JP2004034183A - 鋼板の切断方法及び切断した鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】めっき層を有する鋼帯の条切りにおいて、条切りした切断面をめっき層により被覆する切断方法を提供する。
【解決手段】めっき層を有する鋼板を先端の角度θが20〜70°で先端のRが0.03〜0.30mmの上下に対面して配した2枚の溝成形用丸刃で挟んで該溝成形用丸刃の間を通材し、該鋼板の表面と裏面とに、両面の深さの合計が該鋼板の板厚の80%以上となる押圧された溝を形成し、該溝に沿って鋼板を切断する。溝を形成した鋼板は、上下の剪断丸刃により溝に沿って歪を与えることにより、溝に沿って切断することができる。切断面の断面積の80%以上をめっき層により被覆すると、長期間に亘って該切断面から赤錆が発生しない。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっき鋼板、あるいはこれ等のめっき層の上に更に塗装層を形成した塗装鋼板の切断方法と、この方法で切断した塗装鋼板に関する。本発明の亜鉛系めっき鋼板には、例えばJISG3302の溶融亜鉛めっき鋼板、鋼帯が、またJISG3313の電気亜鉛めっき鋼板および鋼帯が含まれる。また性能を高めるための合金成分を亜鉛に含有させた亜鉛合金のめっき層を有する鋼板、鋼帯が含まれる。
【0002】
本発明のアルミニウム系めっき鋼板には、同様にJISG3314の溶融アルミニウムめっき鋼板及び鋼帯が、またアルミニウムめっき層に性能を高めるための合金成分を含有させたアルミニウム合金めっき鋼板、および鋼帯が含まれる。まためっき層の上に更に塗装層を形成した各種の着色鋼板が市販されているが、本発明の鋼板にはこれ等の塗装鋼板が含まれる。
本発明で切断とは、主として広幅鋼帯を条切りする切断を指すが、例えばシート等の条切り以外の切断であってもよい。
【0003】
【従来の技術】
図4は慣用の条切り剪断加工の説明図で、(A)は条切り前の広幅表面処理鋼帯1の縦断面図、(B)は上丸刃4と下丸刃5による条切り剪断加工の説明図、(C)は条切りした表面処理鋼帯7(7−1,7−2,7−3)の説明図である。
【0004】
広幅表面処理鋼帯1は紙面の前方から裏面に向けて走行する。図中2は鋼母材であり3,3’はめっき層である。条切りされた表面処理鋼帯例えば7−1の切断面6には下面のめっき層3’が上方にまわり込んでいる。また7−2の左切断面6や7−3の右切断面6には上面のめっき層3が下方にまわり込んでいる。しかしながら7−1の切断面6には上面のめっき層3がまわり込む事がなく、また7−2,7−3の切断面6には下面のめっき層3’がまわり込む事はない。
【0005】
上記の如く図4の慣用の条切り加工では、切断面6に上面のあるいは下面の何れか一方のめっき層はまわり込むが、上面と下面の双方のめっき層がまわり込む事はない。このためにめっき層は十分には条切り断面にはまわり込まない。
【0006】
条切りされた表面処理鋼帯7−1,7−2,7−3は条切り後、貯蔵され、運搬される。この貯蔵や輸送において、図4の通常の方法で条切り剪断されたものは、条切り切断面がめっき層により十分には被覆されていないために、条切り断面に赤錆が発生し易いという問題点がある。
【0007】
特開平8−95122は剪断とは異なる新たな条切り方法に関する。図5はその説明図である。図5の(A)で上ロール4−1には、広幅表面処理鋼帯1の条切りすべき位置の上面に条切りされない深さの溝を圧延により成形する上溝形成用丸刃8−1が設けられている。また下ロール5−1には、上溝形成用丸刃8−1が形成する上溝の近傍の広幅表面処理鋼帯1の下面に条切りされない深さの溝を圧延により形成する下溝形成用丸刃9−1が設けられている。
【0008】
広幅表面処理鋼帯1を上ロール4−1と下ロール5−1で挾んで圧延すると広幅表面処理鋼帯1には図5の(B)の如く上溝11−1と下溝12−1が形成される。上溝11−1と下溝12−1を十分に近接して形成した図5(B)の鋼帯に、上溝11−1、下溝12−1に沿った応力を与えると広幅表面処理鋼帯は、上溝11−1、下溝12−1に沿って破断し、図5の(C)の如く3本の条切りされた表面処理鋼帯7−1,7−2,7−3になる。
【0009】
