JP2002115793A - Zn−Al−Mg合金めっき鋼管及びその製造方法 - Google Patents

Zn−Al−Mg合金めっき鋼管及びその製造方法

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JP2002115793A JP2000308083A JP2000308083A JP2002115793A JP 2002115793 A JP2002115793 A JP 2002115793A JP 2000308083 A JP2000308083 A JP 2000308083A JP 2000308083 A JP2000308083 A JP 2000308083A JP 2002115793 A JP2002115793 A JP 2002115793A
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研一 篠田
Masanobu Fujii
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  • Coating With Molten Metal (AREA)
  • Protection Of Pipes Against Damage, Friction, And Corrosion (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 割れが生じやすい溶接熱影響部への応力集中
を緩和することにより、溶融金属脆化割れがなくZn−
Al−Mg合金めっき層の高耐食性を活用した溶接鋼管
を提供する。 【構成】 このZn−Al−Mg合金めっき鋼管は、M
g:0.05〜10質量%,Al:4〜22質量%を含
むZn−Al−Mg合金めっき層が形成された溶融めっ
き鋼板をオープンパイプ状に成形して幅方向両端部をア
プセット状態で溶接することにより製造される。鋼管円
周から外方向に突出した溶接部のメタルフロー角度α
は、Mg含有量に応じて式(1)又は(2)で規制され
る。Zn−Al−Mg合金めっき層は、必要に応じT
i:0.002〜0.1質量%,B:0.001〜0.
045質量%,Si:2.0質量%以下を含む。 %Mg≦3質量%のとき α≦−8.6×%Mg+75.9
・・・・(1) %Mg>3質量%のとき α≦2.9×%Mg+41.2
・・・・(2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶接部に溶融金属脆化
割れがなく、耐食性に優れたZn−Al−Mg合金めっ
き鋼管及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融めっき鋼板は、優れた耐食性を活用
し、腐食雰囲気に曝される屋根材,構造材,配管,部品
等に使用されている。なかでも、Zn−Al−Mg合金
めっき鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼板に比較して格段に優
れた耐食性を示す。溶融めっき鋼板の用途展開に応じ
て、機械的強度の大きな溶接鋼管用素材としても使用さ
れている。たとえば、特許第2881273号明細書で
は、所定幅に裁断した鋼帯又は鋼板の幅方向両端部近傍
にある溶融めっき層を切削除去した後で幅方向両端部を
溶接する方法を紹介している。この方法によるとき、溶
接鋼管製造後に溶融めっきする方法に比較して生産性が
向上する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】溶接に先立って溶接部
近傍の溶融めっき層を除去することにより、溶接欠陥や
液体金属脆化が防止される。しかし、溶融めっき層が除
去された溶接部は、下地鋼が露出しているため母材部に
比較して耐食性が劣る。耐食性の低下は溶接部に溶融め
っき層と同種材料からなる溶射層等を形成することによ
