり、比較例7は、勾配を有さず角部が丸い回転刃により切断加工を行ったものである。
それに対して、比較例1~6では、めっき金属の回り込み率はいずれも約40%以下となった。
また、屋外暴露試験の結果は、めっき金属の回り込み率に応じた結果となった。めっき金属の回り込み率が約40%以下の比較例1~6では、赤錆が確認され、めっき金属の回り込み率が約60%以上の実施例1~17では、赤錆は確認されなかった。
2 回転軸
10 勾配面
20 外周面
30 角部
100 表面処理鋼板
Claims (6)
- 一対の円盤状の回転刃の間に、表面及び裏面がめっき金属で被覆された表面処理鋼板を通して、せん断力により前記表面処理鋼板を切断する方法であって、
前記回転刃は、前記表面処理鋼板の切断面側の一面の外周近傍に、下記式(1)で定義される勾配を有する勾配面を備えており、
前記回転刃の先端部は、前記切断面側に、前記勾配面と前記回転刃の外周面により構成される曲率半径が略0mmの角部を備えている、表面処理鋼板の切断方法。
勾配(%)=tanθ×100 (1)
ここで、θには、前記回転刃の前記勾配面が形成されていない面と前記勾配面とのなす角度が代入される。 - 前記勾配は、5%以上58%以下である請求項1に記載の表面処理鋼板の切断方法。
- 前記勾配は、9%以上36%以下である請求項1に記載の表面処理鋼板の切断方法。
- 前記一対の回転刃は、回転軸方向について、前記角部間の距離が、前記表面処理鋼板の板厚の0%以上10%以下となるように配置される請求項1~3のいずれかに記載の表面処理鋼板の切断方法。
- 前記一対の回転刃は、前記表面処理鋼板の板厚方向について、前記外周面同士の距離が、前記表面処理鋼板の板厚の50%未満となるように配置される請求項1~4のいずれかに記載の表面処理鋼板の切断方法。
- 一対の円盤状の回転刃の間に、表面及び裏面がめっき金属で被覆された表面処理鋼板を通して、せん断力により前記表面処理鋼板を切断する工程を有する、表面処理鋼板で形成された部材の製造方法であって、
前記回転刃は、前記表面処理鋼板の切断面側の一面の外周近傍に、下記式(1)で定義される勾配を有する勾配面を備えており、
前記回転刃の先端部は、前記切断面側に、前記勾配面と前記回転刃の外周面により構成される曲率半径が略0mmの角部を備えている、
表面処理鋼板で形成される部材の製造方法。
勾配(%)=tanθ×100 (1)
ここで、θには、前記回転刃の前記勾配面が形成されていない面と前記勾配面とのなす角度が代入される。
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