図5においては、上溝成形用丸刃8−1は上面のめっき層3を下方に押し込んで切断面6にまわり込ませる。また下溝成形用丸刃9−1は下面のめっき層3’を上方に押し込んで切断面6にまわり込ませる。この結果、図5の(C)に示した条切りされた7−1,7−2,7−3の切断面6は、めっき層が上面と下面の双方からまわり込むために、従来よりも多量のめっき層を条切り切断面6にまわり込ませることができ、条切り切断面の面積の40〜90%をまわり込んだめっき層により被覆することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図5の条切り切断面6は、従来よりも広い割合の面積がめっき層によって被覆されている。このため図5の方法で条切りした表面処理鋼帯7−1,7−2,7−3は、通常の貯蔵、運搬の間には赤錆の発生が防止される。しかしながら赤錆の防止はこれでは不十分である。表面処理鋼帯は貯蔵、運搬の後で成形加工されて製品となり、製品は長期間に亘って使用される。本発明は、製品となり長期間に亘って使用される間にも切断面の赤錆の発生が防止できる表面処理鋼帯の切断方法の提供を課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段および実施の形態】
図1は、本発明の方法の説明図である。図1(A)の1は切断する前の広幅表面処理鋼帯の断面図である。図1(B)は、図1(A)の広幅表面処理鋼帯1に図1(C)の上溝11(11−1,11−2,11−3)を形成するための上溝成形用丸刃8−1,8−2,8−3が上ロール4−1の軸に配され、且つ図1(C)の下溝12(12−1,12−2,12−3)を形成するための下溝成形用丸刃9−1,9−2,9−3が下ロール軸5−1に配された、上下で一対の加圧ロールである。
【0012】
尚本発明では上溝形成用丸刃8−1の先端14と下溝形成用丸刃9−1の先端15は、また8−2の先端14と9−2の先端15は、また8−3の先端14と9−3の先端15はそれぞれずらすことなく、即ちずれは板厚の20%以下にして、対面する位置に配されている。尚上溝成形用丸刃8−1,8−2,8−3の先端14および下溝成形用丸刃9−1,9−2,9−3の先端15は、それぞれ胴部10よりも溝深さに相応するΔL又はΔL’だけ突出させて設定されている。
【0013】
図1(A)の広幅表面処理鋼帯1を図1(B)の加圧ロールで挾み、広幅表面処理鋼帯1を紙面の前面から裏面に走行させると、広幅表面処理鋼帯1には図1(C)の如く上溝11と下溝12とが対面する位置に形成される。尚上溝11の深さは図1(B)の8−1の先端14の胴部10からの突出量ΔLであり、下溝12の深さは9−1の先端15の胴部10からの突出量ΔL’である。従って、ΔL,ΔL’を所望の如くに設定することにより、所望の深さの上溝11、下溝12を広幅表面処理鋼帯に形成することができる。
【0014】
上溝11と下溝12が形成された図1(C)の広幅表面処理鋼帯1は、上溝11と下溝12が例えば深い場合は図1(B)の加圧ロールを通過した後は上溝11と下溝12により深く押圧されて、図1(E)で示した4本の切断された表面処理鋼帯7−1,7−2,7−3,7−4となる。従ってこの際には図1(D)の装置は使用しない。
【0015】
上溝11と下溝12が例えば浅い場合は、図1(B)の加圧ロールを通過させても切断されていない。図1(D)はこの際に用いる装置の例で、例えば通常の条切り剪断機と同様の構造である。しかし切断する広幅表面処理鋼帯には上溝11と下溝12が既に形成されているため、大きな剪断応力は不必要である。即ち上溝11、下溝12の線の右側を例えば上ロール40により軽く下方に押圧し、上溝11、下溝12の左側は例えば下ロール50により軽く上方に押圧する事により上溝11、下溝12に沿って広幅表面処理鋼帯は破断する。
【0016】
(切断試験1)
本発明者等は、図1(B)において、先端14の角度θが45°で先端に半径0.02mmのRを設けた上溝形成用丸刃を8−1及び下溝形成用丸刃9−1に設置し、また8−2及び9−2にはθが45°で先端のRが0.03mmの溝成形用丸刃を設置し、更に8−3及び9−3にはθが45°で先端のRが0.04mmの溝成形用丸刃を設置した。本発明者等はこの装置を用いて、板厚が1.2mmで亜鉛付着量が180g/mの溶融亜鉛めっき鋼帯3コイルを条切りした。第1のコイルは上溝11、下溝12の溝深さがそれぞれ0.3mmになるように設定し、第2のコイルは上溝11、下溝12の溝深さがそれぞれ0.4mmになるように設定し、第3のコイルは上溝11、下溝12の溝深さがそれぞれ0.5mmになるように設定した。