り防止できるものの、溶接前の溶融めっき層除去及び溶
接後の溶射層形成と余分な工程を必要とするため、製造
にかかる負荷が大きくなる。
【0004】鋼帯又は鋼板をオープンパイプ形状に成形
するときの加工条件や溶接入熱の制御によって、溶接欠
陥や液体金属脆化の発生をある程度防止できる。実際、
溶融亜鉛めっき鋼板を素材とする溶接鋼管では、溶接部
近傍の溶融めっき層を除去することなく造管する方法も
一部で採用されている。しかし、Zn−Al−Mg合金
めっき鋼板を素材とする溶接鋼管では、通常の溶融Zn
めっき鋼板から溶接鋼管を製造する場合と液体金属脆化
に起因する割れが異なる挙動を示す。割れ発生傾向は、
造管速度が大きくなるほど顕著に現れる。割れが発生す
ると、割れ部を介して地肌が露出するため耐食性が低下
することは勿論、後工程での加工にも耐えなくなる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、通常の溶融亜
鉛めっき層とZn−Al−Mg合金めっき層とで溶接時
の挙動が異なることに割れ発生の原因があるとの新規な
知見をベースに完成されたものであり、割れが生じやす
い溶接熱影響部への応力集中を緩和することにより、溶
融金属脆化割れがなくZn−Al−Mg合金めっき本来
の高耐食性を活用した溶接鋼管を提供することを目的と
する。
【0006】本発明のZn−Al−Mg合金めっき鋼管
は、その目的を達成するため、Mg:0.05〜10質
量%,Al:4〜22質量%を含むZn−Al−Mg合
金めっき層が形成された溶融めっき鋼板をオープンパイ
プ状に成形して幅方向両端部をアプセット状態で溶接す
ることにより製造された溶接鋼管であり、鋼管円周から
外方向に突出した溶接部のメタルフロー角度(α)とM
g含有量(%Mg)との間に式(1)又は(2)の関係
を成立させていることを特徴とする。 %Mg≦3質量%のとき α≦−8.6×%Mg+75.9 ・・・・(1) %Mg>3質量%のとき α≦2.9×%Mg+41.2 ・・・・(2)
【0007】Zn−Al−Mg合金めっき層は、更にT
i:0.002〜0.1質量%及びB:0.001〜
0.045質量%を、及び/又はSi:0.005〜
2.0質量%を含むことができる。溶接部のメタルフロ
ー角度は、溶接時のアプセット量及び入熱により制御で
きる。メタルフロー角度は、鋼管円周から溶接部が立ち
上がる部分に生じたメタルフローの角度をいい、溶接部
の組織観察で容易に判別できる。一般的な傾向として
は、アプセット量を下げて溶接入熱を高くするとメタル
フロー角が小さくなり、溶融金属脆化割れの発生が抑え
られる。
【0008】
【作用】本発明者等は、Zn−Al−Mg合金めっき鋼
管の溶接部に生じた割れ発生状況を種々調査検討した結
果、割れ発生メカニズムを次のように推察した。製品鋼
管に見合った幅に裁断された鋼帯又は鋼板をオープンパ
イプ形状に成形し、幅方向両端部を溶接する際、酸化物
等の異物を溶接部から押し出して溶接強度を上げるため
加熱された幅方向両端部にアプセットが加えられる。そ
のため、溶接直後にアプセットから解放されると、弾性
復元に起因する引張り応力が溶接部に加わる。しかも、
溶接熱影響部は、溶接熱による加熱冷却で再結晶化して
いる部分でもある。
【0009】他方、Zn−Al−Mg合金めっき鋼板を
溶接すると、溶接熱で溶融したZn−Al−Mg合金は
Zn(融点420℃)に比較して液相線温度が低く、比
較的長時間にわたって溶融状態を維持する。因みに、Z
n−6質量%Al−3質量%Mg合金の凝固終了温度は
335℃である。Zn−Al−Mg合金中のAl分が下
地Feと早期に反応しAl−Fe合金層となって消費さ
れるに従って液相のAl濃度が低下し、最終的にはZn
−Mg二元系になるが、Znの420℃と比較するとZ
n−3質量%Mgでも凝固終了温度が360℃と遥かに
低い。
【0010】粗粒化した熱影響部が溶融金属に長時間曝