【0017】
図2は溝が形成された鋼板の断面の模式図である。本発明者等は、必要に応じて図1(D)の装置を用いて、表面処理鋼帯7−1,7−2,7−3,7−4を作成し、下記の調査を行った。表1は溝底の調査結果である。即ち本発明者等は、図2の溝底11−1,11−2,11−3,12−1,12−2,12−3を顕微鏡により検鏡し、めっき層の残存状況を調査した。表1の枠内で(有)はめっき層が溝底に残存している場合を、(無)はめっき層が途中で切れて溝底に残存していない場合である。
【0018】
【表1】
Figure 2004034183
【0019】
表1にみられる如く、溝成形用丸刃の先端14のRが0.02mmの場合は、押込量(T)が50%及び62%の場合には溝底にめっき層が残存しているが、押込量(T)が82%ではめっき層が途中で切れて溝底には残存していない。尚先端14のRが0.03mm、0.04mmの場合は押込量(T)が82%であっても、めっき層は溝成形の途中で切れることなく連続して切断面を被覆し、めっき層は溝底にも残留していた。
【0020】
尚本発明者等はRが0.30mmまでの溝形成用丸刃を用いて同様の切断試験を試みたが、0.30mmまでは0.03mm,0.04mmの場合と同様に、格別の支障も発生しないで押込量(T)を50%,62%,82%にすることができた。
【0021】
本発明は、成形加工されて製品となり長期間に亘り使用された際の赤錆の防止が課題である。成形加工された製品として、本発明では表面処理鋼帯の供試材に180°曲げの成形加工を行なったものを用い、曲げ外表面を観察面にした。180°曲げを行った場合の曲げ外表面は塑性変形が大きく、他の部分よりも赤錆が発生し易い。尚180°曲げ試験片は、JIS G 3302記載の方法にて作成した。
【0022】
本発明者等は7−1,7−2,7−3,7−4から切断部調査用の試験片と180°曲げ試験片を採取し、屋外暴露試験を行った。表2はその結果である。表2で×印は、切断部調査用試験片の赤錆の発生が早く赤錆がまず切断面に発生し、その後180°曲げの外表面に赤錆が発生したものである。即ち×印の場合は、表面処理鋼帯を製品にし、これを使用した場合赤錆は先ず切断面に発生し、その後切断面以外に発生する。従ってこの切断面は適当でない。一方表2の◎印は切断部での赤錆の発生が遅く、180°曲げの外表面に赤錆が発生するまでは、切断部に赤錆が発生しなかった例である。従ってこの切断面は好ましい。
【0023】
【表2】
Figure 2004034183
【0024】
しかし表2で押込量(T)が50%のものは、切断面の断面積の50%は押圧されるためめっきにより被覆されている。しかし50%は母材でつながっている。この状態で切断される。従って母材でつながっていた50%は被覆されていない切断面となる。この際には被覆のない鋼板の切断面に赤錆が早期に発生する。表2の押込量(T)が50%の×印はこれを示している。押込量(T)が62%のものも切断面の面積の62%はめっきにより被覆されるが残部の38%の切断面にはめっき層の被覆がない。このため表2の×印の如く、切断面に赤錆が早期に発生する。
【0025】
しかし押込量(T)が82%の場合は切断面の面積の82%がめっきにより被覆され、めっきのない部分の面積は18%で少ない。この場合にはR=0.03mmの場合及びR=0.04mmの場合は切断面の赤錆の発生は◎で示した如く180°曲げの外表面の赤錆発生よりも遅い。しかしR=0.02mmの場合は、押込量(T)は82%であっても、切断面の赤錆の発生が早い。
【0026】
既に表1で述べた如く、R=0.02mmで押込量(T)が82%の場合は、めっき層は溝成形の途中で切れて、溝底まで達していない。このため、押込量(T)は82%であっても、めっき層で被覆されている面積は82%よりも小さい。従って赤錆が発生し易い。この際の×印は、上記の理由によるものと想考される。
【0027】
(切断試験2)