されると、溶融金属が結晶粒界に侵入し、溶融金属脆化
を引き起こす。しかも、引張り応力が溶接部に加わって
いるので、溶融金属の侵入が促進される。このような溶
融金属脆化は、通常の溶融Znめっき鋼板や溶融Zn−
Alめっき鋼板では割れに至らないが、凝固終了温度の
低いZn−Mg二元系液相が長時間存在するZn−Al
−Mg合金めっき鋼板では比較的高い頻度で検出され
る。実際、割れが発生した溶接部を成分分析すると、Z
n−Mgの存在が検証される。
【0011】そこで、融点の低いZn−Al−Mg又は
Zn−Mgが長時間溶接部に存在することが溶融金属脆
化割れの原因であるとの前提に立って、粗粒化した溶接
熱影響部に液相のZn−Mgが浸透しても割れに至らな
いように応力集中を緩和することを検討した。アプセッ
ト溶接した溶接鋼管の溶接部は、高温加熱された鋼帯又
は鋼板の幅方向両端部が互いに押し付けられ、塑性流動
によって融合することにより形成される。そのため、溶
接部の金属組織を観察すると、溶接中心線に向かったメ
タルフローが検出される(図1a)。メタルフローの観
察には、たとえばピクリン酸3g及びドデシルベンゼン
スルホン酸4gを蒸留水100mlに添加して加熱溶解
し,24時間放置した後で濾過し、70℃に加温した濾
液が使用される。メタルフローは、鋼管円周方向から溶
接中心線に向けてメタルフロー角度αで立ち上がってい
る。なお、本件明細書では、溶接鋼管の外周面からt/
4(t:肉厚)の深さ部分で鋼管円周方向からメタルフ
ローが立ち上がっている角度αをメタルフロー角度とし
て表す。
【0012】割れcは、鋼管円周から溶接部が立ち上が
るルート部分に発生しやすい。ルート部分は、溶接熱に
よって結晶粒が粗大化した熱影響部でもある。割れcが
発生した溶接部を観察すると、大きな角度β(>α)で
メタルフローが立ち上がっていることが判った(図1
b)。このことは、大きなメタルフロー角度βでは、Z
n−Mgの侵入で脆化した熱影響部に加わる引張り応力
がルート部に集中し、割れとなったものと考えられる。
他方、小さなメタルフロー角度αでは比較的広範囲のル
ート部に応力が分散され、割れには至らなかったことを
意味する。
【0013】メタルフロー角度αと割れ発生の有無との
関係を調査した結果、図2に示されるように割れ発生に
至らない限界メタルフロー角度はめっき層のMg濃度で
変動する。そこで、限界メタルフロー角度及びMg含有
量と割れの有無との関係を求めたところ、Mg含有量と
の関係で前掲の式(1)又は(2)を満足するメタルフ
ロー角度αを維持するとき、低融点のZn−Mgが比較
的長時間にわたり溶接部に存在するZn−Al−Mg合
金めっき鋼管であっても割れのない健全な溶接部をもつ
溶接鋼管が製造されることが確認された。
【0014】メタルフロー角度αは、アプセット量及び
溶接入熱により制御できる。K=Ep×Ip/(LS×
t)〔Ep:プレート電圧(V),Ip:プレート電流
(kA),LS:造管速度(m/分),t:肉厚(m
m)〕で定義されるヒート係数Kが入熱のパラメータと
して使用されるが、ヒート係数Kに対するアプセット量
US(mm)の比US/Kとメタルフロー角度αとの関
係をとると、たとえば本発明者等が検討に用いた造管機
ではα=34.57×US/K+18.62の一次函数で近似され
る関係が両者の間に成立している(図3)。メタルフロ
ー角度αと比US/Kとの関係は造管機によって多少の
差があるものの、何れの造管機でも類似の関係が成立し
ており、関係式に従って比US/Kによりメタルフロー
角度αを制御できる。すなわち、大入熱量で溶接する場
合にはアプセット量USを若干大きく設定しても、α=
34.57×US/K+18.62で算出されるメタルフロー角度
αが小さく、割れの発生に至らない。他方、入熱量の少
ない溶接では、ヒート係数Kとの関係で小さなアプセッ
ト量USを設定することにより、α=34.57×US/K
+18.62で算出されるメタルフロー角度αを小さくし、
割れの発生を抑制する。
【0015】
【実施の形態】溶接鋼管用の素材としては、普通鋼,高
張力鋼等のめっき原板にZn−Al−Mg合金めっき層
を設けた溶融めっき鋼板が使用される。めっき原板に
は、溶融金属脆化を防止できるように割れ感受性を下げ
た成分系や、結晶粒を微細化した鋼板,たとえばHV2
60以下に硬さを下げた鋼板等がある。常法に従った溶
融めっき法でめっき原板の表面にZn−Al−Mg合金
めっき層が形成されるが、Zn−Al−Mg合金めっき
層は、Mg:0.05〜10質量%,Al:4〜22質
量%を含む組成に調整される。めっき層に含まれるMg
は,めっき層最表層にMgを含むZn系腐食生成物を形
成し、屋外等の一般腐食環境下でめっき層の腐食速度を
抑える効果を奏する。このような作用は、0.05質量
%以上のMg含有量でみられ、Mg:10質量%で飽和
する。
【0016】Zn,Mgがめっき層から溶出してMg含
有Zn系腐食生成物を形成するが、Alは、めっき層か
らほとんど溶出することなく、当初のめっき層であった
部分にZn−Al系腐食生成物を形成する。Zn−Al
系腐食生成物は、極めて固着性が強く、上層にあるMg
含有Zn系腐食生成物が腐食過程で消失しても、環境遮
断機能のあるバリアとなって下地めっき層の腐食を抑制
する。Zn−Al系腐食生成物の一部は、環境中のSO
xを取り込み、より強固な保護皮膜としても作用する。
この点、Alを含まないZn−Mg系のめっき層では、
Mg含有Zn系腐食生成物が消失すると、下地に固着性
の強い腐食生成物がないため、めっき層の腐食が急速に
進行する。このように固着性が強く下地に対するバリア
として働くZn−Al系腐食生成物を形成するために
は、4質量%のAl含有量が必要である。しかし、22
質量%を超える過剰量のAlが含まれると、Zn−Al
系腐食生成物による効果が飽和するばかりでなく、めっ
き層の加工性も低下する。
【0017】Zn−Al−Mg合金めっき層は、任意成
分としてTi,B,Siを含むことができる。Ti及び
Bを添加すると、表面外観に悪影響を及ぼすZn11Mg
2相の生成が抑制され、めっき層中に晶出するZn−M
g系金属間化合物を実質的にZn2Mgのみにできる。
具体的には、0.002質量%以上のTiを含ませる
と、Zn 11Mg2相の生成が効果的に抑制される。しか
し、0.1質量%を超える過剰量のTiが含まれると、
めっき層中にTi−Al系析出物が成長してめっき層に
凹凸が生じ、外観が劣化しやすい。Zn11Mg2相の生
成は、0.001質量%以上のBを含ませることによっ
ても抑制される。B含有の場合でも、0.045質量%
を超える過剰量ではTi−B系,Al−B系析出物がめ
っき層中に析出し、同様に外観劣化の原因となる凹凸の
あるめっき層が生じやすくなる。
【0018】Al:10質量%以上の組成をもつZn−
Al−Mg合金めっき層では、めっき層と下地鋼との界
面に局部的にFe−Al金属間化合物が生成しやすくな
る。Fe−Al金属間化合物は硬質で脆いことから、め
っき鋼板を二次加工する際にめっき層が部分的に剥離す
ることが懸念される。このようなFe−Al金属間化合
物の生成は、微量のSiをめっき層に添加することによ
り抑制される。Fe−Al金属間化合物の生成抑制に及
ぼすSiの作用は0.005質量%以上の含有量でもみ
られるが、2.0質量%を超える過剰量のSiが含まれ
ると、ポットに収容している溶融めっき金属に発生する
ドロス量が多くなる。
【0019】Zn−Al−Mg合金めっき層は、その他
の成分として、めっき層表面におけるMgの酸化を防止
する作用を呈するCa,Sr,Na,ミッシュメタルの
1種又は2種以上、耐黒変性に有効なNi,Co,Sn
の1種又は2種以上、塗装後耐食性に有効なTi,C
u,Cr,Mnの1種又は2種以上を添加してもよい。
これら添加成分を含むZn−Al−Mg合金めっき層が
形成されためっき鋼板であっても、造管時に前掲式