切断試験1によると、溶融亜鉛めっき鋼板の場合に切断面の赤錆を、180°曲げの外表面の赤錆よりも遅い時期に発生させるためには、押込量(T)を80%以上にして切断面の面積を80%以上を、まわり込んだめっき層により被覆する事が好ましいと想考される。この際、溝成形用丸刃の先端のRが0.02mmの場合は、めっき層が80%の押圧の途中で切れて、切断面のめっき層により被覆された面積は80%以下となり、このため切断面の赤錆が早期に発生し易くなる。
【0028】
切断試験2では板厚が0.7mmでアルミニウムの付着量が60g/mの溶融アルミニウムめっき鋼帯を用いて切断試験を行った。この際は切断試験1の場合と同じ寸法の溝成形用丸刃を用い、表3及び表4で示す溝深さにして試験を行った。また屋外暴露試験の結果を表4に示した。
【0029】
表4にみられる如く、切断試験2の溶融アルミニウムめっき鋼板の場合も、切断試験1の場合と同様に、切断面の赤錆を180°曲げの外表面の赤錆よりも遅い時期に発生させるためには、押込量(T)を80%以上にする事が必要であり、また押込量(T)を80%以上とするためには表3の如く溝成形用丸刃の先端のRを0.03mm以上にする事が好ましい事が判った。
【0030】
【表3】
Figure 2004034183
【0031】
【表4】
Figure 2004034183
【0032】
(切断試験3)
切断試験1及び2で使用した溝成形用丸刃は先端14の角度θが45°であった。切断試験3では図1(B)の8−1,9−1にはθが18°のものを、8−2,9−2にはθが20°のものを8−3,9−3にはθが45°のものを用いた。尚先端のRは、すべて0.03mmである。またこの切断試験3では板厚が1.0mmで亜鉛の付着量が両面で34g/mの電気亜鉛めっき鋼帯を用いた。その際の溝底のめっき層の有、無を表5に示した。
【0033】
【表5】
Figure 2004034183
【0034】
先端のRが0.03mmであっても、θ=18°の場合は、押込量(T)が70%の場合にはめっき層が押圧の途中で切れて溝底には存在しない。押込量(T)が80%の場合も同様で溝底にはめっき層は存在しない。一方θが20°の場合は押込量(T)が70%の場合もまた80%の場合もめっき層は切れないで溝底に残存していた。以上の点から、切断面の80%以上にめっき層をまわり込ませて保護するためには、即ち押込量(T)を80%以上にするには、θを20°以上にする事が好ましい。
【0035】
(切断試験4)
切断試験1および2の溝成形用丸刃は先端14の角度θは45°であり、切断試験3のθは45°以下であった。切断試験4では、図1(B)の8−1,9−1にはθが75°のものを8−2,9−2にはθが70°のものを、8−3,9−3にはθが45°のものを用いた。尚先端のRはすべて0.03mmである。
【0036】
この際には板厚が1.2mmで亜鉛の付着量が250g/mの溶融亜鉛めっき鋼板を用い、押込量(T)が80%になる深さの溝を形成した。図3は溝を形成した後の鋼帯の縦断面図である。θ=75°の際は溝の出口に余肉が盛り上り、この余肉が図1(B)の胴部10で加圧されて、表面処理鋼帯の溝の近傍に横じわが発生する。θが70°の溝及び45°の溝には余肉や横じわは発生しない。従ってθは70°以下にする事が好ましい。
【0037】
(切断試験5)
本発明者等は、R=0.04mmでθ=30°の溝形成用丸刃を図1(B)の8−1,及び9−1に配し、R=0.05mmでθ=50°の溝形成用丸刃を図1(B)の8−2,及び9−2に配し、R=0.06mmでθ=60°の溝形成用丸刃を図1(B)の8−3及び9−3に配した。
【0038】
亜鉛付着量が両面で34g/mの0.7mmの亜鉛めっき鋼板にクロメート処理を施し、その後エポキシ樹脂系塗料を5μ程度にこれを塗装し焼付けた塗装鋼板を用い、その表面に深さがそれぞれ0.3mmの上溝と下溝とを形成した(押込量(T)=86%)。この段階では鋼帯は既に切断されていた。溝底該当部11−1,11−2,11−3,12−1,12−2,12−3のいずれにもにはエポキシ樹脂系の塗料はほとんどなかったが、亜鉛めっき層は残存していた。
【0039】
切断部調査用の試験片を採取し屋外暴露試験を行ったが、押込量(T)が86%で、切断面の86%が亜鉛層で被覆されているために、いずれの試験片についても暴露試験を開始して約1年になるが切断面からの赤錆はまだ発生していない。
【0040】