(1)又は(2)を満足するメタルフロー角度αで溶接
するとき、割れのない健全な溶接部をもつ溶接鋼管が製
造される。
【0020】溶融めっき鋼帯又は鋼板は、溶接鋼管の目
標径に見合った板幅に裁断された後、ロールフォーミン
グ法又はロールレスフォーミング法でオープンパイプ形
状に成形される。次いで、高周波誘導加熱,抵抗加熱等
で鋼帯又は鋼板の幅方向両端部を加熱し、アプセットす
ることにより幅方向両端部を溶融溶接する。このとき、
ヒート係数K及びアプセット量USを調整することによ
り、溶接部に生じるメタルフローの角度αを制御する。
次いで、矯正ロールにより溶接鋼管の形状を矯正した
後、製品寸法に定寸切断される。
【0021】溶接部の割れ発生は、オープンパイプ形状
に成形しためっき鋼帯又は鋼板Mの幅方向両端部を溶接
した後、ダブルスクイズロールで溶接鋼管Pの形状を規
制することによっても防止できる(図4)。具体的に
は、フィンパスロール1を通過したオープンパイプ形状
のめっき鋼帯又は鋼板Mの幅方向両端部を高周波加熱等
で加熱した後、第1スクイズロール2で加圧して幅方向
両端部を融合させるが、第1スクイズロール2の下流側
に配置した第2スクイズロール3で溶接鋼管Pの形状拘
束を更に継続する。通常の造管法では第1スクイズロー
ル2を通過した溶接鋼管Pが弾性復元して縦長に変形し
溶接部に引張り応力が加わるが、第2スクイズロール3
によって弾性復元が抑えられている。そのため、高温状
態の溶接部に引張り応力が加わることがなく、溶融金属
脆化に起因する割れの発生が抑制される。
【0022】オープンパイプ形状への成形に際し、めっ
き鋼帯又は鋼板Mの幅方向両端部を大きな曲率で曲げて
おくことも割れ防止に有効である。たとえば、成形初期
段階で幅方向両端部を大きな曲率で曲げる塑性変形を施
しておくと、弾性変形量がその分だけ少なくなる(図
5)。したがって、スクイズロール2を溶接鋼管Pが通
過した後でも、弾性復元力で溶接部を開こうとする力、
すなわち割れ発生の原因である引張残留応力が低減す
る。
【0023】
【実施例1】Zn−Al−Mg合金めっき層が形成され
た各種溶融めっき鋼板を所定サイズに裁断した後、高周
波造管した。使用した溶融めっき鋼板及び溶接条件を表
1(本発明例)及び表2(比較例)に示す。製造された
溶接鋼管の溶接部を切断し、切断面に生じているメタル
フローを観察すると共に割れの有無を調査した。表1に
示すように、ヒート係数K及びアプセット量USを調整
してMg含有量との関係でメタルフロー角度αを制御す
ることにより、割れのない健全な溶接部が形成されるこ
とが確認される。これに対し、メタルフロー角度αが前
掲の式(1)又は(2)を満足しないメタルフロー角度
αのある溶接部では、表2に示されるように何れの溶接
部にも割れが発生していた。
【0024】
【0025】
【0026】
【実施例2】表3の組成をもつZn−Al−Mg合金め
っき層が形成された片面当り付着量90g/m2,板厚
2.3mmの溶融めっき鋼板を実施例1と同様に造管
し、外径127mmの溶接鋼管を製造した。
【0027】
【0028】得られた各溶接鋼管の溶接部断面を観察
し、メタルフロー角度αと割れ発生の有無との関係を調
査した。表4の調査結果にみられるように、同じ溶融め
っき鋼板から製造された溶接鋼管であっても、メタルフ
ロー角度αの如何によって割れ発生の有無が異なってい
た。
【0029】
【0030】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のZn−
Al−Mg合金めっき鋼管は、溶接部に生じるメタルフ
ローの角度をMg含有量との関係で規制しているため、
溶接部に加わる引張り応力がメタルフロー立上り部に集
中せず、比較的広範囲に分散される。そのため、粗粒化
した溶接熱影響部が応力負荷状態で凝固終了温度の低い
Zn−Al−Mg又はZn−Mg液相と比較的長時間接
触する過酷な条件下でも、溶融金属脆化に起因する割れ