以上述べた如く、本発明は、切断試験1〜切断試験5を中心とした一連の試験結果に基づく。即ち本発明は
(1) 亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっき鋼板、塗装鋼板の何れかを切断する方法であって、切断する鋼板を、先端の角度θが20〜70°で先端のRが0.03〜0.30mmの上下に対面して配した2枚の溝成形用丸刃で挾んで該溝成形用丸刃の間を通材し、該鋼板の表面と裏面とに、両面の深さの合計が該鋼板の板厚の80%以上となる押圧された溝を形成し、該溝に沿って鋼板を切断することを特徴とする鋼板の切断方法である。
【0041】
また(2) 亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっき鋼板、塗装鋼板の何れかを切断する方法であって、切断する鋼板を、先端の角度θが20〜70°で先端のRが0.03〜0.30mmの上下に対面して配した2枚の溝成形用丸刃で挾んで該溝成形用丸刃の間を通材し、該鋼板の表面と裏面とに、両面の深さの合計が該鋼板の板厚の80%以上となる押圧された溝を形成し、溝を形成した鋼板を次に上下の剪断丸刃の間を通材して剪断丸刃により溝に沿って歪を与えることにより、該溝に沿って切断することを特徴とする、鋼板の切断方法である。
【0042】
また(3) 請求項1または2の方法で切断する事により切断面の断面積の80%以上がめっき層により被覆されている事を特徴とする、切断した鋼板である。
【0043】
【発明の効果】
本発明の方法で、亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっき鋼板、塗装鋼板を切断すると、切断面の赤錆の発生時期を、該鋼板を180°曲げした供試材の赤錆の発生時期よりも遅くすることができる。従って、表面処理鋼帯が成形加工されて製品になり、該製品が長期間に亘って使用されるまで切断面の赤錆の発生を防止する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明の方法の説明図。
【図2】は切断試験を行った鋼帯の断面の模式図。
【図3】は切断試験4の溝の出口の余肉の説明図。
【図4】は慣用の条切り剪断加工の説明図。
【図5】は特願平8−95122の方法の説明図。
【符号の説明】
1:広幅表面処理鋼帯、 2:鋼母材、 3,3’:めっき層、 4:上丸刃、 4−1:上ロール、 5:下丸刃、 5−1:下ロール、 6:切断面、 7(7−1,7−2,7−3,7−4):条切りした表面処理鋼帯、 8(8−1,8−2,8−3):上溝形成用丸刃、 9(9−1,9−2,9−3):下溝形成用丸刃、 10:胴部、 11(11−1,11−2,11−3):上溝、 12(12−1,12−2,12−3):下溝、 14:上溝形成用丸刃の先端、 15:下溝形成用丸刃の先端。

Claims (3)

  1. 亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっき鋼板、塗装鋼板の何れかを切断する方法であって、切断する鋼板を、先端の角度θが20〜70°で先端のRが0.03〜0.30mmの上下に対面して配した2枚の溝成形用丸刃で挾んで該溝成形用丸刃の間を通材し、該鋼板の表面と裏面とに、両面の深さの合計が該鋼板の板厚の80%以上となる押圧された溝を形成し、該溝に沿って鋼板を切断することを特徴とする鋼板の切断方法。
  2. 亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっき鋼板、塗装鋼板の何れかを切断する方法であって、切断する鋼板を、先端の角度θが20〜70°で先端のRが0.03〜0.30mmの上下に対面して配した2枚の溝成形用丸刃で挾んで該溝成形用丸刃の間を通材し、該鋼板の表面と裏面とに、両面の深さの合計が該鋼板の板厚の80%以上となる押圧された溝を形成し、溝を形成した鋼板を次に上下の剪断丸刃により溝に沿って歪を与えることにより、該溝に沿って切断することを特徴とする、鋼板の切断方法。
  3. 請求項1または2の方法で切断する事により、切断面の断面積の80%以上がめっき層により被覆されている事を特徴とする、切断した鋼板。
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