が発生することなく、健全な溶接部をもつ溶接鋼管が製
造される。得られた溶接鋼管は、Zn−Al−Mg合金
めっき本来の高耐食性を活用し、各種分野における構造
部材,配管材料等として使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 割れのない溶接部(a)及び割れが発生した
溶接部(b)に生じたメタルフロー
【図2】 割れ発生に至らない限界メタルフロー角度が
めっき層のMg濃度に応じて変わることを示したグラフ
【図3】 ヒート係数Kに対するアプセット量USの比
US/Kがメタルフロー角度αと一次関係にあることを
示すグラフ
【図4】 ダブルスクイズロールをもつ造管装置
【図5】 エッジベンドを強化した造管法の説明図
【符号の説明】
α,β:メタルフロー角度 c:溶接部に発生する割
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安藤 敦司 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社技術研究所内 (72)発明者 小松 厚志 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社技術研究所内 (72)発明者 篠田 研一 茨城県下妻市大字大木字熊の山1000番7号 日新鋼管株式会社東日本事業所内 (72)発明者 藤井 正信 茨城県下妻市大字大木字熊の山1000番7号 日新鋼管株式会社東日本事業所内 Fターム(参考) 3H024 EA02 EC11 ED08 EE02 4K027 AA02 AA05 AA07 AA22 AB05 AB13 AB44 AE23

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg:0.05〜10質量%,Al:4
    〜22質量%を含むZn−Al−Mg合金めっき層が形
    成された溶融めっき鋼板をオープンパイプ状に成形して
    幅方向両端部をアプセット状態で溶接することにより製
    造された溶接鋼管であり、鋼管円周から外方向に突出し
    た溶接部のメタルフロー角度(α)とMg含有量(%M
    g)との間に式(1)又は(2)の関係を成立させてい
    ることを特徴とするZn−Al−Mg合金めっき鋼管。 %Mg≦3質量%のとき α≦−8.6×%Mg+75.9 ・・・・(1) %Mg>3質量%のとき α≦2.9×%Mg+41.2 ・・・・(2)
  2. 【請求項2】 Zn−Al−Mg合金めっき層が更にT
    i:0.002〜0.1質量%及びB:0.001〜
    0.045質量%を含む請求項1記載のZn−Al−M
    g合金めっき鋼管。
  3. 【請求項3】 Zn−Al−Mg合金めっき層が更にS
    i:2.0質量%以下を含む請求項1又は2記載のZn
    −Al−Mg合金めっき鋼管。
  4. 【請求項4】 Mg:0.05〜10質量%,Al:4
    〜22質量%を含むZn−Al−Mg合金めっき層が形
    成された溶融めっき鋼板をオープンパイプ状に成形して
    幅方向両端部をアプセット状態で溶接する際、鋼管円周
    から外方向に突出した溶接部のメタルフロー角度(α)
    がMg含有量(%)との間で式(1)又は(2)を満足
    するように、アプセット量及び入熱を制御することを特
    徴とするZn−Al−Mg合金めっき鋼管の製造方法。 %Mg≦3質量%のとき α≦−8.6×%Mg+75.9 ・・・・(1) %Mg>3質量%のとき α≦2.9×%Mg+41.2 ・・・・(2)
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Cited By (5)

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